JP3887896B2 - 難燃剤錠剤、それによる難燃化方法、並びにそれを配合してなる難燃性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃剤を必須成分とした混合物を錠剤化した難燃剤錠剤、それにより樹脂を難燃化する方法及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物に関するものであり、特に難燃性に優れた難燃性樹脂組成物及びその成形品を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
加熱膨張性黒鉛が、赤リン、ポリリン酸アンモニウム等のリン化合物、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛等の金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等の難燃助剤との組み合わせ、又はこれら難燃助剤の2種類以上との組み合わせにより、優れた難燃性を示すことは公知である。
【0003】
この様な難燃性に優れる加熱膨張性黒鉛を含む難燃樹脂組成物を製造する方法としては、樹脂と加熱膨張性黒鉛、更には前記難燃助剤とを混合し、単軸押出機、二軸押出機等の混練装置を用いた溶融剪断による混練を行い、まずは難燃コンパウンド又は難燃マスターバッチを製造し、その後難燃コンパウンドはそのまま射出成形機等の成形機で、一方、難燃マスターバッチは樹脂との混合後射出成形機等の成形機で成形するのが一般的であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような溶融混練によって製造される加熱膨張性黒鉛の難燃マスターバッチは、難燃剤濃度が50%程度が限界であるため、樹脂成分(以下バインダーと呼ぶ)が非常に多くなり、樹脂とマスターバッチを混合後成形した場合には、樹脂の機械物性に与えるバインダーの影響が大きく、各樹脂毎に対応したマスターバッチを製造する必要があり非常に問題であった。
【0005】
一方、加熱膨張性黒鉛は、難燃コンパウンド又は難燃マスターバッチを製造する際、樹脂との混練により溶融下剪断を受け破砕され粒度が微細化し、その結果難燃性が低下する問題を抱えていた。
【0006】
そこで加熱膨張性黒鉛を含む難燃性樹脂組成物を製造する際、樹脂との混練による破砕を防ぐため、単軸押出機等では極めて低い剪断速度で混練する方法が試みられ、また二軸押出機等では加熱膨張性黒鉛をサイドフィーダーで供給し混練する方法が試みられている。しかしながら前者の方法では、生産性が低いばかりか加熱膨張性黒鉛の分散性が悪く十分な難燃性は得られず、一方後者の方法では、加熱膨張性黒鉛の混練による破砕をある程度は防止できるものの十分満足できるものではなかった。
【0007】
また、特開平6−25476号公報、特開平6−25485号公報、特開平6−73251号公報等には、加熱膨張性黒鉛を急速加熱した際のC軸方向の膨張性と、80メッシュ篩い上の粒度を規定し、より優れた難燃性を付与する方法が開示されている。しかしながらこれらの方法においても、加熱膨張性黒鉛の樹脂との混練による破砕に起因する難燃性低下を補うことはできなかった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱膨張性黒鉛を含む難燃性樹脂組成物を製造する際に、加熱膨張性黒鉛の溶融下剪断による破砕を最小限に抑制することができる難燃剤錠剤、それによる難燃化方法、並びにそれを配合してなる難燃性樹脂組成物及びその成形品を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、加熱膨張性黒鉛と水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物、又はさらに非水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物を造粒し錠剤化した難燃剤錠剤を見出し、これを樹脂に混合することにより、加熱膨張性黒鉛を含む樹脂組成物製造時の溶融剪断による加熱膨張性黒鉛の破砕が最小限に抑制され、且つ樹脂と難燃剤錠剤との組成物が難燃性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、(A)加熱膨張性黒鉛と(B)水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物、又は(A)加熱膨張性黒鉛、(B)水溶性難燃助剤、及び(C)非水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物を造粒してなる難燃剤錠剤、樹脂100重量部に対して当該難燃剤錠剤を5〜60部配合することを特徴とする難燃化方法、並びに難燃性樹脂組成物に関するものである。
【0011】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0012】
本発明において難燃剤錠剤とは、粉体状の(A)加熱膨張性黒鉛と(B)水溶性難燃助剤、又は粉体状の(A)加熱膨張性黒鉛、(B)水溶性難燃助剤、及び(C)非水溶性難燃助剤を含有する一定の形状と大きさとをもつ粒状のものをいう。難燃剤錠剤の形状としては特に限定するものではないが、例えば、球状、円柱状、角柱状、板状のもの等が挙げられる。また、難燃剤錠剤の大きさとしては、平均粒径が0.1〜10mm程度のものであり、1〜10mm程度のものが好ましく、使用する樹脂ペレットと同程度の大きさのものが特に好ましい。尚、本発明において平均粒径とは、難燃剤錠剤の形状が球状である場合はその直径の平均をいい、円柱状又は角柱状である場合は柱の長さの平均をいい、板状である場合は板の最大径の平均をいい、その他の形状である場合は粒子の最大径の平均をいう。
【0013】
本発明の(A)成分は加熱膨張性黒鉛である。加熱膨脹性黒鉛とは天然黒鉛又は人造黒鉛由来の物質で、室温から800〜1000℃への急速加熱により結晶のC軸方向(黒鉛のへき開方向に直角の方向)に対して膨脹する性質を有するものをいう。
【0014】
本発明において加熱膨脹性黒鉛としては、膨脹性、即ち、室温から800〜1000℃への急速加熱前後の比容積の差が100ml/g以上のものが難燃効果の面から特に好ましい。これは、100ml/g以上の膨張性を持たない加熱膨脹性黒鉛は、100ml/g以上の膨張性を持つものと比べて難燃性が著しく小さいためである。尚、本発明においていう膨張性、即ち、室温から800〜1000℃への加熱前後の比容積(ml/g)の差は、具体的には次に示す方法で測定される。電気炉内で予め1000℃に加熱した石英ビーカーに加熱膨張性黒鉛を2g投入し、すばやく1000℃に加熱した電気炉内に石英ビーカーを10秒間入れた後膨張した黒鉛の100mlの重量を計量し、ゆるみ見かけ比重(g/ml)を測定し、
比容積=1/ゆるみ見かけ比重
とする。次に加熱していない室温での加熱膨張性黒鉛の比容積を同様の方法で求め、
膨張性=加熱後の比容積−室温での比容積
として、加熱膨張性黒鉛の膨張性を求める。
【0015】
加熱膨張性黒鉛の製造方法としては、鱗片状黒鉛を酸化処理する方法が挙げられ、また酸化処理の方法としては、過酸化水素/硫酸中での電解酸化、リン酸と硝酸、硫酸と硝酸、硫酸と過塩素酸との混酸等の酸化処理等が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0016】
本発明の(B)成分である水溶性難燃助剤とは、難燃化において(A)成分の加熱膨張性黒鉛と相乗作用を有するものであり、且つ水に対する溶解度が0.5mg/100g−水以上のものをいう。溶解度が0.5mg/100g−水未満のものでは、強度が弱くなり造粒化できず、錠剤として適さない。
【0017】
水溶性難燃助剤としては、特に限定するものではないが、例えば、水溶性のリン化合物、金属の酸化物及び金属の水酸化物からなる群より選ばれる1種又は2種以上のものが挙げられる。尚、本発明において金属の酸化物は、金属の複合酸化物を含む。
【0018】
本発明の(B)成分として用いられる水溶性のリン化合物としては、(A)成分の加熱膨張性黒鉛との相乗作用を有するものであれば特に限定するものではないが、例えば、リンのオキソ酸(以下「リン酸」と称する)誘導体、すなわち、リン酸塩、リン酸エステルの塩、リン酸エステル、縮合リン酸塩、含窒素リン誘導体、ホスホン酸誘導体、ホスフィン酸誘導体、亜リン酸誘導体、次亜リン酸誘導体、ホスホネート、ホスフィネート、ホスフィンオキシド、ホスファイト、ホスホナイト、ホスフィナイト及びホスフィン類が好適なものとして挙げられる。具体的には、ジメチル−メチルホスホナートとエチレンオキサイドと五酸化リンとの付加反応生成物、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、リン酸メラミン等が例示される。これらのうち、ポリリン酸アンモニウム(18℃における水に対する溶解度:1mg/100g−水)が最も好適に使用される。
【0019】
本発明の(B)成分として用いられる水溶性の金属酸化物としては、(A)成分の加熱膨張性黒鉛との相乗作用を有するものであれば特に限定するものではないが、例えば、アンチモン、ビスマス、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、ホウ素、アルミニウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物や複合酸化物が好適なものとして挙げられる。具体的には、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、三酸化モリブデン、ホウ酸のアルカリ金属塩、モリブデン酸のアルカリ金属塩が例示される。これらのうち、酸化マグネシウム(18℃における水に対する溶解度:0.62mg/100g−水)が最も好適に使用される。
【0020】
本発明の(B)成分として用いられる水溶性の金属水酸化物としては、(A)成分の加熱膨張性黒鉛との相乗作用を有するものであれば特に限定するものではないが、具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム及び水酸化亜鉛からなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、これらのうち、水酸化マグネシウム(18℃における水に対する溶解度:0.9mg/100g−水)が最も好適に使用される。
【0021】
本発明の(B)成分である水溶性難燃助剤は、(A)成分の加熱膨張性黒鉛と相乗し難燃剤としての役割を果たすのみならず、当該難燃剤混合物を造粒し錠剤化する際のバインダーの役割を果たす。(B)成分の配合量は、(A)加熱膨脹性黒鉛100重量部に対して少なくとも1重量部以上である。1重量部未満では、当該難燃剤混合物を造粒し錠剤化するバインダーとしての効果が小さく錠剤化できない場合がある。
【0022】
本発明においては、さらに(C)成分として非水溶性難燃助剤を用いてもよい。
【0023】
本発明の(C)成分である非水溶性難燃助剤とは、難燃化において加熱膨張性黒鉛と相乗作用を有するものであり、かつ水に対する溶解度が0.5mg/100g−水未満のものをいう。
【0024】
非水溶性難燃助剤としては、特に限定するものではないが、例えば、赤リン、非水溶性のリン化合物、金属の酸化物及び金属の水酸化物からなる群より選ばれる1種又は2種以上のものが挙げられる。尚、本発明において金属の酸化物は、金属の複合酸化物を含む。
【0025】
本発明の(C)成分として用いられる非水溶性のリン化合物としては、(A)成分の加熱膨張性黒鉛との相乗作用を有するものであれば特に限定するものではないが、例えば、下記式(1)〜(4)
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
で示されるリン化合物が好適なものとして例示される。
【0031】
本発明の(C)成分として用いられる非水溶性の金属酸化物としては、(A)成分の加熱膨張性黒鉛との相乗作用を有するものであれば特に限定するものではないが、例えば、、アンチモン、ビスマス、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、ホウ素、アルミニウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物や複合酸化物が好適なものとして挙げられる。具体的には、三酸化アンチモン、酸化アルミニウム、三酸化二ビスマス、ホウ酸亜鉛、アンチモン酸ナトリウム、モリブデン酸亜鉛等が例示される。これらのうち、三酸化アンチモン(18℃における水に対する溶解度:0.16mg/100g−水)、ホウ酸亜鉛が特に好適なものとして使用される。
【0032】
本発明の(C)成分として用いられる非水溶性の金属水酸化物としては、(A)成分の加熱膨張性黒鉛との相乗作用を有するものであれば特に限定するものではないが、例えば、水酸化アルミニウム(18℃における水に対する溶解度:0.104mg/100g−水)が好適なものとして例示される。
【0033】
本発明において、(B)成分の水溶性難燃助剤と(C)成分の非水溶性難燃助剤との割合は、水溶性難燃助剤の重量比率が少ないとバインダーとしての効果が小さく錠剤の強度が低下し、貯蔵、輸送時あるいは樹脂との混合時に難燃剤錠剤が破壊されやすくなるため、(B)水溶性難燃助剤/(C)非水溶性難燃助剤≧1/99(重量比)であることが好ましい。
【0034】
本発明においては、(A)加熱膨張性黒鉛と(B)水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物、又はさらに(C)非水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物を造粒機により造粒し錠剤化する。造粒機としては、特に限定するものではないが、例えば、回転皿形式、回転円筒形式、回転頭切円錐形式等の転動造粒機、流動層形式、変形流動層形式、噴流層形式等の流動層造粒機、パグミル、ヘンシェル、アイリッヒ等の攪拌造粒機、回転ナイフ形式、回転バー形式等の解砕造粒機、圧縮ロール形式、ブリケッティングロール形式、打錠成形等の圧縮造粒機、スクリュー形式、回転多孔ダイス形式、回転ブレード形式等の押出造粒機等が挙げられる。これらのうち、水をバインダーとして使用する転動造粒機、流動層造粒機、押出造粒機等、又は圧縮造粒機等が好ましく、これらの中でも、錠剤の形状、大きさが一定化でき、錠剤の強度が高くまた生産性に優れる等の理由から、押出造粒機が最も好適である。
【0035】
次に本発明の難燃化方法及び難燃性樹脂組成物について説明する。
【0036】
本発明においては、樹脂100重量部に対して、(A)加熱膨張性黒鉛と(B)水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物、又は(A)加熱膨張性黒鉛、(B)水溶性難燃助剤、及び(C)非水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物を造粒し錠剤化した難燃剤錠剤を5〜60重量部の範囲で用いることができる。これは、難燃剤錠剤が5重量部未満では樹脂の難燃化が不十分であり、また60重量部を越えると樹脂の機械的強度の低下が著しく、また難燃効果が飽和し経済的にも不利となるためである。
【0037】
本発明において、(B)成分の水溶性難燃助剤、(C)成分の非水溶性難燃助剤は、難燃助剤としての効果及び水溶性を損なわない範囲で、表面処理を施しても良い。表面処理の方法としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、マグネシウム、アルミニウム等の水酸化物又は酸化物等による表面処理が挙げられる。
【0038】
本発明において用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂等のスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系樹脂、6−ナイロン、66−ナイロン等のアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のエステル系樹脂、ポリカーボネート等のカーボネート系樹脂等が挙げられ、それらの単独若しくは混合物、共重合体又はそれらを変性した各種樹脂も例示される。また、熱硬化性樹脂の具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム等のゴム弾性重合体、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーンエラストマーや室温硬化型シリコーンゴム等のポリシロキサン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0039】
本発明において、難燃剤錠剤と樹脂とを混ぜる混合機としては特に限定されるものではないが、タンブラー、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー等が挙げられる。
【0040】
本発明において、難燃剤錠剤と樹脂とを混合した難燃性樹脂組成物を成形加工する方法としては特に限定するものではないが、例えば、射出成形機、押出成形(シート成形、ブロー成形)等でペレットから直接成形する方法、低剪断の押出機により溶融混練する方法等が挙げられる。
【0041】
本発明において、本発明の効果を損なわない範囲で他の難燃剤を併用することが可能である。また必要に応じて樹脂に、無機充填剤、着色剤、酸化防止剤等の種々の添加剤を配合して差し支えない。
【0042】
【発明の効果】
本発明の難燃剤錠剤は、難燃性樹脂組成物及びその成形品製造時の加熱膨張性黒鉛の破砕による微粒化が抑制できるため、難燃性に極めて優れており、また加熱膨張性黒鉛の微粒化がほとんどないため、加熱膨張性黒鉛を配合量を低減化でき、経済的にも優れている。
【0043】
【実施例】
以下、具体例を示して本発明の効果を明確にするが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
以下の実施例、比較例においては、原料として以下のものを用いた。
【0045】
(A)加熱膨脹性黒鉛
(A1):加熱膨脹性黒鉛A(中央化成(株)製、80メッシュ篩い上84重量%、室温から1000℃への急速加熱前後の比容積の差180ml/g)
(A2):加熱膨脹性黒鉛B(中央化成(株)製、80メッシュ篩い上96重量%、室温から1000℃への急速加熱前後の比容積の差200ml/g)
(B)水溶性難燃助剤
(B1):ポリリン酸アンモニウム(ヘキスト製、HOSTAFLAM AP462)
(B2):ジメチル−メチルホスホナートとエチレンオキサイドと五酸化リンとの付加反応物(アクゾ・カシマ(株)製、ファイロール51。以下、リン化合物Aと称する)
(B3):酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製、キョウワマグ150)(B4):水酸化マグネシウム(神島化学工業(株)製、水酸化マグネシウム200)。
【0046】
(C)非水溶性難燃助剤
(C1):三酸化アンチモン(東ソー(株)製、フレームカット610R)
(C2):ホウ酸亜鉛(富田製薬(株)製、ホウ酸亜鉛2335)
(C3):赤リン(東ソー(株)製、フレームカット ノーバレッド120)
(C4):上記式(1)で示されるクレゾール縮合型リン酸エステル(大八化学工業(株)製、PX−200。以下、リン化合物Bと称する)
(C5):上記式(2)で示されるビスフェノール−A骨格リン酸エステル(アクゾ・カシマ(株)製、フォスフレックス580。以下、リン化合物Cと称する)
(C6):上記式(3)で示される9,10−ジヒドロ−9−オキサ10−ホスファナスフェナンスレン10−オキサイド(Kohlon製、HIRETAR101。以下、リン化合物Dと称する)
(C7):上記式(4)で示されるトリフェニルホスフェート(アクゾ・カシマ(株)製、フォスフレックスTPP。以下、リン化合物Eと称する)。
【0047】
(D)樹脂
(D1):ポリプロピレン(チッソ(株)製、チッソポリプロ K7014)(D2):エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(東ソー(株)製、ウルトラセン630)
(D3):低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、ペトロセン203)。
【0048】
また、実施例、比較例において実施した各種試験の方法は次の通りである。
【0049】
<難燃剤錠剤の強度>
難燃剤錠剤を10メッシュの篩い上で振とう機を用いて20分間振とうさせた後、壊れて篩いを通過した量(重量%)を破砕率として評価した。
○:破砕率10重量%未満
△:破砕率10〜20重量%
×:破砕率20重量%以上。
【0050】
<UL−94燃焼性試験>
アンダーライターズ・ラボラトリーのサブジェクト94号の垂直燃焼試験方法に基づき、厚み1/8インチ、1/16インチの試験片各5本を用いて測定した。
【0051】
<成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度>
射出成形した試験片を、熱キシレンで樹脂のみを溶解させ、その後300メッシュのステンレス製網を5枚重ねた濾過装置で加熱膨張性黒鉛を分離し、その加熱膨張性黒鉛の粒度(80メッシュの篩を通らない粒径のものの割合)を測定した。
【0052】
実施例1
加熱膨脹性黒鉛A(A1)100重量部に対して、ポリリン酸アンモニウム (B1)10重量部を混合し、その粉体合計量に対して15重量%の水を添加して混合した難燃剤混合物を、造粒機(不二パウダル(株)製、商品名「ディスクペレッター」)で造粒した後乾燥して、直径3mm、長さ4mmの円柱状の錠剤を得た。
【0053】
次にポリプロピレン(D1)100重量部に対して、当該難燃剤錠剤40重量部をタンブラーで混合し、当該混合物をノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、UL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0054】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を上記方法により測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を上記方法により評価した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0057】
実施例2〜実施例5
加熱膨脹性黒鉛A(A1)とポリリン酸アンモニウム(B1)とを、表1に示す難燃剤錠剤の組成で混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0058】
次にポリプロピレン(D1)100重量部に対して、当該難燃剤錠剤40重量部をタンブラーで混合し、当該混合物をノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、UL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0059】
得られた試験片の燃焼性、お及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして評価した。結果を表1にあわせて示す。
【0060】
表1から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0061】
比較例1
加熱膨張性黒鉛A(A1)のみを実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0062】
次に、ポリプロピレン(D1)100重量部に対して、当該難燃剤錠剤40重量部をタンブラーで混合し、当該混合物をノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0063】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして評価した。結果を表1にあわせて示す。
【0064】
表1から明らかなように、加熱膨張性黒鉛のみでは錠剤化できず、成形品の難燃剤の分散が悪く難燃性が劣った。
【0065】
比較例2〜比較例6
加熱膨張性黒鉛A(A1)とポリリン酸アンモニウム(B1)とを、表2に示す難燃剤混合物の組成の割合で混合した。
【0066】
次に、ポリプロピレン(D1)100重量部に対して、当該難燃剤混合物40重量部の割合で、ダイを200℃、シリンダーを200℃に設定した同方向二軸押出機のホッパーに樹脂を、サイドフィーダーに当該難燃剤混合物をそれぞれ投入し、溶融混練により難燃性ペレットコンパウンドを作製した。当該ペレットをノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0067】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。結果を表2にあわせて示す。
【0068】
【表2】
【0069】
表2から明らかなように、難燃剤混合物を錠剤化しない場合には、加熱膨張性黒鉛が破砕し、難燃性が劣った。
【0070】
実施例6〜実施例16
表3に示す難燃剤錠剤の組成で原料を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0071】
次に、ポリプロピレン(D1)と当該難燃剤錠剤を表3に示す難燃性樹脂組成物の組成で混合し、当該混合物をノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0072】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして評価した。結果を表3にあわせて示す。
【0073】
【表3】
【0074】
表3から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0075】
実施例17〜実施例21
表4に示す難燃剤錠剤の組成で原料を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0076】
次に、ポリプロピレン(D1)と当該難燃剤錠剤を表4に示す難燃性樹脂組成物の組成で混合し、当該混合物をノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0077】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして評価した。結果を表4にあわせて示す。
【0078】
【表4】
【0079】
得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0080】
比較例7〜比較例9
表4に示す難燃剤錠剤の組成で原料を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0081】
次に、ポリプロピレン(D1)と当該難燃剤錠剤を表4に示す難燃性樹脂組成物の組成で混合し、当該混合物をノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0082】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして評価した。結果を表4にあわせて示す。
【0083】
表4から明らかなように、(B)成分である水溶性難燃助剤を加えない場合、錠剤の強度が弱く、成形品の難燃剤の分散が悪く難燃性が劣った。
【0084】
実施例22〜実施例25
加熱膨張性黒鉛B(A2)100重量部に対し、ポリリン酸アンモニウム(B1)50重量部を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0085】
次に、ポリプロピレン(D1)と当該難燃剤錠剤を表5に示す難燃組成物の割合で混合し、当該混合物をノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片及び1/16インチの試験片を成形した。
【0086】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして測定した。結果を表5にあわせて示す。
【0087】
【表5】
【0088】
表5から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0089】
比較例10〜比較例14
加熱膨張性黒鉛B(A1)100重量部に対し、ポリリン酸アンモニウム(B1)50重量部を混合した。
【0090】
次に、ポリプロピレン(D1)100重量部に対して、当該難燃剤混合物を表6に示す難燃組成物の組成で、比較例2と同様の同方向二軸押出機を用い、樹脂をホッパーに、当該難燃剤混合物をサイドフィーダーにそれぞれ投入し、比較例2と同様の条件で難燃性ペレットコンパウンドを作製した。当該コンパウンドをノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片及び1/16インチの試験片を成形した。
【0091】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。結果を表6にあわせて示す。
【0092】
【表6】
【0093】
表6から明らかなように、難燃剤混合物を錠剤化しない場合、加熱膨張性黒鉛が破砕し、難燃性が劣った。
【0094】
実施例26、実施例27
加熱膨張性黒鉛B(A2)100重量部に対し、ポリリン酸アンモニウム(B1、実施例1に同じ)50重量部を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0095】
次に、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(D2)と当該難燃剤錠剤を表7に示す難燃組成物の組成で混合し、当該混合物をノズルを150℃、シリンダーを150℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0096】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして測定した。以上の結果を表7にあわせて示す。
【0097】
【表7】
【0098】
表7から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0099】
実施例28、実施例29
加熱膨張性黒鉛B(A2)100重量部に対し、ポリリン酸アンモニウム50重量部(B1)を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0100】
次に、低密度ポリエチレン(D3)と当該難燃剤錠剤を表7に示す難燃組成物の組成の割合で混合し、当該混合物をノズルを160℃、シリンダーを160℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0101】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして測定した。結果を表7にあわせて示す。
【0102】
表7から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0103】
比較例15、比較例16
加熱膨張性黒鉛B(A2)100重量部に対し、ポリリン酸アンモニウム(B1)50重量部を混合した。
【0104】
次に、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂ポリプロピレン(D2)100重量部に対して、当該難燃剤混合物を表9に示す難燃組成物の組成で、比較例2と同様の同方向二軸押出機を用い、樹脂をホッパーに当該難燃剤混合物をサイドフィーダーにそれぞれ投入し、ダイを150℃、シリンダーを150℃の条件で難燃性ペレットコンパウンドを作製した。当該コンパウンドをノズルを150℃、シリンダーを150℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0105】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。結果を表8にあわせて示す。
【0106】
【表8】
【0107】
表8から明らかなように、難燃剤混合物を錠剤化しない場合、加熱膨張性黒鉛が破砕し、難燃性が劣った。
【0108】
比較例17、比較例18
加熱膨張性黒鉛B(A2)100重量部に対し、ポリリン酸アンモニウム(B1)50重量部を混合した。
【0109】
次に、低密度ポリエチレン(D3)100重量部に対して、当該難燃剤混合物を表9に示す難燃組成物の組成で、比較例2と同様の同方向二軸押出機を用い、樹脂をホッパーに、当該難燃剤混合物をサイドフィーダーにそれぞれ投入し、ダイを160℃、シリンダーを160℃の条件で難燃ペレットコンパウンドを作製した。当該コンパウンドをノズルを160℃、シリンダーを160℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0110】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして測定した。結果を表8にあわせて示す。
【0111】
表8から明らかなように、難燃剤混合物を錠剤化しない場合、加熱膨張性黒鉛が破砕し、難燃性が劣った。
【0112】
実施例30〜実施例33
表9に示す難燃剤錠剤の組成で原料を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0113】
次に、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(D2)と当該難燃剤錠剤とを表9に示す難燃性樹脂組成物の組成で混合し、当該混合物をノズルを150℃、シリンダーを150℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0114】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして測定した。結果を表9にあわせて示す。
【0115】
【表9】
【0116】
表9から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0117】
実施例34〜実施例37
表9に示す難燃剤錠剤の組成で原料を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0118】
次に、低密度ポリエチレン(D3)と当該難燃剤錠剤とを表9に示す難燃性樹脂組成物の組成で混合し、当該混合物をノズルを160℃、シリンダーを160℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0119】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして測定した。結果を表9にあわせて示す。
【0120】
表9から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0121】
以上のように、本発明の難燃剤錠剤を樹脂と直接混合して成形した難燃性樹脂組成物及びその成形品は、それと同一組成の溶融混練による難燃性樹脂組成物と比較した場合、破砕による粒径の微細化が少なく、難燃性にも優れることが分かる。また同等の難燃性を示す加熱膨張性黒鉛とポリリン酸アンモニウムの配合量も、本発明の難燃剤錠剤の方が少ないことも分かる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃剤を必須成分とした混合物を錠剤化した難燃剤錠剤、それにより樹脂を難燃化する方法及びそれを配合してなる難燃性樹脂組成物に関するものであり、特に難燃性に優れた難燃性樹脂組成物及びその成形品を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
加熱膨張性黒鉛が、赤リン、ポリリン酸アンモニウム等のリン化合物、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛等の金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等の難燃助剤との組み合わせ、又はこれら難燃助剤の2種類以上との組み合わせにより、優れた難燃性を示すことは公知である。
【0003】
この様な難燃性に優れる加熱膨張性黒鉛を含む難燃樹脂組成物を製造する方法としては、樹脂と加熱膨張性黒鉛、更には前記難燃助剤とを混合し、単軸押出機、二軸押出機等の混練装置を用いた溶融剪断による混練を行い、まずは難燃コンパウンド又は難燃マスターバッチを製造し、その後難燃コンパウンドはそのまま射出成形機等の成形機で、一方、難燃マスターバッチは樹脂との混合後射出成形機等の成形機で成形するのが一般的であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような溶融混練によって製造される加熱膨張性黒鉛の難燃マスターバッチは、難燃剤濃度が50%程度が限界であるため、樹脂成分(以下バインダーと呼ぶ)が非常に多くなり、樹脂とマスターバッチを混合後成形した場合には、樹脂の機械物性に与えるバインダーの影響が大きく、各樹脂毎に対応したマスターバッチを製造する必要があり非常に問題であった。
【0005】
一方、加熱膨張性黒鉛は、難燃コンパウンド又は難燃マスターバッチを製造する際、樹脂との混練により溶融下剪断を受け破砕され粒度が微細化し、その結果難燃性が低下する問題を抱えていた。
【0006】
そこで加熱膨張性黒鉛を含む難燃性樹脂組成物を製造する際、樹脂との混練による破砕を防ぐため、単軸押出機等では極めて低い剪断速度で混練する方法が試みられ、また二軸押出機等では加熱膨張性黒鉛をサイドフィーダーで供給し混練する方法が試みられている。しかしながら前者の方法では、生産性が低いばかりか加熱膨張性黒鉛の分散性が悪く十分な難燃性は得られず、一方後者の方法では、加熱膨張性黒鉛の混練による破砕をある程度は防止できるものの十分満足できるものではなかった。
【0007】
また、特開平6−25476号公報、特開平6−25485号公報、特開平6−73251号公報等には、加熱膨張性黒鉛を急速加熱した際のC軸方向の膨張性と、80メッシュ篩い上の粒度を規定し、より優れた難燃性を付与する方法が開示されている。しかしながらこれらの方法においても、加熱膨張性黒鉛の樹脂との混練による破砕に起因する難燃性低下を補うことはできなかった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱膨張性黒鉛を含む難燃性樹脂組成物を製造する際に、加熱膨張性黒鉛の溶融下剪断による破砕を最小限に抑制することができる難燃剤錠剤、それによる難燃化方法、並びにそれを配合してなる難燃性樹脂組成物及びその成形品を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、加熱膨張性黒鉛と水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物、又はさらに非水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物を造粒し錠剤化した難燃剤錠剤を見出し、これを樹脂に混合することにより、加熱膨張性黒鉛を含む樹脂組成物製造時の溶融剪断による加熱膨張性黒鉛の破砕が最小限に抑制され、且つ樹脂と難燃剤錠剤との組成物が難燃性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、(A)加熱膨張性黒鉛と(B)水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物、又は(A)加熱膨張性黒鉛、(B)水溶性難燃助剤、及び(C)非水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物を造粒してなる難燃剤錠剤、樹脂100重量部に対して当該難燃剤錠剤を5〜60部配合することを特徴とする難燃化方法、並びに難燃性樹脂組成物に関するものである。
【0011】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0012】
本発明において難燃剤錠剤とは、粉体状の(A)加熱膨張性黒鉛と(B)水溶性難燃助剤、又は粉体状の(A)加熱膨張性黒鉛、(B)水溶性難燃助剤、及び(C)非水溶性難燃助剤を含有する一定の形状と大きさとをもつ粒状のものをいう。難燃剤錠剤の形状としては特に限定するものではないが、例えば、球状、円柱状、角柱状、板状のもの等が挙げられる。また、難燃剤錠剤の大きさとしては、平均粒径が0.1〜10mm程度のものであり、1〜10mm程度のものが好ましく、使用する樹脂ペレットと同程度の大きさのものが特に好ましい。尚、本発明において平均粒径とは、難燃剤錠剤の形状が球状である場合はその直径の平均をいい、円柱状又は角柱状である場合は柱の長さの平均をいい、板状である場合は板の最大径の平均をいい、その他の形状である場合は粒子の最大径の平均をいう。
【0013】
本発明の(A)成分は加熱膨張性黒鉛である。加熱膨脹性黒鉛とは天然黒鉛又は人造黒鉛由来の物質で、室温から800〜1000℃への急速加熱により結晶のC軸方向(黒鉛のへき開方向に直角の方向)に対して膨脹する性質を有するものをいう。
【0014】
本発明において加熱膨脹性黒鉛としては、膨脹性、即ち、室温から800〜1000℃への急速加熱前後の比容積の差が100ml/g以上のものが難燃効果の面から特に好ましい。これは、100ml/g以上の膨張性を持たない加熱膨脹性黒鉛は、100ml/g以上の膨張性を持つものと比べて難燃性が著しく小さいためである。尚、本発明においていう膨張性、即ち、室温から800〜1000℃への加熱前後の比容積(ml/g)の差は、具体的には次に示す方法で測定される。電気炉内で予め1000℃に加熱した石英ビーカーに加熱膨張性黒鉛を2g投入し、すばやく1000℃に加熱した電気炉内に石英ビーカーを10秒間入れた後膨張した黒鉛の100mlの重量を計量し、ゆるみ見かけ比重(g/ml)を測定し、
比容積=1/ゆるみ見かけ比重
とする。次に加熱していない室温での加熱膨張性黒鉛の比容積を同様の方法で求め、
膨張性=加熱後の比容積−室温での比容積
として、加熱膨張性黒鉛の膨張性を求める。
【0015】
加熱膨張性黒鉛の製造方法としては、鱗片状黒鉛を酸化処理する方法が挙げられ、また酸化処理の方法としては、過酸化水素/硫酸中での電解酸化、リン酸と硝酸、硫酸と硝酸、硫酸と過塩素酸との混酸等の酸化処理等が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0016】
本発明の(B)成分である水溶性難燃助剤とは、難燃化において(A)成分の加熱膨張性黒鉛と相乗作用を有するものであり、且つ水に対する溶解度が0.5mg/100g−水以上のものをいう。溶解度が0.5mg/100g−水未満のものでは、強度が弱くなり造粒化できず、錠剤として適さない。
【0017】
水溶性難燃助剤としては、特に限定するものではないが、例えば、水溶性のリン化合物、金属の酸化物及び金属の水酸化物からなる群より選ばれる1種又は2種以上のものが挙げられる。尚、本発明において金属の酸化物は、金属の複合酸化物を含む。
【0018】
本発明の(B)成分として用いられる水溶性のリン化合物としては、(A)成分の加熱膨張性黒鉛との相乗作用を有するものであれば特に限定するものではないが、例えば、リンのオキソ酸(以下「リン酸」と称する)誘導体、すなわち、リン酸塩、リン酸エステルの塩、リン酸エステル、縮合リン酸塩、含窒素リン誘導体、ホスホン酸誘導体、ホスフィン酸誘導体、亜リン酸誘導体、次亜リン酸誘導体、ホスホネート、ホスフィネート、ホスフィンオキシド、ホスファイト、ホスホナイト、ホスフィナイト及びホスフィン類が好適なものとして挙げられる。具体的には、ジメチル−メチルホスホナートとエチレンオキサイドと五酸化リンとの付加反応生成物、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、リン酸メラミン等が例示される。これらのうち、ポリリン酸アンモニウム(18℃における水に対する溶解度:1mg/100g−水)が最も好適に使用される。
【0019】
本発明の(B)成分として用いられる水溶性の金属酸化物としては、(A)成分の加熱膨張性黒鉛との相乗作用を有するものであれば特に限定するものではないが、例えば、アンチモン、ビスマス、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、ホウ素、アルミニウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物や複合酸化物が好適なものとして挙げられる。具体的には、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、三酸化モリブデン、ホウ酸のアルカリ金属塩、モリブデン酸のアルカリ金属塩が例示される。これらのうち、酸化マグネシウム(18℃における水に対する溶解度:0.62mg/100g−水)が最も好適に使用される。
【0020】
本発明の(B)成分として用いられる水溶性の金属水酸化物としては、(A)成分の加熱膨張性黒鉛との相乗作用を有するものであれば特に限定するものではないが、具体的には、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム及び水酸化亜鉛からなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、これらのうち、水酸化マグネシウム(18℃における水に対する溶解度:0.9mg/100g−水)が最も好適に使用される。
【0021】
本発明の(B)成分である水溶性難燃助剤は、(A)成分の加熱膨張性黒鉛と相乗し難燃剤としての役割を果たすのみならず、当該難燃剤混合物を造粒し錠剤化する際のバインダーの役割を果たす。(B)成分の配合量は、(A)加熱膨脹性黒鉛100重量部に対して少なくとも1重量部以上である。1重量部未満では、当該難燃剤混合物を造粒し錠剤化するバインダーとしての効果が小さく錠剤化できない場合がある。
【0022】
本発明においては、さらに(C)成分として非水溶性難燃助剤を用いてもよい。
【0023】
本発明の(C)成分である非水溶性難燃助剤とは、難燃化において加熱膨張性黒鉛と相乗作用を有するものであり、かつ水に対する溶解度が0.5mg/100g−水未満のものをいう。
【0024】
非水溶性難燃助剤としては、特に限定するものではないが、例えば、赤リン、非水溶性のリン化合物、金属の酸化物及び金属の水酸化物からなる群より選ばれる1種又は2種以上のものが挙げられる。尚、本発明において金属の酸化物は、金属の複合酸化物を含む。
【0025】
本発明の(C)成分として用いられる非水溶性のリン化合物としては、(A)成分の加熱膨張性黒鉛との相乗作用を有するものであれば特に限定するものではないが、例えば、下記式(1)〜(4)
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
で示されるリン化合物が好適なものとして例示される。
【0031】
本発明の(C)成分として用いられる非水溶性の金属酸化物としては、(A)成分の加熱膨張性黒鉛との相乗作用を有するものであれば特に限定するものではないが、例えば、、アンチモン、ビスマス、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、ホウ素、アルミニウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属の酸化物や複合酸化物が好適なものとして挙げられる。具体的には、三酸化アンチモン、酸化アルミニウム、三酸化二ビスマス、ホウ酸亜鉛、アンチモン酸ナトリウム、モリブデン酸亜鉛等が例示される。これらのうち、三酸化アンチモン(18℃における水に対する溶解度:0.16mg/100g−水)、ホウ酸亜鉛が特に好適なものとして使用される。
【0032】
本発明の(C)成分として用いられる非水溶性の金属水酸化物としては、(A)成分の加熱膨張性黒鉛との相乗作用を有するものであれば特に限定するものではないが、例えば、水酸化アルミニウム(18℃における水に対する溶解度:0.104mg/100g−水)が好適なものとして例示される。
【0033】
本発明において、(B)成分の水溶性難燃助剤と(C)成分の非水溶性難燃助剤との割合は、水溶性難燃助剤の重量比率が少ないとバインダーとしての効果が小さく錠剤の強度が低下し、貯蔵、輸送時あるいは樹脂との混合時に難燃剤錠剤が破壊されやすくなるため、(B)水溶性難燃助剤/(C)非水溶性難燃助剤≧1/99(重量比)であることが好ましい。
【0034】
本発明においては、(A)加熱膨張性黒鉛と(B)水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物、又はさらに(C)非水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物を造粒機により造粒し錠剤化する。造粒機としては、特に限定するものではないが、例えば、回転皿形式、回転円筒形式、回転頭切円錐形式等の転動造粒機、流動層形式、変形流動層形式、噴流層形式等の流動層造粒機、パグミル、ヘンシェル、アイリッヒ等の攪拌造粒機、回転ナイフ形式、回転バー形式等の解砕造粒機、圧縮ロール形式、ブリケッティングロール形式、打錠成形等の圧縮造粒機、スクリュー形式、回転多孔ダイス形式、回転ブレード形式等の押出造粒機等が挙げられる。これらのうち、水をバインダーとして使用する転動造粒機、流動層造粒機、押出造粒機等、又は圧縮造粒機等が好ましく、これらの中でも、錠剤の形状、大きさが一定化でき、錠剤の強度が高くまた生産性に優れる等の理由から、押出造粒機が最も好適である。
【0035】
次に本発明の難燃化方法及び難燃性樹脂組成物について説明する。
【0036】
本発明においては、樹脂100重量部に対して、(A)加熱膨張性黒鉛と(B)水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物、又は(A)加熱膨張性黒鉛、(B)水溶性難燃助剤、及び(C)非水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物を造粒し錠剤化した難燃剤錠剤を5〜60重量部の範囲で用いることができる。これは、難燃剤錠剤が5重量部未満では樹脂の難燃化が不十分であり、また60重量部を越えると樹脂の機械的強度の低下が著しく、また難燃効果が飽和し経済的にも不利となるためである。
【0037】
本発明において、(B)成分の水溶性難燃助剤、(C)成分の非水溶性難燃助剤は、難燃助剤としての効果及び水溶性を損なわない範囲で、表面処理を施しても良い。表面処理の方法としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、マグネシウム、アルミニウム等の水酸化物又は酸化物等による表面処理が挙げられる。
【0038】
本発明において用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂等のスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系樹脂、6−ナイロン、66−ナイロン等のアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のエステル系樹脂、ポリカーボネート等のカーボネート系樹脂等が挙げられ、それらの単独若しくは混合物、共重合体又はそれらを変性した各種樹脂も例示される。また、熱硬化性樹脂の具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム等のゴム弾性重合体、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーンエラストマーや室温硬化型シリコーンゴム等のポリシロキサン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0039】
本発明において、難燃剤錠剤と樹脂とを混ぜる混合機としては特に限定されるものではないが、タンブラー、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー等が挙げられる。
【0040】
本発明において、難燃剤錠剤と樹脂とを混合した難燃性樹脂組成物を成形加工する方法としては特に限定するものではないが、例えば、射出成形機、押出成形(シート成形、ブロー成形)等でペレットから直接成形する方法、低剪断の押出機により溶融混練する方法等が挙げられる。
【0041】
本発明において、本発明の効果を損なわない範囲で他の難燃剤を併用することが可能である。また必要に応じて樹脂に、無機充填剤、着色剤、酸化防止剤等の種々の添加剤を配合して差し支えない。
【0042】
【発明の効果】
本発明の難燃剤錠剤は、難燃性樹脂組成物及びその成形品製造時の加熱膨張性黒鉛の破砕による微粒化が抑制できるため、難燃性に極めて優れており、また加熱膨張性黒鉛の微粒化がほとんどないため、加熱膨張性黒鉛を配合量を低減化でき、経済的にも優れている。
【0043】
【実施例】
以下、具体例を示して本発明の効果を明確にするが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
以下の実施例、比較例においては、原料として以下のものを用いた。
【0045】
(A)加熱膨脹性黒鉛
(A1):加熱膨脹性黒鉛A(中央化成(株)製、80メッシュ篩い上84重量%、室温から1000℃への急速加熱前後の比容積の差180ml/g)
(A2):加熱膨脹性黒鉛B(中央化成(株)製、80メッシュ篩い上96重量%、室温から1000℃への急速加熱前後の比容積の差200ml/g)
(B)水溶性難燃助剤
(B1):ポリリン酸アンモニウム(ヘキスト製、HOSTAFLAM AP462)
(B2):ジメチル−メチルホスホナートとエチレンオキサイドと五酸化リンとの付加反応物(アクゾ・カシマ(株)製、ファイロール51。以下、リン化合物Aと称する)
(B3):酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製、キョウワマグ150)(B4):水酸化マグネシウム(神島化学工業(株)製、水酸化マグネシウム200)。
【0046】
(C)非水溶性難燃助剤
(C1):三酸化アンチモン(東ソー(株)製、フレームカット610R)
(C2):ホウ酸亜鉛(富田製薬(株)製、ホウ酸亜鉛2335)
(C3):赤リン(東ソー(株)製、フレームカット ノーバレッド120)
(C4):上記式(1)で示されるクレゾール縮合型リン酸エステル(大八化学工業(株)製、PX−200。以下、リン化合物Bと称する)
(C5):上記式(2)で示されるビスフェノール−A骨格リン酸エステル(アクゾ・カシマ(株)製、フォスフレックス580。以下、リン化合物Cと称する)
(C6):上記式(3)で示される9,10−ジヒドロ−9−オキサ10−ホスファナスフェナンスレン10−オキサイド(Kohlon製、HIRETAR101。以下、リン化合物Dと称する)
(C7):上記式(4)で示されるトリフェニルホスフェート(アクゾ・カシマ(株)製、フォスフレックスTPP。以下、リン化合物Eと称する)。
【0047】
(D)樹脂
(D1):ポリプロピレン(チッソ(株)製、チッソポリプロ K7014)(D2):エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(東ソー(株)製、ウルトラセン630)
(D3):低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、ペトロセン203)。
【0048】
また、実施例、比較例において実施した各種試験の方法は次の通りである。
【0049】
<難燃剤錠剤の強度>
難燃剤錠剤を10メッシュの篩い上で振とう機を用いて20分間振とうさせた後、壊れて篩いを通過した量(重量%)を破砕率として評価した。
○:破砕率10重量%未満
△:破砕率10〜20重量%
×:破砕率20重量%以上。
【0050】
<UL−94燃焼性試験>
アンダーライターズ・ラボラトリーのサブジェクト94号の垂直燃焼試験方法に基づき、厚み1/8インチ、1/16インチの試験片各5本を用いて測定した。
【0051】
<成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度>
射出成形した試験片を、熱キシレンで樹脂のみを溶解させ、その後300メッシュのステンレス製網を5枚重ねた濾過装置で加熱膨張性黒鉛を分離し、その加熱膨張性黒鉛の粒度(80メッシュの篩を通らない粒径のものの割合)を測定した。
【0052】
実施例1
加熱膨脹性黒鉛A(A1)100重量部に対して、ポリリン酸アンモニウム (B1)10重量部を混合し、その粉体合計量に対して15重量%の水を添加して混合した難燃剤混合物を、造粒機(不二パウダル(株)製、商品名「ディスクペレッター」)で造粒した後乾燥して、直径3mm、長さ4mmの円柱状の錠剤を得た。
【0053】
次にポリプロピレン(D1)100重量部に対して、当該難燃剤錠剤40重量部をタンブラーで混合し、当該混合物をノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、UL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0054】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を上記方法により測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を上記方法により評価した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0057】
実施例2〜実施例5
加熱膨脹性黒鉛A(A1)とポリリン酸アンモニウム(B1)とを、表1に示す難燃剤錠剤の組成で混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0058】
次にポリプロピレン(D1)100重量部に対して、当該難燃剤錠剤40重量部をタンブラーで混合し、当該混合物をノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、UL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0059】
得られた試験片の燃焼性、お及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして評価した。結果を表1にあわせて示す。
【0060】
表1から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0061】
比較例1
加熱膨張性黒鉛A(A1)のみを実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0062】
次に、ポリプロピレン(D1)100重量部に対して、当該難燃剤錠剤40重量部をタンブラーで混合し、当該混合物をノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0063】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして評価した。結果を表1にあわせて示す。
【0064】
表1から明らかなように、加熱膨張性黒鉛のみでは錠剤化できず、成形品の難燃剤の分散が悪く難燃性が劣った。
【0065】
比較例2〜比較例6
加熱膨張性黒鉛A(A1)とポリリン酸アンモニウム(B1)とを、表2に示す難燃剤混合物の組成の割合で混合した。
【0066】
次に、ポリプロピレン(D1)100重量部に対して、当該難燃剤混合物40重量部の割合で、ダイを200℃、シリンダーを200℃に設定した同方向二軸押出機のホッパーに樹脂を、サイドフィーダーに当該難燃剤混合物をそれぞれ投入し、溶融混練により難燃性ペレットコンパウンドを作製した。当該ペレットをノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0067】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。結果を表2にあわせて示す。
【0068】
【表2】
【0069】
表2から明らかなように、難燃剤混合物を錠剤化しない場合には、加熱膨張性黒鉛が破砕し、難燃性が劣った。
【0070】
実施例6〜実施例16
表3に示す難燃剤錠剤の組成で原料を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0071】
次に、ポリプロピレン(D1)と当該難燃剤錠剤を表3に示す難燃性樹脂組成物の組成で混合し、当該混合物をノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0072】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして評価した。結果を表3にあわせて示す。
【0073】
【表3】
【0074】
表3から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0075】
実施例17〜実施例21
表4に示す難燃剤錠剤の組成で原料を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0076】
次に、ポリプロピレン(D1)と当該難燃剤錠剤を表4に示す難燃性樹脂組成物の組成で混合し、当該混合物をノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0077】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして評価した。結果を表4にあわせて示す。
【0078】
【表4】
【0079】
得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0080】
比較例7〜比較例9
表4に示す難燃剤錠剤の組成で原料を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0081】
次に、ポリプロピレン(D1)と当該難燃剤錠剤を表4に示す難燃性樹脂組成物の組成で混合し、当該混合物をノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0082】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして評価した。結果を表4にあわせて示す。
【0083】
表4から明らかなように、(B)成分である水溶性難燃助剤を加えない場合、錠剤の強度が弱く、成形品の難燃剤の分散が悪く難燃性が劣った。
【0084】
実施例22〜実施例25
加熱膨張性黒鉛B(A2)100重量部に対し、ポリリン酸アンモニウム(B1)50重量部を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0085】
次に、ポリプロピレン(D1)と当該難燃剤錠剤を表5に示す難燃組成物の割合で混合し、当該混合物をノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片及び1/16インチの試験片を成形した。
【0086】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして測定した。結果を表5にあわせて示す。
【0087】
【表5】
【0088】
表5から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0089】
比較例10〜比較例14
加熱膨張性黒鉛B(A1)100重量部に対し、ポリリン酸アンモニウム(B1)50重量部を混合した。
【0090】
次に、ポリプロピレン(D1)100重量部に対して、当該難燃剤混合物を表6に示す難燃組成物の組成で、比較例2と同様の同方向二軸押出機を用い、樹脂をホッパーに、当該難燃剤混合物をサイドフィーダーにそれぞれ投入し、比較例2と同様の条件で難燃性ペレットコンパウンドを作製した。当該コンパウンドをノズルを200℃、シリンダーを200℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片及び1/16インチの試験片を成形した。
【0091】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。結果を表6にあわせて示す。
【0092】
【表6】
【0093】
表6から明らかなように、難燃剤混合物を錠剤化しない場合、加熱膨張性黒鉛が破砕し、難燃性が劣った。
【0094】
実施例26、実施例27
加熱膨張性黒鉛B(A2)100重量部に対し、ポリリン酸アンモニウム(B1、実施例1に同じ)50重量部を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0095】
次に、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(D2)と当該難燃剤錠剤を表7に示す難燃組成物の組成で混合し、当該混合物をノズルを150℃、シリンダーを150℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0096】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして測定した。以上の結果を表7にあわせて示す。
【0097】
【表7】
【0098】
表7から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0099】
実施例28、実施例29
加熱膨張性黒鉛B(A2)100重量部に対し、ポリリン酸アンモニウム50重量部(B1)を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0100】
次に、低密度ポリエチレン(D3)と当該難燃剤錠剤を表7に示す難燃組成物の組成の割合で混合し、当該混合物をノズルを160℃、シリンダーを160℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0101】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして測定した。結果を表7にあわせて示す。
【0102】
表7から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0103】
比較例15、比較例16
加熱膨張性黒鉛B(A2)100重量部に対し、ポリリン酸アンモニウム(B1)50重量部を混合した。
【0104】
次に、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂ポリプロピレン(D2)100重量部に対して、当該難燃剤混合物を表9に示す難燃組成物の組成で、比較例2と同様の同方向二軸押出機を用い、樹脂をホッパーに当該難燃剤混合物をサイドフィーダーにそれぞれ投入し、ダイを150℃、シリンダーを150℃の条件で難燃性ペレットコンパウンドを作製した。当該コンパウンドをノズルを150℃、シリンダーを150℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0105】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。結果を表8にあわせて示す。
【0106】
【表8】
【0107】
表8から明らかなように、難燃剤混合物を錠剤化しない場合、加熱膨張性黒鉛が破砕し、難燃性が劣った。
【0108】
比較例17、比較例18
加熱膨張性黒鉛B(A2)100重量部に対し、ポリリン酸アンモニウム(B1)50重量部を混合した。
【0109】
次に、低密度ポリエチレン(D3)100重量部に対して、当該難燃剤混合物を表9に示す難燃組成物の組成で、比較例2と同様の同方向二軸押出機を用い、樹脂をホッパーに、当該難燃剤混合物をサイドフィーダーにそれぞれ投入し、ダイを160℃、シリンダーを160℃の条件で難燃ペレットコンパウンドを作製した。当該コンパウンドをノズルを160℃、シリンダーを160℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0110】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして測定した。結果を表8にあわせて示す。
【0111】
表8から明らかなように、難燃剤混合物を錠剤化しない場合、加熱膨張性黒鉛が破砕し、難燃性が劣った。
【0112】
実施例30〜実施例33
表9に示す難燃剤錠剤の組成で原料を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0113】
次に、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(D2)と当該難燃剤錠剤とを表9に示す難燃性樹脂組成物の組成で混合し、当該混合物をノズルを150℃、シリンダーを150℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0114】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして測定した。結果を表9にあわせて示す。
【0115】
【表9】
【0116】
表9から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0117】
実施例34〜実施例37
表9に示す難燃剤錠剤の組成で原料を混合し、実施例1と同様の方法で錠剤化した。
【0118】
次に、低密度ポリエチレン(D3)と当該難燃剤錠剤とを表9に示す難燃性樹脂組成物の組成で混合し、当該混合物をノズルを160℃、シリンダーを160℃に設定した射出成形機のホッパーに投入し、実施例1と同様にUL94垂直燃焼試験の厚み1/8インチの試験片を成形した。
【0119】
得られた試験片の燃焼性、及び成形品中の加熱膨張性黒鉛の粒度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして測定した。また当該難燃剤錠剤の強度を実施例1と同様にして測定した。結果を表9にあわせて示す。
【0120】
表9から明らかなように、得られた難燃剤錠剤は十分な強度を持ち、また加熱膨張性黒鉛の破砕もなく優れた難燃性が得られた。
【0121】
以上のように、本発明の難燃剤錠剤を樹脂と直接混合して成形した難燃性樹脂組成物及びその成形品は、それと同一組成の溶融混練による難燃性樹脂組成物と比較した場合、破砕による粒径の微細化が少なく、難燃性にも優れることが分かる。また同等の難燃性を示す加熱膨張性黒鉛とポリリン酸アンモニウムの配合量も、本発明の難燃剤錠剤の方が少ないことも分かる。
Claims (12)
- (A)加熱膨張性黒鉛と(B)水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物を造粒してなる難燃剤錠剤。
- (A)加熱膨張性黒鉛100重量部に対して、(B)水溶性難燃助剤を少なくとも1重量部以上含有する難燃剤混合物を造粒してなる請求項1に記載の難燃剤錠剤。
- (B)水溶性難燃助剤が、水溶性のリン化合物、金属の酸化物及び金属の水酸化物からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の難燃剤錠剤。
- (B)水溶性難燃助剤が、ポリリン酸アンモニウム、ジメチル−メチルホスホナートとエチレンオキサイドと五酸化リンとの付加反応生成物、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項3に記載の難燃剤錠剤。
- (B)水溶性難燃助剤が、ポリリン酸アンモニウムであることを特徴とする請求項4に記載の難燃剤錠剤。
- (A)加熱膨張性黒鉛、(B)水溶性難燃助剤、及び(C)非水溶性難燃助剤を含有する難燃剤混合物を造粒してなる請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の難燃剤錠剤。
- (B)水溶性難燃助剤と(C)非水溶性難燃助剤との割合が、(B)水溶性難燃助剤/(C)非水溶性難燃助剤≧1/99(重量比)であることを特徴とする請求項6に記載の難燃剤錠剤。
- (C)非水溶性難燃助剤が、赤リン、非水溶性のリン化合物、金属の酸化物及び金属の水酸化物からなる群より選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の難燃剤錠剤。
- 樹脂100重量部に対して、請求項1及至請求項9のいずれかに記載の難燃剤錠剤を5〜60重量部配合することを特徴とする難燃化方法。
- 樹脂100重量部に対して、請求項1及至請求項9のいずれかに記載の難燃剤錠剤を5〜60重量部配合してなる難燃性樹脂組成物。
- 請求項11に記載の難燃性樹脂組成物を成形してなる難燃性樹脂組成物の成形品。
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JPH10110169A (ja) | 1998-04-28 |
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