JP3913979B2 - 光走査装置及びそれを搭載した画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、レーザプリンタ,デジタル複写機,レーザファックス等の画像形成装置に用いられる光走査装置、及びそれを搭載した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電子写真方式の画像形成装置であるレーザプリンタ,デジタル複写機,レーザファックス等は、レーザビームを感光体の表面に照射してそれを走査することにより感光体上に潜像を形成する光走査装置を備えている。
このような光走査装置では、光源から照射されたレーザビームを回転するポリゴンミラーにより偏向して感光体上を走査するようにしているが、そのレーザビームの光路の途中に、通常のものでは走査方向に沿って長く形成した板状のガラスを配置している。そして、そのガラスは、断面内で角度α傾けて配置しており、その角度αを変えたり、ガラスの厚みを変えたりすることにより、感光体上におけるレーザビームによる走査線(レーザ走査線)の湾曲量を調整するようにしている(例えば特開平11−287966号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の光走査装置の場合には、上述したようにポリゴンミラーと感光体との間の光路に設けるガラスの傾き角度や、そのガラスの厚みを変えることでレーザ走査線の湾曲量の調整を行うことができるが、走査線自体の傾きを変える調整はできないという問題点があった。
そのため、各ステーション毎の走査線の湾曲量を所定の範囲に調整できたとしても、走査線の傾きが各ステーション毎(使用する複数の色にそれぞれ対応する各レーザビーム毎)にバラついてしまったときには色ムラや色ズレが生じてしまうため画像品質が低下してしまうということがあった。
【0004】
また、走査光学系に上記のようなガラスを設けるため、その分だけ光利用効率がダウンしたり、そのガラスの傾きを調整するためのメカ機構も必要となるため、その分だけコストアップになってしまうという問題点もあった。
この発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、複数のレーザ光源からそれぞれ出射されたレーザビームによる走査線の湾曲量の調整を行うことができると共に、走査線自体の傾きも調整することができるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、複数のレーザ光源からそれぞれ出射されたビームによる走査線をそれぞれ対応する感光体に結像させる複数のレンズ群が各走査線に対応して光学ハウジング内にそれぞれ配置されている光走査装置において、
上記各走査線に対応する各レンズ群をそれぞれ構成する複数のレンズの中のいずれか1つをそれぞれ保持部材により保持し、その保持部材にその保持部材が保持しているレンズを上記ビームの副走査方向に強制的にたわませることにより走査線の曲がりを調整する走査線湾曲調整手段を上記走査線の主走査方向に沿って間隔を置いて複数設けると共に、上記レンズを走査線の曲がりを維持した状態のまま上記保持部材と一体で略光軸まわりに回転させて傾かせることにより走査線全体の傾きを補正する走査線傾き調整手段を設けている。
さらに、上記保持部材によって保持されるレンズは長尺プラスチックレンズであって、両端部に突起部を形成しており、
上記光学ハウジングには、上記主走査方向に間隔を置いて両側に位置決め用の部材が設けられており、
上記保持部材は、上記長尺プラスチックレンズの長手方向に対応する長手方向の両端面が略光軸を中心とする同心円上に沿う形状に形成され、その両端面を上記位置決め用の部材の内面にそれぞれ当接させ、上記長手方向の両端部の内側の面にそれぞれザグリ部が形成され、
上記長尺プラスチックレンズは、上記両端部に形成した突起部を上記保持部材に形成されたザグリ部に突き当てる。
【0006】
また、上記走査線湾曲調整手段は、上記保持部材の上記主走査方向に沿って間隔を置いて形成した複数の基準面にレンズを当接させ、そのレンズの上記保持部材の基準面に対して上記主走査方向にそれぞれオフセットした位置を上記基準面側に押圧する複数個の湾曲調整部材からなる手段であるようにするとよい。
さらに、上記走査線傾き調整手段は、上記レンズの光軸近傍を中心にして上記保持部材を回転及び上記副走査方向にシフトさせる手段であり、上記走査線湾曲調整手段と独立して動作可能にするとよい。
【0007】
そして、その走査線湾曲調整手段と走査線傾き調整手段のそれぞれ調整部は、共に同一方向から調整操作可能な位置に配設するとよい。
また、上記いずれかの光走査装置において、上記光学ハウジング又はその光学ハウジングと一体の部材に突き当て部を設けると共に、上記保持部材に上記突き当て部に当接させて位置決めをする位置決め部を設け、その位置決め部を上記突き当て部に押し当てるように上記保持部材を押圧付勢する押圧手段を設けるとよい。
さらに、上記いずれかの光走査装置を備えた画像形成装置を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明の一実施形態例である光走査装置の長尺プラスチックレンズ付近を一部断面にして示す正面図、図2は同じくその長尺プラスチックレンズを保持する構成を示す平面図、図3は同じくその長尺プラスチックレンズを保持する構成を示す左側面図、図4は同じくその光走査装置を構成する各部品を示す斜視図、図5は同じくその光走査装置を備えた画像形成装置を示す全体構成図である。
図5に示す画像形成装置であるデジタル複写機は、複写機本体30と、自動原稿給送装置(以下「ADF」という)1と、給紙ユニット60とによって構成されている。
ADF1は、原稿台51上に積載された原稿を1枚ずつ自動給送して複写機本体30のコンタクトガラス52上に給送し、スキャナによる画像情報の読み取り後に、その原稿を原稿排出トレイ53上に排出する。
【0009】
複写機本体30内には、その上部にコンタクトガラス52上にセットされた原稿の画像情報を読み取るスキャナ部70と、レーザ光源となる後述するLDユニット11,12を有する光走査装置2と、感光体ドラム16,18を有する作像部等が設けられている。
スキャナ部70は、露光ランプと複数のミラーとレンズとCCD等からなる光学走査系を有している。
感光体ドラム16,18の回りには、それぞれ帯電装置31と現像装置32と、転写部を形成する転写ベルト33と、クリーニング装置34等がそれぞれ配設されている。
そして、感光体ドラム16の転写紙搬送下流側(図5で左方側)には定着装置55が、その下流側には反転・排紙部56がそれぞれ設けられている。また、定着装置55の下方には、両面ユニット40が設けられている。
【0010】
スキャナ部70の光学走査系は、コンタクトガラス52上にセットされた原稿の画像を光学的に走査し、その画像情報をレンズによりCCDの受光面に結像させて光電変換する。
その画像信号(画像情報)は、図示しない画像処理回路によりA/D変換等の処理が施された後、図示しない画像処理部により各種の画像処理が施され、次いで画像形成時に後述する光走査装置2により、その画像信号に基づく画像が、それぞれ帯電装置31により表面が一様に帯電された感光体ドラム16,18の帯電面にレーザビームにより書き込まれ、そこに潜像が形成される。
その潜像は、感光体ドラム16,18が共に図5で時計回り方向に回転することにより各現像装置32のある位置まで回転移動すると、その現像装置32により現像されてトナー像(可視像)となる。
【0011】
一方、給紙ユニット60に設けられているタンデム式の大量給紙装置61,ユニバーサルトレイ62,63のいずれかの給紙段から、そこに収納されている転写紙Pが複写機本体30内に向けて給紙される。
その転写紙Pは、複写機本体30内を上方に向けて搬送され、その先端がレジストローラ54に突き当たって一旦停止した後に、感光体ドラム18上に形成されているトナー像と一致する正確なタイミングでレジストローラ54により再搬送され、そこに感光体ドラム18,16上のトナー像が順次転写される。
その転写紙Pは、感光体ドラム16から分離された後、転写ベルト33により定着装置55に搬送され、そこで定着ローラによりトナー画像が定着される。
そして、そのトナー画像が定着された後の転写紙Pは、片面画像形成時には反転・排紙部56により直進方向に搬送されて排紙ローラ57により排紙トレイ58上に排紙される。
【0012】
また、両面画像形成時には、表面に画像が形成された転写紙Pが、反転・排紙部56により表裏が反転された状態で両面ユニット40側に搬送され、それが再給紙されて再び感光体ドラム18が設けられている作像部に搬送され、今度は裏面側に画像が形成される。そして、その画像が定着装置55で定着された後に、反転・排紙部56により直進方向に搬送されて排紙ローラ57により排紙トレイ58上に排紙される。
光走査装置2は、図4に示すようにタンデム式の書込光学系を備えた走査レンズ方式のものであるが、走査ミラー方式のものにも対応が可能である。そして、図4には2本のレーザビームを使用して感光体ドラム16,18上にそれぞれ潜像を形成する2ステーションタイプの例を示したが、ポリゴンミラー6,7を中心にして左右対称の構成にすれば、4ステーションタイプにすることもできる。
【0013】
この光走査装置2は、副走査方向に所定の距離を置いて2個のLDユニット11、12を配置し、その一方のLDユニット11から出射したレーザビームを折り返しミラー3により他方のLDユニット12から出射されたレーザビームと同一方向に曲げるようにしている。そして、その2本のレーザビームをそれぞれシリンダレンズ4,5に入射させ、その2本のレーザビームを、上下方向に所定の距離を置いて配置した2段のポリゴンミラー6,7の反射面近傍に、それぞれ線状に集光するようにしている。
そのポリゴンミラー6,7により偏向されたレーザビームは、一体型あるいは上下2段に配設された第1の走査レンズとなる走査レンズ8,9によりそれぞれビーム整形され、さらに第2の走査レンズとなる長尺プラスチックレンズ10,15によりfθ特性と所定のビームスポット径にビーム整形されて、感光体ドラム16,18上をそれぞれ走査する。
【0014】
そのLDユニット11から出射されたレーザビームと、LDユニット12から出射されたレーザビームは、走査レンズ8,9を通過した後の光路が異なる。
すなわち、LDユニット12から出射した上側のビームは、上側の長尺プラスチックレンズ10に入射した後に折り返しミラー14によって90°上方に向けて曲げられ、さらに折り返しミラー27により90°曲げられる。そして、そのレーザビームは、さらに折り返しミラー13により下方に曲げられて感光体ドラム16上を走査する。
また、LDユニット11から出射された下側のビームは、途中で折り返しミラー14,27に入射することなく長尺プラスチックレンズ15に入射した後、2枚の折り返しミラー36,37によって光路が曲げられて、感光体ドラム16に対して所定のドラム間ピッチで配設されている感光体ドラム18上を走査する。
なお、LDユニット11,12からそれぞれ出射されたレーザビームによる各走査線をそれぞれ対応する感光体ドラム18,16に結像させる上述した複数のレンズ群は、各走査線に対応して図5(レンズ群の図示は省略している)に示した光学ハウジング26内にそれぞれ配置されている。
【0015】
ところで、近年このような光走査装置では、コストダウンの目的から走査光学系にプラスチック製のレンズを採用することが必須となってきている。特にタンデム式の書込光学系を備えた光走査装置の場合には使用する光学素子の部品点数が多くなるため、走査光学系をプラスチック化する効果は大きい。
ところが、図4に示した長尺プラスチックレンズ10,15のように長尺のプラスチックレンズの場合には、成形条件や残留応力などの影響により長手方向、特に走査面と直交する方向にたわみが発生しやすい。
そのたわみ量は数十ミクロンであり、型の違いによってその量や方向はバラつくため、それにより各ステーション間における走査線(使用する複数の色に対応する複数の走査線)の湾曲状態の調整や、その走査線自体の傾きを調整して、その複数の走査線を互いに高精度に位置合わせするのは非常に難しくなる。
【0016】
そこで、この実施の形態による光走査装置2では、複数のレーザ光源となるLDユニット11,12からそれぞれ出射されたレーザビームによる各走査線に対応する各レンズ群をそれぞれ構成する複数のレンズの中のそれぞれ1つである長尺プラスチックレンズ10及び15を、それぞれ保持部材である図1に示すレンズホルダ19,19により保持し、その各レンズホルダ19にその各レンズホルダ19が保持している長尺プラスチックレンズ10,15をレーザビームの図1で下方の副走査方向に強制的にたわませることにより走査線の曲がり(湾曲状態)を調整する走査線湾曲調整手段となる3個のイモネジ20a,20b,20cを走査線の主走査方向(図1で左右方向)に沿って間隔を置いて複数設けている。
また、長尺プラスチックレンズ10,15をそれぞれ走査線の曲がりを維持した状態のまま各レンズホルダ19と一体で傾かせる(図1でレンズホルダ19が右上がりあるいは左上がりとなる方向の傾き調整)ことにより走査線全体の傾きを補正する走査線傾き調整手段となる調整ネジ21a,21bをそれぞれ設けている。
【0017】
以下、その走査線の曲がりを調整する機構と、走査線全体の傾きを補正する機構について説明する。
光走査装置2の光学ハウジング26に、位置決め用の2個のボス25,25を図1で左右方向となる主走査方向に間隔を置いて立設し、その両側のボス25,25に図2に示すように突き当て段部25a,25aをそれぞれ形成し、そこに長尺プラスチックレンズ15を保持するレンズホルダ19の位置決め部となる両端部をそれぞれ付き当てて、光軸方向の位置決めをする。
また、レンズホルダ19は、図1に示したように、その長手方向の両端面にそれぞれ形成している円弧面19e,19fが、両側のボス25,25の内面にそれぞれ精度良く当接して嵌合することにより、主走査方向の位置決めが精度良く行われるようになっている。
なお、両端の円弧面19e,19fは、略光軸を中心とする同心円上に沿う形状に形成されている。
両側のボス25,25には、それらの間に跨るように調整補助板24を設け、その調整補助板24の両端にはそれぞれボス25への取付孔と、傾き調整ネジ21a,21bを通すための孔24a,24aと、イモネジ20a,20b,20cをそれぞれ通すための逃げ孔24bを間隔を置いて3個形成している。
【0018】
一方、長尺プラスチックレンズ15を収納するレンズホルダ19は、長尺プラスチックレンズ15と略同型の矩形の貫通孔が形成されていて、上面には湾曲調整用の湾曲調整部材であるイモネジ20a〜20cをそれぞれ螺着するためのネジ孔が長手方向に間隔を置いて3箇所形成してある。
さらに、このレンズホルダ19の両端部には、走査線傾き調整手段であり、走査線傾き調整用として使用する各調整用ネジ孔19d,19dをそれぞれ形成し、そこに調整補助板24の各孔24aに挿入した調整ネジ21a,21bをそれぞれ螺着している。
なお、調整ネジ21a,21bは、調整補助板24の下面とレンズホルダ19の上面との間に介装した圧縮バネ22,22の中心を貫通した状態でレンズホルダ19の各孔24aにそれぞれ螺着されており、その2個の圧縮バネ22,22によりレンズホルダ19が、常に図1で下方に押圧付勢されている。
【0019】
また、そのレンズホルダ19の矩形の貫通孔の下側内面には、長尺プラスチックレンズ15の下面を2箇所で受けるリブ部19a,19aを突設し、そのリブ部19a,19aのそれぞれ上面を副走査方向の基準面としている。そして、その一対のリブ部19a,19aは、レンズホルダ19の上部側の面に形成している3箇所のイモネジ20a〜20cをそれぞれ螺着するためのネジ孔と長手方向でオフセットする位置にそれぞれ形成してある。
このレンズホルダ19には、図2に示すように両端部の内側の面にザグリ部19b,19cをそれぞれ形成し、そこに長尺プラスチックレンズ15の両端部に形成している突起部15a,15bをそれぞれ突き当てることにより、長尺プラスチックレンズ15の光軸方向(図2で上下方向)の位置決めを行っている。
【0020】
そして、その状態で、図2,図3及び図6に示すように、両側のボス25,25のそれぞれ後側の面にネジ止め固定した板バネ23,23により、図2に示したようにレンズホルダ19と長尺プラスチックレンズ15の背面を共に前方(同図で下方)に向けて押圧することにより、レンズホルダ19と長尺プラスチックレンズ15の光軸方向の位置決めを行っている。
また、その長尺プラスチックレンズ15のレンズホルダ19に対するレーザビームの主走査方向(長手方向)の位置決めは、図2に示したように両側の突起部15a,15bのそれぞれ両端面をレンズホルダ19の内面両端部に精度良く嵌合させることにより行っている。
【0021】
このように、この光走査装置2は、光学ハウジング26と一体の部材である両側のボス25,25(光学ハウジング26にボス25を一体に形成するようにしてもよい)に突き当て部となる突き当て段部25a,25aを設けると共に、レンズホルダ19に突き当て段部25a,25aに当接させて位置決めをする位置決め部(図2で下面の両端部となる)を設け、その両側の位置決め部を突き当て段部25a,25aにそれぞれ押し当てるようにレンズホルダ19を押圧付勢する押圧手段である左右の板バネ23,23を設けている。
また、この光走査装置2は、上述したようにレンズホルダ19の主走査方向に沿って間隔を置いて形成した2個の基準面となるリブ部19a,19aに長尺プラスチックレンズ15の下面を当接させ、その長尺プラスチックレンズ15のレンズホルダ19のリブ部19a,19aに対して上記主走査方向にそれぞれオフセットした位置をそれぞれリブ部19a側に押圧する複数個のイモネジ20a〜20cからなる走査線湾曲調整手段を設けている。
【0022】
そして、その光走査装置2が有する走査線傾き調整手段は、長尺プラスチックレンズ15の光軸近傍を中心にしてレンズホルダ19を回転及び副走査方向にシフトさせる手段であり、上記走査線湾曲調整手段と独立して動作可能である。
さらに、その走査線湾曲調整手段と走査線傾き調整手段は、レンズホルダ19が保持している長尺プラスチックレンズ15と一体的に設けられている。
また、その走査線湾曲調整手段の調整部となる各イモネジ20a〜20cと、走査線傾き調整手段の調整部となる調整ネジ21a,21bは、共に図1で上方の同一方向から調整操作可能な位置にそれぞれ配設されている。
【0023】
次に、この光走査装置2における走査線の湾曲状態の調整の仕方について説明する。
この光走査装置2で走査線の湾曲状態を調整するときには、図1に示した3箇所のイモネジ20a〜20cのうち両端に位置するイモネジ20a,20cをそれぞれを緩め、中央に位置するイモネジ20bを締め込むと、長尺プラスチックレンズ15は各イモネジ20a〜20cに対してオフセットした位置にある2個のリブ部19a,19aにより支持されているので、その長手方向の中央のイモネジ20bにより押し下げられた部分が下側に凸形状となるように湾曲状態にたわむように調整される。
【0024】
逆に、中央に位置するイモネジ20bを緩めて両端部側のイモネジ20a,20cをそれぞれ締め付けると、今度はリブ部19a,19aをそれぞれ支点として、長尺プラスチックレンズ15のリブ部19a,19aよりもそれぞれ外側の部分が押し下げられるため、長尺プラスチックレンズ15は長手方向の中央部分が上方に凸形状になるように湾曲調整される。
したがって、長尺プラスチックレンズ15は、3本のイモネジ20a〜20cを進退させるだけで長手方向の中央部分を上方に向けて凸形状になるようにしたり、下方に向けて凸形状になるようにしたりすることができる。それにより、長尺プラスチックレンズ15のいずれの方向に対する湾曲状態であっても、それを簡単に調整することができる。
この光走査装置2によれば、長尺プラスチックレンズ15の湾曲状態を補正するだけでなく、その光走査装置2に設けられている図4に示した他のレンズの配置誤差によって生じる走査線の湾曲も、容易に調整することができる。
【0025】
次に走査線の傾きの調整について説明する。
走査線の傾き調整は、長尺プラスチックレンズ15をレンズホルダ19と一体で、略光軸まわりに回転あるいは副走査方向にシフトさせることにより行う。
すなわち、走査線の傾きを調整するときには、長尺プラスチックレンズ15を保持したレンズホルダ19の長手方向の両端部のバランス(高さ方向の位置的なバランス)を調整ネジ21a,21bを締め込んだり、緩めたりすることで行う。
例えば、長尺プラスチックレンズ15を図1で右上がりになるように走査線の傾きを調整する場合には、同図で左側の調整ネジ21aをレンズホルダ19から抜け出る方向に緩める。また、右側の調整ネジ21bをレンズホルダ19に対して締め込む。
【0026】
そうすれば、レンズホルダ19の両端の円弧面19e,19fは、それぞれ略光軸を中心とする同心円上に沿う形状に形成されているので、レンズホルダ19が長尺プラスチックレンズ15と共に図1で右上がりに高い精度で傾く。それにより、長尺プラスチックレンズ15の傾きに対応する走査線の傾きの微小な調整を高精度で行うことができる。
また、左右の調整ネジ21a,21bを同量ずつレンズホルダ19に締め込んだり、同量ずつ緩めたりすれば、レンズホルダ19が長尺プラスチックレンズ15と共に図1で左右の両端部が同量ずつ上方に持ち上がったり、下方に下がったりするので、走査線の副走査方向へのシフト(平行移動)を高精度で行うことができる。
【0027】
このようにして、走査線の傾きを調整したり、シフトさせたりした後の長尺プラスチックレンズ15及びレンズホルダ19は、それぞれ両端部の後面が図2,図3及び図6に示した板バネ23,23により押圧されることにより光軸方向の位置決めが確実に行われると共に、左右に設けられている圧縮バネ22,22の付勢力により副走査方向(図1で鉛直方向)の位置決めが、ガタが出ないように確実に行われる。
同様に、図4に示した長尺プラスチックレンズ10についても、図1乃至図3及び図6で説明した走査線湾曲調整手段及び走査線傾き調整手段と同様な調整機構をそれぞれ設けているので、簡単に長尺プラスチックレンズ10を通過した走査線の湾曲状態を調整したり、その走査線の傾きを調整したりすることができる。
【0028】
図7は4ステーションの光走査装置における調整前の各ステーション毎の走査線の曲がり(湾曲状態)を測定した結果を示す線図、図8はその走査線の曲がりを図1,図2等で説明した調整機構を4ステーションの光走査装置に適用して調整した後の測定結果を示す線図である。
図7に示すように、マゼンタ(M),イエロー(Y),シアン(C),ブラック(B)の各ステーション毎に測定した調整前の各走査線の曲がりは、最大で150μm程度であったが、主に図1及び図2を使用して説明した調整機構を使用してその走査線の曲がりを調整したところ、調整後は図8に示すように、その曲がりは長尺プラスチックレンズ15(あるいは長尺プラスチックレンズ10)の単体の湾曲補正及びその他の光学素子の誤差分を含めて40〜50μm程度にまで抑えることができた。
このように、この光走査装置2によれば、それぞれの色に対応する各ステーション毎の走査線の曲がり、すなわち湾曲量を小さくするように調整することができると共に、その各走査線の傾きも調整により揃えることができるので、色ムラや色ズレを防止して良好な画像を得ることができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、次に記載する効果を奏する。
請求項1及び請求項6の画像形成装置によれば、複数のレーザ光源からそれぞれ出射されたレーザビームによる走査線の湾曲量の調整を走査線湾曲調整手段により容易に補正することができる。また、走査線傾き調整手段により、保持部材が保持するレンズを走査線の曲がりを調整した後の状態のまま保持部材と一体で傾かせて走査線全体の傾きを補正することができる。したがって、各色に対応する複数の走査線の傾きのバラツキを小さくすることができるため、色ムラや色ズレを少なくすることができ、高い画像品質が得られる。
【0030】
請求項2の光走査装置によれば、保持部材が複数の基準面に当接させて保持したレンズの主走査方向に間隔を置いて上記基準面に対して主走査方向にそれぞれオフセットした位置を複数個の湾曲調整部材が上記基準面側に押圧するので、上記レンズ単体の湾曲形状の補正、及び全てのレンズの積み上げ誤差により生じた走査線の湾曲状態を、湾曲調整部材を操作することにより短い周期できめ細かく補正することができる。したがって、高い調整精度が得られる。
【0031】
請求項3の光走査装置によれば、走査線傾き調整手段はレンズの光軸近傍を中心にして保持部材を回転及び前記副走査方向にシフトさせる手段であるので、焦線の傾き合わせができる。また、その走査線傾き調整手段は走査線湾曲調整手段に対して独立して動作が可能であるので、走査線の傾きと走査線の湾曲状態を、それぞれについて最適な状態に調整することができる。
請求項4の光走査装置によれば、走査線の湾曲調整と走査線の傾き調整作業を同一方向から行うことができるので、その調整作業が容易であると共に、自動化の対応も容易である。
請求項5の光走査装置によれば、レンズを保持した保持部材の位置決め部を光学ハウジング又はその光学ハウジングと一体の部材の突き当て部に押圧手段により当接させて位置決めをするので、レンズの光学ハウジングに対する光軸方向の位置決めを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態例である光走査装置の長尺プラスチックレンズ付近を一部断面にして示す正面図である。
【図2】同じくその長尺プラスチックレンズを保持する構成を示す平面図である。
【図3】同じくその長尺プラスチックレンズを保持する構成を示す左側面図である。
【図4】同じくその光走査装置を構成する各部品を示す斜視図である。
【図5】同じくその光走査装置を備えた画像形成装置を示す全体構成図である。
【図6】図4に示した光走査装置の長尺プラスチックレンズを保持する部分の構成を示す背面図である。
【図7】4ステーションの光走査装置における調整前の各ステーション毎の走査線の曲がりを測定した結果を示す線図である。
【図8】同じくその走査線の曲がりを図1,図2等で説明した調整機構を4ステーションの光走査装置に適用して調整した後に測定した結果を示す線図である。
【符号の説明】
2:光走査装置
10,15:長尺プラスチックレンズ
11,12:LDユニット(レーザ光源)
16,18:感光体ドラム
19:レンズホルダ(保持部材)
19a:リブ部(基準面)
20a,20b,20c:イモネジ(湾曲調整部材)
21a,21b:調整ネジ
23:板バネ(押圧手段)
25:ボス(光学ハウジングと一体の部材)
25a:突き当て段部(突き当て部)
26:光学ハウジング
Claims (6)
- 複数のレーザ光源からそれぞれ出射されたビームによる走査線をそれぞれ対応する感光体に結像させる複数のレンズ群が各走査線に対応して光学ハウジング内にそれぞれ配置されている光走査装置において、
前記各走査線に対応する各レンズ群をそれぞれ構成する複数のレンズの中のいずれか1つをそれぞれ保持部材により保持し、
該保持部材にその保持部材が保持しているレンズを前記ビームの副走査方向に強制的にたわませることにより走査線の曲がりを調整する走査線湾曲調整手段を前記走査線の主走査方向に沿って間隔を置いて複数設けると共に、
前記レンズを走査線の曲がりを維持した状態のまま前記保持部材と一体で略光軸まわりに回転させて傾かせることにより走査線全体の傾きを補正する走査線傾き調整手段を設け、
前記保持部材によって保持されるレンズは長尺プラスチックレンズであって、両端部に突起部を形成しており、
前記光学ハウジングには、前記主走査方向に間隔を置いて両側に位置決め用の部材が設けられており、
前記保持部材は、前記長尺プラスチックレンズの長手方向に対応する長手方向の両端面が略光軸を中心とする同心円上に沿う形状に形成され、該両端面を前記位置決め用の部材の内面にそれぞれ当接させ、前記長手方向の両端部の内側の面にそれぞれザグリ部が形成され、
前記長尺プラスチックレンズは、前記両端部に形成した突起部を前記保持部材に形成されたザグリ部に突き当てる
ことを特徴とする光走査装置。 - 前記走査線湾曲調整手段は、前記保持部材の前記主走査方向に沿って間隔を置いて形成した複数の基準面にレンズを当接させ、そのレンズの前記保持部材の基準面に対して前記主走査方向にそれぞれオフセットした位置を前記基準面側に押圧する複数個の湾曲調整部材からなる手段であることを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
- 前記走査線傾き調整手段は、前記レンズの光軸近傍を中心にして前記保持部材を回転及び前記副走査方向にシフトさせる手段であり、前記走査線湾曲調整手段と独立して動作可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光走査装置。
- 前記走査線湾曲調整手段と走査線傾き調整手段のそれぞれ調整部は、共に同一方向から調整操作可能な位置に配設されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光走査装置。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光走査装置において、前記光学ハウジング又はその光学ハウジングと一体の部材に突き当て部を設けると共に、前記保持部材に前記突き当て部に当接させて位置決めをする位置決め部を設け、該位置決め部を前記突き当て部に押し当てるように前記保持部材を押圧付勢する押圧手段を設けたことを特徴とする光走査装置。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光走査装置を備えた画像形成装置。
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