JP3885297B2 - 異音判定装置及び異音判定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加振機により加振中の判定対象物、例えば車両からの振動データに基づいて非定常振動に基づく異音の発生可能性を判定するために用いられる異音判定装置及び異音判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、騒音の分析方法として、騒音の発生対象物である車両の運転時の騒音データから運転前の騒音データを減じてブレーキの鳴き音等の騒音を分析する方法が知られている(例えば、特開平3−67131号公報参照)。この方法では、車両の停止中に検出された騒音の周波数とその帯域の振幅値を第1の記憶部に記憶させるようにし、次に車両を運転させて、その運転時に検出された騒音の周波数とその帯域の振幅値を第2の記憶部に記憶させるようにしている。そして、上記各記憶部に記憶されたデータの中より各対応する周波数毎に第2の記憶部のデータより第1の記憶部のデータを減算することにより、ブレーキの鳴き音等の騒音の分析をするようにしている。ここで用いられている定常振動に基づく騒音の周波数分布を検出して、その騒音の分析を行うスペクトル分析の方法はよく知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、非定常振動の分析は、例えば、車両の最終組立後に加振機で車両を加振する加振試験において、その車両から発生するラトル異音の有無を検査・判定するような場合に必要となる。ここでラトル異音とは、例えば、車両内に装着された配線群と各種電装部品とを接続するカプラと呼ばれるもののうち、ユーザーの任意により将来装着される可能性のある電装部品との接続用として予め車両に装着される未接続状態のカプラ(遊びカプラ)から、車体振動により発生するコトコトという異音を指している。
【0004】
上記のラトル異音の検査は、検査員が試験車両に乗車してラトル異音発生の有無を判定するが、この形態のラトル異音検査には、その検査結果が次の三つの要因によりばらつくという問題がある。第一に、検査基準はラトル異音の大きさを、大(大多数のユーザーが気付く)、中(半数のユーザーが気付く)、小(ごく少数のユーザーが気付く)、の3段階に分けているが、検査基準とラトル異音の物理量との数量的対応が明確化されていないため、判定は専ら検査員の官能に基づいて行われることである。このため、判定基準が数量的に曖昧なものになってしまう。第二に、その検査結果が検査員の技能に依存することになることである。つまり、ラトル異音判定の検査員の養成には本来3〜12ヶ月の教育期間が必要と言われるように熟練を要し、ラトル異音判定はこのような熟練者の技能に依存せざるを得ないという実状がある。第三に、検査員は終日激しい振動にさらされるため、ラトル異音判定作業は肉体的にも精神的にも強いストレスを受ける等の肉体的・精神的負担を検査員に強いるものであることである。
【0005】
ここで、上記の問題は、検査基準として記されたラトル異音の大きさとラトル異音の物理特性との関連を数量的に明確化することと、熟練検査員と同等の判定結果を提示することによって未熟練検査員の技能を補うこととの対策を実施することにより解決できると考えられる。そのために、物理量計測に基づくラトル異音の大きさの判定手法の導入が必要となる。
【0006】
そこで、加振試験下で未接続カプラのラトル異音として「大」、「中」、「無」の大きさのものを人為的に発生させ、その時の車室内振動データを採取して比較を行った。この結果、得られたラトル異音を含む振動データの時間波形を図14に示す。この内、図14(a)はラトル異音の大きさが「大」の場合、同図(b)は「中」の場合、同図(c)は「無」の場合をそれぞれ示している。また、図15は各大きさのラトル異音を含む振動の周波数分布(パワースペクトル)を示している。
【0007】
ところが、ラトル異音の大きさの違いによる顕著な違いは図14に示す時間波形、図15に示す周波数分布共に認めらず、僅かに図15に示す周波数分布において、2200Hz前後で若干の差が認められるに過ぎない。この原因は、ひとつには非定常性(断続性)を強く帯びたラトル異音の分析にパワースペクトルのような定常振動分析法を適用したためであり、もうひとつにはラトル異音よりも加振振動の大きさが大きく勝るためであると考えられる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、異音の発生可能性を判定する装置において、加振機による加振中の判定対象物からの振動データに基づいてその非定常振動に基づく異音の定量的な判定を可能にすることにあり、加えて、非定常振動に基づく異音の発生可能性の判定精度を向上させることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、非定常振動に基づく異音の発生可能性を判定すべき判定対象物を加振する加振手段と、上記判定対象物から発生する振動を検出する検出手段と、この検出手段で検出した振動データに基づいて、上記判定対象物の異音の発生可能性を判定する判定手段とを備えたものとする。そして、上記判定手段を、上記検出手段で検出された振動データを時間周波数分析することにより時間周波数分布を求める時間周波数分析部と、この時間周波数分析部により得られる時間周波数分布から非定常振動の強度が設定値以上となる時刻の非定常振動データを抽出するデータ抽出部と、このデータ抽出部で抽出された非定常振動データに基づいて異音の発生可能性を判定する判定部とを備え、上記判定手段を、時間周波数分析部により得られる時間周波数分布を周波数方向に累積して時刻毎の振動瞬時強度を求める瞬時強度演算部を備えたものとする。そして、データ抽出部を、上記振動瞬時強度が非定常振動強度として用いることにより非定常振動データの抽出を行う構成とするものである。
【0010】
上記の構成の場合、非定常振動の分析に適した時間周波数分析により得られる時間周波数分布から、非定常振動の発生している時刻のデータを抽出するようにしている。このため、得られるデータは、非定常振動成分を多く含んでいることになる。これにより、判定対象物から発生する非定常振動の分析精度を向上させ、それに伴い、非定常振動に基づく異音の定量的な判定が可能になる。加えて、非定常振動に基づく異音の発生可能性の判定精度を向上させることが可能になる。
【0011】
請求項2記載の発明は、非定常振動に基づく異音の発生可能性を判定すべき判定対象物を加振する加振手段と、上記判定対象物から発生する振動を検出する検出手段と、この検出手段で検出した振動データに基づいて、上記判定対象物の異音の発生可能性を判定する判定手段とを備えたものとする。そして、上記判定手段を、上記検出手段で検出された振動データを時間周波数分析することにより時間周波数分布を求める時間周波数分析部と、この時間周波数分析部により得られる時間周波数分布から非定常振動の強度が設定値以上となる時刻の非定常振動データを抽出するデータ抽出部と、このデータ抽出部で抽出された非定常振動データに基づいて異音の発生可能性を判定する判定部とを備え、上記判定手段を、時間周波数分析部より求められた時間周波数分布、又は、データ抽出部により抽出された非定常振動データから、低周波成分を構成する加振振動成分を除去する低周波成分除去部を備えた構成とするものである。
【0012】
上記の構成の場合、振動データに含まれる定常振動に基づく加振振動成分を除去することで、非定常振動成分のみを抽出することになり、その分析精度をより一層向上させ、それに伴い、非定常振動に基づく異音の定量的な判定が可能になる。加えて、異音の発生可能性の判定精度をより一層向上させることが可能になる。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、低周波成分除去部を、時間周波数分布の時間方向に対する幾何平均を求め、その時間周波数分布を時間方向の各時刻毎に上記時間方向幾何平均により除することにより加振振動成分を除去する構成とするものである。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明において、低周波成分除去部を、時間方向幾何平均として、非定常振動に基づく異音が発生していない状態におけるものとして予め求められた時間周波数分布の時間方向幾何平均を用いる構成とするものである。
【0015】
上記の構成の場合、低周波成分除去部の具体的構成を得ることが可能になり、請求項4の作用を具体的に得ることが可能になる。
【0016】
請求項5記載の発明は、非定常振動に基づく異音の発生可能性を判定すべき判定対象物を加振する加振手段と、上記判定対象物から発生する振動を検出する検出手段と、この検出手段で検出した振動データに基づいて、上記判定対象物の異音の発生可能性を判定する判定手段とを備えたものとする。そして、上記判定手段を、上記検出手段で検出された振動データを時間周波数分析することにより時間周波数分布を求める時間周波数分析部と、この時間周波数分析部により得られる時間周波数分布から非定常振動の強度が設定値以上となる時刻の非定常振動データを抽出するデータ抽出部と、このデータ抽出部で抽出された非定常振動データに基づいて異音の発生可能性を判定する判定部とを備え、上記判定手段を振動データを正常データと外乱に基づく異常データとに判別する異常データ判別部を備えたものとする。そして、時間周波数分析部を、上記異常データ判別部により正常データと判別された振動データに基づいて時間周波数分析を行う構成とするものである。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、異常データ判別部を、振動データの波形の振幅の絶対値を相加平均した振幅平均値を一方の軸とし、上記振幅の絶対値の最大値と上記振幅平均値との比を他方の軸とする二次元座標分布を求め、この二次元座標分布の状態に基づいて上記振動データを正常データと異常データとに判別する構成とするものである。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、異常データ判別部を、求めた二次元座標分布についての統計量分布境界線をファジー推論により連続的に求め、この統計量分布境界線を基準として上記二次元座標分布から正常データと異常データとの判別を行う構成とするものである。
【0019】
上記の構成の場合、正常データと異常データとを容易に判別することが可能となり、異常データによる誤った異音の分析・判定結果を得ることが無くなるため、非定常振動に基づく異音の発生可能性の判定に対する信頼性が得られる。
【0020】
請求項8記載の発明は、異音の発生可能性を判定すべき判定対象物を加振し、加振中に上記判定対象物から発生する振動を検出して上記判定対象物の異音の発生可能性を判定する異音の判定方法を前提としている。この方法において、上記検出手段で検出された振動データを時間周波数分析することにより時間周波数分布を求める第1ステップと、時間周波数分析により得られる時間周波数分布を周波数方向に累積し、時刻毎の振動瞬時強度を求める第2ステップと、上記振動瞬時強度が設定値以上となる時刻の非定常振動データのみを抽出する第3ステップと、第3ステップで抽出された非定常振動データに基づいて異音の発生可能性を判定する第4ステップとを備え、非定常振動データを抽出する第3ステップ、又は、異音の発生可能性を判別する第4ステップに先立ち、低周波成分を構成する加振振動成分を除去するステップをさらに備えた構成とする方法である。
【0021】
上記の構成の場合、非定常振動の分析に適した時間周波数分析により得られる時間周波数分布から、非定常振動の発生している時刻のデータを抽出するようにしている。このため、得られるデータは、非定常振動の成分を多く含んでいることになる。これにより、判定対象物から発生する非定常振動の分析精度を向上させ、それに伴い、非定常振動に基づく異音の定量的な判定が可能となる。加えて、非定常振動に基づく異音の発生可能性の判定精度を向上させることが可能になる。
【0022】
また、振動データに含まれる定常振動に基づく低周波成分を除去することで、非定常振動成分のみを抽出することになり、その分析精度をより一層向上させ、それに伴い、非定常振動に基づく異音の定量的な判定が可能になる。加えて、異音の発生可能性の判定精度をより一層向上させることが可能になる。
【0023】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、低周波成分を除去するステップを、時間周波数分布について時間方向に対する幾何平均、又は、非定常振動に基づく異音が発生していない状態におけるものとして予め求められた時間周波数分布の時間方向平均を求め、振動データの時間周波数分布を時間方向の各時刻毎に上記時間方向幾何平均の内のいずれかにより除することにより低周波成分を除去する構成とする方法である。
【0024】
上記の構成の場合、低周波成分を除去するステップの具体的構成を得ることが可能になり、請求項8の作用を具体的に得ることが可能になる。
【0025】
請求項10記載の発明は、異音の発生可能性を判定すべき判定対象物を加振し、加振中に上記判定対象物から発生する振動を検出して上記判定対象物の異音の発生可能性を判定する異音の判定方法を前提としている。この方法において、上記検出手段で検出された振動データを時間周波数分析することにより時間周波数分布を求める第1ステップと、時間周波数分析により得られる時間周波数分布を周波数方向に累積し、時刻毎の振動瞬時強度を求める第2ステップと、上記振動瞬時強度が設定値以上となる時刻の非定常振動データのみを抽出する第3ステップと、第3ステップで抽出された非定常振動データに基づいて異音の発生可能性を判定する第4ステップとを備え、振動データを時間周波数分析する第1ステップに先立ち、異常データを判別するステップを備えた構成とする方法である。
【0026】
上記の構成の場合、異常データによる誤った異音の分析・判定結果を得ることが無くなるため、非定常振動に基づく異音の発生可能性の判定に対する信頼性が得られる。
【0027】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明において、異常データを判別するステップを、振動データの波形の振幅の絶対値を相加平均した振幅平均値を一方の軸とし、上記振幅の絶対値の最大値と上記振幅平均値との比を他方の軸とする二次元座標分布についての統計量分布境界線をファジー推論により連続的に求め、この統計量分布境界線を基準として上記二次元座標分布から正常データと異常データとの判別を行う構成とする方法である。
【0028】
上記の構成の場合、異常データを判別するステップの具体的構成を得ることが可能になり、請求項10の作用を具体的に得ることが可能になる。
【0029】
請求項12記載の発明は、接続要素間を互いに接続する配線群と、この配線群と接続要素とを接続する接続部とが装着された車両に対し、この車両を加振する加振手段と、上記車両から発生する振動を検出する検出手段と、この検出手段で検出した振動のデータに基づいて、上記車両の接続部における非定常振動に基づく異音の発生可能性を判定すべき判定手段とを備えたものとする。そして、上記判定手段を、上記検出手段で検出された振動データを時間周波数分析することにより時間周波数分布を求める時間周波数分析部と、この時間周波数分析部により得られる時間周波数分布から非定常振動に基づく強度が設定値以上となる時刻の非定常振動データのみを抽出するデータ抽出部と、このデータ抽出部で抽出された非定常振動データに基づいて異音の発生可能性を判定する判定部とを備えた構成とするものである。
【0030】
上記の構成の場合、非定常振動の分析に適した時間周波数分析により得られる時間周波数分布から、非定常振動の発生している時刻を抽出するようにしている。このため、得られるデータは、非定常振動の成分を多く含んでいることになる。これにより、車両に装着された接続部から発生する非定常振動に基づく異音の分析精度を向上させ、それに伴い、非定常振動に基づく異音の定量的な判定が可能になる。加えて、非定常振動に基づく異音の発生可能性の判定精度を向上させることが可能になる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施形態に係る異音判定装置のブロック線図を示し、1は判定対象物としての試験車両、2は加振手段としての加振機、3は検出手段としてのマイクロフォン、4は判定手段である。
【0033】
上記試験車両1には、多数の配線群と、その配線群と各種電装部品とを接続する接続部としての多数のカプラとが装着されている。この多数のカプラの中には、ユーザーの任意により将来装着される可能性のある電装部品との接続用として予め車両に装着される未接続状態のカプラ(遊びカプラ)があり、それらの未接続カプラの取り付け状態によっては、上記試験車両1の走行時の車体振動を再現する上記加振機2、例えば4輪油圧加振機により上記試験車両1を加振することにより、上記未接続カプラから、コトコトというラトル異音が発生することがある。
【0034】
上記マイクロフォン3は、上記試験車両1の車室に設置され、上記加振機2により加振中に、上記試験車両1の車室内で発生する振動を検出するようになっている。そして、上記マイクロフォン3により検出された振動データは、上記判定手段4に入力される。
【0035】
上記判定手段4は、異常データ判別部41、時間周波数分析部42、瞬時強度演算部43、データ抽出部44、低周波成分除去部45及び判定部46により構成されている。
【0036】
上記マイクロフォン3により検出された振動データは、異常データ判別部41において、正常データであるか、異常データであるかを判別して、正常データであれば、上記時間周波数分析部42に出力されることになり、異常データであれば、振動データを取り直すようにしている。
【0037】
上記時間周波数分析部42では、時間周波数分析の方法の内のひとつである平滑化Wigner分布を用いて、上記加振機2による加振振動と、未接続カプラによる非定常振動に基づくラトル異音とのそれぞれを含む振動データの時間周波数分布を求めるようにする。
【0038】
そして、上記瞬時強度演算部43において、上記時間周波数分布を周波数方向に累積して、振動瞬時強度(振動瞬時パワー)を求めるようにする。
【0039】
上記時間周波数分布と振動瞬時強度とは、それぞれ上記データ抽出部44に入力され、まず、上記振動瞬時強度が所定値を超える時刻における上記時間周波数分布を抽出して、非定常振動に基づくラトル異音が多く含まれた時間周波数分布を求めるようにする。次いで、上記のラトル異音が多く含まれた時間周波数分布を時間方向に累積して異音周波数分布(異音スペクトル)を求めるようにする。
【0040】
上記異音スペクトルは、上記低周波成分除去部45に入力される。また、ラトル異音の発生していない状態で予め検出された振動データの時間周波数分布を時間方向に累積した振動周波数分布(振動スペクトル)も、上記低周波成分除去部45に入力される。そして、上記異音スペクトルと振動スペクトルとの比を求めて、異音スペクトルから定常振動に基づく低周波成分を構成する加振振動を除去するようにする。さらに、この低周波成分が除去された異音スペクトルを帯域毎に平均して、判定関数を求めるようにする。
【0041】
上記判定関数は、上記判定部46に入力され、ラトル異音の大きさを判定して、ラトル異音の発生可能性を判定するようにする。この判定部46は、例えばニューラルネットワークを用いればよい。
【0042】
つぎに、上記実施形態の異音判定方法について図2に示す判定手段の処理のフローチャートを用いて説明する。
【0043】
まず、ステップS1に入力される振動データには、しばしば図3に示すような異常データが含まれている。これらの異常データは、図3(a)に示すように加振機の運転中断時(加振機は約3分間隔で断続運転される)にデータ採取が行われたり、図3(b)に示すように車室内に設置した計測機器の位置が振動のためにずれたりすることによって生じる。そこで、人為的に発生した「大」、「中」及び「無」の各大きさのラトル異音の振動データをそれぞれ30サンプル採取して、明らかに異常データと判別できるものを目視で抽出して、図4に示すように、x:波形の振幅の絶対値の平均値、y:振幅の絶対値の最大値とxとの比の2次元座標分布を求めたところ、この2次元座標分布上で正常データと異常データが最もよく分離されることがわかる。図4において、横軸はx、縦軸はy、〇は正常データを、×は異常データを示しているが、正常データの統計量は1箇所に集中するのに対し、異常データの統計量は大きくばらついている。そこで、正常データの統計量と異常データの統計量との分布境界を図4に示す実線のように設定することとする。この図において、正常データの一部が正常データ範囲からはずれているが、この段階での正常データと異常データとの判別は目視によるものであることから、より厳しい判別基準を設定したためである。
【0044】
図4に示す統計量分布境界線は、x軸あるいはy軸に平行な線分で構成され、a,a,a,a,b,bの6つの値を指定するだけで設定できる簡単なものであるが、真の境界はより連続的なものであると考えるのが自然である。そこでファジー推論を用い、図4に示す境界線から連続な境界線を求めることにする。これにより、新たな異常データ発生要因が加わった場合でも、境界線の概略形状を再指定するだけで、新しい連続境界線を簡単に生成することができることになる。
【0045】
ファジー推論にはいくつかの方法論があるが、本発明では次の方法を用いることにする。まず、図4に示す統計量分布境界から、異常データを判別するためのファジー論理R〜Rを次のように記述する。
【0046】
【数1】
Figure 0003885297
【0047】
ここでLessthanA,GreaterthanB,Irregularなどはx、y、zがメンバーシップを持つファジー集合である。また、変数z(−1<z<1)は、データの正常度を示す変数で、正のときデータの正常を、負のとき異常を意味する。x、y、zと各ファジー集合との関係は次のメンバーシップ関数で定義する。
【0048】
【数2】
Figure 0003885297
【0049】
【数3】
Figure 0003885297
【0050】
【数4】
Figure 0003885297
【0051】
ここでc,c,c,c,d,dは生成されるファジー関数の尖鋭度を決定するパラメータで、これらの値が大きいほど図4に示す境界形状に近いファジー関数が生成され、小さいほど丸みを帯びた関数が生成される。
【0052】
〜Rより、R〜Rの前件部成立確率Q〜Qと、非ファジー化されたzの値とは次式で求められる。
【0053】
【数5】
Figure 0003885297
【0054】
【数6】
Figure 0003885297
【0055】
,c,c,c,d,dの値を適度に調整すると、xとyに対するzの関数形状として図5に示す曲面が得られる。図5は、zの値のそれぞれに応じて濃淡により表した図を各濃淡の境界に境界線を附して表したものである。図5において、zの値が1に近い領域に統計量を持つデータは正常データと判別される。逆にzの値が−1に近い領域に統計量を持つデータは異常データと判別されることになる。関数形状は十分な連続性を有しており、ねらいどおりの判別関数が得られている。
【0056】
上記ステップS1において上記判別関数を求め、この判別関数を用いて、ステップS2において振動データが正常であるか、異常であるかを判別し、正常であればステップS3に進み、異常であればデータを取り直すようにする。
【0057】
上記ステップS3では、上記の振動データの分析を行うが、非定常振動の分析に応用可能な信号分析手法としては、近年地震波形分析や音声分析の領域で実用化されている時間周波数分析がある。この時間周波数分析にはいくつかの方法論があるが、最も基礎的なものはスペクトログラムと呼ばれるものである。これは、短時間の窓関数を時間軸に沿って移動させながら瞬時パワースペクトルを求めていく方法で、計算が簡単である反面、時間分解能と周波数分解能の間にトレードオフが生じるという欠点を持つ。これに対して時間方向、周波数方向共に高分解能の得られる時間周波数分析法として、次式で定義されるWigner分布がある。
【0058】
【数7】
Figure 0003885297
【0059】
これは、定常信号に対して成立するWigner−Khintchineの定理を非定常信号領域に拡大適用したもので、高分解能であるほか、時間方向積分値がエネルギースペクトルに、また周波数方向積分値が瞬時パワーに一致するという特長を有する。
【0060】
式(6)で定義されるWigner分布は、解析学的検討を行うためには有効であるが、サンプル値として得られる実測データの分析には適さない。サンプル値に対するWigner分布としては、次式で定義される離散的Wigner分布がある。
【0061】
【数8】
Figure 0003885297
【0062】
離散的Wigner分布では、計算上のみかけのサンプリング周波数が実際のサンプリング周波数の半分になるため、本来はサンプリング周波数を信号の上限周波数の4倍に設定しなければならないが、分析前に信号の標本時系列を解析信号化するという処理を加えることでこの欠点は解消され、サンプリング周波数を信号の上限周波数の2倍に設定すればすむようになる。解析信号とは、実数部を元の標本実時系列、虚数部を元の標本実時系列のHilbert変換とする複素時系列のことである。なお離散的Wigner分布では、時間方向積分値がエネルギースペクトルの近似値を、周波数方向積分値が瞬時パワーの近似値を与えることになる。
【0063】
離散的Wigner分布には、干渉項と呼ばれる誤差やノイズが生じやすいという欠点がある。干渉項とは、時間周波数平面上で隣り合う2つの信号成分があるとき、両者の中間位置に現れる物理的に意味を持たない周波数信号成分を指す。そこで離散的Wigner分布の干渉項やノイズの低減を目的とする種々の改良法が提案されており、その1つに次式で定義される平滑化Wigner分布がある。
【0064】
【数9】
Figure 0003885297
【0065】
ここでgは時間窓関数、hは周波数方向の荷重関数である。平滑化Wigner分布では、時間方向、周波数方向の両方向に平滑化処理を施すことによって、干渉項やノイズが低減され、より良質の分析結果が得られる。
【0066】
図6に「大」、図7に「中」、図8に「無」の大きさのラトル異音を含む振動の平滑化Wigner分布W(t,f)をそれぞれ示す。図6〜図8は、パワースペクトル密度の値に応じてそれぞれ色分けされた図に対し、色分け層の境界線を描き起こした図である。図6〜図8に示す分析結果には、図14及び図15に示す時間波形や周波数分布からは識別困難であったラトル異音が明確な縦縞となって現れ、縞の本数や強さから推定される異音の大きさも実際の異音の大きさによく一致している。なお、図6〜図8の各図の下部に現れた低周波領域は定常性の加振振動の低周波成分を表しており、振動成分としてはこの成分が支配的であることがわかる。
【0067】
ステップS4では、ステップS3で得られた図6〜図8に示す平滑化Wigner分布W(t,f)を周波数方向に累積して得られる振動瞬時強度(振動瞬時パワー)P(t)を求める。図9に示すように振動瞬時パワーP(t)は、ラトル異音の大きさが「大」の場合で約0.1秒周期のピークを持つが、このピークの発生時刻がすなわちラトル異音の発生時刻であると推定される。
【0068】
そこで、ステップS5で、図10に示すように、パワー変動がピークを生じる時刻の平滑化Wigner分布を切り出し、それらの平均を求めることにより、ラトル異音発生時刻の振動周波数分布を抽出して、上記のラトル異音発生時刻の振動周波数分布(異音スペクトル)Se(t,f)を求める。この異音スペクトルSe(t,f)は図15に示した振動全体の周波数分布よりも比率的にラトル異音の成分を多く含むため、ラトル異音の大きさが「大」、「中」及び「無」のそれぞれの差が強調されることになる。この様子は図11に示されている。
【0069】
しかし、2000Hz以下の周波数帯域では、加振振動の低周波成分がまだ多く含まれており、ラトル異音が十分に強調されない。そこで、加振振動がほぼ定常振動であることに着目し、事前に測定しておいた異音の発生していない状態の時間周波数分布を求め、上記の異音スペクトルSe(t,f)を、上記の異音の発生していない状態の時間周波数分布で時間方向に除する方法によって図6〜図8の異音スペクトルSe(t,f)から加振振動の低周波成分を除去することにする。
【0070】
ステップS6では、上記の事前に測定しておいた異音の発生していない状態の周波数分布(全振動スペクトル)S(f)を求め、ステップS7で、上記の異音スペクトルSe(t,f)を、上記の全振動スペクトルS(t,f)で除するようにする。この方法により得られた非定常振動成分の周波数分布を図12に示す。この周波数分布は、非定常振動成分のみの周波数分布、すなわちラトル異音のみの周波数分布と考えることができ、ラトル異音の大きさが「大」、「中」及び「無」の差も、図15及び図11に示すものよりも明確に現れる。このため、この周波数分布を用いることで異音の大きさの正確な判定が可能になる。
【0071】
予め設定しておいた判定関数の入力として、図12に示す非定常異音成分の周波数分布を与えることにより異音大きさの判定が可能となる。しかし、実際の検査工程では、判定すべき異音の種類、検査対象車種、検査基準などの追加や変更が頻繁に生じることが予想されるため、そのような場合にも判定関数を容易に更新できる判定法にしておく必要がある。そこで、本発明では、異音発生原因の推定などにも応用されているニューラルネットワーク(以下「NN」と略称する)を用いて異音の大きさの判定を行うことにする。NNを用いると、教示データによる学習処理を行うだけで簡単に判定関数を更新できるので、前述したような追加・変更が頻繁に生じる適用現場に向いた判定システムを構築できるようになる。
【0072】
具体的には、入力データ数を圧縮するために、ステップS8で、図12に示す非定常異音成分の周波数分布を500Hzごとに平均化して図13に示す500Hz帯域別分布を求める。このとき、500個のデータ数を10個にしている。そして、ステップS9で、この分布を入力ベクトルとするNNで大きさ判定を行うようにする。
【0073】
NNには種々の手法があるが、本発明では、最も融通性の高いバックプロパゲーション則に基づくNNを用いることにする。ラトル異音の大きさが「大」、「中」及び「無」のそれぞれ30サンプル程度の振動データを用いて予備テストを行った結果に基づいて全体を3層とし、第1層は入力層、第2層は正弦シグモイド関数を伝達関数とする中間層、第3層は線形関数を伝達関数とする出力層とすることにした。入力層は図11から得られる入力ベクトルの要素数からノード数を10とし、出力層はラトル異音の大きさ推定値のみを出力すればよいことからニューロン数を1とした。中間層については、20ニューロンとした場合に最もよい、つまり、熟練技術者の判定に最も近い判定結果が得られた。
【0074】
判定に先立って行う学習処理には、局所最適解での停留を避けるためのモメンタリ付き学習と学習速度を早めるための適応学習率の手法を併用し、さらにノイズを含む入力データに対しても安定した出力を生成するNNを得るため、通常の学習を行った後に乱数を加えた教示データで再学習させる方法を用いるようにする。
【0075】
なお、上記のような車体振動により発生するラトル異音は、僅かな配置換えを行うことで、その発生を防ぐことが可能である。このため、上記のラトル異音の判定結果から、将来、ラトル異音が未接続カプラから発生することが予想される場合には、未接続カプラの若干の配置換えをする等の対策を施して、ラトル異音が発生しない状態でにした上で出荷されることになる。
【0076】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、異音の判定判定対象物として車両としているが、これに限らず、例えば未接続カプラが装着されているものであればよい。
【0077】
上記実施形態では、判定部としてニューラルネットワークを用いているようにしているが、これに限らず、異音の大きさを判定できるものであればよい。
【0078】
ステップS5とステップS7の処理の順序を入れ換えても、ステップS8において、同じ判定関数を得ることが可能になる。
【0079】
上記実施形態では、低周波成分を除去するために、ステップS6で、事前に測定しておいた異音の発生していない状態の周波数分布(全振動スペクトル)S(f)を求めるようにしているが、これに限らず、ステップS3で得られるWigner分布を時間方向に累積して全振動スペクトルS(f)としてもよい。この場合でも、低周波成分を除去することができる。
【0080】
上記実施形態では、低周波成分を除去するために、全振動スペクトルS(f)を用いるようにしているが、これに限らず、例えば、振動データの検出時に高域通過フィルタを用いて、振動データの低周波成分を除去するようにしてもよい。
【0081】
上記実施形態では、ラトル異音の大きさのみを判定するようにしているが、これに限らず、例えば、きゅっきゅっというスキーク音などの他種類の異音の判定に応用するようにしてもよい。さらに、異音の種類数と出力層のニューロン数を一致させ、1つのニューロンが一種類の異音の大きさを出力するようにすれば、異音の種類とその異音の大きさとを同時に判定できる。
【0082】
上記実施形態では、加振振動などの背景振動が定常振動に基づく場合であるが、これに限らず、例えば、加振振動が非定常振動に基づく場合でもよい。この場合、Kalmanフィルタや適応フィルタを用い、加振機等の背景振動源への入力信号から背景振動成分を推定するようにすればよい。これは、判定したい異音が背景振動に比べて極めて弱い場合にも効果がある。
【0083】
さらに、上記実施形態では、異音の種類として非定常振動に基づく異音を対象としているが、これに限らず、例えばエンジンや変速機の不具合などに起因する定常性異音を対象としてもよい。この場合、非定常振動分析を行う代わりにパワースペクトルを計測し、異音無しのときのパワースペクトルとの比をニューラルネットワークへの入力とすれば、上記実施形態と同様の判定が可能となる。
【0084】
【実施例】
未接続カプラのラトル異音に対する本判定法の性能を調べる実験では、まず加振試験下において試験車両のインパネ中央付近から「大」、「中」、「無」の各大きさのラトル異音を人為的に発生させ、各30サンプル(合計90サンプル)のデータを採取した。そのうち正常データは、「大」、「中」及び「無」のそれぞれについて29,28及び26サンプル(合計83サンプル)抽出された。次に、すべての正常データについて500Hz帯域別異音周波数分布を求めた。そして、「大」、「中」及び「無」の分布データ各10サンプルをNNに学習させ、学習を終えたNNを用いて残りの分布データ(「大」、「中」及び「無」のそれぞれについて19,18及び16サンプルの合計53サンプル)の異音の大きさの判定を行った。熟練検査員の判定と本判定法による判定との対比を表1に示す。
【0085】
【表1】
Figure 0003885297
【0086】
この実験の結果、異音の大きさが容易に判定できる「大」では両者の判定に差は見られず、判定がやや難しくなる「中」または「無」の判定でも3サンプルの食い違いが生じたに過ぎなかった。熟練検査員の判定がすべて正しいと仮定すると、本発明の方法の正解率は94%となる。なお、熟練検査員の正解率は90%前後と言われている。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明における異音判定装置によれば、振動データから非定常振動の成分を多く含むデータを抽出することができ、これにより、判定対象物から発生する非定常振動の分析精度を向上させ、それに伴い、非定常振動に基づく異音の定量的な判定ができる。加えて、非定常振動に基づく異音の発生可能性の判定精度を向上させることが可能になる。
【0088】
請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明による効果に加えて、振動データに含まれる定常振動に基づく加振振動成分を除去することで、非定常振動成分のみを抽出することになり、その分析精度をより一層向上させ、それに伴い、異音の発生可能性の判定精度をより一層向上させることができる。
【0089】
請求項3または請求項4記載の発明によれば、上記請求項2記載の発明による効果をより具体的に得ることが可能になる。
【0090】
請求項5〜7記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明による効果に加えて、異常データによる誤った異音の分析・判定結果を得ることが無くなるため、非定常振動に基づく異音の発生可能性の判定に対する信頼性を得ることができる。
【0091】
請求項8又は9記載の発明における異音判定方法によれば、振動データから非定常振動成分を多く含むデータを抽出することができ、判定対象物における非定常振動に基づく異音の分析精度を向上させ、それに伴い、異音の発生可能性の判定精度を向上させることができる。また、非定常振動成分を抽出することにより、その分析精度をより一層向上させ、それに伴い、非定常振動に基づく異音の発生可能性の判定精度を向上させることができる。
【0092】
請求項10または請求項11記載の発明によれば、請求項8記載の発明と同様に、振動データから非定常振動成分を多く含むデータを抽出することができ、判定対象物における非定常振動に基づく異音の分析精度を向上させ、それに伴い、異音の発生可能性の判定精度を向上させることができると共に、異常データによる誤った異音の分析・判定結果を得ることが無くなるため、非定常振動に基づく異音の発生可能性の判定に対する信頼性を得ることができる。
【0093】
請求項12記載の発明によれば、非定常振動の分析精度を向上させ、それに伴い、車両の接続部から発生する異音の定量的な判定ができる。加えて、車両の接続部から発生する異音の発生可能性の判定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を示すブロック線図である。
【図2】 判定手段の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】 異常データの時間波形を示す図である。
【図4】 正常データと異常データとの統計量分布と、統計量分布境界線とを示す図である。
【図5】 図4に対して、連続な統計量分布を与えるファジー関数を示す図である。
【図6】 ラトル異音として「大」の大きさのものを含む振動の平滑化Wigner分布を示す図である。
【図7】 ラトル異音として「中」の大きさのものを含む振動の平滑化Wigner分布を示す図である。
【図8】 ラトル異音として「無」のものを含む振動の平滑化Wigner分布を示す図である。
【図9】 ラトル異音を含む振動の振動瞬時強度(振動瞬時パワー)を示す図である。
【図10】 ラトル異音発生時の振動周波数分布の抽出法を示す図である。
【図11】 ラトル異音発生時の異音周波数分布(異音スペクトル)を示す図である。
【図12】 ラトル異音発生時の非定常異音成分の周波数分布を示す図である。
【図13】 ラトル異音発生時の非定常異音成分の500Hz帯域別分布を示す図である。
【図14】 未接続カプラのラトル異音を含む振動の時間波形を示す図である。
【図15】 未接続カプラのラトル異音を含む振動の周波数分布を示す図である。
【符号の説明】
1 試験車両(判定対象物)
2 加振機(加振手段)
3 マイクロフォン(検出手段)
4 判定手段
41 異常データ判別部
42 時間周波数分析部
43 瞬時強度演算部
44 データ抽出部
45 低周波成分除去部
46 判定部

Claims (12)

  1. 非定常振動に基づく異音の発生可能性を判定すべき判定対象物を加振する加振手段と、
    上記判定対象物から発生する振動を検出する検出手段と、
    この検出手段で検出した振動データに基づいて、上記判定対象物の異音の発生可能性を判定する判定手段と
    を備え、
    上記判定手段は、
    上記検出手段で検出された振動データを時間周波数分析することにより時間周波数分布を求める時間周波数分析部と、
    この時間周波数分析部により得られる時間周波数分布から非定常振動の強度が設定値以上となる時刻の非定常振動データを抽出するデータ抽出部と、
    このデータ抽出部で抽出された非定常振動データに基づいて異音の発生可能性を判定する判定部とを備え、
    上記判定手段はさらに、時間周波数分析部により得られる時間周波数分布を周波数方向に累積して時刻毎の振動瞬時強度を求める瞬時強度演算部を備えており、
    上記データ抽出部は、上記振動瞬時強度を非定常振動強度として用いることにより非定常振動データの抽出を行うように構成されている
    ことを特徴とする異音判定装置。
  2. 非定常振動に基づく異音の発生可能性を判定すべき判定対象物を加振する加振手段と、
    上記判定対象物から発生する振動を検出する検出手段と、
    この検出手段で検出した振動データに基づいて、上記判定対象物の異音の発生可能性を判定する判定手段と
    を備え、
    上記判定手段は、
    上記検出手段で検出された振動データを時間周波数分析することにより時間周波数分布を求める時間周波数分析部と、
    この時間周波数分析部により得られる時間周波数分布から非定常振動の強度が設定値以上となる時刻の非定常振動データを抽出するデータ抽出部と、
    このデータ抽出部で抽出された非定常振動データに基づいて異音の発生可能性を判定する判定部とを備え、
    上記判定手段はさらに、時間周波数分析部により求められた時間周波数分布、又は、データ抽出部により抽出された非定常振動データから、低周波成分を構成する加振振動成分を除去する低周波成分除去部を備えている
    ことを特徴とする異音判定装置。
  3. 請求項2において、
    低周波成分除去部は、時間周波数分布の時間方向に対する幾何平均を求め、その時間周波数分布を時間方向の各時刻毎に上記時間方向幾何平均により除することにより加振振動成分を除去するように構成されている
    ことを特徴とする異音判定装置。
  4. 請求項2において、
    低周波成分除去部は、時間方向幾何平均として、非定常振動に基づく異音が発生していない状態におけるものとして予め求められた時間周波数分布の時間方向幾何平均を用いるように構成されている
    ことを特徴とする異音判定装置。
  5. 非定常振動に基づく異音の発生可能性を判定すべき判定対象物を加振する加振手段と、
    上記判定対象物から発生する振動を検出する検出手段と、
    この検出手段で検出した振動データに基づいて、上記判定対象物の異音の発生可能性を判定する判定手段と
    を備え、
    上記判定手段は、
    上記検出手段で検出された振動データを時間周波数分析することにより時間周波数分布を求める時間周波数分析部と、
    この時間周波数分析部により得られる時間周波数分布から非定常振動の強度が設定値以上となる時刻の非定常振動データを抽出するデータ抽出部と、
    このデータ抽出部で抽出された非定常振動データに基づいて異音の発生可能性を判定する判定部とを備え、
    上記判定手段はさらに、振動データを正常データと外乱に基づく異常データとに判別する異常データ判別部を備えており、
    上記時間周波数分析部は、上記異常データ判別部により正常データと判別された振動データに基づいて時間周波数分析を行うように構成されている
    ことを特徴とする異音判定装置。
  6. 請求項5において、
    異常データ判別部は、
    振動データの波形の振幅の絶対値を相加平均した振幅平均値を一方の軸とし、上記振幅の絶対値の最大値と上記振幅平均値との比を他方の軸とする二次元座標分布を求め、この二次元座標分布の状態に基づいて上記振動データを正常データと異常データとに判別するよう構成されている
    ことを特徴とする異音判定装置。
  7. 請求項6において、
    異常データ判別部は、求めた二次元座標分布についての統計量分布境界線をファジー推論により連続的に求め、この統計量分布境界線を基準として上記二次元座標分布から正常データと異常データとの判別を行うように構成されている
    ことを特徴とする異音判定装置。
  8. 異音の発生可能性を判定すべき判定対象物を加振し、加振中に上記判定対象物から発生する振動を検出して上記判定対象物の異音の発生可能性を判定する異音の判定方法において、
    上記検出手段で検出された振動データを時間周波数分析することにより時間周波数分布を求める第1ステップと、
    時間周波数分析により得られる時間周波数分布を周波数方向に累積し、時刻毎の振動瞬時強度を求める第2ステップと、
    上記振動瞬時強度が設定値以上となる時刻の非定常振動データのみを抽出する第3ステップと、
    第3ステップで抽出された非定常振動データに基づいて異音の発生可能性を判定する第4ステップとを備え、
    非定常振動データを抽出する第3ステップ、又は、異音の発生可能性を判定する第4ステップに先立ち、低周波成分を構成する加振振動成分を除去するステップをさらに備えている
    ことを特徴とする異音判定方法。
  9. 請求項8において、
    低周波成分を除去するステップは、
    時間周波数分布について時間方向に対する時間方向幾何平均、又は、非定常振動に基づく異音が発生していない状態におけるものとして予め求められた時間周波数分布の時間方向幾何平均を求め、振動データの時間周波数分布を時間方向の各時刻毎に上記時間方向幾何平均の内のいずれかにより除することにより低周波成分を除去する
    ことを特徴とする異音判定方法。
  10. 異音の発生可能性を判定すべき判定対象物を加振し、加振中に上記判定対象物から発生する振動を検出して上記判定対象物の異音の発生可能性を判定する異音の判定方法において、
    上記検出手段で検出された振動データを時間周波数分析することにより時間周波数分布を求める第1ステップと、
    時間周波数分析により得られる時間周波数分布を周波数方向に累積し、時刻毎の振動瞬時強度を求める第2ステップと、
    上記振動瞬時強度が設定値以上となる時刻の非定常振動データのみを抽出する第3ステップと、
    第3ステップで抽出された非定常振動データに基づいて異音の発生可能性を判定する第4ステップとを備え、
    振動データを時間周波数分析する第1ステップに先立ち、異常データを判別するステップをさらに備えている
    ことを特徴とする異音判定方法。
  11. 請求項10において、
    異常データを判別するステップは、
    振動データの波形の振幅の絶対値を相加平均した振幅平均値を一方の軸とし、上記振幅の絶対値の最大値と上記振幅平均値との比を他方の軸とする二次元座標分布についての統計量分布境界線をファジー推論により連続的に求め、この統計量分布境界線を基準として上記二次元座標分布から正常データと異常データとの判別を行う
    ことを特徴とする異音判定方法。
  12. 接続要素間を互いに接続する配線群、及び、この配線群と接続要素とを接続する接続部が装着された車両を加振する加振手段と、
    上記車両から発生する振動を検出する検出手段と、
    この検出手段で検出した振動のデータに基づいて、上記車両の接続部における非定常振動に基づく異音の発生可能性を判定すべき判定手段と
    を備え、
    上記判定手段は、
    上記検出手段で検出された振動データを時間周波数分析することにより時間周波数分布を求める時間周波数分析部と、
    この時間周波数分析部により得られる時間周波数分布から非定常振動に基づく振動の強度が設定値以上となる時刻の非定常振動データのみを抽出するデータ抽出部と、
    このデータ抽出部で抽出された非定常振動データに基づいて異音の発生可能性を判定する判定部とを備えている
    ことを特徴とする異音判定装置。
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