JP3902349B2 - 高分子電解質電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子電解質を用いたリチウム二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、リチウム二次電池の電解質としては、リチウムイオン伝導性に優れる液体電解質が使用されているが、液体電解質には、漏液、電極活物質の溶出などの問題がある。
【0003】
そこで近年、このような問題がない固体電解質、特に薄膜形成が容易な高分子電解質がリチウム二次電池の電解質として注目され、その実用化のための研究が盛んに行われている。
【0004】
ところが、高分子電解質を電極上に形成する際に用いる高分子電解質溶液は一般に非常に高粘度であり、そのために電極活物質と高分子電解質の界面接合性が不十分となり、高容量の電池を形成することが困難であった。
【0005】
特開平5−144315号公報では、このような問題を解消するため、電極上に高分子電解質膜を形成する際に、ビス(2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウム)等の油溶性界面活性剤を加えて界面接合性を向上させる方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報の方法によれば、界面活性剤自身が電池の充放電過程において電荷の担体として作用してしまうため、リチウムカチオンの輸率が低下するという問題があった。従って、電池の高容量化及び充放電サイクル特性の改善を十分に行うことは困難であった。
【0007】
本発明の目的は、放電容量が大きく、かつ充放電サイクル特性に優れた高分子電解質電池を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、正極と、電解液を含んだ高分子電解質と、負極とを備える高分子電解質電池であって、ポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖を有する非イオン高分子界面活性剤をベース高分子に対して重量比で0.1%〜30%混合した複合高分子を、高分子電解質として用いることを特徴とする高分子電解質電池である。
【0009】
本発明によれば、上記非イオン高分子界面活性剤が高分子電解質中に混合される際、非イオン性であるため、ベース高分子との相溶性に優れ、さらにそれ自身イオン電導性を有するため、リチウムカチオンの輸率を低下させることなしに高分子電解質膜を電極上に形成することができ、電極と高分子電解質膜との界面の接合性が著しく改善される。このため、放電容量を大きくすることができ、かつ充放電サイクル特性を改善することができる。
【0010】
本発明において用いる非イオン高分子界面活性剤は、ポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖を有する。1つのポリオキシエチレン鎖の重合度(繰り返し単位数)は、5〜300であることが好ましく、さらに好ましくは10〜250である。また、1つのポリオキシプロピレン鎖の重合度は、5〜250であることが好ましく、さらに好ましくは10〜200である。ここで重合度が小さすぎると、それ自体のイオン電導性が低下してしまい、逆に重合度が大きすぎると、ベース高分子との相溶性の低下、界面接合性の低下を招くため、この範囲が好ましい。また、ポリオキシエチレン鎖をAとし、ポリオキシプロピレン鎖をBとすると、本発明において用いることができる非イオン高分子界面活性剤としては、例えば、A−B−A、B−A−B、A−Bなど種々のタイプのブロックコポリマーを用いることができる。
【0011】
これらのブロックコポリマーの中でも、以下の構造式で表されるA−B−Aのブロックコポリマーが特に好ましく用いられる。
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、a及びcは5〜300であり、さらに好ましくは10〜250である。また、bは5〜250であり、さらに好ましくは10〜200である。)
また、上記構造式におけるポリオキシエチレン鎖及びポリオキシプロピレン鎖の重合度の比率(a+c):bは、1:20〜100:1であることが好ましく、さらに好ましくは、1:10〜50:1である。
【0014】
ポリオキシエチレン鎖の重合度を示すa及びc並びにポリオキシプロピレン鎖の重合度を示すbを、上記本発明の範囲内とすることにより、電池の充放電過程においてリチウムイオンの輸率が減少することなく、かつベース高分子に対する相溶性も良好であり、相分離を起こし難くすることができる。そのため、高容量でかつ充放電サイクル特性に優れた高分子電解質電池とすることができる。
【0015】
本発明において用いる非イオン高分子界面活性剤の分子量としては、数平均分子量で800〜50000であることが好ましく、さらに好ましくは1600〜30000である。
【0016】
本発明においては、上記非イオン高分子界面活性剤をベース高分子に対して重量比で0.1%〜30%混合した複合高分子を、高分子電解質として用いる。
ベース高分子としては、非水電解液をゲル化などによって担持し得る高分子が好ましく用いられ、特にポリオキシエチレン鎖またはポリオキシプロピレン鎖を有する高分子が好ましく用いられる。このような高分子の中でも、特に、ビニル型重合体ブロック鎖と、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンのブロック鎖からなる共重合体が好ましく用いられる。このような共重合体におけるポリオキシエチレン鎖及びポリオキシプロピレン鎖の重合度は、それぞれ50〜10000程度であることが好ましい。また、これらの共重合体の数平均分子量は、5000〜500万であることが好ましく、さらに好ましくは1万〜50万である。
【0017】
上記共重合体は、優れたイオン伝導度及び機械的強度を有しているので、これらの共重合体を用いることにより、充放電容量を向上させることができると共に、充放電サイクル特性を向上させることができる。
【0018】
また、ポリオキシエチレン鎖またはポリオキシプロピレン鎖を有するベース高分子の他の例としては、ポリオキシエチレン鎖またはポリオキシプロピレン鎖を側鎖に有する(メタ)アクリルモノマーと他のビニルモノマーとの共重合体等を挙げることができる。
【0019】
本発明においては、上記非イオン高分子界面活性剤を上記ベース高分子に対して重量比で0.1%〜30%混合した複合高分子を高分子電解質として用いる。すなわち、ベース高分子100重量部に対して、0.1〜30重量部の非イオン高分子界面活性剤を用いる。非イオン高分子界面活性剤の配合量がこの範囲から外れると、放電容量が大きく、かつ充放電サイクル特性が良好になるという本発明の効果が十分に得られなくなる。非イオン高分子界面活性剤のさらに好ましい配合量は、ベース高分子に対して重量比で1%〜20%である。
【0020】
本発明において用いる正極は、特に制限されるものではなく、例えば従来公知のリチウム二次電池の正極材料を用いることができ、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMn2 O4 、LiMnO2 、LiFeO2 等のリチウム含有遷移金属酸化物を例示することができる。
【0021】
また、負極材料としても特に限定されるものではなく、例えば、黒鉛(天然黒鉛及び人造黒鉛)、コークス、有機物焼成体等の炭素材料;リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、リチウム−タリウム合金、リチウム−鉛合金、リチウム−ビスマス合金等のリチウム合金;及びチタン、錫、鉄、モリブデン、ニオブ、バナジウム及び亜鉛の1種または2種以上を含む、金属酸化物及び金属硫化物を例示することができる。特に負極に炭素材料を用いた場合、非イオン高分子界面活性剤と炭素材料との結びつきが強固になり、結果として界面抵抗が低下するため、特に本発明の効果が顕著に現れる。
【0022】
また、上記複合高分子からなる高分子電解質に含浸させる非水電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状炭酸エステル、または環状炭酸エステルと、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン等の低沸点溶媒との混合溶媒に、LiPF6 、LiClO4 、LiBF4 、LiN(CF3 SO2 )2 、LiN(C2 F5 SO2 )2 、LiAsF6 、LiN(CF3 SO2 )(C4 F9 SO2 )等の電解質塩を溶かしたものを例示することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
【0024】
<実験1>
この実験1では、高分子電解質電池の高分子電解質として、ベース高分子に各種界面活性剤を混合したものを用いた。
【0025】
〔正極の作製〕
正極活物質としてのLiCoO2 粉末85重量部と、導電剤としての炭素粉末10重量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン粉末5重量部のNMP(N−メチル−2−ピロリドン)溶液とを混合してスラリーを調製し、このスラリーをアルミニウムからなる厚さ20μmの集電体の片面にドクターブレード法により塗布して活物質層を形成した後、150℃で乾燥して、直径10mmの円板状の正極を作製した。活物質層の乾燥後の厚みは約80μmであった。
【0026】
〔負極の作製〕
黒鉛粉末95重量部と、ポリフッ化ビニリデン粉末5重量部のNMP溶液とを混合してスラリーを調製し、このスラリーを銅からなる厚さ20μmの集電体の片面にドクターブレード法により塗布して炭素層を形成した後、150℃で乾燥して、直径10mmの円板状の負極を作製した。なお、炭素層の乾燥後の厚みは約60μmであった。
【0027】
〔高分子電解質の作製〕
以下の▲1▼〜▲8▼の8種類のポリマー溶液を調製した。ここで、アセトニトリルは高分子の溶媒として添加している。
【0028】
▲1▼ポリエチレンオキシド(数平均分子量10万)をアセトニトリル中に溶解させ、これに下記の構造式で表される非イオン界面活性剤(以下、高分子界面活性剤Aと呼ぶ)を、ポリエチレンオキシドに対して重量比で2%混合し、溶解させて調製したポリマー溶液。
【0029】
【化3】
【0030】
(ここで、a=100、b=100、c=100である。)
▲2▼a=10、b=10、c=10である上記構造式で表される非イオン高分子界面活性剤(以下、高分子界面活性剤Bと呼ぶ)を用いる以外は、上記▲1▼と同様にして調製したポリマー溶液。
【0031】
▲3▼a=10、b=200、c=10である上記構造式で表される非イオン高分子界面活性剤(以下、高分子界面活性剤Cと呼ぶ)を用いる以外は、上記▲1▼と同様にして調製したポリマー溶液。
【0032】
▲4▼a=250、b=10、c=250である上記構造式で表される非イオン高分子界面活性剤(以下、高分子界面活性剤Dと呼ぶ)を用いる以外は、上記▲1▼と同様にして調製したポリマー溶液。
【0033】
▲5▼a=250、b=200、c=250である上記構造式で表される非イオン高分子界面活性剤(以下、高分子界面活性剤Eと呼ぶ)を用いる以外は、上記▲1▼と同様にして調製したポリマー溶液。
【0034】
▲6▼上記と同様のポリエチレンオキサイドをアセトニトリル中に溶解させ、これにペンタエリスリットモノパルミテート(非イオン性界面活性剤)を、ポリエチレンオキシドに対して重量比で2%混合し、溶解させたポリマー溶液。
【0035】
▲7▼上記と同様のポリエチレンオキサイドをアセトニトリル中に溶解させ、これにビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(アニオン界面活性剤)を、ポリエチレンオキシドに対して重量比で2%混合し、溶解させたポリマー溶液。
【0036】
▲8▼上記と同様のポリエチレンオキシドをアセトニトリル中に溶解させ、界面活性剤を含有させていないポリマー溶液。
次に、上記8種類の溶液を正極活物質上にドクターブレード法により塗布した後に静置し、それぞれ溶媒を蒸発させることにより、8種類の高分子電解質膜を正極活物質上に形成した。その後、これにエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの等体積混合溶媒に、LiPF6 を1モル/リットル溶解させた非水電解液を含浸させ、ゲル状高分子電解質とした。高分子電解質中の有機高分子(複合高分子)と非水電解液の重量比はすべて1:1である。
【0037】
〔電池の作製〕
上記の正極、負極及び高分子固体電解質を用いて、扁平型の固体高分子電解質二次電池を作製した。
【0038】
図1は、作製したリチウム二次電池を示す断面模式図である。図1に示す二次電池は、正極1、負極2、正極1と一体化している高分子電解質3、正極缶4a、負極缶4b、正極集電体5、負極集電体6、及びポリプロピレン製の絶縁パッキング7などから構成されている。
【0039】
上記正極1及び負極2は、固体高分子電解質3を介して対向しており、正極缶4a及び負極缶4bから構成される電池ケース4内に収納されている。また、正極1は正極集電体5を介して正極缶4aに、また負極2は負極集電体6を介して負極缶4bに接続され、電池内部で生じた化学エネルギーを正極缶4a及び負極缶4bの両端子から電気エネルギーとして外部へ取り出し得るようになっている。
【0040】
〔各電池の放電容量の比較〕
上述の各電池について放電容量を測定し比較した。
各電池を、25℃にて、電流密度100μA/cm2 で4.2Vまで充電した後、電流密度100μA/cm2 で2.75Vまで放電して、各電池の1サイクル目及び200サイクル目の正極1cm2 当たりの放電容量(mAh/cm2 )を求めた。この結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1より、ベース高分子に混合する界面活性剤として、高分子界面活性剤A〜E及びビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムを用いた場合に、電池の放電容量及びサイクル特性が向上していることがわかる。特に、本発明に従い高分子界面活性剤A〜Eを用いた場合に放電容量及びサイクル特性の向上が著しいことがわかる。これは、高分子界面活性剤A〜Eが非イオン性であるため、電池の充放電の際にリチウムカチオンの輸率を減少させることなく、かつ界面活性剤自身がイオン伝導性を有しているために高分子電解質のイオン伝導性を減少させないからであると考えられる。その結果、高分子電解質と電極との界面の接合性が向上することにより、大幅な電池特性の向上が達成されたものと考えられる。
【0043】
<実験2>
この実験2では、高分子電解質に用いる界面活性剤として、実験1において良好な特性が得られた高分子界面活性剤Aを用い、これをベース高分子に対し種々の重量比で混合し、その配合量が与える影響について検討した。
【0044】
〔高分子電解質の作製〕
上記と同様のポリエチレンオキサイドをアセトニトリル中に溶解させ、これに高分子界面活性剤Aをポリエチレンオキシドに対して種々の重量比となるように混合し、溶解させたポリマー溶液を調製した。
【0045】
次に、上記の溶液を正極活物質上にドクターブレード法により塗布した後に静置し、それぞれ溶媒を蒸発させることにより、高分子電解質膜を正極活物質上に形成した。その後、これにエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの等体積混合溶媒にLiPF6 を1モル/リットル溶解させた非水電解液を含浸させ、ゲル状高分子電解質とした。高分子電解質中の有機高分子(複合高分子)と非水電解液の重量比はすべて1:1である。
このゲル状高分子電解質を用いて、上記と同様にして電池を組み立てた。
【0046】
〔各電池の放電容量の比較〕
上記実験1と同様にして、放電容量を測定した。この結果を表2に示す。なお、重量比は、ベース高分子(ポリエチレンオキシド)に対して添加した界面活性剤の重量比である。
【0047】
【表2】
【0048】
表2の結果から、ベース高分子に対して、高分子界面活性剤Aを、重量比で0.1〜30%添加した場合に、放電容量が大きく、かつ容量残存率が80%以上となっており、サイクル劣化も抑制されることがわかる。
上述の添加量の範囲でも、高分子界面活性剤Aの添加量が1〜20%の場合、容量残存率が90%以上となり、特に良好な結果が得られている。
【0049】
<実験3>
この実験3では、高分子電解質に用いる界面活性剤として、実験1において良好な特性が得られた高分子界面活性剤Aを用い、これを各種ベース高分子に重量比で2%添加し、その傾向を調べた。
【0050】
〔高分子電解質の作製〕
以下の▲1▼〜▲5▼の5種類のポリマー溶液を調製した。ここで、アセトニトリル、NMP、及びアセトンは、高分子の溶媒として使用している。
【0051】
▲1▼ポリアクリロニトリル(数平均分子量=10万)をNMP中に溶解させ、これに高分子界面活性剤Aを、ポリアクリロニトリルに対して重量比で2%混合し、溶解させたポリマー溶液。
【0052】
▲2▼ポリメチルメタクリレート(数平均分子量=20万)をNMP中に溶解させ、これに高分子界面活性剤Aを、ポリメチルメタクリレートに対して重量比で2%混合し、溶解させたポリマー溶液。
【0053】
▲3▼ポリフッ化ビニリデン(数平均分子量=20万)をアセトン中に溶解させ、これに高分子界面活性剤Aを、ポリフッ化ビニリデンに対して重量比で2%混合し、溶解させたポリマー溶液。
【0054】
▲4▼以下の構造式を有するポリスチレンブロック鎖とポリオキシエチレンブロック鎖からなる共重合体(数平均分子量=10万:以下、共重合体αと呼ぶ)をアセトニトリル中に溶解させ、これに高分子界面活性剤Aを、共重合体αに対して重量比で2%混合し、溶解させたポリマー溶液。
【0055】
【化4】
【0056】
▲5▼以下の構造式を有するポリ塩化ビニルブロック鎖とポリオキシプロピレンブロック鎖からなる共重合体(数平均分子量=20万:以下、共重合体βと呼ぶ)をアセトニトリル中に溶解させ、これに高分子界面活性剤Aを、共重合体βに対して重量比で2%混合し、溶解させたポリマー溶液。
【0057】
【化5】
【0058】
次に、上記の5種類のポリマー溶液を正極活物質上にドクターブレード法により塗布した後に静置し、それぞれ溶媒を蒸発させることにより、5種類の高分子電解質膜を、正極活物質上に形成した。その後、これにエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの等体積混合溶媒にLiPF6 を1モル/リットル溶解した非水電解液を含浸させ、ゲル状高分子電解質とした。高分子電解質中の有機高分子(複合高分子)と非水電解液の重量比はすべて1:1である。
このゲル状高分子電解質を用いて、上記と同様にして電池を組み立てた。
【0059】
〔各電池の放電容量の比較〕
上記実験1と同様にして、各電池について放電容量を測定した。この結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
表3の結果から明らかなように、ベース高分子として共重合体α及び共重合体βを用いた場合、1サイクル目と200サイクル目の放電容量が共に高い値となっている。これは、共重合体α及び共重合体βのようなポリオキシエチレン鎖またはポリオキシプロピレン鎖をブロック鎖として有する共重合体が、高分子単体でのイオン伝導度及び機械的強度において優れており、このため、1サイクル目の充放電容量が向上すると共に、放電サイクル特性も向上し、200サイクル後においても放電容量が高いままに維持されていると考えられる。
【0062】
<実験4>
この実験4では、高分子電解質二次電池の負極に金属Liを使用したものについて検討した。界面活性剤としては、実験1において良好な特性が得られた高分子界面活性剤Aを用い、これを共重合体αに重量比で2%混合したものを用いた。
【0063】
〔高分子電解質の作製〕
以下のポリマー溶液を調製した。ここで、アセトニトリルは高分子の溶媒として用いている。
【0064】
上記共重合体αを、アセトニトリル中に溶解させ、これに高分子界面活性剤Aを、共重合体αに対して重量比で2%混合し、溶解させてポリマー溶液を調製した。
【0065】
次に、上記のポリマー溶液を正極活物質上にドクターブレード法により塗布した後に静置し、溶媒を蒸発させることにより、高分子電解質膜を正極活物質上に形成した。その後、これにエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの等体積混合溶媒にLiPF6 を1モル/リットル溶解した非水電解液を含浸させ、ゲル状高分子電解質とした。高分子電解質中の有機高分子と非水電解液の重量比は1:1である。
【0066】
〔電池の作製〕
電池の作製については、基本的に上記実験1と同一であるが、負極2として、リチウム金属からなる負極を用いた。この負極は、リチウム圧延板を直径10mmの円板状に打ち抜くことにより作製したものであり、負極集電体6の内側の面に固定されている。
【0067】
〔各電池の放電容量の比較〕
上記の電池について、放電容量を測定した。測定条件は上記実験1と同じである。この結果を表4に示す。なお表4には、黒鉛を負極として用いた本発明電池9の結果も併せて示している。
【0068】
【表4】
【0069】
表4の結果から明らかなように、高分子電解質二次電池の負極に金属Liを用いた場合、200サイクル後の放電容量については、負極に黒鉛を用いたものよりもやや減少している。しかしながら、表1に示す比較電池1〜3よりは高い容量残存率を示している。
【0070】
なお、高分子電解質中に添加する界面活性剤の違いによる特性や、その他添加量の特性については、炭素を負極とした場合と同様な傾向が見られた。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、放電容量が大きく、かつ充放電サイクル特性に優れた高分子電解質二次電池とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う一実施例の高分子電解質二次電池の構造を示す断面模式図。
【符号の説明】
1…正極
2…負極
3…高分子電解質
4a…正極缶
4b…負極缶
4…電池ケース
5…正極集電体
6…負極集電体
7…絶縁パッキング
Claims (6)
- 正極と、電解液を含んだ高分子電解質と、負極とを備える高分子電解質電池において、
前記高分子電解質として、ポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖を有する非イオン高分子界面活性剤をベース高分子に対して重量比で0.1%〜30%混合した複合高分子を用いることを特徴とする高分子電解質電池。 - 1つのポリオキシエチレン鎖の重合度が5〜300であり、1つのポリオキシプロピレン鎖の重合度が5〜250である請求項1に記載の高分子電解質電池。
- 前記構造式におけるポリオキシエチレン鎖及びポリオキシプロピレン鎖の重合度の比率(a+c):bが、1:20〜100:1である請求項3に記載の高分子電解質電池。
- 前記ベース高分子が、ビニル型重合体ブロック鎖と、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンのブロック鎖からなる共重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子電解質電池。
- 前記負極が、炭素材料からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子電解質電池。
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