JP3902256B2 - 位置決め装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、サーボモータ回転力を直線運動に変換して可動テーブルを直線運動させる工作機械などのNC装置の位置決め装置および外力推定器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般のNC工作機械におけるセミクローズドループ方式では、サーボモータの回転力をボールねじ送り駆動機構によって直線運動に変換し、NC工作機械の可動テーブルを直線運動させている。このため、可動テーブルに加わる摩擦力などの外力に対して可動テーブルを正の向きで位置決めした場合と、負の向きで位置決めした場合で誤差が生じる。この誤差はロストモーションと呼ばれ、あらゆる工作機械において加工精度を低下させる要因となることが良く知られている。
【0003】
図32は、例えば特開昭63−123650号公報に示されたNC送りのロストモーション補正方法の第1の従来例を示すフローチャートであり、この従来例はNC装置上で実行される。
【0004】
次に上記第1の従来例の補正方法を図32のフローチャートに従って説明する。位置決め指令がでると(ST601)、これが逆方向指令であるか否かを判別する(ST602)。正方向指令であるときにはST607にジャンプして正方向の位置決めを実行する。逆方向指令であるときには位置決め量を確認し(ST603)、逆の方向へ位置決め量に対応したロストモーション量をファイル(ST605)から読み出す(ST604)。このファイルには、あらかじめ測定された逆方向への位置決め量(Xとする)に対応するロストモーション量(Yとする)の関係が、X−Yの数値ファイルとしてNC装置内のメモリ装置に記憶されている。このとき、ロストモーションの補正は、ステップ(ST605)の図に示されているように、3つの領域に分かれている。この3つの領域を逆方向位置決め量が小さい方から順にA,B,Cとすれば、領域Aでは、ロストモーション補正量は零からゆるやかに増え、領域Bでは、逆方向位置決め量に対してロストモーション補正量は、領域Aより大きな傾きで増え、領域Cでは、ロストモーション補正量は一定となる。読み出したロストモーション量により位置決め指令値を補正し(ST606)、補正した位置決め指令値により逆方向の位置決めを実行する(ST607)。
【0005】
図33は、例えば特開平1−222302号公報に示された数値制御装置の第2の従来例を示すブロック図である。図33において、30は例えば各サンプリングごとの移動増分量などの補間情報を入力し、モータに対する速度指令を出力する加減速処理装置である。31は加減速処理装置30の出力に従ってモータの位置決め制御を行うサーボ機構であり、モータ31−1と連動する速度検出器31−2、位置検出器31−3、モータフイードバック位置を入力する位置制御器31−4、モータフイードバック速度を入力する速度制御器31−5、モータフイードバック位置と速度制御器31−5の出力信号を入力する増幅器31−6により構成されている。
【0006】
32はサーボ機構31から出力されるモータフィードバック速度を記憶するモータフィードバック速度記憶装置である。33はモータフィードバック速度記憶装置32に記憶されたモータフィードバック速度を入力し、このモータフィードバック速度の極性が反転したか否かを判別する速度反転判別器である。34はモータフィードバック速度記憶装置32に記憶されたモータフィードバック速度を入力し、モータの移動開始か否かを判別する移動開始判別器である。35はサーボ機構31から出力されるモータフィードバック電流を記憶するモータフィードバック電流記憶装置である。36はモータフィードバック電流値とロストモーション量の比例定数を記憶する比例定数記憶装置である。38は比例定数記憶装置36に記憶された情報と定数項記憶装置37に記憶された情報とを入力し、ロストモーション補正量を算出するテーブル/関数機能を備えたロストモーション補正量算出装置である。
【0007】
次に、上記第2の従来例の動作について説明する。加減速処理装置30の出力、例えばモータに対する速度指令などの位置情報がサーボ機構31に入力され、サーボ機構31は指令された情報に従ってモータを制御する。このとき、モータフィードバック速度をサンプリングし、モータフィードバック速度記憶装置32に入力する。速度反転判別器33ではモータフィードバック速度記憶装置32に記憶されたモータフィードバック速度により、モータフィードバック速度の反転する時点を求め、モータフィードバック電流記憶装置35にモータフィードバック電流値サンプリングの指令を入力する。モータフィードバック電流記憶装置35は速度反転判別器33または移動開始判別器34の指令により、サーボ機構31より出力されるモータフィードバック電流値をサンプリングし、ロストモーション補正量算出装置38に出力する。
【0008】
上記ロストモーション補正量算出装置38はモータフィードバック電流記憶装置35により入力されたモータフィードバック電流値と、比例定数記憶装置36に記憶された情報と定数項記憶装置37に記憶された情報とを内蔵するテーブル/関数機能に入力してロストモーション補正量を求める。このとき、モータフィードバック電流記憶装置35に記憶されたモータフィードバック電流I、比例定数記憶装置36に記憶された比例定数a、定数項記憶装置37に記憶された定数項をbとすれば、ロストモーション補正量εは次式によって求められる。
ε=a・I+b
ロストモーション補正量算出装置38により求められたロストモーション補正量は、加減速処理装置30の出力とともにサーボ機構31に入力される。
【0009】
上記の第2の従来例はサーボモータ所望時の駆動電流とロストモーション補正量との関係を表すテーブル/関数を備え、駆動電流検出手段にて検出されたサーボモータ所望時の駆動電流により、上記テーブル/関数にもとづいてロストモーションを補正する手段によって演算し補正するようにしたので、ロストモーションによって生じる位置誤差を精度よく補正することができる。
【0010】
また、第3の従来例は例えば、機械設計第35巻第8号(1991年6月臨時増刊号)の第31頁の図4に記載されているモータの制御方式であるが、モータの制御には速度ループに比例積分補償器が用いられている。このように速度ループに比例積分補償器を用いることにより、モータ軸に外乱が作用した場合にも定常偏差を生じることなく、速度制御を行うことができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来の位置決め装置は以上のように構成されているので、第1の従来例では、駆動機構系における位置決め量とロストモーション補正量の関係が不明確なままブラックボックス化しており、ロストモーション補正量をあらかじめ実測して設定しなければならない。この実測値がテーブル位置や工作機械によってばらつくため、設定が複雑で多大な時間と労力を要するとともに、NCに保存する設定ファイルが膨大となり、位置決め装置のシステム構成が困難になるという課題があった。
また、第1の従来例では、位置決め量が小さいときにロストモーション補正量を緩やかに補正するため、ボールねじや直動玉軸受を用いた機構系において発生する駆動方向反転後の数十ミクロン領域の急峻なロストモーションが補正できず、工作機械・加工機の加工精度が悪化するという課題があった。
また、第1の従来例では、実測値に基づいてロストモーション補正量を設定し、正方向と負方向のロストモーション量が異なる場合が生じるため、駆動方向の切り換えを繰り返すことによって絶対位置が変化するという問題点があった。
さらに、ロストモーション量が経年変化してもロストモーション量は初期設定時と同一であるため、位置誤差が増大するという課題があった。
【0012】
第2の従来例では、ロストモーション補正量を一定値としているので、ロストモーション量が駆動系の送り量によって異なる場合、例えばロストモーション量が駆動系の送り量の増加に伴って緩やかに増加するといった場合には過剰補償となり、精密な位置決めができないという課題があった。
また、駆動系を動かすのに要する電流値は駆動系の送り加速度により変化し、例えばワイヤ放電加工機のように、テーブル駆動速度Fが5mm/min以下と非常に遅い速度で駆動し、さらに、テーブルに加わる摩擦力が駆動系全体の摩擦力に対して数十分の一の大きさしか変化しないような場合には、可動テーブル位置ごとの摩擦力が異なるので、駆動系を動かすのに要する電流値を検出しただけでは、テーブルに加わる摩擦力の変化を検出できない。従って、それに伴って変化するロストモーション量を検出することができず、数ミクロンといった精密な位置決めができないという課題があった。
【0013】
また、第1の従来例と第2の従来例では、駆動系に切りくずなどが入ることによる異常な負荷の検出ができず、駆動系の状態をモータ側は知ることができないので、このまま加工がすすみ、加工精度が低下するという課題があった。
【0014】
また、第3の従来例では、速度フィードバックループに比例積分補償を用いているため、積分補償器の交差周波数を速度ループの帯域以上には上げられないため、速応性が制限されるなどの課題があった。
【0015】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、速度方向切り換え時の軌跡に段差を生じることなく、滑らかで高精度な位置決めが実現できる位置決め装置を得ることを目的とする。
【0018】
さらに、この発明は、低コストで高精度な位置決めが実現できる位置決め装置を得ることを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明に係る位置決め装置は、サーボモータ回転力を直線運動に変換して可動テーブルを直線運動させるNC装置の位置決め装置において、サーボモータの回転位置検出器からの出力の時間変化から該サーボモータの回転速度方向切り換わりを判別する判別手段と、回転速度方向切り換わり時の回転検出位置からの変位量に対して補正量が比例増加し、変位量が大きくなるにつれて、該比例領域の傾きを数段階に減少させる比例領域および変位量がある値以上となったとき該補正値が一定となり、正方向駆動における該一定補正値と負方向駆動における該一定補正値の差が、正方向駆動から負方向駆動に切り換わったときと、負方向駆動から正方向駆動に切り換わったときとで同一である飽和領域よりなるロストモーション補正モデルからロストモーション補正量を算出する算出手段と、算出した補正量をNC装置により生成される位置指令値に加算してロストモーション補正を行う加算手段とを備え、算出手段における比例領域の傾きを、1サンプル時間前のロストモーション補正値に応じて、あらかじめ設定しておいた複数の比例領域の傾きの中から1つを選択するようにするとともに、駆動方向の切り換えを繰り返した場合でもロストモーション補正値の変化量の最大値が速度方向の正負で同一となる構成にしたものである。
【0025】
請求項記載の発明に係る位置決め装置は、サーボモータ回転力を直線運動に変換して可動テーブルを直線運動させるNC装置の位置決め装置において、モータの電流指令値あるいは電流検出値とモータの回転角速度からモータ軸に加わる外乱を推定する外乱推定器と、この推定した外乱推定値、あるいは該外乱推定値を入力として外力推定器が出力する外力推定値と、回転位置検出器からの回転検出位置と、あらかじめ測定しておいた回転検出位置ごとの外乱推定値、あるいは外力推定値を入力として飽和領域におけるロストモーション補正量を算出するロストモーション算出器と、サーボモータの回転速度方向切り換わり、あるいは外乱推定値の符号の切り換わりを判別する判別手段と、回転速度方向の切り換わり時の回転検出位置からの変位量に対して補正量が比例増加し、変位量が大きくなるにつれて、該比例領域の傾きを数段階に減少させる比例領域および変位量がある値以上となったとき該補正量が一定となり、正方向駆動における該一定補正値と負方向駆動における該一定補正値の差が、正方向駆動から負方向駆動に切り換わったときと、負方向駆動から正方向駆動に切り換わったときとで同一である飽和領域よりなるロストモーション補正モデルからロストモーション補正量を算出する算出手段と、この算出した補正量をNC装置により生成される位置指令値に加算してロストモーション補正を行う加算手段とを備え、ロストモーション算出器のロストモーション補正量の算出を、記憶テーブルに記憶しておいたテーブル位置ごとの外力推定値の基準値と外力推定器から読み込んだ外力推定値との差から求めた駆動系に加わる摩擦力の変化量、外力の変化量、および駆動系のばね定数とに基づいて算出するものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1である位置決め装置を示す全体構成図であり、1はACサーボモータ(サーボモータ)2の回転力を直線運動に変換して可動テーブル3を直線運動させるボールねじ、4はACサーボモータ2の回転位置検出器、5は回転位置検出器4からの出力の時間変化からサーボモータ2の回転速度方向切り換わりを判別する判別手段、6は回転速度方向切り換わり時の回転検出位置からの変位量に対して補正量が比例増加し、変位量が大きくなるにつれて、該比例領域の傾きを数段階に減少させる比例領域および変位量がある値以上となったとき該補正値が一定となり、正方向駆動における該一定補正値と負方向駆動における該一定補正値の差が、正方向駆動から負方向駆動に切り換わったときと、負方向駆動から正方向駆動に切り換わったときとで同一である飽和領域よりなるローストモーション補正モデルを有し該ロストモーション補正モデルからロストモーション補正値を算出する算出手段、7は算出したロストモーション補正値を位置指令生成手段8から出力された位置指令値に加算して、モータ制御手段9のロストモーション補正を行う加算手段である。
【0030】
図2はX−Y駆動系を示す側面図、図3は図2のA−A’線に沿う縦断面図である。このX−Y駆動系は、テーブル40、サドル41、ベッド42からなり、テーブル40とサドル41の間、サドル41とベッド42の間を直動玉軸受46、43で支えており、それぞれの間にボールねじ1を設けている。テーブル40及びサドル41はACサーボモータ2の回転運動をボールねじ1によって直進運動に変換する。テーブル40とサドル41の相対運動でX軸、サドル41とベッド42の相対運動でY軸の位置が決まる。
テーブル40にはワークを漬ける加工液を貯めるための加工槽が設けてあり、下部アーム44を通すための穴があけてある。テーブル40には加工液が漏れないようにシール板45をテーブル40に押し当てている。シール板45とサドル41はX軸方向に固定されているので、X軸方向駆動時にはテーブル40とシール板45の接触面で滑りと摩擦力が生じる。この摩擦により、X軸方向駆動時は直動玉軸受46とボールねじ1の摩擦力のみのY軸方向駆動時よりも大きい摩擦力が生じる。
【0031】
次に、この発明のロストモーション補正モデルについて説明する。位置決め装置の力学モデルを図4(a)、(b)に示す。ACサーボモータ2の並進系に換算した回転運動を直進運動に変換する機構系のトータルのばね定数をk1とし、直動玉軸受46やボールねじ1などの機構要素からの摺動摩擦力f1、f2がばね定数k2、k3を介して位置決め系に作用する。以下、ばね定数はばねk1,k2,k3あるいはk1,k2,k3と、また、摩擦力f1,f2はf1,f2と記載を簡略化するために、略称する場合がある。ばね定数k1は、主にボールねじ1まわりの剛性である。また、k2は、主に直動玉軸受46まわりの剛性、k3はシール板45とテーブル40間の剛性である。摺動摩擦力f1、f2は、速度方向と逆向きに働くほぼ一定の力である。k2とk3は直列につながっており、k2とk3の間には摩擦力f1が作用しているので、k2のばね力がf1に打ち勝つとk3が動き出す。
【0032】
並進系に換算したACサーボモータ2のロータ位置をXe、テーブル40の位置をXl、ばねk2の変形量をXl−Xf1、ばねk3の変形量をXf1−Xf2として、駆動系変位量と摩擦力、ロストモーションの関係を説明する。
【0033】
駆動系が遅い速度で駆動されており、慣性力が無視できるとき、ばねk1からACサーボモータ2に作用する反力Fdは次のようになる。
【数1】
Figure 0003902256
【0034】
縦軸をFd 、横軸xe にとり、上記の関係(1)〜(3)を図示すると、図5となる。速度方向が切り換わると、ばね定数k12 /(k1 +k2 )に比例してACサーボモータ2のモータ軸に加わる反力Fd が増加する。ばねk2に加わる力の大きさがf1 よりも大きくなると、f1 の摩擦力で固着していたばねk3 が動き始め、ばね定数k123 /(k12 +k23 +k31 )に比例してFd が増加する。Fd が増加して、その大きさがf1 +f2 になると、Fd は一定となり、図5のようにヒステリシス曲線を描く。
【0035】
次に、ロータ位置xe と相対変位xe −x1 の関係を示す。
【数2】
Figure 0003902256
【0036】
縦軸にxe −xl 、横軸にxe をとり、上記(4)から(5)を図示すると、図6となる。速度方向が切り換わると傾きk2 /(k1 +k2 )に比例して、駆動系の弾性変形量xe −xl が増加する。ばねk2 に加わる力の大きさがf1 よりも大きくなると、f1 の摩擦力で固着していたばねk3 が動き始め、傾きk23 /(k12 +k23 +k31 )に比例して、xe −xl が増加して、その大きさが(f1 +f2 )/k1 になると、xe −xl は一定となり、図6のようにヒステリシス曲線を描く。
上記(1)、(4)の領域を第1比例領域、(2)、(5)の領域を第2比例領域、(3)、(6)の領域を飽和領域と呼ぶことにする。
【0037】
第1比例領域の傾きを変形すると、
(1/k1 )・1/(1/k1 +1/k2
となる。
【0038】
第2比例領域の傾きを変形すると、
(1/k1)・1/(1/k1+1/k2+1/k3
であるから、
1/(1/k1+1/k2)>1/(1/k1+1/k2+1/k3
より、
2 /(k1+k2 )>k2 3 /(k12+k23+k31
の関係が成り立つ。上式は、第1比例領域から第2比例領域に遷移するとき、傾きが常に減少することを表している。
【0039】
第1比例領域から第2比例領域へ遷移するロストモーション補正値をδ0、第2比例領域から飽和領域へ遷移するロストモーション補正値をδLとすれば、図のモデルを(f1+f2)/k1だけ正方向にシフトして、本ロストモーション補正に用いるロストモーション補正モデルが図7のように得られる。図中のK1、K2、δ0、δLは図6のモデルに対して次式で関係づけられる。
1=k2/(k1+k2
2=k2 3 /(k12+k23+k31
δ0=2f1(k1+k2)/k2
δL=2(f1+f2)/k1
【0040】
実際には、可動テーブル3の速度方向によりヒステリシス曲線の傾きが若干異なるため、位置決め装置から測定されたヒステリシス曲線から位置決め量とロストモーション量の関係を求めると、速度方向の正負で設定値が異なってしまうが、このように設定値が異なると、補正値が速度方向の切り換えでキャンセルされないため、位置決め誤差が増加するという問題点が生じる。
【0041】
この発明のロストモーション補正モデルでは、速度方向の正負で補正量がキャンセルされるように構成しているので、補正値の累積による位置決め誤差の増加がなくなる。
次に、図4の力学モデルから決定されたロストモーション補正モデルによるロストモーション補正の動作について説明する。
駆動系の速度が切り換わると、速度方向反転位置からのロータの変位量の増加と共に、比例定数K1 でロストモーション補正値δは増加する。さらに、δがδ0に達すると、比例定数がK1 からK2 に切り換わる。そしてδがδLに達すると、ロストモーション補正値は飽和して一定値となる。このロストモーション補正モデルから算出されるロストモーション補正値δは、NC装置で生成される位置指令値X* に加算され、ACサーボモータ2に与えられる位置指令値X**は、
**=X* +δ
となる。
【0042】
次に、この発明におけるロストモーション補正モデルのパラメータ設定方法について説明する。ロストモーション補正モデルのパラメータ設定のフローチャートを図8〜図11に示す。
まず、レーザ測長器などの変位計測器によりロストモーションデータを測定する。位置指令値と位置決め誤差をX(k)、delta(k)に保存する(ST701)。ただし、測定データ数をnとすると、0<k<nである。変数nにデータ数を代入し(ST702)、変数iに初期値1を代入する(ST703)。
【0043】
次に、ロストモーション補正モデルにおける比例領域のばね定数を同定するために、データの変化率を算出する。ロストモーションデータは、ばらつきがあるため、数個のデータの変化率の平均をとる。本実施の形態では、10個の変化率データの平均をとった。データの変化率の平均値を算出する部分のフローチャートを説明する。
【0044】
初期値として、変数iに1、変数ksumに0、変数mに1を代入し(ST703〜ST705)、i番目のデータを基準としたi+1からi+10番目までのデータの変化率を次のようにして算出する。まず、次の計算を行う。
kk←(delta(i+m)−deta(i))
/(x(i+m)−X(i))
ksum←ksum+kk
m←m+1
【0045】
ここで、←は計算結果の代入を意味する。(ST706、ST707)。m>10を満たさなければ、ST706にもどる。m>10を満たせば、k(i)を次式により計算する(ST709)。
【数3】
Figure 0003902256
変数iに1を加える(ST710)。変数iがn−10以下であれば、ST704にもどる。変数iがn−10より大きければ、次のステップに進む(ST711)。変数iiにn−9を代入する(ST712)。n−9番目からn番目の変化率データには、n−10番目のデータの変化率を代入する(ST713〜ST715)。
【0046】
第1番目の比例領域から第2番目の比例領域に遷移する領域を探索する。k(i)<α(ここで、αは任意の値)を満たす最も小さいデータ番号を第1番目から第2番目の比例領域への遷移点とする(ST717〜ST720)。遷移点のデータ番号が変数numberに代入されているので、第1番目の比例領域のばね定数は、次式で算出する(ST721)。
L1=X(number)
delta1=delta(number)
k1 =delta1/L1
【0047】
ここで、摩擦力の方向が切り換わった点から第1番目から第2番目の比例領域への遷移点までのX方向への移動距離をL1、そのときのロストモーション量をdelta1とする。L1、delta1は、それぞれ図7のロストモーション補正モデルのL1、δ0に対応する。
【0048】
次に、第2番目の比例領域から飽和領域への遷移点を算出する。
変数Jsumに0を代入する(ST722)。変数jに1を代入する(ST723)。データ番号jのデータの二乗誤差J1sumを次式で算出する(ST724)。
J1sum←J1sum+[delta(j)−delta1×X(j)/L1]2
変数jに1を加える(ST725)。jの値がnumberの値以下であればST724にもどる。jの値がnumberの値よりも大きければ、次のステップに進む(ST726)。
【0049】
データ番号numberから数えてjj番目のデータ(jj=1〜n)を順に第2番目の比例領域から飽和領域への遷移点と仮定して、二乗誤差を算出する(ST727〜ST735)。
まず、変数JJminに10000を代入する(ST727)。変数jjにnumber+1を代入する(ST728)。変数J2sum、J3sumに0を代入する(ST729)。変数L2にX(jj)を代入する(ST730)。次に、deltaLにdelta(jj)を代入する(ST731)。変数jjjにnumber+1を代入する(ST732)。
【0050】
摩擦力の方向が切り換わった点からこの遷移点までのX方向への移動距離をL2、そのときのロストモーション量をdeltaLとする。L2、deltaLはそれぞれ図7のロストモーション補正モデルのL2、δLに対応する。
J2sumを次式で計算する(ST733)。
J2sum←J2sum+[delta(jjj)−(deltaL−delta1)/(L2−L1)×{X(Xjjj)−L1}−delta1]2
ここで、
L1=X(number)
L2=X(jj)
delta1=delta(number)
deltaL=delta(jj)
【0051】
次に、変数jjjに1を加える(ST734)。jjj<=jjのとき、ステップST729もどる。jjj>jjを満たせば次のステップへ進む(ST735)。
データ番号jj+1からデータ番号nのデータまでの二乗誤差を算出する(ST736〜ST739)。
【0052】
変数jjjにjj+1を代入する(ST736)。次式によりJ3sumを算出する(ST737)。
J3sum←J3sum+[delta(jjjj)−deltaL]2
変数jjjjに1をくわえる(ST738)。jjjj<=nのときST737にもどる。
【0053】
jjjj>nを満たせば、次のステップに進む(ST739)。データ番号jjを第2遷移領域から飽和領域への遷移点と仮定したときの二乗誤差JJsumは次式で求める(ST740)。
JJsum←J1sum+J2sum+J3sum
jj=number+1〜nについてJJsumを計算し、min[jjsum]となるデータ番号jjをさがし、num_minに代入する(ST741〜ST744)。
【0054】
ST740で算出されるJJsumとJJminを比較し(ST741)、JJsumがJJminよりも小さければJJsumをJJminに代入し、num_minにそのときのjjを代入する(ST742)。そして、jjに1を加算し(ST743)、次のステップへ進む。ST741でJJsumがJJminよりも大きければST743へ進む。
jj<=nのとき、ST729にもどる。jj>nを満たせば、次のステップに進む(ST744)。
【0055】
L2にX(num_min)を代入する(ST745)。deltaLにdelta(num_min)を代入する(ST746)。
ロストモーション補正モデルの設定値を算出し、計算結果を出力する(ST747)。
1 =−delta1/L1
2 =−[deltaL−delta1]/[L2−L1]
δ0=delta1
δL=−deltaL
【0056】
図12は、ロストモーション測定値と各測定値の変化率と図8〜図11記載のプログラムを用いて設定したロストモーション補正モデルから算出した補正値を示す。
【0057】
次に、この発明の効果を確認するために用いた真円度測定器について説明する。真円度測定器の構成を図13について説明する。真円度測定器はZ軸46にアダプタ47を介して2次元プローブ48を取り付ける。取り付け用金板49とフランジ50を介してテーブル40上にマスタリング51を取り付け、2次元プローブ48の変位に比例した出力信号をX−Yレコーダ52で処理する。
【0058】
次に、真円度測定器による真円精度測定方法について説明する。プローブ48先端をマスタリング51に接触させ、マスタリング51に沿って円運動させる。このとき、あらかじめ半径方向に変位を与えられたプローブ48は円運動を行い、このときのプローブ48の動きを2次元信号として検出し、1000倍に拡大してX−Yレコーダ52で記録する。このとき、真円からのずれ量が位置決め誤差である。
【0059】
図14は上記のロストモーション補正モデルを示す図で、このロストモーション補正モデルは速度方向反転位置からの変位に対して2段階に比例して増加しており、縦軸をロストモーション補正値δ、横軸をモータ速度方向反転位置からの変位Xe =Xecとする。
【0060】
正方向駆動時には、図14(a)に示すように、 1 (Xe−Xec)がδ0より小さい場合は、傾き 1 に比例してδが増加する。 1 (Xe−Xec)がδ0を越えると、傾き 2 に比例してδが増加する。さらに、 2 (Xe−Xec−δ 0 /K 1 )+δ0がδ2を越えると、δはδ2で一定となる。
【0061】
負方向駆動時には、図14(b)に示すように、−K 3 (Xe−Xec)がδ2−δ1より小さい場合は、傾き 3 に比例してδが減少する。−K 3 (Xe−Xec)がδ2−δ1を越えると、傾き 4 に比例してδが減少する。さらに、−K 4 (Xe−Xec+(δ 2 −δ 1 )/K 3 )がδ 1 を越えると、δは一定となる。
【0062】
なお、図示のロストモーション補正モデルは比例領域を2段としたが、2段以上の複数段の比例領域で構成してもよい。
【0063】
次に、NC装置またはサーボアンプのプロセッサが、図14のロストモーション補正モデルによるロストモーション補正を実施する動作を図15のフローチャートについて説明する。まず、回転位置検出器4からの回転検出位置{Xen を読み込む(ST001)。しかる後、{Xen から1サンプル時間前の回転位置検出器4からの検出位置{Xen-1 を差し引き、{ΔX}n に代入する(ST002)。
【0064】
次に、現在の速度方向を判別し(ST003)、速度方向が正であれば{δ}n-1 −δ0 >0であるかどうかを判別する(ST004)。{δ}n-1 −δ0 >0であれば、k にk2を代入する(ST005)。{δ}n-1 −δ0 <=0であれば、k にk1を代入する(ST006)。
【0065】
上記ST003の判別結果、速度方向が負であれば、[{δ}n-1 −(δ2 −δ1 )]>0であるかどうかを判別する(ST007)。[{δ}n-1 −(δ2 −δ1 )]>0であれば、KにK3を代入する(ST008)。[{δ}n-1 −(δ2 −δ1 )]<=0であれば、KにK4を代入する(ST009)。
【0066】
次いで、K・{ΔX}n +{δ}n-1 を{δ}n に代入する(ST010)。しかる後、{δ}n <0であるかどうかを判別する(ST011)。{δ}n <0であれば、{δ}n に0を代入する(ST012)。また、{δ}n >0であれば、{δ}n −δ2 >0であるかどうかを判別する(ST013)。{δ}n −δ2 >0であれば{δ}n にδ2 を代入する(ST014)。それ以外は、次ステップに進む。{δ}n を位置指令値に加算する(ST015)。
なお、ST003の速度方向判別は、外乱推定器の出力の符号によってもよい。
【0067】
図16はロストモーションの実測値とロストモーション補正モデルの時間波形を示すものである。
図16(a)は、あらかじめ可動テーブルを負方向に動かしたのち、停止させた。その後、正方向に一定速度で可動テーブルを動かし、回転検出器4の回転検出位置から可動テーブルに設けた位置検出器の検出位置を差し引いて求めた駆動系のロストモーションの時間波形である。
【0068】
この測定は、ロストモーションを実測することが目的であるので、速度(摩擦力)方向が反転するようにACサーボモータを駆動すればよい。始動直後、約十数μmの領域(A)でロストモーションが急峻に増加する。その後、十数μmの領域で、ロストモーションの増加の傾きが緩やかになり、ロストモーションが約1.3μmでほぼ一定となる。速度方向を反転させると、速度方向反転直後、十数μmの領域ではロストモーションが急峻に減少し、その後数十μmの領域では、ロストモーションは緩やかに減少し、やがて飽和する。
【0069】
図中Aの領域は第1比例領域、Aの領域の終りから、Bの領域の終りまでの領域は第2比例領域に対応する。Bの領域の終りから速度方向反転位置までは、飽和領域に対応する。図16(b)は図7のロストモーション補正モデルから算出したロストモーション補正値の時間波形である。ロストモーションの実測では、速度方向の正負で、ロストモーションの変化量の最大値が異なっているが、図16(b)に示す本実施の形態のロストモーション補正モデルは、ロストモーション補正値の変化量の最大値を速度方向の正負で同一にしたことにより、補正値の累積による位置誤差の増加を防止している。
【0070】
図16(b)は図8〜図11の計算アルゴリズムを用いて算出した設定値を用いて、図7のロストモーション補正モデルからロストモーション補正値を算出した結果である。図16(b)の縦軸、横軸は図16(a)に直接対応し、図16(b)に用いたロストモーション補正モデルは、次のように設定している。
L1=13μm、L2=73μm、δ0=0.4μm、δ1=0.9μm、δL=1.3μm
1 =0.3μm/μm、 2 =0.019μm/μm
図16は一定速度で駆動したときのロストモーションとロストモーション補正値であり、時間×速度が距離であることから、図16中のA、Bの領域が、L1、L2に直接対応する。
【0071】
図17は本実施の形態1の位置決め装置に円軌跡を描かせ、真円度測定器で測定した結果を示すもので、直径40mmの円を描かせたときの位置決め誤差を拡大して示している。図17(a)は、ロストモーション補正なし、図17(b)は従来の一定の補正値でロストモーション補正を行った場合、図17(c)は2段の比例領域を有するロストモーション補正を行った場合である。
【0072】
本実施の形態1の位置決め装置では、テーブル40にシール板45を押しつけているため、Y軸駆動系よりもX軸駆動時の摩擦力が大きいため、図17(a)のX軸方向の速度方向切り換え時に大きな位置決め誤差が生じている。図17(a)を一定のロストモーション補正値で補正すると、図17(b)に示すように速度方向切り換え時に軌跡に段差を生じるが、図17(c)では速度方向切り換え時に段差を生じることなく滑らかな円軌跡を描いており、本実施の形態1におけるロストモーション補正モデルが有効であることが確認できる。
【0073】
実施の形態2.
図18はこの発明の実施の形態2を示す位置決め装置の構成図であり、全体の構成は前記図1に示す実施の形態1と同じであるが、本実施の形態2は速度方向判別手段として、NC装置で生成される位置指令値を用いることにより、回転位置検出器からの出力を用いることなく、NC装置内だけでロストモーション補正ができ、前記実施の形態1より構成が簡単、速度判別誤差もなくなる。
【0074】
実施の形態3.
図19はこの発明の実施の形態3を示す位置決め装置の構成図であり、前記図1に記載の構成と同一部分には同一符号を付して重複説明を省略する。図19において、10はACサーボモータ2への電流指令値と該サーボモータの回転角速度からモータ軸に加わる外乱を推定する外乱推定器である。前記図1に示す実施の形態1では、回転位置検出器の精度が粗いとき、もしくは駆動速度に対してサンプリング周期が早いときに、実際には動いているのに、誤って速度零と判別され、ロストモーション算出器が正常に動作しない場合がある。しかし、本実施の形態3は外乱推定器を用い、外乱推定値の符号の切り換わりを判別手段5aで判別することにより、ロストモーション算出器が正常に動作する。
【0075】
実施の形態4.
図20はこの発明の実施の形態4を示す構成図であり、駆動系の可動テーブルに加わる摩擦力の経時変化、あるいは経年変化を推定し、ロストモーション補正量を自動的に調整する位置決め装置の全体系のブロック図である。図20において、11は位置ループゲインKp を乗算する乗算器、12は速度ループの比例積分補償器、13はトルク定数Kt を乗算する乗算器、14はモータ軸トルクを慣性力Jm で除して速度に変換する積分器、15は回転角速度を回転位置に変換する積分器である。16はモータの回転運動と可動部の直進運動とを関係づける換算係数L/2πを得る処理器である。17はボールねじの弾性変形を伝達力に変換するばね定数kb を乗算する乗算器、18はボールねじからの伝達力を可動テーブル質量ml で除して速度に変換する積分器である。19は上記符号11〜18の各要素により構成された従来通りのサーボ系である。
【0076】
20はモータの電流指令値i*とモータ回転角速度(dXe /dt)からモータ軸に加わる外乱Td を推定する外乱推定器、21は外乱推定器20におけるトルク定数の公称値Ktnを乗算する乗算器、22はロータ速度を入力としてモータのロータ慣性のノミナル値Jn と外乱推定器20の周波数特性を決めるオブザーバゲインgの積を乗算する乗算器、23はカットオフ周波数g/2πHzの1次のローパスフィルターg/(s+g)を得る処理器である。
【0077】
24は外乱推定器20から出力された外乱推定値T'dとモータ回転位置検出器4の出力Xe から摩擦力などの外力Tl を推定する外力推定器、25は外力推定器24からの出力である外力推定値Tl'とモータの回転検出位置Xe を入力としてロストモーション補正値δを算出するロストモーション算出器である。26はロストモーション算出器25から出力されたロストモーション補正値の最大値δ2 を入力としてロストモーション補正ゲインεを乗算する乗算器である。27はモータ回転検出位置Xe と乗算器26の出力であるロストモーション補正値の最大値δ2 から位置指令値(Xe* に加算するロストモーション補正量δを算出するロストモーション補正手段である。28は外乱推定器20の出力である外乱推定値T'dを入力としてKd 倍してサーボアンプの電流指令値i* に外乱相殺制御電流指令値を出力する外乱相殺制御器としての乗算器である。29は外乱推定器20から出力された外乱推定値T'dを入力として、駆動系に異常負荷が生じていないかどうかを判別する駆動系異常検出器である。
【0078】
次に図20の実施の形態4の動作について説明する。サーボ系19はNC装置から送られる位置指令X* から外サーボ系内で検出した回転検出位置Xe を差し引き、これに位置フィードバックゲインKp を掛けて速度指令(dXe /dt)* を生成し、この速度指令(dXe /dt)* から回転角速度(dXe /dt)e を差し引き、これに速度フィードバックゲインを掛けて電流指令値i* を生成し、この電流指令値i* にトルク定数Kt を掛けてサーボモータ4へのトルク指令Tm *を生成する基本動作は従来どおりである。このとき、サーボ系19はサーボアンプ内のデジタルシグナルプロセッサ上にデジタル処理系として実装される。
【0079】
また、電流指令値i* と回転角速度(dXe /dt)から外乱推定値T’d が算出され、この算出された外乱推定値T’d と回転検出位置Xe から可動テーブルに加わる外力推定値Tl ’が算出される。さらに、外力推定器24の出力である外力推定値Tl ’と回転検出位置Xe からロストモーション補正値の最大値δ2 がロストモーション算出器25で算出され、これを乗算器26でε倍してロストモーション補正手段27に出力される。このロストモーション補正手段27は乗算器26からの出力と回転検出位置Xe から位置指令値X* に加算されるロストモーション補正量δを算出し、位置指令値X* にロストモーション補正値δを加算する。
【0080】
図21は図20中の外乱オブザーバに双一次変換s=2/T・(1−Z-1)/(1+Z-1)を代入し、離散化したブロック図を示す。図21において、30はKTNNと{i*nの積を算出する乗算器、31はGJNNと{v}nの積を算出する乗算器、32は{X0}nの1サンプル時間前の値を{X1}nに出力する変換器、33は{X1}n と2-b1との積{X1TM}nを算出出力する乗算器である。34は{X1TM}nとDIBの積を算出する乗算器である。35は{X1}nと{X0}nの和と2-b2との積を算出する乗算器である。36はGJN0と{v}nとの積を算出する乗算器であり、3は35と36の出力の差を外乱推定値{T'dnに換算する乗算器である。なお、図21中のKTNN、GJNN、DIB、GJN0などは外乱推定のために用いる任意の数値である。
【0081】
次に、上記図21の離散系のブロック図を、サーボアンプのプロセッサ上で実施するときの、プロセッサの動作を図22のフローチャートについて説明する。図22において、電流指令値{i*n と位置検出器の差分から得られる速度値{V}n を読み込む(ST101)。KTNN・{i*n +GJNN・{V}n を{ED}n に代入する(ST102)。
【0082】
次いで、{X1}n ・2-b1 を{X1TM}n に代入し(ST103)、{X1TM}n ・D1B+{ED}n を{X0}n に代入する(ST104)。また、[[{X0}n +{X1}n ]・2-b2 −GJN0・{V}n ]・aを{T'dn に代入し(ST105)、{X0}n を{X1}n に代入する(ST106)。しかる後{T'dn を外力推定器24および駆動系異常検出器29へ出力する(ST107)。
【0083】
図23は図21の外乱オブザーバで、Jn を0として慣性力を外乱とみなしたときの、トルク指令値Ktn・{i*n から外乱推定値{T'dn までの周波数伝達関数を示すもので、横軸は折れ点周波数で無次元化している。図23(a)の縦軸はゲイン、同図(b)の縦軸は位相角を示しており、実線Aは測定特性、点線Bは設計特性を示している。図から明らかなように、無次元周波数1以下でゲインはほぼ0dBとなり、無次元周波数10で−20dB/decとなるローパスフィルタの特性を有する。
【0084】
図24は外乱推定値T'dに重畳するトルクリップルおよび駆動系の摩擦力を補償し、駆動系に加わる外力Tl の推定説明するフローチャートである。図24において、T0 は駆動系の摩擦力、Tn は磁極位置θe に依存したn次のトルクリップルであり、外乱推定器20の出力である外乱推定値T'dをFFT解析することにより求めることができる。
【0085】
このフローチャートにしたがって、駆動系に加わる外力Tl の推定を説明する。まず外乱推定値T’d 、磁極位置θe を読み込む(ST301)。T0 +ΣTn sinnθをT’dcに代入する(ST302)。T’d −T’dcをTl ’に代入する(ST303)。Tl ’をロストモーション算出器25に出力する(ST304)。
【0086】
図25は外乱推定器20の出力である外乱推定値T'dを外力推定器24に通し、実際にモータ軸に加えた負荷トルクと、それを外乱推定器20および外力推定器24で推定した結果をまとめて示すもので、破線Cは理想値を示すが、2台のモータM1、M2で確認したが、外力推定値Tl'はこの直線上に乗っており、外力推定器24により駆動系に加わる外力がよく推定できており、本方式が有効であることが確認できる。
【0087】
図26はロストモーション算出器25の構成を示すブロック図である。図26において、Tl0' はテーブル位置ごとの外力推定値Tl'の基準値であり、記憶テーブル38に記憶されている。kb は乗算器39で用いられる駆動系のばね定数であり、駆動系の速度ループ周波数伝達特性または位置ループ周波数伝達特性や駆動系に力を加えたときの弾性変形量から求められる。δ2 は実施の形態1のロストモーション補正モデルの上限値である。
【0088】
図27は上記図26のロストモーション算出器25をNC装置上のプロセッサに動作させたときのフローチャートを示すものである。まず、Tl'、Xe を読み込む(ST401)。次いで、Xe の位置からTl0' をメモリーから読み出す(ST402)。1/kb ・(Tl'−Tl0' )・εをδ2 に代入する(ST403)。
【0089】
実施の形態5.
実施の形態4ではモータ軸に加わる摩擦力を推定するために外乱推定器20を設けたが、本実施の形態5はこの外乱推定器20の出力をKd 倍して電流指令値i* にフィードバックし、モータ軸に加わる外乱トルクを相殺する外乱相殺制御機能をサーボアンプ上に構成する。このとき、速度ループ補償器は、従来の比例積分補償器を用いているが、外乱相殺制御器の付加により、比例補償器とすることができる。図28は本実施の形態5を示す構成図であり、実施の形態4に示す従来通りのサーボ系19と前記外乱推定器20と該外乱推定器の出力である外乱推定値T'dを入力としてKd 倍してサーボアンプの電流指令値i* に外乱相殺制御電流指令値を出力する外乱相殺制御器としての乗算器28により構成されており、それらの構成は実施の形態4に示すとおりである。なお本実施の形態5はサーボモータ回転力を直線運動に変換して可動テーブルを直線運動させるNC装置の位置決め装置に適用したものである。
【0090】
次に図28に示す本実施の形態5の動作について説明する。サーボ系19はNC装置から送られる位置指令値X* から外サーボ系内で検出した回転検出位置Xe を差し引き、これに位置フィードバックゲインKp を掛けて速度指令(dXe /dt)* を生成し、この速度指令(dXe /dt)* から回転角速度(dXe /dt)e を差し引き、これに速度フィードバックゲインを掛けて電流指定i* を生成し、この電流指令値i* にトルク定数Kt を掛けてサーボモータ4へのトルク指令Tm* を生成する基本動作は従来通りである。
【0091】
また、電流指令値i* と回転角速度(dXe /dt)から外乱推定値T'dが算出され、この算出されて外乱推定値T'dを乗算器28によりKd 倍して外乱相殺制御電流指令値を電流指令値i* に加算する。
【0092】
図29は、位置指令値からサーボモータにとりつけられた回転位置検出器までの位置ループ制御系の周波数特性を示す。図29(a)は、従来の制御系の速度ループ補償器を比例補償器とした場合である。図29(b)は、従来の制御系の速度ループ補償器を比例積分補償器とし、積分補償器の交差周波数を速度ループの制御帯域幅の4分の1とした場合である。図29(c)は、従来の制御系の速度ループ補償器を比例積分補償器とし、積分補償器の交差周波数を速度ループの制御帯域幅の2分の1とした場合である。図29(d)は、外乱相殺制御の場合である。
【0093】
速度ループ補償器として比例補償器を用いた場合には、摩擦力により低い周波数でゲインが0dBとはならず、位置決めを行った場合には定常偏差が生じる。速度ループ補償器として比例積分補償器を用いた場合には、低い周波数でゲインが0dBとなる。積分補償器の交差周波数を大きくとることにより、位置決め制御時の速応性を高めることができるが、積分補償器の交差周波数を速度ループの帯域に近づけると、図29(c)のようにゲインが0dBより大きくなり、状態は不安定な方向に進む。図29(d)は速度ループ補償器を比例補償器とし、外乱推定器の推定帯域幅を速度ループの制御帯域幅の1.7倍とした場合である。外乱推定器の推定帯域を速度ループの帯域幅より大きくしてもゲインは0dB以下であり、また、低い周波数においてもゲインは0dBとなっている。
【0094】
なお、外乱推定器の推定帯域は、速度ループの制御帯域幅の0.2倍から5倍の間で速度ループの制御帯域幅よりも大きくとることが適切である。この0.2倍から5倍の範囲をはずれるとループ系の状態が不安定となる。
【0095】
図30(a)は、図29(b)と同じ制御器、図30(b)は図29(d)と同じ制御器を用いて、F=1000mm/minの速度で円軌跡を描かせたときの、回転検出器の出力をX−Yの2軸平面上に描いたものである。外乱推定器の帯域幅を速度ループの1.7倍と大きくとっているので、象限切り換え時の突起が従来の1/3以下にすることができていることがわかる。
【0096】
なお、本実施の形態5においては、外乱推定器20の入力として電流指令値を用いたが、電流検出値を用いても同等以上の性能が得られる。また、本実施の形態5で用いた外乱推定器は、回転位置検出器の出力の微分値である回転角速度を用いた一次の外乱推定器としたが、回転位置検出器の出力である回転位置を入力とする二次の外乱推定器としても良い。
【0097】
実施の形態6.
前記実施の形態5において、位置決め装置のモータ軸に加わる外力を検出するために、外力推定器24を用いたが、この外力推定器24をボールねじ駆動系に適用して、切りくずなどがボールねじ溝などに入り、駆動トルクが増加するなどの異常を検出する駆動系異常検出器として用いることができる。
【0098】
実施の形態7.
図31は外力推定器24からの外力推定値Tl'を入力とする駆動系異常検出器29の動作を説明するフローチャートである。まず、外力推定器24の出力である外力推定値Tl'を読み込む(ST501)。この外力推定値Tl'が、外乱推定値の許容値の下限Tlow 以上かどうかを判別する(ST502)。許容値の下限Tlow 以上であれば、ST503に移行し、許容値の下限Tlow 以下であれば、ST504に移行する。また、外力推定値Tl'が許容値の上限Thigh以下であればST501へ移行し、外力推定値Tl'が許容値の上限Thigh以上であれば、ST504に進み、ST504でNC装置のモニタに異常を知らせる表示をする。
【0099】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、サーボモータの回転速度方向切り換わり時の回転検出位置からの変位量に対して補正量が比例増加する2段の比例領域および変位量がある値となったとき、該補正量が一定値となる飽和領域を有するロストモーション補正モデルからロストモーション補正量を算出し、この算出した補正量をNC装置から生成される位置指令値に加算してロストモーション補正を行うように構成したので、速度方向切り換え位置からの変位に対して緩やかに生じるロストモーションに対しても、ロストモーション補正モデルの設定値を調整することで、速度方向切り換え時の軌跡に段差を生じることなく、滑らかで高精度な位置決めが実現できる。この結果、駆動系に生じる位置決め誤差は指令値で補正できるので、ボールねじの剛性を低くしても補正で修正できることから、ボールねじ径を細くすることができるので、原価低減の効果がある。
【0100】
また、従来高精度な位置決め精度を得るために機械系可動部と回転機側に位置検出器を取り付けるクローズドループ方式を採用していたが、ロストモーション補正を用いることにより、機械系可動部の検出器が無くとも回転機側の位置検出器だけで高精度な位置決めを実現できるので、機械系可動部の位置検出器を減らすことができ、低コストで高性能化がはかれる効果がある。
【0101】
また、この発明におけるロストモーション補正モデルは、例えば2段の比例領域の場合、7個以下のパラメータからなる簡明なものであり、対象となる駆動系の駆動方式が同一であればロストモーション補正モデルは同一でよい。そのため、補正アルゴリズムの簡略化、およびプログラムの統一を図ることができ、製品量産においてモデル設定作業の効率化および機種の統合によって原価低減を図ることができる効果がある。
【0102】
また、この発明は、ロストモーション補正モデルの飽和領域において、正方向駆動における一定補正値と負方向駆動における一定値補正値の差が、正方向駆動から負方向駆動に切り換わったときと負方向駆動から正方向駆動に切り換わったときとで同一であり、駆動方向の切り換えが積み重なる場合でも絶対位置のドリフトが生じないため、長時間の連続駆動において高い位置精度を保つことができる効果がある。
【0104】
この発明によれば、外乱推定器で推定した外乱推定値の符号の切り換わり時の位置からの変位量に対して補正量が比例増加し、変位量が大きくなるにつれて、該比例領域の傾きを数段階に減少させる比例領域および変位量がある値となったとき該補正量が一定となり、正方向駆動における該一定補正値と負方向駆動における該一定補正値の差が、正方向駆動から負方向駆動に切り換わったときと、負方向駆動から正方向駆動に切り換わったときとで同一である飽和領域を有するロストモーション補正モデルからロストモーション補正値を算出し、この算出した補正値をNC装置から生成される位置指令値に加算してロストモーション補正を行うように構成したので、請求項1記載の発明と同一の効果を得るとともに駆動系に加わっている摩擦力から判別するので、速度判別誤差をなくすことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施の形態1である位置決め装置を示す構成図である。
【図2】 図1の位置決め装置におけるX−Y駆動系を示す側面図である。
【図3】 図2のA−A’線に沿う縦断面図である。
【図4】 図3のX−Y駆動系の力学モデルを示す説明図である。
【図5】 図4の力学モデルから求める位置決め量と摩擦力の関係図である。
【図6】 図4の力学モデルから求められる位置決め量と駆動系弾性変形量の関係図である。
【図7】 図3のX−Y駆動系のロストモーション補正に用いた補正モデル図である。
【図8】 図3のX−Y駆動系のロストモーション補正の補正モデルの補正モデルの設定値を求めるアルゴリズムのフローチャートである。
【図9】 図3のX−Y駆動系のロストモーション補正の補正モデルの補正モデルの設定値を求めるアルゴリズムのフローチャートである。
【図10】 図3のX−Y駆動系のロストモーション補正の補正モデルの補正モデルの設定値を求めるアルゴリズムのフローチャートである。
【図11】 図3のX−Y駆動系のロストモーション補正の補正モデルの補正モデルの設定値を求めるアルゴリズムのフローチャートである。
【図12】 図3のX−Y駆動系のロストモーション補正の補正モデルから算出したロストモーション補正データとロストモーション測定データとロストモーション補正データの変化率を示す図である。
【図13】 ロストモーション補正の効果を確認するために用いた真円度測定器の構成図である。
【図14】 この発明の実施の形態1のロストモーション補正モデルを示す図である。
【図15】 この発明の実施の形態1のNC装置またはサーボアンプ上でプロセッサが実行するロストモーション補正のフローチャートである。
【図16】 この発明の実施の形態1のロストモーション補正の動作を示すロストモーションの実測値とロストモーション補正モデルの時間波形図である。
【図17】 この発明の実施の形態の真円度測定結果を示す位置決め装置の描いた曲線図である。
【図18】 この発明の実施の形態2を示す位置決め装置の構成図である。
【図19】 この発明の実施の形態3を示す位置決め装置の構成図である。
【図20】 この発明の実施の形態4の全体系のブロック図である。
【図21】 この発明の実施の形態4の外乱推定器を離散化したブロック図である。
【図22】 この発明の実施の形態4の外乱推定器のNC装置またはサーボアンプ上のプロセッサで実行されるプログラムのフローチャートである。
【図23】 この発明の実施の形態4の外乱推定器の動作を示すボード線図である。
【図24】 この発明の実施の形態4の外力推定器のNC装置またはサーボアンプ上のプロセッサで実行されるプログラムのフローチャートである。
【図25】 この発明の実施の形態4の外乱推定器と外力推定器を用いて位置決め装置の駆動系に加わる外力を推定した結果を示す図である。
【図26】 この発明の実施の形態4のロストモーション算出器のブロック図である。
【図27】 この発明の実施の形態4のロストモーション算出器のNC装置またはサーボアンプ上のプロセッサで実行されるプログラムのフローチャートである。
【図28】 この発明の実施の形態5の全体系のブロック図である。
【図29】 この実施の形態5の位置ループ制御系の周波数特性図である。
【図30】 この実施の形態5のNC装置からの円軌跡指令に対するモータの位置応答を示す図である。
【図31】 この実施の形態7の駆動系異常検出器のNC装置またはサーボアンプ上のプロセッサで実行されるプログラムのフローチャートである。
【図32】 ロストモーション補正を実行する従来例のフローチャートである。
【図33】 ロストモーション補正を実行する従来例のブロック図である。
【符号の説明】
2 ACサーボモータ(サーボモータ)、3 可動テーブル、4 回転位置検出器、5 判別手段、6 算出手段、7 加算手段、10,20 外乱推定器、24 外力推定器、28 乗算器(外乱相殺制御器)、29 駆動系異常検出器。

Claims (2)

  1. サーボモータ回転力を直線運動に変換して可動テーブルを直線運動させるNC装置の位置決め装置において、前記サーボモータの回転位置検出器からの出力の時間変化から該サーボモータの回転速度方向切り換わりを判別する判別手段と、回転速度方向切り換わり時の回転検出位置からの変位量に対して補正量が比例増加し、変位量が大きくなるにつれて、該比例領域の傾きを数段階に減少させる比例領域および変位量がある値以上となったとき該補正値が一定となり、正方向駆動における該一定補正値と負方向駆動における該一定補正値の差が、正方向駆動から負方向駆動に切り換わったときと、負方向駆動から正方向駆動に切り換わったときとで同一である飽和領域よりなるロストモーション補正モデルからロストモーション補正量を算出する算出手段と、算出した補正量を前記NC装置により生成される位置指令値に加算してロストモーション補正を行う加算手段とを備え、前記算出手段における比例領域の傾きを、1サンプル時間前のロストモーション補正値に応じて、あらかじめ設定しておいた複数の比例領域の傾きの中から1つを選択するようにするとともに、駆動方向の切り換えを繰り返した場合でもロストモーション補正値の変化量の最大値が速度方向の正負で同一となる構成にしたことを特徴とする位置決め装置。
  2. サーボモータ回転力を直線運動に変換して可動テーブルを直線運動させるNC装置の位置決め装置において、モータの電流指令値あるいは電流検出値とモータの回転角速度からモータ軸に加わる外乱を推定する外乱推定器と、この推定した外乱推定値、あるいは該外乱推定値を入力として外力推定器が出力する外力推定値と、回転位置検出器からの回転検出位置と、あらかじめ測定しておいた回転検出位置ごとの外乱推定値、あるいは外力推定値を入力として飽和領域におけるロストモーション補正量を算出するロストモーション算出器と、前記サーボモータの回転速度方向切り換わり、あるいは前記外乱推定値の符号の切り換わりを判別する判別手段と、前記回転速度方向の切り換わり時の回転検出位置からの変位量に対して補正量が比例増加し、変位量が大きくなるにつれて、該比例領域の傾きを数段階に減少させる比例領域および変位量がある値以上となったとき該補正量が一定となり、正方向駆動における該一定補正値と負方向駆動における該一定補正値の差が、正方向駆動から負方向駆動に切り換わったときと、負方向駆動から正方向駆動に切り換わったときとで同一である飽和領域よりなるロストモーション補正モデルからロストモーション補正量を算出する算出手段と、この算出した補正量を前記NC装置により生成される位置指令値に加算してロストモーション補正を行う加算手段とを備え、前記ロストモーション算出器のロストモーション補正量の算出を、記憶テーブルに記憶しておいたテーブル位置ごとの外力推定値の基準値と外力推定器から読み込んだ外力推定値との差から求めた駆動系に加わる摩擦力の変化量、外力の変化量、および駆動系のばね定数から算出することを特徴とする請求項1記載の位置決め装置。
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