JP3888414B2 - 駐車補助装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両を誘導して駐車スペース等に駐車させる駐車補助装置に関するものである。
【0002】
【関連する背景技術】
白線等で区画された駐車スペース等に車両を駐車するには、ステアリング操作、アクセル操作、ブレーキ操作、更に手動変速機の車両ではクラッチ操作も必要とすることから、運転操作が非常に煩雑なばかりでなく、車両を後退させて駐車する場合は後方に振返った不自然な姿勢での運転となるため、特に経験の浅い運転者にとっては緊張を強いるものである。
【0003】
そこで、この駐車時の運転操作を容易化するために従来から様々な提案がなされており、例えば、特開平6−187597号公報に記載の駐車補助装置では、運転者にて駐車スペースの近接位置に車両が停車されると、2台のCCDカメラにて撮像した画像データの位相差に基づいて駐車スペースへの距離データを方位毎に算出し、その距離データから駐車スペースを検出した上で、他車等の障害物と接触することなく最小の切返し回数で駐車可能な駐車スペースを選択し、その駐車スペースに駐車するための運転操作を音声にて教示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した駐車補助装置は、運転者にて停車された位置を基準として、最小の切返し回数で駐車可能な駐車スペース、換言すれば、最も容易に駐車可能と予測される駐車スペースが自動的に選択される。しかしながら、マンションの駐車場等のように自車の駐車スペースが予め定まっている場合には、運転者による車両の停車位置によっては、必ずしも目的の駐車スペースが選択されるとは限らない。よって、このような場合には、目的の駐車スペースが選択されるまで運転者が車両を移動させる必要があり、運転者に煩わしさを感じさせる可能性があるという不具合があった。
【0005】
本発明の目的は、運転者の望む駐車スペースを的確に選択して車両を誘導でき、もって、駐車時の運転者の負担を大幅に軽減することができる駐車補助装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明では、車両の駐車可能な駐車領域を表示する表示手段と、表示手段が複数の駐車領域を表示した場合に、何れの駐車領域に車両を駐車させるかを乗員に選択させる一方、駐車領域の表示にも拘わらず駐車領域の選択が行われない場合に乗員に駐車位置の変更を促す選択手段と、選択手段により選択された駐車領域に車両を誘導する誘導手段とを備えた。従って、表示手段にて複数の駐車領域が駐車可能として表示されたときには、選択手段により駐車すべき駐車領域を乗員が選択することから、例えばマンションの駐車場等のように定められた駐車領域に駐車する必要がある場合でも、乗員の希望する駐車領域が的確に選択されて、その駐車領域に車両が誘導される。一方、駐車領域の表示にも拘わらず駐車領域の選択が行われないとき、即ち、表示された駐車領域の何れにも駐車意思がないときには、選択手段により駐車位置の変更が促されて乗員により駐車位置が変更されるため、変更後の駐車位置に基づいて新たな駐車領域が表示手段により表示され、このような場合でも希望の駐車領域に車両を誘導可能となる。
請求項2の発明では、請求項1において、表示手段が、撮像手段により撮像された画像を表示し、選択手段が、撮像手段により撮像された画像データに基づいて駐車領域を判定し、駐車領域が複数のときには画像データに駐車領域を識別するための符号を重ね合わせて表示画像を作成し、表示画像を表示手段に表示させるものである。従って、駐車領域の判定に使用中の画像データに符号を重ね合わせるだけで表示画像を作成可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した駐車補助装置の一実施形態を説明する。
図1は本実施形態の駐車補助装置の全体構成を示すブロック図であり、駐車補助装置が搭載された車両の室内には、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM,BURAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等を備えたECU(電子制御ユニット)1が設置されている。このECU1は、車両に搭載されたエンジンや自動変速機の総合的な制御を行うと共に、車両を駐車する際には運転者の操作を補助する駐車補助制御を実行する。
【0008】
ECU1の入力側には、CCDカメラ2が入力回路3及び画像処理回路4を介して接続され、このCCDカメラ2は車両の後部に設置されて、車両後方の画像を撮像する。又、ECU1の入力側には、運転者によるアクセル操作量を検出するアクセルセンサ5、ステアリングの実舵角θを検出する操舵角センサ6、車輪速を検出する車輪速センサ7、車両のヨー角速度を検出するヨー角速度センサ8、車両の運転席に設けられた駐車補助スイッチ9、自動変速機のシフトレバーの切換位置を検出するギアセレクタスイッチ10がそれぞれ接続されている。
【0009】
又、ECU1の出力側には、運転席に設けられた液晶モニタ11及びスピーカ12がそれぞれ駆動回路13,14を介して接続されると共に、ステアリングを回転駆動可能なステアリングアクチュエータ15がフェールセーフ回路16及び駆動回路17を介して接続されている。
そして、ECU1は、白線で区画された駐車スペースに車両を後退で駐車する際に、各センサからの検出情報に基づいて以下に述べる駐車補助制御を実行する。ECU1は図2に示す駐車補助制御ルーチンを所定の制御インターバルで実行し、まず、ステップS2で駐車補助スイッチ9が接続され、且つ、ギアセレクタスイッチ10がR(リバース)位置を検出しているか否かを判定する。運転者にて駐車補助スイッチ9が遮断されているとき、或いはD(ドライブ)位置での通常の走行時等のように、何れかの条件が満たされないときにはステップS2でNO(否定)を下し、ルーチンを終了する。
【0010】
一方、運転者が駐車補助スイッチ9を接続して、所定の駐車スペースに駐車すべく近接位置まで車両を後退させると、上記した2つの条件が共に満たされることから、ステップS2でYES(肯定)の判定を下し、ステップS4に移行する。ステップS4ではCCDカメラ2にて撮像された車両後方の画像データを画像処理回路4を介して取込み、ステップS6でその画像を液晶モニタ11上に表示すると共に、その画像データに基づいて、駐車スペースSの左右を区画する白線Lを認識する。更にステップS8で、認識した白線Lに基づいて駐車領域の候補数を判定する。この駐車領域の候補数とは、撮像された領域内において白線Lの認識に基づいて検出された駐車スペースSの数を意味し、後述のように、これらの候補中から駐車領域を決定して、その駐車領域内に駐車させるべく車両の誘導が行われる。
【0011】
図3はECU内で実行される画像認識処理と液晶モニタに表示された画像との関係を示す説明図であるが、上記した説明のように、CCDカメラ2にて撮像された画像がモニタ表示に利用されると共に(図3の下段左側)、同一の画像データ(図3の上段左側)に基づいて白線Lの認識が行われて、ハッチングで示すように駐車領域の候補が決定される(図3の上段中央)。尚、この図では、2つの駐車領域が検出された場合を示している。
【0012】
ECU1はステップS8で駐車領域の候補数が0と判定したときには、液晶モニタ11やスピーカ12を利用してステップS10で白線認識が不可能なことを運転者に提示し、続くステップS12で認識可能な位置に車両を移動させる必要があることを提示し、その後に前記ステップS2に戻る。運転者は車両を移動させて停車位置を変更し、ECU1は再びステップS2以降の処理で、CCDカメラ2の画像データに基づいて駐車領域の候補数を判定する。この処理の繰返しによって少なくとも1以上の駐車領域が候補として得られることになる。
【0013】
又、ステップS8で駐車領域の候補数が2以上と判定したとき、ECU1はステップS14で画像データ中の駐車領域の候補上にそれぞれ番号を重ね合わせ(図3の上段右側)、得られた画像を液晶モニタ11に表示して(図3の下段右側)、その何れかを選択するように運転者に提示する。液晶モニタ11はタッチパネルとして構成されており、表示された番号部分を運転者がタッチ操作すると、その情報がECU1に入力される。ECU1は続くステップS16で運転者にて駐車領域が選択されたか否かを判定し、YESの判定を下したときには、前記ステップS8に戻る。従って、この処理によって複数の駐車領域の候補は1つに絞られる。
【0014】
又、例えばステップS14で表示した駐車領域の何れにも駐車意思がないとき等には、運転者は駐車領域の選択を行わないことから、ECU1はステップS16でNOの判定を下して前記ステップS10に戻る。つまり、この場合には実質的に駐車領域の候補が0と同じであることから、上記と同様にステップS10以降の処理により、運転者に駐車位置の変更を促して別の駐車領域の候補を得る。
【0015】
以上の処理の結果、ステップS8で駐車領域の候補を1と判定すると、ECU1はその候補を駐車領域として決定した後、ステップS18で駐車領域が適切であるか否かを判定する。例えば車両を駐車可能な大きさの駐車領域が確保されていないときには、駐車領域が不適切であるとしてステップS18でNOの判定を下し、ステップS20で駐車領域が不適切なことを運転者に提示し、続くステップS22で駐車領域を変更するために車両を移動させる必要があることを提示し、その後に前記ステップS2に戻る。運転者にて停車位置が変更されて別の適切な駐車領域が選択されると、ECU1はステップS18でYESの判定を下してステップS24に移行する。
【0016】
ステップS24では車両の停車位置が適切か否か、具体的には、最大舵角以下の舵角で車両を後退させて1回で駐車領域に駐車可能か否かを判定する。この判定処理は、例えば車両の停車位置を、駐車領域を基準とした車両の座標(x,y)及びヨー角ψとして求め、その停車位置から直接的に判定したり、或いは、求めた停車位置から駐車領域まで車両を後退させるための目標経路を演算し、最大舵角以下の舵角で目標経路をトレース可能か否か、操舵制御をシミュレーションすることによって行われる。これらの判定処理の結果、停車位置が適切でないとしてステップS24でNOの判定を下すと、ステップS26で停車位置が不適切なことを運転者に提示し、続くステップS28で前記のようなシミュレーション結果に基づき、具体的なヨー角ψ等の修正手順を教示し、その後に前記ステップS2に戻る。ステップS28で教示された修正手順に従って、例えば車両の切返し操作等を運転者が実行して車両が適切な停車位置に移動されると、ECU1はステップS24でYESの判定を下してステップS30に移行する。
【0017】
ステップS30では上記したシミュレーションの場合と同様に目標経路を演算し、その目標経路をトレースして実際に車両を移動させるべく、操舵制御を実行する。この操舵制御時においては、アクセル操作及びブレーキ操作は通常通り運転者に委ねられ、目標経路から順次演算した目標舵角θtに対して実舵角θを一致させるべく、ステアリングアクチュエータ15にて操舵が制御される。尚、目標舵角θtを演算するには、目標経路と実際の車両の移動経路とを比較する必要があるが、この実際の移動経路は、CCDカメラ2の画像データ、或いは車輪速センサ7にて検出された車輪速(車速V)及びヨー角速度センサ8にて検出されたヨー角速度等に基づいて、ECU1により逐次演算される。
【0018】
更にステップS32で現在の操舵制御状況、例えば「車両移動中」等のメッセージを液晶モニタ11に表示し、続くステップS34で駐車を完了したか否かを判定し、未だ完了していないときにはNOの判定を下して、前記ステップS30に戻る。以上の制御が繰り返された結果、駐車が完了してステップS34の判定がYESになると、ECU1はステップS36に移行して、例えば「駐車完了」等のメッセージを液晶モニタ11に表示して、ルーチンを終了する。
【0019】
ここで、本実施形態では、ステップS6の処理を実行するときのECU1及び液晶モニタ11が表示手段として機能し、ステップS14の処理を実行するときのECU1及び液晶モニタ11のタッチパネルが選択手段として機能し、ステップS30の処理を実行するときのECU1及びステアリングアクチュエータ15が誘導手段として機能する。
【0020】
以上のように本実施形態の駐車補助装置では、CCDカメラ2にて撮像された画像から2以上の駐車領域の候補が検出されたとき、液晶モニタ11に表示された駐車領域の画像上に番号を重ね合わせて運転者に選択を要求し、タッチ操作で選択された駐車領域に車両を誘導している。従って、例えばマンションの駐車場等のように定められた駐車スペースに駐車する必要がある場合には、その駐車スペースに対応する駐車領域の候補の番号をタッチ操作するだけで、希望する駐車スペースを的確に選択できる。その結果、常に駐車補助の機能を利用して希望の駐車スペースに車両を誘導でき、もって、駐車補助の機能を最大限に発揮させて、駐車時の運転者の負担を大幅に軽減することができる。
【0021】
又、図3に従って説明したように、本実施形態ではCCDカメラ2にて撮像された画像をモニタ表示に利用すると共に、同一の画像データに基づいて画像認識の処理(白線Lの認識、駐車領域の候補の検出等)を実行していることから、駐車領域の候補が2つ以上で、運転者に選択要求の画像を表示する必要がある場合には、画像認識で適用中の画像データに番号を重ね合わせるだけで、モニタに表示すべき画像(図3の下段右側)を自ずと作成できる。その結果、モニタ表示のための処理を簡略化できるという利点もある。
【0022】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、駐車補助機能として操舵制御を実行したが、要は運転者の負担を軽減するために車両を誘導するものであれば、これに限ることはなく、例えば操舵を運転者に委ねると共に、その際の適切な操舵角を音声で教示するように構成したり、或いは、操舵制御のみならずアクセル操作やブレーキ操作も自動制御するように構成したりしてもよい。
【0023】
又、上記実施形態では選択手段としてタッチパネルによる方法としたが、これに限定されるものではなく、別の操作パネルを設けて乗員に選択させたり、或いは乗員の音声により選択させる構成としてもよい。又、表示手段に表示する画像は、実際の画像ではなく車両と駐車領域との相対関係を表示するようにしてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明の駐車補助装置によれば、駐車可能な駐車領域が複数あるときに、駐車すべき駐車領域を乗員に選択させるようにしたため、常に希望の駐車領域に車両を誘導でき、もって、駐車補助の機能を最大限に発揮させて、駐車時の運転者の負担を大幅に軽減でき、さらに乗員が希望する駐車領域が表示されずに駐車領域の選択が行われないときには駐車位置の変更を促すようにしたため、乗員により変更された駐車位置に基づく新たな駐車領域を表示して、希望の駐車領域に車両を確実に誘導することができる。
請求項2の発明の駐車補助装置によれば、請求項1に加えて、駐車領域の判定に使用中の画像データに符号を重ね合わせて表示画像を作成するため、表示処理を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の駐車補助装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】ECUが実行する駐車補助制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】ECUによる画像認識処理とモニタ表示との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ECU(表示手段、選択手段、誘導手段)
11 液晶モニタ(表示手段、選択手段)
15 ステアリングアクチュエータ(誘導手段)
S 駐車スペース(駐車領域)
Claims (2)
- 車両の駐車可能な駐車領域を表示する表示手段と、
上記表示手段が複数の駐車領域を表示した場合に、何れの駐車領域に車両を駐車させるかを乗員に選択させる一方、上記駐車領域の表示にも拘わらず該駐車領域の選択が行われない場合に上記乗員に駐車位置の変更を促す選択手段と、
上記選択手段により選択された駐車領域に上記車両を誘導する誘導手段と
を備えたことを特徴とする駐車補助装置。 - 上記表示手段は、撮像手段により撮像された画像を表示し、
上記選択手段は、上記撮像手段により撮像された画像データに基づいて駐車領域を判定し、該駐車領域が複数のときには該画像データに駐車領域を識別するための符号を重ね合わせて表示画像を作成し、該表示画像を上記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1記載の駐車補助装置。
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