JP3909315B2

JP3909315B2 - トナー供給ローラ

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Publication number: JP3909315B2
Application number: JP2003186939A
Authority: JP
Inventors: 美江高橋; 忠広岡部; 陽子加藤
Original assignee: Canon Chemicals Inc
Current assignee: Canon Chemicals Inc
Priority date: 2003-06-30
Filing date: 2003-06-30
Publication date: 2007-04-25
Anticipated expiration: 2023-06-30
Also published as: JP2005024624A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナー供給ローラに関する。特に複写装置、画像記録装置、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置において、電子写真感光体や静電記録誘電体等からなる潜像担持体上に形成された静電潜像上にトナー（現像剤）を供給して現像し、トナー像を形成して可視化する機能を有する現像装置に内蔵され、トナー（現像剤）を供給するために用いられるトナー供給ローラに関する。
【０００２】
【従来の技術】
トナー供給ローラは、他の部材に当接させて使用されることが多い。例えば、現像装置においてはトナー担持体に当接させて使用される。この場合、トナー供給ローラは、トナー担持体にトナーを供給する機能と、トナー担持体から現像残りのトナーを剥ぎ取る機能との２つの機能を担うことを要求される。
【０００３】
従来より、トナー供給ローラとして、芯金と芯金の周囲に設けられた弾性体層とを有するトナー供給ローラが数多く提案されている。弾性体層を形成する弾性体としては、ソリッド弾性体、ブラシ材、発泡弾性体等が用いられている。
ブラシ材を用いたトナー供給ローラにおいては、ブラシ繊維の抜けや切断などに起因する画像不良が発生する等の問題があった。そこでソリッド弾性体や発泡弾性体などを用いて形成された弾性体層を有するトナー供給ローラが好ましく利用されている。特に発泡弾性体を用いて形成された弾性体層を有するトナー供給ローラは、弾性体層の表面に存在する発泡穴によりトナー搬送性が向上し、表面にこのような穴を有しないソリッド弾性体から形成された弾性体層を有するトナー供給ローラよりも大幅に高いトナー搬送性を有する（例えば特許文献１参照）。
【０００４】
【特許文献１】
特開平２−１９１９７４号公報（第１−６頁）
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、発泡弾性体を用いて形成された弾性体層を有するトナー供給ローラの性能を検討するべく、数種類の発泡弾性材の各々を用いてトナー供給ローラを作製し、これを市販のレーザービームプリンターに組み込んで現像に供し、得られた画像について評価を行った。この検討により、画像形成回数が多くなると、非画像部にトナーが付着してしまう、いわゆるカブリが発生し、このカブリは、トナー供給ローラとトナー担持体の摺擦等によって引き起こされるトナーの劣化が主要因であることが見出された。トナーの劣化がさらに進むと、カブリの他に、トナーが摩擦帯電電荷を十分に持てなくなり、画像の濃度が低下し、さらにはトナー飛散などの不具合を招く。
【０００６】
従来、このトナー劣化を抑制するために、トナー供給ローラのトナー担持体への侵入量を小さくする、トナー供給ローラの弾性体層の硬度を下げる等により、トナー供給ローラをトナー担持体に当接させたときのトナー供給ローラにかかる負荷を軽減させる方法が提案されている。しかしながらトナー供給ローラは、上述したように、トナーをトナー担持体に供給する機能と現像残りのトナーをトナー担持体から剥ぎ取る機能との２つの機能を担うことを要求されており、トナー担持体への侵入量を小さくしたりトナー供給ローラの弾性体層の硬度を低下させると剥ぎ取る機能が不十分となるといった問題があった。
【０００７】
トナー供給ローラは、また、トナー担持体との当接により発生する強い応力に曝されている。従来のトナー供給ローラは、画像形成回数が多くなるに従いこの応力の作用で弾性体層の弾性を失い、弾性体層の内部や表面に付着したトナーを弾性体層の弾性復元力による復元作用ではね出すのが困難となり、弾性体層の内部または表面にトナーが付着したままの状態となることがあった。このため、トナー供給ローラの弾性体層の硬度が高くなり、トナーの劣化を促進してしまうといった問題があった。
【０００８】
このような従来技術の現状に鑑み、本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討を行い、トナー担持体との当接による強いストレスの下においても弾性の変化しにくい弾性体層を採用することにより、カブリがなく濃度が十分で画質が均一な画像を長期にわたり安定して提供することのできるトナー供給ローラを得ることができることを見出した。
【０００９】
また、これまでトナー担持体との当接時に発生する応力によるトナー供給ローラの弾性体層の弾性変化を測定する手段が無かった。現像装置にトナー供給ローラやトナー担持体を内蔵させ、画像評価しながらトナー供給ローラの弾性変化を測定しようとすると、トナー供給ローラの弾性体層内部に侵入したトナーによる硬度変化やトナーの飛散などにより、トナー供給ローラの弾性体層そのものの弾性変化を測定することは困難であった。本発明者らは、トナー供給ローラの弾性体層の弾性変化を直接測定する方法に替わる、他の特性による評価方法について検討を行い、本発明におけるローラの荷重測定方法によって代替できることを見出した。また、この方法により測定された荷重保持率が特定の値となるトナー供給ローラがトナー供給性に優れ、ベタ追従性が良好であることを見出し、本発明に係るトナー供給ローラに関する発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、上記従来技術の問題点を解決した、カブリがなく濃度が十分で画質が均一な画像を長期にわたり安定して提供することのできるトナー供給ローラを提供することを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、芯金と該芯金の周囲に設けられた弾性体層を有するトナー供給ローラにおいて、該トナー供給ローラの荷重保持率が８８％以上、９８％以下であることを特徴とするトナー供給ローラである。
【００１１】
さらに、上記本発明のトナー供給ローラは、前記弾性体層が、ポリウレタンフォームによって形成された弾性体層であるのが好ましい。
【００１２】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。まず初めに、本発明におけるローラの荷重測定方法について図を参照しながら説明する。
【００１３】
図１は、本発明におけるローラの荷重測定方法の概要を説明するための図である。ローラ１は、芯金２と該芯金２の周囲に設けられた弾性体層３を有する。ローラ１は、荷重測定装置６のローラ回転機構（不図示）に取り付けられ、ローラ１の軸を中心に回転される。ローラ１の回転数は、測定対象物であるローラ１の使用目的に応じて要求される特性に対応した適切な回転数を選択すればよく、任意に変えることができる。本発明に係る荷重測定方法においては、ローラの回転数は、好ましくは６０ｒｐｍ以下である。
【００１４】
前記ローラ回転機構（不図示）は、ローラ１を、その中心軸（軸と表すことがある）の回りを所定の一定回転速度で回転させることのできるものであれば、特に限定されず、公知のローラ回転機構から、本発明に適したものを選択して用いればよい。例えば、一般的には、モーター回転が適用できる。
【００１５】
回転可能な円筒部材４は、アルミニウム合金材料、一般鉄鋼材料、ステンレス鉄鋼材料等の金属から作製された円筒形の部材である。円筒部材４にはベアリングなどが内蔵されており、円筒部材４をローラ１に圧着してローラ１を回転させたときに、円筒部材４は、すべることなくその軸を中心にして容易にツレ回りすることができるように構成されている。円筒部材４の外径は通常カートリッジに組み込まれる時に圧着する部材と同じ径を選択するが、特に限定されない。組み込み予定の画像形成装置における仕様により決められことが多く、本発明における荷重保持率の測定においては外径１６ｍｍ長さ５０ｍｍとした。
一般的には、円筒部材４の外径は、１０ｍｍ〜２０ｍｍであり、好ましくは１４ｍｍ〜１８ｍｍである。また、その軸方向の長さは、通常１０〜２５０ｍｍであり、好ましくは２０〜１００ｍｍである。
【００１６】
前記円筒部材４は、その軸の両端部に連結された冶具８を介して荷重検知器であるロードセル５に連結されている。冶具８は、通常一般鉄鋼材料、ステンレス鉄鋼材料等の金属を用いて作製される。その一端部は、円筒部材４の円滑なツレ回りを確保することができるような構成で円筒部材４の軸両端部と連結される。他端部は、ロードセル５と連結される。冶具８は、円筒部材に作用する荷重を過不足なくロードセル５に伝達することができる構造を有していればその構成は特に限定されない。冶具８によって伝達された円筒部材４に作用する荷重は、ロードセル５により検知され、電気信号に変換されて、ケーブル７により記録装置（不図示）に伝達され、記録され、測定される。
【００１７】
前記記録装置（不図示）は、所定の測定時間にわたって、荷重を記録することのできるものであれば、特に限定されず、公知の記録装置のなかから、本発明に適したものを選択して用いればよい。例えば、共和社製PCD-３００Aなどがある。
【００１８】
なお、前記円筒部材４、冶具８、ロードセル５から構成されるユニットを本発明においては荷重測定器６と表すことがある。冶具８を介して、円筒部材４は、圧着機構（不図示）に連結され、円筒部材４の軸がローラ１の軸と平行に配置され、冶具８を介して、圧着機構（不図示）により、円筒部材４は、ローラ１の軸に向かって動かされ、円筒部材４の表面がローラ１の表面に接触した後もさらに圧入される。円筒部材４は、ローラ１と接触した後、さらにローラ１表面を基準にして所定の移動量L₁に達するまで圧入され、過剰に圧着される。本発明においては、前記所定の移動量L₁を過剰圧着量L₁と表し、ローラ１の弾性体層の層厚L₀に対する前記過剰圧着量L₁の百分率（１００×L₁／L₀）を過剰圧着率と表すことがある。
【００１９】
前記圧着機構（不図示）は、冶具８を介して、円筒部材４を、その軸がローラ１の軸と平行になるように配置し、所定の過剰圧着量L₁まで圧着し、円筒部材４の軸とローラ１の軸とを所定間隔を維持するようにすることができるものであれば、特に限定されない。例えば、両軸を挟み,両軸間距離を螺子回転でスライド調節可能にする機構等、枚挙に暇がない。また、前記圧着機構は、上記荷重測定器６を複数個連結することのできるものとすることができる。
【００２０】
前記過剰圧着量L₁は、荷重測定の目的に応じて適宜定めればよい。一般的には、過剰圧着量L₁は、前記過剰圧着率が２０〜３５％に相当するように選べばよい。本発明における荷重保持率の測定においては、２７％となるように調節した。
【００２１】
ローラ１は、円筒部材４を圧着され、所定の過剰圧着量L₁まで圧着された後にローラ回転機構（不図示）により回転され、測定が開始される。本発明におけるローラの荷重測定方法において、測定対象物であるローラの前処理条件および測定雰囲気は、荷重測定の目的に応じて、適宜定めればよい。通常、測定対象物であるローラを２５℃、５０％ＲＨの環境下で１時間以上前処理し、２５℃、５０％ＲＨの雰囲気下で荷重を測定する。
【００２２】
なお、本発明におけるローラの荷重測定方法においては、測定対象物である一つのローラについて、一箇所における荷重を測定してもよいし、図１に示したように、複数箇所における荷重を同時に測定してもよい。複数箇所における荷重を同時に測定する場合には、複数の荷重測定器５を連結した圧着機構（不図示）で、円筒部材４をローラ１に圧着して荷重を測定すればよい。より高い精度を求める場合は、少なくとも、３箇所以上の測定点で荷重測定することが望ましい。
【００２３】
次に、本発明のトナー供給ローラの実施の形態について図を参照しながら説明する。
本発明におけるトナー供給ローラの荷重保持率は、上記ローラの荷重測定方法により測定することができる。すなわち、測定対象物であるトナー供給ローラ１を２５℃、５０％ＲＨの環境下で１時間以上前処理した後に、２５℃、５０％ＲＨの雰囲気下で、過剰圧着量Ｌ₁を過剰圧着率が２７％に相当する値となるように設定し、トナー供給ローラ１を６０ｒｐｍで回転させながら、トナー供給ローラ１の弾性体層３で被覆された個所の中央位置における荷重を少なくとも３００００回転以上測定する。測定開始時点から６０回転から１２０回転するまでの間に測定された荷重の平均値をＷ１とし測定開始時点からトナー供給ローラを３００００回転から３０１２０回転するまでの間に測定された荷重の平均値をＷ２としたとき、本発明における荷重保持率Ｋは、下記式（１）によって求めることができる。
Ｋ＝１００×（Ｗ２／Ｗ１）（１）
【００２４】
本発明のトナー供給ローラは、トナー担持体に当接して用いられるものであり、荷重保持率が８５〜１１５％であることを特徴とする。図１に示すように、本発明のトナー供給ローラ１は、芯金１と芯金１の周囲に設けられた弾性体層３を有する。本発明のトナー供給ローラ１の荷重保持率を８５％以下の場合、測定中に弾性が失われ、トナー供給ローラとしての機能を十分に果たしえない。一方荷重保持率が１１５％以上の場合、荷重W2が荷重W1よりも硬くなっており、ローラによるトナーへのストレスが高まり、トナー劣化を引き起こし、カブリの原因となる。すなわち、荷重変化が少ないほうが、初期と耐久後半の画像性能が変化しにくく、カブリがなく濃度が十分で画質が均一で良好な画像が長期にわたり得られるのである。
【００２５】
本発明のトナー供給ローラの弾性体層を形成することのできる発泡弾性体は、これらを用いて形成されるトナー供給ローラが上記特性を具備するものとすることのできるものであればよく、例えば、ポリウレタン、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴムなどのゴム原料、または、これらゴム原料の製造原料である単量体等（これら単量体等をもゴム原料と表すことがある）を用いて得られる発泡弾性体のなかから、上記特性を有するものとすることのできるものを選択して用いればよい。前記ゴム原料単独でまたはこれらのゴム原料の二種以上を組み合せたゴム原料を用いて得られる発泡弾性体であってもよい。これらの発泡弾性体の中ではポリウレタンフォームが好ましい。
【００２６】
ポリウレタンフォームを形成するためのウレタン原料（ゴム原料）としては、これらを用いて形成されるトナー供給ローラが上記特性を具備するものとすることのできるものであれば特に制限は無く、従来から公知のウレタン原料のなかから、適宜選択して使用することができる。
【００２７】
例えば、そのようなウレタン原料を構成するポリオール成分としては、一般に軟質ポリウレタンフォームの製造に用いられている、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール等の公知のポリオール類の何れもが用いられ得る。またポリイソシアネート成分としては、公知の、少なくとも２官能以上のポリイソシアネートが用いられ得る。例えば、２、４−および２、６−トリレンジイソシアネート（ＴＤＩと表すことがある）、オルトトルイジンジイソシアネート（ＴＯＤＩと表すことがある）、ナフチレンジイソシアネート（ＮＤＩと表すことがある）、キシリレンジイソシアネート（ＸＤＩと表すことがある）、４、４′−ジフェニルメタンジイソシアネート（ＭＤＩと表すことがある）、およびカルボジイミド変成ＭＤＩ、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等が、単独で、または併用して使用され得る。
【００２８】
また、これらポリオール成分とポリイソシアネート成分とが配合されてなるウレタン原料には、これらを用いて形成された弾性体層を有するトナー供給ローラを上記特性を具備するものとすることができる限り、更に、架橋剤、発泡剤（水、低沸点物、ガス体等）、界面活性剤、触媒等を添加することができる。また、同様に、これらを用いて形成されたポリウレタンフォームからなる弾性体層を有するトナー供給ローラを上記特性を具備するものとすることができる限り、そのような原料には、必要に応じて難燃剤や充填剤、更にはトナー供給ローラに所望の導電性を付与するための導電性付与剤や、帯電防止剤等も添加せしめることができる。
【００２９】
ポリオール、ポリイソシアネート、これらに添加する架橋剤や触媒の種類や配合量、成型条件を十分に吟味することによって上記特性を有するポリウレタンフォームから形成された弾性体層を有するトナー供給ローラを得ることができる。例えば、架橋剤の添加やNCO Indexを１００以上にするなどである。
【００３０】
本発明のトナー供給ローラの製造方法は、製造されるトナー供給ローラを上記特性を具備するものとすることができる限り、特に限定されず、公知の製造方法の中から適した方法を選択しこれによって製造すればよい。具体的には、例えば鉄やステンレス鋼等の金属材料等からなる、通常直径が４〜１０ｍｍ、長さが２００〜４００ｍｍの芯金を発泡弾性体で被覆して弾性体層を形成することにより製造することができる。トナー供給ローラの外径は、特に限定されず、その目的によりさまざまの外径を有するものとすることができるが、一般的には１０〜２０ｍｍの外径とすることができる。
【００３１】
本発明のトナー供給ローラの製造方法の具体例としては、例えば、ポリウレタン原料、発泡剤、所望により用いられる触媒、架橋剤、整泡剤、鎖延長剤、その他の助剤等を均質に混合してポリウレタン原料組成物を調製した後、芯金を予め配した成型金型のキャビティ内に前記原料組成物を注入し、加熱して反応硬化または固化させることにより一体的に弾性体層を形成し製造する方法、予め、上記ポリウレタン原料組成物を用いて別途形成した発泡弾性体のスラブやブロックから、切削加工等により、チューブ状等の所定の形状、寸法に切り出し、これに芯金を圧入して芯金上に弾性体層を被覆して製造する方法またはこれらの方法を適宜組み合せた方法などを挙げることができる。所望の場合には、さらに、切削や研磨処理などによって所定の外径に調整してもよい。
【００３２】
上記ポリウレタン原料組成物を混合する際の温度や時間については特に制限は無いが、混合温度は、通常１０〜５０℃、好ましくは２０〜３０の範囲であり、混合時間は、通常１秒〜５分間、好ましくは１秒〜３０秒間程度である。
【００３３】
また、加熱して反応硬化または固化させる際に、従来公知の方法により、発泡させることにより、弾性体層を形成することができる。発泡方法については特に制限は無く、使用したポリウレタン原料、発泡剤等により適した方法を採用すればよい。なお、発泡倍率は、適宜定めればよく、特に制限はない。所望の場合には、さらに加熱してアフターキュアーを行ってもよい。
【００３４】
芯金と弾性体層との接合方法については特に限定されないが、芯金を予めモールド（成形型）内部に配設しポリウレタン原料組成物を注型し硬化または固化して接着する方法や、別途形成した発泡弾性体のスラブやブロックから所定の形状、寸法に切り出しまたは発泡弾性体を所定の形状に成形した後に芯金に接着する方法などを用いることができる。どちらの方法においても、必要に応じて、芯金と弾性体層の間に接着層を設けることができる。この接着層としては、接着剤やホットメルトシートなどの公知の材料を用いることができる。
【００３５】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【００３６】
［実施例１〜３、比較例１〜３］
表１に示す組成のポリオール成分（ポリオール、整泡剤、触媒、発泡剤、架橋剤）およびポリイソシアネート成分を液温２５℃に調整した。そして、両液を、所定量配合し、撹拌械で５秒間撹拌した後、予めＳＵＳ３０４製の直径５ｍｍ、長さ２７０ｍｍの芯金を内部の所定位置に取り付けた４０℃に温調したトナー供給ローラ用成形金型のキャビティ内に注入して１００℃の電気炉中で２０分硬化し、金型から取り出して外径が１４ｍｍのトナー供給ローラを作製した。またこれらのトナー供給ローラについて、荷重保持率の測定を行い、画像評価を行った。
【００３７】
【表１】

【００３８】
［荷重保持率の測定方法］
本実施例および本比較例にて作製したトナー供給ローラを、２５℃、５０％ＲＨの雰囲気下に1時間静置して前処理を行った。前処理後、トナー供給ローラを荷重測定装置のローラ回転機構に取り付けた。外径１６ｍｍ、軸方向長さ５０ｍｍの寸法を有する回転可能な円筒部材を有する荷重測定器を連結した圧着機構で、過剰圧着量Ｌ₁が１．５ｍｍ（過剰圧着率２７％相当）となるまで円筒部材をローラに圧着させ円筒部材とローラの軸とが平行になるように配置した。雰囲気温度２５℃、雰囲気相対湿度５０％ＲＨの下でローラを回転数６０ｒｐｍで回転させて荷重を測定した。
【００３９】
荷重は、３個の荷重測定器を連結した圧着機構を備えた荷重測定装置を用い、トナー供給ローラの軸方向の３個所において同時に測定を行った。前記トナー供給ローラの、弾性体層にて被覆された部分の中央部の５０ｍｍ幅および弾性体層被覆両端部から各々１０ｍｍ〜６０ｍｍに位置するの５０ｍｍ幅（画像左部、画像右部と表すことがある）の３個所を荷重の測定個所とした。上記トナー供給ローラの荷重測定データから、トナー供給ローラの回転を始めた時点を測定開始時点とし当該測定開始時点から６０回転から１２０回転するまでの間に測定された荷重の平均値をW１、測定開始時点から３００００回転から３０１２０回転するまでの間に測定された荷重の平均値をW２とし、上記式（１）に基づき、各々の個所における荷重保持率を求めた。さらに、これら３箇所における荷重保持率の平均値を求め、これを、本実施例および本比較例のトナー供給ローラの荷重保持率とした。
得られた結果を表２に示す。
【００４０】
［画像評価方法］
本実施例または本比較例にて作製したトナー供給ローラをレーザービームプリンター、ｈｐｃｏｌｏｒＬａｓｅｒＪｅｔ４６００(日本ヒューレット・パッカード（株）製；商品名)に組み込み、これを用いて次の通り画像を作成し、評価した。
５０００枚プリントを行い、得られた画像の濃度、画質の一様性、カブリを目視で観察し、下記の基準に基づき評価した。
◎：画像に濃度ムラやカブリが認められなかった
○：濃度ムラが目視で判断できるレベル認められた
×：画像に濃度ムラ、濃度低下、文字カスレ、カブリが明確に認められた。
得られた画像評価結果を表２に示す。
【００４１】
【表２】

【００４２】
表２の結果より明らかなように、実施例１、２および３のトナー供給ローラにあっては、何れも優れた画像を得ることができた。荷重保持率がそれぞれ９８％、９２％であった実施例１および２のトナー供給ローラにあっては特に優れた画像を得ることができた。一方荷重保持率が８３％以下である比較例１、２および３のトナー供給ローラにあっては、何れも画像濃度、画像の一様性またはカブリが劣るものであった。
【００４３】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、トナー供給ローラを、特定の範囲の荷重保持率Ｋを有するものとすることにより、画像不良の問題を効果的に解消した、カブリや濃度、画質が均一な画像を長期にわたり安定に作成することのできるトナー供給ローラを提供することができる。また、本発明によれば、従来測定が困難であった、ローラの弾性体層そのものの弾性変化を直接測定する方法に替わる、ローラの弾性特性評価に有効なローラの荷重測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の荷重測定方法の概要を説明するための図である。
【符号の説明】
１ローラ（トナー供給ローラ）
２芯金
３弾性体層
４回転可能な円筒部材（円筒部材）
５ロードセル
６荷重測定器
７ケーブル
８冶具

Claims

芯金と該芯金の周囲に設けられた弾性体層を有するトナー供給ローラにおいて、該弾性層該トナー供給ローラの荷重保持率が８８％以上、９８％以下であることを特徴とするトナー供給ローラ。
該弾性体層が、ポリウレタンフォームによって形成された弾性体層である請求項１記載のトナー供給ローラ。