JP3883050B2 - ドットラインプリンタ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は行方向或いは円周方向に沿って並べて設けられた複数のスプリングチャージ式印字ハンマを保持したハンマ機構部を、行方向に沿って往復移動させ、この往復移動の過程でドット行を印字することより文字、図形等を形成するドットラインプリンタに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
図２、図３及び図４にドットラインプリンタの従来技術を示す。
【０００３】
ドットラインプリンタの印字方式は、印字ハンマ２を有するハンマ機構部１を、図示していないシャトル機構部により、図２中の７の行方向に往復移動する。この過程でハンマ機構部１の印字ハンマ２を駆動させ、プラテン４で印字ハンマ２の打撃力を保持し、ある一定の入射角及び出射角を持って印刷用紙５がプラテン４に巻き付くような状態で用紙搬送方向８に搬送する紙送り機構部９、行方向に適時搬送されるインクリボン３及び前記シャトル動作、紙送り動作、リボン動作により擦れ合って生じる印刷汚れを防止するためのリボンセパレータ６を介して、印字用紙５にドットマトリクスの形で文字、図形等を印字するものである。
【０００４】
通常、上記ドットラインプリンタにおいて、ハンマ機構部１の印字ハンマ２とプラテン４間のギャップは、印字ハンマ２の打撃力及び打撃に要する時間を一定にするために、１０μｍ単位の精度にて管理されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術において、ドットラインプリンタの多くは、印字ハンマ２を行方向に対して垂直方向に多段配列させて印刷速度の向上を図っている。このようなドットラインプリンタの場合、前記印字ハンマ２とプラテン４間のギャップ量のばらつきを克服するために、プラテン４は形状をフラットとしているものがある。しかし、行方向に対して垂直方向に配列する印字ハンマ２に対して前記プラテン４のフラット部幅が印字打撃面１３より大きい程、印字用紙５の打撃面１３に対する上下への逃げが無くなる。その結果、行方向に印字する過程において、印字用紙５がしごかれる状態になり、行方向の印字終了付近１１で印字用紙５に用紙皺１２が発生し、印字用紙５がプラテン４の打撃面１３から浮きあがった状態になるため印字力が伝わりにくくなり、印字濃淡の問題が発生する。この問題は印字用紙５が複写紙（カーボン紙、感圧紙）に顕著に発生し、複写紙の部数が多い程、より顕著に発生する。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、板バネと印字ピンを備え、印字行方向に沿って所定ピッチで並べて配置された複数の印字ハンマと、該印字ハンマを非印字位置に保持するために磁気吸引力を発生する磁石手段と、前記印字ハンマを駆動するために各印字ハンマに対応して設けられたコイルに所定幅釈放電流を供給することにより印字ハンマを消磁釈放し駆動するハンマ機構部と、印字ハンマの打撃力を保持するための印字打撃面部分が平面であるプラテンと、該プラテンに対してある一定の入射角及び出射角をもって印字用紙がプラテンに巻きつくような状態で行方向と垂直に送る紙送り機構部と、紙送り時に擦れ合って印字用紙に生じる印字汚れを防止するためハンマ機構部に取り付けられ、インクリボンと印字用紙の間に併設されるリボンセパレータを有するドットラインプリンタにおいて、前記プラテンに設けられた印字打撃面平面部の用紙搬送方向の幅を、複数の前記印字ピンの用紙搬送方向の幅に対して上下共夫々１．０乃至１．５ｍｍ大きくしたことを特徴とする。
【０００８】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を、図１を使用して説明する。プラテン４以外の構成は従来例と同一のため説明は省略する。
【０００９】
本発明では、プラテン４の印字部打撃面１３のフラット部幅を、印字ハンマ２の行方向と平行な方向において、垂直方向への印字ハンマピンの配列範囲に対して、どの程度とするかにより、印字の濃淡幅（印字ずれ）に影響を及ぼす。そのため、印字用紙方向の範囲をなるべく小さくすることで、前記印字ハンマ２の配列範囲の上下部分に印字用紙５の逃げ１０を設ける効果を奏する。
【００１０】
ここで、図５は、複写紙における平均印字濃淡幅を示すグラフである。図５のグラフの横軸は、複写紙におけるプラテンのフラット部幅（印字ハンマの行方向に対して垂直方向への配列範囲から上下への幅）を示し、上下の幅がそれぞれ１〜３ｍｍの場合について試行したものである。この測定結果によれば、１ｍｍから１．５ｍｍまでに叙々に印字濃淡の幅が広がり、１．５ｍｍ以上からは急激に広がる。１ｍｍでは、濃淡幅は広がらないことがわかる。
【００１１】
従って、プラテンのフラット部幅をそれぞれ上下１．５ｍｍ以内まで小さくすることで、前記逃げ１０に用紙皺が発散し、印字用紙５が印字過程において行方向にしごかれた場合でも用紙皺の発生を回避することが可能となる。更に、フラット部幅を上下夫々約１ｍｍとすることで、より効果的に用紙皺の発生を回避することが可能である。
【００１２】
従って、従来のプラテン４のフラット部幅が印字打撃面１３より大きいために生じていた印字用紙５の打撃面１３に対する上下への逃げが無くなり、行方向に印字する過程で印字用紙５がしごかれ、行方向の印字終了付近１１で印字用紙５に用紙皺１２が発生し、印字用紙５がプラテン４の打撃面１３から浮きあがった状態になるため印字力が伝わりにくくなり、印字濃淡の問題が発生することを解決することが可能となった。
【００１３】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、印字ハンマの打撃力を保持するためのプラテンのフラット部幅を印字ハンマの行方向に対して垂直方向への配列範囲から上下共それぞれ１．０乃至１．５ｍｍ大きくすることにより、印字用紙が印刷過程において行方向にしごかれることで発生する用紙皺を回避し、すなわち、印字濃淡の問題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の一例を示す印字ハンマ周辺の横方向断面図である。
【図２】 従来技術を示すドットラインプリンタの斜視図である。
【図３】 従来技術を示す印字ハンマ周辺の横方向断面図である。
【図４】 従来技術において、用紙皺の発生を示す印字ハンマ周辺の上部断面図である。
【図５】 複写紙における印字濃淡幅を示すグラフである。
【符号の説明】
１はハンマ機構部、２は印字ハンマ、３はインクリボン、４はプラテン、５は印字用紙、６はリボンセパレータ、７はハンマ機構部の往復方向、８は用紙搬送方向、９は紙送り機構部、１０は印字用紙の逃げ、１１は行方向の印字終了付近、１２は用紙皺、１３は印字打撃面を示す。

Claims (1)

1. 板バネと印字ピンを備え、印字行方向に沿って所定ピッチで並べて配置された複数の印字ハンマと、該印字ハンマを非印字位置に保持するために磁気吸引力を発生する磁石手段と、前記印字ハンマを駆動するために各印字ハンマに対応して設けられたコイルに所定幅釈放電流を供給することにより印字ハンマを消磁釈放し駆動するハンマ機構部と、印字ハンマの打撃力を保持するための印字打撃面部分が平面であるプラテンと、該プラテンに対してある一定の入射角及び出射角をもって印字用紙がプラテンに巻きつくような状態で行方向と垂直に送る紙送り機構部と、紙送り時に擦れ合って印字用紙に生じる印字汚れを防止するためハンマ機構部に取り付けられ、インクリボンと印字用紙の間に併設されるリボンセパレータを有するドットラインプリンタにおいて、
   前記プラテンに設けられた印字打撃面平面部の用紙搬送方向の幅を、複数の前記印字ピンの用紙搬送方向の幅に対して上下共夫々１．０乃至１．５ｍｍ大きくしたことを特徴とするドットラインプリンタ。

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