JP3885253B2 - 楕円振動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば振動により部品を供給する楕円振動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10において、楕円振動パーツフィーダは全体として1で示され、公知のボウル2を備えている。ボウル2の内周面にはスパイラル状のトラックが形成され、この下流側の適所にワイパーが設けられている。このワイパーはすでに周知であるので図を省略するが、平板を折り曲げてなり、その下端とトラックの移送面との距離は整送すべき部品m(平板状とする)の厚さよりは大きいが、この倍よりは小さい。トラックの排出端には姿勢保持手段が設けられ、ここを通って所望の姿勢の部品(例えば長辺を移送方向に向けた部品m)が図示しない直線式振動フィーダに供給される。
【0003】
ボウル2は図11に明示される十字状の上側可動フレーム7に固定されており、この上側の可動フレーム7に図12に明示されるやはり十字状の下側可動フレーム8に直立した4組の重ね板ばね9により結合されている。すなわち、上側可動フレーム7の4つの端部7aに重ね板ばね9の上端部がボルトより固定され、下側可動フレーム8の4つの端部8aに重ね板ばね9の下端がボルトにより固定されている。端部7a、8aは上下方向に整列している。
【0004】
固定フレーム10の中央には、上側可動フレーム7の中央部に対向して垂直駆動電磁石11が固定され、この垂直駆動電磁石11に対向して上側可動フレーム7の下面には垂直可動コア13が固定されている。また固定フレーム10の相対向する側壁部には垂直駆動電磁石11を挟んで対照的に一対の水平駆動電磁石14a、14bが固定され、これら電磁石14a、14bにはそれぞれコイル15a、15bが巻装されている。上側可動フレーム7の下面には水平駆動電磁石14a、14bに対向して水平可動コア16a、16bが固定されている。
【0005】
固定フレーム10にはこれと一体的に4個の脚部17が形成され、これら脚部17が防振ゴム18を介して基台上に支持されている。脚部17には横方向に延在するばね取付部17aが一体的に形成され、これらばね取付部17aに図12に示されるように垂直駆動用の重ね板ばね19が両端部で4組、ボルトにより固定されている。重ね板ばね19は図10に示されるようにスペーサ20を介して重ねられ、これらの中央部分が下側可動フレーム8にボルトにより固定されている。
【0006】
以上の構成において、水平駆動電磁石14a、14bは、水平方向の加振力を発生させる第1の振動駆動子であり、またこれによって駆動される第1の振動系はボウル2、板ばね9、可動コア16a、16bなどからなり、また電磁石11は垂直方向の加振力を発生させる第2の振動駆動子であり、ボウル2、板ばね19、可動コア13などにより第2の振動系が構成される。
【0007】
一般に、水平方向の第1振動系の共振周波数と同じかほぼ等しい周波数の駆動電流がそれぞれ電磁石14a、14b、11に供給されるのであるが、これによりボウル2は、水平方向には共振状態またはこれに近い状態の周波数f0 で振動し、また垂直方向には通常、数パーセント共振周波数をより高くしており、よって図13で示すように水平方向には振動工学上明らかに、力と変位との位相差が90度遅れで振動し、また垂直方向にはこれとは異なる位相差で振動し、これら位相差により楕円振動を行なうのであるが、この位相差は60度で最適条件、すなわちボウル2内のトラック上の部品を最大の搬送速度で搬送できることが判明してので、従って水平方向の加振力と垂直方向の加振力との位相差が150度遅れと設定されている。すなわち、図13から明らかなように垂直方向の共振周波数はより高くf1 であることにより、水平と垂直の振動変位は60度の位相遅れで振動する。
【0008】
然るに振動工学上明らかなように、共振周波数で振動系を駆動した場合には、電源のわずかな変動やボウル2内の部品の負荷のわずかな変化により共振周波数が変動する。これにより、部品を貯蔵していない空の状態で、水平方向の共振周波数がf0 であって力と変位との位相差が90度であっても、このような変動により大きく位相差が変わり、よって、強制振動で駆動されている垂直方向においては位相差がそれほど変動せずとも、水平方向において大きく変動するために、結局これらの位相差は60度とは異なったものとなる。これにより、ボウルに対する最適振動条件が得られなくなる。また、垂直方向の振動系はその固有振動数より数%低い周波数で駆動されるので、所定の振巾を保持するのに大きいエネルギを必要とする。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、電源に多少の変動があったり、ばね乗数に経時変化があったり、ボウル内の部品の負荷が変わっても、水平方向も垂直方向も共振周波数又はその近傍で振動させつゝ位相差角を最適な値に保持し得、かつ又加振エネルギを少なくする楕円振動装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の課題は、少なくとも第1比較部及びゲインK1の第1増巾部を有する第1コントローラと、該第1コントローラの出力を電力増巾するゲインK0の第1電力増巾器と、該第1電力増巾器の出力を受け水平方向の加振力を発生させる第1振動駆動子と、該第1振動駆動子の前記水平方向の加振力を受ける楕円振動機の水平振動系と、該楕円振動機の可動部の前記水平方向の振動速度を検出する第1振動速度検出手段と、少なくとも第2比較部、ゲインK1の第2増巾部を有する第2コントローラと、該第2コントローラの出力を電力増巾するゲインK0の第2電力増巾器と、該第2電力増巾器の出力を受け垂直な方向の加振力を発生させる第2振動駆動子と、該第2振動駆動子の前記垂直方向の加振力を受ける前記楕円振動機の垂直振動系と、該楕円振動機の可動部の前記垂直方向の振動速度を検出する第2振動速度検出手段と、前記第1コントローラの第1比較部に接続される信号発生器と、該信号発生器と前記第2コントローラの第2比較部との間に接続される位相調節器とから成り、前記第1、第2比較部に前記第1、第2速度検出手段の出力を、それぞれ前記信号発生器の出力に対し所定のゲインK2で負帰還させるようにし、前記K0、K1、K2により制御上の振動の減衰係数を設定し、前記位相調節器により、前記第1、第2比較部に供給される前記信号発生器からの入力間に楕円振動による最大搬送速度を得るための位相差60度を設定させるようにし、
ここで非制御の減衰係数=c
可動部Mに対する制御による減衰係数=cS
速度フィードバックゲイン=c’としたとき、
c’=cS−c=K1 ×K2 ×K0 となるようにする
前記K1 、K2 、K0の選択により、角周波数と振動伝達特性及び角周波数と位相差特性で共振周波数の前後で、それぞれ振巾及び位相差が緩やかに変化させるようにしたことを特徴とする楕円振動装置によって解決される。
【0011】
第1、第2の振動系は同一の固有振動数又はその近傍で加振される。信号発生器からの出力は第1振動系に対しては第1コントローラの第1比較部にそのまま供給され、第2振動系に対しては第2コントローラの第2比較部に位相調節器を介して供給される。水平と垂直との最適な位相差角は楕円振動においては理論的に60度であるので60度に設定される。第1振動系と第2振動系とは固有振動数で位相調節器によって調節された位相差角60度で固有振動する。第1、第2振動系の可動部の何らかの原因による全質量のあるいはばね常数の経時的変化があっても、従来のようにその振巾及び位相差角は殆ど変動することはない。すなわち位相調節器で設定された位相差角を、それぞれの固有振動数又はこれに近い駆動周波数で保持されて常に安定した振動を行い、加振エネルギーを殆ど最小として最適の楕円振動を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0013】
図1において、本実施の形態による楕円振動装置は全体として30で示され、信号源である信号発生器31の出力は第1コントローラ32aに供給される。この出力は第1電力増巾器33a、更にこの増巾出力が第1振動駆動子34aに供給され、この振動駆動子34aにより第1の機械振動系、例えば従来例における垂直方向の振動系が駆動される。この垂直方向の可動部の振動速度は第1振動速度検出器36aにより検出され、これが図2にその回路が明示される第1コントローラ32aの比較部に信号発生器31の出力に対し負帰還される。
【0014】
信号発生器31は更に位相調節器40を介して第2のコントローラ32bに接続され、この出力が第2電力増巾器33bに供給され、更にこの増巾出力が第2の振動駆動子34bに供給される。この振動駆動子34bにより水平方向の振動系35bが加振される。上記可動部の水平方向の振動速度は振動速度検出器36bにより検出され、この出力はやはり図2にその詳細が示される第2コントローラ32bの比較部に位相調節器42の出力に対し負帰還される。
【0015】
図2は、図1における第1、第2コントローラ32a、32bの詳細及び第1、第2機械振動系35a、35bの数学的モデルを表す。第1コントローラ32aは機械振動系35aの振動速度検出手段41を備え、これはK2 のゲインを有し電圧で第1比較部42に負帰還される。この一端には上述したように信号発生器31の出力rが供給される。第1比較部42の差出力はK1 なるゲインを有する増巾部43で増巾されて、この出力xcが第1の電力増巾器33aに供給される。このゲインはK0 である。なお、第1、第2コントローラ32a、32bは同一の構成を有するので、一方の32aについてのみ説明する。
【0016】
電力増巾器33aの出力は第1の振動駆動子34aに供給される。この加振力が第1振動系35aの可動部Mに与えられる。可動部Mの質量はmであり、この加速度を積分して得られる速度要素が46であり、更に積分して得られる積分要素47の出力が振巾xとなる。振巾xはこの機械振動系35aのばね乗数をKとすれば、比較部としての可動部MにはゲインKで振巾xが負帰還される。更に積分要素46の出力は速度になるが、この速度に粘性係数Cに対応するゲインCを乗じた力も負帰還される。
【0017】
以上は、振動系35aの運動の微分方程式、m(d2 x/dt2 )+c(dx/dt)+Kx=加振力の方程式から導き出されるのであるが、本発明によれば積分要素46の出力、すなわちこの機械振動系35aの可動部Mの振動速度が振動検出手段41により検出され、ゲインK2 で第1コントローラ32aにおける第1比較部42に負帰還される。これには信号発生器31の所定の出力rが供給されており、この差分が第1増巾部43でゲイン(K1 )で増巾された後、パワーアンプである電力増巾器33aに供給される。
【0018】
次に本発明の実施の形態の作用につき、従来と比較しながら説明する。
【0019】
信号発生器31の出力rと振動系35aの振巾出力xとの比については、従来の場合には伝達函数で表すと(1)式の通りとなる。
【0020】
【数1】
Figure 0003885253
【0021】
(1)式において、sは複素周波数jωを表すが、sにjωを代入すると、(2)式が得られる。
【0022】
【数2】
Figure 0003885253
【0023】
(2)式から実角周波数に対する入力rと振巾出力xの比|x(jω)/r(jω)|は(3)式のようになる。
【0024】
【数3】
Figure 0003885253
【0025】
(3)式にm=1、c=0.01、K=1、K0 =1を代入すると、(4)式となる。
【0026】
【数4】
Figure 0003885253
【0027】
(4)式をプロットすると、図3に示すようなグラフが得られる。次に、本発明に係る速度フィードバックコントローラ32aを使用した場合には(5)式が得られる。
【0028】
【数5】
Figure 0003885253
【0029】
sにjωを代入すると(6)式が得られる。
【0030】
【数6】
Figure 0003885253
【0031】
(6)式から実角周波数ωに対する入力と出力の振巾比|x(jω)/r(jω)|は(7)式のように表せる。
【0032】
【数7】
Figure 0003885253
【0033】
(7)式にm=1、c=0.01、K=1、K0 =1、K1 =20、K2 =0.19/20を代入すると(8)式が得られる。
【0034】
【数8】
Figure 0003885253
【0035】
(8)式を角周波数ωに関してプロットすると図4のグラフが得られる。
【0036】
以上のように、従来の速度フィードバックコントローラ32aを用いない場合と、本発明のように速度フィードバックコントローラ32aを用いた場合とではωと振巾比との関係は図3及び図4のように大きく異なるものである。つまり、従来においては、ω=1、すなわち共振状態においては振巾比は100に対してωが充分に小さく、すなわち共振点から大きく離れている場合には1となる。すなわち共振倍率は100倍であるのに対して、本発明においては図4で示すようにω=1では従来と同様に振巾比は100であるが、角周波数ωが1より充分に小さい場合、すなわち共振点から遠く離れた場合には20となる。従って共振倍率は5である。然しながら角周波数ωが1の近傍では、図3と図4と比較して分かるように、従来では僅かにωが変化するだけで大きく変動しているのに対し、本願発明では僅かしか変動しない。すなわち第1の機械振動系35aが使用開始時から何らかの経時変化、例えば振動パーツフィーダである場合にはワークを含むボウルの全質量やボウルとベースブロックとを結合する板ばねの全ばね常数の変化により固有振動数が僅かでも変化すると大きく変動するに対し、本願発明では僅かしか変動しない。
【0037】
なお、以上の実施の形態において、増巾部43のゲインK1 及び速度フィードバックゲインK2 は以下のようにして定められる。すなわち、固有振動数付近での振巾比x/rの変化、位相の変化をゆるやかにしたい場合には振動系の減衰係数を大きくすればよいのだが、本実施の形態では、非制御の減衰係数c=0.01としている。これに対し、制御によって系の減衰係数cS =0.2としている。すなわち、可動部Mに対する制御による減衰係数cS =0.2としたいので速度フィードバックゲインc’=cS −c=0.2−0.01=0.19とすればよい。すなわち図2において、c’=K1 ×K2 ×K0 (K0 =1ではc’=K1 ×K2 )。また共振倍率=1/2ζs =1/cs /(mKの平方根)=1/0.2=5(ここでm=1、K=1)。
【0038】
固有振動数において、振巾1の入力に対し非制御時と同じ振巾100の出力を得るには入力に20倍のゲインをかける必要がある。よって増巾部43のゲインK1 =20と設定する。この時、K2 はc’=K2 ×K1 より0.19=K2 ×20。よって、K2 =0.19/20となる。これが上記のゲインK1 =20、K2 =0.19/20である。
【0039】
本発明の実施の形態は以上のように構成され作用するのであるが、次に他の実施の形態について説明する。
【0040】
図7はその楕円振動装置の全体50を示すが、上記実施の形態に対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。すなわち本実施の形態によれば第1振動駆動子51には電磁石が用いられる。電磁石は公知のように、鉄心にコイルを巻装させ、これに交流を通電することにより空隙をおいて対向している可動コアとの間に交番磁気吸引力を発生し機械振動系の可動部を振動させるものであるが、このようなアクチュエータにおいては、(1/R)×(1/1+Ts)なる遅れ要素がある。このために振動系から振動速度をフィードバックしても振動系に制御力として加わる場合には、この遅れ分を補償しなければ上述のような作用を行なうことができない。(以上では遅れ要素を無視するか、遅れ要素のない振動駆動子を用いるものとしている。)従って、本実施の形態においてはアクチュエータである電磁石51の電流成分iを電流検出し、これを電圧に変換して第3の比較部52に負帰還させている。すなわち、本実施の形態におけるコントローラ53aは電流検出ゲインKi及び電流フィードバックゲインK4 を備えており、この電流フィードバックゲインK4 の出力、すなわち電圧値として第3の比較部52に負帰還される。アクチュエータ51への入力eと出力iの間には(1/R)×(1/1+Ts)なる遅れ要素があるが、このマイナーループによるフィードバックにより、いわば過励磁として電力増巾器33aの出力eがアクチュエータ51を通ることによる遅れを補償するようにしている。これによって上述のような作用、効果を確実に得ることができる。
【0041】
従来の速度フィードバックコントローラがない場合の位相特性は(9)式によって示される。
【0042】
【数9】
Figure 0003885253
【0043】
(9)式において、m=1、c=0.01、K=1とおくと(10)式が得られる。
【0044】
【数10】
Figure 0003885253
【0045】
また、本発明の速度フィードバックコントローラを用いた場合には(11)式によってその位相特性が表される。
【0046】
【数11】
Figure 0003885253
【0047】
同様にm=1、c=0.01、K=1、K0 =1、K1 =20、K2 =0.19/20を代入すると(12)式が得られる。
【0048】
【数12】
Figure 0003885253
【0049】
(10)式、(12)式に関し、それぞれ横軸に角周波数ωをとってプロットしたものが図5及び図6によって示されるが、図5から明らかな様に、従来では角周波数ωが1、すなわち共振点では位相差角Gは−90度であるが、これが僅かでも変化すると0度から180度の間で急激に変化する。従って従来では、最初、水平振動系及び垂直振動系がそれぞれ固有周波数で駆動されていて力と変位との位相差が−90度であっても質量又はばね常数に経時変化があれば、図5に示すように位相差は急激に−90度から変化する。これにより最初は水平方向の振動と垂直方向の振動との間に位相調節器40により調節された60度で最適の楕円振動をしていたとしても、この様な変化により、この60度を保つことができず振巾も大きく変動して楕円振動の形状が異なるものとなり、最適楕円振動から程遠いものとなる。
【0050】
図6は、本発明に関し角周波数ωに対して位相差をプロットしたものであるが、図から明らかなように共振周波数、すなわちω=1においては位相差は−90度であるが、質量及びばね常数が何らかの理由で経時変化をしたとしても、従来と比べるとその変化率は小さく、従って位相調節器40により最適位相差を保つべく調節されていれば、これを再調整することなく水平振動と垂直振動との間の位相差を60度近くとすることにより最適な楕円振動を得ることができる。
【0051】
次に、従来と本発明とで固有振動数が変化した時にどの様な楕円振動の形状変化があるかを図8及び図9に示す。図8は従来技術を示すものであるが、水平成分の固有振動数ωnxが1.00である場合には、図8においてA、B、Cで示す様に垂直方向の固有振動数ωnyが、0.99、1.00、1.01と変化すると共に長軸の方向も変わり水平方向に対して逆方向、またωny=1.01ではωny=1.00と同じ方向である。水平方向の大きさは同一であるが、垂直方向の大きさはωny=1.00で最大である。また、ωnxが1%増減した場合、すなわち0.99及び1.01ではωnyが0.99、1.00、1.01と変化するにつれて図示するような楕円形状を示すが、ωnx=0.99においては、やはり図A、B、Cにおいて示すようにωny=1.00では垂直方向の大きさが最大であるが、水平方向の大きさは他と余り変わらない。またωny=0.99及び1.01ではほゞ同一の楕円形状を呈している。またωnx=1.01ではωny=1.00で垂直方向の大きさは最大であり、水平方向の大きさは余り変わらない。しかし、何れにしても楕円の形状は大きく異なる。図9は本発明の実施の形態でのωnxが0.99、1.00及び1.01、ωnyが0.99、1.00及び1.01と変化した場合に図A、B、Cに示すように変化するのであるが、図から明らかなようにその楕円形状は殆ど変化しない。従って上述したように、本発明においては固有振動数が経時変化したとしても常に最適な楕円振動を行なうことは明らかである。また水平方向と垂直方向の振動の位相差は従来では60度に最初に設定しても、固有振動数が±1%増減すると±60度も変動するのに対し、本発明においては±6度程度である。よって位相差角を常に60度又はこの近辺に保持することができ、常に最適の楕円振動を得ることが出来るのは明らかである。
【0052】
従来技術において、水平方向の固有振動数ωnxが変化した場合には、水平方向の振巾が大きく変わる。ωnx=1.00、ωny=1.00の場合には水平、垂直振巾共に100となっているが、ωny=1.00でωnx=0.99、あるいはωnx=1.01の場合には、B図で示すように垂直振巾は100のままであるが、水平振巾はそれぞれ45程度となっていることが分かる。同様のことがωny=0.99及び1.01では、図8のA図及びC図で明らかである。何れにしてもωnx、ωnyが共に1.00から変化した場合には水平、垂直振巾共に大きく変化していることがわかる。然るに本願発明では、図9から明らかなようにωnx、ωnyが1.00から0.99又は1.01に変化したとしても垂直方向及び水平方向の振巾は殆ど変化しない。
【0053】
なお力と変位の位相差については(10)式及び(12)式から明らかなように、またこれをプロットした図5及び図6から明らかな様に、垂直方向においても水平方向においても固有振動数が±1%の増減では本発明では殆ど90度から変化せず、上述したように水平方向と垂直方向との間の振動の位相差は60度±6度とすることができる。よって最適な楕円振動を得ることができる。他方、従来では90度から大きく変化して垂直と水平とで振動の位相差は60度±約60度であり、最適楕円振動を得ることができない。
【0054】
なお、以上においては、第1機械振動系35a、すなわち水平振動系について説明したが、勿論垂直振動系においても同様のことが言え、従って位相特性やゲイン特性を表すグラフは水平方向にも垂直方向にも共通である。
【0055】
なお、図8で示す従来の速度フィードバックを使用しない楕円振動では、ωnx及びωnyが固有振動周波数より±1%増減すると、その形状及び垂直方向、水平方向の振巾も大きく変動するのであるが、更に、その楕円の回転方向、すなわち時計方向にループが回転するか反時計方向にループが回転するか、という違いもでてくる。場合によってはこれによって、トラック上の部品の移送方向を逆方向にする場合もあり、もちろん最適な楕円振動における搬送速度よりは大幅に小となる。これに対して図9で示す本願の速度フィードバックをかける場合には、ωnx及びωnyが固有周波数の1から±1%増減して、それぞれ0.99、1.01になったとしても、上述したように垂直方向、水平方向の振巾は殆ど変化しないのみならず、楕円の回転方向も一定である。従って、従来のように搬送速度を大幅に減少したり搬送方向が逆になったりすることはない。
【0056】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が明らかである。
【0057】
例えば以上の実施の形態では、第1の機械振動系35aを水平方向の振動系、第2の機械振動系35bを垂直方向の振動系としたがこれを逆としてもよい。
【0058】
また以上の実施の形態では、第1、第2振動速度検出器36a、36bにより第1、第2機械振動系35a、35bの可動部の振動速度を検出するようにしたが、この振動速度検出器36a、36bに対してそれぞれ振巾検出器と微分器を用いてこの微分器の出力を第1、第2コントローラ32a、32bの比較部に負帰還するようにしてもよい。更に第1、第2振動速度検出器36a、36bに代えて加速度検出器と積分器とを用いてこの積分器の出力を第1、第2コントローラ32a、32bの比較部に負帰還させるようにしてもよい。また以上の実施の形態では第1、第2の振動駆動子34a、34bは第2の実施の形態においては電磁石としたが、その他の駆動子、例えばボイスコイルや圧電素子を用いてもよい。それぞれに位相遅れがあればその分補償するような進み要素をコントローラに内在させるようにすればよい。
【0059】
なお又、以上の実施の形態では速度フィードバックゲインの大きさを制御系の減数係数cS を0.2として算出したが、勿論これに限定されることなく、機械振動系の特性に応じて固有振動数が更に大きく変動する場合、あるいは±1%も変動しないような場合には、0.2を更に小さく、例えば0.1、あるいは更に大きく0.3としてもよい。この場合には実際の機械振動系における可動部の速度に比例する力の比例係数は、上記実施の形態では0.01としたが、勿論、これより大なる場合も小なる場合もあるのでこれに応じて制御を行なって減数係数cS を定めるようにしてもよい。フィードバックゲインK1 、K2 もこれに応じて変更される。
【0060】
また、本発明の実施の形態によれば、垂直方向と水平方向の振動の位相差が最適楕円振動では60度であるが、従来においては機械振動系の固有振動数が垂直方向又は水平方向に僅か変化しただけで位相角は90度から大きく変化する。この変化量が水平方向、垂直方向に全く同一であれば60度を保つことができるが、逆方向では倍となり大きな差となる。すなわち図8の楕円振動の説明において、60度±60度と変化し最大の60度の変動においては楕円振動の回転方向が変わるのみならず、水平方向と垂直方向の振動の位相差が120度となり、その搬送速度が最適条件における場合より遥かに小さくなる。
【0061】
なお、垂直方向と水平方向の振動の位相差角の最適位置を60度としたが、これは実際に各種振動機器において可動部を楕円振動させる場合の通常の振巾において算出されたものであり、更にこれより振巾が大きくなったり小さくなったりする場合には、この最適角60度から若干変動する。このような場合には上記実施例における位相調節器40の調節により、例えば振動パーツフィーダの場合にはボウル内のトラックの上の部品の移送速度を観測しながら実測の最適位置を定めるようにしてもよい。
【0062】
なお、本実施の形態によれば、第1、第2コントローラの比較部にそれぞれ機械振動系の振動速度を負帰還でフィードバックさせているので、上述のような作用、効果を奏するのであるが、更にこのような機械振動系を駆動開始する、すなわち振巾rの入力供給を開始する、あるいは振巾指令を0とした場合には、振巾が定常状態になるまでの時間を従来より大幅に短縮することができるのみならず、更に振巾指令を0としてから振巾が0になるまでの時間を従来より大幅に小とすることができるという効果も奏するものである。
【0063】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の楕円振動装置によれば、垂直振動系も水平振動系も固有振動数又はその近傍で安定に所定の位相差をもって駆動することができる。すなわち常に最適な楕円振動を得ることができ、従って例えば振動機器が楕円振動パーツフィーダであれば、最大の搬送速度で部品を次工程に供給することができる。また、水平、垂直方向共に固有振動数又はその近傍で駆動できるので消費エネルギーを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による楕円振動装置のブロック図である。
【図2】同要部のブロック図である。
【図3】従来の角周波数と振動伝達特性を示すチャートである。
【図4】本発明の実施の形態における角周波数と振動伝達特性を示すチャートである。
【図5】従来の角周波数と位相角との関係を示すチャートである。
【図6】本発明の実施の形態における角周波数と位相差との関係を示すチャートである。
【図7】本発明の他の実施の形態の楕円振動装置のブロック図である。
【図8】従来例の固有振動数が±1%増大した場合の楕円振動の形状を示すチャートである。
【図9】従来例の振動パーツフィーダの楕円振動の形状を示すチャートである。
【図10】従来例の振動パーツフィーダの部分破断側面図である。
【図11】図10における[11]−[11]線方向の断面図である。
【図12】同振動パーツフィーダの背面図である。
【図13】従来例の作用を示す周波数と位相関係を示すチャートである。
【符号の説明】
30 楕円振動装置
31 信号発生器
32a 第1コントローラ
32b 第2コントローラ
33a 第1電力増巾器
33b 第2電力増巾器
34a 振動駆動子
34b 振動駆動子
35a 第1機械振動系
35b 第2機械振動系
36a 機械振動検出器
36b 機械振動検出器
50 楕円振動装置

Claims (3)

  1. 少なくとも第1比較部及びゲインK1の第1増巾部を有する第1コントローラと、該第1コントローラの出力を電力増巾するゲインK0の第1電力増巾器と、該第1電力増巾器の出力を受け水平方向の加振力を発生させる第1振動駆動子と、該第1振動駆動子の前記水平方向の加振力を受ける楕円振動機の水平振動系と、該楕円振動機の可動部の前記水平方向の振動速度を検出する第1振動速度検出手段と、少なくとも第2比較部、ゲインK1の第2増巾部を有する第2コントローラと、該第2コントローラの出力を電力増巾するゲインK0の第2電力増巾器と、該第2電力増巾器の出力を受け垂直な方向の加振力を発生させる第2振動駆動子と、該第2振動駆動子の前記垂直方向の加振力を受ける前記楕円振動機の垂直振動系と、該楕円振動機の可動部の前記垂直方向の振動速度を検出する第2振動速度検出手段と、前記第1コントローラの第1比較部に接続される信号発生器と、該信号発生器と前記第2コントローラの第2比較部との間に接続される位相調節器とから成り、前記第1、第2比較部に前記第1、第2速度検出手段の出力を、それぞれ前記信号発生器の出力に対し所定のゲインK2で負帰還させるようにし、前記K0、K1、K2により制御上の振動の減衰係数を設定し、前記位相調節器により、前記第1、第2比較部に供給される前記信号発生器からの入力間に楕円振動による最大搬送速度を得るための位相差60度を設定させるようにし、
    ここで非制御の減衰係数=c
    可動部Mに対する制御による減衰係数=cS
    速度フィードバックゲイン=c’としたとき、
    c’=cS−c=K1 ×K2 ×K0 となるようにする
    前記K1 、K2 、K0の選択により、角周波数と振動伝達特性及び角周波数と位相差特性で共振周波数の前後で、それぞれ振巾及び位相差が緩やかに変化させるようにしたことを特徴とする楕円振動装置。
  2. 前記第1、第2コントローラは各々更に前記第1、第2振動駆動子の遅れ要素を補償するための位相進み要素を備えている請求項1に記載の楕円振動装置。
  3. 前記第1、第2コントローラは各々更に前記第1、第2増巾部の出力を受ける第3、第4の比較部及び前記第1、第2振動駆動子の第3、第4電流検出部を有し、該第3、第4電流検出部の電流ゲインKi及び電流フィードバックゲインK4の出力を電圧値として前記第1、第2増巾部の出力に対し、前記第3、第4の比較部に負帰還させるようにした請求項2に記載の楕円振動装置。
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