JP3888999B2 - 塩基配列関連情報を用いた情報処理システム - Google Patents
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Description
本発明は、例えば通信回線網を介して情報を提供する情報処理システムに関する。
背景技術
現在、ヒトを始めとする各種生物のゲノム塩基配列が急速に決定されており、様々なデータベースにゲノム塩基配列情報が蓄積されている。例えば、インターネット等の情報通信網を介して、各種研究機関や研究者がデータベースに蓄積されたゲノム塩基配列情報を利用できるようなシステムの構築がなされつつある。
同時に、このようなゲノム塩基配列情報に含まれる塩基配列を用いて、ゲノム創薬の研究や遺伝情報の解析等が盛んに行われており、一塩基多型に代表されるような個体間における塩基配列の相違が注目されている。一般に、個体間における塩基配列の相違とは、所定の塩基の相違が個体種中1%以上の頻度で存在すると定義される多型と、所定の塩基の相違が個体種中1%未満であるバリエーションとを意味している。特に、多型には、個体間における1個の塩基の相違である一塩基多型(SNP;Single Nucleotide Polymorphism)、1から数十塩基(数千塩基の場合もある)が欠失又は挿入している挿入/欠失多型、2から数十塩基を1単位とする配列の繰り返し回数が相違するVNTR(Variable Number of Tandem Repeat)やマイクロサテライト多型(繰り返し配列が2〜4塩基程度のもの)が知られている。
このような多型は、個体間におけるタンパク質のアミノ酸配列の相違や、個体間における所定の遺伝子に関する発現効率の相違等に影響を及ぼすことがある。このような影響により、例えば、所定の疾病に対する罹患可能性が個体間で異なったり、所定の薬剤に対する感受性が個体間で異なることが知られている。
ところが、多型等の個体間における塩基配列情報の相違を有効に利用して、各個体にとって有益な意味情報を提供するようなシステムは構築されていないのが現状である。
そこで、本発明は、このような現状に鑑み、個体間における塩基配列情報の相違を有効に利用して各個体にとって有益な意味情報を利用でき、且つ、利用に際して利用する側の資格等を容易に認証できる情報処理システムを構築することを目的とする。
発明の開示
上述した目的を達成した本発明に係る塩基配列に関する情報処理方法(以下、本方法)は、要求者側から取得した位置情報と塩基配列関連情報とを用いて、要求者からの認証確認要求に応ずる方法、及び、位置情報と当該位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報とを用いて認証確認を要求する方法である。
本方法では、要求者側から取得した塩基配列関連情報が、位置情報及び当該位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を記憶した記憶装置に含まれる塩基配列関連情報と一致するか否かを判定することによって認証確認を行う。
本方法では、要求者側に対して位置情報を送出し、送出した位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を要求者側から取得し、取得した塩基配列関連情報に基づいて前記判定を行うことができる。また、本方法では、要求者側に位置情報を送出することなく、要求者側から認証確認要求及び位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を取得し、取得した塩基配列関連情報に基づいて前記判定を行うことができる。
また本方法では、前記判定の結果を要求者側に送出することもできる。本方法は、利用資格を有する複数の要求者毎或いは当該要求者の側に属する個体毎に位置情報及び当該位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報とを記録することにより前記記憶装置の記憶内容を構築するステップを含んでいてもよい。
一方、本方法では、認証確認要求を送出した後、位置情報を取得し、取得した位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を取得し、取得した塩基配列関連情報を位置情報に関連付けて送出することによって認証確認を受けることができる。また、本方法では、位置情報を取得することなく、位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を取得し、取得した塩基配列関連情報を位置情報に関連付けて認証確認要求とともに送出することによって、認証確認を受けることができる。さらに、本方法では、認証確認結果を取得するステップを含んでいてもよい。
なお、本方法は、制御装置、送受信装置及び記憶装置等のハードウェアを備えるコンピュータに、各ステップを実行させるプログラムとして実現することができる。また、本方法は、制御装置、送受信装置及び記憶装置等のハードウェアを備えるコンピュータに、各ステップを実行させるプログラムを記録した記録媒体として実現することもできる。さらに、本方法は、各ステップを実行する制御装置、送受信装置及び記憶装置等のハードウェアを備える情報処理装置として実現することもできる。
その他、本発明は、請求の範囲各項に記載されている通りの構成を有するものである。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
本発明を適用した実施の形態として、利用者に対して所定の疾病の罹患可能性を提供する情報処理システムを説明する。すなわち、利用者が「物品及び/又はサービスの要求」として、例えば、所定の疾病に関する自分の罹患可能性を教えて欲しいと要求する場合を例示して説明する。特に、本実施の形態においては、利用資格等の認証を塩基配列関連情報を用いて行う情報処理システムについて説明するが、説明の都合上、簡略化したモデルとして説明する。なお、「物品及び/又はサービス」としては、これに限定されず、例えば、個人(個体)の体質に適合した医薬品、食品及び嗜好品等の物品や、個人(個体)の体質・性質に適合した情報、会員制の情報提供及び金融機関における口座利用等のサービスを含む意味である。
情報処理システムは、図1に示すように、インターネット等の通信回線網1と、通信回線網1に接続された共用コンピュータ2と、通信回線網1に接続された少なくとも1以上の個人用コンピュータ3とを備え、通信回線網1を介して共用コンピュータ2と個人用コンピュータ3との間のデータ通信を可能としている。
共用コンピュータ2は、図2に示すように、当該共用コンピュータ2の動作を全て制御するCPU4と、情報及びプログラムの実行指示等を入力できるキーボード及びマウス等の入力装置5と、ディスプレイ装置等の表示装置6と、一時的な情報及び書き換え不可能な情報等が記録されるメモリー7と、各種データを格納しているデータベース8と、これらメモリー7及びデータベース8に対して所定の情報を書き込む記録装置9と、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3との間で情報の送受信を行う送受信装置18(受信機能のみを有する受信装置であっても良い)とから構成されている。
共用コンピュータ2におけるメモリー7は、それぞれ異なる種類の情報を記録するメモリー部A10及びメモリー部B11と、例えば個人用コンピュータ3や表示装置6に表示させる画像データを記録した画面メモリー12と、本システムを動作させるための処理プログラム13とから構成されている。なお、共用コンピュータ2においては、画面メモリー12及び処理プログラム13等を内部のメモリー7に有さず、通信回線網1を介して共用コンピュータ2と接続された外部記憶装置(図示せず)に有するものであってもよい。
共用コンピュータ2におけるデータベース8(記憶装置)は、多型番地、多型パターン及び意味情報が記録されたメインDB14と、メモリー部A10に記録された情報を保存する保管用DB−A15と、メモリー部B11に記録された情報を保存する保管用DB−B16と、認証用多型パターンデータベース17とから構成されている。メインDB14は、図3に示すように、多型番地と、当該多型番地で取りうる複数の多型パターンと、当該複数の多型パターンそれぞれを意味づける意味情報とが関連付けられて記録されている。また、メインDB14には、複数の多型番地における多型パターンの組合せ(例えば、ハプロタイプ)を意味づける意味情報が記録されていても良い。
ここで、「多型番地(位置情報)」とは、少なくとも、塩基配列における多型が存在する位置を意味する。なお、一般的に多型とは、例えば、いわゆるSNP(single nucleotide polymorphism)、RFLP(restriction fragment length of polymorphism)、VNTR(variable number of tandem repeat)、マイクロサテライト等を含んでいる。しかし、本明細書において使用する「多型」は、これらに限定されず、個体種中1%未満の頻度でしか存在しない塩基及び塩基配列の変化(バリエーション)も含む意味とする。したがって、「多型番地」は、個体種中1%未満の頻度でしか存在しない塩基及び塩基配列の変化を示す、塩基配列における位置も含む意味である。すなわち、「多型番地」とは、数値、文字及び記号等を組み合わせて、多型等を示す位置を表すものである。多型番地は、特に限定されないが、例えば、染色体番号と多型が存在する遺伝子を表す記号と当該遺伝子における多型の存在位置を示す数値との組み合わせにより表記することもできるし、多型が存在する遺伝子を示す記号と当該遺伝子における多型の存在位置を示す数値との組み合わせであってもよい。
また、多型番地は、多型毎に付与される多型固有の表記であっても良い。多型番地として多型固有の表記を使用する場合、多型番地は塩基配列中の位置を直接的には示さないが、多型固有の表記に基づいて間接的に位置を知ることができる。したがって、「多型番地」は、多型固有の表記も含む意味である。
「多型パターン(塩基配列関連情報)」とは、個体間において相違する塩基配列の情報であり、少なくとも、多型における塩基又は塩基配列のパターンを含む意味である。さらに「多型パターン」は、多型に限らず、個体種中1%未満の頻度でしか存在しない塩基及び塩基配列のパターンも含む意味である。例えば、A又はGを取ることが知られている多型番地において、「多型パターン」は、「A」及び「G」のいずれかで表される。
また、「多型パターン」は、相同染色体におけるヘテロ接合体又はホモ接合体を示すものであってもよい。この場合、例えば、A又はGを取ることが知られている多型番地において、「多型パターン」は、「AA」、「GG」及び「AG」のいずれかで表現できる。
さらに、「多型パターン」は、所定の多型番地で取りうるパターンを直接的に表記するものではなく、間接的に表記するものであっても良い。すなわち、「多型パターン」は、例えば、A又はGを取ることが知られている多型番地において「A」を取る場合に「アレル1」とし、「G」を取る場合に「アレル2」と表記してもよい。また、「多型パターン」が上述したように「AA」、「GG」及び「AG」のいずれかで表現できる場合、例えば、「AA」で表現できるときに「α」、「GG」で表現できるときに「β」、「AG」で表現できるときに「γ」と表記してもよい。
その他「多型パターン」の表記例としては、多型がマイクロサテライトの場合には「繰り返し数」を表す数値で、多型が挿入、欠失型の場合には「有/無」を表す記号で表記してもよい。また更に、各多型番地における「多型パターン」は、所定の規則や取り決めに従って、例えば、「多型1」、「多型2」、「多型3」と表記されても良い。例えば、各多型番地において、「多型パターン」がとり得る頻度の高い順に、「多型1」、「多型2」、「多型3」と表記できる。この場合、例えば、各多型番地におけるそれぞれの「多型1」は必ずしも同じ内容を表すものではない。すなわち、例えば、ある多型番地の「多型1」は最もとり得る頻度が高い「AA」を表し、別の多型番地「多型1」は最もとり得る頻度が高い「GG」を表すことになる。
ここで、「意味情報」とは、「多型パターン」に関連づけられた情報であり、例えば、薬剤に対する応答性、薬剤に対する副作用、疾患及び障害に対するリスク、体質・性質、体質・性質等に基づく生活習慣アドバイス、タンパク質相互作用など、「多型パターン」の相違に起因する様々な情報を意味する。なお、「意味情報」としては、「多型パターン」の相違に起因する様々な情報を直接表しても良く、また、当該情報を意味する記号などを用いて間接的に表しても良い。「意味情報」は、ゲノム・遺伝子に関する研究が進むことにより種類が増加するとともに訂正が行われる種類の情報であり、常にバージョンアップすることが好ましい。すなわち、「意味情報」は、ゲノム・遺伝子の研究成果を用いてデータベースを更新することによって、蓄積量が増加・減少してより精度の高いものとなる。なお、メインDB14には、多型番地と、当該多型番地で取りうる多型パターンとが関連付けられており、意味情報が関連付けられていない多型番地及び多型パターンが記録されていてもよい。
なお、直接「多型パターン」には関連づけられていないが「意味情報」から更に導き出される情報は、「意味情報に関連する情報」である。「意味情報」が「疾患に対するリスク」である場合、当該リスクがある一定の水準を超えたときに、例えば特定の「健康診断検査項目」が導き出される。この特定の「健康診断検査項目」が「意味情報に関連する情報」である。
本実施の形態において意味情報は、図3に示すように、少なくとも、所定の「多型番地」及び「多型パターン」に関連づけられた「多型パターンに対する注釈情報」としてメインDB14に記録されている。また、意味情報には、所定の「多型番地」に対応する「多型分類」及び「分類(疾患名)」等が関連づけられている。すなわち、所定の「多型番地」が所定の「多型パターン」である場合、疾患名の種類と当該疾患に対する罹患可能性を示す注釈情報(意味情報)を得ることができる。したがって、例えば、意味情報は、複数の多型番地に対応するそれぞれの多型パターンの組み合わせ(例えば、ハプロタイプ)に対して関連付けることもできる。すなわち、複数の多型番地における多型パターンの組み合わせ毎に、所定の疾患に対する異なる罹患可能性を示す注釈情報(意味情報)を関連付けることができる。この場合、複数の多型番地が所定の多型パターンの組み合わせである場合、所定の疾患に対する罹患可能性を示す注釈情報(意味情報)を得ることができる。
また、意味情報には、所定の基準で決定した「公開レベル」を関連づけることもできる。例えば、「公開レベル」を決定する際の基準としては、意味情報、すなわちここでは「分類(疾患名)」の罹患可能性を公開することによる個人に対する不測の不利益等を考慮して定めることができる。詳細には、共用コンピュータ2において、法律、規則又は自らの行動基準若しくは利用者との契約等に鑑みて、公開することが相応しくない意味情報については、公開しないような「公開レベル」を決定することができる。この場合、本システムでは、公開不可を意味する「公開レベル」に関連付けられた罹患可能性を示す注釈情報については、利用者に対して開示することはない。これにより、利用者に対して不測の不利益となりうる意味情報を与えることや、契約者以外に意味情報が開示されることを防止できる。
なお、利用者がインフォームドコンセント等により、所定の「公開レベル」を関連づけた意味情報の開示を容認することにより、利用者に対して、所定の「公開レベル」が関連づけられた意味情報を公開するようなシステムであってもよい。
また、「公開レベル」は、例えば「1,2,3、…」又は「a,b,c,…」といった3以上の複数の段階として設定することができる。この場合、共用コンピュータ2側では、利用者の年齢、資格及び利用者との契約の有無等、利用者の種類に応じてレベルを設定することができる。なお、インフォームドコンセント等によって、所定の公開レベル以上(又は未満)の公開レベルに関連付けられた罹患可能性を示す注釈情報のみが利用者側に対して提供されるように、当該利用者側が公開レベルを選択することもできる。
なお、データベース8において、保管用DB−B16には、例えば、本システムを利用する要求者個人の遺伝情報である塩基配列関連情報といったデータを記録することができる。また、保管用DB−A15には、例えば、本システムを利用する要求者を特定する情報といったデータを記録することができる。このように、保管用DB−A15及び保管用DB−B16に、個人の遺伝情報と個人を特定する情報とを分けて記録することによって、要求者の遺伝情報と、要求者を特定するデータとを関連付け難くなる。
なお、共用コンピュータ2は、データベース8を内部に有するものに限定されず、通信回線網1を介して共用コンピュータ2に接続された外部データベース(図示せず)を有するものであってもよい。また、共用コンピュータ2は、内部に複数のデータベース8を有するものであってもよいし、内部のデータベース8と通信回線網1を介して共用コンピュータ2に接続された外部データベースとを有するものであっても良い。
個人用コンピュータ3は、図4に示すように、当該個人用コンピュータ3の動作を全て制御するCPU20と、情報及びプログラムの実行指示等を入力できるキーボード及びマウス等の入力装置21と、ディスプレイ装置等の表示装置22と、一時的な情報及び書き換え可能な情報等が記録されるメモリー23と、ゲノム関連情報記録媒体24からデータを読み取る読取り装置25と、通信回線網1を介して共用コンピュータ2との間で情報の送受信を行う送受信装置29とから構成されている。なお、個人用コンピュータ3は、通常のコンピュータに限定されず、例えば、携帯電話、個人携帯端末及びその他の移動体通信機器等、いかなる形態であってもよい。
個人用コンピュータ3におけるメモリー23は、ゲノム関連情報記録媒体24からの情報等を記録するメモリー部26を有し、本情報処理システムを動作させる処理プログラム27が記録されている。
ゲノム関連情報記録媒体24には、個人のゲノム関連情報28が記録されている。ゲノム関連情報記録媒体24としては、例えば、磁気ディスクや磁気カード等の磁気記録媒体、光磁気記録方式や相変化記録方式等を適用した光学式記録媒体、半導体メモリー等を挙げることができる。また、このゲノム関連情報記録媒体24は、カード状、ディスク状、スティック状、テープ状又はドラム状等いかなる形態であってもよい。さらに、このゲノム関連情報記録媒体24は、単一の個人(個体)のゲノム関連情報28を記録したものであってもよいが、複数の個人(個体)に関する複数のゲノム関連情報28を記録したものであってもよい。
ゲノム関連情報記録媒体24に含まれるゲノム関連情報28とは、少なくとも、「多型番地」及び個人(個体)の塩基配列を解析した結果として得られる所定の多型番地における「多型パターン」を意味する。また、ゲノム関連情報28には、既往症、特徴、カルテ情報、健康診断結果といった各種情報を含んでいてもよい。
ゲノム関連情報記録媒体24には、ゲノム関連情報28として、例えば、図5に示すように、データIとしてゲノム関連情報28に固有の個別番号「Gno.」(ジーナンバー)及び生年月日等の個人情報を記録し、データIIとして多型番地及び多型パターンを記録し、データIIIとして既往症を記録し、データIVとして特徴を記録し、データVとしてカルテ情報等を記録する。すなわち、ゲノム関連情報28は、データI、データII、データIII、データIV及びデータVから構成されている。データI及びデータIIには必須の情報が含まれており、データIII、データIV及びデータVには付加的な情報から構成されている。
ゲノム関連情報28においては、塩基配列上の位置に対応する「多型番地」と、当該多型番地における「多型パターン」とをリンクさせて記録している。また、データIIには、所定の多型番地における付加的な情報を「コメント」として、「多型番地」にリンクさせて記録していてもよい。なお、データIIには、所定の個体に関する全塩基配列を記録しても良い。データIIに全塩基配列を記録した場合であっても、データII内に「多型番地」及び「多型パターン」が含まれることとなる。
なお、本発明において、個人用コンピュータ3及びゲノム関連情報記録媒体24は、それぞれ図4及び図5に示したような構成に限定されず、例えば、ゲノム関連情報記録媒体が処理プログラムを有するメモリー部を備え、個人用コンピュータが当該ゲノム関連情報記録媒体を装着して処理プログラムを動作させるような構成であってもよい。この場合、個人用コンピュータは、ゲノム関連情報記録媒体のメモリー部に記録された処理プログラムに従って動作できる。
一方、共用コンピュータ2のデータベース8において、認証用多型パターンデータベース17は、図6に示すように、利用資格が予め認定された個人が有する「Gno.」毎に複数の多型番地と多型パターンとの組み合わせが関連付けられて記録されている。ここで、利用資格は、共用コンピュータ2側が設定した所定の条件をクリアすることで得ることができる。この条件としては、利用者の年齢、健康診断結果提出の有無、利用内容及び規約に対する同意、契約の有無等の条件等を挙げることができる。利用資格の取得方法は、特に限定しないが、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3と共用コンピュータ2との間で行うこともできる。
認証用多型パターンデータベース17は、共用コンピュータ2側が上述した利用資格を取得した個人に対して、複数の多型番地に関する多型パターン及び「Gno.」を提出させ、受け取った所定の多型番地に関する多型パターン及び「Gno.」を関連付けて記録することにより作製することができる。このとき、個人に提出を求める複数の多型番地は、複数の個人毎に異なっていても良いし、複数の個人に共通であっても良い。
また、利用者に提出を求める複数の多型番地としては、メインDB14に示した意味情報が関連付けられていない多型番地を使用することが好ましい。すなわち、利用資格を取得した個人に関して、意味情報が関連付けられていない多型パターン及び多型番地を関連付けた認証用多型パターンデータベース17を構築することが好ましい。
以上のように構成された情報処理システムは、ゲノム関連情報記録媒体24を所持する各個人(以下、要求者)が個人用コンピュータ3を用いて通信回線網1を介して共用コンピュータ2にアクセスし、共用コンピュータ2のメインDB14に記録されている意味情報を利用するシステムである。なお、本情報処理システムは、複数人のゲノム関連情報28がそれぞれ記録されたゲノム関連情報記録媒体24を用い、各個人がゲノム関連情報記録媒体24にアクセスするようなシステムであってもよい。
本システムにおいては、先ず、共用コンピュータ2のメモリー7に記録された処理プログラム13及び個人用コンピュータ3のメモリー23に記録された処理プログラム27が、例えば、図7及び図8に示すようなフローチャートに従って、要求者の利用資格を確認する認証確認工程を実行する。なお、図7及び図8に示すフローチャートにおいて、「(共)」と記載したステップは共用コンピュータ2における処理を意味し、「(個)」と記載したステップは個人用コンピュータ3における処理を意味している。
この認証確認工程では、先ず、ステップ1(図面において「S1」と記載する。ステップ2以降も同様に記載する。)で、要求者が本システムを利用するにあたり、メモリー23に記録されている処理プログラム27を起動し、処理プログラム27の処理によりゲノム関連情報記録媒体24アクセスする。具体的に、処理プログラム27は、個人用コンピュータ3の読取り装置25を駆動してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスする。次に、ステップ2(S2)で、処理プログラム27によりゲノム関連情報記録媒体24においてデータIとして記録されている「Gno.」を読み出す。読み出した「Gno.」は、メモリー部26に格納する。
次に、ステップ3(S3)で、要求者は、個人用コンピュータ3から通信回線網1を介してメモリー部26に格納された「Gno.」を共用コンピュータ2に対して送信する。ステップ3では、共用コンピュータ2に対して「Gno.」を送信することによって、当該「Gno.」のゲノム関連情報記録媒体24を有する要求者の認証を要求する(認証確認要求)。
次に、ステップ4(S4)で、共用コンピュータ2は、個人用コンピュータ3から「Gno.」(認証確認要求)を受信する。受信した「Gno.」は、メモリー部A10に格納する。共用コンピュータ2は、ステップ4で「Gno.」を受信すると、処理プログラム13が起動する。
次に、ステップ5(S5)で、共用コンピュータ2の処理プログラム13に従って認証用多型パターンデータベース17にアクセスする。次に、ステップ6(S6)で、処理プログラム13に従って認証用多型パターンデータベース17からステップ4で受信した「Gno.」と一致する「Gno.」で括られた複数の多型番地から、所定の多型番地を読み出す。ステップ6で読み出す多型番地は、所定の「Gno.」について、認証用多型パターンデータベース17に記録されている全ての多型番地であっても良いし、認証用多型パターンデータベース17に記録されている一部の多型番地であっても良い。一部の多型番地を読み出す場合には、予め決まった一部の多型番地であっても良いし、利用毎にその都度ランダムに選択した一部の多型番地であっても良い。また、ステップ6では、所定の多型番地を読み出す際に当該多型番地に関連付けられた多型パターンも同時に読み出しても良い。なお、読み出した多型番地等は、要求者の「Gno.」と関連付けた状態でメモリー部A10に記録する。
次に、ステップ7(S7)では、処理プログラム13に従ってメモリー部A10に記録された「Gno.」及び「多型番地」を通信回線網1を介して個人用コンピュータ3に送信する。すなわち、ステップ7では、共用コンピュータ2が個人用コンピュータ3に対して、所定の多型番地に関連付けられた多型パターンの提出を命令する情報を送信する。
次に、ステップ8(S8)では、共用コンピュータ2から送信された「Gno.」及び「多型番地」を個人用コンピュータ3で受信する。なお、受信した「Gno.」及び「多型番地」は、メモリー部26に記録される。
次に、ステップ9(S9)では、個人用コンピュータ3が共用コンピュータ2から「Gno」及び「多型番地」を受信すると、処理プログラム27に従って読取り装置25を駆動してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスする。次に、ステップ10(S10)では、処理プログラム27に従ってゲノム関連情報記録媒体24から、ステップ8で受信した「多型番地」に関連付けられた「多型パターン」を読み出す。読み出した「多型パターン」は、「多型番地」と関連付けてメモリー部26に記録する。
次に、ステップ11(S11)では、メモリー部26に記録した「多型番地」と当該多型番地に関連付けられた「多型パターン」とを「Gno.」とともに、通信回線網1を介して共用コンピュータ2に対して送信する。すなわち、ステップ11では、ステップ7で送信された命令情報に含まれる「多型番地」と当該多型番地に関連付けられた「多型パターン」とを送信する。
なお、上述した工程では、ステップ7において、共用コンピュータ2が「多型パターン」の提出を命令する命令情報を送出し、ステップ10において、個人用コンピュータ3は命令情報に従って多型パターンをゲノム関連情報記録媒体24から読み出している。しかしながら、本システムは、ステップ7において当該命令情報を送出しないシステムであってもよい。この場合、ステップ10において、個人用コンピュータ3は、処理プログラム27に従って、ステップ8で受信した多型番地に基づいてデータIIを検索し、受信した多型番地の多型パターンを読み出す。そして、個人用コンピュータ3は、ステップ11で多型パターン等を共用コンピュータ2に対して出力する。
次に、ステップ12(S12)では、個人用コンピュータ3から送信された「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」を共用コンピュータ2で受信する。受信した「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」は、メモリー部A10に保存される。次に、ステップ13(S13)では、個人用コンピュータ3から「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」を受信すると、共用コンピュータ2の処理プログラム13に従って認証用多型パターンデータベース17にアクセスする。
次に、ステップ14(S14)では、認証用多型パターンデータベース17においてステップ12で受信した「Gno.」及び「多型番地」と一致するものを検索し、認証用多型パターンデータベース17から検索した「多型番地」に関連付けられた「多型パターン」を読み出す。読み出した多型パターンは、多型番地と関連付けてメモリー部A10に記録する。なお、ステップ6において、多型番地とともに当該多型番地に関連付けられた「多型パターン」を読み出している場合には、これらステップ13及びステップ14を行わず、ステップ12の後にステップ15に進む。
次に、ステップ15(S15)では、ステップ14で読み出した「多型パターン」と、ステップ12で受信した「多型パターン」とが全て一致しているか否かを判定する。詳しくは、ステップ7で提出を命令した多型番地の全てに関して、ステップ14で読み出した「多型パターン」と、ステップ12で受信した「多型パターン」とが一致しているか否かを判定する。なお、ステップ6において、多型番地とともに当該多型番地に関連付けられた「多型パターン」を読み出している場合には、ステップ6で読み出した「多型パターン」と、ステップ12で受信した「多型パターン」との一致又は不一致を判定する。ステップ15の判定の結果、ステップ14で読み出した「多型パターン」とステップ12で受信した「多型パターン」とが全て一致する場合にはステップ16(S16)に進み、1つでも一致しないものがある場合にはステップ17(S17)に進む。
ステップ16(S16)では、個人用コンピュータ3に対して利用資格に関する認証を確認することができた旨を通知する。具体的には、個人用コンピュータ3に対して認証を確認した旨の画面データを送信する。ステップ18(S18)では、個人用コンピュータ3で当該画面データを受信し、表示装置22に当該画面データを表示させる。これにより、共用コンピュータ2側では、本システムを利用するにあたり要求者の利用資格を確認することができ、本システムの不正利用を防止することができる。なお、ステップ16では、個人用コンピュータ3に対して画面データを送信するのではなく、認証確認データを送信してもよい。この場合、個人用コンピュータ3では、受信した認証確認データから認証確認完了画面を表示装置22に表示する。
一方、ステップ17(S17)では、個人用コンピュータ3に対して利用資格に関する認証を確認できなかった旨を通知し、処理を中止する。具体的には、個人用コンピュータ3に対して認証確認処理を拒否する旨の画面データを送信し、表示装置22に当該画面データを表示させる。なお、ステップ17では、個人用コンピュータ3に対して画面データを送信するのではなく、認証未確認データを送信してもよい。この場合、個人用コンピュータ3では、受信した認証未確認データから認証確認未完了画面を表示装置22に表示する。
なお、本システムにおいては、ゲノム関連情報記録媒体24を所持する個人が要求者となる場合を説明したが、これに限定されない。すなわち、本システムにおいては、ゲノム関連情報記録媒体24を所持する個人又はゲノム関連情報記録媒体24のゲノム関連情報28が属する個体とは異なる者が要求者となってもよい。このような場合として、例えば、医者が要求者となり、患者のゲノム関連情報記録媒体24を使って上述した認証確認要求を行う場合を挙げることができる。
以上のようにして認証確認工程を実行した後、本システムでは、例えば、図9及び図10に示すようなフローチャートに従って情報処理動作する。なお、図9及び図10に示すフローチャートにおいても同様に、「(共)」と記載したステップは共用コンピュータ2における処理を意味し、「(個)」と記載したステップは個人用コンピュータ3における処理を意味している。
利用資格に関する認証確認がなされた要求者は、ステップA1(SA1)で、メモリー23に記録されている処理プログラム27を起動する。処理プログラム27によって、個人用コンピュータ3の読取り装置25を駆動してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、ゲノム関連情報記録媒体24においてデータIとして記録されている「Gno.」を読み出す。読み出した「Gno.」は、メモリー部26に格納する。
次に、ステップA2(SA2)では、処理プログラム27によって表示装置22に表示された画面イメージに基づいて、要求者が提供を受けたい情報、例えば、「大腸がんの罹患可能性」(要求情報)を個人用コンピュータ3に入力するとともに、個人用コンピュータ3から通信回線網1を経由して共用コンピュータ2に「大腸がんの罹患可能性」及び「Gno.」を送信する。或いは、個人用コンピュータ3から通信回線網1を経由して共用コンピュータ2に対して、「大腸がんの罹患可能性」及び「Gno.」を書き込む。
次に、ステップA3(SA3)では、共用コンピュータ2が「大腸がんの罹患可能性」及び「Gno.」を受信する。受信した「大腸がんの罹患可能性」及び「Gno.」は、メモリー部A10に要求情報として格納する。
次に、ステップA4(SA4)では、要求情報を受信すると、メモリー7に記録されている処理プログラム13を起動してメインDB14にアクセスする。なお、この処理プログラム13は、共用コンピュータ2における処理を行うものである。
次に、ステップA5(SA5)では、処理プログラム13に従って、メインDB14に記録されている「分類(疾患名)」を検索し、要求された「大腸がんの罹患可能性」(大腸がん)と一致するものを抽出する。
ステップA6(SA6)では、メインDB14に記録されているデータのなかから「大腸がんの罹患可能性」と一致した「分類(疾患名)」(大腸がん)に関連づけられた「多型番地」を読み出す。読み出した「多型番地」は、メモリー部A10に要求情報に関連づけた位置情報として格納する。すなわち、メモリー部A10には、所定の「Gno.」に対して「大腸がんの罹患可能性」及び「多型番地」が記録されることとなる。
次に、ステップA7(SA7)では、メモリー部A10に記録されている「Gno.」及び「多型番地」を個人用コンピュータ3に送信するとともに、送信する「多型番地」に対応する「多型パターン」を提出する命令情報を個人用コンピュータ3に送信する。また、このとき、要求情報の種類によっては、必要に応じて既往症や特徴等の付加的な情報の提出を命令してもよい。
次に、ステップA8(SA8)では、共用コンピュータ2から送信された「Gno.」、「多型番地」及び命令情報を受信する。受信した「Gno.」及び「多型番地」は、メモリー部26に記録される。
次に、ステップA9(SA9)では、受信した命令情報に従って、ゲノム関連情報記録媒体24に記録されているデータIIにアクセスする。ステップA10(SA10)では、処理プログラム27に従ってゲノム関連情報記録媒体24に記録されているデータIIを検索し、命令された多型番地の多型パターンを読み出し、多型番地と多型パターンとを関連づけてメモリー部26に記録する。このとき、データIに対してアクセスし、ステップA8で受信した「Gno.」が正しいか否かを確認することが好ましい。また、ステップA10では、多型パターンのほかにデータIII、データIV及びデータVに記録されている付加的な情報も同時に読み出し、必要に応じてメモリー部26に記録してもよい。
次に、ステップA11(SA11)では、メモリー部26に一時的に記録した多型番地に関連付けられた多型パターン及び必要に応じて記録された付加的な情報を、「Gno.」とともに通信回線網1を介して共用コンピュータ2に対して出力する。ステップA12(SA12)では、多型番地に関連付けられた多型パターン及び必要に応じて記録された付加的な情報を共用コンピュータ2で受信し、受信した多型パターンを多型番地と関連付けてメモリー部A10に記録する。
また、本例では、ステップA7において、共用コンピュータ2が「多型パターン」の提出を命令する命令情報を送出し、ステップA10において、個人用コンピュータ3は命令情報に従って多型パターンをゲノム関連情報記録媒体24から読み出している。しかしながら、本システムは、ステップA7において当該命令情報を送出しないシステムであってもよい。この場合、ステップA10において、個人用コンピュータ3は、処理プログラム27に従って、ステップA8で受信した多型番地に基づいてデータIIを検索し、受信した多型番地の多型パターンを読み出す。そして、個人用コンピュータ3は、ステップA11で多型パターン等を共用コンピュータ2に対して出力する。この場合でも、共用コンピュータ2は、ステップA12において、「大腸がんの罹患可能性」と一致した「分類(疾患名)」に関連づけられた「多型番地」の多型パターンを得ることができる。
次に、ステップA13(SA13)では、メインDB14にアクセスし、受信した多型番地及び多型パターンと一致するものを検索する。具体的には、メインDB14において、一つの多型番地に対して複数の多型パターンが記録されており、受信した多型番地及びその多型パターンがメインDB14においてどの多型パターンに一致しているのかを検索する。
次に、ステップA14(SA14)では、処理プログラム13に従って、受信した多型パターンと一致した多型パターンに関連づけられている大腸がんに対する罹患可能性を読み出す。すなわち、ステップA14では、要求者が提出した多型番地及び多型パターンに従って、要求者の大腸がんに対する罹患可能性を読み出すことができる。読み出した罹患可能性は、要求者の「Gno.」と関連づけてメモリー部A10に格納する。このとき、大腸がんに対する罹患可能性を、付加的な情報により補正したかたちで格納してもよいし、付加的な情報から得られるその他の情報を要求者の「Gno.」に関連づけて格納しても良い。
次に、ステップA15(SA15)では、メモリー部A10に格納した要求者の「Gno.」及び罹患可能性を意味情報として、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3に対して送信する。ステップA16(SA16)では、個人用コンピュータ3が要求者の「Gno.」及び罹患可能性(意味情報)を受信する。受信した意味情報は、メモリー部26に記録される。
次に、ステップA17(SA17)では、処理プログラム27に従って、メモリー部26に記録された意味情報から大腸がんに対する罹患可能性を表示装置22に表示する。なお、ステップA15からステップA17の代わりに共用コンピュータ2が処理プログラム13に従って意味情報を表示する画面を読み出し(作成し)、通信回線網1を経由して個人用コンピュータ3の表示装置22に表示させることもできる。この場合においても、共用コンピュータ2から個人用コンピュータ3に対して意味情報が送信されたものとする。これにより、要求者は、ゲノム関連情報記録媒体24に記録したゲノム関連情報28を用いて大腸がんに対する罹患可能性を得ることができる。
以上のように、本システムにおいては、利用資格に関する認証確認を行った後、個人の多型パターンを多型番地と関連づけて記録したゲノム関連情報記録媒体24を用いることによって、メインDB14に記録された意味情報を多型番地を介在させて要求者が利用することができる。また、本システムにおいては、図7及び図8に示すフローチャートに従って認証確認工程を行っているため、不正利用を確実に防止することができる。
特に、本システムでは、利用資格に関する認証確認工程において、意味情報が関連付けられていない多型番地及び多型パターンを用いることが好ましい。これにより、ステップ11以降の工程において、不測の事態により情報が流出したとしても、意味情報が関連付けられた多型番地及び多型パターンを第3者に知られることが防止できる。
また、本システムにおいては、暗号化された多型パターンを記録したゲノム関連情報記録媒体24を使用することが好ましい。多型パターンを暗号化する際には、例えば、個人のゲノムDNAを臨床検査会社等のゲノム解析を行う機関を利用して解析し、その結果として得られた多型パターンを当該ゲノム解析を行う機関或いは他の機関で暗号化する。
具体的には、個人のゲノムDNAを解析した結果として得られた複数の多型番地及び多型パターンの組み合わせにおいて、多型番地毎にそれぞれ乱数を選定する。乱数は、複数の多型番地に対してランダムに選定してもよいし、所定の法則に従って選定してもよい。次に、選定した乱数を用いて、解析して得られた所定の多型番地における多型パターンを暗号化する。これにより、個人のゲノムDNAを解析して得られた多型番地及び多型パターンの組み合わせを、多型番地及び暗号化された多型パターンの組み合わせとすることができる。
また、ゲノム関連情報記録媒体24は、多型番地と暗号化された多型パターンとを関連付けて記録するとともに、個人に特有となるように設定された「Gno.」を記録することにより作製することができる。なお、暗号化に用いた乱数を当該「Gno.」と関連付け、第3者機関等のデータベースに記録することによって、当該データベースを用いて暗号化された多型パターンを復号化することができる。
暗号化された多型パターンは、実際の多型番地における塩基配列を意味するものではない。したがって、このように暗号化された多型パターンを用いることによって、上述した認証確認工程及びそれに続く各工程において、不測の事態により暗号化された多型パターンが外部に流出してしまったとしても、実際の塩基配列を流出することにはならず、安全性に優れたシステムとなる。特に、認証確認工程においては、個人の実際のゲノムDNAを直接的に意味しない暗号化された多型パターンであっても復号化する必要もなく、図7及び図8に示したフローチャートに従って利用資格に関する認証の確認を確実に行うことができる。
さらに、本システムにおいては、多型パターンを暗号化する際に使用した乱数等の暗号鍵を記録したゲノム関連情報記録媒体24を使用することもできる。すなわち、上述した例において、所定の「Gno.」について「多型番地」と当該多型番地に関連付けた「乱数」とを記録したゲノム関連情報記録媒体24を作製するとともに、当該乱数によって「暗号化された多型パターン」を「多型番地」と関連付けて第3者機関等のデータベースに記録する。この場合、図7及び図8に示したフローチャートに準じて、暗号鍵を用いて認証を行うことができる。
ところで、本情報処理システムにおいては、図7及び図8に示したフローチャートに従って認証確認工程を行った後、図11に示すようなフローチャートに従って情報処理動作するものであってもよい。なお、図11に示すフローチャートにおいても、「(共)」と記載したステップは共用コンピュータ2における処理を意味し、「(個)」と記載したステップは個人用コンピュータ3における処理を意味している。
利用資格に関する認証を確認された要求者は、ステップB1(SB1)では、要求者が本システムを利用するにあたり、メモリー23に記録されている処理プログラム27を起動する。処理プログラム27によって、個人用コンピュータ3の読取り装置25を駆動してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、ゲノム関連情報記録媒体24においてデータIとして記録されている「Gno.」を読み出す。読み出した「Gno.」は、メモリー部26に格納する。
次に、ステップB2(SB2)では、処理プログラム27によって表示装置22に表示された画面イメージに基づいて、要求者が提供を受けたい情報、例えば、「大腸がんの罹患可能性」(要求情報)を個人用コンピュータ3に入力するとともに、個人用コンピュータ3から通信回線網1を経由して共用コンピュータ2に「大腸がんの罹患可能性」及び「Gno.」を送信するとともに、メインDB14の「分類(疾患名)」が大腸がんである「多型番地」と当該「多型番地」に関連付けられた全ての「多型パターン」と当該全ての「多型パターン」それぞれを意味づける「罹患可能性」との提出を要求する。すなわち、要求者は、ステップB2において、メインDB14の「分類(疾患名)」が大腸がんである「多型番地」と当該「多型番地」に関連付けられた全ての「多型パターン」と当該全ての「多型パターン」それぞれを意味づける「罹患可能性」とからなる情報を要求する。
次に、ステップB3(SB3)では、共用コンピュータ2が上記要求情報を受信する。共用コンピュータ2は、要求情報を受信すると処理プログラム13を起動する。そして、ステップB4(SB4)で、処理プログラム13に従ってメインDB14にアクセスする。
次に、ステップB5(SB5)では、処理プログラム13に従って、メインDB14に記録されている「分類(疾患名)」を検索し、要求された「大腸がんの罹患可能性」(大腸がん)と一致するものを抽出する。ステップB6(SB6)では、処理プログラム13に従って、メインDB14にアクセスし、「大腸がんの罹患可能性」と一致する「分類(疾患名)」(大腸がん)に関連づけられた「多型番地」、当該多型番地に関連づけられた全ての「多型パターン」及び全ての多型パターンにおける「罹患可能性」を読み出す。読み出した「多型番地」、「多型パターン」及び「罹患可能性」は、メモリー部A10に要求情報に関連づけて格納する。すなわち、メモリー部A10には、所定の「Gno.」に対して「多型番地」、「多型パターン」及び「罹患可能性」が記録されることとなる。
次に、ステップB7(SB7)では、メモリー部A10に記録されている「Gno.」、「多型番地」、「多型パターン」及び「罹患可能性」を、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3に対して送信する。ステップB8(SB8)では、共用コンピュータ2から送信された「Gno.」、「多型番地」、「多型パターン」及び「罹患可能性」を受信する。受信した「Gno.」、「多型番地」、「多型パターン」及び「罹患可能性」は、メモリー部26に記録される。
次にステップB9(SB9)では、処理プログラム27に従い、ゲノム関連情報記録媒体24に記録されているデータIIにアクセスする。このとき、ゲノム関連情報記録媒体24に記録されているデータIにもアクセスし、受信した「Gno.」が正しいか否かを確認することが好ましい。
次に、ステップB10(SB10)では、処理プログラム27に従って、ゲノム関連情報28から、受信した「多型番地」と一致する多型番地における多型パターンを抽出する。そして、ステップB10(SB10)では、受信した多型番地に関連づけられた全ての「多型パターン」のうちで、抽出した多型パターンと一致するものを検索する。
ステップB11(SB11)では、受信した多型番地に関連づけられた全ての「多型パターン」のうちで一致した多型パターンに関連づけられた「罹患可能性」を抽出するとともに、抽出した「罹患可能性」を出力する。これにより、要求者は、大腸がんに対する罹患可能性(意味情報)を得ることができる。このとき、ステップB11では、データIII、データIV及びデータVに記録されている付加的な情報も同時に読み出し、大腸がんに対する罹患可能性を、付加的な情報により補正したかたちで出力してもよい。
以上のように、本システムにおいても、利用資格に関する認証確認を行った後、個人の多型パターンを多型番地と関連づけて記録したゲノム関連情報記録媒体24を用いることによって、メインDB14に記録された意味情報を多型番地を介在させて要求者が利用することができる。また、本システムにおいても、図7及び図8に示すフローチャートに従って認証確認工程を行っているため、不正利用を確実に防止することができる。
さらに、本システムにおいても、利用資格に関する認証確認工程において、意味情報が関連付けられていない多型番地及び多型パターンを用いることが好ましい。これにより、ステップ11以降の工程において、不測の事態により情報が流出したとしても、意味情報が関連付けられた多型番地及び多型パターンを第3者に知られることが防止できる。さらにまた、本システムにおいても、暗号化された多型パターンを記録したゲノム関連情報記録媒体24を使用することによって、安全性に優れたシステムとなる。
特に、図11に示したフローチャートに従った情報処理動作においては、要求者が共用コンピュータ2に対して、メインDB14の「分類(疾患名)」が大腸がんである「多型番地」と当該「多型番地」に関する全ての「多型パターン」と当該「多型パターン」に関する「罹患可能性」との提出を要求している。言い換えると、図11に示したフローチャートに従った情報処理動作においては、要求者が、所定の「多型番地」と当該多型番地に関する全ての「多型パターン」と当該多型パターンに関する「罹患可能性」といった利用価値の高い情報を得ることとなる。したがって、このようなシステムにおいては、要求者の利用資格を厳密に規定することが好ましい。図7及び図8に示すフローチャートに従った認証確認工程を行うことで、要求者に関して利用資格の有無を確認することができ、利用価値の高い情報の不正利用や流用等を防止することができる。
ところで、本情報処理システムにおいては、図7及び図8に示したフローチャートに従って認証確認工程を行った後、図12に示すようなフローチャートに従って情報処理動作するものであってもよい。なお、図12に示すフローチャートにおいても、「(共)」と記載したステップは共用コンピュータ2における処理を意味し、「(個)」と記載したステップは個人用コンピュータ3における処理を意味している。
利用資格に関する認証を確認された要求者は、ステップC1(SC1)で、要求者が本システムを利用するにあたり、メモリー23に記録されている処理プログラム27を起動する。処理プログラム27によって、個人用コンピュータ3の読取り装置25を駆動してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、ゲノム関連情報記録媒体24においてデータIとして記録されている「Gno.」、データIIとして記録されている全ての「多型番地」及び「多型パターン」を読み出す。読み出した「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」は、メモリー部26に格納する。
次に、ステップC2(SC2)では、処理プログラム27によって表示装置22に表示された画面イメージに基づいて、要求者が提供を受けたい情報、例えば、「大腸がんの罹患可能性」(要求情報)を個人用コンピュータ3に入力するとともに、個人用コンピュータ3から通信回線網1を経由して共用コンピュータ2に「大腸がんの罹患可能性」と、メモリー部26に記録されている「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」とを送信する。
次に、ステップC3(SC3)では、共用コンピュータ2が「大腸がんの罹患可能性」、「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」を受信する。受信した「大腸がんの罹患可能性」は要求情報としてメモリー部A10に記録され、「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」も、メモリー部A10に格納される。共用コンピュータ2は、要求情報を受信すると処理プログラム13を起動する。そして、ステップC4(SC4)では、処理プログラム13に従って、メインDB14にアクセスする。
次に、ステップC5(SC5)では、処理プログラム13に従って、メインDB14に記録されている「分類(疾患名)」を検索し、要求された「大腸がんの罹患可能性」(大腸がん)と一致するものを抽出する。
ステップC6(SC6)では、処理プログラム13に従って、メインDB14にアクセスし、メインDB14から「大腸がん」に分類された「多型番地」、当該多型番地に対する全ての「多型パターン」、及び当該多型パターンに対する「罹患可能性」を読み出す。読み出した「多型番地」、「多型パターン」及び「罹患可能性」は、メモリー部A10に格納される。
次に、ステップC7(SC7)では、ステップC3で受信した「多型番地」及び「多型パターン」に基づいて、ステップC6でメモリー部A10に格納したデータを検索し、受信した「多型パターン」と一致した多型パターンに関連付けられた罹患可能性をメモリー部A10から抽出する。
ステップC8(SC8)では、ステップC7の結果、すなわち、ステップC3で受信した情報に含まれる多型パターンがメインDB14のいずれの多型パターンと一致するかに基づいて抽出した罹患可能性を、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3に対して送信する。このとき、共用コンピュータ2は、抽出した罹患可能性を要求者の「Gno.」とともに送信する。
次に、ステップC9(SC9)では、共用コンピュータ2から送信された「Gno.」及び「罹患可能性」(意味情報)を受信する。受信した「Gno.」及び「罹患可能性」は、メモリー部26に記録される。このとき、ゲノム関連情報記録媒体24に記録されているデータIにアクセスし、受信した「Gno.」が正しいか否かを確認することができる。
次に、ステップC10(SC10)では、処理プログラム27に従って、メモリー部26に記録された意味情報から大腸がんに対する罹患可能性を表示装置22に表示する。なお、ステップC8からステップC10の代わりに、共用コンピュータ2が処理プログラム13に従って意味情報を表示する画面を読み出し(作成し)、通信回線網1を経由して個人用コンピュータ3の表示装置22に表示させることもできる。この場合においても、共用コンピュータ2から個人用コンピュータ3に対して意味情報が送信されたものとする。これにより、要求者は、ゲノム関連情報記録媒体24に記録したゲノム関連情報28を用いて大腸がんに対する罹患可能性を得ることができる。
以上のように、本システムにおいても、利用資格に関する認証確認を行った後、個人の多型パターンを多型番地と関連づけて記録したゲノム関連情報記録媒体24を用いることによって、メインDB14に記録された意味情報を多型番地を介在させて要求者が利用することができる。また、本システムにおいても、図7及び図8に示すフローチャートに従って認証確認工程を行っているため、不正利用を確実に防止することができる。
さらに、本システムにおいても、利用資格に関する認証確認工程において、意味情報が関連付けられていない多型番地及び多型パターンを用いることが好ましい。これにより、ステップ11以降の工程において、不測の事態により情報が流出したとしても、意味情報が関連付けられた多型番地及び多型パターンを第3者に知られることが防止できる。さらにまた、本システムにおいても、暗号化された多型パターンを記録したゲノム関連情報記録媒体24を使用することによって、安全性に優れたシステムとなる。
以上、説明したように本システムによれば、ゲノム関連情報記録媒体24及びメインDB14において、「多型番地」及びその「多型パターン」のみを規格化しておけば、それ以外の特別なデータの規格化を必要としないので、広範囲な産業に利用することができる。すなわち、物品及び/又はサービスを提供する側は、ゲノム関連情報記録媒体24を用いた情報提供に際して、多型パターンに対応する意味情報の規格化や、データ授受処理方法等の統一した規格を必要とせず、様々な方式で情報提供することができる。
さらにまた、本システムによれば、メインDB14をチェックすることで、第三者或いは第三者機関は共用コンピュータ2に対する監視及び管理を容易に行うことができる。したがって、本システムは、意味情報を提供する側に対する例えば行政的な管理を行うことができるため、意味情報を提供する側の健全性及び倫理管理を行うことができる。
一方、本情報処理システムにおいては、ゲノム関連情報記録媒体からデータIIに含まれる情報を除いたもの、すなわちデータI及び付加的にデータIII〜Vのみを有する記憶媒体を用いても良い。この場合、データIIに含まれる情報は、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3と接続された外部のデータベース(ゲノム関連情報記録媒体)に記録しておく。このようなシステムの場合、例えば、上述したステップA10において、通信回線網1を介して外部のデータベースにアクセスし、命令された多型番地の多型パターンを読み出し、多型番地と多型パターンとを関連づけてメモリー部26に記録することができる。したがって、このようなシステムであっても、図9及び図10に示したフローチャート、図11に示したフローチャート及び図12に示したフローチャートと同様に、要求者は意味情報を得ることができる。
さらに、本情報処理システムにおいては、要求者がゲノム関連情報記録媒体24及び前記ゲノム関連情報記録媒体からデータIIに含まれる情報を除いた記録媒体のいずれも有さず、通信回線網1を介して個人用コンピュータ3と接続したゲノム関連情報記録媒体24を備えるものであっても良い。このようなシステムの場合、要求者は、通信回線網1を介してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスし、ゲノム関連情報記録媒体24に記録された「多型番地」及び「多型パターン」等の情報を個人用コンピュータ3にダウンロードできる。なお、この場合、ゲノム関連情報記録媒体24は、複数の個人に関するゲノム関連情報を個人毎(「Gno.」毎)に記録したものであっても良い。
さらにまた、本発明は、上述したような共用コンピュータ2がメインDB14を有するような構成に限定されず、例えば、共用コンピュータ2と通信回線網1を介して接続されたメインDB14を備える情報処理システムにも適用される。この場合、共用コンピュータ2は、図9及び図10に示したフローチャート、図11に示したフローチャート或いは図12に示したフローチャートにおいて、メインDB14に対して通信回線網1を介してアクセスする。この場合でも、本情報処理システムによれば、図9及び図10に示したフローチャート、図11に示したフローチャート或いは図12に示したフローチャートに従って要求者が所望の意味情報を得ることができる。
特に、この場合、共用コンピュータ2は、異なる機関又は団体が有する複数のメインDB14に対して通信回線網1を介してアクセスし、これら複数のメインDB14に含まれる意味情報を使用して、要求者に対する情報提供を行うことが可能となる。すなわち、本情報処理システムにおいては、図9及び図10に示したフローチャートにおけるステップA5で、図11に示したフローチャートにおけるステップB5で、或いは図12に示したフローチャートにおけるステップC5で、共用コンピュータ2が大腸がんの罹患可能性に関する情報を意味情報として有する様々なメインDB14にアクセスする。これにより、本情報処理システムによれば、要求者は、様々なメインDB14に含まれる情報に基づいて、大腸がんの罹患可能性に関する情報を得ることができる。
また、本システムは、図9及び図10に示したフローチャート、図11に示したフローチャート、或いは図12に示したフローチャートにおいて、共用コンピュータ2が、いわゆるエージェントに対して、少なくとも個人用コンピュータ3から受け取った要求情報を送信し、意味情報(本例においては、「大腸がんに関する罹患可能性」)を、当該エージェントを介して得るものであってもよい。
ところで、上述した例では、図7及び図8に示したフローチャートに従って認証確認工程を行う情報処理システムを説明した。しかしながら、本発明は、上述した例に限定されず、共用コンピュータ2のメモリー7に記録された処理プログラム13及び個人用コンピュータ3のメモリー23に記録された処理プログラム27が、例えば、図13に示すフローチャートに従って認証確認工程を行う情報処理システムにも適用することができる。なお、図13に示すフローチャートにおいて、「(共)」と記載したステップは共用コンピュータ2における処理を意味し、「(個)」と記載したステップは個人用コンピュータ3における処理を意味している。
この認証確認工程では、先ず、ステップD1(SD1)で、要求者が本システムを利用するにあたり、メモリー23に記録されている処理プログラム27を起動し、処理プログラム27の処理によりゲノム関連情報記録媒体24アクセスする。具体的に、処理プログラム27は、個人用コンピュータ3の読取り装置25を駆動してゲノム関連情報記録媒体24にアクセスする。次に、ステップD2(SD2)で、処理プログラム27によりゲノム関連情報記録媒体24においてデータIとして記録されている「Gno.」及びデータIIとして記録されている所定の「多型番地」及び当該多型番地に関連付けられた「多型パターン」を読み出す。読み出した「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」は、メモリー部26に格納する。
ここで、ステップD2において読み出す「多型番地」及び「多型パターン」は、認証用多型パターンデータベース17に予め記録されている「多型番地」を選定する。すなわち、要求者側においては、認証用多型パターンデータベース17に記録された「多型番地」を予め情報として有している。
次に、ステップD3(SD3)で、要求者は、個人用コンピュータ3から通信回線網1を介して、メモリー部26に格納された「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」を共用コンピュータ2に対して送信する。ステップD3では、共用コンピュータ2に対して「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」を送信することによって、当該「Gno.」のゲノム関連情報記録媒体24を有する要求者の認証を要求する(認証確認要求)。
次に、ステップD4(SD4)で、共用コンピュータ2は、個人用コンピュータ3から「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」(認証確認要求)を受信する。受信した「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」は、メモリー部A10に格納する。共用コンピュータ2は、ステップD4で「Gno.」、「多型番地」及び「多型パターン」を受信すると、処理プログラム13が起動する。
次に、ステップD5(SD5)で、共用コンピュータ2の処理プログラム13に従って認証用多型パターンデータベース17にアクセスする。次に、ステップD6(SD6)で、処理プログラム13に従って認証用多型パターンデータベース17からステップD4で受信した「Gno.」と一致する「Gno.」で括られた複数の多型番地から、ステップD4で受信した「多型番地」と一致する多型番地に関連付けられた多型パターンを読み出す。読み出した多型パターンは、多型番地を関連付けてメモリー部A10に記録する。
次に、ステップD7(SD7)では、ステップD6で読み出した「多型パターン」と、ステップD4で受信した「多型パターン」とが全て一致しているか否かを判定する。ステップD7の判定の結果、ステップD6で読み出した「多型パターン」と、ステップD4で受信した「多型パターン」とが全て一致する場合にはステップD8(SD8)に進み、1つでも一致しないものがある場合にはステップD9(SD9)に進む。
ステップD8では、個人用コンピュータ3に対して利用資格に関する認証を確認することができた旨を通知する。具体的には、個人用コンピュータ3に対して認証を確認した旨の画面データを送信する。ステップD10(SD10)では、個人用コンピュータ3で当該画像データを受信し、表示装置22に当該画面データを表示させる。これにより、共用コンピュータ2側では、本システムを利用するにあたり要求者の利用資格を確認することができ、本システムの不正利用を防止することができる。なお、ステップD8では、個人用コンピュータ3に対して画面データを送信するのではなく、認証確認データを送信してもよい。この場合、個人用コンピュータ3では、受信した認証確認データから認証確認完了画面を表示装置22に表示する。
一方、ステップD9では、個人用コンピュータ3に対して利用資格に関する認証を確認できなかった旨を通知し、処理を中止する。具体的には、個人用コンピュータ3に対して認証確認処理を拒否する旨の画面データを送信し、表示装置22に当該画面データを表示させる。なお、ステップD9では、個人用コンピュータ3に対して画面データを送信するのではなく、認証未確認データを送信してもよい。この場合、個人用コンピュータ3では、受信した認証未確認データから認証確認未完了画面を表示装置22に表示する。
ところで、本システムにおいては、ステップD2においてゲノム関連情報記録媒体24に記録されている全ての「多型番地」及び「多型パターン」を読み出し、ステップD3でこれら全ての「多型番地」及び「多型パターン」を送信しても良い。この場合、共用コンピュータ2においては、ステップD6において、全ての「多型番地」及び「多型パターン」の中から認証用多型パターンデータベース17に記録されている多型番地と一致する複数の「多型番地」を選択する。そして、ステップD7においては、ステップD6で選択した「多型番地」に関連付けられた「多型パターン」を、認証用多型パターンデータベース17に含まれる「多型パターン」と比較して一致するか否かを判定する。この場合においても、要求者の利用資格等を確認することができる。
なお、本システムにおいては、ゲノム関連情報記録媒体24を所持する個人が要求者となる場合を説明したが、これに限定されない。すなわち、本システムにおいては、ゲノム関連情報記録媒体24を所持する個人又はゲノム関連情報記録媒体24のゲノム関連情報28が属する個体とは異なる者が要求者となってもよい。このような場合として、例えば、医者が要求者となり、患者のゲノム関連情報記録媒体24を使って上述した認証確認要求を行う場合を挙げることができる。
本情報処理システムにおいても、図13に示したフローチャートに従って認証確認工程を行った後、上述した場合と同様に、図9及び図10、図11又は図12に示すようなフローチャートに従って情報処理動作することができる。特に、図13に示したフローチャートに従って認証確認工程を行う場合には、当該認証確認工程に際して、個人用コンピュータ3と共用コンピュータ2との間における情報の送受信回数を低減することができる。したがって、図13に示したフローチャートに従えば、比較的に簡易に認証確認工程を行うことができる。
この場合においても、不正利用を確実に防止することができる。さらに、本システムでは、利用資格に関する認証確認工程において、意味情報が関連付けられていない多型番地及び多型パターンを用いることが好ましい。これにより、ステップD3以降の工程において、不測の事態により情報が流出したとしても、意味情報が関連付けられた多型番地及び多型パターンを第3者に知られることが防止できる。さらにまた、本システムにおいても、上述した場合と同様に、符号化された多型パターンを記録したゲノム関連情報記録媒体24を使用することが好ましい。
以上、詳細に説明したように、本発明を適用することによって、利用者の利用資格を確認する認証確認工程を行い、その後、利用者に対して所定の疾病の罹患可能性を提供する情報処理システムを提供することができる。このように、個人の塩基配列関連情報を用いるサービスにおいて、本発明を適用して認証を行うと、サービスに用いるゲノム関連情報記録媒体24及び個人用コンピュータ3を、そのまま当該認証に用いることができる。したがって、本発明によれば、個人の塩基配列関連情報を用いるサービスにおいて認証を簡便に行うことができる。しかしながら、本発明は、この情報処理システムに限定されず、認証確認を必要とするシステムであればいかなるシステムにも適用することができる。
例えば、本発明は、自動車ドアの開錠及び閉錠に際しての認証確認や、建物への入出に際しての認証確認、会員資格の認証確認等を行うシステムに適用することができる。このように、個人の塩基配列関連情報自体を用いないサービスにおいても、本発明を適用することによって、ゲノム関連情報記録媒体24を用いて認証を行うことができる。
例えば、自動車ドアの開錠及び閉錠に際しての認証確認システムにおいては、ゲノム関連情報記録媒体24を自動車の正規利用者が有し、認証用多型パターンデータベース17を自動車に内蔵する。なお、この場合、本システムにおいて、ゲノム関連情報記録媒体24は、例えば、携帯電話、専用装置等の可搬性の装置に内蔵されるか、或いは、当該装置に対して着脱可能とされる。また、本システムにおいて、認証用多型パターンデータベース17は、複数の自動車について管理を行う管理機関におけるコンピュータに備わるものであってもよい。なお、認証用多型パターンデータベース17を自動車に内蔵する場合には、図7及び図8又は図13に示すような認証確認工程において、認証を確認した旨の通知又は認証を確認できなかった旨の通知を送信する必要が無いため、送受信装置18に代えて、受信機能のみを有する受信装置を当該自動車に内蔵していればよい。
このシステムにおいても、図7及び図8又は図13に示すような認証確認工程を行うことによって、正規利用者は自動車の開錠及び閉錠を行うことができる。具体的には、図7及び図8に示すフローチャートにおいて、ステップ15で一致すると判定した場合に自動車の開錠を行い、ステップ15で一致しないと判定した場合には自動車の開錠を行わない。このように、本発明を提供することによって、自動車ドアの開錠及び閉錠に際しての認証確認システムを構築することができる。なお、建物への入出に際しても同様に建物の入出ドアの開閉を行うような認証確認システムを構築することができる。
また、本発明を、いわゆるイモビライザーを用いたシステムに適用してもよい。この場合、ゲノム関連情報記録媒体24をエンジンキーに内蔵し、認証用多型パターンデータベース17を自動車に内蔵する。本システムにおいては、ゲノム関連情報記録媒体24を内蔵したエンジンキーと自動車との間で、図7及び図8又は図13に示すような認証確認工程を行うことによって、鍵の複製による自動車の不正使用を防止することができる。具体的には、図7及び図8に示すフローチャートにおいて、ステップ15で一致すると判定した場合にエンジンの始動を行い、ステップ15で一致しないと判定した場合にはエンジンの始動を行わない。このように、本発明を提供することによって、ゲノム関連情報記録媒体24を利用して、イモビライザーを用いた認証確認システムを構築することができる。
個人の塩基配列関連情報を用いるサービス或いは個人の塩基配列関連情報自体を用いないサービスいずれの場合においても、ゲノム関連情報記録媒体24を所有する個人について別途、塩基配列関連情報を検査することによって、ゲノム関連情報記録媒体24が本人の正当な所有か否かを厳密にチェックすることができる。
産業の利用可能性
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、個体間における塩基配列情報の相違を有効に利用して各個体にとって有益な意味情報を提供でき、且つ、利用に際して利用する側の資格等を容易に認証できる情報処理システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明を適用した情報処理システムの構成を概略的に示す概略構成図である。
図2は、共用コンピュータの構成を概略的に示す概略構成図である。
図3は、メインDBに記録されたデータの一例を示す構成図である。
図4は、個人用コンピュータの構成を概略的に示す概略構成図である。
図5は、ゲノム関連情報記録媒体に記録されたデータの一例を示す構成図である。
図6は、認証用多型パターンデータベースに記録されたデータの一例を示す構成図である。
図7は、認証確認工程における処理を示すフローチャートである。
図8は、図7の続きであり、認証確認工程における処理を示すフローチャートである。
図9は、所定の疾病に対する罹患可能性を提供するシステムにおいて、共用コンピュータ及び個人用コンピュータでの処理を示すフローチャートである。
図10は、図9の続きであり、所定の疾病に対する罹患可能性を提供するシステムにおいて、共用コンピュータ及び個人用コンピュータでの処理を示すフローチャートである。
図11は、所定の疾病に対する罹患可能性を提供するシステムにおいて、共用コンピュータ及び個人用コンピュータでの他の処理を示すフローチャートである。
図12は、所定の疾病に対する罹患可能性を提供するシステムにおいて、共用コンピュータ及び個人用コンピュータでの更に他の処理を示すフローチャートである。
図13は、認証確認工程における他の処理を示すフローチャートである。
1…通信回線網、2…共用コンピュータ、3…個人用コンピュータ、
Claims (4)
- 送受信手段、制御手段を有し、塩基配列における位置を意味する位置情報と当該位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報とが個体毎に記憶されている認証用記憶エリア、及び位置情報と当該位置情報が意味する位置において取りうる複数の塩基配列関連情報と当該複数の塩基配列関連情報をそれぞれ意味づける意味情報とが関連付けて記憶されている意味情報読出し用記憶エリアにアクセス可能な情報処理手段であって、個体に関する位置情報と塩基配列関連情報とが関連付けて記憶されている被認証側記憶エリアにアクセス可能な被認証側情報処理手段が当該被認証側記憶エリアから読み出した塩基配列関連情報を、前記被認証側情報処理手段から受信し、受信した塩基配列関連情報を用いて前記意味情報読出し用記憶エリアから意味情報を読み出す情報処理手段に、
前記送受信手段が、前記被認証側情報処理手段から認証確認要求を受信するステップaと、
前記制御手段が前記認証用記憶エリアを検索して位置情報を読み出し、読み出した位置情報を前記送受信手段が、前記被認証側情報処理手段に送信するステップbと、
前記送受信手段が、前記ステップbで送信した位置情報に関連付けられた、前記被認証側記憶エリアから読み出された塩基配列関連情報を前記被認証側情報処理手段から受信するステップcと、
前記制御手段が、前記ステップcで受信した塩基配列関連情報が、前記認証用記憶エリアに記憶された塩基配列関連情報と一致するか否かを判定するステップdとを実行させ、
前記ステップbで前記制御手段は、前記被認証側情報処理手段から受信する前記被認証側記憶エリアから読み出された塩基配列関連情報を用いて前記意味情報読出し用記憶エリアから読み出す意味情報に関連付けられた位置情報と異なる位置情報を検索して読み出すことを特徴とする、塩基配列に関する情報処理方法。 - 前記送受信手段が前記ステップdの判定結果を前記被認証側情報処理手段に送信するステップeを更に実行させる、請求項1記載の情報処理方法。
- 前記ステップaの前に、前記制御手段が利用資格を有する認証要求者毎或いは当該認証要求者の側に属する個体毎に位置情報及び当該位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報を記録することにより前記認証用記憶エリアの記憶内容を構築するステップfを更に実行させる、請求項1記載の情報処理方法。
- 送受信手段、制御手段を有し、塩基配列における位置を意味する位置情報と当該位置情報に関連付けられた塩基配列関連情報とが個体毎に記憶されている認証用記憶エリア、及び位置情報と当該位置情報が意味する位置において取りうる複数の塩基配列関連情報と当該複数の塩基配列関連情報をそれぞれ意味づける意味情報とが関連付けて記憶されている意味情報読出し用記憶エリアにアクセス可能であって、個体に関する位置情報と塩基配列関連情報とが関連付けて記憶されている被認証側記憶エリアにアクセス可能な被認証側情報処理手段が当該被認証側記憶エリアから読み出した塩基配列関連情報を、前記被認証側情報処理手段から受信し、受信した塩基配列関連情報を用いて前記意味情報読出し用記憶エリアから意味情報を読み出す情報処理手段であって、
前記送受信手段が、前記被認証側情報処理手段から認証確認要求を受信するように機能させる認証確認要求受信手段と、
前記制御手段が前記認証用記憶エリアを検索して位置情報を読み出し、読み出した位置情報を前記送受信手段が、前記被認証側情報処理手段に送信するように機能させる位置情報送信手段と、
前記位置情報送信手段で送信した位置情報に関連付けられた、前記被認証側記憶エリアから読み出された塩基配列関連情報を、前記送受信手段が、前記被認証側情報処理手段から受信するように機能させる塩基配列関連情報受信手段と、
前記制御手段が、前記塩基配列関連情報受信手段で受信した塩基配列関連情報が、前記認証用記憶エリアに記憶された塩基配列関連情報と一致するか否かを判定するように機能させる判定手段とを備え、
前記位置情報送信手段で前記制御手段は、前記被認証側情報処理手段から受信する前記被認証側記憶エリアから読み出された塩基配列関連情報を用いて前記意味情報読出し用記憶エリアから読み出す意味情報に関連付けられた位置情報と異なる位置情報を検索して読み出すことを特徴とする、塩基配列に関する情報処理装置。
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