JP3906533B2 - 擬似ステレオ回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、モノラル形式のオーディオ信号をステレオ形式のオーディオ信号に変換する擬似ステレオ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は従来の擬似ステレオ回路の構成例を示すものである。この擬似ステレオ回路は、各々モノラル形式オーディオ信号Minの位相をシフトして出力するLチャネル用移相回路100LおよびRチャネル用移相回路100Rと、これらの各移相回路の各出力信号からLおよびRの2チャネルからなるステレオ形式オーディオ信号を生成するステレオ協調回路200とにより構成されている。
【0003】
Lチャネル用移相回路100Lは、例えば3個のオールパスフィルタ101L〜103Lを縦続接続してなるものであり、Rチャネル用移相回路100Rも、同様なオールパスフィルタ101R〜103Rを縦続接続してなるものである。これらの各オールパスフィルタについて説明すると、次の通りである。
【0004】
まず、オールパスフィルタ101Lは、オペアンプ301、抵抗302〜304およびキャパシタ305を図示のように接続してなるものである。ここで、抵抗303および304は同じ抵抗値を有している。従って、オペアンプ301の出力電圧をVoとすると、オペアンプ301の反転入力端(−)の入力電圧Vnは次式により与えられる。
Vn=(Min+Vo)/2 ……(1)
【0005】
一方、抵抗302の抵抗値をR1、キャパシタ305の容量値をC1、入力モノラル信号Minの角周波数をωとすると、オペアンプ301の非反転入力端(+)の入力電圧Vpは次式により与えられる。
Vp=Min/(1+jωC1R1) ……(2)
【0006】
ここで、図示の構成では負帰還動作によりオペアンプ301の反転入力端(−)および非反転入力端(+)の仮想短絡が行われるため、Vp=Vnとなり、次式が成立することとなる。
(Min+Vo)/2=Min/(1+jωC1R1) ……(3)
【0007】
この式(3)を変形することにより、オールパスフィルタ101Lの伝達関数Hが以下のように得られる。
Figure 0003906533
【0008】
そして、この式(4)よりオールパスフィルタ101Lの入力モノラル信号Minに対するゲインGは、
Figure 0003906533
となる。従って、あらゆる周波数の入力モノラル信号Minがオールパスフィルタ101Lをそのままの振幅で通過することとなる。
【0009】
また、入力モノラル信号Minは、オールパスフィルタ101Lを通過する際にその位相がシフトされるが、この場合の位相シフト量θは次式に示すように入力信号Minの周波数に応じた大きさとなる。
Figure 0003906533
となる。
以上がオールパスフィルタ101Lの詳細である。
【0010】
オールパスフィルタ101Lの後段のオールパスフィルタ102Lおよび103Lも全く同様な構成である。上記式(6)から明らかなように各オールパスフィルタ101L〜103Lにより入力モノラル信号Minに付与される位相シフト量は、入力信号の周波数f=ω/2πの変化により0から−πまで変化する。従って、Lチャネル用移相回路100L全体により入力信号に付与される位相シフト量は、入力信号の周波数fの変化により0から−3πまで変化することとなる。このLチャネル用移相回路100L全体としての位相シフト量θLを図7に例示する。
【0011】
Rチャネル用移相回路100Rも以上説明したLチャネル用移相回路100Lと基本的に同じ構成を有しているが、各オールパスフィルタ101R〜103Rにおける抵抗302の抵抗値およびキャパシタ305の容量値が上記のR1およびC1と異なっている。従って、Rチャネル用移相回路100L全体としての位相シフト量θRの周波数特性は、図7に例示するように、Lチャネル用移相回路100Lの位相シフト量θLの周波数特性を周波数軸方向に沿ってシフトしたような特性となる。
【0012】
ここで、Lチャネル用移相回路100LおよびRチャネル用移相回路100Rの各々における上記抵抗302の抵抗値およびキャパシタ305の容量値を適当に選ぶことにより、図7に示すように、オーディオ周波数帯域のほぼ全域においてθL−θRをほぼπ/2にすることができる。図6に示す構成では、このような要求を満たすように上記抵抗値および容量値が選択されているのである。
【0013】
従って、図6に示す構成においては、各々入力モノラル信号Minの位相をシフトしたオーディオ信号であって相互にπ/2だけ位相のずれたものがLチャネル用移相回路100LおよびRチャネル用移相回路100Rから各々出力されるのである。
【0014】
ステレオ協調回路200は、以上説明したLチャネル用移相回路100LおよびRチャネル用移相回路100Rの各出力信号からステレオ形式のオーディオ信号を生成する手段であり、減算器201、フィルタ202、加算器203および減算器204により構成されている。このステレオ協調回路200では、減算器201により、Lチャネル用移相回路100LおよびRチャネル用移相回路100Rの各出力信号の差分に対応した信号が生成され、この減算器201の出力信号に対しフィルタ202による帯域制限が施される。加算器203では、このフィルタ202の出力信号とLチャネル用移相回路100Lの出力信号とが加算される。また、減算器204では、フィルタ202の出力信号とRチャネル用移相回路100Rの出力信号との減算が行われる。そして、空間的な広がりを持ったL、R2チャネルからなるステレオ形式のオーディオ信号がこれらの加算器203および減算器204から出力されるのである。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の擬似ステレオ回路は、オペアンプ等の構成部品を多数必要とするため、IC(集積回路)として製造する場合にはチップ面積が大きなものとなってしまう。また、従来の擬似ステレオ回路は、L、R2チャネルの移相回路だけでも6個のキャパシタを必要とするが、これらは一般的に容量値の大きなものとする必要がある。従って、これらのキャパシタをIC基板上に形成することはチップ面積の制約から困難であり、外付けとする必要がある。このため、ICに必要なピン数が多くなってしまう。以上のような諸事情により、従来の擬似ステレオ回路は製造コストが高くなっていたのである。
【0016】
この発明は以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、構成が簡素であり、低価格の擬似ステレオ回路を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、入力モノラル信号の位相をその周波数の増加に応じた位相シフト量だけシフトする手段であって、前記入力モノラル信号に対するゲインは、周波数がゼロにおいて所定レベルであり、周波数がゼロから増加するにしたがって増加し、前記位相シフト量が−π付近の値となる周波数においてピークとなり、この後、周波数が増加するにしたがって減少し、周波数が無限大において前記所定レベルとなる周波数特性を有する移相回路と、前記移相回路の出力信号の位相を反転した信号および前記入力モノラル信号とを所定のミキシング比でミキシングした信号を生成し、左右2チャネルからなるステレオ形式オーディオ信号の一方のチャネルのオーディオ信号として出力するとともに、前記移相回路の出力信号と前記入力モノラル信号とを所定のミキシング比でミキシングした信号を生成し、前記左右2チャネルからなるステレオ形式オーディオ信号の他方のチャネルのオーディオ信号として出力するミキシング手段とを具備することを特徴とする擬似ステレオ回路を要旨とする。
【0018】
請求項2に係る発明は、前記入力モノラル信号の周波数の変化に対し、前記入力モノラル信号を基準とした前記一方のチャネルのオーディオ信号の位相シフト量は、周波数がゼロのときにゼロであり、周波数がゼロから増加するにしたがって低下し、周波数が無限大のときに−2πであり、かつ、前記入力モノラル信号を基準とした前記他方のチャネルのオーディオ信号の位相シフト量は、周波数全域にわたって所定の範囲に保たれたことを特徴とする請求項1に記載の擬似ステレオ回路を要旨とする。
請求項3に係る発明は、前記ミキシング回路は、前記移相回路の出力信号を反転した信号および前記入力モノラル信号にそれぞれ所定の係数を乗じて加算する第1の乗加算器と、前記移相回路の出力信号および前記入力モノラル信号にそれぞれ所定の係数を乗じて加算する第2の乗加算器と、を有し、前記所定の係数は、前記各チャネルのオーディオ信号の各ゲインが全周波数帯域を通じて等しくなるように設定されてなることを特徴とする請求項1に記載の擬似ステレオ回路を要旨とする。
【0019】
請求項に係る発明は、縦続接続された2個の移相フィルタによって前記移相回路が構成され、各移相フィルタが、演算増幅器と、前記演算増幅器の非反転入力端に入力信号を伝達する抵抗およびキャパシタからなる時定数回路と、前記入力信号を前記演算増幅器の反転入力端に伝達する入力抵抗と、前記演算増幅器の反転入力端と出力端との間に介挿された帰還抵抗とにより構成されてなり、一方の移相フィルタにおける前記入力抵抗および帰還抵抗の比が1より大きく、他方の移相フィルタにおける前記入力抵抗および帰還抵抗の比が1より小さく設定されてなることを特徴とする請求項1、2またはに記載の擬似ステレオ回路を要旨とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に理解しやすくするため、実施の形態について説明する。
かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲で任意に変更可能である。
【0021】
図1はこの発明の一実施形態である擬似ステレオ回路の構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態に係る擬似ステレオ回路は、移相回路1と、乗算器2および3と、加算器4および5とからなるものであり、極めて簡素な構成を有している。
【0022】
移相回路1は、本実施形態の処理対象たる入力モノラル信号Minの位相のシフトを行う手段であり、各々入力信号の位相をシフトする2個の移相フィルタ11および12を縦続接続してなるものである。各移相フィルタ11および12により入力信号に付与される位相シフト量は0〜−πまでの範囲で各々変化する。また、移相フィルタ11および12の各々の入力信号に対するゲインは、周波数変化に対して一定ではなく、一方のゲインは周波数の増加により1から一定値(>1)に向けて漸次増加し、他方のゲインは周波数の増加により1から一定値(<1)に向けて漸次減少する。なお、移相フィルタ11および12の具体的な構成については後述する。
【0023】
図2(a)および(b)は、移相フィルタ11および12からなる移相回路1の全体としてのゲインおよび位相シフト量の周波数特性を例示したものである。図2(b)に例示するように、移相回路1によって入力信号に付与される位相シフト量は、0〜−2πまでの範囲で入力信号の周波数に応じて変化する。また、図2(a)に例示するように、移相回路1によって入力信号に付与されるゲインは、全周波数帯域を通じて一定値以上を保つが、位相シフト量が−π付近の値となる周波数においてピークとなる。
【0024】
乗算器2では、以上説明した移相回路1の出力信号に対し、所定の係数−aが乗じられる。一方、乗算器3では、移相回路1の出力信号に対し、所定の係数bが乗じられる。そして、加算器4により乗算器2の出力信号と元の入力モノラル信号Minとが加算され、加算器5により乗算器3の出力信号と元の入力モノラル信号Minとが加算される。そして、これらの加算器4および5の各加算結果がL、R2チャネルからなるステレオ形式のオーディオ信号として出力されるのである。
【0025】
図3(a)および(b)は本実施形態に係る擬似ステレオ回路のうちLチャネルのオーディオ信号の生成に係る信号処理系(具体的には移相回路1、乗算器2および加算器4からなる部分)の周波数特性を例示したものであり、図3(c)および(d)はRチャネルのオーディオ信号の生成に係る信号処理系(具体的には移相回路1、乗算器3および加算器5からなる部分)の周波数特性を例示したものである。
【0026】
図3(b)に示すように、Lチャネルのオーディオ信号の生成に係る信号処理系の位相シフト量は、0〜−2πまでの範囲で入力信号の周波数に応じて変化する。そして、図3(a)に例示するように、Lチャネルのオーディオ信号の生成に係る信号処理系のゲインは、全周波数帯域を通じて一定値以上を保つが、位相シフト量が−π付近の値となる周波数においてピークとなる。
【0027】
これに対し、Rチャネルのオーディオ信号の生成に係る信号処理系の位相シフト量は、図3(d)に示すように、全周波数帯域を通じてほぼ0であり、殆ど変化しない。しかし、図3(c)に例示するように、Rチャネルのオーディオ信号の生成に係る信号処理系のゲインの周波数特性は、Lチャネルのオーディオ信号の生成に係る信号処理系のものと殆ど同じ周波数特性となる。
【0028】
以上説明した各信号処理系の周波数特性は、上述した乗算器2および3の各乗算係数−aおよびbを適当に調整することにより得ることができる。
【0029】
かかる周波数特性を有する本実施形態によれば、入力モノラル信号Minがその周波数に応じた強度比および位相差を持ったL、R2チャネルのオーディオ信号に変換され、加算器4および5から出力される。この場合、Lチャネルのオーディオ信号とRチャネルのオーディオ信号の位相差がπとなる周波数近辺では、L、R各チャネルのオーディオ信号の生成に係る信号処理系のゲインがいずれもピークとなる。従って、πの位相差を持ったL、R2チャネルのオーディオ信号がスピーカから放音された場合に生じる、いわゆる中抜け現象(L、R2チャネルの音が空気中で相殺し、聞こえなくなる現象)を防止することができる。すなわち、本実施形態によれば、図1に示すような極めて簡素な構成により、従来の擬似ステレオ回路に比して遜色のない性能が得られるのである。
【0030】
次に図4を参照し、本実施形態に係る擬似ステレオ回路の具体的な回路構成例について説明する。なお、この図4では、前述した図1に示す構成との対応関係を明確にするため、各図間で対応する各構成要素には共通の符号を使用している。
【0031】
図4において、移相フィルタ11は、オペアンプ51、抵抗52〜54およびキャパシタ55により構成されている。この移相フィルタ11では、入力モノラル信号Minが抵抗52およびキャパシタ55からなる時定数回路を介してオペアンプ51の非反転入力端(+)に入力されるとともに、抵抗53を介してオペアンプ51の反転入力端(−)に入力される。また、反転入力端(−)には抵抗54を介しオペアンプ51の出力信号が帰還される。前掲図6におけるオールパスフィルタ101Lではオペアンプ301の反転入力端(−)側の入力抵抗303と帰還抵抗304とが同一の抵抗値を有していた。しかし、この移相フィルタ11では、オペアンプ51の帰還抵抗54は、反転入力端(−)側の入力抵抗53の2倍の抵抗値を有している。この点を除けば、図4に示す移相フィルタ11は、前掲図6におけるオールパスフィルタ101Lと同様な構成である。
【0032】
ここで、抵抗53の抵抗値をR、抵抗54の抵抗値を2Rとすると、次式が成立する。
(Min−Vn)/R=(Vn−Vo)/(2R) ……(7)
ただし、上記式において、Vnはオペアンプ51の反転入力端(−)の入力電圧、Voはオペアンプ51の出力電圧である。
【0033】
従って、オペアンプ51の反転入力端(−)の入力電圧Vnは、次式のように与えられる。
Vn=(2Min+Vo)/3 ……(8)
【0034】
一方、抵抗52の抵抗値をR1、キャパシタ55の容量値をC1、入力モノラル信号Minの角周波数をωとすると、オペアンプ51の非反転入力端(+)の入力電圧Vpは次式により与えられる。
Vp=Min/(1+jωC1R1) ……(9)
【0035】
そして、移相フィルタ11ではその負帰還動作によりVp=Vnとなるため、次式が成立することとなる。
(2Min+Vo)/3=Min/(1+jωC1R1) ……(10)
【0036】
この式(10)を変形することにより、移相フィルタ11の伝達関数H1が以下のように得られる。
Figure 0003906533
【0037】
上記式(11)より移相フィルタ11の位相シフト量θ1は、
Figure 0003906533
となる。この式(12)より、角周波数ωが0から∞まで変化する間に移相フィルタ11の位相シフト量θ1が0〜−πまで変化することが分かる。
【0038】
また、式(10)より移相フィルタ11のゲインG1は、
Figure 0003906533
となる。この式(13)より、角周波数ωが0から∞まで変化する間に移相フィルタ11のゲインG1は1から2まで変化することが分かる。
【0039】
次に移相フィルタ12は、オペアンプ61、抵抗62〜64およびキャパシタ65により構成されている。この移相フィルタ12は、オペアンプ61の反転入力端(−)側の入力抵抗63が帰還抵抗64の抵抗値の2倍となっている点を除けば、上記移相フィルタ11と同様な構成である。
【0040】
そして、移相フィルタ12では、上記入力抵抗63の抵抗値が帰還抵抗64の抵抗値の2倍であることから、反転入力端(−)の入力電圧Vn’は次式のように与えられる。
Vn’=(Min’+2Vo’)/3 ……(14)
ただし、上記式においてMin’は移相フィルタ12に対する入力信号、Vo’は移相フィルタ12の出力信号である。
【0041】
そして、上記式(14)に基づき、移相フィルタ11の場合と同様な演算により移相フィルタ12の伝達関数H2を求めると、次式のようになる。
Figure 0003906533
【0042】
上記式(15)より移相フィルタ12の位相シフト量θ2は、
Figure 0003906533
となる。この式(16)より、角周波数ωが0から∞まで変化する間にこの移相フィルタ12の位相シフト量θ2も0〜−πまで変化することが分かる。
【0043】
また、式(15)より移相フィルタ11のゲインG2は、
Figure 0003906533
となる。この式(17)より、角周波数ωが0から∞まで変化する間に移相フィルタ12のゲインG2が1から1/2まで変化することが分かる。
【0044】
次に移相フィルタ11および12からなる移相回路1全体としての位相シフト量θおよびゲインGについて説明する。
【0045】
まず、移相回路1全体としての位相シフト量θは、上記式(12)および(16)から次のようになる。
Figure 0003906533
この位相シフト量θは、角周波数ωが0から∞まで変化する間に0〜−2πまで変化することとなる。
【0046】
また、移相回路1全体としてのゲインGは、上記式(13)および(17)から次のようになる。
Figure 0003906533
【0047】
既に説明した通り、角周波数ωが0から∞まで変化する間に、移相フィルタ11のゲインG1は1から2まで変化し、移相フィルタ12のゲインG2は1から1/2まで変化する。従って、上記式(19)によって与えられる移相回路1全体としてのゲインGは、角周波数ωが0から増加するに従って1から増加し、ある角周波数ω0においてピークに達し、その後は、角周波数ωが増加するに従って減少し、ω=∞においては1となる。
【0048】
ゲインGがピークとなる角周波数ω0は、上記式(19)からdG/dωを求め、方程式dG/dω=0をωについて解くことにより求めることができる。その結果を示すと次のようになる。
Figure 0003906533
【0049】
ここで、簡単のため、
C1R1=C2R2=τ ……(21)
なる条件を追加する。この条件の下では、上記式(20)から次式が得られる。ω0=1/τ ……(22)
【0050】
また、上記式(18)において上記式(21)の条件を課し、ωとして上記ω0を代入すると、
Figure 0003906533
となる。
【0051】
このように図4に示す回路例においては、入力モノラル信号Minの角周波数ωがω0=1/τのときに移相回路1の位相シフト量θが−πとなり、かつ、ゲインGがピークとなるのである。
【0052】
以上が移相回路1の詳細である。なお、図4に示す具体的回路では、移相回路1の位相シフト量θが−πとなる周波数とゲインGがピークとなる周波数が正確に一致しているが、両周波数は厳密に一致している必要はなく、両者の間の周波数差が充分に小さいのであれば上述した本実施形態の効果を得ることが可能である。
【0053】
次にこの移相回路1の出力信号と入力モノラル信号からL、R2チャネルのステレオ形式のオーディオ信号を生成する信号処理系について説明する。
【0054】
まず、位相反転回路70は、オペアンプ71、抵抗72および73によって構成されている。この位相反転回路70は、移相回路1の出力信号の位相を反転して出力する。
【0055】
次に乗加算器80は、オペアンプ81および抵抗82〜83により構成されている。この乗加算器80は、位相反転回路70の出力信号と入力モノラル信号Minに所定の係数を各々乗じ、各乗算結果を加算した信号をLチャネルのオーディオ信号として出力する。前述した位相反転回路70とこの乗加算器80は、前掲図1における乗算器2および加算器4に相当する手段を構成している。この乗加算器80において、位相反転回路70の出力信号に乗じる係数は、抵抗82の抵抗値Ra1の調整により調整することができ、入力モノラル信号Minに乗じる係数は抵抗83の抵抗値Ra2の調整により調整することができる。
【0056】
そして、乗加算器90は、オペアンプ91および抵抗92〜95により構成されている。この乗加算器90は、移相回路1の出力信号と入力モノラル信号Minに所定の係数を各々乗じ、各乗算結果を加算した信号をRチャネルのオーディオ信号として出力するものであり、前掲図1における乗算器3および加算器5に相当する手段である。移相回路1の出力信号および入力モノラル信号Minの各々に乗じる係数は、抵抗92の抵抗値Rb1および抵抗93の抵抗値Rb2の調整により各々調整することができる。この乗加算器90の各乗算係数および上記乗加算器80の各乗算係数については、既に説明した通り、前掲図3(a)〜(d)の各周波数特性が得られるよう最適な値を設定する。
以上がこの擬似ステレオ回路の具体的回路の詳細である。
【0057】
図5は、以上説明した本実施形態に係る擬似ステレオ回路の具体的な使用例として、擬似ステレオ回路21と、サラウンド回路22と、トーンコントロール回路23とを縦続接続したサラウンドシステムを例示するものである。本実施形態によれば、擬似ステレオ回路21を従来よりも簡素かつ小規模な回路構成とすることができるため、サラウンドシステム全体を低価格にすることができる。また、本実施形態に係る擬似ステレオ回路は、部品点数が少ないにも拘わらず従来のものに比べて遜色のない性能が得られるため、サラウンドシステムを低価格かつ高性能なものとすることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る擬似ステレオ回路は、構成が簡素であり、かつ、従来のものに劣らない性能が得られるため、サラウンドシステム等の各種のオーディオシステムとして、低価格かつ高性能なものを構成することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態である擬似ステレオ回路の構成を示すブロック図である。
【図2】 同実施形態における移相回路の周波数特性を例示する図である。
【図3】 同実施形態においてL、R各チャネルのオーディオ信号の生成を行う各信号処理系の周波数特性を例示する図である。
【図4】 同実施形態の具体的回路例を示す回路図である。
【図5】 同実施形態の使用例であるサラウンドシステムを示すブロック図である。
【図6】 従来の擬似ステレオ回路の構成を示すブロック図である。
【図7】 同擬似ステレオ回路におけるL、R2チャネルに対応した各移相回路の周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
1……移相回路、11および12……移相フィルタ、
2および3……乗算器、4および5……加算器(以上、ミキシング手段)。

Claims (4)

  1. 入力モノラル信号の位相をその周波数の増加に応じた位相シフト量だけシフトする手段であって、前記入力モノラル信号に対するゲインは、周波数がゼロにおいて所定レベルであり、周波数がゼロから増加するにしたがって増加し、前記位相シフト量が−π付近の値となる周波数においてピークとなり、この後、周波数が増加するにしたがって減少し、周波数が無限大において前記所定レベルとなる周波数特性を有する移相回路と、
    前記移相回路の出力信号の位相を反転した信号および前記入力モノラル信号とを所定のミキシング比でミキシングした信号を生成し、左右2チャネルからなるステレオ形式オーディオ信号の一方のチャネルのオーディオ信号として出力するとともに、前記移相回路の出力信号と前記入力モノラル信号とを所定のミキシング比でミキシングした信号を生成し、前記左右2チャネルからなるステレオ形式オーディオ信号の他方のチャネルのオーディオ信号として出力するミキシング手段と
    を具備することを特徴とする擬似ステレオ回路。
  2. 前記入力モノラル信号の周波数の変化に対し、前記入力モノラル信号を基準とした前記一方のチャネルのオーディオ信号の位相シフト量は、周波数がゼロのときにゼロであり、周波数がゼロから増加するにしたがって低下し、周波数が無限大のときに−2πであり、かつ、前記入力モノラル信号を基準とした前記他方のチャネルのオーディオ信号の位相シフト量は、周波数全域にわたって所定の範囲に保たれた
    ことを特徴とする請求項1に記載の擬似ステレオ回路。
  3. 前記ミキシング回路は、
    前記移相回路の出力信号を反転した信号および前記入力モノラル信号にそれぞれ所定の係数を乗じて加算する第1の乗加算器と、
    前記移相回路の出力信号および前記入力モノラル信号にそれぞれ所定の係数を乗じて加算する第2の乗加算器と、
    を有し、前記所定の係数は、前記各チャネルのオーディオ信号の各ゲインが全周波数帯域を通じて等しくなるように設定されてなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の擬似ステレオ回路。
  4. 縦続接続された2個の移相フィルタによって前記移相回路が構成され、
    各移相フィルタが、
    演算増幅器と、
    前記演算増幅器の非反転入力端に入力信号を伝達する抵抗およびキャパシタからなる時定数回路と、
    前記入力信号を前記演算増幅器の反転入力端に伝達する入力抵抗と、
    前記演算増幅器の反転入力端と出力端との間に介挿された帰還抵抗と
    により構成されてなり、
    一方の移相フィルタにおける前記入力抵抗および帰還抵抗の比が1より大きく、他方の移相フィルタにおける前記入力抵抗および帰還抵抗の比が1より小さく設定されてなる
    ことを特徴とする請求項1、2またはに記載の擬似ステレオ回路。
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