JP3910141B2 - 断熱体の構築工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発泡樹脂を用いた軽量の断熱体の構築工法であって、発泡樹脂の欠点である耐熱性・耐久性を改善した実用的な断熱・軽量の断熱体の構築工法に関する。本発明は主に建築物・土木建造物の断熱内外装及び断熱室の構築に使用され、軽量断熱ブロック製品としても販売される。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築物の断熱内外装を構築する工法としては、発泡スチロール等の発泡樹脂を外装面材と内装面材との内部空間に注入・充填して、断熱層・保温層面材間に形成する方法、又発泡樹脂製の断熱ボードや繊維材を建築物の床・天井・壁の内部空間に挿入し、これら建材に接着して断熱層として使用する方法、若しくは、室壁面に断熱材を一定厚み吹き付けて断熱層を形成する方法が知られている。
1番目の発泡樹脂材の注入・充填方法は、充填する空間を前後・上下・左右の面材で囲んで略密閉するような壁構造にせねばならず、その構造にするのに手間とコストが嵩むだけではなく空隙を生ずるものとなっていた。2番目の発泡樹脂ボードを挿入して接着して使用するものは、接着ムラによって接着不良で分離したり、脱落して間隙を発生し断熱材としての機能を低下させていた。又発泡樹脂ボードを貼り付けても内外の間を完全に空気遮断できるように隙間なく取付けることは施工上難しいことが多いものであった。更に、断熱材の吹付け方法も吹付けられる面材で室壁面が正確に遮断されてなくてはならず、吹付け密度が均質にならず、且つ下地の面材に隙間があると空気・湿気・水分・虫・小動物の移動が発生し、断熱効果、遮断効果を損ない、又室内の温度・湿度調整を困難にさせ、非衛生的となるという問題点があった。又侵入した水分が凍結すると断熱層を破損させていた。
内気調整施設の断熱工事は構築物の床・柱・壁・天井等の内・外面に、所定の厚さに断熱材を貼付けたり取付けたりしたが、間隙を生じたり、断熱層全体が均質にならず、設計上の計算とは乖離した熱効率になりがちで、各種使用機器の容量にゆとりを持たせた結果、施設使用の長期にわたってエネルギーの浪費を容認する事になっている。
更に、断熱材としての発泡樹脂は日光で劣化し易く、油で溶けたり、劣化が激しく進行すると使用できなくなり、耐久性が低い。発泡樹脂を表面材として使用する場合は、美観が悪く、又物品と抵触すると表面が損傷を受け易いという問題点があった。
加えて、断熱体を所定の寸法・形状に構築することがいずれの方法でも容易でなかった。
更に、使用された発泡樹脂が火炎に接触すると燃焼し易く、全体に進行して全焼となりがちであった。又有毒ガスを発生し、人身事故を起こし易いものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、発泡樹脂の劣化を少なくして耐久性があり、難燃性がありしかも断熱性・遮音性に優れていて、施工も自由な寸法・形状にできる断熱壁・断熱床・断熱天井・断熱室等の断熱体を容易に且つ安価に構築できる工法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) ポリマー樹脂を水で乳濁液化したエマルジョンをセメントペースト又はセメントモルタルに混入して混練させたポリマーセメント又は再乳化粉末樹脂をセメントペースト又はモルタルに混入させたセメント乳化樹脂材のいずれかの被覆セメント材でもって、発泡樹脂製のブロックを互いに接着して組積するとともに、外表面に露出するブロック表面にも前記被覆セメント材を全面被覆し、各ブロックそれぞれを被覆セメント材で全周被覆する状態にして軽量で断熱性のある断熱体を構築することを特徴とする断熱体の構築工法
2) 被覆セメント材がポリマーセメントであって、しかもポリマーセメントのポリマー樹脂が、スチレンブタジエンゴム系、アクリル系、エチレン酢酸ビニル系のいずれかである前記1)記載の断熱体の構築工法
3) 被覆セメント材がポリマーセメントであって、しかも100重量部のセメントに5〜50重量部のポリマー樹脂を混入した前記1)又は2)いずれかに記載の断熱体の構築工法
4) 被覆セメント材がポリマーセメントであって、しかもポリマーセメント中に砂を混入させた前記1)〜3)いずれかに記載の断熱体の構築工法
5) 被覆セメント材がセメント乳化樹脂材であって、しかも再乳化粉末樹脂が、アクリル系又は酢酸ビニルバーサテートである前記1)記載の断熱体の構築工法
6) 被覆セメント材がセメント乳化樹脂材であって、しかもセメント乳化樹脂材が100重量部のセメントに30〜100重量部の水を混合したセメントペーストと5〜50重量部の再乳化粉末樹脂とからなる前記1),5)いずれかに記載の断熱体の構築工法
7) 被覆セメント材がセメント乳化樹脂材であって、しかもセメント乳化樹脂材中に砂を混入させた前記1),5),6)いずれかに記載の断熱体の構築工法
8) 発泡樹脂が、発泡ポリスチレン樹脂である前記1)〜7)いずれかに記載の断熱体の構築工法
にある。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で構築される断熱体は、大きな荷重が作用しなければ建築物の一部の室ばかりでなく建築物の全室の内・外装材として使用できる。屋外又は屋内の小さな室,冷凍冷蔵庫,納戸室,小屋,倉庫を対象とすることもできる。室の全内・外周面ばかりでなく一部周面の壁面として、あるいは壁の断面における積層構造の一部としても使用できる。
更に断熱体は被覆セメント材を被覆した複数の発泡樹脂ブロックを積層して立体ブロック,平板状ブロックの単品製品とすることもできる。
【0006】
本発明の一部のブロックはポリマーセメント又はセメント乳化樹脂材で全周被覆せず、本発明の主旨を阻害しない範囲でブロックの周面の一部の被覆を省くことも可能であり、これも本発明に包含されるものである。本発明で使用する発泡樹脂は、硬質・やや硬質の発泡樹脂製のブロックである。
【0007】
本発明の断熱体で構造物を構築する場合において、扉,窓等の通路口,出入口は本発明のブロックのポリマーセメント被覆部材で構成する必要はなく、適宜適切な素材・構造のものを採用することができる。
【0008】
本発明では、ポリマーセメントで発泡樹脂製のブロックの表面の全部を覆うことによって、ポリマー樹脂を水に乳濁液化したエマルジョンの特性である接着性によってセメントペースト分又はセメントモルタル分を発泡樹脂製のブロックの表面に良好に接着させた状態で硬化し、その固化層で発泡樹脂の体積・寸法縮小を抑え、又日光を遮断して耐候性を高める。表面の被覆セメントの固化層は接触しても相手を汚染することがなく、しかも柔軟性があって変形・変位に耐える。
【0009】
エマルジョンのポリマー樹脂としては、スチレンブタジエンゴム系(SBR系)、アクリル系、エチレン酢酸ビニル系、エチレン酢酸ビニルEVA系のどれか又はその混合がある。再乳化粉末樹脂がアクリル系又は酢酸ビニルバーサテートであるものは、コストを抑制し、セメントペースト分又はセメントモルタル分の接着性を十分に確保する。
【0010】
本発明のエマルジョンのポリマー樹脂は、セメント100重量部に対して5〜50重量部を配合することが好ましく、5重量部より少なくなると固化後のポリマーセメントが発泡樹脂製の物品との表面から剥がれ易くなり、又初期接着力が弱くなる。ポリマー樹脂の割合が50重量部を超えると材料費のコストが嵩み、粘性が大きくなって作業性が悪く、又強度発現が遅れ、耐火性が劣るようになる。
本発明の水は、セメントペースト又はセメントモルタル中の水と、エマルジョンの中の水とがあり、合計するとセメント100重量部に対して30〜100重量部を混入するのが好ましい。
又砂はセメント100重量部に対して200重量部を超えると流動性がなくなって作業性が悪くなる。
発泡樹脂が発泡ポリスチレン樹脂であるものは、コストを抑制した硬質の発泡樹脂となる。他の発泡樹脂としては、発泡ウレタン樹脂発泡フェノール樹脂がある。
【0011】
エマルジョンには、SBR(スチレンブタジエンゴム)系、アクリル系、EVA(エチレン酢酸ビニル)系やこれらを混ぜ合わせることがある。混和剤としては、増粘剤や流動化剤が用いられる。
【0012】
本発明の外表面に露出するブロックの表面に塗布したポリマーセメント又はセメント乳化樹脂材の被覆表面に更にタイル・木板・コンクリート板・陶磁器板・プラスチック・金属の板材を付着させ、ブロックの損傷を少なく保護すると共に美観を呈するようにすることもできる。
ブロック状の断熱材は取扱い易く、ポリマーセメントによって構築物に密着させながらブロック自体もそれぞれ密着して組積する本発明の工法は間隙を生じない。
断熱層を一体として形成した後に、全面をポリマーセメント・モルタルで厚さ20m/m以上に塗仕上げをすると、燃焼性であった従来の断熱層とは全く異なって防火体になる。電気ショ−トなどで引火して延焼しがちであった従来の断熱層と全く異なって、本工法のブロック材に万一引火してもブロック毎の接着面の目地で延焼を止めるものである。
本発明は、以上の説明のように鉄や木材等の資材を全く使用せず耐久材を使用しているので半永久的断熱工法であり、被覆セメント仕上面の全面にステンレス板やアルミ板などの反射板を接着すれば保温効果を更に向上し、従来の倉庫では車輌などにより破損して休業しなければ補修できなかった床面にもポリマーセメント又は特殊接着剤で耐摩耗性の板材を接着して耐久床にすることができる。
この断熱工法は、構築物の外部の基礎コンクリ−トにポリマーセメント・モルタルでブロック材を構築物の外壁等に接着組積して施工する場合、ブロック材の外面にあらかじめ外装タイルを貼ったブロック材を使用することができるが、内装タイル等をあらかじめ貼ったブロック材を構築物の内面に貼りながら組積する等、床や天井の貼付施工の際にも同様のブロック材を使用して表装を一斉に完成させる利点もある。
この方法で既存の建物や住居内の一室の内・外壁・床・天井に容易に断熱ブロック材を使用して冷凍・冷蔵・低温・恒温室やクリ−ンル−ムに改造することができる。
このように従来の断熱工法に比較して工期も早く、効率的で高機能の精度の内気調節施設を造ることができる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の断熱ブロックを使用して独立家屋を構築する場合の実施例を図面に基づいて説明する。
本実施例は、高さ×間口×奥行が3m×4m×4mの小型の冷凍冷蔵庫の室の扉を除いた全周壁(4側面,床面,天井面)を押出法ポリスチレンフォームを用いて成形される発泡樹脂ブロックにポリマーセメントを全面被覆した被覆硬質ブロックで組積して各壁面を形成した例である。被覆ブロックの被覆材と同じポリマーセメントを目地材(接着剤)として各被覆ブロックを接着する。床壁の被覆ブロックの上にコンクリートを流し込んでコンクリート床面とした。発泡樹脂製ブロックを予め工場でポリマーセメント槽に浸漬し、引き上げて乾燥させて、全周にポリマーセメントを被覆させた被覆ブロックを使用する本実施例で使用するポリマーセメントは、100重量部のセメントに水を混合したセメントペーストに5〜50重量部の割合で、アーマ#200(商標名:三菱マテリアル株式会社販売:スチレンブタジエン系ゴムラテックスのポリマー樹脂を主成分とするエマルジョン)を混入して混練したポリマーセメントを使用した例である。
【0014】
図1は、実施例で構築する冷凍冷蔵庫を示す正面図である。
図2は、実施例で構築する冷凍冷蔵庫の縦断面図である。
図3は、実施例で構築する冷凍冷蔵庫の横断面図である。
図4は、天井の梁組みを示す平面図である。
図5は、実施例で使用する発泡樹脂製のブロックの寸法形状を示す説明図である。
図6,7,8は、実施例による冷凍冷蔵庫の構築工程を示す説明図である。
図9は、実施例のブロックのポリマーセメントによる接着状態を示す説明図である。
図10,11は、他の実施例の組積の例を示す説明図である。
【0015】
図中、1は415×205×100の直方体の発泡ポリスチレン樹脂製のブロック、2は100重量部のセメントに水を混合したセメントペーストに5〜50重量部の割合で、アーマ#200(前記商標名)のエマルジョンを混入して混練したポリマーセメント、3aは被覆ブロックBで形成された側壁、3bは同天井壁、3cは同床壁、4は支保工、4aは支保工の柱、4bは支保工の梁、5は床壁3c上にコンクリートを流し込んで形成されたコンクリート床面、7は扉、8は粟石、9は鉄筋入りのコンクリートのベタ基礎、10は地盤、11は側溝、12は入口ドーム、Bはブロック1の表面にポリマーセメント2をドブ浸けして全面被覆させたひ被覆ブロックである。
【0016】
この実施例では、地盤10を所定深さまで根切りする(図6(a)参照)。その根切りした地面に粟石8を敷き、コンクリートのベタ基礎9を設ける(図6(b)参照)。次にそのベタ基礎9の上に被覆ブロックBを千鳥状に配置する。そのとき、ポリマーセメント2を目地材として被覆ブロックBの下面,4つの側面に塗布しながら並べてベタ基礎9に接着する。その後2層目の被覆ブロックBを接着位置が重ならないように千鳥に配置する。そのとき下層の被覆ブロックBの上面と2層目の被覆ブロックBの下面・4つの側面とにポリマーセメント2を塗布して配置しながら下層(1層目)の被覆ブロックBと隣の2層目の被覆ブロックBとを接着していく。このように接着しながら組積して、4層繰り返して床壁を構築する(図6(c)参照)。
被覆ブロックBで床壁を構築させた後その4層目の被覆ブロックBの表面にコンクリートを流し込んでコンクリート床面5を形成する(図7(a)参照)。これによって床を物品の載置・人間の歩行によって被覆ブロックBを損傷させたり、穴があくのを防止している。
【0017】
その後、コンクリート床面5上の外周位置に図9に示すように被覆ブロックBを1列多層に且つ横向きと縦向きとを交互にするように水平に配置し、しかも被覆ブロックB間をポリマーセメント2でもって接着していく。(図7(b)参照)。又、内側には仮設材を使用した柱4a,梁4bの支保工4を設置し(図8(a)参照)、被覆ブロックBで組積された側壁3aと併せて、図4に示す天井の梁組上に被覆ブロックBを4層に千鳥状に接着し、天井壁3bを組積する。天井壁3bの各被覆ブロックはポリマーセメント2で全面被覆されている(図8(b)参照)。これに扉7,屋根6,入口ドーム12を取付け、図1に示す冷凍冷蔵庫を構築する。支保工4は接着が完了すれば除去される。又、組積された被覆ブロックの外表面に2cm以上の厚みで更にポリマーセメント2を塗布した。
このように構築された冷凍冷蔵庫は床壁3c,天井壁3b,4辺の側壁3aは発泡樹脂製の被覆ブロックBで囲まれることとなり、室の保温性・断熱性はきわめて良好であり、難燃性となっている。
しかも、ブロック1を全面被覆した上に接着材(目地材)にポリマーセメント2を使用して接着することで、各ブロックを全面的に厚く被覆することで、発泡樹脂製のブロック1の日光・油・排気ガス等を遮断してこれらによって劣化・溶解することを防いでいる。又ポリマーセメント2の外皮(被覆)でブロック1の体積収縮を少なくし、又剥がれ・亀裂の発生を少なくして耐久性・実用性があるものとした。更に火炎に対してポリマーセメント2の被覆が保護して燃焼・温度上昇することを少なくし、又燃焼しても各ブロックはポリマーセメント2の被覆で区画されているので他のブロックに燃焼が進行することが大巾に抑えられ、又ガスの発生があっても、ガスの拡散はポリマーセメント2の区画壁(被覆)によって抑えられるものとなっている。又各被覆ブロックの強度(曲げ・圧縮)も高くなってかなり荷重に耐えるようになっている。
しかも、被覆ブロックのB積み上げ・配置とポリマーセメント2の塗布で、自由な形状・寸法の室を容易に構築できるものとなる。しかも断熱壁の厚みは正確にでき、しかも気密性よくでき、断熱性・遮断性はきわめて良好で、しかも熱計算が容易である。
【0018】
次に本実施例のポリマーセメントの特性について、更に説明する。
:ポリマーセメントの特性の試験
本実施例で使用したポリマーセメント2と発泡樹脂製のブロック1との接着力・剥がれの試験,ポリマーセメント自体の凝結試験・強度試験・曲げ強度試験・圧縮試験及びポリマーセメント被覆ブロックにタイルをモルタルで貼りつけた場合のタイル貼りのポリマーセメント被覆ブロックの温冷繰り返しによる収縮・ひび割れ・剥がれ試験を行った。以下、ポリマーセメントの性能について説明する。
【0019】
:ポリマーセメントの接着力・剥がれ試験
本実施例のポリマーセメント2は、100重量部のセメントと水を混合したセメントペーストに、5〜50重量部のアーマ#200(商標名)のエマルジョンを混入して水が30〜100重量部混入したポリマーセメントである。
このポリマーセメント中に、1〜2分間発泡ポリスチレン樹脂製のブロック板を浸漬する。この浸漬によってブロック板の表面の全面にポリマーセメントを付着させる。
その後、表面の全面にポリマーセメントを付着させたブロック板を引き上げ、養生させて表面のポリマーセメントを硬化させる。
本試験の為、セメント,水,エマルジョンのスチレンブタジエン系ゴムラテックスのポリマー樹脂の配合比率を異なるものとした配合A〜配合Fのポリマーセメントに、幅300mm×奥行き300mm×厚さ20mmの発泡ポリスチレン樹脂製ブロック板を浸漬させ、養生、硬化させ、表面に硬化したポリマーセメント被覆のセメント被覆発泡樹脂ブロック板を製作した。同ブロック板の表面に付着させたポリマーセメントの層の初期の接着性と屋外に3ケ月放置後の剥がれの有無を試験した。配合A〜配合Fの配合内容とこの試験結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
Figure 0003910141
【0021】
比較のために試験を行ったエマルジョンを混入させないセメントペーストのみで発泡ポリスチレン樹脂製ブロック板の表面を覆ったものは、初期の接着性が悪く、表面のセメント層部分も3ケ月後には10%が剥がれていた。
これに対し、浸漬によりブロック板の表面をポリマーセメントで覆ったものは、初期の接着性が良好で、ブロック板の表面の凹凸,発泡の微細穴に粒子が微細で流動性がよいポリマーセメントがよく流入して付着力を高めている。試験結果は表1に示すように表面のポリマーセメントの層も3ケ月後に剥がれ無しであった。
但し、エマルジョンのスチレンブタジエン系ゴムラテックスのポリマー樹脂を多くした配合Fでは、初期接着性は良好なものの粘性が大きくなっていた。
【0022】
:ポリマーセメント自体の凝結試験・強度試験
次に、表1の配合Eのポリマーセメントについて、凝結試験を行った。
凝結試験の方法はJIS R 5201に準じた。
凝結試験は、表1の配合Eの割合となるように、セメントペースト(水/セメント比の中央値となる水30重量部のもの)にエマルジョンを混合してポリマーセメントとした直後に、所定の容器にポリマーセメントを所定量入れて、すぐに、所定の荷重がかかった測定針をポリマーセメントにわずかに接触させた状態から自由状態にして測定針をポリマーセメント中に貫入させ、その貫入距離と時間を測定して始発時間の測定とし、ポリマーセメントが徐々に硬化することにより、測定針のポリマーセメントへの貫入量が0.5mmになった時間を測定して終結時間の測定とする。
このようにして測定した凝結試験の結果を表2に示す。表2中、「始発」は固まり始めの時間を示し、「終結」はほぼ固まった時間を示すものである。
【0023】
【表2】
Figure 0003910141
【0024】
凝結試験の結果からポリマーセメント自体の凝結性について使用上問題となる点がないことを確認できた。
【0025】
次に、配合Eのポリマーセメント自体の凝結体の強度を調べるために曲げ試験と圧縮試験を行った。
:曲げ試験
試験方法は、JIS A 1171,JIS R 5201に準じて行った。
曲げ試験の供試体は、上記ポリマーセメントを型枠に流し込んで、40mm×40mm×160mmの直方体の形状に成形されたものである。
曲げ試験は、水中から取り出した供試体を2支点で支え、かつその支点間の距離が100mmとなるようにし、2支点間の中央となる供試体の上面位置に毎秒50±10Nの割合で載荷して許容される最大荷重を測定し、最大荷重から計算で曲げ強さを求めるものである。
:圧縮試験
圧縮試験の供試体は、曲げ試験で使用した供試体の切片40mm×40mm×80mmの供試体片を使用した。
又、圧縮試験は、JIS A 1171,JIS R 5201に準じて最大荷重を測定して最大荷重から圧縮強度を求めた。
このようにして測定した曲げ試験と圧縮試験の試験結果を表3に示す。
【0026】
【表3】
Figure 0003910141
【0027】
曲げ試験及び圧縮試験の結果から、ポリマーセメント自体の強さについて、十分な強度を有することが確認できた。
【0028】
:タイル貼りの実施例の温冷繰り返しによる長さ収縮・ひび割れ・剥がれ試験
次に、ポリマーセメント被覆発泡樹脂ブロックを建築用の床材として応用するため、タイルをモルタルで上面に貼った状態として温冷繰り返しによる長さの収縮・ひび割れやタイル剥がれ性の耐候性試験として温冷繰り返し試験を行った。
温冷繰り返し試験は、20℃の水中に18時間浸漬後、−20℃の恒温室に3時間保存した後50℃の恒温室に3時間保存し、これを1サイクルにして10サイクル繰り返すものである。
その試験後に、タイルの剥がれ・ひび割れの確認及び長さの変化を計測した。その結果は表4の如くなった。
【0029】
【表4】
Figure 0003910141
【0030】
この表4から分かるように、実施例の長さの変化は+0.03であり収縮はなく、又下面は変化はなかった。このように実施例では温冷繰り返しがあっても寸法が収縮することがなく、床材として使用したときに隙間・ガタが生じることがなく、実用的となる。又タイルの剥がれ・ひび割れもなく実用的なものになっていることが分かった。
【0031】
上記実施例では、ポリマーセメントを工場でブロック1全周に浸漬して被覆させたものを使用しているが、現場でブロック1に目地材としてポリマーセメントを塗布し、外表面に露出したブロック1表面をポリマーセメント2で厚く塗布する方法も可能である。
【0032】
:他の実施例
本発明の他の実施例として、セメントペースト又はセメントモルタルに再乳化粉末樹脂を混入させてセメント乳化樹脂材とし、このセメント乳化樹脂材で発泡樹脂製の物品を覆った例とする。配合は、表1に示すエマルジョンのポリマー分が再乳化粉末樹脂に置き換わり同じ割合となるので配合は表1に示すものと同じになる。ただし、エマルジョン中の水に相当する分はない。この場合の結果はポリマーセメントを使用した場合と大略同じような結果であった。
【0033】
図10に示す実施例2は、断面ブロック・コンクリート体・土器・石・木板等の下地20に沿って実施例1と同じ被覆ブロックBを積層させながら、実施例1と同じ被覆セメント材のポリマーセメント2でもって被覆ブロックB間及び下地20との間を接着し、その後積層させたブロック壁21前面にポリマーセメント2を厚く塗布してポリマーセメント層22を形成した例である。
【0034】
図11に示す実施例は、前後の被覆ブロックBで組積された壁体30,31の間に、メタルラス・クリンプラス又は鉄筋の中間補強体32を設け、組積するときに接着前のポリマーセメント2でもって被覆ブロックB間同士及びブロックと中間補強体32とを接着するとともに、メタルラス・クリンプラス又は鉄筋の中間補強体32の空隙・空間にもポリマーセメント2を充填し、前後の被覆ブロックBの組積した壁体30,31の中間のメタルラス・クリンプラス又は鉄筋の中間補強体32とをポリマーセメント2でもって一体化し、強度を増強させた例である。
【0035】
図12に示す他の実施例は、大版の発泡樹脂ボード40を前記実施例と同じポリマーセメント2でもって垂直に接着し、その垂直の表面には中間補強体41としてメタルラス又はクリンプラスや鉄筋を張り、前面に前記実施例と同じ被覆ブロックBをポリマーセメント2でもってブロック間及びブロックと中間補強体41との間を充填しながら塗布して接着させて多段に積層させる例である。
【0036】
【発明の効果】
以上の様に、本発明によれば、発泡樹脂を用いた軽量断熱体は耐光性・耐久性があって、強度も大きくとれ、自由な形状・寸法の壁・室が容易に且つコスト安に製作できる。又難燃性で延焼することがなく、有毒ガスの発生が少なく、火災に対し安全性が高いものにできる。又断熱の設計・計算が容易であり、又躯体壁としての強度もかなり保有するものにできる。更に被覆ブロック体は被覆セメント材等の接着剤を介して接着されていくので気密性、防水性が高く、損傷しにくく、しかも均質なものにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で構築する冷凍冷蔵庫を示す正面図である。
【図2】実施例で構築する冷凍冷蔵庫の縦断面図である。
【図3】実施例で構築する冷凍冷蔵庫の横断面図である。
【図4】天井の梁組みを示す平面図である。
【図5】実施例で使用する発泡樹脂製のブロックの寸法形状を示す説明図である。
【図6】実施例による冷凍冷蔵庫の構築工程を示す説明図である。
【図7】実施例による冷凍冷蔵庫の構築工程を示す説明図である。
【図8】実施例による冷凍冷蔵庫の構築工程を示す説明図である。
【図9】実施例のブロックのポリマーセメントによる接着状態を示す説明図である。
【図10】他の実施例の組積の例を示す説明図である。
【図11】他の実施例の組積の例を示す説明図である。
【図12】他の実施例の組積の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ブロック
2 ポリマーセメント
3a 側壁
3b 天井壁
3c 床壁
4a 柱
4b 梁
5 コンクリート床面
7 扉
8 粟石
9 ベタ基礎
10 地盤
11 側溝
12 入口ドーム
20 下地
21 ブロック壁
22ポリマーセメント層
30,31 壁体
32 中間補強体
40 発泡樹脂ボード
41 中間補強体

Claims (8)

  1. ポリマー樹脂を水で乳濁液化したエマルジョンをセメントペースト又はセメントモルタルに混入して混練させたポリマーセメント又は再乳化粉末樹脂をセメントペースト又はモルタルに混入させたセメント乳化樹脂材のいずれかの被覆セメント材でもって、発泡樹脂製のブロックを互いに接着して組積するとともに、外表面に露出するブロック表面にも前記被覆セメント材を全面被覆し、各ブロックそれぞれを被覆セメント材で全周被覆する状態にして軽量で断熱性のある断熱体を構築することを特徴とする断熱体の構築工法。
  2. 被覆セメント材がポリマーセメントであって、しかもポリマーセメントのポリマー樹脂が、スチレンブタジエンゴム系、アクリル系、エチレン酢酸ビニル系のいずれかである請求項1記載の断熱体の構築工法。
  3. 被覆セメント材がポリマーセメントであって、しかも100重量部のセメントに5〜50重量部のポリマー樹脂を混入した請求項1又は2いずれかに記載の断熱体の構築工法。
  4. 被覆セメント材がポリマーセメントであって、しかもポリマーセメント中に砂を混入させた請求項1〜3いずれかに記載の断熱体の構築工法。
  5. 被覆セメント材がセメント乳化樹脂材であって、しかも再乳化粉末樹脂が、アクリル系又は酢酸ビニルバーサテートである請求項1記載の断熱体の構築工法。
  6. 被覆セメント材がセメント乳化樹脂材であって、しかもセメント乳化樹脂材が100重量部のセメントに30〜100重量部の水を混合したセメントペーストと5〜50重量部の再乳化粉末樹脂とからなる請求項1,5いずれかに記載の断熱体の構築工法。
  7. 被覆セメント材がセメント乳化樹脂材であって、しかもセメント乳化樹脂材中に砂を混入させた請求項1,5,6いずれかに記載の断熱体の構築工法。
  8. 発泡樹脂が、発泡ポリスチレン樹脂である請求項1〜7いずれかに記載の断熱体の構築工法。
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