JP3885508B2 - ワイヤソーの清掃装置及び清掃方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体材料やセラミック材料などに対し切断や溝入れのような加工を行うためのワイヤソー、特には、張設状態とされたワイヤを、その表面に遊離砥粒を含んだスラリーを供給しながら走行させるようにしたワイヤソーのための清掃装置及び清掃方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワイヤソーは、加工用ローラによって直線方向に走行されるワイヤを、その表面に遊離砥粒を含むスラリーを供給しながらワークに押し付けて接触させ、これに伴う砥粒の転がりによるラッピング作用によってワークを切断するなどの加工が行われるものである。この場合、スラリーは、スラリータンクからスラリー供給ノズルを通じて供給された後に、順次スラリータンクに回収されて繰り返し使用される構成となっている。
【0003】
上記のようなワイヤソーによる加工時には、ワイヤに付着したスラリーが周囲に飛び散るため、装置内部を汚したり、供給したスラリーをスラリータンクに回収できなくなってスラリータンク内のスラリー貯留量が不用意に減少するという問題点がある。このような問題点に対処するために、従来では、ワイヤの走行経路中に図6及び図7に示すような清掃装置を設けることが提案されている。
【0004】
即ち、図6に示す清掃装置は、ワイヤ31を包囲した筒状のガイドケース32の周壁部に複数のエア噴射口33が形成されており、このエア噴射口33群からガイドケース32内のワイヤ31にエアを吹き付けることにより、そのワイヤ31の表面に付着したスラリーを清掃除去する構成となっている。また、図7に示す清掃装置は、特開平11−188598号公報に記載されたもので、ワイヤ31の走行経路中に、そのワイヤ31の外周面に接触する清掃部材34を2個配置すると共に、各清掃部材をワイヤ31方向に押圧する付勢部材(図示せず)を設けることにより、ワイヤ31に付着したスラリーを清掃部材32により拭いながら清掃除去する構成となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図6に示した従来構成のものでは、ガイドケース32のエア噴射口33群に高圧のエアを供給する必要があるため、そのための配管構成が複雑になるという問題点があり、しかも、エアの吹き付けのみではワイヤ31の表面に付着したスラリーを効果的に清掃除去することが困難になるという問題点もあった。
【0006】
また、図7に示した従来構成のものでは、図示しない付勢手段から清掃部材34に作用する押圧力が常時において一定であるため、次のような欠点があった。
【0007】
即ち、ワイヤソーにあってはワイヤを往復走行させる形式が一般的であり、そのワイヤ走行方向が切り替わる毎に、ワイヤの走行速度の減速及び停止が行われた後に再加速される動作が繰り返される。このため、図7の構成のものでは、ワイヤ31と清掃部材34との間に働く摩擦力が、そのワイヤ31の停止毎に増大することになる(静止摩擦計数>運動摩擦計数の関係による)。このため、図示しない付勢手段による押圧力が大きい値に設定された場合には、ワイヤ31の停止毎に当該ワイヤ31に大きな張力が作用してその断線を招く可能性があり、この逆に、上記押圧力が小さい値に設定された場合には、清掃部材34による清掃能力が低下する恐れが出てくる。従って、付勢手段から清掃部材34に作用する押圧力が常時において一定とされた図7の従来構成のものでは、ワイヤ31の断線を防止しながら清掃能力を最大限に高めた状態に設定することが非常に難しく、この点が実用上の欠点になる。また、ワイヤ31の清掃部材34に対する接触位置が常に同じ状態であるため、その清掃部材34の摩耗が進行して清掃能力が低下したときには、その清掃部材34を新品に交換する必要が出てくる。つまり、清掃部材34の寿命が比較的早期に尽きるものであるため、その交換部品代が嵩んだり部品交換作業の手間が増えるなど、メンテナンスコストが高くなるという欠点があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、第1の目的は、ワイヤに付着したスラリーの清掃除去を、ワイヤの断線を防止しながら且つ清掃能力を最大限高めた状態で行い得るワイヤソーの清掃装置及び清掃方法を提供することにあり、第2の目的は、清掃部材の寿命を長期化できてメンテナンスコストの抑制を実現できるようになるワイヤソーの清掃装置及び清掃方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために請求項1に記載した手段を採用できる。この手段によれば、加工機構部の外部に位置するワイヤに対して、一対以上の清掃部材が異なる方向から接触されると共に、押圧機構により上記清掃部材にワイヤ方向への押圧力が付与されるから、ワイヤの走行時には、その表面に付着しているスラリーが清掃部材により拭われるようにして清掃除去される。この場合、押圧機構による押圧力を前記ワイヤの走行速度に応じて変化させる圧力調整機構が設けられているから、ワイヤに作用する張力が大きい状態時(例えばワイヤの走行停止時及び走行再開時)には清掃部材に作用する押圧力を低減させることにより、そのワイヤの断線を防止し、また、ワイヤに作用する張力が小さい状態時(例えばワイヤの定速走行時)には清掃部材に作用する押圧力を増大させることにより、その清掃能力を最大限高めることが可能になる。
【0009】
前記第1及び第2の目的を達成するために請求項2に記載した手段を採用できる。この手段によれば、上記の作用効果に加えて、加工機構部の外部に位置するワイヤに対して、一対以上の清掃部材が異なる方向から接触されると共に、押圧機構により上記清掃部材にワイヤ方向への押圧力が付与されるから、ワイヤの走行時には、その表面に付着しているスラリーが清掃部材により拭われるようにして清掃除去される。この場合、各清掃部材におけるワイヤとの接触位置を変更させる移動機構が設けられているから、清掃部材におけるワイヤとの接触部分が摩耗して清掃能力が限度以上に低下したときには、上記移動機構によって、ワイヤが清掃部材における未摩耗部分に接触する状態に変更すれば、清掃部材による清掃能力を復元できるようになる。この結果、清掃部材の寿命を長期化できることになるため、その交換部品代が嵩んだり部品交換作業の手間が増える事態を未然に防止でき、以てメンテナンスコストの抑制を実現できるようになる。
【0011】
請求項3記載の手段によれば、押圧機構から清掃部材に付与される押圧力がワイヤの走行速度が速い状態時ほど増大される構成となっているから、ワイヤに大きな張力が作用する走行停止時や走行開始時には、上記押圧力が小さい状態とされてワイヤの断線を確実に防止可能となる。また、走行速度が速い状態時、つまり清掃部材により除去するスラリーの量が増える状態時には、上記押圧力が増大されて清掃能力が高められるようになり、スラリーの除去を効果的に行い得るようになる。
【0012】
請求項4記載の手段によれば、押圧機構から清掃部材に付与される押圧力の増大及び減少が、ワイヤの走行速度が所定値以上になったか否かに基づいて行われるから、ワイヤの断線防止及び清掃部材による清掃能力の向上を的確に実現可能になる。
【0013】
請求項5記載の手段によれば、ワイヤの走行方向に応じて押圧機構から清掃部材に付与される押圧力が異なった状態となるから、例えば、スラリーが付着したワイヤ(例えば往方向に走行するワイヤ)と接触する清掃部材に対しては大きな押圧力を付与して十分な清掃能力を確保し、スラリの除去が行われたワイヤ(例えば復方向に走行するワイヤ)と接触する清掃部材に対しては小さな押圧力を付与することにより、清掃部材の無駄な摩耗や損傷を阻止できるといった有益な機能を得ることができる。
【0014】
請求項6記載の手段によれば、移動機構によって、清掃部材におけるワイヤとの接触位置を変更してその清掃能力を復元する際に、その変更が、清掃部材に対し押圧機構による押圧力が加えられている状態で行われるから、ワイヤに付着したスラリーの清掃除去を連続して行うことができる。
【0015】
請求項7記載の手段によれば、移動機構によって、対をなす清掃部材におけるワイヤとの接触位置を変更してその清掃能力を復元する際に、各清掃部材を互いに反対の方向へ移動させる構成となっているから、走行ワイヤに押し付けられている各清掃部材から当該ワイヤに対して異なる方向の摩擦力が作用することになる。このため、ワイヤの走行位置がずれる事態を未然に防止できる(対をなす清掃部材を同じ方向へ移動させたときには、その方向へワイヤの走行位置がずれてしまう)。
【0016】
請求項8記載の手段によれば、移動機構によって、対をなす清掃部材におけるワイヤとの接触位置を変更してその清掃能力を復元する際に、押圧機構が、清掃部材に対する押圧力を一旦解除すると共に、その後に清掃部材とワイヤとの接触位置が変更されたときに清掃部材に対し押圧力を付与する構成となっているから、清掃部材の清掃能力復元時においてワイヤの走行を阻害する恐れがなくなってその断線を未然に防止できると共に、清掃部材に通常時とは異なる方向の摩擦力が加わる恐れがなくなってその不用意な摩耗も未然に防止できる。
【0017】
請求項9記載の手段のように、移動機構によって、対をなす清掃部材におけるワイヤとの接触位置を変更してその清掃能力を復元する動作を、ワイヤの使用履歴が予め設定された条件を満たしたとき、若しくは任意設定時間が経過したときに行う構成とした場合には、その変更工程を自動化することが可能になって省力化を実現できると共に、常時において良好な清掃効率を維持できるようになる。
【0018】
請求項10記載の手段によれば、清掃部材により除去されたスラリーがエアによって吹き飛ばされるから、そのスラリーがワイヤに再付着する事態を未然に防止できる。
【0019】
請求項11及び12記載の手段によれば、清掃部材は、ワイヤを包み込むように変形する弾性材料、若しくはワイヤより柔らかくて当該ワイヤにより切断されにくい材料より成るから、そのワイヤになじみやすくなって付着スラリーの清掃性が高くなる。また、清掃部材がワイヤから受けるダメージも小さくなるから、その清掃部材の長寿命化も期待できる。
【0020】
請求項13記載の手段によれば、対をなす清掃部材は互いに対向配置されて前記ワイヤを挟み込む形態で設けられているから、それら清掃部材によりワイヤの周囲全体を包み込んだ状態とすることができる。従って、ワイヤの表面に付着したスラリーを確実に清掃除去できるようになる。
【0021】
前記第1の目的を達成するために請求項14に記載した方法を採用できる。この方法によれば、加工機構部の外部に位置するワイヤに対して、一対以上の清掃部材を異なる方向から当接させ、各清掃部材からワイヤに作用する押圧力を当該ワイヤの走行速度に応じて変化させるようになっているから、ワイヤの走行時には、その表面に付着しているスラリーを清掃部材により拭うようにして清掃除去できる。この場合、ワイヤに作用する押圧力を、そのワイヤに作用する張力が大きい状態時(例えばワイヤの走行停止時及び走行再開時)には低減させることにより、そのワイヤの断線を防止し、また、ワイヤに作用する押圧力を、そのワイヤに作用する張力が小さい状態時(例えばワイヤの定速走行時)には増大させることにより、その清掃能力を最大限高めることが可能になる。
【0022】
前記第2の目的を達成するために請求項15に記載した方法を採用できる。この方法によれば、上記の作用効果に加えて、加工機構部の外部に位置するワイヤに対して、一対以上の清掃部材を異なる方向から当接させるようになるから、ワイヤの走行時には、その表面に付着しているスラリーを清掃部材により拭うようにして清掃除去できる。この場合、所定時期に、各清掃部材におけるワイヤとの接触位置を変更させるようになっているから、清掃部材におけるワイヤとの接触部分が摩耗して清掃能力が限度以上に低下した時期に、ワイヤが清掃部材における未摩耗部分に接触する状態に変更すれば、清掃部材による清掃能力を復元できるようになる。この結果、清掃部材の寿命を長期化できることになるため、その交換部品代が嵩んだり部品交換作業の手間が増える事態を未然に防止でき、以てメンテナンスコストの抑制を実現できるようになる。
【0024】
請求項16記載の方法によれば、清掃部材からワイヤに作用する押圧力が、そのワイヤの走行速度が速い状態時ほど増大される構成となっているから、ワイヤに大きな張力が作用する走行停止時や走行開始時には、上記押圧力が小さい状態とされてワイヤの断線を確実に防止可能となる。また、走行速度が速い状態時、つまり清掃部材により除去するスラリーの量が増える状態時には、上記押圧力が増大されて清掃能力が高められるようになり、スラリーの除去を効果的に行い得るようになる。
【0025】
請求項17記載の方法によれば、清掃部材からワイヤに作用する押圧力の増大及び減少が、ワイヤの走行速度が所定値以上になったか否かに基づいて行われるから、ワイヤの断線防止及び清掃部材による清掃能力の向上を的確に実現可能になる。
【0026】
請求項18記載の方法によれば、清掃部材からワイヤに作用する押圧力がワイヤの走行方向に応じて異なった状態となるから、例えば、スラリーが付着したワイヤ(例えば往方向に走行するワイヤ)と接触する清掃部材に対しては大きな押圧力を付与して十分な清掃能力を確保し、スラリの除去が行われたワイヤ(例えば復方向に走行するワイヤ)と接触する清掃部材に対しては小さな押圧力を付与することにより、清掃部材の無駄な摩耗や損傷を阻止できるといった有益な機能を得ることができる。
【0027】
請求項19記載の方法によれば、清掃部材におけるワイヤとの接触位置を変更してその清掃能力を復元する際に、その変更が、清掃部材からワイヤに対し押圧力が作用している状態で行われるから、ワイヤに付着したスラリーの清掃除去を連続して行うことができる。
【0028】
請求項20記載の方法によれば、対をなす清掃部材におけるワイヤとの接触位置を変更してその清掃能力を復元する際に、各清掃部材を互いに反対の方向へ移動させる構成となっているから、走行ワイヤに押し付けられている各清掃部材から当該ワイヤに対して異なる方向の摩擦力が作用することになる。このため、ワイヤの走行位置がずれる事態を未然に防止できる(対をなす清掃部材を同じ方向へ移動させたときには、その方向へワイヤの走行位置がずれてしまう)。
【0029】
請求項21記載の方法によれば、対をなす清掃部材におけるワイヤとの接触位置を変更してその清掃能力を復元する際に、清掃部材からワイヤに作用する押圧力を一旦解除すると共に、その後に清掃部材とワイヤとの接触位置が変更されたときに清掃部材からワイヤに対し押圧力を付与する構成となっているから、清掃部材の清掃能力復元時においてワイヤの走行を阻害する恐れがなくなってその断線を未然に防止できると共に、清掃部材に通常時とは異なる方向の摩擦力が加わる恐れがなくなってその不用意な摩耗も未然に防止できる。
【0030】
請求項22記載の方法のように、対をなす清掃部材におけるワイヤとの接触位置を変更してその清掃能力を復元する動作を、ワイヤの使用履歴が予め設定された条件を満たしたとき、若しくは任意設定時間が経過したときに行う構成とした場合には、その変更工程を自動化することが可能になって省力化を実現できると共に、常時において良好な清掃効率を維持できるようになる。
【0031】
請求項23記載の方法によれば、清掃部材により除去されたスラリーがエアによって吹き飛ばされるから、そのスラリーがワイヤに再付着する事態を未然に防止できる。
【0032】
請求項24及び25記載の方法によれば、ワイヤを包み込むように変形する弾性材料、若しくはワイヤより柔らかくて当該ワイヤにより切断されにくい材料より成る清掃部材をワイヤに当接させる構成となっているから、その清掃部材がワイヤになじみやすくなって付着スラリーの清掃性が高くなる。また、清掃部材がワイヤから受けるダメージも小さくなるから、その清掃部材の長寿命化も期待できる。
【0033】
請求項26記載の方法によれば、対をなす清掃部材は互いに対向配置されて前記ワイヤを挟み込む形態で設けられているから、それら清掃部材によりワイヤの周囲全体を包み込んだ状態とすることができる。従って、ワイヤの表面に付着したスラリーを確実に清掃除去できるようになる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるワイヤソーの清掃装置及びワイヤソーの清掃方法についての複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1及び図2には本発明の第1実施例が示されている。まず、ワイヤソーの模式的構造を概略的に示す図2において、ワイヤソー(マルチワイヤソー)の切断機構部1(本発明でいう加工機構部に相当)は、三角配置状に平行配列された3個の加工用ローラ2〜4並びに1本のワイヤ5を備えており、そのワイヤ5は、各加工用ローラ2〜4の外周面に所定ピッチで平行に形成された多数の環状溝(図示せず)に連続的に巻回されている。この場合、切断機構部1から引き出されたワイヤ5の両端は、それぞれガイドローラ6群を介して後述する清掃装置7内に案内された後に、図示しない巻き取り及び繰り出しリールに巻装されている。尚、図示しないが、ワイヤ5には張力付与機構を通じて所定の張力が付与されるものである。
【0035】
また、加工用ローラ2は、ワイヤ走行用モータ8により回転駆動される駆動ローラとして機能し、他の加工用ローラ3、4はワイヤ5を介して回転される従動ローラとして機能する構成となっている。そして、加工用ローラ3、4間に対応した領域には、ワークテーブル9が上下移動可能に配置されるものであり、そのワークテーブル8上にセットされたワーク10(被加工材に相当:例えば単結晶半導体インゴット)は、切断機構部1の運転時に当該ワークテーブル9の送り動作に応じて図中矢印A方向へ移動される。このような切断機構部1の運転時には、ワイヤ5が加工用ローラ3、4間で直線方向に往復走行されてワーク10に押し付け接触されるものであり、このときには、ダイヤモンドパウダなどの遊離砥粒を含むスラリーが、スラリータンクからスラリー供給ノズル(何れも図示せず)を通じてワイヤ5の表面に供給される。これにより、ワーク10は、ワイヤ5の表面に付着した遊離砥粒のラッピング作用によってスライス加工される。尚、ワイヤ5の往復走行は、一定量だけ往方向へ走行した後にこれより少ない一定量だけ復方向へ走行するという動作を繰り返すことにより、全体として一方向へ歩進的に前進するように行われる。
【0036】
図1には、前記清掃装置7の外観構造が示されており、以下これについて説明する。清掃装置7の本体ケース11は、ワイヤ5が通過する前面及び背面にそれぞれ開口部(前面側の開口部11aのみ図示)を備えており、これらを閉鎖するようにして二点鎖線で示すカバー12がそれぞれ装着される構成となっている。尚、カバー12には、ワイヤ5が通過する部分を切り欠いたスリット12aが形成されている。
【0037】
ワイヤ5は、本体ケース11のほぼ中央部を貫通するように引き回されるものであり、そのワイヤ5を上下から挟む位置には、円環形状(肉厚な短円筒形状)をなす弾性材料製の一対の清掃部材13及び14が同軸状に対向配置されている。この場合、各清掃部材13及び14は、それらの中心軸に対応した位置をワイヤ5が通過するような配置とされるものである。つまり、各清掃部材13及び14は、互いに対向配置されてワイヤ5を挟み込む形態で設けられるものである。また、清掃部材13に使用する素材は、ウレタンゴムが望ましいが、ワイヤ5に付着したスラリーを除去可能であれば、フェルトやシリコンゴム或いは軟質金属などのような弾性材料でも良く、要はワイヤ5を包み込むように変形し、且つワイヤ5より柔らかくて当該ワイヤ5により切断されにくい材質のものが好ましいものである。
【0038】
上記各清掃部材13及び14は、それぞれ円板状の上部プレート部15及び下部プレート部16にねじ止めにより固定される。上部プレート部15は、モータを内蔵した回転/上下移動機構17(本発明でいう押圧機構、圧力調整機構、移動機構に相当)により中心軸回りに回転可能で且つ上下方向へ往復移動可能な構成とされている。また、下部プレート部16も、モータを内蔵した回転/上下移動機構18(押圧機構、圧力調整機構、移動機構に相当に相当)により中心軸回りに回転可能で且つ上下方向へ往復移動可能な構成とされている。このような回転/上下移動機構17、18が設けられた結果、ワイヤ5に対し清掃部材13及び14を上下から押圧接触させ得るものであり、このような接触状態ではワイヤ5の表面に付着しているスラリーがその走行に応じて清掃除去されることになる。また、このようなワイヤ5の清掃動作時において、回転/上下移動機構17、18により上部プレート部15及び下部プレート部16の上下移動量を変えることによって、清掃部材13及び14からワイヤ5に加わる圧力を大小調節できることになる。
【0039】
一方、清掃部材13及び14におけるワイヤ5との接触位置には、ワイヤ5から除去されたスラリーが溜まるようになるため、その後にワイヤ5が復方向へ走行する際に当該ワイヤ5に再付着してしまう恐れがある。このため、その滞留スラリーを排除するために、エアノズル19(エア供給装置に相当)を設ける構成としている。尚、このエアノズル19は、清掃部材13及び14に対しワイヤ5が切断機構部1側から接触する位置に向けてエアを吹き付けるように設けられるものである。具体的には、図1においては、清掃部材13及び14の外周縁部のうちワイヤ5が切断機構部1側から接触する位置に設けたエアノズル19のみを図示しているが、実際には、清掃部材13及び14の内周縁部のうちワイヤ5が切断機構部1側から接触する位置(清掃部材13及び14の中央空間部分に対応した位置)にもエアを吹き付けるためのエアノズル(図示せず)が設けられている。
【0040】
上記のようなエアの吹き出しにより吹き飛ばされたスラリーは下方に設けられた支持板20上に落下するため、その支持板20にはスラリーを前方の開口部まで案内する傾斜部20aが形成されており、吹き飛ばされたスラリーは当該傾斜部20aから図示しないスラリータンクへ戻される構成となっている。尚、前述したように、本体ケース11の開口部11aには、ワイヤ5が通過する部分を切り欠いたスリット12aを備えたカバー12が装着されるから、万一、エアノズル19の吹き出し方向が適切な方向からずれた場合であっても、吹き飛ばされたスラリーが外部に飛び散る事態をカバー12によって効果的に防止できることになる。
【0041】
上記清掃装置7が有する回転/上下移動機構17及び18は、以下のように動作する構成となっている。
【0042】
▲1▼ 内部にワイヤ5が引き込まれた状態では、上部プレート部15及び下部プレート部16をそれぞれ下方及び上方に移動させ、以て清掃部材13及び14に対しワイヤ5と当接する方向の押圧力を付与する(ワイヤ5は、清掃部材13及び14により上下から挟み込まれた状態となる)。このとき、表面にスラリーが付着したワイヤ5が図1中の矢印B方向(これを往方向とする)へ走行する状態では、清掃部材13及び14がワイヤ5の走行を妨げず、且つ上記スラリーを十分に清掃除去できる適正なレベルの押圧力を付与する。また、ワイヤ5が反矢印B方向(復方向)へ走行する状態、つまりワイヤ5の表面にスラリーがほとんど付着していない状態では、上記押圧力のレベルをワイヤ5が矢印B方向へ走行するときより小さくする。
【0043】
▲2▼ ワイヤ5の走行方向が逆転するときには、その逆転のためにワイヤ5の走行速度が所定値未満となったときに、清掃部材13及び14からワイヤ5に作用する押圧力を減少させ、ワイヤ5が走行停止したときに上記押圧力をゼロにする。また、この後にワイヤ5の逆方向への走行が開始されたときには、その走行速度が所定値以上となったときに、清掃部材13及び14からワイヤ5に作用する押圧力を、そのワイヤ5の走行方向に応じたレベル(前記▲1▼参照)まで増大させる。但し、ワイヤ5の走行停止時に前記押圧力をゼロにする必要はなく、ワイヤ5が過大な張力により断線する事態を防止できる押圧力に設定すれば良いものであり、このような押圧力は、ワイヤ5の線径や設定されたワイヤテンションなどによって異なる。要するに、清掃部材13及び14に付与する押圧力は、ワイヤ5の走行速度が速い状態時ほど増大させるように制御すれば良い。
【0044】
▲3▼ ワイヤ5の使用履歴(例えば通算駆動時間、或いは走行速度や走行方向を加味して補正された通算駆動時間など)が予め設定された条件を満たしたとき、若しくは任意設定時間が経過したときに、上部プレート部15及び下部プレート部16をそれぞれ所定角度だけ回転させることにより、清掃部材13及び14におけるワイヤ5との接触位置を変更する。この場合、本実施例では、上記のように上部プレート部15及び下部プレート部16を回転させる場合に、その回転を、清掃部材13及び14からワイヤ5に対し押圧力を作用させたままの状態で行っている。また、本実施例では、上記のように上部プレート部15及び下部プレート部16を回転させる際に、それぞれ異なる方向(矢印C方向及びC′方向)へ回転させる構成、つまり各清掃部材13及び14を互いに反対の方向へ回転させる構成となっている。
【0045】
従って、上記した本実施例によれば、以下に述べるような作用・効果が得られる。
即ち、切断機構部11の外部を走行するワイヤ5に対して、一対の清掃部材13及び14を両側から当接させる共に、各清掃部材13及び14からワイヤ5に作用する押圧力を当該ワイヤ5の走行速度に応じて変化させる構成となっているから、ワイヤ5の走行時には、その表面に付着しているスラリーを清掃部材13及び14により拭うようにして効果的に清掃除去できる。この場合、清掃部材13及び14からワイヤ5に作用する押圧力を、そのワイヤ5の走行速度が所定値未満となったとき(走行停止時及び走行再開時)のようにワイヤ5に作用する張力が大きい状態時には低減若しくはゼロにしているから、そのワイヤ5が過大な張力を受けて断線する事態を効果的に防止できる。また、その後にワイヤ5の走行速度が所定値以上に復帰したときには、ワイヤ5に作用する押圧力を増大されて清掃能力が高められるようになり、以てスラリーの除去を効果的に行い得るようになるから、その清掃能力を最大限高め得るようになる。しかも、このように、ワイヤ5に作用する押圧力の増大及び減少が、そのワイヤ5の走行速度が所定値以上になったか否かに基づいて行われるから、ワイヤ5の断線防止及び清掃部材による清掃能力の向上を的確に実現可能になる。
【0046】
この場合、対をなす清掃部材13及び14は互いに対向配置されてワイヤ5を挟み込む形態で設けられているから、それら清掃部材13及び14によりワイヤ5の周囲全体を包み込んだ状態とすることができる。従って、ワイヤ5の表面に付着したスラリーを確実に清掃除去できるようになる。しかも、清掃部材13及び14は、ワイヤ5を包み込むように変形する弾性材料、若しくはワイヤ5より柔らかくて当該ワイヤ5により切断されにくい材料より成るものであるから、その清掃部材13及び14がワイヤ5になじみやすくなって付着スラリーの清掃性が高くなる。さらに、清掃部材13及び14がワイヤ5から受けるダメージも小さくなるから、その長寿命化も期待できる。また、清掃部材13及び14により除去されたスラリーをエアによって吹き飛ばす構成となっているから、そのスラリーがワイヤ5に再付着する事態を未然に防止できる。
【0047】
清掃部材13及び14からワイヤ5に作用する押圧力は、そのワイヤ5の走行方向に応じて異なる構成、具体的には、表面にスラリーが付着したワイヤ5が図1中の矢印B方向へ走行するときには、比較的大きな押圧力が作用し、表面にスラリーがほとんど付着していない状態のワイヤ5が反矢印B方向へ走行するときには、上記押圧力のレベルが小さくされる構成となっている。この結果、スラリーが付着したワイヤ5と接触する清掃部材13及び14に対しては大きな押圧力を付与して十分な清掃能力を確保し、スラリが除去されたワイヤ5と接触する清掃部材13及び14に対しては小さな押圧力を付与することにより、清掃部材13及び14の無駄な摩耗や損傷を阻止できるといった有益な機能を得ることができ、その寿命長期化に寄与できるようになる。
【0048】
所定時期に至ったとき、つまり、ワイヤ5の使用履歴が予め設定された条件を満たしたとき、若しくは任意設定時間が経過したときには、各清掃部材13及び14におけるワイヤ5との接触位置が変更される構成となっているから、清掃部材13及び14におけるワイヤ5との接触部分が摩耗して清掃能力が限度以上に低下したときに、清掃部材13及び14におけるワイヤ5との接触位置が未摩耗部分に変更されて、その清掃能力が復元されるようになる。この結果、清掃部材13及び14の寿命を長期化できることになるため、その交換部品代が嵩んだり部品交換作業の手間が増える事態を未然に防止でき、以てメンテナンスコストの抑制を実現できるようになる。勿論、切断機構部1による切断加工途中で清掃部材を交換する必要がなくなるため、その切断加工を効率良く行い得るようになる。また、このように、ワイヤ5の使用履歴が予め設定された条件を満たしたとき、若しくは任意設定時間が経過したときに各清掃部材13及び14におけるワイヤ5との接触位置を変更する構成によれば、その変更工程を自動化することが可能になって省力化を実現できると共に、常時において良好な清掃効率を維持できるようになる。
【0049】
この場合、上記のように清掃部材13及び14におけるワイヤ5との接触位置を変更してその清掃能力を復元する際には、その変更が、清掃部材13及び14からワイヤ5に対し押圧力が作用している状態で行われるから、ワイヤ5に付着したスラリーの清掃除去を連続して行うことができ、その清掃効果を常時において発揮する上で有益になる。しかも、このときには、各清掃部材13及び14が互いに反対の方向へ回転される構成となっているから、走行ワイヤ5に押し付けられている各清掃部材13及び14から当該ワイヤ5に対して反対方向の摩擦力が作用することになる。このため、ワイヤ5の走行位置がずれる事態を未然に防止できる(対をなす清掃部材13及び14を同じ方向へ回転させたときには、その方向へワイヤ5の走行位置がずれてしまう)。
【0050】
また、ワイヤ5に対するスラリーの再付着を防止するためのエアノズル19を設けると共に、吹き飛ばされたスラリーをスラリータンクへ戻すための傾斜部20a、並びにスラリーの外部への飛散を防止するカバー12が設けられているから、スラリーの回収量が増えるようになって、無駄なコスト増を抑制できるようになる。因みに、本実施例による清掃装置7を2台用意して図2に示すように配置し、切断機構部1によるワーク10の切断動作を15時間行ったところ、清掃装置7を設けていないものでは、約5リットルのスラリーが減少したが、本実施例では約50ミリリットルの減少で済んだ。
【0051】
(第2の実施の形態)
上記第1実施例では、円環形状の清掃部材13及び14を同軸状に対向配置して、これらを中心軸周りに回転させる構成としたが、本発明の第2実施例を示す図3のように、矩形状の清掃部材21及び22を用意し、これらをワイヤ5に対し両側から当接するように配置して当該ワイヤ5方向への押圧力が付与される構成とすると共に、各清掃部材21及び22におけるワイヤ5との接触位置を変更する際には、それらを、図3中に示すように互いに反対向きの矢印D及び矢印D′方向へ所定量だけ移動させる構成としても良い。
【0052】
(第3の実施の形態)
図4には本発明の第3実施例が示されている。この図4において、円環形状の清掃部材23及び24は、それぞれ円板25及び26の外周に支持されている。この場合、円板25及び26は、ワイヤ5の走行方向に対し平行した状態で配置されており、以て清掃部材23及び24の外周面が当該ワイヤ5に両側から当接すると共に、円板25及び26を通じてワイヤ5方向への押圧力が付与される構成となっている。そして、各清掃部材23及び24におけるワイヤ5との接触位置を変更する際には、それらを、図4中に示すように互いに反対向きの矢印E及び矢印E′方向へ所定角度だけ回転させる。
【0053】
(第4の実施の形態)
図5には本発明の第4実施例が示されている。この図5において、一対の清掃部材27及び28は、長尺なシート状に形成されており、各両端がそれぞれに対応した巻軸27a、27b及び28a、28bに巻回されている。また、清掃部材27及び28は、ワイヤ5の両側に交差状に配置され、途中部分が一対の押さえローラ29及び30によってワイヤ5に当接される構成となっている。そして、各清掃部材27及び28におけるワイヤ5との接触位置を変更する際には、図5中に示すように、清掃部材27及び28を互いに反対向きの矢印F及び矢印F′方向へ所定量だけ巻き取るものである。
【0054】
(その他の実施の形態)
尚、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
第1実施例では、清掃部材13及び14におけるワイヤ5との接触位置を変更する動作(上部プレート部15及び下部プレート部16を回転させる動作)を、清掃部材13及び14からワイヤ5に対し押圧力を作用させたまま行っているが、回転/上下移動機構17及び18により、清掃部材13及び14からワイヤ5に作用する押圧力を一旦解除すると共に、その後に清掃部材13及び14におけるワイヤ5との接触位置が変更されたとき上記押圧を再付与する構成としても良い(この場合には、上部プレート部15及び下部プレート部16の回転方向は同一であっても良い)。このような構成によれば、清掃部材13及び14の清掃能力を復元させる際に、ワイヤ5の走行を阻害する恐れがなくなってその断線を未然に防止できると共に、清掃部材13及び14に通常時の方向(直径方向)とは異なる方向(周方向)の摩擦力が加わる恐れがなくなってその不用意な摩耗を未然に防止できるようになる。
清掃部材13及び14、21及び22、23及び24、27及び28は複数対設けても良く、この構成によれば清掃性をさらに高め得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す清掃装置の斜視図
【図2】ワイヤソーの模式的構造を概略的に示す斜視図
【図3】本発明の第2実施例を示す要部の斜視図
【図4】本発明の第3実施例を示す要部の斜視図
【図5】本発明の第4実施例を示す要部の斜視図
【図6】従来例を説明するための要部の断面図
【図7】異なる従来例を説明するための要部の斜視図
【符号の説明】
1は切断機構部(加工機構部)、2〜4は加工用ローラ、5はワイヤ、7は清掃装置、10はワーク(被加工材)、11は本体ケース、12はカバー、12aはスリット、13、14は清掃部材、17、18は回転/上下移動機構(押圧機構、圧力調整機構、移動機構)、19はエアノズル(エア供給装置)、21、22、23、24、27、28は清掃部材を示す。
Claims (26)
- ワイヤをその表面に遊離砥粒含有スラリーを供給しながら走行させることにより被加工材を切り込む加工機構部を備えたワイヤソーにおいて、
前記加工機構部の外部に位置するワイヤに対し異なる方向から接触される一対以上の清掃部材と、
これら清掃部材に対し前記ワイヤ方向への押圧力を付与する押圧機構と、
この押圧機構による押圧力を前記ワイヤの走行速度に応じて変化させる圧力調整機構とを備えたことを特徴とするワイヤソーの清掃装置。 - ワイヤをその表面に遊離砥粒含有スラリーを供給しながら走行させることにより被加工材を切り込む加工機構部を備えたワイヤソーにおいて、
前記加工機構部の外部に位置するワイヤに対し異なる方向から接触される一対以上の清掃部材と、
これら清掃部材に対し前記ワイヤ方向への押圧力を付与する押圧機構と、
この押圧機構による押圧力を前記ワイヤの走行速度に応じて変化させる圧力調整機構と、
前記各清掃部材における前記ワイヤとの接触位置を変更させる移動機構を備えたことを特徴とするワイヤソーの清掃装置。 - 請求項1または2記載のワイヤソーの清掃装置において、
前記圧力調整機構は、前記押圧機構による押圧力を前記ワイヤの走行速度が速い状態時ほど増大させることを特徴とするワイヤソーの清掃装置。 - 請求項3記載のワイヤソーの清掃装置において、
前記圧力調整機構は、前記ワイヤの走行速度が所定値以上となったときに前記押圧機構による押圧力を増大させ、所定値未満となったときに押圧機構による押圧力を減少させることを特徴とするワイヤソーの清掃装置。 - 請求項1ないし4の何れかに記載のワイヤソーの清掃装置において、
前記圧力調整機構は、前記ワイヤの走行方向に応じて前記押圧機構による押圧力を異ならせることを特徴とするワイヤソーの清掃装置。 - 請求項2記載のワイヤソーの清掃装置において、
前記移動機構は、前記清掃部材に対し前記押圧機構による押圧力が加えられている状態で当該清掃部材における前記ワイヤとの接触位置を変更させることを特徴とするワイヤソーの清掃装置。 - 請求項6記載のワイヤソーの清掃装置において、
前記移動機構は、前記対をなす清掃部材における前記ワイヤとの接触位置を変更するときに各清掃部材を互いに反対の方向へ移動させることを特徴とするワイヤソーの清掃装置。 - 請求項2記載のワイヤソーの清掃装置において、
前記押圧機構は、前記移動機構が前記ワイヤとの接触位置を変更させる動作を行う際に、前記清掃部材に対する押圧力を解除すると共に、その後に前記移動機構によりワイヤとの接触位置が変更されたときに前記清掃部材に対し押圧力を付与することを特徴とするワイヤソーの清掃装置。 - 請求項2、6、7、8の何れかに記載のワイヤソーの清掃装置において、
前記移動機構は、前記ワイヤの使用履歴が予め設定された条件を満たしたとき、若しくは任意設定時間が経過したときに前記清掃部材における前記ワイヤとの接触位置を変更させる動作を行うことを特徴とするワイヤソーの清掃装置。 - 前記清掃部材に対し前記ワイヤが前記加工機構部側から接触する位置に向けてエアを吹き付けるエア供給装置を備えたことを特徴とする請求項1ないし9の何れかに記載のワイヤソーの清掃装置。
- 前記清掃部材は、前記ワイヤを包み込むように変形する弾性材料より成ることを特徴とする請求項1ないし10の何れかに記載のワイヤソーの清掃装置。
- 前記清掃部材は、前記ワイヤより柔らかくて当該ワイヤにより切断されにくい材料より成ることを特徴とする請求項11記載のワイヤソーの清掃装置。
- 前記対をなす清掃部材は互いに対向配置されて前記ワイヤを挟み込む形態で設けられることを特徴とする請求項1ないし12の何れかに記載のワイヤソーの清掃装置。
- ワイヤをその表面に遊離砥粒含有スラリーを供給しながら走行させることにより被加工材を切り込む加工機構部を備えたワイヤソーにおいて、
前記加工機構部の外部に位置するワイヤに対して一対以上の清掃部材を異なる方向から当接させ、
前記各清掃部材から前記ワイヤに作用する押圧力を当該ワイヤの走行速度に応じて変化させることを特徴とするワイヤソーの清掃方法。 - ワイヤをその表面に遊離砥粒含有スラリーを供給しながら走行させることにより被加工材を切り込む加工機構部を備えたワイヤソーにおいて、
前記加工機構部の外部に位置するワイヤに対して一対以上の清掃部材を異なる方向から当接させ、
前記各清掃部材から前記ワイヤに作用する押圧力を当該ワイヤの走行速度に応じて変化させると共に、所定時期に前記一対の清掃部材における前記ワイヤとの接触位置を変更することを特徴とするワイヤソーの清掃方法。 - 請求項14または15記載のワイヤソーの清掃方法において、
前記清掃部材から前記ワイヤに作用する押圧力を前記ワイヤの走行速度が速い状態時ほど増大させることを特徴とするワイヤソーの清掃方法。 - 請求項16記載のワイヤソーの清掃方法において、
前記ワイヤの走行速度が所定値以上となったときに前記清掃部材から前記ワイヤに作用する押圧力を増大させ、所定値未満となったときに上記清掃部材からワイヤに作用する押圧力を減少させることを特徴とするワイヤソーの清掃方法。 - 請求項14ないし17の何れかに記載のワイヤソーの清掃方法において、
前記清掃部材から前記ワイヤに作用する押圧力を、当該ワイヤの走行方向に応じて異ならせることを特徴とするワイヤソーの清掃方法。 - 請求項15記載のワイヤソーの清掃方法において、
前記清掃部材における前記ワイヤとの接触位置を、その清掃部材から上記ワイヤに対し押圧力が作用している状態で変更することを特徴とするワイヤソーの清掃方法。 - 請求項19記載のワイヤソーの清掃方法において、
前記対をなす清掃部材における前記ワイヤとの接触位置を変更するときに各清掃部材を互いに反対の方向へ移動させることを特徴とするワイヤソーの清掃方法。 - 請求項15記載のワイヤソーの清掃方法において、
前記清掃部材における前記ワイヤとの接触位置を変更するときには、その清掃材から上記ワイヤに作用する押圧力を解除すると共に、その後に清掃部材におけるワイヤとの接触位置が変更されたときに清掃部材からワイヤに対し押圧力を付与することを特徴とするワイヤソーの清掃方法。 - 請求項15、19、20、21の何れかに記載のワイヤソーの清掃方法において、
前記ワイヤの使用履歴が予め設定された条件を満たしたとき、若しくは任意設定時間が経過したときに前記清掃部材における前記ワイヤとの接触位置を変更することを特徴とするワイヤソーの清掃方法。 - 前記清掃部材に対し前記ワイヤが前記加工機構部側から接触する位置に向けてエアを吹き付けることを特徴とする請求項14ないし22の何れかに記載のワイヤソーの清掃方法。
- 前記ワイヤを包み込むように変形する弾性材料より成る清掃部材を前記ワイヤに当接させることを特徴とする請求項14ないし23の何れかに記載のワイヤソーの清掃方法。
- 前記ワイヤより柔らかくて当該ワイヤにより切断されにくい材料より成る清掃部材を前記ワイヤに当接させることを特徴とする請求項24記載のワイヤソーの清掃方法。
- 前記対をなす清掃部材は互いに対向配置されて前記ワイヤに対しこれを挟み込んだ状態で当接されることを特徴とする請求項14ないし25の何れかに記載のワイヤソーの清掃方法。
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