JP3892510B2 - 車両用左右駆動力配分装置 - Google Patents

車両用左右駆動力配分装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、4輪駆動車や2輪駆動車の差動装置に関し、詳しくは左右輪への駆動力配分比を可変に制御できる車両用左右駆動力配分装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、凹凸が大きい路面や、急な斜面を横切るときや、スプリットμ路走行等での駆動力の確保および走行安定性や運動性能を向上させるため、様々な種類の差動制限装置が開発され実用化されている。さらに、最近では、左右輪のトルク配分を積極的に調整し、車両の旋回性を向上させる技術が提案されている。
【0003】
例えば、特開平5−77653号公報では、リングギヤがディファレンシャルケースの内周に形成され、サンギヤが第2の出力軸に取り付けられ、プラネタリギヤを軸支するキャリヤが第1の出力軸に取り付けられて構成されるダブルピニオン式の遊星歯車機構で形成された差動装置に左右の駆動力配分を調整する駆動力伝達制御機構を備えたものが示されており、上記駆動力伝達制御機構が、左右の出力軸に付設されて左右の出力軸の回転速度を変速する変速機構と、この変速機構によって変速されて、左右の出力軸と異なる速度で回転するように接続された駆動力伝達補助部材と、左右の駆動力配分を調整する多板クラッチ機構を備え、多板クラッチ機構と差動機構を同一ケーシング内に配設したものが示されている。上記多板クラッチ機構はクラッチ部とピストン部から分離構成され、クラッチ部がディファレンシャルケース内にピストン部がケース外に配置されている。
【0004】
また、特開平5−345535号公報では、ダブルピニオン式の遊星歯車機構の差動機構で、左右輪への駆動力伝達制御機構が、左右輪への回転軸の間に介装されて、この回転軸のうち一方の回転軸の速度を増速して第1の中間軸に出力する増速機構と、一方の回転軸を減速して第2の中間軸に出力する減速機構とが一体化された増減速機構と、第1および第2の伝達トルク容量可変手段から構成され、第1と第2の伝達トルク容量可変手段がお互いに隣接して一体化されたものが示されている。伝達トルク容量可変手段は、電子制御油圧式多板クラッチにより構成されている。
【0005】
さらに、特開平1−182127号公報では、入力軸により回転されるディファレンシャルケース内に固定したピニオン軸に、一対のピニオン(ベベルギヤ)を対向させて回転自在に設け、このピニオンに左右のサイドギヤ(ベベルギヤ)を噛合させて差動装置を構成し、ディファレンシャルケースと共に回転される中間軸の左輪側と右輪側とにそれぞれ油圧多板クラッチを設け、左輪側出力軸と中間軸および右輪側出力軸と中間軸をそれぞれの油圧多板クラッチを介して連結し、車両の運動状態に応じて左右輪のトルク伝達量を可変に制御するものが示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平5−77653号公報による技術では、ハイポイド・リングギヤの内径部に形成されたディファレンシャルケースに両側から油圧多板クラッチのドライブプレートとドリブンプレートを交互に重ね、その中央部にダブルピニオン式の差動装置を設け、また、ディファレンシャルケースの外側に左輪用と右輪用の出力軸と異なる速度で回転するように駆動力伝達補助部材と、左右の駆動力配分を調整する多板クラッチ機構をシリーズに配置しているため、左右輪方向の寸法が長大化してしまうといった問題がある。
【0007】
そして、左右輪の出力軸が車輪方向に長大化するため、等速ジョイントを両側にもつドライブ軸の全長が短縮され、車体レイアウトからきまる車軸と出力軸の位置の違い、サスペンションストロークに応じた上下ストローク、車種の変化に応じた上下方向のズレ、車両のリバウンド等の動的な変化などによりドライブ軸のジョイント角度(屈曲角)が大きくなり、ドライブ軸の強度低下、伝達効率の低下、ジョイント部からの振動・騒音問題の原因になる可能性がある。
【0008】
また、ディファレンシャルケースの両側に左右輪駆動力配分用の遊星歯車式の駆動力伝達補助部材を配置するため、装置全体が大型化、構造が複雑化、構成部品点数が増加など製造コストや質量増加の観点で好ましくない。
【0009】
さらに、油圧多板クラッチのクラッチディスク外径サイズに制約が生じる構成になっており、クラッチ・トルク容量を増加させるにはクラッチ枚数を大幅に増加させるか、油圧ピストンの受圧面積を増加させるかの手段をとる必要がある。このため、高出力車では、トルク容量を増加させる必要があることから、装置全体が大型化、質量増加、コスト増加などを招き好ましくない。
【0010】
また、左右方向の構造が左側遊星歯車と左ピストン、ディファレンシャルケース内の差動歯車と油圧多板クラッチ、右側の遊星歯車と右ピストンの3ブロックに分離されてしまうため、潤滑バランスや潤滑方法がむずかしいといった問題がある。
【0011】
また、前記特開平5−345535号公報による技術では、左右の出力軸方向にダブルピニオン式差動装置、増速機構と減速機構を得る3列ピニオンが一体の複合遊星歯車、この複合遊星歯車の2つのサンギヤが2組の油圧多板クラッチに動力伝達可能に連結されて、しかも2組油圧多板クラッチが隣接して一体化されて、左右の出力軸方向に差動装置、3列ピニオンの複合遊星歯車式増減速機構、2組の油圧多板クラッチ等をシリーズに構成するため、左右駆動力配分装置の幅寸法が長大化し、上述の先行技術と同様の問題がある。
【0012】
また、バイパスする駆動力は、差動歯車の左輪出力軸と右輪出力軸間に増・減速機構と油圧多板クラッチを介して移動する方式であり、多板クラッチの伝達トルク容量を有効に利用できる。しかしながら、ダブルピニオン式の差動装置が、大径を有するリングギヤ、大小ピニオン、サンギヤから構成されるため、ハイポイドギヤのリングギヤ内径部に収納するのにスペース的な制約から、ディファレンシャルケース(一方に差動歯車の入力要素であるリングギヤを形成、他方に軸受支持部材を形成)にハイポイド・リングギヤを3ピースでボルト締結している。このため、ハイポイド・リングギヤの直下にある軸受で支持する構成となり、左右の軸受容量のバランスが悪くなり耐久・信頼性、ギヤノイズ等の観点で不利である。
【0013】
左右の出力軸方向にハイポイド・リングギヤの両端に軸受、複合遊星歯車の入力サンギヤの軸受、3連ピニオンの支持部、2組の油圧多板クラッチの油圧ピストンが収納される油圧室の壁、両端の出力軸を支持する軸受とオイルシール等の静止部材を設ける必要があり、剛性の高い壁を少なくとも5つ形成しなければならず、全体が複雑で、また、製造コスト、質量増加、潤滑バランス、旋回中のクラッチによる攪拌損失、等の点で不利である。加えて、差動装置全体のケースの分割構成が複雑になり、潤滑油のシール面が増加し、信頼性、製造コスト高、現行の生産部品との共用性が乏しい等の問題がある。
【0014】
さらに、前記特開平1−182127号公報による技術では、駆動力を左右輪それぞれの側に独立して設けた油圧多板クラッチを介して配分する構成であり、中間軸の左右両側に油圧多板クラッチを設けなければならず、車両の左右方向寸法が長大化し、部品点数が多くなるといった問題がある。
【0015】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、左右の出力軸方向の長大化を防止し、左右輪とアクスル軸間に配置される自在継手の交差角を小さくすることができ、サスペンションの構成部材や排気系部材との干渉や整備時に隙間が確保できるなど車載性に優れ、構成部品点数も少なく小型・軽量で、従来の差動装置と装着互換性を有し、製造コスト上有利であり、また、差動制限機能も有し、バイパストルクの調整・設定も容易で制御精度が高く耐久・信頼性に優れた車両用左右駆動力配分装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の本発明による車両用左右駆動力配分装置は、駆動力の入力側の第1のサンギヤを第1のピニオンと噛合して第1の歯車列を形成し、左輪側と右輪側のどちらか一方の出力側の第2のサンギヤを上記第1のピニオンと一体の第2のピニオンと噛合して第2の歯車列を形成し、上記第1,第2のピニオンを他方の出力側のキャリヤで軸支して、上記第1の歯車列と上記第2の歯車列のギヤ噛合い点に作用する分離荷重を上記第1,第2のピニオンの軸支部分に作用させて得る摩擦力で、左右輪間で入力トルクに比例した差動制限トルクを発生する差動制限装置を備え、上記駆動力の入力側に左右輪間に差動がない条件で第1の回転部材に対し基準回転速度を発生させる第1の歯車を設け、上記一方の出力側と上記他方の出力側のどちらかに左右輪間に差動がない条件で上記基準回転速度とは異なる第2の回転速度で第2の回転部材を回転させる第2の歯車を設け、上記一方の出力側と上記他方の出力側のどちらかに左右輪間に差動がない条件で上記基準回転速度とは異なる第3の回転速度で第3の回転部材を回転させる第3の歯車を設け、上記第1の回転部材と上記第2の回転部材と上記第3の回転部材とを上記両出力側の回転軸芯と平行な同一回転軸芯上に配設するとともに、上記第1の回転部材と上記第2の回転部材が伝達容量可変なクラッチ機構と上記第1の回転部材と上記第3の回転部材が伝達容量可変なクラッチ機構の2組のクラッチ機構を上記各回転部材の回転軸芯上に一体に形成したものである。
【0017】
また、請求項2記載の本発明による車両用左右駆動力配分装置は、上記請求項1記載の車両用左右駆動力配分装置において、上記第1の歯車列と上記第2の歯車列のギヤ噛合い点に作用するスラスト荷重の差を上記第1,第2のピニオンの一方の端面に作用させて得る摩擦力と、上記第1の歯車列と上記第2の歯車列のギヤ噛合い点に作用する分離荷重と接線荷重の合成力を上記第1,第2のピニオンの軸支部分に作用させて得る摩擦力とで、左右輪間で入力トルクに比例した差動制限トルクを発生する差動制限装置を備えたものである。
【0018】
さらに、請求項3記載の本発明による車両用左右駆動力配分装置は、上記請求項1又は請求項2記載の車両用左右駆動力配分装置において、上記2組のクラッチ機構を油圧多板クラッチと電磁クラッチと伝達容量可変型カップリングの少なくとも一つで形成したものである。
【0019】
また、請求項4記載の本発明による車両用左右駆動力配分装置は、上記請求項1,2,3のいずれか一に記載の車両用左右駆動力配分装置において、上記2組のクラッチ機構による伝達容量は、車両の走行状態と路面状況に応じて可変に設定するものである。
【0020】
さらに、請求項5記載の本発明による車両用左右駆動力配分装置は、上記請求項1,2,3,4のいずれか一に記載の車両用左右駆動力配分装置において、上記第2の歯車を上記一方の出力側に設け、上記第3の歯車を上記他方の出力側に設けて、左右輪間に差動がない条件での上記第2の回転部材の上記第2の回転速度と上記第3の回転部材の上記第3の回転速度とを、同じ値に設定したものである。
【0021】
また、請求項6記載の本発明による車両用左右駆動力配分装置は、上記請求項1,2,3,4のいずれか一に記載の車両用左右駆動力配分装置において、上記第2の歯車と上記第3の歯車の両方を上記一方の出力側と上記他方の出力側のどちらかに設け、左右輪間の差動がない条件での上記第2の回転部材の上記第2の回転速度と上記第3の回転部材の上記第3の回転速度は、片側の回転速度を上記基準回転速度より大きな値に設定し、他側の回転速度を上記基準回転速度より小さな値に設定したものである。
【0022】
さらに、請求項7記載の本発明による車両用左右駆動力配分装置は、上記請求項6記載の車両用左右駆動力配分装置において、左右輪間の差動がない条件での上記第3の歯車の回転速度と上記第3の回転部材の第3の回転速度の比と、上記第1の歯車の回転速度と上記第1の回転部材の基準回転速度の比と、上記第2の歯車の回転速度と上記第2の回転部材の第2の回転速度の比との間のステップ比を一定に設定したものである。
【0023】
また、請求項8記載の本発明による車両用左右駆動力配分装置は、上記請求項7記載の車両用左右駆動力配分装置において、上記2組のクラッチ機構は、所定の伝達容量差を設けて形成したものである。
【0024】
上記請求項1記載の車両用左右駆動力配分装置は、駆動力が差動制限装置に入力されると、左輪側と右輪側のどちらか一方の出力側と他方の出力側とに動力配分され、例えば上記一方の出力側を左輪側、上記他方の出力側を右輪側として、左右輪に動力配分して走行する。そして、左輪と右輪が接地する路面の摩擦係数が左右で大きく異なるような場合で、左輪と右輪とが差動回転する際、第1の歯車列と第2の歯車列のギヤ噛合い点に作用する分離荷重が上記第1,第2のピニオンの軸支部分に作用して生じる摩擦力が入力トルクに比例して大きくなり、この摩擦力により、上記第1,第2のピニオンの回転と反対方向に差動制限トルクが発生する。この差動制限トルクは、左輪がスリップする場合は右輪側に、右輪の回転数が大きい場合は左輪側に、それぞれ移動しスリップを防止するようにトルク配分制御される。また、駆動力により、入力側に設けられた第1の歯車が回転され、第1の回転部材が基準回転速度で回転させられる。さらに、上記一方の出力側と上記他方の出力側のどちらかに設けた第2の歯車の回転により第2の回転部材が回転され、上記一方の出力側と上記他方の出力側のどちらかに設けた第3の歯車の回転により第3の回転部材が回転されている。これら各回転部材は、上記両出力側の回転軸芯と平行な同一回転軸芯上で回転され、各回転速度は左右輪間に差動がない条件で設定された値である。そして、上記第1の回転部材と上記第2の回転部材とを、上記各回転部材の回転軸芯上に一体に形成した2組のクラッチ機構の一方のクラッチ機構で伝達容量可変に連結することで、あるいは、上記第1の回転部材と上記第3の回転部材とを、他方のクラッチ機構で伝達容量可変に連結することで左右輪のトルク配分を行う。
【0025】
また、上記請求項2記載の車両用左右駆動力配分装置は、請求項1記載の車両用左右駆動力配分装置において、差動制限装置は、第1の歯車列と第2の歯車列のギヤ噛合い点に作用するスラスト荷重の差を第1,第2のピニオンの一方の端面に作用させて得る摩擦力と、上記第1の歯車列と上記第2の歯車列のギヤ噛合い点に作用する分離荷重と接線荷重の合成力を上記第1,第2のピニオンの軸支部分に作用させて得る摩擦力とで、左右輪間で入力トルクに比例した差動制限トルクを発生する。
【0026】
また、上記請求項3記載の車両用左右駆動力配分装置は、請求項1又は請求項2記載の車両用左右駆動力配分装置において、上記2組のクラッチ機構を油圧多板クラッチと電磁クラッチと伝達容量可変型カップリングの少なくとも一つで形成し、クラッチ機能を得る。
【0027】
さらに、上記請求項4記載の車両用左右駆動力配分装置は、請求項1,2,3のいずれか一に記載の車両用左右駆動力配分装置において、上記2組のクラッチ機構による伝達容量は、車両の走行状態と路面状況に応じて可変に設定する。
【0028】
また、上記請求項5記載の車両用左右駆動力配分装置は、請求項1,2,3,4のいずれか一に記載の車両用左右駆動力配分装置において、上記第2の歯車を上記一方の出力側に設け、上記第3の歯車を上記他方の出力側に設けて、左右輪間に差動がない条件での上記第2の回転部材の上記第2の回転速度と上記第3の回転部材の上記第3の回転速度とを、同じ値に設定し、左輪への出力側の回転部材をクラッチ機構で連結するか、あるいは、右輪への出力側の回転部材をクラッチ機構で連結してトルク配分する。
【0029】
また、上記請求項6記載の車両用左右駆動力配分装置は、請求項1,2,3,4のいずれか一に記載の車両用左右駆動力配分装置において、上記第2の歯車と上記第3の歯車の両方を上記一方の出力側と上記他方の出力側のどちらかに設け、左右輪間の差動がない条件での上記第2の回転部材の上記第2の回転速度と上記第3の回転部材の上記第3の回転速度は、片側の回転速度を上記基準回転速度より大きな値に設定し、他側の回転速度を上記基準回転速度より小さな値に設定して、上記第2の歯車と上記第3の歯車の両方を有する側の第1の回転部材と第2の回転部材のクラッチ機構による連結、あるいは、第1の回転部材と第3の回転部材のクラッチ機構による連結で左右輪間のトルク配分を行う。
【0030】
さらに、上記請求項7記載の車両用左右駆動力配分装置は、請求項6記載の車両用左右駆動力配分装置において、左右輪間の差動がない条件での上記第3の歯車の回転速度と上記第3の回転部材の第3の回転速度の比と、上記第1の歯車の回転速度と上記第1の回転部材の基準回転速度の比と、上記第2の歯車の回転速度と上記第2の回転部材の第2の回転速度の比との間のステップ比を一定に設定して確実、容易にトルク配分制御する。
【0031】
また、上記請求項8記載の車両用左右駆動力配分装置は、請求項7記載の車両用左右駆動力配分装置において、上記2組のクラッチ機構は、所定の伝達容量差を設ける。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図11は本発明の実施の形態1を示し、図1は4WD車の全体の概略構成を示す説明図、図2は後輪左右駆動力配分部の拡大断面図、図3はセンターディファレンシャル装置の差動機能説明のための各部の概略図、図4は第1のサンギヤを固定した際の動作説明図、図5は第2のサンギヤを固定した際の動作説明図、図6はセンターディファレンシャル装置の動力分配機能、差動制限機能説明のための各部の概略図、図7は各ギヤにより生じる荷重の説明図、図8は後輪側回転数よりも前輪側回転数の方が大きい場合の説明図、図9は後輪側回転数よりも前輪側回転数の方が小さい場合の説明図、図10は左右駆動力配分の油圧制御装置の構成説明図、図11は左右駆動力配分制御部の機能ブロック説明図である。尚、本発明の実施の形態1は、4WD(4輪駆動)車の前後輪に左右駆動力配分装置を設けるとともに、センターディファレンシャル装置は複合プラネタリギヤ式で構成したものである。
【0033】
図1において、符号1は車両前部に配置されたエンジンを示し、、エンジン1による駆動力は、エンジン1後方の自動変速装置(トルクコンバータ等も含んで図示)2からトランスミッション出力軸2aを経てセンターディファレンシャル装置3に伝達され、このセンターディファレンシャル装置3から、リヤドライブ軸4,プロペラシャフト5,ドライブピニオン6を介して終減速装置の後輪左右駆動力配分部7に入力される一方、トランスファドライブギヤ8,トランスファドリブンギヤ9,このトランスファドリブンギヤ9とともにフロントドライブ軸10に設けたドライブピニオン11を介して前輪左右駆動力配分部12に入力されるように構成されている。ここで、上記自動変速装置2,センターディファレンシャル装置3,前輪左右駆動力配分部12等は、一体にケース13内に設けられている。
【0034】
上記後輪左右駆動力配分部7に入力された駆動力は、左ドライブ軸14,左アクスル軸15を経て左後輪16に、右ドライブ軸17,右アクスル軸18を経て右後輪19に伝達されるようになっている。
【0035】
また、上記前輪左右駆動力配分部12に入力された駆動力は、左ドライブ軸20を経て左前輪21に、また、右ドライブ軸22を経て右前輪23に伝達されるようになっている。
【0036】
上記エンジン1のインテークマニホールド24に連通するスロットルボディー25にはスロットルバルブ(図示せず)の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ26が設けられ、上記ケース13には後輪出力軸回転数を車速として検出するための車速センサ27が設けられている。
【0037】
また、ステアリングホイール28のステアリングコラムには操舵角θを検出する舵角センサ29が設けられ、さらに、車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサ30、左右方向の加速度を検出する横加速度センサ31が設けられている。
【0038】
上記各センサは、前後の左右輪の駆動力配分を制御する左右駆動力配分制御部32に接続されている。また、TCU(トランスミッションコントロールユニット)あるいはECU(エンジンコントロールユニット)等のコントロールユニット33からギヤ位置信号が取り出され、上記左右駆動力配分制御部32に入力するようになっている。
【0039】
上記左右駆動力配分制御部32は、各入力信号に基づき車両の走行状態と路面状況を判定し、上記後輪左右駆動力配分部7で行う最適な左右輪の駆動力配分量を求め後輪側の油圧制御装置34に対し信号出力する一方、上記前輪左右駆動力配分部12で行う最適な左右輪の駆動力配分量を求め前輪側の油圧制御装置35に対し信号出力する部分に形成されている。
【0040】
上記後輪側油圧制御装置34と上記前輪側油圧制御装置35は略同様の構造で、それぞれ上記左右駆動力配分制御部32からの信号を受け、上記後輪側油圧制御装置34は上記後輪左右駆動力配分部7に対して一対の油圧管路36を通じて油圧を加えるように構成され、上記前輪側油圧制御装置35は上記前輪左右駆動力配分部12に対して一対の油圧管路37を通じて油圧を加えるように構成されている。
【0041】
上記センターディファレンシャル装置3は、上記ケース13内後方に設けられており、回転自在に収納したキャリヤ38の前方から上記トランスミッション出力軸2aが回転自在に挿入される一方、後方からは上記リヤドライブ軸4が回転自在に挿入されている。
【0042】
入力側の上記トランスミッション出力軸2aの後端部には、大径の第1のサンギヤ39が形成され、後輪への出力を行う上記リヤドライブ軸4の前端部には、小径の第2のサンギヤ40が形成されており、上記キャリヤ38内に上記第1のサンギヤ39と上記第2のサンギヤ40が格納されている。
【0043】
そして、上記第1のサンギヤ39が小径の第1のピニオン41と噛合して第1の歯車列が形成され、上記第2のサンギヤ40が大径の第2のピニオン42と噛合して第2の歯車列が形成されている。
【0044】
上記第1のピニオン41と第2のピニオン42は一体に形成されており、複数対(例えば3対)の上記ピニオンが、上記キャリヤ38に固定したそれぞれのプラネタリピン43に回転自在に軸支されている。
【0045】
また、上記キャリヤ38は、前端に上記トランスファドライブギヤ8が連結されて、このキャリヤ38から前輪への出力を行うように構成されている。
【0046】
すなわち、上記トランスミッション出力軸2aからの駆動力は第1のサンギヤ39に伝達され、上記第2のサンギヤ40から上記リヤドライブ軸4へ出力するとともに、上記キャリヤ38から上記トランスファドライブギヤ8,トランスファドリブンギヤ9を経て上記フロントドライブ軸10へ出力する複合プラネタリギヤ式のセンターディファレンシャル装置に構成されている。
【0047】
そしてかかる複合プラネタリギヤ式センターディファレンシャル装置は、上記第1,第2のサンギヤ39,40およびこれらサンギヤ39,40の周囲に複数個配置される上記第1,第2のピニオン41,42の歯数を適切に設定することで差動機能を有する。
【0048】
また、上記第1,第2のサンギヤ39,40と上記第1,第2のピニオン41,42とのかみ合いピッチ円半径を適切に設定することで、基準トルク配分が前後50:50の等トルク配分、あるいは前後どちらかに偏重した不等トルク配分の機能を有する。
【0049】
更に、上記第1,第2のサンギヤ39,40と上記第1,第2のピニオン41,42とを例えばはすば歯車にし、上記第1の歯車列と上記第2の歯車列のねじれ角を異にしてスラスト荷重を相殺させることなくスラスト荷重を残留させピニオン端面間に摩擦トルクを、上記第1,第2のピニオン41,42と上記プラネタリピン43の表面に噛合いによる分離,接線荷重の合成力が作用し、摩擦トルクが生じるように設定して、入力トルクに比例した差動制限トルクを得られるようにすることで差動制限機能を有する。
【0050】
次に、図3、図4、図5の各図を基に、上記センターディファレンシャル装置3の差動機能について説明する。
まず、図4のように第1のサンギヤ39を固定すると半径rs2 の円周上で、
(円弧KF)=(円弧CF)−(円弧CK) …(1)
が成立し、図5のように第2のサンギヤ40を固定すると半径rs1 の円周上で、
(円弧ZF)=(円弧BF)−(円弧BZ) …(2)
が成立する。
【0051】
ここで、第1,第2のサンギヤ39,40の角速度ωs1 ,ωs2 、かみ合いピッチ円半径rs1 ,rs2 、第1,第2のピニオン41,42の角速度ωp1 ,ωp2 、かみ合いピッチ円半径rp1 ,rp2 、キャリヤ38の角速度ωcとすると、(1)式は、
ωs2 ・rs2 =−ωp2 ・rp2 +ωc・rs2 …(3)
になり、(2)式は、
ωs1 ・rs1 =−ωp1 ・rp1 +ωc・rs1 …(4)
になる。
【0052】
そこで、第1,第2のピニオン41,42は一体であってωp1 =ωp2 であるから、上記(3),(4)式を整理すると、
ωc・(rs2 −rs1 ・rp2 /rp1 )
=ωs2 ・rs2 −ωs1 ・rs1 ・rp2 /rp1 …(5)
が成立する。
【0053】
ここで、第1のサンギヤ39の角速度ωs1 を入力回転数Ni、キャリヤ38の角速度ωcを前輪側回転数NF、第2のサンギヤ40の角速度ωs2 を後輪側回転数NB,第1,第2のサンギヤ39,40のかみ合いピッチ円半径rs1 ,rs2 および第1,第2のピニオン41,42のかみ合いピッチ円半径rp1 ,rp2 を各歯数Zs1 ,Zs2 ,Zp1 ,Zp2 に置き換えると、上記(5)式は、
NF・(Zs2 −Zs1 ・Zp2 /Zp1 )
=NB・Zs2 −Ni・Zs1 ・Zp2 /Zp1 …(5)′
となる。
【0054】
そして、上記各歯数を、Zp1 =24,Zp2 =24,Zs1 =30,Zs2 =15とすれば、
NB+NF=2Ni
の関係となり、Ni≠0の場合に、NB>Ni>NF,またはNF>Ni>NBが成立して、前輪側回転数NF,後輪側回転数NBは共に回転方向が同一で差動が成立する。
【0055】
次いで、図6,図7,図8,図9を基に等トルク配分機能について説明する。
第1のサンギヤ39の入力トルクをTi,そのかみ合いピッチ円半径をrs1,キャリヤ38の前輪側トルクをTF,第1,第2のピニオン41,42のかみ合いピッチ円半径をrp1 ,rp2 ,第2のサンギヤ40の後輪側トルクをTB,そのかみ合いピッチ円半径をrs2 とすると、
Ti=TF+TB …(6)
rs1 +rp1 =rs2 +rp2 …(7)
が成立する。
【0056】
また第1のサンギヤ39と第1のピニオン41との噛合点に作用する接線方向荷重Pは、キャリヤ38に作用する接線方向荷重P1 と、第2のサンギヤ40と第2のピニオン42との噛合点に作用する接線方向荷重P2 との和に等しい。
P=Ti/rs1
P1 =TF/(rs1 +rp1 )
P2 =TB/rs2
Ti/rs1 ={(TF/(rs1 +rp1 )}+TB/rs2 …(8)
上記(6),(7)式を上記(8)式に代入して整理すると、
TF=(1−rp1 ・rs2 /rs1 ・rp2 )・Ti …(9)
TB=(rp1 ・rs2 /rs1 ・rp2 )・Ti …(10)
となる。このことから、第1,第2のサンギヤ39,40と第1,第2のピニオン41,42とのかみ合いピッチ円半径により、前輪側トルクTFおよび後輪側トルクTBの基準トルク配分を自由に設定し得ることがわかる。
【0057】
そして、上記各かみ合いピッチ円半径rs1 ,rs2 ,rp1 ,rp2 を各歯車の歯数Zs1 ,Zs2 ,Zp1 ,Zp2 で置き換え、これら各歯数に前記各歯数を代入する(Zp1 =24,Zp2 =24,Zs1 =30,Zs2 =15)と、 TF=0.5・Ti
TB=0.5・Ti
になる。従って前後輪トルク配分は、略50対50になり、充分に基準トルク配分を等トルク配分に設定し得る。
【0058】
更に、差動制限機能について説明すると、上記第1,第2のサンギヤ39,40および上記第1,第2のピニオン41,42が所定のねじれ角を有するはすば歯車になっており、上記第1,第2のピニオン41,42のねじれ角を異にして、上記第1,第2のサンギヤ39,40との噛合い点に作用するスラスト荷重を相互にキャンセルすること無く上記プラネタリピン43方向に作用させ、その両端面の部分で滑り摩擦力が発生する。さらに、第1の歯車列,第2の歯車列の噛合い点に作用する分離荷重と接線荷重との合成力を上記第1,第2のピニオン41,42,プラネタリピン43の部分に作用させて、ころがり摩擦力が発生する。そしてこれらの摩擦力によりピニオン回転に対し反対方向の、入力トルクに比例した摩擦トルク,即ち差動制限トルクが生じる。
【0059】
ここで、前輪側回転数NFと後輪側回転数NBとの大小関係によりピニオン回転方向が変化し、これに伴い差動制限トルクのかかり具合も変わる。これにより、NF>NBの旋回,前輪側スリップ時と、NF<NBの後輪側スリップ時には、差動制限トルクの作用の違いに応じて前後輪の動力配分が異なったものに自動的に制御されるのである。
【0060】
そこで、図6,図7,図8を基にNF>NBの場合について説明する。
この条件では、図8に示すように第1のサンギヤ39の反時計方向に入力トルクTiが入力した場合に、第1,第2のピニオン41,42が同一方向に自転し、第2のサンギヤ40とキャリヤ38も同一方向に回転する。従って、ピニオン側の摩擦トルクTfは、ピニオンと反対の時計方向に作用する。
【0061】
ここで、各部のトルク,半径を上述と同一に定める。また、第1の歯車列の第1のサンギヤ39と第1のピニオン41の歯面に作用する接線荷重P,分離荷重Fs1 ,スラスト荷重Ft1 、第2の歯車列の第2のサンギヤ40と第2のピニオン42の歯面に作用する接線荷重P2 ,分離荷重Fs2 ,スラスト荷重Ft2 とする。
【0062】
また、上記プラネタリピン43の側面との間の摩擦係数μ1 ,上記プラネタリピン43の両端面側の部分での滑り摩擦係数μ2,摩擦トルクTf,ピニオン内側半径re,上記摩擦係数μ2を有して摩擦を生じる面の外側半径rd,接触面の数n,第1のピニオン41のモジュールm1 ,ねじれ角β1 ,圧力角α1 ,第2のピニオン42のモジュールm2 ねじれ角β2 ,圧力角α2 とする。
【0063】
すると、
Fs1 =P・tanα1 /cosβ1
Ft1 =P・tanβ1
が成立して、プラネタリピン43側に作用する合成力Np1 は以下のようになる。
Figure 0003892510
同様にして、
Fs2 =P2 ・tanα2 /cosβ2
Ft2 =P2 ・tanβ2
が成立して、プラネタリンピン43側に作用する合成力Np2 は以下のようになる。
Figure 0003892510
また、第1,第2のピニオン41,42内に生じる残留スラスト力ΔFtは以下のようになる。
Figure 0003892510
従って摩擦トルクTfは、2つの合成力Np1 ,Np2 による摩擦力、残留スラスト力ΔFtによる摩擦力との和で、以下のようになる。
Figure 0003892510
次いで、第1,第2のピニオン41,42でのトルクのバランス式は、以下のようになる。
Tf+P・rp1 =P2 ・rp2 …(15)
また、上記(10)式に摩擦トルクTf分を加えると、以下のようになる。
Figure 0003892510
ここで、前述のように、上記各かみ合いピッチ円半径rs1 ,rs2 ,rp1 ,rp2 を各歯車の歯数Zs1 ,Zs2 ,Zp1 ,Zp2 で置き換え、これら各歯数に前記各歯数を代入する(Zp1 =24,Zp2 =24,Zs1 =30,Zs2 =15)と、上記(16)式は、
TB=0.5Ti+0.625Tf …(17)
となる。
【0064】
また、Ti=TF+TBであり、これに上記(16)式を代入して整理すると、以下のようになる。
Figure 0003892510
さらに、各歯数Zs1 ,Zs2 ,Zp1 ,Zp2 で置き換え、これら各歯数に前記各歯数を代入すると、上記(18)式は、
TF=0.5Ti−0.625Tf …(19)
となる。
【0065】
ここで、μ1 =0,μ2 =0なら、Tf=0であり、前後輪側トルクTF,TBの値は、上述の等トルク配分機能の場合の式と同一の基準トルク配分を示す。
【0066】
こうして、かかる条件では、摩擦トルクTfに応じた差動制限トルクTf・rs2 /rp2 が発生することがわかる。そして前後輪側トルクTF,TBの配分が、差動制限トルクの分だけ、後輪側が大きく、前輪側が小さくなるように変化する。また、摩擦トルクTfが生じる合成力Np1 ,Np2 ,残留スラスト力ΔFtは入力トルクに比例するため、入力トルク比例式差動制限機能を有する。
【0067】
一方、第1,第2のピニオン41,42のねじれ角β1 とβ2 との差により残留スラスト力ΔFtが変えられ、また、上記プラネタリピン43の接触摩擦部分にニードルベアリングやブッシュ等を用いることにより、摩擦係数μ1 を変えることができる。このように、摩擦トルクTfとともに差動制限トルクの値を様々な値に定めることが可能になっている。
【0068】
続いて、NB>NFの場合について説明する。この条件では、図9のようになり、第1,第2のピニオン41,42が第1のサンギヤ39と反対の時計方向に自転しながら公転して、摩擦トルクTfは反時計方向に作用する。このため、第1,第2のピニオン41,42内のトルクのバランス式は以下のようになる。
Tf+P2 ・rs2 =P・rp1 …(20)
そして上述と同様に計算すると、前後輪側トルクTF,TBは以下のようになる。
Figure 0003892510
従ってこの条件でも同一の差動制限トルク、Tf・rs2 /rp2 が発生する。一方、この場合は上述と逆に差動制限トルク分だけ後輪側が小さく、前輪側が大きくなるようにトルク配分されことになる。
【0069】
次に、前記後輪左右駆動力配分部7について、図2を基に詳しく説明する。
上記後輪左右駆動力配分部7は、大きく分けて差動制限機構部44と、歯車機構部45と、クラッチ機構部46とから主に構成されており、この後輪左右駆動力配分部7に駆動力を伝達する前記ドライブピニオン6と上記差動制限機構部44は、ディファレンシャルキャリア47内に収容され、上記クラッチ機構部46は上記歯車機構部45を介して上記ディファレンシャルキャリア47側面に配設され、このディファレンシャルキャリア47の後端部はカバー48で覆われ、上記歯車機構部45と上記クラッチ機構部46はカバー49で覆われている。
【0070】
上記ドライブピニオン6は、前記プロペラシャフト5に接続する軸部6aが、上記ディファレンシャルキャリア47内に軸受で回転自在に支持されている。
【0071】
まず、上記差動制限機構部44について説明する。
前記左ドライブ軸14は上記ディファレンシャルキャリヤ47に取り付けられた左側サイドリテーナ50を貫通して回転自在に設けられ、この左ドライブ軸14と同軸上に、前記右ドライブ軸17が上記ディファレンシャルキャリヤ47の右側を貫通して回転自在に設けられている。
【0072】
上記左ドライブ軸14の外周には、左側ディファレンシャルケース51Lが回転自在に嵌合され、上記左ドライブ軸14と上記左側ディファレンシャルケース51Lが、上記左側サイドリテーナ50に軸受を介して回転自在に支持されている。
【0073】
上記左側ディファレンシャルケース51Lには、右側ディファレンシャルケース51Rの一端部(左側端部)と、上記ドライブピニオン6と噛合されるクラウンギヤ52が共に回転中心の芯合わせがなされ固定されており、上記右側ディファレンシャルケース51Rの他端部51Raは円筒状に形成されて、キャリヤ53の右側面に形成した筒部53aの外周に回転自在に嵌合されるとともに、上記歯車機構部45における第1の歯車軸54の外周にスプライン嵌合されて軸受を介して上記ディファレンシャルキャリア47に支持されている。
【0074】
また、上記キャリヤ53の筒部53aの内側には、上記歯車機構部45における第2の歯車軸55がスプライン嵌合され、さらに、この第2の歯車軸55の内側に上記右ドライブ軸17が回転自在に嵌合されている。
【0075】
すなわち、上記右側ディファレンシャルケース51Rと上記第1の歯車軸54の接続部と、上記キャリヤ53と上記第2の歯車軸55の接続部と、上記右ドライブ軸17とは、それぞれが回転自在に上記ディファレンシャルキャリア47に支持され、また、上記左側ディファレンシャルケース51Lと上記右側ディファレンシャルケース51Rとで構成され、上記クラウンギヤ52が取り付けられたディファレンシャルケース51が、上記ディファレンシャルキャリア47内で回転自在に保持されている。
【0076】
上記ディファレンシャルケース51内には、上記キャリヤ53が回転自在に配設されて、上記キャリヤ53内には上記左ドライブ軸14と上記右ドライブ軸17が挿入されて、上記キャリヤ53が上記左ドライブ軸14の先端部にスプライン結合されている。
【0077】
上記ディファレンシャルケース51内で、上記左側ディファレンシャルケース51Lの上記左ドライブ軸14が挿通される部分には、大径の第1のサンギヤ56がスプライン結合され、上記右ドライブ軸17の先端部には小径の第2のサンギヤ57がスプライン結合され、上記第1のサンギヤ56が小径の第1のピニオン58と噛合して第1の歯車列が形成され、上記第2のサンギヤ57が大径の第2のピニオン59と噛合して第2の歯車列が形成されている。
【0078】
上記第1のピニオン58と上記第2のピニオン59はピニオン部材60に一体に形成されており、複数(例えば3個)の上記ピニオン部材60が、キャリヤ53に固定したそれぞれのプラネタリピン61に軸受を介して回転自在に軸支されている。上記ピニオン部材60の両端には上記キャリア53との間にスラスト荷重受け用のワッシャが介装されている。
【0079】
すなわち、上記差動制限機構部44は、上記ドライブピニオン6からの駆動力を、クラウンギヤ52,ディファレンシャルケース51を介して第1のサンギヤ56に伝達し、上記第2のサンギヤ57から上記右ドライブ軸17へ出力する一方、上記キャリヤ53から上記左ドライブ軸14へ出力する複合プラネタリギヤ式の差動制限装置で構成されている。
【0080】
上記差動制限機構部44が形成する上記複合プラネタリギヤ式の差動制限装置では、上記第1,第2のサンギヤ56,57およびこれらサンギヤ56,57の周囲に複数個配置される上記第1,第2のピニオン58,59の歯数を適切に設定することで差動機能を有する。
【0081】
また、上記第1,第2のサンギヤ56,57と上記第1,第2のピニオン58,59とのかみ合いピッチ円半径を適切に設定することで、基準トルク配分が左右50:50の等トルク配分の機能を有する。
【0082】
更に、上記第1,第2のサンギヤ56,57と上記第1,第2のピニオン58,59とを例えばはすば歯車にし、上記第1の歯車列と上記第2の歯車列のねじれ角を異にしてスラスト荷重を相殺させることなくスラスト荷重を残留させピニオン端面間に摩擦トルクを、上記第1,第2のピニオン58,59と上記プラネタリピン61の表面に噛合いによる分離,接線荷重の合成力が作用し、摩擦トルクが生じるように設定して、入力トルクに比例した差動制限トルクを得られるようにすることで差動制限機能を有する。
【0083】
尚、上記差動制限機構部44が形成する上記複合プラネタリギヤ式の差動制限装置のさらに詳しい説明は、前記センターディファレンシャル装置3での説明と略同様であるので省略する。
【0084】
次に、上記歯車機構部45について説明する。
上記ディファレンシャルケース53と連結された上記第1の歯車軸54は、上記ディファレンシャルキャリア47の外側に延出されて軸受を介して上記ディファレンシャルキャリア47に回転自在に支持され、上記キャリヤ53との接続部とは逆の端部に、第1の歯車62が形成されている。
【0085】
また、上記キャリヤ53と連結された上記第2の歯車軸55は、上記第1の歯車軸54内を回転自在に上記ディファレンシャルキャリア47の外側に延出され、端部に上記第1の歯車62の外側(右側)に隣接して配設された第2の歯車63がスプライン結合されている。
【0086】
さらに、上記第2の歯車63の外側には、上記右ドライブ軸17にスプライン結合された第3の歯車64が設けられている。
【0087】
そして、上記各第1,2,3の歯車62,63,64は、それぞれ、上記第1,2,3の歯車62,63,64の回転軸芯と平行な同一回転軸芯上に並設された第4,5,6の歯車65,66,67と噛合されている。
【0088】
すなわち、上記歯車機構部45は、上記第1の歯車62と上記第4の歯車65による第1の歯車列と、上記第2の歯車63と上記第5の歯車66による第2の歯車列と、第3の歯車64と第6の歯車67による第3の歯車列の3つの歯車列から構成されている。
【0089】
そして、上記各歯車列のそれぞれのギヤ比は、上記第1,2,3,4,5,6の歯車62,63,64,65,66,67の歯数をそれぞれz1 ,z2 ,z3 ,z4 ,z5 ,z6 として、第1の歯車列は、z4 /z1 =0.9、第2の歯車列は、z5 /z2 =1、第3の歯車列は、z6 /z3 =1に設定され、第1の歯車列のギヤ比だけが増速比に設定されている。
【0090】
上記第4の歯車65は、第4の歯車軸68の一端側に一体に形成され、上記第4の歯車軸68の一端部が軸受を介して上記ディファレンシャルキャリア47の外側に回転自在に支持されて第1の回転部材となっており、他端部が上記カバー49に回転自在に支持されている。また、上記第4の歯車軸68の他端側には、上記第4の歯車65側が開口した円筒状のクラッチドラム69が固定されている。
【0091】
また、上記第5の歯車66は、第5の歯車軸70の一端側に一体に形成されて第2の回転部材となっており、この第5の歯車軸70は上記第4の歯車軸68の外周に沿って上記クラッチドラム69の底部69aまで延出して設けられている。上記第5の歯車軸70の他端部には所定長さのクラッチハブ71が設けられ、このクラッチハブ71と上記クラッチドラム69の間に複数プレート72を交互に重ねて設け、第1の油圧多板クラッチ73が形成されている。
【0092】
さらに、上記第6の歯車67は、第6の歯車軸74の一端側に一体に形成されて第3の回転部材となっており、この第6の歯車軸74は上記第5の歯車軸70の外周に沿って上記第1の油圧多板クラッチ73のプレート端面まで延出して設けられている。上記第6の歯車軸74の他端部には所定長さのクラッチハブ75が形成され、このクラッチハブ75と上記クラッチドラム69の間に複数プレート76を交互に重ねて設けて第2の油圧多板クラッチ77が形成されている。
【0093】
上記第1の油圧多板クラッチ73は、上記クラッチドラム底部69aから挿通された第1のピストン78により押圧自在になっており、この第1のピストン78を動作させる第1の油圧室79は前記油圧管路36の第1の油圧管路36aと連通されている。そして、上記第1のピストン78を動作させるために、上記第1の油圧室79に加えられる設定油圧は、前記左右駆動力配分制御部32により制御された値で可変になっている。
【0094】
同様に、上記第2の油圧多板クラッチ77は、上記クラッチドラム底部69aから挿通された第2のピストン80により押圧自在になっており、この第2のピストン80を動作させる第2の油圧室81は前記油圧管路36の第2の油圧管路36bと連通されている。そして、上記第2のピストン80を動作させるために、上記第2の油圧室81に加えられる設定油圧は、前記左右駆動力配分制御部32により制御された値で可変になっている。
【0095】
すなわち、上記クラッチ機構部46は、上記2つのクラッチ73,77を一体に形成したものであり、前述したように上記歯車機構部45のギヤ比等が設定されていることから、上記第1の油圧多板クラッチ73を連結させると上記キャリヤ53側の左ドライブ軸14に駆動力が多く配分され、上記第2の油圧多板クラッチ77を連結させると上記右ドライブ軸17に駆動力が多く配分されるようになっている。ここで、上記各油圧多板クラッチ73,77を連結させる油圧値は上記左右駆動力配分制御部32によって演算された値であり、この油圧値の大小によってトルク配分量が変化されるのである。
【0096】
さらに、上記歯車機構部45と上記クラッチ機構部46で行われる駆動力配分について説明する。まず、上記右ドライブ軸17に駆動力が多く配分されるようにして左旋回性能を向上させるには、上記右ドライブ軸17側の第2の油圧多板クラッチ77を設定油圧で連結する。上記キャリヤ53側(左ドライブ軸14側)に配分される駆動力と右ドライブ軸17側に配分される駆動力は、上記差動制限機構部44が動作しなければ、50対50の関係にあるので、後輪左右駆動力配分部7に入力される駆動力をTBとすると、それぞれTB/2となる。また、上記第2の油圧多板クラッチ77から上記右ドライブ軸17に多く配分される駆動力は、第3の歯車列を経て配分されることになる。このため、上記第2の油圧多板クラッチ77に関し、上記第2の油圧室81に作動する油圧、摩擦面の動摩擦係数(摩擦面の相対回転速度で決まる動摩擦係数)、摩擦面の枚数(多板クラッチの枚数×2)、有効半径等により決定されるクラッチのスリップトルクをTk2とすると、上記右ドライブ軸17に配分される駆動力(右輪側駆動力)と上記キャリヤ53側に配分される駆動力(左輪側駆動力)は、次式のようになる。
右輪側駆動力=TB/2+(Tk2/2×(z3 /z6 ))×TB…(25)
左輪側駆動力=TB/2−(Tk2/2×(z3 /z6 ))×TB…(26)
そして、上記(25),(26)式に前記ギヤ比z6 /z3 =1を代入して、
右輪側駆動力=TB/2+Tk2×(TB/2) …(25)'
左輪側駆動力=TB/2−Tk2×(TB/2) …(26)'
となる。
【0097】
また、上記キャリヤ53側に駆動力が多く配分されるようにして右旋回性能を向上させるには、上記キャリヤ53側の上記第1の油圧多板クラッチ73を設定油圧で連結する。上記第1の油圧多板クラッチ73から上記キャリヤ53に多く配分される駆動力は、第2の歯車列を経て配分されることになる。このため、上記第1の油圧多板クラッチ73に関し、上記第1の油圧室79に作動する油圧、摩擦面の動摩擦係数(摩擦面の相対回転速度で決まる動摩擦係数)、摩擦面の枚数(多板クラッチの枚数×2)、有効半径等により決定されるクラッチのスリップトルクをTk1とすると、上記右ドライブ軸17に配分される駆動力(右輪側駆動力)と上記キャリヤ53側に配分される駆動力(左輪側駆動力)は、次式のようになる。
右輪側駆動力=TB/2−(Tk1/2×(z2 /z5 ))×TB…(27)
左輪側駆動力=TB/2+(Tk1/2×(z2 /z5 ))×TB…(28)
そして、上記(27),(28)式に前記ギヤ比z5 /z2 =1を代入して、
右輪側駆動力=TB/2+Tk1×(TB/2) …(27)'
左輪側駆動力=TB/2−Tk1×(TB/2) …(28)'
となる。
【0098】
上記クラッチ機構部46の2つのクラッチは、上述の油圧多板クラッチ以外に電磁クラッチや伝達容量可変なカップリングを用いても良い。
【0099】
一方、前記前輪左右駆動力配分部12は、駆動力が前記フロントドライブ軸10,ドライブピニオン11からクラウンギヤ52に入力されるようになっており、その構造は上記後輪左右駆動力配分部7と略同様であるので説明は省略する。
【0100】
次いで、前記後輪側油圧制御装置34および前記前輪側油圧制御装置35について、図10を基に説明する。上記後輪側油圧制御装置34は、制御油圧を油圧管路36aを通じて第1の油圧室79に加える油圧経路と、油圧管路36bを通じて第2の油圧室81に加える油圧経路の一対の油圧経路を備えて構成され、上記前輪側油圧制御装置35も略同様に構成されている。このため、制御油圧を油圧管路36aを通じて第1の油圧室79に加える油圧経路についてのみ以下説明する。
【0101】
モータ82により駆動されるオイルポンプ83の吐出圧がレギュレータ弁84で調圧され、所定の作動油圧と潤滑油圧を生じるようになっており、作動油圧の油路85は、クラッチ制御弁86,油圧管路36aを介して第1の油圧多板クラッチ73の前記第1の油圧室79側に連通されている。
【0102】
また、上記油路85は、パイロット弁87,油路88によりデューティソレノイド弁89,上記クラッチ制御弁86の制御側に連通されている。
【0103】
そして、前記左右駆動力配分制御部32からのデューティ信号は、上記デューティソレノイド弁89に出力されてデューティ圧が生じ、このデューティ圧で上記クラッチ制御弁86を動作することで、上記第1の油圧多板クラッチ73のクラッチ油圧を制御するようになっている。
【0104】
また、上記左右駆動力配分制御部32は、図11に示すように、路面・走行状態判断部90、油圧演算部91、油圧設定部92から主に構成されており、路面・走行状態に応じて、前後の左右輪間の最適な駆動力配分量を演算し、前後輪側の上記各油圧制御装置35,34に信号出力するようになっている。
【0105】
上記路面・走行状態判断部90は、前記スロットル開度センサ26,車速センサ27,舵角センサ29,前後加速度センサ30,横加速度センサ31、およびギヤ位置信号が入力され、これらの信号に基づき路面状況(低μ路走行状態か否か等)と走行状態(高速か低速か・急旋回か否か・高負荷か低負荷か(加速状態か)・スリップ状態の有無等)を、予めメモリしておいたマップ、計算式等により求め上記油圧演算部91に出力するように形成されている。
【0106】
また、上記油圧演算部91では、上記路面・走行状態判断部90からの信号を基に、予めメモリしておいたマップ、計算式等により、動作させる油圧多板クラッチの選択と、それに付加する油圧値とを演算して、この選択・演算の結果を上記油圧設定部92に出力するようになっている。
【0107】
そして、上記油圧設定部92は、上記油圧演算部91からの信号を、それぞれ該当する油圧制御装置に対して信号出力するように形成されている。
【0108】
次いで、上記構成の作用を説明する。
先ず、エンジン1による駆動力は、自動変速装置2からトランスミッション出力軸2aを経てセンターディファレンシャル装置3の第1のサンギヤ39に入力される。
【0109】
そして第1,第2のピニオン41,42から第2のサンギヤ40と、第1,第2のピニオン41,42を支持するキャリヤ38とに分配されて伝達し、上記第2のサンギヤ40の動力は、リヤドライブ軸4を介して後輪側に伝達される。また、上記キャリヤ38の動力は、トランスファドライブギヤ8,トランスファドリブンギヤ9,フロントドライブ軸10を介して前輪側に伝達され4輪駆動で走行する。
【0110】
そこで、例えば前輪側回転数と後輪側回転数が等しいNF=NBの直進走行では、センターディファレンシャル装置3において上記第2のサンギヤ40と上記キャリヤ38とが同一方向に等速回転することで、上記第1,第2のピニオン41,42は遊星回転しなくなり一体化して回転する。
【0111】
こうして、上記第1,第2のピニオン41,42と上記キャリヤ38とが一体化することで両者の間には摩擦トルク等が生じない状態になり、上記第1のサンギヤ39の入力トルクTiに対し上記キャリヤ38の前輪側トルクTF,上記第2のサンギヤ40の後輪側トルクTBは、等トルク配分に歯車諸元が設定されていれば、この等トルク配分機能の歯車諸元による基準トルク配分,TF対TBが略50対50のみに設定され、不等トルク配分に歯車諸元が設定されていれば、この不等トルク配分機能の歯車諸元による基準トルク配分に、TF対TBが設定される。
【0112】
次に、前輪側回転数が後輪側回転数より大きくなるNF>NBの旋回または前輪側スリップ時には、センターディファレンシャル装置3の上記第1,第2のピニオン41,42が遊星回転し、差動機能を有する歯車諸元により差動作用する。このため旋回時には、前後輪の回転数差が吸収されて、滑らかに旋回することになる。
【0113】
上記第1,第2のピニオン41,42の遊星回転に伴い、そのねじれ角の違いによるスラスト荷重が、上記第1,第2のピニオン41,42の一方の端面の部分に作用する。また、ギヤ噛合い点の分離,接線荷重の合成力が上記第1,第2のピニオン41,42,プラネタリピン43の部分に作用して両者によりピニオン回転方向と反対の摩擦トルクと、これに基づく差動制限トルクが生じるようになる。
【0114】
そしてこの条件では、差動制限トルクがキャリア38の回転を損うように作用することで、差動制限トルクが後輪側に移動して、トルク配分は基準トルク配分より後輪偏重になる。このため、旋回時の回頭性、操縦性が良くなり、また、直進時の前輪スリップ時にはスリップを防止するようになる。
【0115】
更に、後輪側回転数が前輪側輪回転数より大きいNB>NFの後輪スリップ時には、センターディファレンシャル装置3の上記第1,第2のピニオン41,42が前後輪の回転数差により同様に遊星回転して摩擦トルクを発生する。
【0116】
ところでこの条件では、差動制限トルクがキャリヤ38の回転を促すように作用して前輪側に移動するようになり、このため基準トルク配分より前輪側に多いトルク配分になって後輪スリップを防止する。
【0117】
ここで、上記遊星歯車機構による差動制限トルクは、入力トルクに対し比例的に生じるため、前後輪のトルクの大小に対して常に同じ割合になり、差動制限機能が常に一定の割合で発揮される。
【0118】
上述のようにセンターディファレンシャル装置3で分配された駆動力の一方の後輪側に分配された駆動力は、プロペラシャフト5,ドライブピニオン6を経て後輪左右駆動力配分部7に入力され、クラウンギヤ52を通じてディファレンシャルケース51に入力される。
【0119】
まず、差動制限機構部44の機能について説明すると、上記ディファレンシャルケース51に入力された駆動力は、第1のサンギヤ56に入力され、第1,第2のピニオン58,59から第2のサンギヤ57と、第1,第2のピニオン58,59を支持するキャリヤ53とに分配されて伝達し、上記第2のサンギヤ57の動力は、右ドライブ軸17を介して右後輪19に伝達される。また、上記キャリヤ53の動力は左ドライブ軸14を介して左後輪16に伝達され駆動走行する。
【0120】
そこで、例えば左後輪回転数と右後輪回転数が等しいNL=NRの直進走行では、上記第2のサンギヤ57と上記キャリヤ53とが同一方向に等速回転することで、上記第1,第2のピニオン58,59は遊星回転しなくなり一体化して回転する。
【0121】
こうして、上記第1,第2のピニオン58,59と上記キャリヤ53とが一体化することで両者の間には摩擦トルク等が生じない状態になり、上記第1のサンギヤ56の入力トルクに対し上記キャリヤ53の左後輪トルク,上記第2のサンギヤ57の右後輪トルクは、等トルク配分機能の歯車諸元による基準トルク配分が略50対50のみに設定される。
【0122】
次に、左後輪回転数が右後輪回転数より大きくなるNL>NRの左後輪スリップ時には、上記第1,第2のピニオン58,59が遊星回転し、差動機能を有する歯車諸元により差動作用する。このため旋回時には、左右後輪の回転数差が吸収されて滑らかに旋回することになる。
【0123】
上記第1,第2のピニオン58,59の遊星回転に伴い、そのねじれ角の違いによるスラスト荷重が、上記第1,第2のピニオン58,59の一方の端面の部分に作用する。また、ギヤ噛合い点の分離,接線荷重の合成力が上記第1,第2のピニオン58,59,プラネタリピン61の部分に作用して両者によりピニオン回転方向と反対の摩擦トルクと、これに基づく差動制限トルクが生じるようになる。
【0124】
そしてこの条件では、差動制限トルクがキャリア53の回転を損うように作用することで、差動制限トルクが右後輪側に移動して、トルク配分は基準トルク配分より右後輪偏重になる。このため、直進時の左後輪スリップ時にはスリップを防止するようになる。
【0125】
更に、右後輪回転数が左後輪回転数より大きいNR>NLの右後輪スリップ時には、上記第1,第2のピニオン58,59が左右後輪の回転数差により同様に遊星回転して摩擦トルクを発生する。
【0126】
ところでこの条件では、差動制限トルクがキャリヤ53の回転を促すように作用して左後輪側に移動するようになり、このため基準トルク配分より左後輪に多いトルク配分になって右後輪スリップを防止する。
【0127】
ここで、上記遊星歯車機構による差動制限トルクは、入力トルクに対し比例的に生じるため、左右後輪のトルクの大小に対して常に同じ割合になり、差動制限機能が常に一定の割合で発揮される。
【0128】
次に、歯車機構部45とクラッチ機構部46について説明すると、上記ディファレンシャルケース51が回転されると、このディファレンシャルケース51に固定された第1の歯車軸54が回転されて第1の歯車62が回転され、この第1の歯車61と噛合された第4の歯車65が回転されて、第4の歯車軸68とクラッチドラム69が回転される。
【0129】
また、左輪出力側である上記キャリヤ53の回転により、このキャリヤ53に固定された第2の歯車軸55が回転されて第2の歯車63が回転され、この第2の歯車63と噛合された第5の歯車66が回転され、第5の歯車軸70とクラッチハブ71が回転される。
【0130】
さらに、上記右ドライブ軸17の回転とともに第3の歯車64が回転され、この第3の歯車64と噛合された第6の歯車67が回転され、第6の歯車軸74,クラッチハブ75が回転される。
【0131】
一方、後輪側油圧制御装置34では、モータ82によりオイルポンプ83が駆動され、レギュレータ弁84による作動油圧がデューティソレノイド弁89とクラッチ制御弁86とに導かれている。
【0132】
また、左右駆動力配分制御部32では、、スロットル開度センサ26,車速センサ27,舵角センサ29,前後加速度センサ30,横加速度センサ31、およびギヤ位置信号が入力処理され、前後の左右輪の最適な駆動力配分量が演算されている。
【0133】
そして、車両が右旋回状態で後輪側の左側に多く駆動力配分する場合、上記左右駆動力配分制御部32から、上記後輪側油圧制御装置34に対して、第1の油圧室79側に演算した設定圧で油圧を加えるように信号が送られる。
【0134】
この結果、油圧管路36aを介して上記第1の油圧室79に油圧が加えられ、第1のピストン78が動作され、第1の油圧多板クラッチ73が設定圧で連結され、上記ディファレンシャルケース51からの駆動力は、上記第1の油圧多板クラッチ73、第2の歯車63を経て、上記キャリヤ53、左ドライブ軸14へと配分される。
【0135】
一方、車両が左旋回状態で後輪側の右側に多く駆動力配分する場合、上記左右駆動力配分制御部32から、上記後輪側油圧制御装置34に対して、第2の油圧室81側に演算した設定圧で油圧を加えるように信号が送られる。
【0136】
この結果、油圧管路36bを介して上記第2の油圧室81に油圧が加えられ、第2のピストン80が動作され、第2の油圧多板クラッチ77が設定圧で連結され、上記ディファレンシ
ャルケース51からの駆動力は、上記第2の油圧多板クラッチ77、上記第3の歯車64を経て、上記右ドライブ軸17へと配分される。
【0137】
さらに、前記センターディファレンシャル装置3で分配された駆動力の他方の前輪側に分配された駆動力は、フロントドライブ軸10,ドライブピニオン11を経て前輪左右駆動力配分部12に入力され、クラウンギヤ52を通じてディファレンシャルケース51に入力される。
【0138】
そして、上記前輪左右駆動力配分部12も上記後輪左右駆動力配分部7と同様に、前輪側の差動機能を有して、上記左右駆動力配分制御部32の信号が入力される前輪側の油圧制御装置35からの制御油圧で、車両が右旋回状態で前輪側の左側に多く駆動力配分する場合には、油圧管路37aを介して上記第1の油圧室79に油圧が加えられ、車両が左旋回状態で前輪側の右側に多く駆動力配分する場合には、油圧管路37bを介して上記第2の油圧室81に油圧が加えられる。
【0139】
以上のように本発明の実施の形態1によれば、左右駆動力配分装置は、左右輪方向の幅寸法の長大化が防止され、左右輪とアクスル軸間に配置される自在継手の交差角を小さくすることができ、耐久・信頼性を向上させることができる。
【0140】
また、左右駆動力配分装置は、構成部品点数も少なく、かつ従来のものを多く利用することができ、従来のものと互換性があり、コンパクトで、製造コストも低くすることができる。
【0141】
さらに、左右駆動力配分装置は、左右輪方向の幅寸法がコンパクトに構成されるため、サスペンションの構成部材や排気系部材との干渉や整備時に隙間が確保できるなど、車載性に優れる。
【0142】
また、左右駆動力配分装置は、ディファレンシャルケースから駆動力を両出力側にバイパスする構成になっているため、全体がコンパクトになる。
【0143】
さらに、左右駆動力配分装置は、3列の歯車列からなる駆動力配分機構を採用するため、ギヤ比の設定で駆動力配分が調整でき、車両の性格や狙いに容易に適合させることが可能である。
【0144】
また、左右駆動力配分装置の2組の油圧多板クラッチは、一体化された構造であり、軽量、コンパクトになる。
【0145】
また、差動制限機構部が歯車諸元(ねじれ角、圧力角等)やピニオンとキャリヤ、プラネタリピン等の回転摩擦面に作用する摩擦力でトルク感応型の差動制限機能を有することから、この差動制限機能と積極的な左右駆動力配分を兼ね備えた装置が実現される。
【0146】
また、センタディファレンシャル装置は、簡単な構造で部品点数も少なく、軽量コンパクトで、このため加工性、組立性に優れ、また動力伝達系の振動騒音に関しても有利になる。
【0147】
さらに、センタディファレンシャル装置と左右駆動力配分装置は共に軽量コンパクトであり、容易に一体にすることができ、軽量コンパクトな一体化ユニットが実現できる。
【0148】
また、センターディファレンシャル装置は、基準トルク配分を50対50の比率で前後輪に配分するように歯数を設定することができ、入力トルク比例式の差動制限トルクが前輪もしくは後輪へ走行状態や路面条件に応じて移動し、車両のスリップを防止して駆動力の確保や車両の尻振り等の挙動を防止し、走破性を向上させることができる。また、アクセル操作に対する車両の姿勢コントロールがしやすく、且つレスポンスも良くスポーティな走行を楽しむことができる。
【0149】
次に、図12は本発明の実施の形態2による後輪左右駆動力配分部の拡大スケルトン図である。尚、本発明の実施の形態2は、前記発明の実施の形態1の後輪左右駆動力配分部のクラッチ機構部の位置を変更したものである。
【0150】
すなわち、図に示すように、第4の歯車65の左側(ディファレンシャルケース51側)に、上記第2の歯車63に関する第1の油圧多板クラッチ73を形成し、さらにその左側で上記第3の歯車64に関する第2の油圧多板クラッチ77を形成して2組一体のクラッチ機構部が構成されている。
【0151】
このように、クラッチ機構部の位置を変更することにより、左右駆動力配分部の左右方向長さをさらに短縮することが可能となる。
【0152】
次に、図13は本発明の実施の形態3による後輪左右駆動力配分部の拡大スケルトン図である。尚、本発明の実施の形態3は、前記発明の実施の形態1の後輪左右駆動力配分部の歯車機構部の第1の歯車列のギヤ比を変更したものである。
【0153】
図に示す後輪左右駆動力配分部では、各歯車列のギヤ比が以下のように設定されている。、第1の歯車列は、z4 /z1 =1/0.9、第2の歯車列は、z5 /z2 =1、第3の歯車列は、z6 /z3 =1で、第1の歯車列のギヤ比だけが減速比に設定されている。このため、各クラッチの連結による動作が、上記発明の実施の形態1の動作と逆に行われることになる。
【0154】
すなわち、車両が右旋回状態で後輪側の左側に多く駆動力配分する場合、上記左右駆動力配分制御部32から、上記後輪側油圧制御装置34に対して、第2の油圧室81側に演算した設定圧で油圧を加えるように信号が送られる。
【0155】
この結果、油圧管路36bを介して上記第2の油圧室81に油圧が加えられ、第2のピストン80が動作され、第2の油圧多板クラッチ77が設定圧で連結され、上記ディファレンシャルケース51からの駆動力は、右ドライブ軸17側に少なくなり、上記キャリヤ53側へ多く配分される。
【0156】
一方、車両が左旋回状態で後輪側の右側に多く駆動力配分する場合、上記左右駆動力配分制御部32から、上記後輪側油圧制御装置34に対して、第1の油圧室79側に演算した設定圧で油圧を加えるように信号が送られる。
【0157】
この結果、油圧管路36aを介して上記第1の油圧室79に油圧が加えられ、第1のピストン78が動作され、第1の油圧多板クラッチ73が設定圧で連結され、上記ディファレンシャルケース51からの駆動力は、上記キャリヤ53側に少なくなり、上記右ドライブ軸17側へ多く配分される。
【0158】
次に、図14は本発明の実施の形態4による後輪左右駆動力配分部の拡大スケルトン図である。尚、本発明の実施の形態4は、前記発明の実施の形態3の後輪左右駆動力配分部のクラッチ機構部の位置を変更したものである。
【0159】
すなわち、図に示すように、第4の歯車65の左側(ディファレンシャルケース51側)に、上記第2の歯車63に関する第1の油圧多板クラッチ73を形成し、さらにその左側で上記第3の歯車64に関する第2の油圧多板クラッチ77を形成して2組一体のクラッチ機構部が構成されている。
【0160】
このように、クラッチ機構部の位置を変更することにより、左右駆動力配分部の左右方向長さをさらに短縮することが可能となる。
【0161】
次に、図15は本発明の実施の形態5による後輪左右駆動力配分部の拡大スケルトン図である。尚、本発明の実施の形態5は、前記発明の実施の形態2の歯車機構部を分離して形成するものである。
【0162】
すなわち、図に示すように、第2の歯車63はキャリヤ53に固定するのでははなく、左ドライブ軸14に固定して構成される。このため、ディファレンシャルケース51に対して、第1の歯車列と第3の歯車列が右側に、第2の歯車列が左側に分離して形成される。
【0163】
次に、図16は本発明の実施の形態6による後輪左右駆動力配分部の拡大スケルトン図である。尚、本発明の実施の形態6は、前記発明の実施の形態4の歯車機構部を分離して形成するものである。
【0164】
すなわち、図に示すように、第2の歯車63はキャリヤ53に固定するのでははなく、左ドライブ軸14に固定して構成される。このため、ディファレンシャルケース51に対して、第1の歯車列と第3の歯車列が右側に、第2の歯車列が左側に分離して形成される。
【0165】
次に、図17は本発明の実施の形態7による後輪左右駆動力配分部の拡大スケルトン図である。尚、本発明の実施の形態7は、駆動力配分を、一方の出力側に設けた2つの歯車列で行うようにしたものである。
【0166】
すなわち、図に示すように、ディファレンシャルケース51には、第1の歯車62が固定され、右ドライブ軸17には、第2の歯車95と第3の歯車96とが固定され、これら第1,2,3の歯車はそれぞれ同一回転軸芯上の第4,5,6の歯車65,97,98と噛合されている。
【0167】
上記第2の歯車95は、上記第1の歯車62より大径の歯車で、上記第3の歯車96は上記第1の歯車62より小径の歯車で形成されている。上記第1の歯車62と上記第4の歯車65で構成される第1の歯車列と、上記第2の歯車95と上記第5の歯車97で構成される第2の歯車列と、上記第3の歯車96と上記第6の歯車98で構成される第3の歯車列のギヤ比は、上記第1,2,3,4,5,6の歯車62,95,96,65,97,98の歯数をそれぞれz1 ,z2 ,z3 ,z4 ,z5 ,z6 として、第1の歯車列は、z4 /z1 =0.9、第2の歯車列は、z5 /z2 =0.9×0.9、第3の歯車列は、z6 /z3 =1に設定され、各ギヤ比を大きい順にならべると、1(第3の歯車列),0.9(第1の歯車列),0.9×0.9(第2の歯車列)で、ステップ比が0.9の一定になっている。尚、この値は他の値に設定しても良い。
【0168】
また、上記第1の歯車列と上記第2の歯車列間は、第1の油圧多板クラッチ99で連結され動力伝達が可能に構成され、上記第1の歯車列と上記第3の歯車列間は、第2の油圧多板クラッチ100で連結され動力伝達が可能に構成されている。
【0169】
上記2組一体の油圧多板クラッチの容量は、上記ギヤ比に応じて予め不等値に設定しても良く、一方の多板クラッチを小型にすることもできる。
【0170】
このように構成することにより、車両が右旋回状態で後輪側の左側に多く駆動力配分する場合、上記左右駆動力配分制御部32から、上記後輪側油圧制御装置34に対して、第1の油圧室79側に演算した設定圧で油圧を加えるように信号が送られる。
【0171】
この結果、油圧管路36aを介して上記第1の油圧室79に油圧が加えられ、第1のピストン78が動作され、第1の油圧多板クラッチ73が設定圧で連結され、上記ディファレンシャルケース51からの駆動力は、右ドライブ軸17側に少なくなり、上記キャリヤ53側へ多く配分される。
【0172】
一方、車両が左旋回状態で後輪側の右側に多く駆動力配分する場合、上記左右駆動力配分制御部32から、上記後輪側油圧制御装置34に対して、第2の油圧室81側に演算した設定圧で油圧を加えるように信号が送られる。
【0173】
この結果、油圧管路36bを介して上記第2の油圧室81に油圧が加えられ、第2のピストン80が動作され、第2の油圧多板クラッチ77が設定圧で連結され、上記ディファレンシャルケース51からの駆動力は、上記右ドライブ軸17側へ多く配分される。
【0174】
本発明の実施の形態7によっても、左右駆動力配分装置は、3列の歯車列のギヤ比を所定の関係に設定することで、2組の油圧多板クラッチのドライブプレートとドリブンプレートの相対回転差を同一にすることがてきるため、同じ摩擦特性(速度と動摩擦係数の関係)が得られる範囲を利用でき、制御精度を高くすることができる。
【0175】
以上の各発明の実施の形態に示すように、歯車機構部を構成する各歯車列の位置、クラッチ機構部の位置は様々に設定され、上記各発明の実施の形態に示す以外の位置であっても良い。また、上記各発明の実施の形態で説明する歯車機構部の各歯車列のギヤ比は、他の値に設定するものでも良い。
【0176】
上記各発明の実施の形態で説明した以外の車両、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車,RR(リヤエンジン・リヤドライブ)車,4WD車の前後輪のどちらかの左右駆動力配分を行う車両等においても本発明は適用できる。
【0177】
また、4WD車に適用する場合のセンターディファレンシャル装置は、上記説明した以外のものであっても良い。
【0178】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、左右の出力軸方向の長大化を防止し、左右輪とアクスル軸間に配置される自在継手の交差角を小さくすることができ、サスペンションの構成部材や排気系部材との干渉や整備時に隙間が確保できるなど車載性に優れ、構成部品点数も少なく小型・軽量で、従来の差動装置と装着互換性を有し、製造コスト上有利であり、また、差動制限機能も有し、バイパストルクの調整・設定も容易で制御精度が高く耐久・信頼性に優れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による4WD車の全体の概略構成を示す説明図
【図2】本発明の実施の形態1による後輪左右駆動力配分部の拡大断面図
【図3】本発明の実施の形態1によるセンターディファレンシャル装置の差動機能説明のための各部の概略図
【図4】本発明の実施の形態1による第1のサンギヤを固定した際の動作説明図
【図5】本発明の実施の形態1による第2のサンギヤを固定した際の動作説明図
【図6】本発明の実施の形態1によるセンターディファレンシャル装置の動力分配機能、差動制限機能説明のための各部の概略図
【図7】本発明の実施の形態1による各ギヤにより生じる荷重の説明図
【図8】本発明の実施の形態1による後輪側回転数よりも前輪側回転数の方が大きい場合の説明
【図9】本発明の実施の形態1による後輪側回転数よりも前輪側回転数の方が小さい場合の説明図
【図10】本発明の実施の形態1による左右駆動力配分の油圧制御装置の構成説明図
【図11】本発明の実施の形態1による左右駆動力配分制御部の機能ブロック説明図
【図12】本発明の実施の形態2による後輪左右駆動力配分部の拡大スケルトン図
【図13】本発明の実施の形態3による後輪左右駆動力配分部の拡大スケルトン図
【図14】本発明の実施の形態4による後輪左右駆動力配分部の拡大スケルトン図
【図15】本発明の実施の形態5による後輪左右駆動力配分部の拡大スケルトン図
【図16】本発明の実施の形態6による後輪左右駆動力配分部の拡大スケルトン図
【図17】本発明の実施の形態7による後輪左右駆動力配分部の拡大スケルトン図
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速装置
3 センターディファレンシャル装置
4 リヤドライブ軸
5 プロペラシャフト
6 ドライブピニオン
7 後輪左右駆動力配分部
8 トランスファドライブギヤ
9 トランスファドリブンギヤ
10 フロントドライブ軸
11 ドライブピニオン
12 前輪左右駆動力配分部
14 左ドライブ軸
16 左後輪
17 右ドライブ軸
19 右後輪
20 左ドライブ軸
21 左前輪
22 右ドライブ軸
23 右前輪
26 スロットル開度センサ
27 車速センサ
29 舵角センサ
30 前後加速度センサ
31 横加速度センサ
32 左右駆動力配分制御部
34 後輪側油圧制御装置
35 前輪側油圧制御装置
44 差動制限機構部
45 歯車機構部
46 クラッチ機構部
51 ディファレンシャルケース
52 クラウンギヤ
53 キャリヤ
54 第1の歯車軸
55 第2の歯車軸
56 第1のサンギヤ
57 第2のサンギヤ
58 第1のピニオン
59 第2のピニオン
60 ピニオン部材
61 プラネタリピン
62 第1の歯車
63 第2の歯車
64 第3の歯車
65 第4の歯車
66 第5の歯車
67 第6の歯車
68 第4の歯車軸
69 クラッチドラム
70 第5の歯車軸
71 クラッチハブ
72 プレート
73 第1の油圧多板クラッチ
74 第6の歯車軸
75 クラッチハブ
76 プレート
77 第2の油圧多板クラッチ
78 第1のピストン
79 第1の油圧室
80 第2のピストン
81 第2の油圧室

Claims (8)

  1. 駆動力の入力側の第1のサンギヤを第1のピニオンと噛合して第1の歯車列を形成し、左輪側と右輪側のどちらか一方の出力側の第2のサンギヤを上記第1のピニオンと一体の第2のピニオンと噛合して第2の歯車列を形成し、上記第1,第2のピニオンを他方の出力側のキャリヤで軸支して、上記第1の歯車列と上記第2の歯車列のギヤ噛合い点に作用する分離荷重を上記第1,第2のピニオンの軸支部分に作用させて得る摩擦力で、左右輪間で入力トルクに比例した差動制限トルクを発生する差動制限装置を備え、上記駆動力の入力側に左右輪間に差動がない条件で第1の回転部材に対し基準回転速度を発生させる第1の歯車を設け、上記一方の出力側と上記他方の出力側のどちらかに左右輪間に差動がない条件で上記基準回転速度とは異なる第2の回転速度で第2の回転部材を回転させる第2の歯車を設け、上記一方の出力側と上記他方の出力側のどちらかに左右輪間に差動がない条件で上記基準回転速度とは異なる第3の回転速度で第3の回転部材を回転させる第3の歯車を設け、上記第1の回転部材と上記第2の回転部材と上記第3の回転部材とを上記両出力側の回転軸芯と平行な同一回転軸芯上に配設するとともに、上記第1の回転部材と上記第2の回転部材が伝達容量可変なクラッチ機構と上記第1の回転部材と上記第3の回転部材が伝達容量可変なクラッチ機構の2組のクラッチ機構を上記各回転部材の回転軸芯上に一体に形成したことを特徴とする車両用左右駆動力配分装置。
  2. 上記第1の歯車列と上記第2の歯車列のギヤ噛合い点に作用するスラスト荷重の差を上記第1,第2のピニオンの一方の端面に作用させて得る摩擦力と、上記第1の歯車列と上記第2の歯車列のギヤ噛合い点に作用する分離荷重と接線荷重の合成力を上記第1,第2のピニオンの軸支部分に作用させて得る摩擦力とで、左右輪間で入力トルクに比例した差動制限トルクを発生する差動制限装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用左右駆動力配分装置。
  3. 上記2組のクラッチ機構を油圧多板クラッチと電磁クラッチと伝達容量可変型カップリングの少なくとも一つで形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用左右駆動力配分装置。
  4. 上記2組のクラッチ機構による伝達容量は、車両の走行状態と路面状況に応じて可変に設定することを特徴とする請求項1,2,3のいずれか一に記載の車両用左右駆動力配分装置。
  5. 上記第2の歯車を上記一方の出力側に設け、上記第3の歯車を上記他方の出力側に設けて、左右輪間に差動がない条件での上記第2の回転部材の上記第2の回転速度と上記第3の回転部材の上記第3の回転速度とを、同じ値に設定したことを特徴とする請求項1,2,3,4のいずれか一に記載の車両用左右駆動力配分装置。
  6. 上記第2の歯車と上記第3の歯車の両方を上記一方の出力側と上記他方の出力側のどちらかに設け、左右輪間の差動がない条件での上記第2の回転部材の上記第2の回転速度と上記第3の回転部材の上記第3の回転速度は、片側の回転速度を上記基準回転速度より大きな値に設定し、他側の回転速度を上記基準回転速度より小さな値に設定したことを特徴とする請求項1,2,3,4のいずれか一に記載の車両用左右駆動力配分装置。
  7. 左右輪間の差動がない条件での上記第3の歯車の回転速度と上記第3の回転部材の第3の回転速度の比と、上記第1の歯車の回転速度と上記第1の回転部材の基準回転速度の比と、上記第2の歯車の回転速度と上記第2の回転部材の第2の回転速度の比との間のステップ比を一定に設定したことを特徴とする請求項6記載の車両用左右駆動力配分装置。
  8. 上記2組のクラッチ機構は、所定の伝達容量差を設けて形成したことを特徴とする請求項7記載の車両用左右駆動力配分装置。
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