JP3890639B2 - プリント配線板の放熱構造 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,放熱性に優れたプリント配線板の放熱構造に関する。
【0002】
【従来技術】
従来,プリント配線板としては,例えば,図4に示すごとく,基板91の表面に設けた外層パターン971の上に,電子部品92を固定したものがある。電子部品92は,電子部品92と接続された端子94を,外層パターン930と半田付けすることにより接続されている。
【0003】
また,電子部品92は,電子部品92及び基板91を貫通する取付穴95にネジ961を挿入して,基板91の他方の表面からナット962により締結することにより,基板91の表面に固定されている。
電子部品92から発する熱は,基板91の表面に設けた外層パターン971及び櫛歯状のヒートシンク972に伝えられ,主にヒートシンク972の先端部973から外方に放散される。
【0004】
【解決しようとする課題】
ところで,上記従来のプリント配線板においては,電子部品92の電気使用量の増加に伴い,放熱性を高めることが要求されている。高い放熱性を得るには,ヒートシンク972を広面積に設ける必要がある。
しかし,広面積に設けたヒートシンク972は,基板表面における外層パターンの形成可能面積が減少する。このため,ヒートシンクの広面積化は,基板表面における高密度配線,高密度実装化を妨げることとなる。
【0005】
また,ヒートシンク972は櫛歯型であり,その先端部は基板91の上方に向かって突出している。そのため,ヒートシンクの厚みが櫛歯の高さ分だけ厚くなり,プリント配線板の全体厚みを大きくしている。また,ヒートシンク972は,一般に熱伝導性の良い銅が用いられるため,重量が大きく,プリント配線板の軽量化を妨げている。
【0006】
本発明はかかる従来の問題点に鑑み,プリント配線板の高密度実装化を実現でき,放熱性に優れ,かつ軽量のプリント配線板の放熱構造を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,基板の表面に設けられ電子部品を半田付けするための搭載用パッドと,基板の内部に設けた内部伝熱層と,上記搭載用パッドと内部伝熱層との間を接続するバイアホールと,上記内部伝熱層に対面して基板内部に配設した副伝熱層と,上記基板の表面に設けられた表面伝熱層と,該表面伝熱層と上記副伝熱層との間を接続する伝熱ホールとを有するプリント配線板,及び該プリント配線板を貫通し機器筐体に上記プリント配線板を固定する金属固定具とを有し,
上記内部伝熱層は,上記金属固定具を挿入する固定用孔及び上記伝熱ホールとの間は絶縁されていると共に,上記基板の内部のほぼ全面に形成されたベタパターンであって,電源用パターン又は接地用パターンの役割を果たすよう構成されており,
上記副伝熱層は,上記金属固定具を挿入する固定用孔及び上記バイアホールとの間は絶縁されていると共に,ベタパターンであり,
上記金属固定具は,上記表面伝熱層と直接接触しており,
上記電子部品から発する熱を上記搭載用パッド,バイアホール,内部伝熱層,副伝熱層,伝熱ホール,表面伝熱層及び金属固定具を介して,上記機器筐体へ放熱させるよう構成したことを特徴とするプリント配線板の放熱構造である。
【0008】
本発明の作用及び効果について説明する。
本発明のプリント配線板は,電子部品から発する熱を,搭載用パッドに伝え,その後バイアホールにより基板の内部に伝える。基板の内部には,バイアホールと接続する内部伝熱層と,伝熱ホールと接続する副伝熱層とが,バイアホールと伝熱ホールとの間において,複数層に渡って積層している。そのため,基板の内部においては,バイアホールから伝熱ホールへと,大容量の熱を迅速に伝達することができる。また,内部伝熱層と副伝熱層とは,互いに対面しているため,熱交換率が高い。
【0009】
そして,伝熱ホールは,基板の表面に設けた表面伝熱層に熱を伝える。表面伝熱層は金属固定具と接続しているため,金属固定具に熱を伝える。金属固定具に伝えられた熱は,プリント配線板を固定する機器筐体に伝えられる。
【0010】
この機器筐体は,プリント配線板を固定する母部材であり,一般にプリント配線板よりも大きな表面積を有している。そのため,機器筐体は,筐体としての役割を果たすだけに留まらず,良好な放熱材として働き,効率よく熱を放散させる。
従って,従来例に示したヒートシンク等の放熱部材が不要である。それ故,放熱部材に必要とされた面積分だけ,多くの実装面積を確保でき,外層パターン,電子部品等の高密度実装化が可能である。
また,ヒートシンクを取り除いた分だけ,プリント配線板の軽量化及び小型化を図ることができる。
【0011】
また,上記内部伝熱層は,熱伝導路としての役割だけでなく,例えば,接地用パターン,電源用パターン等,種々の役割を果たすことができる。
また,内部伝熱層は,基板の内部において1層だけでなく,2層以上設けることができる。
また,副伝熱層も,基板の内部において1層だけでなく,2層以上設けることができる。
【0012】
特に,請求項2の発明のように,上記副伝熱層は,上記内部伝熱層の上下両側に配設されていることが好ましい。これにより,内部伝熱層に伝えられた熱が,内部伝熱層の上下両側に配置された副伝熱層に伝えられるため,熱を迅速に金属固定具へと伝えることができる。
【0013】
次に,請求項3の発明のように,上記内部伝熱層は,基板側面に設けた断面スルーホールに接続されていることが好ましい。これにより,内部伝熱層に伝えられた熱は,金属固定具及び機器筐体だけでなく,断面スルーホールからも外方に放散させることができる。
【0014】
なお,上記金属固定具は,機器筐体に設けたネジ穴に螺着するネジであることが好ましい。これにより,プリント配線板を機器筐体に対して,容易に,かつ確実に固定することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態例にかかるプリント配線板の放熱構造について,図1〜図3を用いて説明する。
本例のプリント配線板7は,図1に示すごとく,基板2の表面に設けられ電子部品3を半田付けするための搭載用パッド111と,基板2の内部に設けた内部伝熱層13と,搭載用パッド111と内部伝熱層13との間を接続するバイアホール121と,内部伝熱層13に対面して基板2の内部に配設した副伝熱層131とを有する。プリント配線板7は,基板2を貫通する金属固定具14により,機器筐体5に固定されている。
【0016】
また,基板2の上下両側の表面には,金属固定具14と接続する表面伝熱層112が設けられている。表面伝熱層112と副伝熱層131との間には,伝熱ホール122が設けられている。表面伝熱層112は,図2に示すごとく,搭載用パッド111と絶縁されている。
電子部品3から発する熱は,搭載用パッド111,バイアホール121,内部伝熱層13,副伝熱層131,伝熱ホール122,表面伝熱層112及び金属固定具14を介して,機器筐体5へ放熱される。
【0017】
副伝熱層131は,内部伝熱層13の上下両側に配設されている。内部伝熱層13は,基板2の側面に設けた断面スルーホール16に接続されている。
金属固定具14は,ネジであり,基板2を貫通する固定用穴125に挿着されて,及び機器筐体5に固定したナット51に挿入されている。
【0018】
また,内部伝熱層13は,図3に示すごとく,基板2の内部のほぼ全面に形成された,ベタパターンである。また,副伝熱層131もベタパターンである。そして,内部伝熱層13は,図3に示すごとく,バイアホール121と接続されている。一方,内部伝熱層13は,伝熱ホール122及び固定用穴125と絶縁されている。
【0019】
内部伝熱層13は,基板2の側面に設けた断面スルーホール16に接続されている。
電子部品3と接続された端子36は,信号用の外層パターン113の端部に設けた部品端子パッド114と半田付けすることにより接続されている。
【0020】
次に,本例の作用及び効果について説明する。
本例のプリント配線板7は,図1に示すごとく,電子部品3から発する熱を,搭載用パッド111に伝え,その後バイアホール121により基板2の内部に伝える。基板2の内部には,内部伝熱層13と副伝熱層131とが,バイアホール121と伝熱ホール122との間において,複数層に渡って積層している。
そのため,基板2の内部においては,バイアホール121から伝熱ホール122へと,大容量の熱を迅速に伝達することができる。また,内部伝熱層13と副伝熱層131とは,互いに対面しているため,熱交換率が高い。
【0021】
そして,伝熱ホール122は,基板2の表面に設けた表面伝熱層112に熱を伝え,更に表面伝熱層112は金属固定具14に熱を伝える。金属固定具14に伝えられた熱は,プリント配線板7を固定する機器筐体5に伝えられる。
この機器筐体5は,一般にプリント配線板7よりも大きな表面積を有している。そのため,機器筐体5は,筐体としての役割を果たすだけに留まらず,良好な放熱材として働き,効率よく熱を放散させる。
それ故,本例のプリント配線板7の放熱構造によれば,電子部品3から発する熱を効率よく放熱させることができる。
【0022】
従って,従来例に示したヒートシンク等の放熱部材が不要である。それ故,放熱部材に必要とされた面積分だけ,多くの実装面積を確保でき,外層パターン,電子部品等の高密度実装化が可能である。
また,ヒートシンクを取り除いた分だけ,プリント配線板の軽量化及び小型化を図ることができる。
【0023】
更に,内部伝熱層13及び副伝熱層131は,図3に示すごとく,ベタパターンであるため伝熱面積が大きく,伝熱性に優れている。
また,副伝熱層131は,内部伝熱層13の上下両側に配設されている。そのため,内部伝熱層13に伝えられた熱が,内部伝熱層の上下両側から副伝熱層131に伝えられるため,熱を迅速に伝熱ホール122へと伝えることができる。
また,内部伝熱層13は,基板2の側面に設けた断面スルーホール16と接続されている。そのため,内部伝熱層13に伝えられた熱は,機器筐体5だけでなく,断面スルーホール16からも外方に放散させることができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば,プリント配線板の高密度実装化を実現でき,放熱性に優れ,かつ軽量のプリント配線板の放熱構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図2に示すA−A矢視線に沿って切断したプリント配線板の断面図。
【図2】 実施形態例におけるプリント配線板の平面図。
【図3】 図1に示すB−B矢視線に沿って切断したプリント配線板の断面図。
【図4】 従来例におけるプリント配線板の断面図。
【符号の説明】
111...搭載用パッド,
112...表面伝熱層,
121...バイアホール,
122...伝熱ホール,
125...固定用穴,
13...内部伝熱層,
131...副伝熱層,
14...金属固定具,
16...断面スルーホール,
2...基板,
3...電子部品,
5...機器筐体,
7...プリント配線板,
Claims (3)
- 基板の表面に設けられ電子部品を半田付けするための搭載用パッドと,基板の内部に設けた内部伝熱層と,上記搭載用パッドと内部伝熱層との間を接続するバイアホールと,上記内部伝熱層に対面して基板内部に配設した副伝熱層と,上記基板の表面に設けられた表面伝熱層と,該表面伝熱層と上記副伝熱層との間を接続する伝熱ホールとを有するプリント配線板,及び該プリント配線板を貫通し機器筐体に上記プリント配線板を固定する金属固定具とを有し,
上記内部伝熱層は,上記金属固定具を挿入する固定用孔及び上記伝熱ホールとの間は絶縁されていると共に,上記基板の内部のほぼ全面に形成されたベタパターンであって,電源用パターン又は接地用パターンの役割を果たすよう構成されており,
上記副伝熱層は,上記金属固定具を挿入する固定用孔及び上記バイアホールとの間は絶縁されていると共に,ベタパターンであり,
上記金属固定具は,上記表面伝熱層と直接接触しており,
上記電子部品から発する熱を上記搭載用パッド,バイアホール,内部伝熱層,副伝熱層,伝熱ホール,表面伝熱層及び金属固定具を介して,上記機器筐体へ放熱させるよう構成したことを特徴とするプリント配線板の放熱構造。 - 請求項1において,上記副伝熱層は,上記内部伝熱層の上下両側に配設されていることを特徴とするプリント配線板の放熱構造。
- 請求項1又は2において,上記内部伝熱層は,基板側面に設けた断面スルーホールに接続されていることを特徴とするプリント配線板の放熱構造。
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