JP3908494B2

JP3908494B2 - 多機能型水晶振動子

Info

Publication number: JP3908494B2
Application number: JP2001263948A
Authority: JP
Inventors: 正喜岡崎
Original assignee: Nihon Dempa Kogyo Co Ltd
Current assignee: Nihon Dempa Kogyo Co Ltd
Priority date: 2001-08-31
Filing date: 2001-08-31
Publication date: 2007-04-25
Anticipated expiration: 2021-08-31
Also published as: JP2003078380A

Description

【０００１】
【産業上の技術分野】
本発明は、同一容器内に音叉型水晶片と厚みすべり系の水晶片を密閉封入した多機能型の水晶振動子（以下、多機能振動子とする）を産業上の技術分野とし、特に厚みすべり系の水晶片をＡＴカットとして生産性を高めた多機能振動子に関する。
【０００２】
【従来の技術】
（発明の背景）水晶振動子は、周波数及び時間の基準源として発振器に組み込まれ、各種の電子機器に内蔵される。例えば、近年における携帯電話等を含む小型なモバイル型電子機器では、通信周波数は厚みすべり系のＡＴカットとし、時計信号は音叉型とした異種の水晶振動子が別個に内蔵される。これらの場合、電子機器の小型を阻害することから、例えば両種の水晶片を同一容器に収容して小型化を計る提案がある（参照：特開2000-349181号公報及び特願2001-236503号）。
【０００３】
（従来技術の一例）第３図乃至第５図は一従来例を説明する図である。但し、第３図は水晶振動子の断面図、第４図は同底面図、第５図（ａｂ）は各水晶片の平面図である。
水晶振動子は表面実装用の容器（表面実装容器とする）１内に音叉型及び厚みすべり系ここではＡＴカットとした２種の水晶片２、３を密閉封入してなる。表面実装容器１は凹部を有する積層セラミックからなり、４角部の底面及び側面に各水晶片２、３のそれぞれ対となる実装電極４（ａｂ）、５（ａｂ）を有する。そして、表面実装容器１の凹部内には段部を有し、開口面には例えば金属リング６を取り付けてシーム溶接によって金属カバー７が接合される。
【０００４】
音叉型水晶片２は例えばＸカットして音叉基部８と一対の音叉腕９（ａｂ）からなる。音叉腕９（ａｂ）の各４面には電気的にそれぞれ対をなす励振電極１０を有し、音叉基部８の両端側に各引出電極（外部接続電極）１１（ａｂ）が延出する。そして、表面実装容器１の凹部底面に形成された端子電極（未図示）に、引出電極１１（ａｂ）の延出した音叉基部８の両端側を導電性接着剤１２によって固着し、電気的・機械的に接続する。
【０００５】
ＡＴカット水晶片３は平板状として両主面に対をなす励振電極１３（ａｂ）を有し、一端部両側に引出電極１４（ａｂ）を延出する。そして、引出電極１４（ａｂ）の延出した一端部両側を端子電極（未図示）の形成された段部に前述同様に導電性接着剤１２によって固着し、電気的・機械的に接続する。
【０００６】
なお、音叉型及びＡＴカット水晶片２、３に接続した端子電極は、積層面及び電極貫通孔（所謂スルーホール、未図示）等を経て実装電極４（ａｂ）、５（ａｂ）に接続する。
【０００７】
このようなものでは、例えば図示しない携帯電話等を構成するセット基板に設けられたそれぞれの発振回路に、音叉型及びＡＴカット水晶振動子としての実装電極４（ａｂ）、５（ａｂ）を接続する。そして、ＡＴカットは例えばＭHz帯で、音叉型はＫHz帯で発振して、前者は通信周波数として後者は時計信号として機能する。このことから、異種機能の音叉型及びＡＴカット水晶片２、３を同一の表面実装容器１内に収容して、２種の水晶振動子（音叉型とＡＴカット）を構成するので、携帯電話等を含む電子機器の小型化を計ることができる。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
（従来技術の問題点）しかしながら、上記構成の多機能振動子では、音叉型水晶片及びＡＴカット水晶片２、３の場合でも、これらを凹部底面及び段部に保持した後、振動周波数を調整する。そして、共通の金属カバーを接合する。この場合には、導電性接着剤１２の熱硬化によって音叉型水晶片２を固着した後、音叉腕の先端を例えば機械加工によってあるいは音叉腕の先端に設けた金属膜をレーザ等によって削りとって調整する。
【０００９】
そして、音叉型水晶片２の周波数調整後に、導電性接着剤１２によって同様に段部に保持されたＡＴカット水晶片３の励振電極に例えばイオンビームを照射し、その膜厚を減じて振動周波数を調整する。このため、ＡＴカット水晶片３の周波数調整時に励振電極１３から飛散する金属屑が音叉型水晶片２に付着して、例えば振動周波数の変化や音叉型水晶片の場合はさらに励振電極間の短絡を引き起こして不良を発生し、生産性を低下する問題があった。なお、ＡＴカット水晶片３を凹部底面に、音叉型水晶片２を段部に保持する場合でも同様である。
【００１０】
また、音叉型とＡＴカット水晶片（水晶振動子）２、３を同時に駆動して通信周波数及び時計信号を得ることに起因して次の問題があった。すなわち、音叉型及びＡＴカット水晶片２、３は同一容器内に収容されて、各発振回路との間に発振閉ループを形成する。そして、当然にして、各水晶振動子（水晶片２、３）及びこれらと接続する表面実装容器１に形成した実装電極４（ａｂ）、５（ａｂ）を含む回路パターンにも各発振回路の高周波電流は流れる。
【００１１】
このため、各水晶片２、３及び回路パターンから各々の高周波電流による電磁波が漏れて相手方に飛び込み、ＡＴカットと音叉型水晶振動子を構成する表面実装容器１内で相互干渉を引き起こして発振を不安定にする問題があった。例えば、ＡＴカット水晶振動子による通信周波数ｆ0（例えば１２ＭHz）に対して、音叉型水晶振動子による時計信号（例えば３２ＫHz）が重畳して、ｆ0±32ＫHzでの位相雑音を増大する問題があった。
【００１２】
これらの場合、特に面積の大きい各水晶片２、３の励振電極１０、１３間、次いでは実装電極４、５間による相互干渉が問題となる。さらに、高さ及び平面積が小さくなって、小型化が進行するほどこの影響は大きい。
【００１３】
（発明の目的）本発明は第１に音叉型水晶片と厚みすべり系の水晶片との周波数調整時の金属屑等の付着を防止して生産性を高め、第２に電気的な相互干渉を防止して発振を確実にした多機能振動子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【００１４】
【課題を解決するための手段】
（着目点）本発明は特開平8-204452号公報等の断面をＨ字状として温度補償発振器用とした両主面に凹部を有する容器本体に着目した。
【００１５】
（解決手段）本発明は、特許請求の範囲（請求項１）に示したように、容器本体とカバーからなる密閉容器内に音叉型水晶片と厚みすべり系の水晶片を収容してなる多機能型水晶振動子において、前記容器本体は断面をＨ字状として両主面に凹部が形成された積層セラミックからなり、一方の凹部には音叉型水晶片を他方の凹部には厚みすべり系の水晶片を収容してそれぞれが金属屑の発生を伴う振動周波数の調整後にカバーを接合して封止され、前記容器本体におけるＨ字状の水平部には前記音叉型水晶片と前記厚みすべり系の水晶片とを電気的に遮蔽するシールド層を積層面に設け、前記容器本体のいずれか一方の凹部先端面には前記音叉型水晶片と前記厚みすべり系の水晶片と電気的に接続した実装電極及び前記シールド層に電気的に接続したアース電極を有する構成とする。
【００１６】
【作用】
上記構成によれば、容器本体をＨ状として両主面の凹部に音叉型水晶片と厚みすべり系の水晶片を別個に収容するので、各水晶片はＨ状の水平部によて上下（垂直方向）に分離される。言わば、各水晶片は垂直方向での異空間に収容されて分離される。これらから、容器本体の一主面から見て各水晶片を同方向の空間内で互いに遮断するので、一主面側の凹部内で生じる周波数調整時の金属屑等が他主面の凹部に侵入することを防止する。
【００１７】
また、Ｈ状とした容器本体の水平部にシールド層を設けたので、各水晶片を電気的に遮蔽して相互干渉を防止する。以下、本発明の実施例を説明する。
【００１８】
【実施例】
第１図（ａｂ）は本発明の第１実施例を説明する多機能水晶振動子の図で、同図（ａ）は断面図、同図（ｂ）は底面図である。なお、なお、前従来例と同一部分には同番号を付与してその説明は簡略又は省略する。
多機能振動子は、前述のように容器本体１とこれに収容される音叉型及びＡＴカット水晶片２、３からなる。そして、ここでの容器本体１は積層セラミックからなり、両主面側に凹部を有して断面形状を概ねＨ状とする。Ｈ状の中央を仕切る水平部にはメタライズによる金属膜を設けてシールド層１５とする。
【００１９】
他主面側の凹部には全周にわたる段部を設け、４角部には実装電極４（ａｂ）、５（ａｂ）を、各実装電極間にはアース電極１６を形成する。アース電極１６とシールド層１５は側壁に設けたスルーホール等によって電気的に接続する。これらは、セラミックの焼成時に一体的に形成される。一主面側の凹部上面及び他主面側の段部表面には、銀ロウ等によって金属リング６が接合する。
【００２０】
そして、容器本体１の一主面側の凹部底面には引出電極の延出したＡＴカット水晶片３の一端部両側を、他主面側の凹部底面には同音叉型水晶片２の基部下端部両側を導電性接着剤１２によって固着する。なお、導電性接着剤１２は前述のように熱硬化型として、音叉型及びＡＴカット水晶片２、３の一端部両側に塗布して仮固着した後、加熱炉によって同時に硬化して固着される。
【００２１】
そして、例えば一主面側の凹部に収容されたＡＴカット水晶片３の励振電極にイオンガンからのビームを照射して表面を削り取り、膜厚を減じて振動周波数を低い方から高い方に調整する。あるいは、スパッタ等により金属膜を付着して高い方から低い方に調整する。
【００２２】
次に、他主面側の凹部に収容された音叉型水晶片の音叉腕の先端を機械加工あるいは先端に設けた金属膜を削り取って、振動周波数を調整する。そして、シーム溶接によって一主面側の凹部を、ビーム溶接によって他主面側の凹部に金属カバー７を接合して封止する。なお、いずれの金属カバー７及びシールド層も、前述したスルーホール等によってアース電極に接続する。
【００２３】
このような構成であれば、容器本体１をＨ状として両主面の凹部に音叉型水晶片と厚みすべり系の水晶片２、３を別個に収容し、各水晶片はＨ状の水平部によって上下（垂直方向）に分離される。言わば、各水晶片２、３は垂直方向での異空間に収容されて分離される。したがって、容器本体の一主面から見て、各水晶片を互いに遮断する。
【００２４】
このことから、音叉型及びＡＴカット水晶片２、３を両主面の凹部底面に固着して振動周波数を調整する際、この場合ではＡＴカット水晶片３の振動周波数を調整する際、励振電極からの調整時の金属屑が他主面側の凹部に固着された音叉型水晶片２に付着することを防止する。また、上記例とは逆に、音叉型水晶片２の振動周波数を先に調整する場合には、機械加工による水晶片の屑やレーザによる金属屑が他主面の凹部に固着されたＡＴカット水晶片３に付着することを防止する。
【００２５】
なお、この例では、金属カバー７を被せて封止する前に音叉型及びＡＴカット水晶片２、３の振動周波数を調整したが、例えばＡＴカット水晶片３の振動周波数を調整して封止した後、音叉型水晶片２の振動周波数を調整してもよい。このようにすれば、音叉型水晶片２の周波数調整時に、金属カバー７によって封止されたＡＴカット水晶片３への金属屑等の付着を確実に防止する。
【００２６】
これらのことから、音叉型及びＡＴカット水晶片２、３の振動周波数の調整時における金属屑等の付着を防止して、これらによる振動特性の低下や励振電極間の電気的な短絡を排除して、生産性を高められる。
【００２７】
また、ここでは、特に音叉型とＡＴカット水晶片２、３の励振電極間をＨ状とした水平部のシールド層１５によって、電気的に遮蔽する。したがって、それぞれの発振閉ループ内にあり、ＡＴカットと音叉型水晶振動子を構成する表面実装容器１内での相互干渉を防止して、発振を良好に維持する。
【００２８】
また、この例では、実装電極４（ａｂ）、５（ａｂ）間に、他主面側の金属カバー７に接続したアース電極１６を設けるので、全体としてシールド電極を形成し、実装電極４、５間の電気的結合を防止してさらに相互干渉を防止する。なお、各水晶片２、３の実装電極４（ａｂ）、５（ａｂ）間の電気的結合も防止するので、各発振器自体の雑音も小さくする。
【００２９】
さらに、この例では、音叉型及びＡＴカット水晶片２、３を両主面の凹部底面に導電性接着剤（硬化前）１２によって仮固着した後、一括して加熱して硬化させたので、従来例のように個別に硬化する場合に比較して、製造工程を短縮できる。
【００３０】
【他の事項】
上記実施例では、何れの実施例においても表面実装容器１内に音叉型及びＡＴカット水晶片２、３を収容して外部の発振回路に接続するとしたが、例えば第２図に示したように容器本体の各凹部にさらに段部（凹所）を設けて、発振回路等を集積化したＩＣ１７を固着して各種の発振器を構成してもよい。但し、実装電極１８は、水晶振動子の一対の電極ではなく、基本的には発振器としての電源、アース、出力等の各端子となる。なお、凹所を設けることなく各水晶片２、３と同一平面上に設けて高さ寸法を小さくしてもよい（未図示）。また、厚みすべり系の水晶片３はＡＴカットとしたが、ＢＴカットやＳＣカットであっても同様に適用できる。
【００３１】
また、両主面の凹部は、金属リング６を設けて金属カバー７をシームやビーム溶接によって接合して密閉したが、例えば金属リング６は設けずにガラスや樹脂による封止であってもよい。但し、シールド容器を形成する点等においては、シーム及びビーム溶接が適している。そして、金属リング６に代えて金属膜であってもよく、要はシームやビーム溶接ができればよい。そして、他主面の凹部の最外壁には切れ目があってもよく、要はカバーを段部の平坦部に接合できればよい。
【００３２】
【発明の効果】
本発明は、容器本体とカバーからなる密閉容器内に音叉型水晶片と厚みすべり系の水晶片を収容してなる多機能型水晶振動子において、前記容器本体は断面をＨ字状として両主面に凹部が形成された積層セラミックからなり、一方の凹部には音叉型水晶片を他方の凹部には厚みすべり系の水晶片を収容してそれぞれが金属屑の発生を伴う振動周波数の調整後にカバーを接合して封止され、前記容器本体におけるＨ字状の水平部には前記音叉型水晶片と前記厚みすべり系の水晶片とを電気的に遮蔽するシールド層を積層面に設け、前記容器本体のいずれか一方の凹部先端面には前記音叉型水晶片と前記厚みすべり系の水晶片と電気的に接続した実装電極及び前記シールド層に電気的に接続したアース電極を有する構成とする。したがって、音叉型水晶片と厚みすべり系の水晶片との周波数調整時の金属屑等の付着を防止して生産性を高め、電気的な相互干渉を防止して発振を確実にした多機能振動子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１実施例を説明する図で、同図（ａ）は水晶振動子の断面図、同図（ｂ）は同底面図である。
【図２】本発明の他の実施例を説明する図で、本発明を適用した発振器の断面図である。
【図３】従来例を説明する水晶振動子の断面図である。
【図４】従来例を説明する水晶振動子の底面図である。
【図５】従来例を説明する図で、同図（ａ）は音叉型水晶片の、同図（ｂ）はＡＴカットの平面図である。
【符号の説明】
１容器本体、２音叉型水晶片、３ＡＴカット水晶片、４、５、１８実装電極、６金属リング、７金属カバー、８音叉基部、９音叉腕、１０、１３励振電極、１１、１４引出電極、１２導電性接着剤、１５シールド層、１６アース電極、１７ＩＣ．

Claims

容器本体とカバーからなる密閉容器内に音叉型水晶片と厚みすべり系の水晶片を収容してなる多機能型水晶振動子において、前記容器本体は断面をＨ字状として両主面に凹部が形成された積層セラミックからなり、一方の凹部には音叉型水晶片を他方の凹部には厚みすべり系の水晶片を収容してそれぞれが金属屑の発生を伴う振動周波数の調整後にカバーを接合して封止され、前記容器本体におけるＨ字状の水平部には前記音叉型水晶片と前記厚みすべり系の水晶片とを電気的に遮蔽するシールド層を積層面に設け、前記容器本体のいずれか一方の凹部先端面には前記音叉型水晶片と前記厚みすべり系の水晶片と電気的に接続した実装電極及び前記シールド層に電気的に接続したアース電極を有する多機能型水晶振動子。
前記いずれか一方の凹部の内周面にはカバーが接合される段部を有した請求項１の多機能型水晶振動子。