JP3888909B2 - 化粧シートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に扉等の建具や内装材の表面に貼付けて用いられるフレキシブルなシート状化粧シートの製造方法に関し、特に、製造工程を簡略化することができる化粧シートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建材用の化粧シートの製造方法には、例えば特開昭62−178323号公報に開示された製造方法がある。この化粧シートの製造方法では、図3に示すように、支持基材1に離型層2を設けた離型性を有する支持基材3を用意する。この支持基材3に樹脂4を塗布して、直ちにその上から樹脂含浸紙5を重ね合わせてプレスする。続いて、樹脂含浸紙5の上に含浸性の良い紙7を接着剤6にてラミネートして乾燥させる。絵柄9を印刷した紙7の上に不飽和ポリエステル樹脂8を塗布して、さらに賦型フィルム等の離型フィルム10を被せて、不飽和ポリエステル樹脂8を硬化させた後、離型フィルム10を剥離し、その後、支持基材3を剥離して、樹脂含浸化粧シート11が形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の化粧シートの製造方法では、樹脂4を塗布して直ちにその上から樹脂含浸紙を重ね合わせてプレスし、その後紙7を接着剤6にてラミネートしているために、製造工数が増し、製造コストを高騰させる欠点があった。
【0004】
本発明は、上記のような問題点に鑑みなされたものであり、シート状化粧シートの製造工程を簡略化して、製造コストを比較的安価なものとし得る化粧シートの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するために、請求項1の発明は、支持基板面にシートを貼付して離型性を与えた仮基材上に化粧シートを製造する化粧シートの製造方法において、該仮基材のシート上に不織布と接着剤層を介在させて化粧紙とを載置した後、該仮基材と共に、載置された該不織布と該接着剤層と該化粧紙とに熱圧を加えて一体化した不織布付化粧紙を形成し、その後、該不織布付化粧紙面に凹凸樹脂層を形成し、該仮基材を取り除いてシート状の化粧シートを形成することを特徴とする化粧シートの製造方法である。
【0006】
請求項1の発明では、支持基板表面にシートを貼付して離型性を与えた仮基材を用意して、この仮基材のシート上に不織布と接着剤層を介在させて化粧紙とを載置する。不織布と接着剤層と化粧紙とを仮基材と共にホットプレスにより熱圧を加えることによって、仮基材上に不織布付化粧紙を形成する。その後、不織布付化粧紙の表面に凹凸樹脂層を形成し、凹凸樹脂層表面の凹部には着色剤を擦り込み、着色剤を硬化させ、着色剤を擦り込んだ凹凸樹脂層の表面を研削して表面処理する。その研削面には、コート処理を行う等の表面処理が行われる。凹凸面等による絵柄を形成した不織布付化粧紙を仮基材から剥離して、シート状の化粧シートを形成する化粧シートの製造方法である。
【0007】
また、請求項2の発明は、前記不織布と前記化粧紙とを接着し、かつ前記仮基材面に剥離可能に接着するために、前記接着剤に離型剤を混合したことを特徴とする請求項1に記載の化粧シートの製造方法である。
【0008】
請求項2の発明では、不織布を用いた化粧シートの製造であり、不織布と化粧紙との間に介在する接着剤層には、離型剤が混合されており、不織布と接着剤層と化粧紙とをホットプレスによる熱圧によって、化粧紙と不織布とを接着して仮基材上に不織布付化粧紙を形成するとともに、樹脂が不織布に含浸して仮基材のシート面に浸み出し、不織布付化粧紙が仮基材のシート面に適度な接着強度で接着させる。仮基材のシートは離型性に優れた材質が利用され、この接着剤にも離型剤が混合しているので、製造過程での剥離を防止し、最終工程で、シート状化粧シートが容易に剥離し得るようにしたものである。なお、仮基材のシートは、支持基板の両面に設けてもよく、仮基材の両面に形成されたシートを交互に使用して化粧シートを形成してもよい。
【0009】
なお、不織布は、熱可塑性樹脂による繊維を用いたものであり、熱圧を加えることによって、接着剤が不織布に含浸し易い繊維密度のものが用いられる。また、主接着剤に対する離型剤の混合比は、主接着剤を1重量部として、0.3〜1.0重量部の範囲とする。離型剤の混合比は、0.3重量部を下回ると、離型性が好ましくなく、1.0重量部を超えると、製造過程で剥離し易くなる等の問題が生じる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、図1(a)〜(d),図2(a)〜(c)は、本発明の化粧シートの製造方法の一実施形態を説明するための断面図である。
【0011】
図1,図2を参照して、本実施形態の化粧シートの製造方法について説明する。本実施形態の化粧シートの製造方法は、概ね▲1▼〜▲7▼の製造工程順に行われる。▲1▼支持基板20を用意し、その表面にシート21を貼付して離型性を与えた仮基材22を形成する(図1(a))。
▲2▼仮基材22のシート21上には不織布23を載置し、不織布23上に接着剤24を塗布して化粧紙25を載置する。なお、化粧紙25面には、必要に応じて印刷層25aが部分的に、又は全面に形成される(図1(a))。
▲3▼仮基材22上に載置された不織布23と接着剤層24と化粧紙25とに熱圧を加えて、不織布23に接着剤24を含浸させて、仮基材22上に不織布23と化粧紙25とを接着させた不織布付化粧紙26を形成する(図1(b))。
▲4▼不織布付化粧紙26面には、例えばフィルム法により、賦型フィルムである凹凸を有するフィルム28を用いて、樹脂27を引き延ばし、凹凸樹脂層27aを形成する(図1(c))。その後、フィルム28は取り除かれる(図1(d))。
▲5▼凹凸樹脂層27a表面の凹部に着色剤29を擦り込み、着色剤29を硬化させた後、着色剤29を擦り込んだ凹凸樹脂層27aの表面を研削する(図2(a))。
▲6▼研削面に保護層を兼ねるつや調整のためのコート層30を形成する(図2(b))。
▲7▼仮基材22を剥離して、シート状化粧シートを形成する(図2(c))。
【0012】
さらに、本実施形態の製造方法について、詳細に説明する。先ず、シート状化粧シートを製造するための台板である仮基材22を用意する。仮基材22は、支持基板20とシート21とからなる。支持基板20は、厚さ1〜30mm程度のMDF(中密度繊維)基板又は合板等の平滑なものが用いられ、好ましくは、厚さが4mm程度のMDF基板が用いられる。支持基板20上には、剥離性を良好なものとするために、ポリエステル,テフロン(登録商標),ポリエチレン,ポリプロピレン,ビニロン,ナイロン等の10〜100μm厚さのシート(又はフィルム)21を貼り付けて仮基材22を形成する。シート21は、仮基材22の上に形成される化粧シートが乾燥後又は硬化後に容易に剥がれる離型性が良いものとする。
【0013】
また、不織布23は、ポリエステル系樹脂による繊維に、バインダ樹脂としてアクリル系樹脂繊維による熱可塑性樹脂が用いられたもの等が用いられ、その厚さは、厚すぎず、薄すぎないものであって、厚さが概ね0.1mm〜0.2mmの範囲のものが好ましく、ある程度の腰があるものが選択される。例えば、秤量25g/m2 のもが好ましく、これを超える重量の不織布は、繊維密度が高くなり、接着剤である樹脂の含浸が好ましくなく、製造過程で剥離などの好ましくない影響を与える。概ね、秤量22〜30g/m2 の範囲内で選択するとよい。また、不織布は、縦横方向の引張強度に優れ、引張伸度の優れたものが選択される。なお、不織布23は、化粧シートの補強、腰を強くして化粧シートの取扱いを容易にするために使用し、化粧シートの施工場所や用途に応じて、適宜に選択することができる。また、化粧紙25は、印刷したもの、単色,多色に着色したもの,単に白色の紙を含む。
【0014】
さらに、本実施形態について説明すると、工程▲1▼で仮基材22が用意され、工程▲2▼で説明したように、仮基材22のシート21上に不織布23が載置される。不織布23上には、離型剤を含む接着剤24を塗布して接着剤層が形成される。接着剤24の主成分は、変性酢ビエマルジョン等である。不織布23上に接着剤24が塗布された後、化粧紙25が接着面を覆うように載置される。工程▲2▼の後、工程▲3▼では、仮基材22に積層された不織布23と接着剤層24と化粧紙25とを、ホットプレスにより熱を加えながら加圧して、化粧紙25を不織布23に接着させるとともに、接着剤24を不織布23に含浸させて、仮基材22のシート21上に浸み出させ、化粧紙25を不織布23に接着させた不織布付化粧紙26が仮基材22のシート21上に仮接着される。
【0015】
なお、不織布23に接着剤24を塗布して化粧紙25を重ねてホットプレスで熱圧を加える工程▲3▼では、接着剤24の中の水分や溶剤が熱で気化し、その気体の圧力でポリエステルフィルム等の仮基材22のシート21と不織布23との間、又は不織布23と化粧紙23との間に空隙が生じることがあるが、この空隙が生じないようにプレスの天盤と化粧紙25の間に気体が逃げ出せる働きを持つ紙,布,網状物などを予め設置してホットプレス工程を行うとよい。このようにすると、仮基材22と不織布23、不織布23と化粧紙25の各層間に空隙が発生することなく、仮基材22上に不織布23と化粧紙25とを一体とした不織布付化粧紙26を形成することができる。なお、接着剤24には離型剤が適度に混合されており、化粧シートが仮基材22のシート21面から容易に剥離し得る。
【0016】
その後、工程▲4▼に進み、不織布付化粧紙26上には、ポリエステル樹脂等の樹脂27が賦型フィルムであるフィルム28によるフィルム法によって、フィルム28の凹凸面を利用して、凹凸樹脂層27aが形成される。因みに、フィルム法とは、フィルム28上にローラRを回転させることによって、フィルム28下の樹脂27が化粧紙25面上に押し引き延ばされて、凹凸樹脂層27aを形成する方法である。フィルム28の裏面には、凹凸が形成されており、樹脂27が押し延ばされることにより、フィルム28の凹凸が樹脂層に転写させて、凹凸樹脂層27aが形成される。凹凸樹脂層27aの凹凸は、例えば木目模様を形成する場合に利用する。
【0017】
続いて、工程▲5▼では、凹凸樹脂層27a表面に塗料をスキージー等で塗布して凹部に着色剤29を擦り込み、着色剤29を硬化させる。その後、着色剤29を擦り込んだ凹凸樹脂層27aの表面を、水研機で研削して、木目等の模様を浮き出させる。工程▲5▼の後、工程▲6▼に進み、研削面につや出しや保護層形成のためにコート層30を形成して工程▲7▼に進む。工程▲7▼において、仮基材22を剥離して、シート状化粧シートを形成する。
【0018】
なお、着色剤29は、凹凸が形成されている塗装面に、さらに光輝性着色が施されている塗装、複数の色の塗料が入り交じった塗装、金粉,銀粉,パール色の粉が混じった塗料による塗装、ガラスビーズ等の再帰反射性の粒子が混じった塗料による塗装を含む。また、凹凸表面の凹部だけに着色剤を擦り込む方法としては、ワイピング,スキージー等の方法で行われる。
【0019】
【実施例】
本発明の実施例について、図1,図2を参照して説明する。
先ず、化粧シートを製造するための支持基板20としては、MDF(中密度繊維)基板が用いられ、その厚さは、4mmのものが用いられる。支持基板20上には、ポリエチレンテレフタレート(PET)シートを支持基板20に両面に接着剤を塗布して形成するか、両面テープを用いて貼付して仮基材22を形成する。化粧シートは、この仮基材22のPETシート21面に形成される。また、仮基材22の両面にシート21が形成されており、反り等を防止するために仮基材22の両面を交互の利用して化粧シートを製造する。
【0020】
不織布23は、スパンボンド20257WTD(ユニチカ(株))の柔軟性のある標準タイプのもので、適度に腰があり、秤量25g/m2 のものを使用した。その不織布23の特性は、表1に示す。
【0021】
また、接着剤24は、変性酢ビエマルジョンであるKEボンド500(大鹿振興(株))に離型剤として、セパール380(中京油脂(株))を混合したものを使用した。接着剤24は、KEボンド500の接着剤に対する離型剤の混合比は、0.3〜1.0重量部の範囲内に混合して調整した。なお、本実施例では、離型剤の混合比を、0.5重量部に設定した。
【0022】
【表1】
【0023】
用意された仮基材22のシート21上には、不織布23を載置して、不織布23上にロールコータで接着剤を6〜7g/尺塗布し、化粧紙25とを積層した。この仮基材22に積層された不織布23と接着剤層24と化粧紙25とを、ホットプレスにより熱圧を加えて、仮基材22上に不織布付化粧紙26を形成した。ホットプレスの際の製造条件は、温度を100℃とし、圧力を4kg/cm2 とし、この状態を2分持続させて処理を行った。
【0024】
続いて、不織布付化粧紙26上には、フィルム法によって、不飽和ポリエステル樹脂による凹凸樹脂層27aを形成した。凹凸樹脂層27aには、主剤として不飽和ポリエステル樹脂が用いられ、100重量部に対し、硬化剤であるパーメックN又はH(日本油脂(株))を1〜2重量部を混合した。不飽和ポリエステル樹脂は、日立化成工業(株)のポリセット1266APとポリセト15の混合されたものが用いられた。その混合比は、100:0〜50:50であった。
【0025】
不織布付化粧紙26面に形成された不飽和ポリエステル樹脂による凹凸樹脂層27aの凹部には、ワイピング工程で着色剤29が擦り込まれた。着色剤29としては、ユニオンペイント(株)のユニワイプサンジング16−39とユニワイプサンジンズ16−391とを、2:1の重量比率で混合したものに、顔料として、PCNトナー(東洋インキ(株))を混合したものが用いられた。凹凸樹脂層27aの凹凸面にワイピングされた着色剤29が硬化した後に研削工程(サンディング工程)が行われた。サンディング工程は、水を用いながら♯400の研磨紙により、1〜2回行われた。
【0026】
一方、凹凸樹脂層27aの凹凸面に着色剤29が擦り込まれ、硬化させた後に研削させた面にコート層30が形成された。化粧シートの表面に塗布されるコート層29は、化粧シートの表面のつや調整と保護層とを兼ねるものであり、コート層29の主剤が和信化学社製のポリウレックス548クリアーP液、ポリウレックス548−5P液、ポリウレックス548−7P液の何れかを用い、その硬化剤としては、ポリウレックス548D液(和信化学(株))が用いられた。主剤に対する硬化剤の混合比は、4:1とした。
【0027】
その後、積層されて一体した不織布23、化粧紙24、着色剤29で着色した凹凸樹脂層27a、コート層30を、仮基材22から剥離して、シート状の化粧シートが製造した。
【0028】
なお、上記実施形態では、仮基材に不織布を載置して、接着剤を塗布して化粧紙を被せているが、この製造工程に限定することなく、例えば、化粧紙に接着剤を塗布して不織布に張り合わせ、仮基材に載置してもよいし、または、仮基材に不織布に、化粧紙に接着剤を塗布しその接着面を不織布に接触させるように載置してもよい。
【0029】
【発明の効果】
上記のように、本発明によれば、仮基材に不織布と接着層と化粧紙とを載置して、熱圧を加えて、仮基材に不織布付化粧紙を形成し、不織布付化粧紙に凹凸のある絵柄や色調に深みを与える二次元曲面による化粧シートの製造方法であり、これらの不織布と化粧紙とを接着し、一回のラミネート工程で仮基材面に剥離可能に接着することができる化粧シートの製造方法である。
【0030】
また、本発明によれば、仮基材面に不織布と化粧紙とを接着する接着剤に混合される離型剤の混合比を、最適な混合比とすることで、樹脂含浸紙を使用することなく、不織布を利用して、一回のホットプレス工程で、化粧シートを製造することができる簡便な工程で化粧シートを製造する製造方法であり、化粧シートを安価なものとし得る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る化粧シートの製造方法の実施形態を説明するための断面図である。
【図2】図1の工程に続く、実施形態を説明するための断面図である。
【図3】従来の化粧シートの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
20 支持基板
21 シート
22 仮基材
23 不織布
24 接着剤(接着剤層)
25 化粧紙
25a 印刷層
26 不織布付化粧紙
27 樹脂
27a 凹凸樹脂層
28 フィルム
29 着色剤
30 コート層
Claims (2)
- 支持基板面にシートを貼付して離型性を与えた仮基材上に化粧シートを製造する化粧シートの製造方法において、
該仮基材のシート上に不織布と接着剤層を介在させて化粧紙とを載置した後、該仮基材と共に、載置された該不織布と該接着剤層と該化粧紙とに熱圧を加えて一体化した不織布付化粧紙を形成し、その後、該不織布付化粧紙面に凹凸樹脂層を形成し、該仮基材を取り除いてシート状の化粧シートを形成することを特徴とする化粧シートの製造方法。 - 前記不織布と前記化粧紙とを接着し、かつ前記仮基材面に剥離可能に接着するために、前記接着剤に離型剤を混合したことを特徴とする請求項1に記載の化粧シートの製造方法。
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