JP3887846B2 - 高純度エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸及びそれを用いた表面処理組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸[エチレンジアミン−N,N’−ビス(オルトヒドロキシフェニル酢酸)]またはそのアンモニウム塩に関し、より詳細には基体の表面処理剤に添加され、該表面処理剤から基体表面への金属不純物の汚染を長時間にわたって防止し、安定的に極めて清浄な基板表面を達成する事ができる金属元素の含有量が少ないエチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸またはそのアンモニウム塩とその精製方法、及びそれを用いた表面処理組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
超LSIや、TFT液晶等に代表される各種デバイスの高集積化に伴い、基板表面の清浄化への要求は益々厳しいものになっている。清浄化を妨げるものとして各種汚染物質があり、汚染物質の中でも、特に金属汚染はデバイスの電気的特性を劣化させるものであり、かかる劣化を防止するためにはデバイスが形成される基板表面における金属不純物の濃度を極力低下させる必要がある。そのため、基板表面を洗浄剤により洗浄する事が一般に行われる。
【0003】
従来より、この種の洗浄剤には、酸、アルカリ、酸化剤、界面活性剤等の水溶液、水、電解イオン水、有機溶媒等が一般に使用されている。洗浄剤には優れた洗浄性能と共に、洗浄剤から基板への金属不純物の逆汚染を防止するため、洗浄剤中の不純物濃度が極めて低いレベルである事が要求されている。かかる要求を満足するため、半導体用薬品の高純度化が推進され、精製直後の薬品に含まれる金属不純物濃度は、現在の分析技術では検出が難しいレベルにまで達している。
【0004】
このように、洗浄剤中の不純物が検出困難なレベルにまで達しているにもかかわらず、いまだ高清浄な表面の達成が難しいのは、洗浄槽において、基板から除去された金属不純物が、洗浄剤を汚染する事が避けられないためである。すなわち、表面から一旦脱離した金属不純物が洗浄剤中に混入し洗浄剤を汚染する。そして、汚染された洗浄剤から金属不純物が基板に付着(逆汚染)してしまうためである。
【0005】
半導体洗浄工程においては、[アンモニア+過酸化水素+水]洗浄(APM洗浄、またはSC−1洗浄)(RCA Review, p.187-206, June(1970)等)が、広く用いられている。本洗浄は通常、室温〜90℃で行われ、組成比としては通常(30重量%アンモニア水):(31重量%過酸化水素水):(水)=(0.05〜1):(0.05〜1):5程度で使用に供される。しかし、本洗浄法は高いパーティクル除去能力や有機物除去能力を持つ反面、金属汚染の除去能力はほとんど持たず、それどころか、溶液中にFeやAl、Zn、Ni等の金属が極微量存在すると、基板表面に付着して逆汚染してしまうという問題があった。このため、半導体洗浄工程においては、通常、[アンモニア+過酸化水素+水]洗浄の後に、[塩酸+過酸化水素+水]洗浄(HPM洗浄、またはSC−2洗浄)等の酸性洗浄剤による洗浄を行い、基板表面の金属汚染を除去している。
【0006】
それ故、洗浄工程において、高清浄な表面を効率よく、安定的に得るために、かかる逆汚染を防止する技術が求められていた。
更に、液中の金属不純物が基板表面に付着する問題は、洗浄工程のみならず、シリコン基板のアルカリエッチングや、シリコン酸化膜の希フッ酸によるエッチング工程等の、溶液を使用した基板表面処理工程全般において大きな問題となっている。希フッ酸エッチング工程では、液中にCuやAu等の貴金属不純物があると、シリコン表面に付着して、キャリアライフタイム等のデバイスの電気的特性を著しく劣化させる。また、アルカリエッチング工程では、液中にFeやAl等の微量金属不純物があると、基板表面に容易に付着してしまい、品質に悪影響を及ぼす。そこで、溶液による表面処理工程におけるかかる汚染を防止する技術も強く求められている。
【0007】
これらの問題を解決するために、表面処理剤にキレート剤等の錯化剤を添加し、液中の金属不純物を安定な水溶性錯体として捕捉し、基板表面への付着を防止する方法が提案されている(特開平3−219000号公報、特開平5−275405号公報等)。
しかし、従来から提案されていた錯化剤を添加した場合、特定の金属(例えば、Fe)に関しては付着防止、あるいは除去に顕著な効果が見られたものの、処理液や基板を汚染しやすい他の金属(例えば、Al)については上記特許に記載の錯化剤の効果が極めて小さく、大量の錯化剤を添加しても十分な効果が得られないという問題があった。
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために特願平7−191504号において、表面処理組成物中に金属付着防止剤としてエチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸〔通称:EDDHA〕等の特定の錯化剤を添加含有せしめることにより、FeだけでなくAl等の他の金属不純物に対しても基体への処理液からの付着防止効果が著しく向上するという発明を提案した。
【0009】
しかし、EDDHAを金属付着防止剤として添加した表面処理組成物を使用した場合、初期には極めて優れた金属付着防止性能が得られたものの、長時間使用時に大幅な性能劣化が見られた。とくにシリコンウェハの洗浄剤としてよく用いられる、アンモニア/過酸化水素水にこれを添加した場合、数時間で金属付着防止能が低下し、実用上、大きな問題となっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、表面処理剤から基体表面への金属不純物汚染が深刻な問題となっているが、それを長時間に渡って、安定的に防止する技術は、いまだ不十分である。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、表面処理液から基体表面への金属不純物の汚染を長時間に渡って防止し、安定的に極めて清浄な基体表面を達成する事ができる基体の表面処理方法及び表面処理組成物を提供する事を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、EDDHAの金属付着防止効果が長時間維持されない原因について解析を重ねた結果、(1)長時間使用すると表面処理液中でEDDHAの分解が起こる事、(2)EDDHA−金属キレートとなって安定化されていた金属は、この分解によってEDDHAから離れて、基板表面に付着してしまう事、(3)液中にFeなどの金属不純物が多量に含まれた場合にEDDHAの分解が促進される事、(4)表面処理液中の金属不純物量の多くが添加剤であるEDDHAに由来していた事、を見いだした。
【0012】
従来のEDDHA中には、数〜数千ppm程度のFe等の金属不純物が含有されていた。これらの金属は、EDDHA溶液中では、初期には安定なEDDHA−金属キレートとして存在して基体表面には付着しないが、洗浄液等の表面処理液として長時間使用された場合、EDDHAの分解によって、EDDHAから離れ、基体表面に付着していた。さらに、これらの金属は、液中でEDDHAの分解をも促進していたのである。
【0013】
本発明者らは以上の事から、EDDHA中の金属不純物濃度を低下させる事により、EDDHAを添加含有せしめたときの表面処理液から基体への金属不純物の付着防止効果が長時間に渡って持続する事を見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、基体の表面処理組成物に添加され、該表面処理組成物から基体表面への金属不純物の汚染を長時間にわたって防止し、安定的に極めて清浄な基板表面を達成する事ができる、Fe、Al、Znの内の少なくとも1つの金属元素の含有量が5ppm以下である事を特徴とする高純度エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸またはそのアンモニウム塩、及びその精製方法にある。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、EDDHAまたはそのアンモニウム塩中のFe、Al、Znの内の少なくとも1つの金属元素の含有量がEDDHAに対する重量比で5ppm以下である事を特徴とする。半導体基板に付着した場合、半導体デバイスの電気的特性を劣化させる可能性のあるものとしては、Ag、Al、As、Au、Ba、Ca、Cd、Co、Cr、Cu、Fe、Ga、Ge、K、Li、Mg、Mn、Mn、Mo、Na、Ni、Pb、Si、Sn、Sr、Ti、Zn等が挙げられる。我々はEDDHAを含有する表面処理液を長時間使用した際に、基板表面に付着する金属種を解析した結果、上記金属種の中でも、特にFe、Al、Znが多く付着している事を見いだした。これらの金属はEDDHA中に含有されているものであった。特にFeは、アルカリ液中で基板表面に付着し易いばかりか、[アンモニア+過酸化水素+水]洗浄液中では過酸化水素の酸化反応の触媒として働き、EDDHAの分解を促進する。また、Al、Znはアルカリ液中で極めて基板表面に付着し易い。これらの金属はEDDHAに対して5ppm以下、好ましくは2ppm以下にする必要がある。
【0015】
本発明における表面処理組成物とは、基体の洗浄、エッチング、研磨、成膜等を目的として用いられる表面処理剤の総称である。
主成分となる液体としては、特に限定されないが、通常、酸、アルカリ、酸化剤、界面活性剤等の水溶液、水、電解イオン水、有機溶媒、さらにはこれらの混合溶液が用いられる。特に、半導体基板の洗浄やエッチングに用いられるアルカリ性水溶液においては、溶液中の金属不純物が基体表面に極めて付着し易いため、本発明が好ましく用いられる。本発明におけるアルカリ性水溶液とは、そのpHが7よりも大きい水溶液の総称である。アルカリ性成分としては、特に限定されないが、代表的なものとしてアンモニアが挙げられる。また、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等のアルカリ性塩類、あるいは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド[通称:TMAH]、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩ヒドロキシドなども用いられる。これらのアルカリは、2種以上添加しても何等差し支えなく、通常、表面処理組成物の全溶液中での全濃度が0.01〜30重量%になるように用いられる。また、水の電気分解によって得られるアルカリ電解イオン水にも好ましく用いられる。さらに、このようなアルカリ性水溶液中には過酸化水素等の酸化剤が適宜配合されていても良い。半導体ウェハ洗浄工程において、ベア(酸化膜のない)シリコンを洗浄する際には、酸化剤の配合により、ウェハのエッチングや表面荒れを抑える事ができる。本発明のアルカリ性水溶液に過酸化水素を配合する場合には、通常、表面処理組成物の全溶液中での過酸化水素濃度が0.01〜30重量%の濃度範囲になるように用いられる。
【0016】
金属付着防止剤として加えられるEDDHAの添加量は、付着防止対象である液中の金属不純物の種類と量、基板表面に要求せれる清浄度レベルによって異なるので一概には決められないが、表面処理組成物中の総添加量として、通常10-7〜5重量%、好ましくは10-6〜0.1重量%である。上記添加量より少なすぎると金属付着防止効果が発現し難く、一方、多すぎてもそれ以上の効果は得られず、また、基体表面に金属付着防止剤である錯化剤が付着する危険性が高くなるので好ましくない。
【0017】
本発明に係わるEDDHAを表面処理組成物に配合する方法は特に限定されない。表面処理組成物を構成している成分(例えば、アンモニア水、過酸化水素水、水等)の内、いずれか一成分、あるいは複数成分にあらかじめ配合し、後にこれらの成分を混合して使用しても良いし、当該成分を混合した後に該混合液にこれを配合して使用しても良い。ただし、[アンモニア水+過酸化水素水+水]洗浄に用いる場合には、過酸化水素水や水に比べアンモニア水に対するEDDHAの溶解度が高い事、EDDHAの経時安定性が過酸化水素水中に比べアンモニア水中の方が優れている事から、特に配合後、数週間以上保管して用いる場合には、アンモニア水に添加して用いる方が良い。アンモニアに添加して用いる場合には、アンモニア濃度は通常0.1〜35重量%、好ましくは5〜32重量%であり、EDDHA濃度は10-7〜5重量%、好ましくは10-6〜1重量%である。また、この場合のアンモニア水溶液中のFe、Al、Znの内の少なくとも1つの金属元素の含有量は通常5ppb以下、好ましくは1ppb以下である。
【0018】
本発明の表面処理組成物には、表面処理の目的に応じて界面活性剤、酸化剤、還元剤、錯化剤、pH調整用の酸成分、研磨砥粒等の添加剤を加えても良い。
特に以下に示すようなEDDHA以外の錯化剤を添加し、錯化剤の種類を2種以上にすると、金属付着防止効果がより向上するので好ましい。この様な錯化剤としては、次のようなものが例示できる。なお、化合物名の後の[]内は化合物の通称・略称である。
【0019】
エチレンジアミン、8−キノリノール、o−フェナントロリン等のアミン類、グリシン等のアミノ酸類、イミノ2酢酸、ニトリロ3酢酸、エチレンジアミン4酢酸[EDTA]、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン4酢酸[CyDTA]、ジエチレントリアミン5酢酸[DTPA]、トリエチレンテトラミン6酢酸[TTHA]等のイミノカルボン酸類、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)[EDTPO]、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)[NTPO]、プロピレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)[PDTMP]等のイミノホスホン酸類、ギ酸、酢酸、シュウ酸酒石酸等のカルボン酸類、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素等のハロゲン化水素またはそれらの塩、硫酸、リン酸、縮合リン酸、ホウ酸、ケイ酸、炭酸、硝酸、亜硝酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸等のオキソ酸類またはそれらの塩など。
【0020】
本発明の表面処理組成物は基体の金属不純物汚染が問題となる半導体、金属、ガラス、セラミックス、プラスチック、磁性体、超伝導体等の基体の、洗浄、エッチング、研磨、成膜等の表面処理に用いられる。特に、高清浄な基体表面が要求される半導体基板の洗浄、エッチングには本発明が好適に使用される。半導体基板の洗浄の中でも特に[アンモニア+過酸化水素+水]洗浄等のアルカリ洗浄に本発明を適用すると、該洗浄法の問題点であった基板への金属不純物付着の問題が改善され、これにより該洗浄によって、パーティクル、有機物汚染と共に、金属汚染のない高清浄な基板表面が達成されるため、極めて好適である。
【0021】
本発明を洗浄に用いる場合には、液を直接、基体に接触させる方法が用いられる。このような洗浄方法としては、洗浄槽に洗浄液を満たして基板を浸漬させるディップ式クリーニング、基板に液を噴霧して洗浄するスプレー式クリーニング、基板上に洗浄液を滴下して高速回転させるスピン式クリーニング等が挙げられる。本発明においては、上記洗浄方法の内、適当なものが用いられるが、好ましくはディップ式クリーニングが用いられる。洗浄時間については、適当な時間洗浄されるが、好ましくは10秒〜30分、より好ましくは30秒〜15分である。時間が短すぎると洗浄効果が十分でなく、長すぎるとスループットが悪くなるだけで、洗浄効果は上がらず意味がない。洗浄は常温で行っても良いが、洗浄効果を向上させる目的で、加温して行う事もできる。温度は通常室温〜90℃であるが、高温での使用の場合、EDDHAの劣化が促進されるので、70℃以下での使用が好ましい。また、洗浄の際には、物理力による洗浄方法と併用させても良い。このような物理力による洗浄方法としては、たとえば、メガソニック洗浄等の超音波洗浄、洗浄ブラシ、電磁波を用いた洗浄法などが挙げられる。さらに、本発明の洗浄前後において、基板表面の汚染をより完全に除去する目的で、公知の他の洗浄法を用いる事もできる。この様な洗浄方法としては、[硫酸+過酸化水素+水]洗浄、[塩酸+過酸化水素+水]洗浄、[フッ酸+過酸化水素+水]洗浄、希フッ酸洗浄、オゾン超純水洗浄、超純水洗浄、電解イオン水洗浄等が挙げられる。
【0022】
本発明の高純度EDDHAまたはそのアンモニウム塩は、従来のEDDHAを精製する事によって得る事ができる。精製の方法としては、高純度なものが得られる点で溶解再晶析による方法が好ましい。
EDDHAは酸性、またはアルカリ性水溶液中に数〜数十重量%溶解する。この溶液を中和し、中性水溶液とするとEDDHAはほとんど溶解しないで析出する。一方、EDDHA中の金属不純物はEDDHAと水溶性のEDDHA−金属キレートを作り、中性水溶液中でも安定に溶解している。このため、析出したEDDHAの結晶を液から分離すれば、金属不純物の少ない高純度EDDHAを得る事ができる。ただし、不溶性の不純物は上記方法では分離できない。そこで、EDDHAを酸性、またはアルカリ性水溶液中に溶解した際に、溶液をろ過する事により、該不溶性不純物をろ過分離して取り除く事ができる。EDDHAを溶解する酸性水溶液の酸成分としては、特に限定されないが、代表的なものとして、硫酸、硝酸、塩酸が挙げられる。これらの酸成分は、通常、酸性水溶液中の酸濃度が0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%となるように用いられる。また、アルカリ性水溶液のアルカリ成分としては、特に限定されないが、代表的なものとして、アンモニアが挙げられる。アルカリ成分は、通常、アルカリ性水溶液中のアルカリ濃度が0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%となるように用いられる。中和時のpHは通常4〜9、好ましくは5〜8である。得られた結晶と液とを分離する方法は、特に限定されないが、通常はフィルターによるろ過または遠心分離による方法が用いられる。
【0023】
上記の精製操作を一回以上行う事により、本発明の高純度EDDHAを得る事ができる。特に精製前のEDDHA中の不純物量が多い場合には、上記精製操作を数回以上繰り返す事により、高清浄なEDDHAを得る事ができる。
【0024】
【実施例】
次に実施例を用いて、本発明の具体的態様を説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1及び比較例1、2
市販のEDDHA(米国、SIGMA CHEMICAl COMPANY 社製、CATALOG #: E4135、Lot No.85H5041)に対し、7重量%の硝酸水溶液をEDDHA1gにつき10ml加え、EDDHAを溶解した。このEDDHA硝酸水溶液を開口径0.1μmのテフロンフィルター(PTFE製)でろ過する事により、不溶性の不純物をろ過によって分離した。得られたろ液に6重量%のアンモニア水溶液を溶液のpHが8になるまで添加し、EDDHAの結晶を析出させた。これを開口径5μmのフィルターでろ過する事により、EDDHAの結晶を得た。さらに、得られた結晶をフィルター上で純水により洗浄した。
【0025】
上記の操作を8回繰り返した後、精製されたEDDHAの結晶を乾燥機中で乾燥させて本発明の高純度EDDHAを得た。
EDDHA中の金属不純物量は以下に示す方法で湿式分解した後、分析した。洗浄した石英フラスコにEDDHA1gをサンプリングした後、硫酸5mlを添加し、加熱炭化後、硝酸及び過酸化水素水を添加して、加熱しながら酸化分解した。さらに加熱して硫酸以外を蒸発させた後、純水で50mlにメスアップした。この様にして、サンプルを湿式分解した後、金属不純物量をICP−AES法及び原子吸光法で分析した。
【0026】
表−1に上記操作によって得られた高純度EDDHAの分析値を示す。また、比較のために未精製のEDDHA(米国、SIGMA CHEMICAl COMPANY 社製、Lot No.85H5041:比較例1、Lot No.117F50221:比較例2)の分析値も表−1に示した。
【0027】
【表1】
表−1
【0028】
表−1に示したように従来のEDDHA中には各々数〜数千ppm程度の金属不純物が含有されているが、本発明の精製法により、これを5ppm以下に低減する事が可能である。
【0029】
実施例2
市販のEDDHA(米国、SIGMA CHEMICAl COMPANY 社製、CATALOG #: E4135、Lot No.117F50221:比較例2)に対し、3重量%のアンモニア水溶液をEDDHA1gにつき10ml加え、EDDHAを溶解した。このEDDHA硝酸水溶液を開口径0.1μmのテフロンフィルター(PTFE製)でろ過する事により、不溶性の不純物をろ過によって分離した。得られたろ液に23重量%の硝酸水溶液を溶液のpHが6になるまで添加し、EDDHAの結晶を析出させた。これを、開口径5μmのテフロンフィルター(PTFE製)でろ過する事により、EDDHAの結晶を得た。さらに、得られた結晶をフィルター上で純水により洗浄した。
【0030】
上記の操作を7回繰り返した後、精製されたEDDHAの結晶を乾燥機中で乾燥させて本発明の高純度EDDHAを得た。得られた高純度EDDHAを実施例1と同様の方法で分析した結果を表−2に示す。
【0031】
【表2】
表−2
【0032】
実施例3
実施例2により得られた高純度EDDHAを高純度アンモニア水溶液(30重量%)に240ppm添加して溶解し、本発明のEDDHA添加アンモニア水溶液を得た。得られたEDDHA添加アンモニア水溶液の金属不純物分析結果を表2に示す。金属不純物はICP−MS法及び原子吸光法により分析した。金属不純物分析結果を表−3に示す。
【0033】
【表3】
表−3
【0034】
表−3に示されるように、本発明の高純度EDDHAを用いる事により、金属元素の含有量を各1ppb以下に低減する事が可能である(EDDHA添加量240ppmの場合)。
【0035】
実施例4、5及び比較例3〜6
アンモニア水(30重量%)、過酸化水素水(31重量%)及び水を1:1:10の容量比で混合し、得られた水性溶媒に、金属付着防止剤として、表−4に示す様にEDDHAを所定量添加して表面処理組成物を調製した。EDDHAには実施例1で得られた高純度EDDHAを用いた。なお、比較のために市販のEDDHA(米国、SIGMA CHEMICAl COMPANY 社製、CATALOG #: E4135、Lot No.117F50221:比較例2のもの)をそのまま用いたものも調製した。なお、EDDHAの添加量は該水性溶媒に対する重量比(ppm)で示した。また、比較のために、該水性溶媒にEDDHAを添加しないものも調製した。表面処理組成物の全容量は2.8リットルであり、容量6リットルの蓋のない石英槽に入れた。液の温度は、加温して55〜65℃に保持した。
【0036】
こうして調製した表面処理液を、55〜65℃に保持したまま一定時間放置した。一定時間放置後、Al、Feを1ppbずつ添加し、清浄なシリコンウェハ(p型、CZ、面方位(100))を10分間浸漬した。浸漬後のウェハは、超純水で10分間オーバーフローリンスした後、窒素ブローにより乾燥し、ウェハ表面に付着したAl、Feを定量した。シリコンウェハ上に付着したAl、Feはフッ酸0.1重量%と過酸化水素1重量%の混合液で回収し、フレームレス原子吸光法により該金属量を測定し、基板表面濃度(atoms/cm2)に換算した。結果を表−4に示す。なお、比較のために、表面処理液を放置しない場合の実験結果も表−4に示した。
【0037】
【表4】
表−4
【0038】
表−4に示したように、高純度EDDHAを用いた場合には、表面処理液を60℃程度で長時間放置した後でも、基板表面への金属付着防止効果が維持される。一方、市販のEDDHAを用いた場合、添加直後は効果があるものの、長時間使用すると付着防止効果が低下する。特に、Feの付着量は錯化剤無添加の場合より、多くなっている。これは、従来のEDDHA中に含まれていた多量のFeが、EDDHAの分解によってEDDHAから離れて、基板表面に付着したためと推測される。
【0039】
実施例6〜8及び比較例7、8
アンモニア水(30重量%)、過酸化水素水(31重量%)及び水を1:1:10の容量比で混合し、得られた水性溶媒に、金属付着防止剤として、表−5に記載の2種の錯化剤を所定量添加し、本発明の表面処理組成物を調整した。EDDHAには実施例1で得られた高純度EDDHAを用いた。なお、比較のために市販のEDDHA(米国、SIGMA CHEMICAl COMPANY 社製、CATALOG #: E4135、Lot No.117F50221:比較例2のもの)を用いたものも調整した。酢酸及びo-フェナントロリン中の金属元素量は各1ppm以下であった。この液を55〜65℃に保持して、一定時間放置した後、実施例1と同じ方法で、基板表面への金属付着性を評価した。この他の実験条件は全て実施例4と同様とした。実験結果を表−5に示す。
【0040】
【表5】
表−5
【0041】
【発明の効果】
本発明の表面処理方法を用いれば、表面処理組成物から基体表面へのAl、Fe等の金属不純物汚染を防止し、安定的に極めて清浄な基体表面を長時間にわたって達成する事ができる。
特に、[アンモニア+過酸化水素+水]洗浄等に代表される半導体基板のアルカリ洗浄に本発明を適用すると、該洗浄法の問題点であった基板への金属不純物付着の問題が改善され、これにより該洗浄によって、パーティクル、有機物汚染と共に、金属汚染のない高清浄な基板表面が達成される。このため、従来、該洗浄の後に用いられてきた、[塩酸+過酸化水素+水]洗浄等の酸洗浄が省略でき、洗浄コスト、及び排気設備等のクリーンルームのコストの大幅な低減が可能となるため、半導体集積回路の工業生産上利するところ大である。
半導体、液晶等の製造する際、エッチングや洗浄等のウェットプロセスには、基板表面への金属不純物付着を防止するため、金属不純物濃度が0.1ppb以下の超純水及び超高純度薬品が用いられている。さらに、これらの薬液は、使用中に金属不純物が混入するため頻繁に交換する必要がある。しかし、本発明を用いれば、液中に多量の金属不純物が存在していても付着防止が可能なため、超高純度の薬液を使う必要がなく、また、薬液が使用中に金属不純物で汚染されても頻繁に交換する必要はないため、薬液およびその管理のコストの大幅な低減が可能である。
また、金属が表面に存在する基板のエッチングや洗浄の際には、処理される金属よりイオン化傾向の高い金属が不純物として液中に存在すると基板表面に電気化学的に付着するが、本発明を用いれば金属不純物は安定な水溶性金属錯体となるので、これを防止する事が出来る。
以上のように、本発明の表面処理剤の波及的効果は絶大であり、工業的に非常に有用である。
Claims (7)
- Fe、Al、Znの内の少なくとも1つの金属元素の含有量が5ppm以下である事を特徴とする高純度エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸またはそのアンモニウム塩。
- Fe含有量が5ppm以下、Al含有量が2ppm以下、Zn含有量が2ppm以下である事を特徴とする高純度エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸またはそのアンモニウム塩。
- 請求項1または2に記載の高純度エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸またはそのアンモニウム塩を含有する半導体基板の洗浄またはエッチング用組成物。
- 請求項1または2に記載の高純度エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸またはそのアンモニウム塩を含有したアルカリ性水溶液。
- 請求項4に記載のアルカリ水溶液であって、アンモニア濃度が0.1〜35重量%、高純度エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸の濃度が10−7〜5重量%であるアルカリ水溶液。
- 酸性またはアルカリ性溶液にエチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸またはその塩を溶解した後、不溶性不純物をろ過分離して取り除き、再び中和して、エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸の結晶を析出させ、該結晶を液と分離して得る事を特徴とする高純度エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸またはその塩の製造方法。
- 請求項6の精製方法において、不溶性不純物のろ過分離が開口径0.5μm以下のフィルターによっておこなわれる高純度エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸またはその塩の製造方法。
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