JP3886740B2 - 液晶表示装置用カラーフィルタ、液晶表示装置用観察者側電極基板、及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半透過型カラー液晶表示装置に係り、特に、外部光源が十分明るい場合は、反射型カラー液晶表示装置として、また外部光源がない場合または不十分な場合は透過型カラー液晶表示装置として機能する半透過型カラー液晶表示装置に使用されるカラーフィルタ、観察者側電極基板、及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2(a)に透過型液晶表示装置の主要部を示す。透過型液晶表示装置は偏光膜(図2(a)では省略)と液晶駆動用の電極、すなわち、観察者側透明電極層203、及び背面側透明電極層215が各々配設された対向する一対の電極基板、すなわち、観察者側電極基板207、及び背面側電極基板208と、これら電極基板間に封入された液晶物質204とでその主要部が構成されている。
また、カラー画像を表示する透過型液晶表示装置にあっては、上記一対とした電極基板のいずれか一方にカラーフィルタ202を設け、透過型カラー液晶表示装置とする。
【0003】
画面表示を行なう際、対向する電極間に電圧を印加することにより電極基板間に封入された液晶物質の配向状態を変化させて、この液晶物質を透過する光の偏光面を制御すると共に、偏光膜によりその透過、不透過を制御している。
【0004】
透過型液晶表示装置は、背面側に位置する電極基板(上記一対とした電極基板のうち、液晶物質を間に挟み観察者と反対側に位置する電極基板であり、以下背面側電極基板と記す)の裏面もしくは側面に光源(ライト)217を配置し、光源217より照射された入射光223にて画面表示を行なう、バックライト型もしくはライトガイド型のランプ内蔵式透過型液晶表示装置が広く普及している。
【0005】
従来より液晶表示装置は、低消費電力で軽量化が可能という特徴を活かし、モバイル機器等の携帯用表示装置への利用が期待されている。
しかし、ランプ内蔵式透過型液晶表示装置では内蔵した光源(ライト)による消費電力が大きいため、ランプ内蔵式透過型液晶表示装置はバッテリーの使用時間が短く、且つバッテリーの占める割合が大きいため装置が重く、かさ張ることになる。すなわち、ランプ内蔵式透過型液晶表示装置は液晶表示装置が本来有する利点を活かしきれているとはいえない。
尚、201は観察者側透明基板、206は背面側透明基板、212はシール材を示している。
【0006】
このため、光源(ライト)を内蔵しない反射型液晶表示装置が実用化されている。図2(b)及び(c)に反射型カラー液晶表示装置の一例を示す。
図2(b)では、観察者側電極基板207の前面に光散乱機能を有する光散乱膜層209を、また背面側電極基板208に金属反射電極層205を配設している。
観察者側電極基板207(液晶物質を挟持する一対の基板のうち、観察者側に位置する電極基板)の外側にある光散乱膜層209側から室内光や自然光等の外光(反射用入射光)221を液晶表示装置内に入射させ、この反射用入射光を上記金属反射電極層205で反射させ、この散乱反射光222を光散乱膜層209より射出することで画面表示を行なうものである。
【0007】
図2(c)では、背面側電極基板208に光散乱機能を有する反射電極層225を配設しており、光散乱と反射の二つの機能をもたせている。観察者側電極基板207側から室内光や自然光等の外光(反射用入射光)221を液晶表示装置内に入射させ、この反射用入射光を上記反射電極層225で散乱反射させ、この散乱反射光222を観察者側電極基板207より射出することで画面表示を行なうものである。
【0008】
上記のように、光源(ライト)を内蔵しない反射型液晶表示装置は低消費電力を実現でき、また、光源(ライト)を内蔵しない分、装置を小型、軽量、薄型とすることができ、携帯用表示装置として適している。
しかし、反射型液晶表示装置は外光の乏しい暗所では十分機能しないため、透過型と反射型を兼ね備えた携帯用の液晶表示装置が携帯性能を若干犠牲にしているものの、実用上極めて有用である。
【0009】
透過型液晶表示装置は、屋外等の強い外光のもとでは表示効果が著しく低下するのに対し、反射型液晶表示装置では全く逆に表示効果が良好になる。また、外光の乏しい場所では反射型液晶表示装置が全く機能しないのに対し、透過型液晶表示装置は周辺が暗い分、更に視認性が増す。
かかる事情により透過型液晶表示装置と反射型液晶表示装置は相補完の関係にあり、従って透過型液晶表示装置と反射型液晶表示装置の機能を合わせもつ半透過型液晶表示装置は、屋外等の強い外光のもとでも、また、室内等の外光の乏しい場所でも使用することになる携帯端末等に対し極めて有用である。
【0010】
半透過型液晶表示装置をカラー表示する場合は前述のようにカラーフィルタが必要になる。透過型カラー液晶表示装置と反射型カラー液晶表示装置の機能上の相違点は幾つかある。
すなわち、透過型カラー液晶表示装置の光源は装置に組み込まれた良質な光源であるのに対し、反射型カラー液晶表示装置では使用する光源は種々雑多であり、通常の場合点光源または蛍光灯のような限定された面光源即ち非散乱光である。
【0011】
そのため、反射型カラー液晶表示装置では何らかの手段で入射光を散乱光に変換する必要があり、例えば、図2(b)または(c)のような方式、すなわち、
A)透明な樹脂等に該樹脂の屈折率と異なる屈折率を有する微粒子を分散して、光の屈折と回折により入射光を散乱させる。
B)反射ミラーの表面を凹凸にして入射光を乱反射させる。
などの方式によって散乱光に変換させている。
【0012】
図2(a)の透過型カラー液晶表示装置と、図2(b)及び(c)の反射型カラー液晶表示装置とを比較すると、透過型カラー液晶表示装置がカラーフィルタ層を1回だけ通過するのに対し反射型カラー液晶表示装置では2回通過する。従って仮に同一材料の色材を使用して同一色調を得ようとすると、反射型カラー液晶表示装置ではカラーフィルタの膜厚を1/2にしなければならない。
【0013】
半透過型カラー液晶表示装置において、透過型と反射型に使い分ける方式としては、
1)ハーフミラーを用いて透過光ならびに反射光をそれぞれの二分の一ずつ利用するハーフミラー方式、
2)基板上の画素部を二分割して、一方を透明にして透過光を、他方に金属反射板を設けて反射光をそれぞれ二分の一づつ利用する画素分割方式、
などがある。
【0014】
図3及び図4に、代表的な半透過型カラー液晶表示装置の断面図を示す。図3はハーフミラー方式で、光散乱膜層を組み合わせたものであり、図4は画素分割方式で、散乱反射板電極層を組み合わせたものである。
図3に示すハーフミラー方式は透過型カラー液晶表示装置の外部にハーフミラーと光散乱膜層を配置することにより比較的容易に半透過型カラー液晶表示装置を実現できるがカラーフィルタを共用しなければならないので、反射型では暗く、透過型では明るすぎるという欠点は免れない。
【0015】
他方、図4に示す画素分割方式では透過用と反射用とで光の通路を完全に分離することが可能であり、従って透過用と反射用とで異なるカラーフィルタを設計することができ、反射型と透過型とで最適のカラーフィルタが実現可能である。
しかし、透過用カラーフィルタと反射用カラーフィルタを各々作る事は多大な労力とコストがかかるという欠点を有していた。
【0016】
いずれの場合も観察者側電極基板307、407と背面側電極基板308、408をシール材312、412で張り合わせ、内部に液晶物質304、404を封入している。
背面側電極基板308、408としては、単純マトリクス基板及びTFT等アクティブマトリクス基板がある。
【0017】
図3のように光散乱膜層309を観察者側電極基板307の外側に配置する場合、または光散乱膜層309を背面側電極基板308の外側に配置するような場合もふくめ、液晶物質304で表示される画像はそれぞれ観察者側透明基板301または背面側透明基板306を介して観察することになり、画像の解像性が著しく低下するという欠点を有している。
尚、318は偏光子兼検光子、319は偏光子、303は観察者側透明電極、302はカラーフィルタ、321は反射用入射光、322は散乱光を各々示している。
【0018】
図4の半透過型カラー液晶表示装置を透過型として使用する場合、透過用入射光423の50%が背面側電極基板408に設けた背面側透明電極層415を通って液晶物質404、観察者側透明電極層403、カラーフィルタ402、観察者側透明基板401を通過して外部に出る。
また、図4の半透過型カラー液晶表示装置を反射型カラー液晶表示装置として使用する場合、反射用入射光421は観察者側電極基板407、液晶物質404、散乱反射電極層405で入射光の50%は折り返し、再度液晶物質404、観察者側電極基板407を通過して散乱反射光422が外部に出る。
図4の場合も透過型ではカラーフィルタ402を1回通過するのに対し、反射型ではカラーフィルタ402を2回通過する。
【0019】
図4の半透過型カラー液晶表示装置では光散乱機能は凹凸のある散乱反射電極層405が担っている。すなわち、光散乱機能が液晶物質と接しているため解像性が優れている。また、この光散乱方式は、反射用入射光が散乱反射電極層で一部吸収される以外は光の損失が無いため光の利用効率が優れている。
しかし、散乱反射電極層の表面を凹凸に形成するにあたりフォトリソグラフィー法等の処理工程を経なければならないため製造工程が煩雑になり、また、製造コストが上がる等の欠点がある。
尚、418は偏光子兼検光子、419は偏光子、406は背面側透明基板、421は反射用入射光、422は散乱光を各々示している。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような問題に鑑みなされたものである。その課題とするところは、半透過型カラー液晶表示装置において、透過型カラー液晶表示装置として使用した場合と反射型カラー液晶表示装置として使用する場合とで同一色調が再現でき、また、反射型カラー液晶表示として使用した場合の解像性を低下させることなく、より低コストな半透過型カラー液晶表示装置に使用するカラーフィルタ、観察者側電極基板、及びそれらの製造方法を提供するものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明に用いる第一の発明は、一画素を透明電極層と金属反射電極層とで分割して光透過部と光反射部を設けた画素を多数配列した背面側電極基板と、該背面側電極基板に対峙して配置されたカラーフィルタを有する観察者側電極基板と、これ等の電極基板間に封入された液晶物質とを備え、この液晶物質に対し画素毎に電圧を印加して画面表示する半透過型カラー液晶表示装置に用いる半透過型液晶表示装置用カラーフィルタであって、該観察者側電極基板の、前記背面側電極基板の光反射部に相対する位置にのみ、透明樹脂と該透明樹脂と異なる屈折率を有する非晶質微粒子を分散した光散乱膜層を設け、かつ、該光散乱膜層部分を含む一画素内の観察者側透明基板及び光散乱層上に同一のカラーフィルタ材料を用い、光反射部に相当する部分の厚みが、光透過部に相当する部分の厚みの1/3以上、2/3未満の厚みとしたカラーフィルタが設けられていることを特徴とする半透過型液晶表示装置用カラーフィルタである。
【0023】
また、上記第一の発明による液晶表示装置用カラーフィルタにおいて、前記非晶質微粒子が、球形状で透明なシリカ、シリコン樹脂、架橋アクリル樹脂であることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタである。
【0024】
また、上記第一の発明による液晶表示装置用カラーフィルタにおいて、前記非晶質微粒子が、屈折率の異なる2種類以上の樹脂溶液から相分離で生成、形成されたことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタである。
【0025】
また、上記第一の発明による液晶表示装置用カラーフィルタにおいて、前記非晶質微粒子が、微小樹脂パターンを溶融解して形成された半球形状のマイクロレンズであることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタである。
【0026】
本発明における第二の発明は、一画素を透明電極層と金属反射電極層とで分割して光透過部と光反射部を設けた画素を多数配列した背面側電極基板と、該背面側電極基板に対峙して配置されたカラーフィルタを有する観察者側電極基板と、これ等の電極基板間に封入された液晶物質とを備え、この液晶物質に対し画素毎に電圧を印加して画面表示する半透過型カラー液晶表示装置に用いる観察者側電極基板であって、該観察者側電極基板の、前記背面側電極基板の光反射部に相対する位置にのみ、透明樹脂と該透明樹脂と異なる屈折率を有する非晶質微粒子を分散した光散乱膜層を設け、かつ、該光散乱膜層部分を含む一画素内の観察者側透明基板及び光散乱層上に同一のカラーフィルタ材料を用い、光反射部に相当する部分の厚みが、光透過部に相当する部分の厚みの1/3以上、2/3未満の厚みのカラーフィルタを設け、更に、前記カラーフィルタの上層部に観察者側透明電極層が設けられていることを特徴とする半透過型液晶表示装置用観察者側電極基板である。
【0027】
本発明における第三の発明は、一画素を透明電極層と金属反射電極層とで分割して光透過部と光反射部を設けた画素を多数配列した背面側電極基板と、該背面側電極基板に対峙して配置されたカラーフィルタを有する観察者側電極基板と、これ等の電極基板間に封入された液晶物質とを備え、この液晶物質に対し画素毎に電圧を印加して画面表示する半透過型カラー液晶表示装置に用いる半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、透明基板に、透明樹脂と該透明樹脂と異なる屈折率を有する非晶質微粒子を分散した塗液を塗布後、該観察者側電極基板の、前記背面側電極基板の金属反射電極層に相対する位置にのみ、フォトグラフィ法によりパターニングした光散乱膜層を設け、次に、該光散乱膜層部分を含む一画素内の観察者側透明基板及び光散乱層上に同一のカラーフィルタ材料を用い、光散乱膜層部分の厚みが、光散乱膜層が設けられていない部分の厚みの1/3以上、2/3未満の厚みのカラーフィルタを形成したことを特徴とする半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法である。
【0029】
また、上記第三の発明による液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、前記非晶質微粒子として、球形状で透明なシリカ、シリコン樹脂、架橋アクリル樹脂を用いることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法である。
【0030】
また、上記第三の発明による液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、前記非晶質微粒子を、屈折率の異なる2種類以上の樹脂溶液から相分離で生成、形成することを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法である。
【0031】
また、上記第三の発明による液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、前記非晶質微粒子として、微小樹脂パターンを溶融解して形成された半球形状のマイクロレンズを用いることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法である。
【0032】
本発明における第四の発明は、一画素を透明電極層と金属反射電極層とで分割して光透過部と光反射部を設けた画素を多数配列した背面側電極基板と、該背面側電極基板に対峙して配置されたカラーフィルタを有する観察者側電極基板と、これ等の電極基板間に封入された液晶物質とを備え、この液晶物質に対し画素毎に電圧を印加して画面表示する半透過型カラー液晶表示装置に用いる観察者側電極基板の製造方法であって、透明基板に、透明樹脂と該透明樹脂と異なる屈折率を有する非晶質微粒子を分散した塗液を塗布後、該観察者側電極基板の、前記背面側電極基板の金属反射電極層に相対する位置にのみ、フォトグラフィ法によりパターニングした光散乱膜層を設け、次に、該光散乱膜層部分を含む一画素内の観察者側透明基板及び光散乱層上に同一のカラーフィルタ材料を用い、光散乱膜層部分の厚みが、光散乱膜層が設けられていない部分の厚みの1/3以上、2/3未満の厚みに形成したカラーフィルタを設け、更に、前記カラーフィルタの上層部に観察者側透明電極層を形成したことを特徴とする半透過型液晶表示装置用観察者側電極基板の製造方法である。
【0034】
また、上記第四の発明による液晶表示装置用観察者側電極基板の製造方法において、前記非晶質微粒子として、球形状で透明なシリカ、シリコン樹脂、架橋アクリル樹脂を用いることを特徴とする液晶表示装置用観察者側電極基板の製造方法である。
【0035】
また、上記第四の発明による液晶表示装置用観察者側電極基板の製造方法において、前記非晶質微粒子を、屈折率の異なる2種類以上の樹脂溶液から相分離で生成、形成することを特徴とする液晶表示装置用観察者側電極基板の製造方法である。
【0036】
また、上記第四の発明による液晶表示装置用観察者側電極基板の製造方法において、前記非晶質微粒子として、微小樹脂パターンを溶融解して形成された半球形状のマイクロレンズを用いることを特徴とする液晶表示装置用観察者側電極基板の製造方法である。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による液晶表示装置用観察者側電極基板を用いた半透過型カラー液晶表示装置の一実施例の断面図である。図1(a)に示すように、この半透過型カラー液晶表示装置100は、偏光子119、背面側電極基板108、液晶物質104、液晶表示装置用観察者側電極基板107、偏光子兼検光子118、及びシール材112で構成されたものである。
画素は、一点鎖線で示すように区分されており、各々R(赤)、G(緑)、B(青)で、その画素領域が表されている。
【0038】
背面側電極基板108は、背面側透明基板106上に金属反射電極層105と透明電極層115が形成されたものであり、金属反射電極層105が形成された光反射部と透明電極層115が形成された光透過部とで画素を二分割している。
図6は、図1に示す半透過型カラー液晶表示装置を構成する本発明による液晶表示装置用観察者側電極基板107の断面図である。図6に示すように、液晶表示装置用観察者側電極基板(以下、観察者側電極基板と記す)107は、観察者側透明基板101上に光散乱膜109、液晶表示装置用カラーフィルタ102、観察者側透明電極層103が形成されたものである。
【0039】
また、図1及び図6に示すように、この光散乱膜層109は、透明樹脂111とこれに分散され異なる屈折率を有する非晶質微粒子110とを主成分とするものであり、背面側透明基板106上の金属反射電極層105に相対する位置に設けられている。
液晶表示装置用カラーフィルタ102は、本発明による液晶表示装置用カラーフィルタ(以下、カラーフィルタと記す)であり、光散乱膜層109部分を含む一画素内に同一のカラーフィルタ材料を用い設けられたものである。
【0040】
背面側電極基板108と観察者側電極基板107とはシール材112で接合され、更に液晶物質104が封入されている。そして、背面側電極基板108の金属反射電極層105と透明電極層115、及び観察者側電極基板107の観察者側透明電極層103間に電気信号が印加されるようになっている。
【0041】
観察者側透明基板101及び背面側透明基板106は熱膨張率の等しい低膨張ガラスが最も好ましいが、液晶物質104の配向を乱さない材料で、且つ、電気的動作を阻害するようなイオンが溶出しない基材であればよい。具体的には硼珪酸等の無アルカリガラス、低膨張ガラス、表面を酸化珪素等で被覆したソーダガラス、透明な樹脂板、樹脂フィルム等が適用できる。
【0042】
光散乱膜層109は非晶質微粒子110が屈折率の異なる透明樹脂111中に分散して成る膜層であり、後述の金属反射電極層105と同一パターンで相対している。光散乱膜層109の膜厚は2μm〜5μmの範囲が好ましい。後述するカラーフィルタ102の膜厚と大幅に相違すると、表面の平坦性が低下し光透過部分と光反射部分でギャップの差が大きくなり表示効果を著しく損なう。
【0043】
光散乱膜層109の非晶質微粒子110としては無機物から成る微粒子及び有機ポリマーから成る微粒子を例示できる。特に、非晶質であるということから有機ポリマー微粒子が主としてあげられるが、無機物微粒子であっても、非晶質であれば問題ない。
本発明においては、微粒子が非晶質微粒子であることを特徴とするものであり、微粒子が結晶質であると光学的異方性を帯びると考えられ、光散乱に対しては好ましいものではない。
【0044】
例えば、無機物微粒子であればシリカやアルミナの酸化物等の球状の非晶質微粒子、有機ポリマー微粒子としては、アクリル微粒子やスチレンアクリル微粒子及びその架橋体、メラミン−ホルマリン縮合物、(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフルオロビニリデン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)等の含フッ素ポリマー、シリコン樹脂微粒子等を例示できるが、そのなかでも、架橋アクリル樹脂微粒子は屈折率が1.5未満であり、更にシリカ粒子あるいはシリコン樹脂微粒子は屈折率が1.42〜1.45(ハロゲンランプD線589nm)と小さいため特に好ましい。
【0045】
更に、これ等の微粒子に適当な表面処理を施し、溶剤分散性や透明樹脂との相性を改善した上で、上記微粒子として適用することも可能である。このような表面処理の例としては、例えば、SiO2 、ZrO2 、Al2 O3 、ZnO、透明樹脂、カップリング剤、又は、界面活性剤等を塗布被覆する処理が挙げられる。
また、この他、アルコール、あるいはアミンや有機酸等で表面反応を生じさせたりする処理が例示できる。
【0046】
また、これらの微粒子は、光散乱膜層中の微粒子として主として含まれていれば良く、例えば、微粒子の70%程度以上が含まれていれば良い。これらの微粒子の他に、塗液中での微粒子の分散安定性や、光散乱特性の微調整等を目的として、不定形微粒子等の非球状微粒子や、結晶性微粒子を30%程度以下の少量加えても良い。
【0047】
非晶質微粒子110の形状は特に限定するものではないが、好ましくは球形または球形に類似する形状である。球形微粒子はサイズ、粒径分布等のコントロールが容易であり、従って、光散乱膜層109の光学特性の制御が容易になる。
微粒子の粒径としては、目的とする光散乱膜層の膜厚や着色有無により許容範囲が異なり、特に限定されない。しかし、通常、光散乱膜層の膜厚よりも大きい微粒子を使用すると、光散乱膜層の表面が非常に粗くなってしまい、あまり好ましくない。
上記微粒子の粒径としては特に限定しないが、好ましい粒径範囲としては、平均粒子径0.7μm〜3.5μm程度好ましくは平均粒子径1.5μm〜3.0μmである。
【0048】
微粒子の比重は光散乱膜層の光学特性に直接影響するものではないが、光散乱膜層109を形成する際の塗布特性に多大な影響を及ぼし、ひいては光散乱膜層109自身の特性にも関係する。その値は透明樹脂111溶液の比重に近い事が塗液の安定性にとって望ましい。
【0049】
上記微粒子を分散させる透明樹脂111としては、可視光線透過率が高く、また液晶表示装置の製造工程中における熱処理や薬品処理に対する十分な耐性を具備するものが望ましく、例えば、屈折率の高い樹脂としてエポキシ変性アクリル樹脂、フローレン樹脂、ポリイミド樹脂が、また屈折率の低い樹脂としてフッ素変性アクリル樹脂、シリコン変性アクリル樹脂が適用できる。その他アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂等が適宜使用できる。
光散乱膜層をフォトリソグラフィ工程でパターン状に設ける場合には感光性と現像性とを有するアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂が利用できる。また、熱硬化性樹脂や紫外線硬化型樹脂を利用することも可能である。
【0050】
例えば、微粒子の屈折率が1.49(ハロゲンランプD線589nmを用いての値)の架橋アクリル微粒子である場合、透明樹脂は屈折率1.55〜1.65であることが好ましい。また屈折率1.42〜1.45のシリカ粒子あるいはシリコン樹脂微粒子である場合、透明樹脂は屈折率1.50〜1.60であることが好ましい。
【0051】
上記光散乱膜層109は、非晶質微粒子110を透明樹脂111中に混合・分散して透明基板上に塗布、乾燥後フォトリソグラフィ工程を経て任意の形状に形成する。尚、塗布方法としては、スピンコート、フローコート、ロールコート法等が適用でき、露光方法としては投影露光、プロキシミティ露光が適用できる。
また、光散乱膜層109のパターン形成手段としてフォトリソグラフィ法、電着法、印刷法、インクジェト法等常用の手段で形成できる。
【0052】
光散乱膜層109中の非晶質微粒子110として二つの樹脂を混合し、相分離して形成できる微粒子が例示できる。異なる屈折率を有する二つ以上の樹脂、添加材を適量選定し、溶剤中に溶解した塗液を基板上に塗布乾燥して非晶質微粒子110を形成する。
【0053】
相分離は二つの樹脂を溶液中に混合した時点で、或いは基板上に塗布乾燥して溶剤が揮発していく過程で成長し、塗膜が乾燥した時点で透明な非晶質微粒子110が形成できる。このとき溶液中では相分離した一方の樹脂が球形に成長しようとするが、基板上に塗布した場合、塗膜中の溶剤が揮発するに従い膜容積が減少し、且つ該球形は成長して容積を増していくが、上面からの応力で球形から円盤状に変形しながら成長する。
【0054】
二つの樹脂溶液から一方の樹脂が液滴として生成成長し非晶質微粒子110が形成する条件は、一方の樹脂をA、他の樹脂をBとすると
1)Aの量がBの量より少
2)A溶液の表面張力がB溶液の表面張力より大
3)A溶液の蒸発速度がB溶液の蒸発速度より大
4)Aの分子量がBの分子量より大
等があげられるが特に量の大小は強度の制約条件である。
【0055】
非晶質微粒子が、屈折率の異なる2種類以上の樹脂溶液から相分離で生成、形成されたると、非晶質微粒子が膜の内部に留まり、表面に出ることがないので、光散乱膜層の表面が平坦になり、さらにカラーフィルタの膜厚も均一なものとなる。
【0056】
相分離して形成した透明樹脂111及び非晶質微粒子110は可視光線透過率が高く、また液晶表示装置の製造工程中における熱処理や薬品処理に対する十分な耐性を具備するものが望ましい。
例えば、屈折率の高い樹脂としてエポキシ変性アクリル樹脂、フローレン樹脂、ポリイミド樹脂が、また、屈折率の低い樹脂としてフッ素変性アクリル樹脂、シリコン変性アクリル樹脂が適用できる。その他アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂等が適宜使用できる。
【0057】
非晶質微粒子は球形状のものが入手し易く、また、透明なシリカ、シリコン樹脂の屈折率は1.43〜1.44、架橋アクリル樹脂の屈折率は1.49であり、屈折率の高い樹脂として適用できる。
【0058】
光散乱膜層をフォトリソグラフィ工程でパターン状に設ける場合には感光性と現像性とを有するアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂が利用できる。また、熱硬化性樹脂や紫外線硬化型樹脂を利用することも可能である。
【0059】
上記樹脂以外にも塗布適性を改善するための界面活性剤、感光性を付与させるための光重合開始剤、増感剤、等を添加することができる。
【0060】
光散乱膜層109中の非晶質微粒子110として前記二例とは異なる形状、異なる製造プロセスが例示できる。すなわち、透明樹脂を基板上に塗布乾燥しフォトリソグラフィ法等の手段を用いて膜厚数μm、パターンサイズ数μm〜数十μmの微細なレリーフを多数形成し、加熱によって該レリーフを軟化させしかる後熱架橋させる。この上に屈折率の異なる透明樹脂111を塗布する事により光散乱膜層109が形成できる。
【0061】
非晶質微粒子が微小樹脂パターンを溶融解して形成された半球形状のマイクロレンズであると、パターン形状(大きさと形)を任意に変更でき、かつ、膜厚を変えることによってマイクロレンズの性能、すなわち、光散乱特性を変更できる。
【0062】
上記観察者側電極板107に設けられる観察者側透明電極層103、及び背面側透明基板106に設けられる透明電極層115としては、ITO薄膜、酸化インジウムに酸化チタン、酸化鉛、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化ハフニウムあるいは酸化イットリウムを添加して成る薄膜、酸化亜鉛に酸化アルミニウムを添加して成る薄膜、あるいはこれらの薄膜を多数積層して成る多層膜が利用できる。
【0063】
また、観察者側透明電極層103、透明電極層115、同じく金属反射電極層105の最上面、すなわち、液晶物質104との界面には配向膜が形成されている。(図1、図6では省略)
【0064】
背面側電極基板108にある透明電極層115は金属反射電極層105と画素を二分するように配置する。電気的には金属反射電極層105と透明電極層115は導通していても、また絶縁していてもよい。要は観察者側電極基板107とで挟持されている液晶物質104に電圧が印加ができればよい。
【0065】
また、本発明による観察者側電極基板107を用いた半透過型カラー液晶表示装置100においてはカラーフィルタ102を設けることによりカラー画面の表示が可能となる。このカラーフィルタ102としては周知のものが利用でき、例えば、着色剤を含む印刷インキを印刷して形成された印刷法によるカラーフィルタ、感光性樹脂を塗布しフォトリソグラフィ法に従ってパターン状に露光・現像した後、残存する感光性樹脂を染料で染色して得られる染色法によるカラーフィルタ、着色剤を分散させた感光性樹脂を塗布しフォトリソグラフィ法に従ってパターン状に露光・現像して得られる顔料分散法によるカラーフィルタ等を利用することができる。電着法によるカラーフィルタを利用することも可能である。
【0066】
ここで、カラーフィルタ102の膜厚は光散乱膜層109の形成された場所と光散乱膜層109の存在しない場所で差を設けている。
図5ではカラーフィルタの膜厚と光がカラーフィルタを通過する際の光路長を反射部と透過部の各々について図示している。反射型と透過型とを同一色調とするためには、反射型として機能する位置のカラーフィルタ102の膜厚が、透過型として機能する位置のカラーフィルタ102の膜厚の1/2でなくてはならない。(図5aとb)
しかし、反射型と透過型を使い分けるとき、厳密に同一色調である必要はない。反射光の弱い所では色の鮮やかさ、すなわち、彩度より明るさ即ち明度が要求されるから、カラーフィルタの膜厚は透過型のそれよりさらに薄くてもよいが、光路長で2/3、すなわち、膜厚で1/3が感覚的な限界である。(図5cとd)
【0067】
また、反射光が強すぎる場所で使用する用途の場合、或いは透過型でより明るい表示で使用する用途では、反射型の光路長を透過型の光路長より長くする必要があるが、反射型の光路長と透過型の光路長の比は1.3倍程度、すなわち、反射型カラーフィルタの膜厚は透過型の2/3が感覚的な限界である。(図5eとf)
また、光散乱膜層109とカラーフィルタ102の位置関係は、図6の位置関係の逆、すなわち、カラーフィルタ102の上に光散乱膜層109があってもよい。要は、光散乱膜層109に接する部分のカラーフィルタ102の膜厚が前記の範囲にあればよい。
【0068】
また、液晶物質の駆動方式が変わると背面側電極基板108の構造も変わるが、要は、画素を略二分する金属反射電極層105と透明電極層115が設けられ、観察者側電極基板107間の液晶物質が駆動できれば、単純マトリクス方式であっても、また、TFT等の能動素子を用いたアクティブマトリクス方式であってもよい。
【0069】
最後に、配向膜、偏光板及び位相差板を組み入れ、背面側電極基板と観察者側電極基板を重ね合わせ外周をシール材112で封止した後、ネマチック液晶等、周知の液晶物質104を封入して半透過型カラー液晶表示装置100が完成する。
【0070】
本発明による観察者側電極基板107を用いた半透過型カラー液晶表示装置を外光の多い場所で反射型カラー液晶表示装置として使用する場合、図1の反射用入射光121は偏光子兼検光子118を通過して、観察者側電極基板107に入る。光散乱膜層109、カラーフィルタ102を通過した光は金属反射電極層105で反射し、再度カラーフィルタ102、光散乱膜層109、偏光子兼検光子118を通過して散乱反射光122が外部に至る。
【0071】
また、外光が少ない場所で透過型カラー液晶表示装置として使用する場合、透過用入射光123は偏光子119、背面側電極基板108の透明電極層115を入射光量の50%が通過して、液晶物質104、観察者側透明電極層103、カラーフィルタ102、観察者側透明基板101、偏光子兼検光子118を通過して外部に出る。
【0072】
本発明による観察者側電極基板107を用いた半透過型カラー液晶表示装置100は、カラーフィルタの厚みを透過用と反射用とで区別し、且つ反射用カラーフィルタの膜厚を透過用カラーフィルタの膜厚の略二分の一にすることにより、透過型と反射型の色調がほぼ同一になり、かつ、反射用の光散乱膜層109と金属反射電極層105とが液晶物質104を挟んで相対しているために、画像の解像性に優れ、また、散乱反射電極層405を使用していないので背面側電極基板108を製造する際の負荷がすくない。
【0073】
【実施例】
図1は、本発明による観察者側電極基板107を用いた半透過型カラー液晶表示装置の一実施例の断面図であり、図6は、本発明による観察者側電極基板107の一実施例の断面図である。
以下に図1、図6を参照しながら本発明の実施例について詳細に説明する。
【0074】
<実施例1>
この実施例1に係る半透過型カラー液晶表示装置は、図1に示すように、背面側電極基板108と、この背面側電極基板108に対向して設けられた観察者側電極基板107と、これ等電極基板108、107間に封入された液晶物質104、シール材112、偏光子兼検光子118、偏光子119とでその主要部が構成されている。
また、図6に示す本発明による観察者側電極基板107は、観察者側透明基板101に光散乱膜層109、カラーフィルタ102、観察者側透明電極層103を順次形成したものである。
【0075】
以下に、観察者側電極基板107の製造工程を順を追って説明する。観察者側透明基板101としてコーニング社製7059(品番)のガラス基板を準備した。このガラス基板を洗浄した後、以下の組成の塗液1をガラス基板上に滴下した後、1000rpmで5秒間回転塗布した。
図1に光散乱膜層109と金属反射電極層105との位置関係及び形状が示してあるが、かかる形状に光散乱膜層をパターニングすべく、塗布後90℃で20分乾燥した後、紫外線を主とする活性光を用い、光量200mJ/cm2 でパターン露光した。
その後直ちに界面活性剤の添加されたpH10.1の弱アルカリ水で現像し未露光部を取り除き、更に230℃で60分加熱して膜厚3.2μmの光散乱膜層109を形成した。
【0076】
以下に塗液1の組成を示す。塗液1の調製は、先ず、E)溶剤としてのシクロヘキサノンに、B)アルカリ可溶性樹脂、C)アクリルモノマー、D)光重合開始剤を添加して十分撹拌溶解する。次にA)非晶質微粒子を添加しメディアレス分散機で処理後更に超音波分散機で処理した。
【0077】
<塗液1の組成>
・A)非晶質微粒子 ・・・・・・5重量部
(商品名シーホスターP150;日本触媒(株)製)
・B)アルカリ可溶性樹脂 ・・・・・24重量部
(アクリル共重合体樹脂溶液、モノマー構成wt比:メタクリル酸/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート=15/20/35/30、不揮発分:25%、酸価(mg−KOH/g):24、Mw:39000、Mn:14900)
・C)アクリルモノマー ・・・・・・4重量部
(商品名アロニックスM−400;東亜合成(株))
・D)光重合開始剤 ・・・・0.4重量部
(商品名イルガキュアー−369;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))
・E)シクロヘキサノン ・・・13.6重量部
【0078】
続いて、図6に示すように、観察者側透明基板101上の光散乱膜層109を含む位置に3色から成る、本発明によるカラーフィルタ102を形成した。
先ず、赤色顔料を分散した着色感光性樹脂液(塗液R)、緑色顔料を分散した着色感光性樹脂液(塗液G)、青色顔料を分散した着色感光性樹脂液(塗液B)を順次以下の工程条件で塗布、塗膜平坦化のためのプレベーク、露光、現像、ポストベーク工程を繰り返し、3色から成るカラーフィルタ102を形成した。
その後に、観察者側透明電極層103を製膜し、配向膜(図1、図6では省略)処理を施した。このときのカラーフィルタ102の膜厚は観察者側透明基板101上で2.5μm、光散乱膜層109上では1.3μmであった。
以下に、塗液R、塗液G、塗液Bの組成を示す。
【0079】
<着色感光性樹脂液組成>
【0080】
<工程条件>
<塗液R>
・塗布:650rpm15秒、プレベーク:ホットプレート90℃3分、
・露光:120mJ/cm2 、ポストベーク:オーブン230℃60分
<塗液G>
・塗布:600rpm15秒、プレベーク:ホットプレート90℃3分、
・露光:150mJ/cm2 、ポストベーク:オーブン230℃60分
<塗液B>
・塗布:700rpm15秒、プレベーク:ホットプレート90℃3分、
・露光:100mJ/cm2 、ポストベーク:オーブン230℃60分
【0081】
本発明による観察者側電極基板107は、観察者側透明基板101と画面表示領域に、ピッチ300μm、幅145μmで計480本のストライプパターンに設けられた光散乱膜層109と前記カラーフィルタ102上に設けられた観察者側透明電極層103とでその主要部が構成されている。
また、上記背面側電極基板108の金属反射電極層105と観察者側透明電極103とは互いに直交する方向のストライプパターンに設けられ、金属反射電極層105及び透明電極層115を走査線とし、観察者側透明電極層103を信号線として両者の間に電圧を印加することによりその交差位置の液晶物質が駆動されて画面表示が図れるように構成されている。
【0082】
<実施例2>
実施例2は実施例1と比較して、図1に於いて背面側電極基板108の構造及び機能は等しく、また観察側透明基板107に設けられたカラーフィルタ102と観察者側透明電極層103の構造及び機能も等しく、単に光散乱膜層109の構造のみ異なる実施例である。
【0083】
図6に示すように、観察者側透明基板101としてコーニング社製1737(品番)のガラス基板を準備した。このガラス基板を洗浄した後以下の組成の塗液2を基板上に滴下した後、1000rpmで5秒間回転塗布した。続いて、22℃で3分間放置後90℃ホットプレートで乾燥した。
この乾燥過程で相分離により、透明樹脂111中に非晶質微粒子110が成長し、光散乱膜層109が形成できた。その後110℃で60分加熱し非晶質微粒子110を硬化した。該非晶質微粒子110の形状は直径が5μm〜20μm高さ2μmの円盤状であった。
【0084】
<塗液2の組成>
・ポリイミド樹脂 ・・・・・・・・7.0重量部
(商品名 セミコファイン SP−974 東レ(株))
・エポキシアクリレート樹脂の40重量%溶液 ・・・・3.0重量部
(分子量:Mw/Mn=5200/3300、屈折率:1.5118/589nm)
・トリメリット酸12%溶液 ・・・・・・・・1.2重量部
・有機溶剤 ・・・・・・・10.0重量部
【0085】
図6に示す位置に光散乱膜層109をパターニングすべく、光散乱膜層109上に以下のポジ型フォトレジストを塗布し、70℃20分乾燥した。
<ポジ型フォトレジストの塗布条件>
・ポジ型フォトレジスト:(商品名)AZ RFP−350ME(クラリアントジャパン(株))
・回転塗布条件:1000rpm/5秒
・乾燥条件 :70℃20分
【0086】
その後、紫外線を主とする活性光を用い、光量50mJ/cm2 (I線)でパターン露光し、直ちに専用現像液で現像し未露光部を取り除いた。続いて、ポジレジストをマスクにして、前記光散乱膜層をエッチングし、溶剤でレジストを溶解除去した。更に230℃60分加熱して膜厚3.2μmの光散乱膜層109を形成した。
続いて、図6に示すように、観察側透明基板101上の該光散乱膜層109を含む位置に実施例1と同様の製造仕様で3色から成るカラーフィルタ102を形成した。
【0087】
<実施例3>
実施例3は実施例1と比較して、図1に於いて背面側電極基板108の構造及び機能は等しく、また観察側透明基板107に設けられたカラーフィルタ102と観察者側透明電極層103の構造及び機能も等しく、光散乱膜層109の構造のみ異なる実施例である。
【0088】
図6に示すように、観察者側透明基板101としてコーニング社製1737(品番)のガラス基板を準備した。このガラス基板を洗浄した後、ポジレジスト(商品名:MFR−345 ジェイエスアール(株)製)をガラス基板上に滴下した後、1000rpmで25秒間回転塗布した。続いて、90℃ホットプレートで3分間乾燥した。
超高圧水銀灯により活性光を光量150mJ/cm2 (I線)照射し、その後TMAH0.5wt%水溶液で現像して、直径が5μmから15μmの円形、短径が5μmから10μmで長径が8μmから15μmの楕円形のパターンを多数形成した。
【0089】
その後,ホットプレートで100℃より5℃刻みで各2分間加熱して180℃まで昇温した。ここで観察者側透明基板101上に半球状のマイクロレンズを形成した。その後ポリイミド樹脂、商品名:フォトニースUR−4144(東レ(株)製)を該マイクロレンズを含む観察者側透明基板101上に滴下し1000rpm30秒回転塗布して90℃で30分間乾燥後、超高圧水銀灯光源で300mJ/cm2 (I線)のパターン露光し、その後専用現像液で現像して光分散膜層109を形成した。
【0090】
続いて、図6に示すように、観察者側透明基板101上の該光散乱膜層109を含む位置に実施例1と同様の製造仕様で3色から成るカラーフィルタ102、観察者側透明電極層103を順次形成した。
【0091】
背面側電極基板108と観察者側電極基板107を重ね合わせ外周をシール材112で封止した後、ネマチック液晶を液晶物質104として封入し、配向膜、偏光板及び位相差板を組み入れて半透過型カラー液晶表示装置100を組み立てた。
【0092】
上記背面側電極基板108に設けられた透明電極層115と観察側電極基板107に設けられた観察側透明電極層103の間に電圧を印加して画面表示したところ、透過用入射光123で十分明るいカラー画像の表示画面を認識することができた。
同じく、背面側電極基板108に設けられた金属反射電極層105と観察者側電極基板107に設けられた観察者側透明電極層103の間に電圧を印加して画面表示したところ、反射用入射光121により、その画面は透過光表示と比較してカラーフィルタを2回通過しているにも拘らず十分明るく鮮明な表示画面であった。
【0093】
【発明の効果】
本発明における第一の発明は、観察者側電極基板の、背面側電極基板の金属反射電極層に相対する位置にのみ、透明樹脂とこれに分散され異なる屈折率を有する非晶質微粒子とを主成分とする光散乱膜層を設け、光散乱膜層部分を含む一画素内に同一のカラーフィルタ材料を用いてカラーフィルタを設けた液晶表示装置用カラーフィルタであるので、この液晶表示装置用カラーフィルタを用いた半透過型カラー液晶表示装置は、反射型カラー液晶表示として使用した場合の解像性を低下させることなく、より低コストな半透過型カラー液晶表示装置となり、また、光散乱膜層部分に設けられたカラーフィルタの厚みを、光散乱膜層が設けられていない部分のカラーフィルタの厚みの1/3以上2/3未満の厚みとした際には、透過型カラー液晶表示装置として使用した場合と反射型カラー液晶表示装置として使用する場合とで同一色調が再現できる半透過型カラー液晶表示装置となる。
【0094】
また、上記液晶表示装置用カラーフィルタにおいて、非晶質微粒子が、球形状で透明なシリカ、シリコン樹脂、架橋アクリル樹脂であるので、微粒子のサイズ、粒径分布等のコントロールが容易であり、光散乱膜層の光学特性の制御が容易なものになる。また、非晶質微粒子として入手し易く、屈折率の高い樹脂として適用できる。
【0095】
また、上記液晶表示装置用カラーフィルタにおいて、非晶質微粒子が、屈折率の異なる2種類以上の樹脂溶液から相分離で生成、形成されので、光散乱膜層の表面が平坦になり、さらにカラーフィルタの膜厚も均一なものとなる。
【0096】
また、上記液晶表示装置用カラーフィルタにおいて、非晶質微粒子が、微小樹脂パターンを溶融解して形成された半球形状のマイクロレンズであるので、パターン形状(大きさと形)を任意に変更でき、かつ、膜厚を変えることによってマイクロレンズの性能、すなわち、光散乱特性を変更できるものとなる。
【0097】
本発明における第二の発明は、上記液晶表示装置用カラーフィルタのいずれか、及び透明電極層を少なくとも用いて構成される液晶表示装置用観察者側電極基板であるので、上記第一の発明の各々に示す機能を有する液晶表示装置用観察者側電極基板となる。
【0098】
本発明における第三の発明は、観察者側電極基板の、背面側電極基板の金属反射電極層に相対する位置にのみ、透明樹脂とこれに分散され異なる屈折率を有する非晶質微粒子とを主成分とする光散乱膜層を設け、光散乱膜層部分を含む一画素内に同一のカラーフィルタ材料を用いてカラーフィルタを設ける液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であるので、反射型カラー液晶表示として使用した場合の解像性を低下させることなく、より低コストな半透過型カラー液晶表示装置に好適な液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法となり、また、光散乱膜層部分に設けられたカラーフィルタの厚みを、光散乱膜層が設けられていない部分のカラーフィルタの厚みの1/3以上2/3未満の厚みとした際には、透過型カラー液晶表示装置として使用した場合と反射型カラー液晶表示装置として使用する場合とで同一色調が再現できる半透過型カラー液晶表示装置に好適な液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法となる。
【0099】
また、上記液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法において、非晶質微粒子として、球形状で透明なシリカ、シリコン樹脂、架橋アクリル樹脂を用い、また、上記非晶質微粒子を、屈折率の異なる2種類以上の樹脂溶液から相分離で生成、形成し、また、上記非晶質微粒子として、微小樹脂パターンを溶融解して形成された半球形状のマイクロレンズを用いるので、上記第一の発明の各々に示す機能を有する液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法となる。
【0100】
本発明における第四の発明は、観察者側電極基板の、背面側電極基板の金属反射電極層に相対する位置にのみ、透明樹脂とこれに分散され異なる屈折率を有する非晶質微粒子とを主成分とする光散乱膜層を設け、次いで光散乱膜層部分を含む一画素内に同一のカラーフィルタ材料を用いてカラーフィルタを設け、更にその上層部に観察者側透明電極層を少なくとも設ける液晶表示装置用観察者側電極基板の製造方法であるので、反射型カラー液晶表示として使用した場合の解像性を低下させることなく、より低コストな半透過型カラー液晶表示装置に好適な液晶表示装置用観察者側電極基板の製造方法となり、また、光散乱膜層部分に設けられたカラーフィルタの厚みを、光散乱膜層が設けられていない部分のカラーフィルタの厚みの1/3以上2/3未満の厚みとした際には、透過型カラー液晶表示装置として使用した場合と反射型カラー液晶表示装置として使用する場合とで同一色調が再現できる半透過型カラー液晶表示装置に好適な液晶表示装置用観察者側電極基板の製造方法となる。
【0101】
また、上記液晶表示装置用観察者側電極基板の製造方法において、非晶質微粒子として、球形状で透明なシリカ、シリコン樹脂、架橋アクリル樹脂を用い、また、上記非晶質微粒子を、屈折率の異なる2種類以上の樹脂溶液から相分離で生成、形成し、また、上記非晶質微粒子として、微小樹脂パターンを溶融解して形成された半球形状のマイクロレンズを用いるので、上記第一の発明の各々に示す機能を有する液晶表示装置用観察者側電極基板の製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による液晶表示装置用観察者側電極基板を用いた半透過型カラー液晶表示装置の一実施例の断面図である。
【図2】(a)従来法に係る透過型カラー液晶表示装置の断面図である。
(b)従来法に係る光散乱膜層を用いた反射型カラー液晶表示装置の断面図である。
(c)従来法に係る光散乱機能を有する反射電極を用いた反射型カラー液晶表示装置の断面図である。
【図3】従来法に係るハーフミラー方式の半透過型カラー液晶表示装置の断面図である。
【図4】従来法に係る画素分割方式の半透過型カラー液晶表示装置の断面図である。
【図5】カラーフィルタの膜厚と光がカラーフィルタを通過する際の光路長を反射部と透過部の各々について比較した説明図である。
【図6】図1に示す半透過型カラー液晶表示装置を構成する液晶表示装置用観察者側電極基板の断面図である。
【符号の説明】
100・・・・・液晶表示装置用観察者側電極基板を用いた半透過型カラー液晶表示装置
101、201、301、401・・・観察者側透明基板
102、202、302、402・・・液晶表示装置用カラーフィルタ(カラーフィルタ)
103、203、303、403・・・観察者側透明電極層
104、204、304、404・・・液晶物質
105、205・・・・・・・・・・・金属反射電極層
106、206、306、406・・・背面側透明基板
107・・・・・本発明による液晶表示装置用観察者側電極基板(観察者側電極基板)
108、208、308、408・・・背面側電極基板
109、209、309・・・・・・・光散乱膜層
110・・・・・・・・・・・・・・・非晶質微粒子
111・・・・・・・・・・・・・・・透明樹脂
112、212、312、412・・・シール材
115・・・・・・・・・・・・・・・透明電極層
118、318、418・・・・・・・偏光子兼検光子
119、319、419・・・・・・・偏光子
121、221、321、421・・・反射用入射光
122、222、322、422・・・散乱反射光
123、223、323、423・・・透過用入射光
207、307、407・・・観察者側電極基板
215、415・・・・・・・・・・・背面側透明電極層
217・・・・・・・・・・・・・・・光源
225、405・・・・・・・・・・・散乱反射電極層
300・・・光散乱膜層を組み合わせたハーフミラー方式の半透過型カラー液晶表示装置
305・・・・・・・・・・・・・・・ハーフミラー兼電極層
400・・・散乱反射板電極を組み合わせた画素分割方式の半透過型カラー液晶表示装置
Claims (4)
- 一画素を透明電極層と金属反射電極層とで分割して光透過部と光反射部を設けた画素を多数配列した背面側電極基板と、該背面側電極基板に対峙して配置されたカラーフィルタを有する観察者側電極基板と、これ等の電極基板間に封入された液晶物質とを備え、この液晶物質に対し画素毎に電圧を印加して画面表示する半透過型カラー液晶表示装置に用いる半透過型液晶表示装置用カラーフィルタであって、該観察者側電極基板の、前記背面側電極基板の光反射部に相対する位置にのみ、透明樹脂と該透明樹脂と異なる屈折率を有する非晶質微粒子を分散した光散乱膜層を設け、かつ、該光散乱膜層部分を含む一画素内の観察者側透明基板及び光散乱層上に同一のカラーフィルタ材料を用い、光反射部に相当する部分の厚みが、光透過部に相当する部分の厚みの1/3以上、2/3未満の厚みとしたカラーフィルタが設けられていることを特徴とする半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ。
- 一画素を透明電極層と金属反射電極層とで分割して光透過部と光反射部を設けた画素を多数配列した背面側電極基板と、該背面側電極基板に対峙して配置されたカラーフィルタを有する観察者側電極基板と、これ等の電極基板間に封入された液晶物質とを備え、この液晶物質に対し画素毎に電圧を印加して画面表示する半透過型カラー液晶表示装置に用いる観察者側電極基板であって、該観察者側電極基板の、前記背面側電極基板の光反射部に相対する位置にのみ、透明樹脂と該透明樹脂と異なる屈折率を有する非晶質微粒子を分散した光散乱膜層を設け、かつ、該光散乱膜層部分を含む一画素内の観察者側透明基板及び光散乱層上に同一のカラーフィルタ材料を用い、光反射部に相当する部分の厚みが、光透過部に相当する部分の厚みの1/3以上、2/3未満の厚みのカラーフィルタを設け、更に、前記カラーフィルタの上層部に観察者側透明電極層が設けられていることを特徴とする半透過型液晶表示装置用観察者側電極基板。
- 一画素を透明電極層と金属反射電極層とで分割して光透過部と光反射部を設けた画素を多数配列した背面側電極基板と、該背面側電極基板に対峙して配置されたカラーフィルタを有する観察者側電極基板と、これ等の電極基板間に封入された液晶物質とを備え、この液晶物質に対し画素毎に電圧を印加して画面表示する半透過型カラー液晶表示装置に用いる半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、透明基板に、透明樹脂と該透明樹脂と異なる屈折率を有する非晶質微粒子を分散した塗液を塗布後、該観察者側電極基板の、前記背面側電極基板の金属反射電極層に相対する位置にのみ、フォトグラフィ法によりパターニングした光散乱膜層を設け、次に、該光散乱膜層部分を含む一画素内の観察者側透明基板及び光散乱層上に同一のカラーフィルタ材料を用い、光散乱膜層部分の厚みが、光散乱膜層が設けられていない部分の厚みの1/3以上、2/3未満の厚みのカラーフィルタを形成したことを特徴とする半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 一画素を透明電極層と金属反射電極層とで分割して光透過部と光反射部を設けた画素を多数配列した背面側電極基板と、該背面側電極基板に対峙して配置されたカラーフィルタを有する観察者側電極基板と、これ等の電極基板間に封入された液晶物質とを備え、この液晶物質に対し画素毎に電圧を印加して画面表示する半透過型カラー液晶表示装置に用いる観察者側電極基板の製造方法であって、透明基板に、透明樹脂と該透明樹脂と異なる屈折率を有する非晶質微粒子を分散した塗液を塗布後、該観察者側電極基板の、前記背面側電極基板の金属反射電極層に相対する位置にのみ、フォトグラフィ法によりパターニングした光散乱膜層を設け、次に、該光散乱膜層部分を含む一画素内の観察者側透明基板及び光散乱層上に同一のカラーフィルタ材料を用い、光散乱膜層部分の厚みが、光散乱膜層が設けられていない部分の厚みの1/3以上、2/3未満の厚みに形成したカラーフィルタを設け、更に、前記カラーフィルタの上層部に観察者側透明電極層を形成したことを特徴とする半透過型液晶表示装置用観察者側電極基板の製造方法。
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