JP3902915B2 - 車内信号用地上装置、車内信号用車上装置および車内信号システム - Google Patents

車内信号用地上装置、車内信号用車上装置および車内信号システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、列車内で信号現示するための情報を地上から列車に向けて送出する車内信号用地上装置、列車に搭載される車内信号用車上装置およびこれらを組み合わせた車内信号システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
前方列車との間に安全距離を保つための装置として、信号機、ATS(自動列車停止装置)、ATC(自動列車制御装置)等が使用されている。
【0003】
これらのうち線路脇等に設置される信号機は、軌道回路からの列車の在線情報を用いて自動で点灯制御される。軌道回路は、列車の進出側になる送信端から列車の進入側になる受信端に向けて2本のレールを往路と復路とする回路を形成し、送信端の側から軌道回路信号を流すものである。軌道回路の途中に列車が在線すると、車軸と通じて2本のレール間が短絡し、送信端からの軌道回路信号が受信端の側で検知できず無信号になり、在線が検出されるようになっている。
【0004】
軌道回路を用いた信号機の自動制御では、図6に示すように、軌道回路(5T)の閉そく区間に列車901が在線することにより当該軌道回路の受信端(5TR)で無信号が検出される。当該無信号の検出により、その区間の閉そく信号機902が赤の停止現示を行う。また受信端(5TR)で無信号が検出されるとその後方の軌道回路(4T)の送信端903から送出する軌道回路信号904の極性を反転させる。そして当該の軌道回路(4T)の受信端(4TR)で軌道回路信号の極性が反転していることを検出すると、対応する信号機905が黄色の注意現示を行うようになっている。
【0005】
ATS制御も、軌道回路からの在線情報に基づいて行われており、通常、前方列車への衝突防止は、信号機とATSとを組み合わせて行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の信号機には、電球交換や視認距離の調整など、保守点検のための現場作業がどうしても伴う。これらの作業は、信号機が列車の通る線路脇に設置されている関係上、安全性に十分配慮して行う必要がある。また屋外作業なので汚れや寒さなどの伴う悪条件での作業になりやすい。
【0007】
視認性については、線路脇等の信号機を走行中の列車から見ることになるので、見落としや勘違いが生じやすいという問題がある。さらに、雨や霧、雪などの気象条件によっても視認性が低下してしまうという問題がある。
【0008】
一方、ATCは、制限速度が常時、車内に表示されるので高い視認性と安全性を確保できるが、膨大な設備投資を伴うので、すべての路線および列車に設備することは難しい。
【0009】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、屋外の信号機を取り去っても十分な安全性を確保することのできる車内信号システムであって少ない設備投資で実現可能なものを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1]列車内で信号現示するための情報を地上から列車に向けて送出する車内信号用地上装置(410)において、
一の閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を表した現示情報の入力を受け、当該現示情報と前記一の閉そく区間の後方閉そく区間を特定する識別情報とを載せた伝送信号であってレールを介して列車から受信可能なものを前記一の閉そく区間の後方閉そく区間のレールに送出する送信手段(112)と、列車検知手段(430)と、変換手段(413)とを有し、
前記列車検知手段(430)は、前記後方閉そく区間の途中に配置され、列車が当該箇所に到達したことを検出するものであり、
前記変換手段(413)は、前記送信手段(112)に代えて前記一の閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を表した現示情報の入力を受け、当該現示情報が停止現示を示すものであって列車が前記列車検知手段(430)の配置箇所に到達するまでは前記現示情報の示す現示内容を進行現示の側に少なくとも1段階近づけた現示内容を示す現示情報に変換して出力し、これ以外のときは入力を受けた現示情報をそのまま出力するものであり、
前記送信手段(112)は、レールを介して列車から受信可能な伝送信号であって前記変換手段(413)の出力する現示情報と前記一の閉そく区間の後方閉そく区間を特定する識別情報とを載せたものを前記一の閉そく区間の後方閉そく区間のレールに送出するものであることを特徴とする車内信号用地上装置(410)。
【0011】
[2]前記一の閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を表した現示情報を生成する現示情報取得手段(111)を有し、
前記送信手段(112)は、前記伝送信号を軌道回路信号として送出するものであり、
前記現示情報取得手段(111)は、前記一の閉そく区間の軌道回路に流れる軌道回路信号を受信し、当該軌道回路信号の有無と前記伝送信号としての前記軌道回路信号に含まれる現示情報とから列車の在線情報を取得し、これに基づいて前記一の閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を表した現示情報を生成するものであることを特徴とする[1]に記載の車内信号用地上装置(410)。
【0013】
]前記列車検知手段(430)を、前記一の閉そく区間から列車のブレーキ距離以上後方に配置することを特徴とする[]に記載の車内信号用地上装置(410)。
【0015】
]地上からの情報に基づいて列車内で信号現示する車内信号用車上装置(150)において、
走行距離計測手段(153、154)と、車上データベース(155)と、受信手段(151、152)と、演算処理手段(156)と、車内表示手段(160)とを有し、
前記走行距離計測手段(153、154)は、当該車内信号用車上装置(150)の搭載されている列車の走行距離を計測するものであり、
前記車上データベース(155)は、少なくとも各閉そく区間の長さを表す区間長情報を記憶したものであり、
前記受信手段(151、152)は、[1]または[2]に記載の車内信号用地上装置(410)がレールに送出した伝送信号を受信するものであり、
前記演算処理手段(156)は、前記受信手段(151、152)が受信した伝送信号に含まれる識別情報と前記車上データベース(155)に記憶されている情報と前記走行距離計測手段(153、154)からの走行距離情報に基づいて現在位置から1または2以上先の各前方閉そく区間までの距離をそれぞれ求めるとともに、前方閉そく区間までの距離が所定距離以上あるときは前記現示情報の示す現示内容を進行現示の側に少なくとも1段階近づけた現示内容を示す現示情報に基づいて1または2以上先の各前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を求め、前方閉そく区間までの距離が前記所定距離以下になった後は前記受信手段(151、152)が受信した伝送信号に含まれる現示情報に基づいて1または2以上先の各前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を求めるものであり、
前記車内表示手段(160)は、前記演算処理手段(156)で求めた1または2以上先の各前方閉そく区間までの距離とそれぞれの前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容とを対応付けて車内表示するものであることを特徴とする車内信号用車上装置(150)。
【0016】
]前記演算処理手段(156)は、前記受信手段(151、152)が受信した伝送信号に含まれる識別情報と前記車上データベース(155)に記憶されている情報と前記走行距離計測手段(153、154)からの走行距離情報と前記伝送信号に含まれる現示情報とに基づいて現在位置からの走行距離に対する目標速度の変化パターンを求めるものであり、
前記車内表示手段(160)は、前記演算処理手段(156)が求めた現在位置からの走行距離に対する目標速度の変化パターンを車内表示するものであることを特徴とする[]に記載の車内信号用車上装置(150)。
【0017】
]地上からの情報に基づいて列車内で信号現示する車内信号用車上装置(150)において、
走行距離計測手段(153、154)と、車上データベース(155)と、受信手段(151、152)と、演算処理手段(156)と、車内表示手段(160)とを有し、
前記走行距離計測手段(153、154)は、当該車内信号用車上装置(150)の搭載されている列車の走行距離を計測するものであり、
前記車上データベース(155)は、少なくとも各閉そく区間の長さを表す区間長情報を記憶したものであり、
前記受信手段(151、152)は、[1]、[2]または[3]に記載の車内信号用地上装置(410)がレールに送出した伝送信号を受信するものであり、
前記演算処理手段(156)は、前記受信手段(151、152)が受信した伝送信号に含まれる識別情報と前記車上データベース(155)に記憶されている情報と前記走行距離計測手段(153、154)からの走行距離情報と前記伝送信号に含まれる現示情報とに基づいて現在位置からの走行距離に対する目標速度の変化パターンを求めるものであり、
前記車内表示手段(160)は、前記演算処理手段(156)が求めた現在位置からの走行距離に対する目標速度の変化パターンを車内表示するものであることを特徴とする車内信号用車上装置(150)。
【0018】
]前記車上データベース(155)に、各閉そく区間の区間長情報と、駅データと、勾配データと、曲線データと、現示展開データと、分岐データの中の1または2以上のものを記憶していることを特徴とする[4]、[5]または[6]に記載の車内信号用車上装置(150)。
【0019】
][1]、[2]または[3]に記載の車内信号用地上装置(410)と[4]、[5]、[6]または[7]に記載の車内信号用車上装置(150)とからなることを特徴とする車内信号システム(100)。
【0020】
前記本発明は次のように作用する。
【0021】
車内信号用地上装置(110)は、一の閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を表した現示情報の入力を受け、当該現示情報とその閉そく区間また後方閉そく区間を特定する識別情報とを載せた伝送信号を後方閉そく区間のレールに送出する。この伝送信号は、レールを介して列車から受信可能なものであり、たとえば、軌道回路信号を符号化したり、AF(Audio Frequency)化したり、ディジタル信号化したり、軌道回路信号に重畳したりして送出されるものである。
【0022】
車内信号用車上装置(150)は、列車の走行距離を計測する走行距離計測手段(153、154)と、各閉そく区間の区間長等を予め記憶した車上データベース(155)と、受信手段(151、152)と、演算処理手段(156)と、車内表示手段(160)とを有する。走行距離計測手段(153、154)は当該列車の走行距離を計測し、受信手段(151、152)は、車内信号用地上装置(110)がレールに送出した伝送信号を受信する。演算処理手段(156)は、伝送信号に含まれる識別情報と、車上データベース(155)に記憶されている情報と、走行距離計測手段(153、154)からの走行距離情報に基づいて現在位置から1または2以上先の各前方閉そく区間までの距離をそれぞれ求める。
【0023】
さらに演算処理手段(156)は、伝送信号に含まれる現示情報に基づいて1または2以上先の各前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を求める。たとえば、現示情報の内容が注意現示の場合には、次の前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容として注意現示を、さらにその1つ先の前方閉そく区間については停止現示を求める。
【0024】
車内表示手段(160)は、演算処理手段(156)で求めた1または2以上先の各前方閉そく区間までの距離とそれぞれの前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容とを対応付けて車内表示する。
【0025】
このように、前方信号の現示内容を示す現示情報とその閉そく区間または後方閉そく区間の識別情報とを載せた伝送信号をレールに流し、これを列車側で受信し、車上データベース(155)に記憶してある各種の情報と受信した情報とから、1または2以上先の各前方閉そく区間までの距離と、1または2以上先の各前方信号の現示内容とを求め、これらを対応付けて車内表示するので、運転士は、走行中にいつでも1または2以上先の各前方信号までの距離とそれぞれの各前方信号の現示内容とを確認することができる。また車内に表示するので、雨、霧、雪などの影響で視認性が低下することもない。
【0026】
さらに演算処理手段(156)により、現在位置からの走行距離に対する目標速度の変化パターンを求め、これを表示するものでは、ATCに近い車内表示を得ることができ、より高い安全性を少ない設備投資で得ることができる。
【0027】
また地上装置側で、後方閉そく区間の途中に列車検知手段(430)を配置し、列車が当該箇所に到達したことを検出する。列車検知手段(430)は、前方の閉そく区間から列車のブレーキ距離以上後方に配置する。そして変換手段(413)は、入力された現示情報が停止現示を示すものであって列車が列車検知手段(430)の配置箇所に到達するまでの間は、先の現示情報の示す現示内容を進行現示の側に少なくとも1段階近づけた現示内容を示す現示情報に変換して出力し、これ以外のときは入力された現示情報をそのまま出力する。送信手段(112)は、変換手段(413)からの現示情報を載せた伝送信号をレールに送出する。
【0028】
これにより、たとえば、現示情報が停止現示(赤)であっても、列車が列車検知手段(430)の配置箇所に到達するまでは車内表示が注意現示となり、列車検知手段(430)の配置箇所に到達してから車内表示が停止現示に切り替わることになる。
【0029】
このように、列車が列車検知手段(430)の配置箇所に到達するまでは停止現示に代えて注意現示等が車内表示されるので、運転士にとって必要な箇所で停止現示に切り替わり、運転が容易となる。
【0030】
また、車上装置(150)で前方閉そく区間までの距離を求め、当該距離が所定距離以上あるときは、地上装置(110)から受信した現示情報の示す現示内容を進行現示の側に少なくとも1段階近づけた現示内容を示す現示情報に基づいて1または2以上先の各前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を求めて車内表示し、前方閉そく区間までの距離が所定距離以下になった後は受信したそのままの現示情報に基づいて1または2以上先の各前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を求めて車内表示する。
【0031】
このように車上装置の側で求めた前方閉そく区間までの距離に基づいて、受信した現示情報を進行現示の側へ1段階近づけるか否かの制御を行うので、前方閉そく区間から適切な距離の手前で本来の信号現示が行われるようになり、運転が容易となる。また列車検知装置等の設置が不要になり、地上装置の簡略化を図ることができる。
【0032】
なお、現示情報を載せた伝送信号を軌道回路信号として送出するものでは、前方閉そく区間の車内信号地上装置が送出した軌道回路信号を現示情報取得手段(111)で受信し、当該軌道回路信号の有無と軌道回路信号に含まれる現示情報とから列車の在線情報を取得し、これに基づき、前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を表した現示情報を生成するようにしてもよい。このようにすれば、軌道回路信号の極性を反転させるなどして軌道回路信号の情報量を増やす措置を別途に設ける必要がなくなり、信号設備全体として装置構成の簡略化を図ることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の一実施の形態を説明する。
各図は、本発明の各種の実施の形態を示している。
図1に示すように本発明の第1の実施の形態にかかる車内信号システム100は、地上装置本体110と、車上装置150とから構成される。地上装置本体110は、現示情報取得手段111と、送信手段112を有する。
【0034】
現示情報取得手段111は、閉そく区間171の軌道回路から列車の在線情報を取得し、これに基づいて閉そく区間171の閉そく信号機が信号現示すべき内容を表す現示情報を生成するものである。より具体的には、閉そく区間171の軌道回路に流れる軌道回路信号を受信し、当該軌道回路信号の有無および軌道回路信号に含まれる現示情報から当該軌道回路の閉そく区間に対する閉そく信号機が信号現示すべき内容を表す現示情報を生成する機能を有している。
【0035】
たとえば、閉そく区間171の軌道回路から軌道回路信号を受信できない(無信号)ときは、閉そく区間171に列車が在線すると判定し、停止現示の現示情報を生成し出力する。取得した軌道回路信号が停止現示の現示情報を含むときは、閉そく区間171に列車は在線しないが閉そく区間171のさらに前方の閉そく区間に列車が在線すると判定し注意現示の現示情報を出力する。
【0036】
取得した軌道回路信号が注意現示の現示情報を含むときは、閉そく区間171およびさらにその前方の閉そく区間に列車が在線しないと判定し進行現示の現示情報を出力する。また、軌道回路信号が進行現示の現示情報を含むときは、少なくとも閉そく区間171およびその前方の閉そく区間に列車が在線しないと判定し進行現示の現示情報を出力するようになっている。なお1つの閉そく区間は1つの軌道回路で構成されており、閉そく区間と軌道回路とは1対1に対応している。
【0037】
送信手段112は、レールを介して列車から受信可能な軌道回路信号に現示情報取得手段111からの現示情報と閉そく区間172を一意に特定するための識別情報とを載せ、これを閉そく区間171の後方閉そく区間172のレールに送出する機能を果たすものである。たとえば、軌道回路信号を符号化することで現示情報および識別情報を軌道回路信号に載せたり、現示情報および識別情報を表す別の伝送信号を軌道回路信号に重畳したり、軌道回路信号を新たにAF化したり、FSK(Frequency Shift Keying)により軌道回路信号を変調してディジタル信号化する等により現示情報および識別情報を伝送する。ここでは、軌道回路信号を現示情報取得手段111からの現示情報および識別情報に従って変調することにより、伝送信号としての機能を軌道回路信号に持たせている。また識別情報は、各閉そく区間の軌道回路毎に予め固有に割り当ててある。
【0038】
列車10に搭載される車上装置150は、受信手段151と、走行距離計測手段153と、車上データベース155と、演算処理手段156と、車内表示手段160とから構成される。受信手段151には、レールに流れる軌道回路信号を受信するためのアンテナ152が接続される。受信手段151は、レールに流れる軌道回路信号を、アンテナ152を通じて受信し、受信した軌道回路信号に含まれる現示情報および識別情報を抽出するものである。
【0039】
走行距離計測手段153には、車軸の回転を検出するエンコーダ154が接続されている。走行距離計測手段153は、エンコーダ154の出力信号に基づいて列車10の走行距離を計測するようになっている。
【0040】
車上データベース155は、駅データ、勾配データ、曲線データ、軌道回路データ、現示展開データ、分岐データなど当該車上装置150が搭載された列車の走行する線区に関する各種の情報を予め登録したデータベースである。軌道回路データとしては、各軌道回路の識別情報と対応付けてその軌道回路の区間長を示す区間長情報が登録されている。また線区内での軌道回路の配置構成(マップ情報)を記憶している。これにより、たとえば1つの識別情報が与えられると前方閉そく区間、さらにその前方閉そく区間がどの識別情報の閉そく区間(軌道回路)であるかや、駅がどこに存在するか、各閉そく区間内での勾配の状況や曲率半径等を把握することができる。現示展開データは、信号現示がG、Y、Rの3現示で行われるか、G,YG、Y、Rの4現示で行われるか、G,YG、Y、YY、Rの5現示で行われるか等を示すものである。
【0041】
演算処理手段156は、受信手段151が受信した伝送信号に含まれる識別情報と車上データベース155に記憶されている区間長情報等と走行距離計測手段からの走行距離情報に基づいて、現在位置から1または2以上先の各前方閉そく区間までの距離をそれぞれ求める機能を有している。
【0042】
より具体的には、演算処理手段156は、受信手段151が受信する伝送信号に含まれる識別情報が変化した時点を、その識別情報が示す閉そく区間(軌道回路)に進入した時点とし、その時点からの走行距離と、当該識別情報が示す閉そく区間の区間長情報とに基づいて、現在位置から次の前方閉そく区間までの距離Aを求める。さらに次の次の前方閉そく区間までの距離は、車上データベースに記憶されている次の前方閉そく区間の区間長Bを距離Aに加算し、A+Bとして求める。
【0043】
また演算処理手段156は、受信手段151が受信した伝送信号に含まれる現示情報に基づいて1または2以上先の各前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を求める機能を有する。たとえば、現示展開パターンが3現示の場合には、受信した伝送信号に含まれる現示情報が注意現示であれば、次の前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容として注意現示を、次の次の前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容として停止現示を選択する等である。
【0044】
さらに演算処理手段156は、受信手段151が受信した伝送信号に含まれる識別情報と車上データベース155に記憶されている区間長情報、勾配データ、曲線データなどの各種情報と走行距離計測手段153からの走行距離情報と伝送信号に含まれる現示情報とに基づいて、現在位置からの走行距離に対応する目標速度の変化パターンを求める機能を有している。
【0045】
車内表示手段160は、演算処理手段156で求めた1または2以上先の各前方閉そく区間までの距離とそれぞれの前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容とを対応付けて車内表示する機能を有している。また車内表示手段160は、演算処理手段156が求めた現在位置からの走行距離に対する目標速度の変化パターンを車内表示する機能を有している。ここでは、ディスプレイに、上記の内容を図3に示すように表示するようになっている。
【0046】
図3に示す表示画面300の例では、当該列車の模擬的に表した列車表示301を表示するとともに、その向かって左横に、現在位置における信号現示を行うための現在信号表示302が表示される。また現在信号表示302の向かって左横には、当該列車の現在速度を表示する速度表示部303が設けてある。列車表示301の前方には直線状に伸びる線路表示304がある。線路表示304は、当該列車の前方に伸びる線路を模擬表示したものである。
【0047】
線路表示304に沿って列車表示301の前方には、前方閉そく区間の閉そく信号機を模した前方信号表示305が表示される。前方信号表示305の向かって左横には、次の前方閉そく区間までの距離を表示するための第1距離表示部306が配置される。前方信号表示305の前方には、次の次の前方閉そく区間の閉そく信号機を模した前前方信号表示307が表示される。前前方信号表示307の向かって左横には、次の次の前方閉そく区間までの距離を表示するための第2距離表示部308が配置される。
【0048】
表示画面300の向かって右約半分には、現在位置からの走行距離と目標速度との関係を示すグラフ310が表示される。横軸は目標速度、縦軸は現在位置からの距離を示している。たとえば、図3に示す例では、次の前方閉そく区間に到達する時点(650m先)では、目標速度が約52km/hであり、次の次の前方閉そく区間に到達する直前には、目標速度が0km/hであることがグラフ表示されている。また、ATSが作動するポイントを矢印312で示してある。
【0049】
前方信号表示305、前前方信号表示307は、列車が走行するに従って、列車との距離が短くなるので、表示画面300上では、列車表示301の方へ次第に近づくように表示される。またグラフ310も同様に、列車が走行するに従って下方へ移動するように表示される。
【0050】
次に作用を説明する。
図2は、車内信号システム100を構成する地上装置本体110を各閉そく区間(軌道回路)に配置した線区の一部を示している。地上装置本体110a〜110fは、閉そく区間同士の境界に配置される。各地上装置本体110a〜110fは、前方の軌道回路から軌道回路信号を常時受信し、これに基づいて現示情報を生成し、当該現示情報と後方の閉そく区間を表す識別情報とを載せた軌道回路信号を後方の軌道回路へ常時送出する。
【0051】
図2の例では、軌道回路6Tよりも前方の数区間に列車が在線しておらず、軌道回路6Tには、進行現示の現示情報と軌道回路6Tの識別情報とを載せた軌道回路信号(6T−G信号))が流れている。軌道回路6Tと軌道回路5Tとの間に配置された地上装置本体110fは、軌道回路6Tに流れる軌道回路信号から進行現示の現示情報を取得し、これに基づいて進行現示の現示情報と軌道回路5Tの識別情報とを載せた軌道回路信号(5T−G信号)を生成して軌道回路5Tに送出する。
【0052】
軌道回路5Tに在線する列車210に搭載された車上装置150の受信手段151は、軌道回路5Tに流れる軌道回路信号をアンテナ152を介して受信する。そして受信した軌道回路信号に含まれる進行現示の現示情報と識別情報を抽出する。走行距離計測手段153は、受信手段151が受信した伝送信号に含まれている識別情報が変化するごとに走行距離をリセットして計測する。これにより、現在走行中の軌道回路に進入してからの走行距離が計測される。
【0053】
演算処理手段156は、受信手段151が受信した識別情報に対応する閉そく区間(軌道回路)についての情報を車上データベース155から読み出す。そして、識別情報が示す閉そく区間の区間長から走行距離計測手段153が計測している走行距離aを減算することで、次の前方閉そく区間までの距離Aを求める。ここでは軌道回路5Tについての区間長L5を読み出し、L5からaを減算して距離Aを求める。さらに先の識別情報5Tと線区内のマップ情報とから次の前方閉そく区間である6Tを割り出し、当該次の前方閉そく区間の区間長L6を読み出す。そして距離Aに区間長L6を加算することで、次の次の前方閉そく区間までの距離を求める。
【0054】
演算処理手段156は、受信手段151が受信した現示情報の内容を次の閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容とし、当該現示内容に基づいて次の次の閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を求める。ここでは、受信した現示情報が進行現示を表しているので、次の閉そく区間の閉そく信号機および次の次の閉そく区間の閉そく信号機のいずれについても信号現示の内容を進行現示に設定する。
【0055】
さらに演算処理手段156は、受信手段151が受信した伝送信号に含まれる識別情報と車上データベース155に記憶されている区間長情報、勾配データ、曲線データなどの各種情報と、走行距離計測手段153からの走行距離情報と、伝送信号に含まれる現示情報とに基づいて、現在位置からの走行距離に対する目標速度の変化パターンを求める。
【0056】
列車210に搭載されている車上装置150の車内表示手段160は、演算処理手段156が求めた内容にしたがって車内表示する。すなわち、次の前方閉そく区間までの距離Aを第1距離表示部306に表示し、次の次の前方閉そく区間までの距離A+L6を第2距離表示部308に表示する。また次の閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容が進行現示(G)であるので前方信号表示305に緑色を表示する。次の次の閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容も進行現示(G)なので前前方信号表示307にも緑色を表示する。なお、前方信号表示305が進行現示の場合には現在信号表示302にも、進行現示(G)に相当する緑色を表示する。
【0057】
車内表示手段160は、さらに演算処理手段156が求めた目標速度の変化パターンを表示する。ここでは、現在信号表示302、前方信号表示305、前前方信号表示307がすべて進行現示なので、目標速度は、75km/h等の一定速度で変化しない状態が表示される。
【0058】
軌道回路5Tに列車210が在線することから、5T用の地上装置本体110fから軌道回路5Tに送出した軌道回路信号は、軌道回路5Tと軌道回路4Tの間に配置された4T用の地上装置本体110eに到達しない。4T用の地上装置本体110eの現示情報取得手段111は、軌道回路5Tからの軌道回路信号が途絶えて無信号になっていることを検出し、停止現示の現示情報を生成する。そして、4T用の地上装置本体110eの送信手段112は、当該停止現示の現示情報と軌道回路4Tの識別情報とを載せた軌道回路信号(4T−R信号)を軌道回路4Tに送出する。
【0059】
仮に、軌道回路4Tのいずれかの箇所に列車が在線すれば、当該列車の車上装置150は、軌道回路4Tに流れる軌道回路信号(4T−R信号)を受信して、前方信号表示305に停止現示に相当する赤色を表示することになる。
【0060】
軌道回路4Tと軌道回路3Tの間に配置された3T用の地上装置本体110dは、軌道回路4Tからの軌道回路信号が停止現示の現示情報を含んでいることから、注意現示の現示情報を生成する。3T用の地上装置本体110dの送信手段112は、当該注意現示の現示情報と軌道回路3Tの識別情報とを載せた軌道回路信号(3T−Y信号)を軌道回路3Tに送出する。
【0061】
仮に、軌道回路3Tのいずれかの箇所に列車が在線すれば、当該列車の車上装置150は、軌道回路3Tに流れる軌道回路信号(3T−Y信号)を受信する。そして受信した軌道回路信号に含まれる注意現示の現示情報と3Tの識別情報を抽出する。演算処理手段156は、受信手段151が受信した識別情報3Tと、車上データベース155に記憶された情報と、走行距離計測手段153が計測している走行距離とから、次の前方閉そく区間までの距離と次の次の前方閉そく区間までの距離を求める。
【0062】
演算処理手段156は、受信手段151が受信した現示情報が注意現示を表しているので、次の閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を注意現示とし、次の次の閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を停止現示に設定する。さらに演算処理手段156は、受信手段151が受信した伝送信号に含まれる識別情報3Tと車上データベース155に記憶されている区間長情報(L3、L4)、勾配データ、曲線データなどの各種情報と、走行距離計測手段153からの走行距離情報と、伝送信号に含まれる注意現示の現示情報とに基づいて、現在位置からの走行距離に対する目標速度の変化パターンを求める。
【0063】
列車210に搭載されている車上装置150の車内表示手段160は、演算処理手段156が求めた内容にしたがって車内表示する。受信した現示情報が注意現示の場合には、図3に示すような車内表示が行われることになる。すなわち、次の前方閉そく区間までの距離を第1距離表示部306に表示し、対応する前方信号表示305に注意現示に相当する黄色を表示する。また次の次の前方閉そく区間までの距離を第2距離表示部308に表示し、対応する前前方信号表示307には停止現示に相当する赤色を表示する。さらに演算処理手段156が求めた目標速度の変化パターンを表示する。ここでは、走行距離に応じて次第に目標速度が低下し、次の次の前方閉そく区間の直前で速度がゼロになるような目標速度パターンが表示される。
【0064】
軌道回路3Tと軌道回路2Tとの間に配置された2T用の地上装置本体110cは、軌道回路3Tからの軌道回路信号が注意現示の現示情報を含んでいることから、進行現示の現示情報を生成する。2T用の地上装置本体110cの送信手段112は、当該進行現示の現示情報と軌道回路2Tの識別情報とを載せた軌道回路信号(2T−G信号)を軌道回路2Tに送出する。
【0065】
このように、前方信号の現示内容を示す現示情報とその後方閉そく区間の識別情報とを載せた伝送信号を軌道回路信号としてレールに流し、これを列車側で受信し、車上のデータベースに記憶してある各種の情報と受信した情報とから、1または2以上先の各前方閉そく区間までの距離と、1または2以上先の各前方信号の現示内容とを求め、これらを対応付けて車内表示するので、運転士は、走行中にいつでも1または2以上先の各前方信号までの距離とそれぞれの各前方信号の現示内容とを確認することができ、信号の見落としや誤認の発生を防止することができる。また車内に表示するので、雨、霧、雪などの影響で視認性が低下することもない。さらに現在位置からの走行距離に対する目標速度の変化パターンを求めて車内表示するので、少ない設備投資でATCに近い車内表示を得ることができる。
【0066】
なお、演算処理手段156は、前方閉そく区間までの距離が予め定めたブレーキ距離以上あるか否かに応じて以下のように車内信号の表示内容を変更してもよい。すなわち、前方閉そく区間までの距離が予め定めたブレーキ距離以上あるときは、受信した現示情報の示す現示内容を進行現示の側に少なくとも1段階近づけた現示内容を示す現示情報に変換し、当該変換した後の現示情報に基づいて1または2以上先の各前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を求める。そして前方閉そく区間までの距離が所定距離以下になった後は受信手段が受信した伝送信号に含まれる現示情報に基づいて1または2以上先の各前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を求める。
【0067】
たとえば、図3の場合において、ブレーキ距離が500mであれば、第1距離表示部306に表示される距離が500m以上ある間は、前方信号表示305に進行現示に相当する緑色が表示され、前前方信号表示307に注意現示に相当する黄色が表示される。そして、前方閉そく区間までの距離が500m以下になると、前方信号表示305に注意現示に相当する黄色が、前前方信号表示307に停止現示相当する赤色が表示される。このようにすれば、運転士にとって適切なタイミングで信号現示の内容が切り替わり、運転がし易くなる。
【0068】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図4は、第2の実施の形態における車内表示システムの構成を示している。第2の実施の形態では、地上装置として列車検知手段430が付加されるとともに、地上装置本体110に代えて、これに変換手段413を追加した地上装置本体410を用いる。車上装置150は、第1の実施の形態で示したものと同一である。
【0069】
列車検知手段430は、送信手段112が軌道回路信号を送出する閉そく区間の途中に配置され、列車が当該箇所に到達したことを検出するものである。ここでは、閉そく区間171との境界から、いわゆるブレーキ距離に相当するだけ後方へ離れた箇所に列車検知手段430を配置してある。
【0070】
変換手段413は、現示情報取得手段111から現示情報を入力し、これを変換して、あるいは変換せずに送信手段112へ出力するものである。変換手段413は、現示情報取得手段111からの現示情報が停止現示を表すものであるとき、列車が列車検知手段430の配置箇所に到達するまでは、現示情報取得手段111からの現示情報の示す現示内容を進行現示の側に少なくとも1段階近づけた現示内容を示す現示情報に変換して出力する。また、列車が列車検知手段430の配置箇所に到達した後を含め、上記の場合以外のときは、現示情報取得手段111からの現示情報をそのまま送信手段112へ出力する。
【0071】
図5は、図4に示した列車検知手段430および地上装置本体410を各閉そく区間に配置した線区の一部を示している。地上装置本体410a〜410fは、閉そく区間同士の境界に配置されている。列車検知手段430a〜430fは、前方の閉そく区間からいわゆるブレーキ距離だけ後方に離れた箇所(以下、B点ともいう)にそれぞれ配置してある。
【0072】
図5において、軌道回路6Tと軌道回路5Tとの間に配置された地上装置本体410fは、軌道回路6Tに流れる軌道回路信号から進行現示の現示情報を取得し、これに基づいて進行現示の現示情報と軌道回路5Tの識別情報を載せた軌道回路信号(5T−G信号)を生成して軌道回路5Tに送出する。軌道回路5Tに在線する列車に搭載された車上装置150は、軌道回路5Tに流れる軌道回路信号を受信し、第1の実施の形態の場合と同様に動作して車内表示する。
【0073】
軌道回路5Tに列車が在線することから、地上装置本体410fから軌道回路5Tに送出した軌道回路信号は、4T用の地上装置本体410eに到達しない。このため4T用の地上装置本体410eの現示情報取得手段111は停止現示の現示情報を出力する。4T用の地上装置本体110eの変換手段413は、軌道回路4Tの途中に配置した列車検知手段430eが列車の到来を検知するまでは、現示情報取得手段111から入力された停止現示の現示情報を、注意現示の現示情報に変換して送信手段112へ出力する。送信手段112は、当該注意現示の現示情報と軌道回路4Tの識別情報を載せた軌道回路信号(4T−Y信号)を軌道回路4Tに送出する。
【0074】
したがって、仮に軌道回路4Tのうち列車検知手段430eの配置箇所よりも後方に列車が在線すれば、当該列車の車上装置150は、軌道回路4Tに流れる軌道回路信号(4T−Y信号)を受信し、注意現示に対応した車内表示を行う。具体的には、図3に示すように、次の前方閉そく区間の信号機に対応する前方信号表示305に黄色を表示する。
【0075】
その後、列車が、列車検知手段430eの配置箇所(B点)まで到達すると、列車検知手段430eの変換手段413は、現示情報取得手段111から入力される停止現示の現示情報をそのまま送信手段112へ出力する。これにより、列車が列車検知手段430eの配置箇所に達した以後は、軌道回路に停止現示の現示情報を載せた軌道回路信号(4T−R信号)が流れ、停止現示に対応した車内表示が行われる。すなわち、前方信号表示305に赤色が表示される。
【0076】
このように、停止現示を車内表示する際に、列車がB点に達するまでは車内信号として注意現示を行い、B点到達後に停止現示するので、運転士にとって適切なタイミングで車内信号の現示内容が切り替わり、運転が容易となる。
【0077】
以上説明した実施の形態では、前方の地上装置本体110から送られてくる軌道回路信号の有無およびこれに含まれる現示情報から、前方の列車在線情報を取得するようにしたが、現示情報や識別情報を軌道回路信号とは別の伝送信号に載せて送る場合には、列車の在線情報を、軌道回路信号から得るようにしてもよい。
【0078】
たとえば、信号の有無とその極性により3現示が可能な軌道回路信号から列車の在線情報を取得してもよい。この軌道回路信号は、そのまま信号現示の内容を表す現示情報として用いることができる。したがって、既存の信号機への制御信号を、車内信号システム100へ入力する現示情報として用いれば、現示情報取得手段111を地上装置本体110から省略することができ、車内信号システム導入にあたっての新たな設備投資を少なく抑えることができる。
【0079】
なお実施の形態では、伝送信号を流す軌道回路を表した識別情報を軌道回路信号に載せて伝送したが、その1つ前方の軌道回路の識別情報であってもよい。この場合には、受信した識別情報から1つ後方の軌道回路を車上装置の側で割り出して処理することになる。
【0080】
【発明の効果】
本発明にかかる車内信号システムによれば、1または2以上先の各前方閉そく区間までの距離と各前方信号の現示内容とが車内表示されるので、運転士は、これらを走行中にいつでも確認することができ、信号の見落としや誤認を防止することができる。また車内に表示するので、雨、霧、雪などの影響で視認性が低下することもない。
【0081】
さらに現在位置からの走行距離に対する目標速度の変化パターンを求め、これを表示するものでは、ATCに近い車内表示を得ることができる。これにより、法律上の問題さえ解決すれば、従来からある地上信号機を完全に車内信号システムで置き換えることができる。その結果、地上信号機が不要になり、屋外での保守点検作業等も無くすことができる。
【0082】
また列車が列車検知手段の配置箇所あるいは前方閉そく区間の所定距離手前に到達するまで、少なくとも1段階、進行現示よりの車内信号表示を行うものでは、運転士にとって必要なタイミングで信号現示の内容が切り替わり、運転が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車内信号システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る車内信号システムにおける軌道回路信号の流れを例示する説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る車内信号システムの車上装置において表示される表示画面の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る車内信号システムの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る車内信号システムにおける軌道回路信号の流れを例示する説明図である。
【図6】従来から使用されている信号システムにおける軌道回路信号の流れを例示する説明図である。
【符号の説明】
10…列車
100…車内信号システム
110、410…地上装置本体
111…現示情報取得手段
112…送信手段
150…車上装置
151…受信手段
152…アンテナ
153…走行距離計測手段
154…エンコーダ
155…車上データベース
156…演算処理手段
160…車内表示手段
171…一の閉そく区間
172…後方閉そく区間
210…列車
300…表示画面
301…列車表示
302…現在信号表示
303…速度表示部
304…線路表示
305…前方信号表示
306…第1距離表示部
307…前前方信号表示
308…第2距離表示部
310…グラフ
312…ATS位置を示す矢印
413…変換手段
430…列車検知手段
901…軌道回路(5T)に在線する列車
902…5T閉そく信号機
903…軌道回路4Tの送信端
904…軌道回路信号
905…4T閉そく信号機

Claims (8)

  1. 列車内で信号現示するための情報を地上から列車に向けて送出する車内信号用地上装置において、
    一の閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を表した現示情報の入力を受け、当該現示情報と前記一の閉そく区間の後方閉そく区間を特定する識別情報とを載せた伝送信号であってレールを介して列車から受信可能なものを前記一の閉そく区間の後方閉そく区間のレールに送出する送信手段と、列車検知手段と、変換手段とを有し、
    前記列車検知手段は、前記後方閉そく区間の途中に配置され、列車が当該箇所に到達したことを検出するものであり、
    前記変換手段は、前記送信手段に代えて前記一の閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を表した現示情報の入力を受け、当該現示情報が停止現示を示すものであって列車が前記列車検知手段の配置箇所に到達するまでは前記現示情報の示す現示内容を進行現示の側に少なくとも1段階近づけた現示内容を示す現示情報に変換して出力し、これ以外のときは入力を受けた現示情報をそのまま出力するものであり、
    前記送信手段は、レールを介して列車から受信可能な伝送信号であって前記変換手段の出力する現示情報と前記一の閉そく区間の後方閉そく区間を特定する識別情報とを載せたものを前記一の閉そく区間の後方閉そく区間のレールに送出するものであることを特徴とする車内信号用地上装置。
  2. 前記一の閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を表した現示情報を生成する現示情報取得手段を有し、
    前記送信手段は、前記伝送信号を軌道回路信号として送出するものであり、
    前記現示情報取得手段は、前記一の閉そく区間の軌道回路に流れる軌道回路信号を受信し、当該軌道回路信号の有無と前記伝送信号としての前記軌道回路信号に含まれる現示情報とから列車の在線情報を取得し、これに基づいて前記一の閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を表した現示情報を生成するものであることを特徴とする請求項1に記載の車内信号用地上装置。
  3. 前記列車検知手段を、前記一の閉そく区間から列車のブレーキ距離以上後方に配置することを特徴とする請求項に記載の車内信号用地上装置。
  4. 地上からの情報に基づいて列車内で信号現示する車内信号用車上装置において、
    走行距離計測手段と、車上データベースと、受信手段と、演算処理手段と、車内表示手段とを有し、
    前記走行距離計測手段は、当該車内信号用車上装置の搭載されている列車の走行距離を計測するものであり、
    前記車上データベースは、少なくとも各閉そく区間の長さを表す区間長情報を記憶したものであり、
    前記受信手段は、請求項1または2に記載の車内信号用地上装置がレールに送出した伝送信号を受信するものであり、
    前記演算処理手段は、前記受信手段が受信した伝送信号に含まれる識別情報と前記車上データベースに記憶されている情報と前記走行距離計測手段からの走行距離情報に基づいて現在位置から1または2以上先の各前方閉そく区間までの距離をそれぞれ求めるとともに、前方閉そく区間までの距離が所定距離以上あるときは前記現示情報の示す現示内容を進行現示の側に少なくとも1段階近づけた現示内容を示す現示情報に基づいて1または2以上先の各前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を求め、前方閉そく区間までの距離が前記所定距離以下になった後は前記受信手段が受信した伝送信号に含まれる現示情報に基づいて1または2以上先の各前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容を求めるものであり、
    前記車内表示手段は、前記演算処理手段で求めた1または2以上先の各前方閉そく区間までの距離とそれぞれの前方閉そく区間の閉そく信号機が信号現示すべき内容とを対応付けて車内表示するものであることを特徴とする車内信号用車上装置。
  5. 前記演算処理手段は、前記受信手段が受信した伝送信号に含まれる識別情報と前記車上データベースに記憶されている情報と前記走行距離計測手段からの走行距離情報と前記伝送信号に含まれる現示情報とに基づいて現在位置からの走行距離に対する目標速度の変化パターンを求めるものであり、
    前記車内表示手段は、前記演算処理手段が求めた現在位置からの走行距離に対する目標速度の変化パターンを車内表示するものであることを特徴とする請求項に記載の車内信号用車上装置。
  6. 地上からの情報に基づいて列車内で信号現示する車内信号用車上装置において、
    走行距離計測手段と、車上データベースと、受信手段と、演算処理手段と、車内表示手段とを有し、
    前記走行距離計測手段は、当該車内信号用車上装置の搭載されている列車の走行距離を計測するものであり、
    前記車上データベースは、少なくとも各閉そく区間の長さを表す区間長情報を記憶したものであり、
    前記受信手段は、請求項1、2または3に記載の車内信号用地上装置がレールに送出した伝送信号を受信するものであり、
    前記演算処理手段は、前記受信手段が受信した伝送信号に含まれる識別情報と前記車上データベースに記憶されている情報と前記走行距離計測手段からの走行距離情報と前記伝送信号に含まれる現示情報とに基づいて現在位置からの走行距離に対する目標速度の変化パターンを求めるものであり、
    前記車内表示手段は、前記演算処理手段が求めた現在位置からの走行距離に対する目標速度の変化パターンを車内表示するものであることを特徴とする車内信号用車上装置。
  7. 前記車上データベースに、各閉そく区間の区間長情報と、駅データと、勾配データと、曲線データと、現示展開データと、分岐データの中の1または2以上のものを記憶していることを特徴とする請求項4、5または6に記載の車内信号用車上装置。
  8. 請求項1、2または3に記載の車内信号用地上装置と請求項4、5、6または7に記載の車内信号用車上装置とからなることを特徴とする車内信号システム。
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