JP3884594B2 - 蛍光寿命測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光パルス照射後に物質が発する蛍光を高時間分解能で観測することができる蛍光寿命測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フェムト秒領域の超短パルスレーザーなどのレーザー技術の発展に伴って、近年、フェムト秒の時間領域・時間スケールで起こる様々な現象に注目が集まっている。そのような現象の1つとして、物質が光パルスの照射によって発する蛍光現象がある。
【0003】
上記したようなフェムト秒の超短パルス光を物質に照射するとフェムト秒の時間領域で時間変化していく蛍光を得ることができ、例えば、フェムト秒の時間スケールでの蛍光現象の振る舞いが得られる。このような蛍光現象を観測する技術としては、例えばストリークカメラを用いる方法や、ポンプアンドプローブによるサンプリング計測の方法が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
フェムト秒の時間領域での蛍光現象を測定するには、フェムト秒程度の高い時間分解能を実現可能な蛍光の測定方法が必要である。しかしながら、上記したような従来の測定方法では、充分な時間分解能での測定を行うことができない。
【0005】
すなわち、ストリークカメラを用いる測定方法(例えば特開平10−48044号公報)においては、100フェムト秒より短い時間分解能での蛍光測定を行うことが困難である。また、ストリーク掃引のタイミングを各測定に対してフェムト秒のオーダーで合わせて一致させることは難しく、したがって、このような時間領域では、測定を複数回行ってそれらの測定結果を積算することによって確実な測定結果を得る方法を用いることができない。これは、蛍光測定のような非常に微弱な光を観測対象とする測定において特に問題となる。
【0006】
ストリークカメラを用いる測定方法に準じる高時間分解能での測定技術として、光カーゲートを利用する方法(例えば特開平9−189612号公報)がある。この方法では、大きい光カー効果を示す媒質に光を入射させ、それとは別の方向から適当に偏光した蛍光を入射させて、その偏光変化を観測することによって蛍光の時間分解測定を行う。この場合、大きなカー効果を示すカーゲートでの複屈折の継続時間が長く媒質の物性が重畳されてしまうため、ストリークカメラによる測定に比べて精度が劣り、したがって高い時間分解能での時間変化測定ができない。また、強い光信号でないと測定することができないなど問題が多い。
【0007】
また、ポンプアンドプローブによるサンプリング計測においては、高時間分解能での測定も可能である。しかし、この方法では繰り返し現象しか測定することができず、また、一度の測定において固定した時刻についてのみ現象の観測が可能であるため、蛍光現象などの現象の時間変化・時間発展を観測するには非常に長時間にわたる計測を行わなければならない。特にこの場合、光源が不安定で時間によるドリフトが大きいときなどに時間とともに測定条件等が変化してしまうという問題を生じ、精度の高い測定を行うことが困難となる。
【0008】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、蛍光現象の観測と蛍光寿命の測定を高時間分解能で効率的に行うことができる蛍光寿命測定装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明による蛍光寿命測定装置は、パルス光源によって供給された光パルスから、それぞれの出力タイミングが同期された第1の光束と第2の光束とを生成して出力する光源部と、光パルスのパルス位置において、その強度に応じた複屈折を示す検出媒体と、第1の光束に基づいてゲートパルスを形成し、検出媒体にゲートパルスを入射するゲート光学系と、第2の光束に基づいて励起パルスを形成し、これを被測定物質に入射させて蛍光を発生させるための励起光学系と、検出媒体にゲートパルスが入射されることによって非線形光学効果による屈折率変化が誘起された光飛跡領域を含む検出媒体の所定領域に被測定物質からの蛍光を照射する蛍光光学系と、検出媒体の所定領域を通過した蛍光を検出する光検出部と、を備え、ゲート光学系は、ゲートパルスを所定の偏光状態とするためのゲートパルス偏光手段と、ゲートパルスを検出媒体に所定の入射条件によって入射させる入射光学系とを有し、蛍光光学系は、蛍光を所定の偏光状態とするための蛍光偏光手段を有し、光検出部は、検出媒体の所定領域を通過した蛍光のうち、所定の偏光成分のみを透過させる検光手段と、検光手段を透過した蛍光を検出・観測する光検出手段と、検出媒体の所定領域を通過し検光手段を透過した蛍光を光検出手段に結像させて蛍光像とする結像手段と、を有することによって、光飛跡領域において複屈折性を示すパルス位置が時間とともに移動することを利用して、蛍光像により蛍光の時間変化を測定することを特徴とする。
【0010】
大強度の超短パルスレーザーなどのレーザー技術の発展に伴って、通常の光に比べて強度が大きいレーザー光によって生じる光カー効果等の物質の非線形光学効果(nonlinear optical effect)と、それに起因する様々な現象が問題となっている。すなわち、電場の2次以上の高次の項に対する物質の非線形感受率は1次の項に比べて小さい値であるため、通常の光においては線形の応答のみが観測されるが、レーザー光などの充分に大きい強度(電場)を有する光に対しては、このような2次以上の非線形項による効果が現れる。
【0011】
このような非線形光学効果による現象としては、例えば、大強度の光パルスを物質に照射することによって生じる光の自己集束効果(self-focusing effect)や、光のビーム径が細いままで伝搬するチャネリングやフィラメンテーションなどの自己束縛効果(self-trapping effect)が知られている。また、このような現象を用いて光パルスの光飛跡の観測が可能となる。
【0012】
上記した蛍光寿命測定装置においては、この光飛跡の観測方法を蛍光現象の観測に利用する。すなわち、超短パルス光源である高強度フェムト秒レーザーなどのパルス光源を用いて、パルス光源から出力された2つの光束から蛍光の観測・測定のためのゲートパルス、及び蛍光の励起・生成のための励起パルスを生成する。そして、ゲートパルス、及び励起パルスによって被測定物質で発生された蛍光、をそれぞれ所定の偏光状態としてそれらを検出媒体に入射・照射する。ここで、ゲートパルスの入射によって、検出媒体中にゲートパルスの各時刻でのパルス位置に対応して非線形光学効果により屈折率が変化して屈折率に異方性を生じた複屈折を示す領域が形成される。
【0013】
このとき、検出媒体を通過した蛍光のうち、偏光状態の変化した成分を検光手段によって選択し光検出手段によって検出することによって、ゲートパルスの検出媒体内での伝搬に伴って時間とともに移動する複屈折によって生成され、その位置が蛍光の発せられた時刻と対応づけられた蛍光像を得ることができる。
【0014】
検出媒体において蛍光像を生成するためのゲートパルスは上記したように時間幅の短いパルス光源からのパルス光であるから、これによって、この蛍光像の各位置と、蛍光現象の時間変化における各時刻とを高精度で対応させることができ、このことから蛍光像の強度等の位置変化(位置依存性)を測定することによって蛍光現象の時間変化(時間依存性)を高時間分解能で効率的に観測したこととなるので、蛍光寿命を高時間分解能で決定することが可能となる。
【0015】
このような測定方法はタイミングジッターが非常に小さく、ある時間の範囲にわたって一度に、かつ例えばフェムト秒の時間分解能など高時間分解能で蛍光を測定することができる方法である。また、一度の測定による単一ショットで効率的に測定できるため、その測定時間が短くてすみ、また、装置の動作条件の変化等による精度の劣化をも抑制できる。
【0016】
また、特に検出媒体については、例えば非線形光学効果を効率的に起こし得る物質を選択して用いれば良いが、特に、非線形光学効果の応答速度が高速である液体または気体からなる物質を用いることが好ましく、これによってその時間分解能を高めることができる。
【0017】
光源部については、例えば、光パルスを出力する単一のパルス光源と、光パルスを分岐して第1の光束と第2の光束とを生成する光分岐手段と、を有して構成することができる。この場合、同一のパルス光源を用いることによって2つの光束が同期され、光源部の構成を簡単化することができる。
【0018】
あるいは、光源部は、第1の光束となる光パルスを出力するゲートパルス光源と、第2の光束となる光パルスを出力する励起パルス光源と、第1の光束及び第2の光束の出力タイミングを同期させるタイミング制御手段と、を有して構成することができる。この場合、タイミング制御手段によって2つの光束が同期される。このタイミング制御手段は、例えばトリガー回路と遅延回路とから構成することができる。このような構成の場合、例えばゲートパルスと励起パルスのパルス幅や波長を異なるものとして設定し別々に制御することが可能である。
【0019】
また、ゲート光学系または励起光学系のいずれか一方は、ゲート光学系と励起光学系との光路長差を設定・変更するための可変光遅延手段を有することを特徴とする。
【0020】
また、入射光学系は、その光路方向の位置が可動である可動光学系を有して構成されていることを特徴とする。
【0021】
ゲートパルスの入射に対する励起パルスの被測定物質への入射タイミング及びそれによって発生した蛍光の検出媒体への照射タイミング、または蛍光照射時のゲートパルスの空間分布形状などを可変光遅延手段または可動光学系を用いて変更することによって、長い蛍光寿命に対応した観測を行うことができるなど、測定目的に好適な様々な測定条件による蛍光現象の観測・測定が可能となる。
【0022】
さらに、ゲートパルス偏光手段及び蛍光偏光手段は、少なくとも一方に波長板または偏光子を含んで構成されて、ゲートパルス及び蛍光の偏光状態はそれぞれ所定の直線偏光に設定され、蛍光の検出媒体への照射軸は、ゲートパルスの検出媒体への入射軸を含みゲートパルスの直線偏光の軸に対して垂直な平面内にあって、蛍光の直線偏光の軸は、前記平面に対して45度の傾きとして設定され、検光手段は、検出媒体の所定領域を通過した蛍光のうち、検出媒体に照射される蛍光の直線偏光と直交した偏光成分のみを透過させることを特徴とする。
【0023】
また、蛍光の照射軸の、ゲートパルスの入射軸に対する照射角度が90度であることを特徴とする。
【0024】
このように各パルスの偏光状態及び検光手段等を設定することによって、効率的な測定装置の構成とすることができる。
【0025】
また、光検出部は、検出媒体の所定領域を通過した蛍光の2次元の光像を1次元の光像に変換する光像変換手段をさらに有し、光検出手段は一次元光検出器を有して構成されていることを特徴とする。
【0026】
シリンドリカルレンズなどを用いた光像変換手段によって2次元光像を1次元光像に集束・変換し、一次元光検出器によって1次元画像として検出することによって、蛍光像による蛍光現象の観測をより効率的に行うことができる。
【0027】
あるいは、光検出部は、検出媒体の所定領域を通過した蛍光の2次元の光像を1次元の光像に変換する光像変換手段と、光像変換手段及び光検出手段の間に設置される分光手段とをさらに有することを特徴とする。
【0028】
観測される蛍光像を形成する蛍光成分を分光手段によって分光し、光検出手段によって測定することによって、蛍光現象の波長依存性など、さらに様々な情報についての観測・測定を行うことが可能となる。
【0029】
また、ゲート光学系または励起光学系の少なくとも一方は、ゲートパルスまたは励起パルスの波長を変化させる波長変換手段を有することを特徴としても良い。あるいは、励起光学系は、励起パルスの個々の波形またはパルス列の構成などの時間波形を変化させる波形変換手段を有することを特徴としても良い。波長または波形の変換手段を備えることによって、検出媒体中での光パルスの分布形状や、被測定物質での蛍光の発生条件の変更など、様々な条件設定での観測・測定を行うことができる。
【0030】
また、ゲート光学系または励起光学系の少なくとも一方は、ゲートパルスまたは励起パルスの空間分布を変化させる空間分布変換手段を有することを特徴とする。
【0031】
さらに、空間分布変換手段は、所定形状のスリットを有し、ゲートパルスまたは励起パルスの空間分布をスリットによってスリット形状に構成するスリット状マスクであることを特徴とする。
【0032】
ゲート光学系にスリットなどの空間分布変換手段を設置することによって検出媒体に入射されるゲートパルスの空間形状を制御することができ、これによって例えば測定の時間分解能の向上を実現することができる。また、励起光学系に同様にスリットなどの空間分布変換手段を設置することによっても、被測定物質に入射される励起パルスの空間形状を制御して、パルス径を小さくするなど時間分解能を向上させることができる。
【0033】
さらに、光検出手段からの画像データの処理を行う画像処理手段を有することによって、例えば画像データから輝度情報を抽出して蛍光寿命を測定するなどの画像処理や必要な演算等をリアルタイムで行うことが可能となり、観測・測定をより効率化できる。
【0034】
また、検出媒体は、入射されるゲートパルスの通過後に、ゲートパルスによって誘起された屈折率変化による複屈折が1ピコ秒よりも速く消失する物質からなることを特徴とする。これによって、測定系の時間分解能をフェムト秒域とすることが可能となる。
【0035】
検出媒体に対するこのような条件は、構造の簡単なものほど満たされやすい。例えば、検出媒体は、希ガスからなることを特徴としても良い。希ガスは、時間分解能を向上させるための検出媒体として好適である。
【0036】
また、光源部に用いられるパルス光源は、出力される光パルスのパルス幅が1ピコ秒よりも短いパルスレーザーであることを特徴とする。これによって、上記の検出媒体の選択とともに、測定の時間分解能をフェムト秒域とすることが可能となる。
【0037】
さらに、光源部に用いられるパルス光源は、出力される光パルスのピークパワーを増大させる光増幅手段を有するパルスレーザーであることを特徴とする。上記したような短いパルス幅のレーザーに対する光増幅の方法が知られており、これを利用して非常に大きいピークパワーの光パルスを得ることにより、非線形光学効果の小さい物質についても検出媒体として利用することが可能となるなど、装置構成の自由度が大きくなる。
【0038】
また、検出媒体は、入射されるゲートパルスによってブレークダウンが起こる物質からなり、ブレークダウンによって誘起されるプラズマで蛍光の不要成分を吸収させることが可能なように構成されたことを特徴とする。
【0039】
このような物質を検出媒体として用い、例えば上記したような大きいピークパワーの光パルスを集光して検出媒体に入射させると、容易に物質のブレークダウンを引き起こすことができ、これを利用して測定の時間分解能をさらに向上させることが可能となる。すなわち、大強度のゲートパルスにより検出媒体中においてブレークダウンを発生させ、ブレークダウンによって誘起されるプラズマによって、検出媒体上の各位置ごとに到達する蛍光のうち時間的に遅い不要成分を吸収させることによって、光検出手段に到達する蛍光の時間幅を制限してさらに時間分解能を向上させることができる。
【0040】
また、光検出手段は、暗雑音を抑制する機能を有する光検出器を有して構成されていることを特徴としても良い。このような光検出器としては、例えば冷却CCDカメラを挙げることができ、暗雑音が抑制された光検出器を用いることによって、検出・観測の効率を向上させて、例えば微弱な蛍光などについてもその観測・測定が可能となる。
【0041】
また、検出媒体において、ゲートパルスを長くフィラメント状に伝搬させるように構成されたことを特徴としても良い。
【0042】
ゲートパルスによる蛍光像の生成において、検出媒体に誘起される複屈折の分布形状が各時刻でほぼ同じとなる測定条件であれば、画像処理による校正・補正等も不要になる。さらに、その分布が細いほど系の空間的または時間的な分解能が向上され、また、信号の時間軸方向の一様性が向上されて測定の精度が高められる。
【0043】
このような条件を実現するためには、例えば上記のように検出媒体中のできるだけ長い距離の間にわたって、ゲートパルスをその集束状態・分布形状がほぼ一定となる一本のフィラメント状に伝搬させると良い。これは、例えばゲート光学系の入射光学系等の構成によって設定することが可能である。
【0044】
また、励起パルスの被測定物質への入射軸と、蛍光の被測定物質からの出射軸とが略同一軸上にあることを特徴とする。
【0045】
このように軸を設定した場合、被測定物質に入射される励起パルス断面の広がりの方向が蛍光の出射軸と垂直な方向となるので、励起パルスの空間的広がりの各部分から発生する蛍光間での検出媒体までの光路長の違いとそれによる時間差を抑制することができる。このとき、被測定物質を通過した励起パルスも蛍光と同様に検出媒体・光検出部の方向へと導光されるが、この励起パルス自体をも検出することによって、蛍光測定の時間の原点を容易に決定することが可能となる。
【0046】
さらに、蛍光光学系または光検出部の少なくとも一方は、励起パルスに用いた波長の光を一部または全部除去するフィルターを備えることを特徴とする。
【0047】
上記のように励起パルスの入射軸と蛍光の出射軸とを略同一軸とした場合などにおいて、励起パルスの検出が不要である場合、または励起パルスの強度が強すぎて蛍光の測定精度上問題となる場合には、その波長成分の光を除くフィルターを挿入することによって、励起パルスの強度を調整またはその光成分を除去することが可能である。
【0048】
また、励起光学系は、被測定物質に入射する励起パルスの断面を小さくさせる励起パルス集光手段を備えることを特徴としても良い。このように被測定物質に焦点を合わせて励起パルスを導光することによって、被測定物質において蛍光が発生する領域範囲を小さくして、蛍光の光路長差をさらに低減して測定の時間分解能を向上させることができる。
【0049】
あるいは、蛍光光学系は、被測定物質からの蛍光を検出媒体へと効率的に導光する蛍光集光手段を備えることを特徴としても良い。これによって、蛍光測定の感度を向上させることができる。また、蛍光の光路・ビーム広がりなどを適当なものに設定することができ、したがって蛍光の光路長差をさらに低減することができる。例えば、蛍光の発生領域が点光源と見なせる場合には、蛍光集光手段によって平行光に変換して蛍光の波面をそろえ、同時刻に発生した蛍光が検出媒体内のゲートパルスの伝搬軸に沿った位置にも同時刻に到達するように構成することが可能である。
【0050】
上記したそれぞれの集光手段としては、例えばレンズ、軸外し放物面鏡、または凹面鏡等を用いることができる。特に、励起パルス集光手段または蛍光集光手段は、収差が低減されるように形成された集光光学系を用いて構成されることが好ましい。収差を低減したような特殊な設計を行った光学部品などの集光光学系を用いることによって、測定精度・時間分解能の低下を防ぐことができる。例えば、蛍光は一般に広いスペクトル成分を有しているので、蛍光集光手段として色収差の小さいものを用いることによって、時間分解能の低下が防止される。
【0051】
また、このような装置は、動熱力学の観測または制御に適用することが可能である。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明による蛍光寿命測定装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0053】
図1は、本発明に係る蛍光寿命測定装置の第1の実施形態を示すブロック図である。本実施形態における蛍光寿命測定装置は、光源部1、ゲート光学系2、励起光学系3、蛍光光学系5、検出媒体6、及び光検出部7とから構成されている。
【0054】
光源部1は、光パルスを生成・出射する超短パルス光源11と、光分岐器12とを有して構成される。超短パルス光源11から出射された光パルスは、光分岐器12によって、ゲート光学系2へと導光される第1の光束と励起光学系3へと導光される第2の光束とに分岐される。
【0055】
光源部1から出力された第1の光束及び第2の光束は、それぞれゲートパルス及び励起パルスとされて、検出媒体6及び被測定物質4へとそれぞれ導かれる。
【0056】
ゲート光学系2は、光源部1からの第1の光束に基づいてゲートパルスを形成し、所定の入射軸から検出媒体6に入射する。このゲート光学系2は、ゲート光学系2と励起光学系3及び蛍光光学系5との遅延時間差を設定・変更するための可変光遅延器21と、ゲートパルスを所定の偏光状態とするための波長板23及び偏光子24からなるゲートパルス偏光手段22と、ゲートパルスを検出媒体6へと所定の入射条件によって入射させる入射光学系25とを有して構成されている。
【0057】
一方、励起光学系3は、光源部1からの第2の光束に基づいて励起パルスを形成し、所定の入射軸から被測定物体4に入射する。この励起パルスによって被測定物質4に発生した本装置による時間変化測定の対象となる蛍光は、所定の照射軸から蛍光光学系5により検出媒体6へと照射される。この蛍光光学系5は、蛍光を所定の偏光状態とするための偏光子54からなる蛍光偏光手段52を有して構成されている。
【0058】
以上の構成において、ゲートパルスはゲート光学系2を介して検出媒体6に例えば集束して入射される。このとき、集光されたゲートパルスは検出媒体6中の所定領域で大強度・高密度の光束を形成し、そのパルス位置において、光カー効果等の非線形光学効果により検出媒体6中の屈折率の変化が誘起される。このような屈折率変化を生じた複屈折を示す領域はゲートパルスの光が分布している空間領域に相当するものであって、以下これを光飛跡領域と呼ぶ。この光飛跡領域の位置は、光飛跡領域を形成するゲートパルスのパルス位置の移動・進行によって、各時刻において異なる位置となる。すなわち、光飛跡領域の位置情報は時間情報と対応している。
【0059】
ここで、光飛跡領域を含む検出媒体6の所定領域に被測定物質4からの蛍光を蛍光光学系5を介して照射すると、光飛跡領域内における屈折率の異方性(複屈折性)によって、各時刻において光飛跡領域を通過した蛍光成分のみ検出媒体6のその他の領域を通過した蛍光成分に対してその偏光状態が変化する。この変化した光成分を光検出部7を用いて観測することにより、光飛跡領域によって生成された蛍光像が測定される。
【0060】
この光飛跡領域はゲートパルスの移動に伴ってその検出媒体6中でのパルス位置が時間とともに移動していくので、上記した蛍光像は検出媒体6を通過した時刻によって異なる位置となる。このように各時刻において異なる位置に現れる蛍光像から形成されて観測される全体の蛍光像と、その強度等の分布・位置変化を観測することによって、被測定物質4において発生した蛍光の時間変化を観測・測定することができ、これによって蛍光寿命などの測定が可能となる。
【0061】
光検出部7は、検出媒体6の所定領域を通過した蛍光のうち所定の偏光成分のみを透過させる検光子71と、検光子71を透過した蛍光成分を結像させて観測される蛍光像を生成する結像レンズ72と、結像した蛍光の光像を観測するための光検出手段であるカメラ73とを有して構成されている。これによって、光飛跡領域を通過した蛍光成分を検光子71によって選択的に透過し、カメラ73によってこの蛍光成分を観測・撮像して、得られた蛍光像から蛍光の時間変化を測定する。
【0062】
なお、上記した実施形態においては、ゲートパルス偏光手段22は波長板23及び偏光子24から、また、蛍光偏光手段52は偏光子54から構成されているが、これは偏光手段22、52の構成の一例を示したものであって、ゲート光学系2及び蛍光光学系5に入力される光束及び蛍光の偏光状態と、設定するゲートパルス及び蛍光の偏光状態によって、それぞれその他の構成、例えば波長板のみからなる構成等、を用いることができる。
【0063】
また、ゲート光学系2における入射光学系として、ゲートパルスを集束して検出媒体6に入射させる入射光学系25を用いているが、ゲートパルスの強度や検出媒体6として用いる物質の選択等の測定条件によって、集束を行わない光学系を入射光学系として用いても良い。
【0064】
また、例えば励起パルスの被測定物質4への入射軸と、蛍光の検出媒体6への照射軸とが略同一軸上にあるときなど、測定上必要な場合には、蛍光光学系に干渉フィルターやミラー等からなる励起パルス除外手段をさらに設けても良い。
【0065】
図2は、図1に示した実施形態による蛍光寿命測定装置について、具体的な構成とともに示す一実施例である。
【0066】
本実施例においては、波長800nm、パルス幅100fs、パルス当たりのエネルギーが7mJのチタン・サファイアレーザーを超短パルス光源11として用い、このパルス光源11からの光パルスは、例えばハーフミラーなどからなる光分岐器12によって第1の光束l1及び第2の光束l2に分岐される。ここで、この光パルスは、図2中において紙面、すなわち後述するゲートパルスの検出媒体6への入射軸、励起パルスの被測定物質4への入射軸、及び被測定物質4からの蛍光の検出媒体6への照射軸を含む平面(以下、検出平面という)、に対して水平な方向の直線偏光を有している。なお、必要があれば、パルス光源11と光分岐器12との間に波長板などを設置しても良い。この場合、光分岐器12として例えばプリズム型の偏光ビームスプリッターを用いることが可能である。
【0067】
第1の光束l1は、ゲート光学系によってゲートパルスlgとされて検出媒体6へと導かれ、一方、第2の光束l2は、励起光学系によって励起パルスleとされて被測定物質4へと導かれ、さらに、励起パルスleの入射による励起によって被測定物質4中に発生して放出された蛍光lpは、蛍光光学系によって検出媒体6へと導かれる。
【0068】
ゲートパルスlgと蛍光lpとの検出媒体6への入射・照射のタイミングは、ゲート光学系における可変光遅延器21と、蛍光lpを発生させるための励起パルスleを導く励起光学系における光路部分30とによって調整・設定または変更される。
【0069】
励起光学系の光路部分30は、装置の構成時に設定され固定されるものであって、遅延時間が固定された光遅延器としての機能を有し、ゲート光学系に対する光路長差とそれによる遅延時間差の初期条件を調整・設定するために用いられる。一方、ゲート光学系の可変光遅延器21は、可動直角ミラー21aを有して構成されており、この可動直角ミラー21aを移動させることによって光路長を変化させて、励起光学系に対する光路長差とそれによる遅延時間差を変更・設定することが可能なように構成されている。
【0070】
ゲートパルスlgと蛍光lpとのそれぞれの偏光状態は、ゲート光学系におけるゲートパルス偏光手段である波長板23及び偏光子24と、蛍光光学系における蛍光偏光手段である偏光子54とによってそれぞれ設定される。
【0071】
ゲートパルス偏光手段の波長板23は本実施形態においては1/2波長板であり、可変光遅延器21を通過した第1の光束l1は、1/2波長板23によってその直線偏光の方向が90度回転されて検出平面に対して垂直な直線偏光を有するように変換され、さらに垂直な直線偏光を有する成分のみを透過する偏光子24を通過する。これによって、検出平面に対して垂直な直線偏光を有するゲートパルスlgが得られる。なお、この偏光子24は垂直な直線偏光を有する成分をより確実に選択するためのものであって、設置しない構成とすることも可能である。
【0072】
一方、励起パルスleによって被測定物質4で生成された蛍光lpは、検出平面に対して45度傾いた直線偏光を有する成分のみを透過する偏光子54を通過する。これによって、検出平面に対して45度傾いた直線偏光を有する蛍光lpが得られる。
【0073】
上記のようにして得られたゲートパルスlg及び蛍光lpは、それぞれ所定の入射軸及び照射軸によって検出媒体6に入射及び照射される。検出媒体6としては、常温・一気圧の空気を用いる。ただし、図2に示した実施例においては装置全体が空気雰囲気中に設置されているので、その空気のうち所定の領域にある部分をそのまま検出媒体6として用いている。
【0074】
ゲート光学系からのゲートパルスlgは、焦点距離200mmの平凸レンズである集束レンズ25aを通って、所定の入射軸によって空気である検出媒体6に集光されつつ入射される。このとき、検出媒体6内にゲートパルスlgと空気との相互作用によって、光カー効果等の非線形光学効果を生じた光飛跡領域が生成される。この光飛跡領域内では検出媒体6の屈折率が変化し、特にその屈折率に蛍光lpの照射軸に垂直な面内での異方性(複屈折性)を生じる。
【0075】
この光飛跡領域を含む検出媒体6の所定領域に対して、蛍光光学系からの蛍光lpが、ゲートパルスlgの入射軸に対して垂直な軸を照射軸として照射される。この蛍光lpのうち、検出媒体6を透過した成分である透過蛍光lp’が光検出部によって検出される。
【0076】
透過蛍光lp’は、対物レンズ74を介して検光子71に入射する。この検光子71は、透過蛍光lp’のうち、検出媒体6に照射された蛍光lpの直線偏光に対して直交した直線偏光成分のみを透過するように構成されている。したがって、検出媒体6の非線形光学効果による屈折率の異方性を生じていない領域を透過した透過蛍光lp’の成分は検光子71を透過せず、光飛跡領域を通過して光飛跡領域内の屈折率の異方性によってその偏光状態が変化を受けた透過蛍光lp’の成分のみが検光子71を透過する。
【0077】
すなわち、検光子71を通過した透過蛍光lp’の成分による蛍光像の各位置は、非線形光学効果による屈折率変化が誘起された光飛跡領域の蛍光lpの検出媒体6通過時における位置に対応している。また、この光飛跡領域の位置は、ゲートパルスの移動・進行にしたがって時間とともに移動・変化する。したがって得られた蛍光像の各位置は各時刻に対応し、蛍光像とその位置変化(位置依存性)は全体としてみれば蛍光lpとその時間変化(時間依存性)に対応している。
【0078】
検光子71を通過した透過蛍光lp’の成分による蛍光像は、結像レンズ72によってCCDカメラ73上に結像されて撮像され、これによって、ゲートパルスlgの移動とともに蛍光lpの時間変化が蛍光像として観測・測定される。なお、本実施例においては、対物レンズ74は倍率10倍のものを用い、CCDカメラ73のカメラレンズの焦点を無限大として測定を行っている。
【0079】
また、CCDカメラ73は横640×縦480画素を有して8ビットの強度情報が得られるものを使用し、走査線の影響を低減するために、CCDカメラ73は検出平面に対して90度傾けて画素構造の縦方向がゲートパルスlgの検出媒体6中での伝搬方向(入射軸方向)と一致するように設置した。この条件において、CCDカメラ73の画素間隔に対応する観測面上の距離は4.8μmであり、これはすなわち16fs/画素の時間スケールに対応する。
【0080】
また、図2に示した測定装置においては、ゲートパルスlgが検出媒体6内の非常に小さい領域内に集光されるので、これに伴って空気がブレークダウンを起こし空気プラズマが生成されて、プラズマ発光が起こる。このプラズマ発光は広帯域のスペクトル成分を有する白色光である。この発光の影響を除去するため、検光子71及び結像レンズ72の間に蛍光lpのうち測定の対象としていない(興味のない)スペクトル成分を除くための適当な波長に対応した干渉フィルター75を設置している。
【0081】
一方、上記した測定対象となるスペクトル成分については、蛍光寿命の測定前に、蛍光lpを照射せず他の条件を観測時の条件と同一とした測定を行い、この測定結果の画像データを蛍光観測時の測定結果の画像データから減算することによって、透過蛍光lp’による蛍光像の選択的な観測・撮像を行った。ただし、ゲートパルスlgがプラズマ発光を伴わない条件によって測定を行うこともできるが、その場合には、上記したような画像データの減算処理は行わなくても良い。また、蛍光lpのうちの測定対象とするスペクトル成分については、干渉フィルター75の変更等によってその設定を変更することが可能である。
【0082】
また、ゲートパルスlgのパルス当たりのエネルギーは、各光学要素における損失等によって、集束レンズ25aの直前において3.5mJであった。なお、図2に示した実施例による蛍光寿命測定装置によって蛍光lpの時間変化の測定を実際に行ったが、この観測においては、さらにNDフィルターによってゲートパルスlgを減光して、パルス当たり1.0mJとして観測を行った。
【0083】
以下に、本発明に係る蛍光寿命測定装置による効果を、上記した実施例による装置構成及び観測条件によって行った観測の結果とともに説明する。本蛍光寿命測定装置においては、光源として超短パルス光を出力可能な超短パルスレーザーをパルス光源11として用い、その超短パルスの光束を光分岐器12によって分岐させて蛍光lpの観測・測定に用いるゲートパルスlgと、蛍光lpの励起・生成に用いる励起パルスleとを形成している。
【0084】
このように非常に短い光パルスの時間幅を有する超短パルスを用いることによって、蛍光像の位置変化と蛍光の時間変化とを高精度で対応させて、観測される蛍光像による高時間分解能での蛍光の時間変化の測定が可能となり、その蛍光寿命を高い精度で決定することができる。また、その超短パルスを分岐させて用いることによって、ゲートパルスlg及び励起パルスleによって生成された蛍光lpの検出媒体6への入射・照射のタイミングの正確な同期が実現できる。
【0085】
特に、上記した実施例での超短パルスのパルス幅100fsのように充分に短い時間幅の光パルスを用いることによって、ゲートパルスlgの特定の時間における光の空間分布にほぼ対応した光飛跡・分布の像を、2次元画像として直接的に観測することがはじめて可能となる。したがって、ゲートパルスlgの移動に伴って生成され移動していく蛍光lpの像によって形成される蛍光像においては、ゲートパルスlgとして用いた光パルスの時間幅にほぼ相当する高い時間分解能で、蛍光lpの時間変化についての測定を行うことができる。
【0086】
さらに、上記した実施形態においては、ゲート光学系2は可変光遅延器21を備えており、これによってゲートパルスlg及び蛍光lpの入射・照射の相互のタイミングを変更することができる。このとき、このタイミングの変化は蛍光lpが照射されるときのゲートパルスlgの入射軸方向への位置の変化となり、したがって、相互のタイミングを適宜変化させることによって、蛍光lpの時間変化に対して観測・測定したい時間領域の蛍光像部分を測定視野中として、順次必要な情報を得ることができる。
【0087】
図3に、このようにしてゲートパルスlgによる蛍光像によって観測された蛍光lpの時間変化を模式的に示す。横軸は、蛍光lpの到達時間・時刻を表す。一方、縦軸は、蛍光lpの各時刻における強度を表している。ここで図3は、CCDカメラ73によって得られた2次元画像のうち、ゲートパルスlgの入射軸に垂直な方向についての画像データを加算して、ゲートパルスlgの入射軸(測定の時間軸に相当)方向、すなわちゲートパルスlgの伝搬方向についての1次元画像(以下、これを演算画像とよぶ)に変換し、各測定点での強度を表示することによって得られる。
【0088】
また、図3の横軸に示した蛍光lpの到達時間については、上記演算画像の各測定位置を、その位置にゲートパルスlgが到達する時間に対応させることによって、ゲートパルスlgによる蛍光像の各位置を蛍光現象の各時刻に変換して得られる。
【0089】
図3より、本発明による蛍光寿命測定装置によって、被測定物質4から発せられる蛍光の時間変化の様子が高時間分解能で明確に観測されていることがわかる。この図を、例えば指数関数でフィッティングすることによって、測定対象としている蛍光の寿命を算出することが可能となる。
【0090】
また、検出媒体6におけるゲートパルスlgの伝搬・移動については、ゲートパルスlgを長い距離にわたってフィラメント状に伝搬させることによって、空間分解能及び時間分解能をさらに向上させ、かつ、信号の時間軸方向の一様性を向上させることができる。上記した実施例においては、ゲートパルスlgの検出媒体6への入射光学系として、焦点距離200mmの長焦点距離の平凸レンズである集束レンズ25aを用いている。
【0091】
これによって、観測される光飛跡領域(光分布)におけるゲートパルスlgのビーム径が小さく、かつビーム径の大きな変化がない条件でのフィラメント状の状態の伝搬が実現される。このとき、蛍光lpとの相互作用時間が短く、かつ光励起密度が均一となるので、前記した演算画像による蛍光lpの観測・測定はその時間分解能がより向上され、また、測定結果に対する画像処理による校正や補正等が不要になるなど測定の信頼性が向上される。なお、上記した集束レンズ25aの焦点距離については、さらに長焦点の凸レンズを用いてさらに測定精度を向上させる構成としても良い。
【0092】
なお、上記した相互のタイミングを変更する手段である可変光遅延器21については、ゲート光学系2ではなく励起光学系3に設置する構成、または両光学系2、3に設置する構成としても良い。また、特定のタイミングでの蛍光及びその時間変化の観測のみを行い、時間原点を調整・変更等する必要がない場合には、可変光遅延器などのタイミング調整手段を有しない構成としても良い。
【0093】
また、ゲートパルスlgの集束状態などの測定条件の調整・変更については、例えば図2に示す実施例において、入射光学系である集束レンズ25aを光軸方向に可動な構成の可動光学系とすることによっても実現することができ、さらに測定の信頼性を向上させることができる。
【0094】
検出媒体6については、図2に示した実施例では空気を用いているが、それ以外の非線形光学効果を生じ得る物質を検出媒体6として用いても良い。特に、検出媒体6としては気体または液体からなる物質を用いることが好ましい。この場合、気体または液体の非線形光学効果の応答速度は固体の場合に比べて一般に高速であり、したがって、より高時間分解能での観測が可能となる。例えば、検出媒体としてはCS2(常温で液体)を用いることができ、この場合、空気の場合よりも応答時間は遅いが、ゲートパルスの強度を小さくして観測を行うことができる。
【0095】
また、検出媒体6として、ゲートパルスの通過後に誘起された屈折率変化による複屈折が1ピコ秒よりも速く消失する物質を用いることが好ましい。これによって、測定の時間分解能をフェムト秒域とすることが可能となる。このような条件は構造が簡単なものほど満たされやすく、例えば希ガスは、時間分解能を向上させるための検出媒体6として好適である。
【0096】
なお、検出媒体に用いる物質として好ましい条件としては、(1)入射する光パルスの波長に対して充分な透過率があること、(2)ゲートパルスの検出平面に垂直な偏光成分に対して非線形光学効果が大きく高速応答すること、(3)蛍光の偏光状態を乱さないこと、(4)入射光のパルス幅を大きく変えるような分散を持たないこと、(5)入射光の光エネルギーに対して充分な耐性があること、などがある。
【0097】
検出媒体の設置方法としては、図2の実施例では装置全体が検出媒体となる空気中に設置された構成とされているが、このような設置方法以外にも様々な方法が考えられる。例えば、ゲートパルスlg及び蛍光lpが入射・照射される所定の領域と、それ以外の装置の一部とを含む領域に対して囲いを設置し、その囲いの内部を検出媒体によって満たすという方法がある。囲いを設置する領域としては、例えば図2に点線によって示した領域60aまたは60bなどが可能であり、また、これ以外の領域に設定することもできる。この場合、囲いのうち少なくとも光パルスの入射・照射または出射が行われる部位を構成するための材質は、上記した検出媒体についての好ましい条件を同様に満たすものを用いることが望ましい。
【0098】
この場合の囲いについては、図4に囲い60としてその一例を示すように、入射光の入射・照射または出射が行われる部位以外は、背景光の影響を低減するため黒色などに塗装すること(図4中の斜線部分)が望ましい。また、入射光の入射・照射または出射が行われる部位は、例えば両面に反射防止膜が施された石英ガラスなどからなる窓状に形成する。
【0099】
図4においては、図2に示す領域60bのように囲いが光検出部をすべてその内部に含む場合に用いられる囲い60を示し、ゲートパルス入射面61に形成された入射窓61aが示されている。また、蛍光照射面63についても同様に照射窓(図示していない)が形成されている。なお、図2に示す領域60aのように光検出部の一部が囲い60の外部に設置される場合には、さらに蛍光出射面64に出射窓を設ける必要がある。また、ゲートパルス出射面62についても、必要があれば出射窓を有する構成としても良い。また、囲いを設置する領域が小さい場合など、観測中における検出媒体の変性が問題となるときには、ポンプ等を接続して検出媒体を循環させる構成とすることが望ましい。
【0100】
検出媒体が気体であれば、光パルスの入射・照射または出射が行われる部位について、窓ではなく開口部とすることも可能である。この場合、開口部から放出されてしまう検出媒体である気体を、ボンベからホース等を介して囲いの内部に連続的に供給することが必要である。
【0101】
また、無害の気体を検出媒体とする場合において、囲いを用いずに、ボンベ等に接続されたホースの出力口を検出媒体の領域近傍の所定の位置とし、気体をその領域に噴射することによって供給して、検出媒体として用いることも可能である。この場合、気体の純度という点ではやや劣るが、実行が容易であって装置が簡単化するとともに、窓材による光の吸収・反射等の問題が生じない、という利点がある。
【0102】
さらに、検出媒体の領域に、検出媒体となる気体または液体を充填したセルを設置して検出媒体とする方法がある。この方法は、特に液体や、有毒ガス等の取り扱いが困難な気体を用いる場合に適している。また、用いる検出媒体の分量を少なくすることができる。この場合、セルを構成するための容器は、囲いの場合と同様に、上記した検出媒体についての好ましい条件を同様に満たすものを用いることが望ましい。
【0103】
このとき、入射光の偏光方向が確定していることに対応して、図5にセル65として(a)上面図及び(b)側面図を示すように、ゲートパルス入射面66あるいはゲートパルス出射面67を、その法線(図5(b)中に点線で示す)が光軸に対してブルースター角θbとなるように形成することによって、ゲートパルス入射面66については反射を抑制させ透過率を増加させることができ、また、ゲートパルス出射面67についてはセルの出射端面で反射して検出媒体内に戻る光を抑制して測定の精度を向上させることができる。これは、検出媒体中における泡の発生が問題となる液体を用いた場合に、反射光が泡で散乱することを防ぐことができるので特に有効である。
【0104】
なお、ゲートパルスlgの入射・出射面に対して上記のようにブルースター角を用いるときには、特に液体を検出媒体として用いた場合、空気と屈折率が大きく異なるので、ゲートパルスlgの進行方向が変化することを考慮してその光路を設定する必要がある。
【0105】
また、蛍光lpの照射・出射面については、反射防止膜が施されていることが望ましい。また、蛍光lpの偏光状態に影響を与えない範囲において、図6(a)及び(b)にそれぞれ上面図によってその例を示すように、光の反射を抑制する目的で蛍光照射面68、蛍光出射面69を水平方向等について斜めに形成して、セルが上面からみて台形状(例えば図6(a)の形状)または平行四辺形状(例えば図6(b)の形状)などになるようにしても良い。この場合にも同様に、光パルスの進行方向の変化を考慮して光路を設定する。
【0106】
このようにセルを用いた場合、検出媒体である気体または液体を適宜交換または循環等できるように上部等に2つのコックを設置しておくと良い。また、特に検出媒体を気体としたときにその純度を高める方法として、最初に一方のコックからセル内を真空引きし、そのコックを閉じた後、他方のコックから気体を充填する方法を用いることができる。なお、セルの形状については、上記したものに限らず、光パルスのエネルギー、偏光状態、光路等の諸条件に応じて、様々な形状・構成とすることができる。
【0107】
パルス光源11については、出力される光パルスのパルス幅が1ピコ秒よりも短いパルスレーザーであることが好ましい。これによって、上記した希ガスなどの高時間分解能測定が可能な検出媒体の選択とともに、測定の時間分解能をフェムト秒域とすることが可能となる。さらに、出力される光パルスのピークパワーを増大させる光増幅手段を有するパルスレーザーを用いることが好ましい。短いパルス幅のレーザーに対して光増幅の方法が知られており、これを利用して非常に大きいピークパワーの光パルスを得ることにより、非線形光学効果の小さい物質についても検出媒体として利用することが可能となるなど、装置構成の自由度が大きくなる。
【0108】
また、入射されるゲートパルスによってブレークダウンが起こる物質を検出媒体として用い、例えば上記したような大きいピークパワーの光パルスを集光して検出媒体に入射させると、容易に物質のブレークダウンを引き起こすことができ、これを利用して測定の時間分解能をさらに向上させることが可能となる。すなわち、大強度のゲートパルスにより検出媒体中においてブレークダウンを発生させ、ブレークダウンによって誘起されるプラズマによって、検出媒体上の各位置ごとに到達する蛍光のうち時間的に遅い不要成分を吸収させることによって、光検出手段に到達する蛍光の時間幅を制限してさらに時間分解能を向上させることができる。
【0109】
また、カメラ73などの光検出手段としては、例えば冷却CCDカメラなど、暗雑音を抑制する機能を有するものを用いることによって、さらに検出・観測の効率と測定精度を向上させて、例えば微弱な蛍光などについてもその観測・測定が可能となる。
【0110】
図7は、本発明に係る蛍光寿命測定装置の第2の実施形態を示すブロック図である。本実施形態における蛍光寿命測定装置は、光源部1、ゲート光学系2、励起光学系3、及び検出媒体6については第1の実施形態と同様である。一方、蛍光光学系5においては、偏光子54に加えて被測定物質4のすぐ後段にレンズ51をさらに設置している。これによって、被測定物質4で発生した蛍光を効率的に集めて、その測定が行われる検出媒体6内の光飛跡領域に導くことが可能となる。ここで、時間分解能の低下を防止するためには、収差が充分に小さくなるように光学系を設計することが必要である。
【0111】
また、光検出部7については、検光子71及び結像レンズ72の後段に、透過蛍光の2次元の光像を1次元の光像に変換する光像変換手段であるシリンドリカルレンズ76と、シリンドリカルレンズ76によって生成された1次元の光像を検出するための一次元光検出器77とが設置されている。特に、このシリンドリカルレンズ76を、励起パルスの入射軸に垂直な方向について一次元光検出器77上に透過蛍光を集束して1次元光像を形成するように設置することによって、図3に示したような蛍光の時間変化についての情報をより効率的に得ることが可能となる。
【0112】
図8は、本発明に係る蛍光寿命測定装置の第3の実施形態を示すブロック図である。本実施形態における蛍光寿命測定装置は、光源部1、ゲート光学系2、励起光学系3、蛍光光学系5、及び検出媒体6については第1の実施形態と同様である。一方、光検出部7については、第2の実施形態と同様に光像変換手段としてシリンドリカルレンズ76が用いられ、このシリンドリカルレンズ76の後段に、分光器78が設置されて、シリンドリカルレンズ76によって生成された1次元光像を分光器78の入射スリットに入射して分光し、分光器78の出力結像位置とカメラ73の受光面とを一致させて、分光器78からの2次元の出力像をカメラ73で観測する。
【0113】
このように分光を伴って測定を行うことによって、蛍光の各波長成分(スペクトル成分)についてその時間変化の情報を得ることが可能となる。このような構成を用いて得られる測定結果である観測像の一例を図9に示す。横軸は各スペクトル成分に対応する波長であり、上記した分光によって得られるものである。また、縦軸は図3に示したグラフの横軸と同様の位置・時間変換によって得られた蛍光の到達時間を表す。
【0114】
このような2次元の測定結果により、蛍光の各スペクトル成分に対する時間変化の情報を取得することができる。例えば、図9に示した2次元強度分布を一定の波長について切り出して縦軸である時間(時間軸方向の位置に対応)についての1次元の強度分布を作成することによって、図3に示したような特定のスペクトル成分についての強度分布をそれぞれのスペクトル成分に対して得ることができる。なお、測定精度を向上するために、あらかじめ蛍光のスペクトルを取得しておいて、得られた観測像にフィルターをかけるなどすることが好ましい。
【0115】
図10は、本発明に係る蛍光寿命測定装置の第4の実施形態を示すブロック図である。本実施形態における蛍光寿命測定装置は、その装置構成については第1の実施形態と同様であるが、装置各部の制御や画像データについての演算等を行う制御部8がさらに設置されている。この制御部8は、画像処理装置81、制御装置82、及び表示装置83を有して構成されている。
【0116】
画像処理装置81はCCDカメラ73に接続されており、この画像処理装置81によってCCDカメラ73で撮像された観測像の整理や解析・必要な演算等が行われる。例えば、図2に示した実施例について上記した蛍光の照射時・非照射時の画像データの減算や、図3に示した図の生成などは、CCDカメラ73によって画像データを取得した後、解析を行うことによって得ることができるが、図10に示すようにCCDカメラ73を画像処理装置81に接続することによって、観測・測定時にリアルタイムで上記したような画像処理を行うことが可能である。
【0117】
この画像処理装置81はさらに装置全体を制御するための制御装置82に接続されている。この制御装置82は、画像処理装置81を介した画像データ等の取得、得られたデータの表示装置83による表示等を行う。また、制御装置82は可変光遅延器21に接続されており、遅延時間を観測と相関させて制御することができる。また、必要があればパルス光源11等にさらに接続される構成としても良い。
【0118】
また、観測を行った結果によれば、図2に示した装置においては、透過蛍光の強度はゲートパルスの強度の2乗にほぼ比例し、主に検出媒体6中に生じる光カー効果によって観測が可能になっていることがわかった。このとき、得られた観測像の画像データは、ゲートパルスの各時刻での強度の2乗分布に対応している。したがって、上記した画像処理装置81において各画素の画像データの強度についてそれぞれ平方根をとるか、またはさらにarcsinなどの演算を行って観測像とすることによって、より正確に光パルスの強度の空間分布が反映された観測像を得ることができる。
【0119】
図11は、本発明に係る蛍光寿命測定装置の第5の実施形態を示すブロック図であり、ここでは光源部1に単一のパルス光源を用いるのではなく、蛍光測定のためのゲートパルス、及び蛍光生成のための励起パルスに対してそれぞれ別のゲートパルス光源11a及び励起パルス光源11bを用いている。
【0120】
ゲートパルスに対する励起パルスと励起パルスによって生成される蛍光のタイミングは、可変光遅延器21に加えてタイミング制御回路15によって制御されている。タイミング制御回路15は、トリガー回路16及び遅延回路17を有して構成されており、これによって両パルスを同期させるとともに、遅延時間差の設定・変更を行うことができる。この場合、ゲート光学系2及び励起光学系3がともに可変光遅延器を有しない構成としても良い。また、このように2つの光源を用いた場合、ゲートパルス及び励起パルスのパルス幅や波長を異なるものとすることができ、例えばそれらの選択によってさらに時間分解能の向上等を実現することが可能となる。
【0121】
図12は、本発明に係る蛍光寿命測定装置の第6の実施形態を示すブロック図である。本実施形態における蛍光寿命測定装置は、光源部1、ゲート光学系2、蛍光光学系5、及び検出媒体6については第1の実施形態と同様である。一方、励起光学系3については、被測定物質4に入射される励起パルスの入射軸の方向が、被測定物質4から蛍光光学系5・検出媒体6へと出射される蛍光の出射軸の方向と略同一軸上になるように構成されている。
【0122】
例えば図1、図2に示した実施形態のように、励起パルスの入射軸と蛍光の出射軸とが略直交するなど異なる軸上にある場合には、被測定物質4を通過した励起パルスを蛍光の出射軸上から除くことができるが、励起パルスのビーム断面形状に対応して被測定物質4内に形成される蛍光発生領域の断面形状が蛍光の出射軸方向に広がりをもってしまうため、各部位において発生した蛍光の検出媒体6への導光で光路長差を生じる。
【0123】
これに対して、本実施形態のように励起パルスの入射軸と蛍光の出射軸とを略同一軸とすることによって、励起パルスのビーム断面方向が蛍光の出射軸と垂直な方向となるので、それによる光路長差が低減される。このとき、被測定物質4内の蛍光発生領域の各部位から検出媒体6への蛍光の導光時間差が小さくなるので、測定の時間分解能を向上させることができる。
【0124】
このような構成とした場合には、被測定物質4を通過した励起パルス成分についても蛍光の出射軸方向に導光されるが、このような励起パルス自体をも検出することによって、蛍光測定の時間の原点を容易に決定することができる。ただし、一般には、励起パルスは測定対象である蛍光に比べて強く、これが光検出器に入射することによって蛍光の測定効率を低下させてしまう場合がある。
【0125】
このような問題に対して、本実施形態においては、図12に示すように光検出部7の検光子71の後段にフィルター79を挿入・設置している。このフィルター79は、励起パルスに用いた波長成分の光をカットするものであり、このようなフィルター79としては、例えば通常の色ガラスフィルターなどを用いることができ、また、より効率的に励起パルスのみをカットするものとして、ノッチフィルターなどを用いることが可能である。
【0126】
励起パルスのフィルター79によるカット・除去はその全部であっても一部であっても良い。例えば、上記したように励起パルスが検出媒体6に到達した時刻が蛍光測定の時間の基準点となるため、励起パルスを一部残して検出することによって、時間原点の決定に用いることができる。また、フィルターの配置位置については、図12においては光検出部7内に設置しているが、蛍光光学系5内に挿入・設置しても良い。ただし、この場合には蛍光が検出媒体6に入射する前なので、吸収のない波長領域においては充分分散が抑制されたものをフィルターとして使用する必要がある。
【0127】
図13は、本発明に係る蛍光寿命測定装置の第7の実施形態を示すブロック図である。本実施形態における蛍光寿命測定装置は、光源部1、ゲート光学系2、検出媒体6、及び光検出部7については第1の実施形態と同様である。一方、励起光学系3については、被測定物質4に入射される励起パルスが被測定物質4上でちょうど焦点を結ぶ光学系となるように、励起パルス集光手段としてレンズ31を設置している。これによって、被測定物質4内の蛍光発生位置がほぼ点光源と見なせるようになるので、ビームの有限な大きさ・広がりからくる蛍光の検出媒体6への光路長差・導光時間差を抑制することができ、測定の時間分解能が向上される。
【0128】
ここで、レンズ31については、その分散が励起パルスのパルス幅が広がらない程度に小さいものを用いることが好ましい。また、それ以外の収差についても充分小さくなるように設計されたものを用いることが好ましい。また、レンズ以外の励起パルス集光手段としては、軸外し放物面鏡や、凹面鏡などを用いることができる。これらは、レンズと比較して色収差の低減が可能であって、特に10フェムト秒程度以下の光を励起パルスとして用いる場合に重要である。
【0129】
また、本実施形態においては、さらに蛍光光学系5に蛍光集光手段としてレンズ51が設置されている。このように蛍光光学系5にレンズ51を設置することによって、被測定物質4からの蛍光を検出媒体6に効率的に導光することができ、測定効率を向上させることができる。
【0130】
また、本実施形態においては、レンズ51は被測定物質4の蛍光発生位置から出射された蛍光を、波面のそろった平行光に変換するように配置されている。これによって、被測定物質4から同時刻に発せられた蛍光が検出媒体6におけるゲートパルスの伝搬軸に沿った位置に到達するタイミングをそろえて、その同時性を保つことが可能となり、したがって、測定の時間分解能をさらに向上させることができる。
【0131】
このレンズ51については、蛍光は一般に広いスペクトルを有しているので、特に色収差の小さいものを使用することが好ましい。また、それ以外の収差についてもレンズ31と同様に充分小さくなるように設計されたものを用いることが好ましい。また、レンズ以外の蛍光集光手段としては、励起パルス集光手段と同様に、軸外し放物面鏡や、凹面鏡などを用いることができ、これらはさらに色収差を低減することが必要なときに有効である。
【0132】
本発明による蛍光寿命測定装置は、上記した実施形態・実施例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、ゲート光学系または励起光学系の光路上に、ゲートパルスまたは励起パルスの波長を変化させる波長変換手段を設置しても良い。ゲート光学系に波長変換手段を用いることによって、例えば最も時間分解能が良くなる波長を測定に用いるものとして選択・設定することができる。また、励起光学系に波長変換手段を用いることによって、興味のある励起波長で被測定物質を励起して蛍光を発生させることが可能となる。このような波長変換手段としては、例えば光パラメトリック増幅器、和・差周波発生装置、SHG結晶等がある。
【0133】
また、励起光学系の光路上に、励起パルスの波形等を変化させる波形変換手段を設置して、様々な時間波形による蛍光の発生と時間変化を観測するようにしても良い。波形変換手段としては、例えば特開平10−206234号公報に開示されているものであって、パルス列生成器及び波形生成器などがある。このうち、パルス列生成器とは光パルスをパルス列に変換等するものであって、例えばエタロンなどを用いることができる。また、波形生成器とは光パルスの波形等の状態を変化させるものであって、例えば空間光変調器などを用いることができる。
【0134】
また、ゲート光学系または励起光学系に、ゲートパルスまたは励起パルスの空間分布を変化させる空間分布変換手段を設置しても良い。このような空間分布変換手段としては、所定の幅のスリットを有するスリット状マスクなど様々な形態のものを用いることができる。上記のような空間分布変換手段を用いてゲートパルスまたは励起パルスの空間形状を制御することによって、その他の条件や測定目的等に応じて測定条件を制御することができ、例えば測定の時間分解能を向上させる測定条件を実現することが可能となる。
【0135】
すなわち、ゲート光学系にスリットの長手方向が検出平面に垂直(ゲートパルスの入射軸及び蛍光の照射軸に垂直)な方向となるようにスリット状マスクを設置した場合、検出媒体6において蛍光の照射軸方向についてのゲートパルスの広がりが狭くされる。このとき、蛍光がゲートパルスの領域を通過するのに要する通過時間、すなわち各蛍光成分がゲートパルスと相互作用する時間が短くなり、特定の時刻に検出媒体6を通過した蛍光による光像のゲートパルスの伝搬軸方向についての幅が小さくなるので、これによって、測定の時間分解能を向上させることができる。
【0136】
また、励起光学系にスリット状マスクを設置した場合、被測定物質4に入射される励起パルスの断面を小さくして、レンズによる集光を行った場合などと同様に光路長差の低減によって測定の時間分解能を向上させることができる。これ以外にも、様々な空間分布変換手段によって測定条件の制御を行うことが可能である。
【0137】
なお、各光学系での導光については、例えば光ファイバーなどを用いる構成としても良い。ただし、光ファイバーを用いた場合には、光ファイバーの分散によって光パルスのパルス幅が広がってしまい、蛍光測定の時間分解能が劣化してしまう。このため、分散シフトファイバー、グレーティングファイバーや、回折格子対、プリズム対等を用いることによってパルス幅の広がりを補正するように構成することが望ましい。
【0138】
本発明による蛍光寿命測定装置を用いた蛍光とその時間変化の観測・測定は、様々な被測定物質に対して適用することができる。また、通常の意味での蛍光に限らず、例えば励起パルスの強度を上げ、被測定物質にアブレーションを起こさせることによって物質のアブレーション過程を測定するなど、様々な測定や動熱力学の観測・制御等に広く適用することが可能である。
【0139】
【発明の効果】
本発明による蛍光寿命測定装置は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、超短パルスレーザーなどから出力される同期した2つの光パルスを用い、その一方を所定の偏光状態とし、これを蛍光の観測・測定に用いるゲートパルスとして検出媒体に入射させ、他方を励起パルスとして被測定物質に入射させて被測定物質において蛍光を励起・生成させる。この発生した蛍光を所定の偏光状態として検出媒体に照射し、ゲートパルスに伴って移動しつつ形成される複屈折性を示す領域を利用して、各時刻における蛍光成分が各位置の光像成分に対応した蛍光像を得ることによって蛍光の時間変化を測定する。これによって、高時間分解能での蛍光の時間変化測定と、それによる高時間分解能での蛍光寿命の決定等が可能となる。
【0140】
測定方法としては、所定の物質を検出媒体として用い、この検出媒体内のゲートパルス光が分布している領域(光飛跡領域)に生じる非線形光学効果による屈折率変化を利用し、蛍光の偏光状態の変化によって蛍光像を検出する。ここで、ゲートパルスによる光飛跡領域が時間とともに伝搬していくことから、蛍光の時間変化を位置変化に対応させて、CCDカメラ等の光検出器によって直接的に観測・測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蛍光寿命測定装置の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示した実施形態による蛍光寿命測定装置の一実施例を示す構成図である。
【図3】図2に示した蛍光寿命測定装置によって観測された蛍光の時間変化を模式的に示す図である。
【図4】検出媒体に用いられる囲いの一例を示す斜視図である。
【図5】検出媒体に用いられるセルの一例を示す(a)上面図、及び(b)側面図である。
【図6】検出媒体に用いられるセルの他の例を示す上面図である。
【図7】本発明に係る蛍光寿命測定装置の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る蛍光寿命測定装置の第3の実施形態を示すブロック図である。
【図9】図8に示した蛍光寿命測定装置によって観測される蛍光像を示す図である。
【図10】本発明に係る蛍光寿命測定装置の第4の実施形態を示すブロック図である。
【図11】本発明に係る蛍光寿命測定装置の第5の実施形態を示すブロック図である。
【図12】本発明に係る蛍光寿命測定装置の第6の実施形態を示すブロック図である。
【図13】本発明に係る蛍光寿命測定装置の第7の実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…光源部、11…超短パルス光源、11a…ゲートパルス光源、11b…励起パルス光源、12…光分岐器、15…タイミング制御回路、16…トリガー回路、17…遅延回路、
2…ゲート光学系、21…可変光遅延器、21a…可動直角ミラー、22…ゲートパルス偏光手段、23…波長板、24…偏光子、25…入射光学系、25a…集束レンズ、
3…励起光学系、30…光路部分、31…レンズ、
4…被測定物質、
5…蛍光光学系、51…レンズ、52…蛍光偏光手段、54…偏光子、
6…検出媒体、60…囲い、65…セル、
7…光検出部、71…検光子、72…結像レンズ、73…カメラ、74…対物レンズ、75…干渉フィルター、76…シリンドリカルレンズ、77…一次元光検出器、78…分光器、79…フィルター、
8…制御部、81…画像処理装置、82…制御装置、83…表示装置。
Claims (27)
- パルス光源によって供給された光パルスから、それぞれの出力タイミングが同期された第1の光束と第2の光束とを生成して出力する光源部と、
光パルスのパルス位置において、その強度に応じた複屈折を示す検出媒体と、
前記第1の光束に基づいてゲートパルスを形成し、前記検出媒体に前記ゲートパルスを入射するゲート光学系と、
前記第2の光束に基づいて励起パルスを形成し、これを被測定物質に入射させて蛍光を発生させるための励起光学系と、
前記検出媒体に前記ゲートパルスが入射されることによって非線形光学効果による屈折率変化が誘起された光飛跡領域を含む前記検出媒体の所定領域に前記被測定物質からの前記蛍光を照射する蛍光光学系と、
前記検出媒体の所定領域を通過した前記蛍光を検出する光検出部と、を備え、
前記ゲート光学系は、前記ゲートパルスを所定の偏光状態とするためのゲートパルス偏光手段と、前記ゲートパルスを前記検出媒体に所定の入射条件によって入射させる入射光学系とを有し、前記蛍光光学系は、前記蛍光を所定の偏光状態とするための蛍光偏光手段を有し、
前記光検出部は、前記検出媒体の所定領域を通過した前記蛍光のうち、所定の偏光成分のみを透過させる検光手段と、前記検光手段を透過した前記蛍光を検出・観測する光検出手段と、前記検出媒体の所定領域を通過し前記検光手段を透過した前記蛍光を前記光検出手段に結像させて蛍光像とする結像手段と、を有することによって、前記光飛跡領域において複屈折性を示すパルス位置が時間とともに移動することを利用して、前記蛍光像により前記蛍光の時間変化を測定することを特徴とする蛍光寿命測定装置。 - 前記光源部は、光パルスを出力する単一のパルス光源と、前記光パルスを分岐して前記第1の光束と前記第2の光束とを生成する光分岐手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記光源部は、前記第1の光束となる光パルスを出力するゲートパルス光源と、前記第2の光束となる光パルスを出力する励起パルス光源と、前記第1の光束及び前記第2の光束の出力タイミングを同期させるタイミング制御手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記ゲート光学系または前記励起光学系のいずれか一方は、前記ゲート光学系と前記励起光学系との光路長差を設定・変更するための可変光遅延手段を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記入射光学系は、その光路方向の位置が可動である可動光学系を有して構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記ゲートパルス偏光手段及び前記蛍光偏光手段は、少なくとも一方に波長板または偏光子を含んで構成されて、前記ゲートパルス及び前記蛍光の偏光状態はそれぞれ所定の直線偏光に設定され、
前記蛍光の前記検出媒体への照射軸は、前記ゲートパルスの前記検出媒体への入射軸を含み前記ゲートパルスの直線偏光の軸に対して垂直な平面内にあって、前記蛍光の直線偏光の軸は、前記平面に対して45度の傾きとして設定され、
前記検光手段は、前記検出媒体の所定領域を通過した前記蛍光のうち、前記検出媒体に照射される前記蛍光の直線偏光と直交した偏光成分のみを透過させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。 - 前記蛍光の前記照射軸の、前記ゲートパルスの前記入射軸に対する照射角度が90度であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記光検出部は、前記検出媒体の所定領域を通過した前記蛍光の2次元の光像を1次元の光像に変換する光像変換手段をさらに有し、前記光検出手段は一次元光検出器を有して構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記光検出部は、前記検出媒体の所定領域を通過した前記蛍光の2次元の光像を1次元の光像に変換する光像変換手段と、前記光像変換手段及び前記光検出手段の間に設置される分光手段とをさらに有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記ゲート光学系または前記励起光学系の少なくとも一方は、前記ゲートパルスまたは前記励起パルスの波長を変化させる波長変換手段を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記励起光学系は、前記励起パルスの個々の波形またはパルス列の構成などの時間波形を変化させる波形変換手段を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記ゲート光学系または前記励起光学系の少なくとも一方は、前記ゲートパルスまたは前記励起パルスの空間分布を変化させる空間分布変換手段を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記空間分布変換手段は、所定形状のスリットを有し、前記ゲートパルスまたは前記励起パルスの空間分布を前記スリットによってスリット形状に構成するスリット状マスクであることを特徴とする請求項12記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記光検出手段からの画像データの処理を行う画像処理手段を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記検出媒体は、入射される前記ゲートパルスの通過後に、前記ゲートパルスによって誘起された屈折率変化による複屈折が1ピコ秒よりも速く消失する物質からなることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記検出媒体は、希ガスからなることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記光源部に用いられるパルス光源は、出力される光パルスのパルス幅が1ピコ秒よりも短いパルスレーザーであることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記光源部に用いられるパルス光源は、出力される光パルスのピークパワーを増大させる光増幅手段を有するパルスレーザーであることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記検出媒体は、入射される前記ゲートパルスによってブレークダウンが起こる物質からなり、前記ブレークダウンによって誘起されるプラズマで前記蛍光の不要成分を吸収させることが可能なように構成されたことを特徴とする請求項1〜18のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記光検出手段は、暗雑音を抑制する機能を有する光検出器を有して構成されていることを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記検出媒体において、前記ゲートパルスを長くフィラメント状に伝搬させるように構成されたことを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記励起パルスの前記被測定物質への入射軸と、前記蛍光の前記被測定物質からの出射軸とが略同一軸上にあることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記蛍光光学系または前記光検出部の少なくとも一方は、前記励起パルスに用いた波長の光を一部または全部除去するフィルターを備えることを特徴とする請求項1〜22のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記励起光学系は、前記被測定物質に入射する前記励起パルスの断面を小さくさせる励起パルス集光手段を備えることを特徴とする請求項1〜23のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記蛍光光学系は、前記被測定物質からの前記蛍光を前記検出媒体へと効率的に導光する蛍光集光手段を備えることを特徴とする請求項1〜24のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
- 前記励起パルス集光手段または前記蛍光集光手段は、収差が低減されるように形成された集光光学系を用いて構成されることを特徴とする請求項24または25記載の蛍光寿命測定装置。
- 動熱力学の観測または制御に適用したことを特徴とする請求項1〜26のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
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