JP3908455B2 - 使い捨てのパンツ型おむつ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、使い捨てのパンツ型おむつに関する。
【０００２】
【従来の技術】
特開平６−５７５０２号公報には、上下端縁部と両側縁部とを有する同形同大の２枚のシートを重ね合わせ、これらシートを該シートの両側縁部と、下端縁部中央とで互いに接合することにより、胴周り開口と一対の脚周り開口とを形成した使い捨てのパンツ型おむつが開示されている。２枚のシートの両側縁部は、おむつ側縁部において合掌状に重なり合い、上下方向へ延びている。これら２枚のシートの一方は、おむつの前胴周り域を形成し、もう一方は後胴周り域を形成している。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
前記公知のパンツ型おむつは、横方向へ偏平に広がるもので、このおむつを幼児にはかせるときに、例えば母親が両手を胴周り開口へ入れて、その両手を左右に広げて胴周り開口を大きく広げようとしても脚周り開口までは大きく広げることが難しく、幼児の脚を脚周り開口へ導き入れるのに手間取ることがある。
【０００４】
この発明は、おむつをはかせるときに、脚周り開口を大きく広げることができるように改良された使い捨てのパンツ型おむつの提供を課題にしている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、この発明が対象とするのは、肌当接面，着衣当接面を有し、同形同大のシートからなる右身頃および左身頃で構成された使い捨てのパンツ型おむつである。
【０００６】
かかるおむつにおいて、この発明が特徴とするところは、以下のとおりである。
前記シートは、幅方向に延びる上端縁部、下端縁部および長さ方向に延びる両側縁部を有し、前記上端縁部の幅方向の寸法が、前記下端縁部の幅方向の寸法より小さく、前記上端縁部の幅方向の寸法を二等分する第１中心線と、前記下端縁部の幅方向の寸法を二等分する第２中心線とを含み、前記第１中心線と前記第２中心線とが前記幅方向に離間して前記第２中心線が前記第１中心線よりも背側に位置しており、前記両側縁部の一方が前記おむつの腹側に位置して前側縁部、もう一方が前記おむつの背側に位置して後側縁部となるように前記おむつの前後方向へ平行に並び、前記上端縁部と前記前後側縁部の上方部分とで前記おむつ胴回り域の周囲半分ずつを画成し、前記前後側縁部の下方部分と前記下端縁部とで前記脚周り開口のそれぞれとその開口周囲の脚周り域とを画成し、前記前側縁部の上方部分は、その下方部分の直上において外向きに凸となる曲線部分を形成して膨出部を画成するものであって、前記右身頃および前記左身頃は、それぞれを構成する前記シートの、前記第１中心線寄りの前記前側縁部どうしが、互いの前記肌当接面が対向するように重なり合った状態で接合されているとともに、前記第２中心線寄りの前記後側縁部どうしが、前記第２中心線に沿って前記肌当接面側に折り返されて、互いの前記着衣当接面が対向するように重なり合った状態で接合されており、前記胴回り開口と左右一対の前記脚周り開口と前記膨出部とが形成されていること。
【０００７】
【発明の実施の形態】
添付の図面を参照し、この発明に係る使い捨てのパンツ型おむつの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【０００８】
図１に部分破断斜視図で示された使い捨てのパンツ型おむつ１は、肌当接面４，着衣当接面５を有し、右身頃２０および左身頃１９で構成されたトランクス型のもので、一対の胴周り域２とその下方部分につながる左右一対の脚周り域３とを有し、胴周り域２の上方には胴周り開口６が形成され、脚周り域３の下方には左右一対の脚周り開口７が形成されている。右身頃２０と左身頃１９とは、それぞれおむつ１の幅方向に連結されたシート部材１０ａ，１０ｂからなる。図において、おむつ１は、前後方向へ偏平に延びるように、胴周り域２に形成された第１接合線１１と、脚周り域３に形成された第２接合線１２（図２，３参照）と、おむつ１の背側において胴周り域２から脚周り域３にかけて延びる折曲線１３とを案内線として折り畳まれている。母親が両手を胴周り開口６に入れて矢印Ａ，Ｂで示されるおむつ１の幅方向へ広げることによって、前後方向で扁平になっている胴周り開口６と脚周り開口７とが仮想線で示されるように丸く大きく広がり、幼児の脚を脚周り開口７へ容易に導き入れることができる。第１接合線１１は、胴周り域２の腹側を幅方向において二等分しておむつ１０の長さ方向ヘ延びる部分１６と、背側を二等分しておむつ１０の長さ方向ヘ延びる部分１７と、これら両部分１６，１７をつなぐ股下域の部分１８とからなる。図から明らかなように、第１接合線１１のこれらの部分１６〜１８において、左身頃１９を構成するシート部材１０ａおよび右身頃２０を構成するシート部材１０ｂは、腹側に位置する側縁部どうしが、互いの肌当接面４が対向するように合掌状に重なり合った状態で側縁において接着または溶着により接合されているとともに、背側に位置する側縁部どうしが、肌当接面側４に折り返されて、互いの着衣当接面５が対向するように重なり合った状態で側縁において接着または溶着により接合されている。また、第２接合線１２では、シート部材１０ａどうしおよび１０ｂどうしが重なり合い、接着または溶着により接合している。これら胴周り域２と脚周り域３の肌当接面４には、第１接合線１１の部分１８に沿って体液吸収性のパッド、例えば図示例の第１、２パッド２１，２２が取り付けられている。おむつ１の胴周り開口６と脚周り開口７との縁部には、必要に応じて弾性部材２６，２７がそれぞれの周り方向へ伸長された状態で取り付けられて、おむつ１を着用者の肌に密着させることができる。
【０００９】
図２は、図１の第１、２接合線１１，１２におけるシート部材１０ａ，１０ｂの接合を外し、折曲されているそれらシート部材１０ａ，１０ｂを折曲線１３において反転させたときの両シート部材１０ａ，１０ｂの斜視図である。シート部材１０ａ，１０ｂは、同形同大のもので、互いの着衣当接面５どうしが対向するように平行して並んでおり、幅方向ヘ延びる上下の端縁部３１，３２と、これら端縁部３１，３２間にあって互いに向かい合って長さ方向ヘ延びる前後側縁部３３，３４とを有する。前側縁部３３は、おむつ１が図１の状態にあれば後側縁部３４の左方に位置しており、おむつ１が図２の状態にあれば後側縁部３４の右方に位置している。
【００１０】
図２において、シート部材１０ａ，１０ｂのうちのシート部材１０ａについて説明すると、次のとおりである。シート部材１０ａの前後側縁部３３，３４は、胴周り域２を画成することに与る前後の上方部分３３ａ，３４ａと、脚周り域３を画成することに与る前後の下方部分３３ｂ，３４ｂとを有する。胴周り域２は、これらのうちの前後の上方部分３３ａ，３４ａと上端縁部３１とによって画成され、脚周り域３は、前後の下方部分３３ｂ，３４ｂと下端縁部３２とによって画成されている。図の１点鎖線Ｄ−Ｄは、下端縁部３２の幅方向の寸法、つまり前後側縁部の下方部分３３ｂ，３４ｂ間の寸法を二等分しておむつ１の長さ方向ヘ延びる第２中心線であり、おむつ１を組み立てたときには、図１の折曲線１３となる。図の２点鎖線Ｅ−Ｅは、上端縁部３１の幅方向の寸法を二等分して長さ方向へ延びる第１中心線で、第２中心線Ｄ−Ｄよりも図の右方、すなわち腹側となる前側縁部３３寄りに位置している。つまり、第１中心線Ｅ−Ｅと第２中心線Ｄ−Ｄとは、幅方向に離間している。これらの第１中心線Ｅ−Ｅと第２中心線Ｄ−Ｄとの位置関係から明らかなように、脚周り域３は、胴周り域２に対して後側縁部３４方向へ、すなわちおむつ１の背側へ偏倚している。前後側縁部３３，３４のうちの下方部分３３ｂ，３４ｂは、第２中心線Ｄ−Ｄに関して対称に作られる部位で、図では、これら下方部分３３ｂ，３４ｂが第２中心線Ｄ−Ｄと平行に作られている。前後側縁部３３，３４の上方部分３３ａと３４ａとは、下方部分３３ｂ，３４ｂと異なり任意の形状に作り得るが、好ましくは、図示例のように上方部分３３ａが、下方部分３３ｂの直上において外向きに凸となる曲線部分３６を形成し、後側の上方部分３４ａは、後側の下方部分３４ｂの直上において内向きに凸となる曲線部分３７を形成している。シート部材１０ａは、それがおむつ１に組み立てられたときの内面となる側に体液吸収性の第１パッド２１と第２パッド２２とが取り付けられている。第１パッド２１は、前側縁部３３の曲線部分３６を中心に上方部分３３ａ下方部分３３ｂとにまたがって位置し、第２パッド２２は、後側縁部３４の曲線部分３７を中心に上方部分３４ａと下方部分３４ｂとにまたがって位置している。
【００１１】
シート部材１０ｂは、シート部材１０ａと同様に形成されているが、シート部材１０ａとは背中合せの状態にあって、第１、２パッド２１，２２が図の下方に向かって取り付けられている。シート部材１０ｂは、シート部材１０ａの第２中心線Ｄ−Ｄと第１中心線Ｅ−Ｅとに対応する第２中心線ｄ−ｄと第１中心線ｅ−ｅとを有する。
【００１２】
図３は、図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿ったシート部材１０ａの部分断面図である。第１パッド２１は、透液性内面シート４６と、不透液性外面シート４７と、これら両シート４６，４７間に介在する粉砕パルプや粉砕パルプと高吸水性ポリマーとの混合物等の吸水性材料からなるコア４８とからなるもので、両シート４６，４７がコア４８の周縁から延出する部分で互いに接合している。外面シート４７は、シート部材１０ｂの内面にホットメルト接着剤（図示せず）を介して取り付けられている。
【００１３】
このように形成されたシート部材１０ａと、それと同様に形成されたシート部材１０ｂとから図１のおむつ１を得るには、例えば次のような手順に従えばよい。まず、図２のシート部材１０ａと１０ｂとは、第２中心線Ｄ−Ｄ，ｄ−ｄ寄りの後側縁部３４どうしが、それぞれ第２中心線Ｄ−Ｄ，ｄ−ｄに沿って矢印ｐ方向と矢印ｑ方向とへ折り返されて、前後側縁部３３，３４のうちで対称に作られている下方部分３３ｂと３４ｂとが合掌状に重ねられて、多数のドット４９で示された範囲が接着または溶着によって接合される。次に、シート部材１０ａと１０ｂとは、上端縁部３１どうし、下端縁部３２どうし、前側縁部３３の上方部分３３ａどうし、および後側縁部３４の上方部分３４ａどうしがそれぞれ一致するように重ねられ、重なり合う前側縁部３３の上方部分３３ａどうしが斜線で示される範囲において、また後側縁部３４の上方部分３４ａどうしが網の目模様で示される範囲において接着または溶着によって接合される。かくしてシート部材１０ａ，１０ｂは、図１のおむつ１となる。おむつ１が男子用のものである場合には、シート部材１０ａと１０ｂとが前側縁部３３の曲線部分３６で互いに接合されることによって、ペニスを収容するのに適した膨出部４１（図１参照）を形成する。
【００１４】
この発明において、シート部材１０ａ，１０ｂは、第１、２パッド２１，２２を別にして、胴周り方向への弾性伸縮性を有する通気不透液性シートで形成されていることが好ましい。ただし、このようなシート部材１０ａ，１０ｂは、非伸縮性のシートや不透液性プラスチックフィルムと不織布との積層シートに代えることもできる。この不織布がおむつ１の内面および／または外面を形成することによって、おむつ１の肌触りが布様のものになる。図示例において、おむつ１の胴周り開口６と脚周り開口７との縁部の一部分に取り付けた弾性部材２６，２７は、その長さと幅とを適宜の寸法に変えることができる。また、第１、２パッド２１，２２は、それらの大きさや厚さを適宜の寸法にしたり、両パッド２１，２２を一体のものにしたり、両パッド２１，２２のいずれかを省いたりすることもできる。
【００１５】
【発明の効果】
この発明に係る使い捨てのパンツ型おむつは、同形同大の２枚のシート部材を重ね合わせて接合するだけで作られるから、その製造が簡単であり、かつ、このおむつは、おむつを幅方向において二等分するシート部材どうしの接合線を案内にして前後方向で偏平となるように折り畳むことができる。そのように折り畳まれたおむつは、例えば母親がおむつの内側へ入れた両手を左右に広げるように動かせば、胴周り開口とともに脚周り開口が大きく広がり、おむつをはかせることが容易になる。
さらに、前側にペニスを収容するのに適した膨出部を有するおむつを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 使い捨てのパンツ型おむつの斜視図。
【図２】 シート部材の展開図。
【図３】 図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線断面図。
【符号の説明】
１ おむつ
４ 肌当接面
５ 着衣当接面
６ 胴周り開口
７ 脚周り開口
１０ａ，１０ｂ シート（シート部材）
１９ 左身頃
２０ 右身頃
２１ パッド
２２ パッド
３１ 上端縁部
３２ 下端縁部
３３ 前側縁部
３３ａ 上方部分
３３ｂ 下方部分
３４ 後側縁部
３４ａ 上方部分
３４ａ 下方部分
Ｄ−Ｄ 第２中心線
ｄ−ｄ 第２中心線
Ｅ−Ｅ 第１中心線
ｅ−ｅ 第１中心線

Claims (3)

1. 肌当接面、着衣当接面を有し同形同大のシートからなる右身頃および左身頃で構成された使い捨てのパンツ型おむつにおいて、
   前記シートは、幅方向に延びる上端縁部、下端縁部および長さ方向に延びる両側縁部を有し、前記上端縁部の幅方向の寸法が、前記下端縁部の幅方向の寸法より小さく、前記上端縁部の幅方向の寸法を二等分する第１中心線と、前記下端縁部の幅方向の寸法を二等分する第２中心線とを含み、前記第１中心線と前記第２中心線とが前記幅方向に離間して前記第２中心線が前記第１中心線よりも背側に位置しており、
   前記両側縁部の一方が前記おむつの腹側に位置して前側縁部、もう一方が前記おむつの背側に位置して後側縁部となるように前記おむつの前後方向へ平行に並び、前記上端縁部と前記前後側縁部の上方部分とで前記おむつ胴回り域の周囲半分ずつを画成し、
   前記前後側縁部の下方部分と前記下端縁部とで前記脚周り開口のそれぞれとその開口周囲の脚周り域とを画成し、
   前記前側縁部の上方部分は、その下方部分の直上において外向きに凸となる曲線部分を形成して膨出部を画成するものであって、
   前記右身頃および前記左身頃は、それぞれを構成する前記シートの、前記第１中心線寄りの前記前側縁部どうしが、互いの前記肌当接面が対向するように重なり合った状態で接合されているとともに、前記第２中心線寄りの前記後側縁部どうしが、前記第２中心線に沿って前記肌当接面側に折り返されて、互いの前記着衣当接面が対向するように重なり合った状態で接合されており、前記胴回り開口と左右一対の前記脚周り開口と前記膨出部とが形成されていることを特徴とする前記おむつ。
2. 前記シートが前記おむつの胴周り方向に弾性伸縮性を有している請求項１記載のおむつ。
3. 前記肌当接面の少なくとも一部には、透液性シートで被覆された体液吸収性のパッドが取り付けられている請求項１または２記載のおむつ。

Images