JP3915135B2 - 棒状化粧料容器 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アイライナー、アイブロー、アイシャドウ及び口紅等の細径でしかも揮発成分を有する棒状化粧料を収容する化粧料容器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、アイライナー、アイブロー、アイシャドウ及び口紅等の細径で、しかも揮発成分を有する棒状化粧料を収容する化粧料容器において、この化粧料容器内に収容する棒状化粧料を、上記軸筒を回動自在に保持する芯筒先端の開口部から出没させるにあたっては、軸筒を回動させることで、この軸筒内において一体に固持されたネジ駒に対して、その表面に螺設されたネジを噛合させる押棒を前進或は後退させて行うものが一般的である。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のように、軸筒の回動により、この軸筒内において一体に固持されたネジ駒に対して、その表面に螺設されたネジを噛合させる押棒を前進或は後退させて棒状化粧料を出没させてなるものの場合、その構造上芯筒内壁面全体には、例えば棒状化粧料を保持する受皿体が上記押棒の回動に合わせて回動することなく芯筒内を前進或は後退するように回り止め溝が配設されることとなり、このとき軸筒が容易に回動して化粧料容器内に収容する棒状化粧料が不用意に軸筒に保持される芯筒先端の開口部より突出して他所への汚損等が発生することを防止できるように、軸筒に対してスライド抵抗を与えようとすると、上記棒状化粧料を保持する受皿体の回動方向或は前進或は後退するスライド方向に弾性体を配置せざるを得なくなり、製造工程が複雑となる上に、棒状化粧料が不用意に軸筒に保持される芯筒先端の開口部より突出して他所への汚損等の発生に確実に防止することができないという欠点がある。
【０００４】
更に、化粧料容器内に収容されている棒状化粧料が、アイライナー、アイブロー、アイシャドウ及び口紅等の細径でしかも揮発成分を有するものである場合には、化粧料容器内での気密性を確保する必要があるが、芯筒内壁面全体には、例えば棒状化粧料を保持する受皿体が上記押棒の回動に合わせて回動することなく芯筒内を前進或は後退するように回り止め溝が配設されているため十分な気密性の維持を確保することができず、化粧料自体の品質の低下を招いてしまうという問題がある。
【０００５】
また、棒状化粧料を保持する受皿体と一体となる軸筒の回動に対して、この軸筒内に固持するネジ駒に噛合すると共に、その回動に合わせて前進或は後退する押棒においては、軸筒の過剰な回動により押棒がネジ駒との噛合範囲を超えて前進或は後退しすぎて、押棒表面に螺設されるネジとネジ駒との噛合が解離し、受皿体に保持される棒状化粧料の化粧料容器に対する出没操作が不能となってしまうことを防止するために、上記押棒に対して過剰な前進或は後退を防止するストッパーが設けられているが、このストッパーは通常押棒において過剰な前進或は後退のいずれか一方を防止するためにしか設けられていないため、その目的以外の操作、すなわち軸筒の回動により押棒が過剰に後退或は前進してしまうと、軸筒内に固持されるネジ駒と、押棒表面に螺設されるネジとネジ駒との噛合が解離し、受皿体に保持される棒状化粧料の化粧料容器に対する出没操作が不能となる問題もある。
【０００６】
そこで、この発明は上記従来のものの持つ欠点を改善するものであり、簡単な構造により、軸筒の回動によって不用意に棒状化粧料が化粧料容器内から突出して他所を汚損することを防止するためのスライド抵抗の付与及び、化粧料容器内での気密性を十分な確保と共に、棒状化粧料の出没操作に対しての破損の発生を阻止することができるようにするものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
そのために、芯筒に対して回動自在に保持される軸筒並びに、上記芯筒内に、後端縁にストッパーを配設した上、その外表面にネジを螺設する押棒及び棒状化粧料を保持する芯チャック部、及びその芯チャック部の後端外周に周設する係止溝内にＯリングを保持してなるストッパーリングを一体に構成し、上記芯筒の前方内壁面に軸方向に案内溝を溝設すると共に、この案内溝内に棒状化粧料を保持する芯チャック部を遊嵌し軸筒内において一体に固持されるネジ駒の回動により、上記軸筒内に固持され押棒のネジと噛合うネジ駒の回動により、芯チャック部内に保持される棒状化粧料を、芯筒の先端の開口部より出没自在とし、該芯筒先端に嵌着するキャップを、弾性を有する内キャップにより、上記芯筒先端の開口部を閉塞するように一体に嵌着してなるものである。
【０００８】
【発明の実施の形態】
この発明を実施するにあたって、芯筒の前方内壁面に軸方向に溝設される案内溝は上記芯筒の前方内壁面にしかなく、また軸筒内に固持されるネジ駒と噛合して前後に進退自在となる押棒及び棒状化粧料を保持してなる芯チャック部と一体のストッパーリングの係止溝内に保持するＯリングが芯筒の内壁面に密接するので、軸筒の回動に対してのスライド抵抗を与えることができると共に、気密性を十分に確保することができる上、棒状化粧料を保持する芯チャック部と一体の押棒の外表面に螺設するネジがネジ駒のネジと噛合し、その軸筒内に固持されたネジ駒のネジ駒両端面に対して、押棒が前進する時には押棒の後端縁に配設するストッパーが、反対に押棒が後退する時には化粧料保持体を構成する芯チャック部のストッパーリングが当接、係止するものとなるので、軸筒を過剰に回動しても押棒自体はそれ以上前進或は後退することができなくなることから、軸筒内に固持されるネジ駒と押棒表面に螺設されるネジとの噛合が解離して、芯チャック部に保持される棒状化粧料の化粧料容器に対する出没操作の安全性が確保できなくなることを防止できる。なお、上記案内溝はひとつの溝でもよいが、断面十字状あるいは適宜対向して複数設けることにより芯チャック部の摺動を円滑に行うことができる。
【０００９】
更に、上記棒状化粧料を収容する軸筒を回動自在に装着してなる芯筒先端に嵌着するキャップを、弾性を有する内キャップにより、上記芯筒先端の開口部を閉塞するように一体に嵌着してなるものとし、棒状化粧料容器のみならず、化粧料容器内に収容する棒状化粧料が出没する芯筒の先端の開口部を完全に閉塞することができるので、化粧料容器として使用していない場合は、キャップの内キャップが芯筒の先端に弾性をもって一体嵌着され、化粧料容器内の気密性を確実に確保することができる上、化粧料の消耗にしたがい、Ｏリングも前進するので気密部分を化粧料に対して有効に作用できる。
【００１０】
【実施例】
この発明を図に示す実施例により更に説明する。図１において示されるのは、この発明の実施例である棒状化粧料容器（１）であり、この棒状化粧料容器（１）は、先端にキャップ（１９）を嵌着する芯筒（６）に対して回動自在に保持され、後端に通気孔（５）を有する軸筒（２）及び、上記軸筒（２）を回動自在に保持する芯筒（６）内において、押棒（１１）の後端縁にストッパー（１２）とスリット割（２２）を配設した上、その外表面にネジ（１３）を螺設する押棒（１１）及び棒状化粧料（１５）を保持する芯チャック部（１４）、更に芯チャック部（１４）の後端外周に周設する係止溝（１７）内にＯリング（１８）を保持してストッパーリング（１６）を一体に構成して化粧料保持体（１０）としてなるものである。なお、押棒（１１）後端に軸方向にスリットを入れてスリット割（２２）を形成し、作動時、ストッパー（１２）の摺動を円滑に行うことができる。
【００１１】
そして、上記棒状化粧料容器（１）を構成する芯筒（６）の前方内壁面（８’）において軸方向互いに対向するように断面十字状の案内溝（９）を溝設すると共に、この案内溝（９）内に棒状化粧料（１５）を保持する芯チャック部（１４）を摺動自在に遊嵌することで、ストッパーリング（１６）の係止溝（１７）内に保持するＯリング（１８）を芯筒（６）の内壁面（８）に密接させつつ軸筒（２）内に固持されるネジ駒（３）の回動により、上記ネジ駒（３）のネジ溝（４）と外表面に螺設するネジ（１３）との噛合により進退自在となる押棒（１１）と一体の芯チャック部（１４）内に保持される棒状化粧料（１５）を、芯筒（６）の先端の開口部（７）より出没自在としてなるものである。
【００１２】
この発明の実施例である棒状化粧料容器（１）は以上の構成を具えるので、軸筒（２）の回動により、この回動する軸筒（２）内に固持されるネジ駒（３）と噛合する化粧料保持体（１０）を構成する押棒（１１）と一体に成形され、棒状化粧料（１５）を保持する芯チャック部（１４）の回転を抑止し、円滑な化粧料保持体（１０）の前進或は後退を案内する芯筒（６）の内壁面（８）に十字状に溝設される案内溝（９）は、上記芯筒（６）の前方内壁面（８’）にのみ設け、ストッパーリング（１６）と重なることがないので密封状態が保持され、また軸筒（２）内に固持されるネジ駒（３）と噛合して前後に進退自在となる押棒（１１）及び棒状化粧料（１５）を保持してなる芯チャック部（１４）と共に一体に成形されるストッパーリング（１６）の係止溝（１７）内に保持するＯリング（１８）が、芯筒（６）の案内溝（９）より後方部分の内壁面（８）に常に密接しているので、まず不用意な軸筒（２）の回動による容器（１）内からの棒状化粧料（１５）の突出により生じる他所への汚損等を防止するため、軸筒（２）の回動に対して適当なスライド抵抗を与えることができると共に、上記ストッパーリング（１６）の係止溝（１７）内に保持するＯリング（１８）は化粧料保持体（１０）の前後方向へのスライドに対しても常に芯筒（６）の内壁面（８）へ密接しているものとなるので、軸筒（２）の後端に穿設される通気孔（５）の存在にも関わらず、上記棒状化粧料容器（１）内の気密性を十分に確保することができる。
【００１３】
更に、棒状化粧料（１５）を保持する芯チャック部（１４）と一体の押棒（１１）の外表面に螺設するネジ（１３）が噛合してなる軸筒（２）内に固持されたネジ駒（３）のネジ駒両端面（３’）（３”）に対して、上記軸筒（２）の回動によりこの軸筒（２）内に固持されるネジ駒（３）に噛合する押棒（１１）が棒状化粧料（１５）を芯筒（６）の開口部（７）より突出させるため、前進する時には押棒（１１）の後端縁に配設するストッパー（１２）が、反対に棒状化粧料（１５）を化粧料容器（１）内に収容ために押棒（１１）が後退する時には化粧料保持体（１０）を構成するストッパーリング（１６）が、上記ネジ駒（３）の後端面（３”）又は前端面（３’）にそれぞれ当接、係止するものとなるので、この発明の実施例である化粧料容器（１）内に収容されている棒状化粧料（１５）の出没操作を行うにあたって、軸筒（２）を過剰に回動してしまっても、この軸筒（２）内に固持されるネジ駒（３）と噛合する押棒（１１）自体はそのネジ駒（３）の両端面（３’）（３”）との当接位置以上は前進或は後退することができなくなり、軸筒（２）内に固持されるネジ駒（３）のネジ溝（４）と、押棒（１１）表面に螺設されるネジ（１３）との噛合が解離してしまい、芯チャック部（１４）に保持される棒状化粧料（１５）の化粧料容器（１）を構成する芯筒（６）の開口部（７）に対する出没操作が行えなくなるという不具合を防止する、すなわち容器の安全性を確保できるものである。なお、押棒（１１）のストッパー（１２）がネジ駒（３）の後端面（３”）に当接する位置において、ストッパーリング（１６）が位置する案内溝（９）内に芯筒内ストッパー（２３）を突設することにより、押棒（１１）のストッパー（１２）がネジ駒（３）の後端面（３”）に当接すると同時に、ストッパーリング（１６）が芯筒内ストッパー（２３）に当接して、より確実に安全性を確保できる。
【００１４】
また、上記実施例の化棒状化粧料容器（１）を構成する芯筒（６）の先端の開口部（７）に対して嵌着されるキャップ（１９）は弾性を有する内キャップ（２０）を内設することで、上記芯筒（６）先端の開口部（７）を確実に閉塞するように一体に嵌着しようとするものである。そのため、この内キャップ（２０）を有するキャップ（１９）は、使用していない場合は、キャップ（１９）の内キャップ（２０）が芯筒（６）先端の開口部（７）に対して弾性をもって一体に嵌着されるものとなるので、ストッパーリング（１６）の係止溝（１７）内に保持するＯリング（１８）の芯筒（６）の内壁面（８）への密接と共に、化粧料容器（１）内の気密性を確実に確保することができるものとなる。
【００１５】
【発明の効果】
以上のとおり、棒状化粧料を芯筒の先端の開口部から出没させるにあたって、後端縁にストッパーを配設する押棒とこの押棒と一体の芯チャック部のストッパーリングの係止溝内にＯリングを保持させ、また上記棒状化粧料を収容する軸筒を回動自在に装着してなる芯筒先端に嵌着するキャップに弾性を有する内キャップを設けることで、まず容器内に収容する棒状化粧料の出没操作に当たって、上記棒状化粧料の出没操作が不能となってしまうことを防止できると共に、常に芯筒の内壁面に当接するストッパーリングのＯリング及び出没する棒状化粧料を保持する芯チャック部の案内をする案内溝を最小限とし、更に化粧料容器内の気密性は確実に維持できるものとなり、揮発成分を有する化粧料の品質の低下を防ぐこともできるという優れた効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 この発明の実施例である棒状化粧料容器の全体断面図である。
【符号の説明】
１ 棒状化粧料容器
２ 軸筒
３ ネジ駒
３’ネジ駒の前端面
３”ネジ駒の後端面
４ ネジ溝
５ 通気孔
６ 芯筒
７ 開口部
８ 内壁面
８’芯筒の前方内壁面
９ 案内溝
１０ 化粧料保持体
１１ 押棒
１２ ストッパー
１３ ネジ
１４ 芯チャック部
１５ 棒状化粧料
１６ ストッパーリング
１７ 係止溝
１８ Ｏリング
１９ キャップ
２０ 内キャップ
２２ スリット割
２３ 芯筒内ストッパー

Claims (1)

1. 芯筒に対して回動自在に保持される軸筒並びに、上記芯筒内に、後端縁にストッパーを配設した上、その外表面にネジを螺設する押棒及び棒状化粧料を保持する芯チャック部及びその芯チャック部の後端外周に周設する係止溝内にＯリングを保持してなるストッパーリングを一体に構成し、上記芯筒の前方内壁面に軸方向に案内溝を溝設すると共に、この案内溝内に棒状化粧料を保持する芯チャック部を遊嵌し、かつ、軸筒内において軸筒と一体に固持され、押棒のネジと噛合うネジ駒の回動により、芯チャック部内に保持される棒状化粧料を、芯筒の先端の開口部より出没自在とし、該芯筒先端に嵌着するキャップを、弾性を有する内キャップにより、上記芯筒先端の開口部を閉塞するように一体に嵌着してなる棒状化粧料容器。

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