JP3882358B2 - 顔料組成物およびそれを使用した水系顔料分散体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性塗料、水性インキ、捺染、自動車塗料、カラーフィルター、ジェットインキ等の水系顔料分散体を製造する際に使用する顔料組成物および水系顔料分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、水系顔料分散体用の顔料を製造する方法としては、無機塩および助剤の存在下においてボールミルまたはニーダー中において粗製顔料を長時間摩砕し、続いてさらに無機塩および助剤を除去することによって顔料化する。さらにこれを用いて水系分散体を製造する方法としてはサンドミルなどの分散機を使用して顔料の乾燥凝集状態を解しインキビヒクル中に分散することを必要とした。
したがって、この方法では顔料化において無機塩および助剤の回収やそれに対する廃水処理に大きなエネルギーを必要とし、また水系顔料分散体を製造するためにも大きな分散エネルギーが必要とする欠点がある。
【0003】
これらの問題を解決すべく、特開昭55-75453号公報には、粗銅フタロシアニンと界面活性剤を乾式粉砕して得られた顔料組成物を水/ 溶剤中で処理することにより容易に分散する顔料の製造方法について公開されている。しかしながら、この製造方法では、溶剤処理において排出される廃溶剤の回収作業が必要であり、また分散性は不十分であった。
また、特開平9-217019号公報には、第一工程で粗製顔料を乾式粉砕し、第二工程で樹脂および有機溶剤を機械的に分散させ、第三工程で分散物に酸を加えて樹脂を析出させ、さらに、第四工程でアルカリを加えて再中和することにより顔料組成物製造する方法が提案されている。この方法は室温で水中に攪拌することにより容易に分散する顔料組成物を製造できるが、製造工程が長く樹脂を処理するエネルギーが大きい欠点がある。
【0004】
特開平9-188845号公報には、粗銅フタロシアニンを樹脂および有機液体とともに乾式粉砕し、得られた顔料組成物をインキ溶剤中に混練りしてインキ濃縮物を製造する方法が提案されている。この方法は製造工程が簡便であるが顔料組成物を分散しインキ濃縮物を作るための混練りをする工程に大きなエネルギーが必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、驚くべきことに、大量の水や溶剤を使用せず、単一工程で製造でき、水系で容易に分散する顔料組成物を見出した。この顔料組成物をアルカリを含む水中に投入、攪拌することにより容易に水系顔料分散体となる。この水系顔料分散体は優れた分散性、着色力、光沢および流動特性を有する水性インキとなる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、顔料を、該顔料に対して1〜20重量%の界面活性剤および該顔料に対して2〜50重量%の水溶性樹脂の存在下に乾式粉砕してなる粉体状の顔料組成物に関する。
【0007】
更に本発明は、顔料が粗製顔料である上記顔料組成物に関する。
更に本発明は顔料が縮合多環系顔料である上記顔料組成物に関する。
更に本発明は、界面活性剤がエチレンオキシドが付加した芳香族系化合物である上記顔料組成物に関する。
【0008】
更に本発明は、水溶性樹脂が酸性基を有しアルカリの存在下に水に溶解する樹脂である上記顔料組成物に関する。
更に本発明は、水溶性樹脂が固体樹脂である上記顔料組成物関する。
【0009】
更に本発明は、顔料を界面活性剤および水溶性樹脂の存在下に乾式粉砕する粉体状の顔料組成物の製造方法であって、上記乾式粉砕時および/または乾式粉砕後に加熱処理することを特徴とする粉体状の顔料組成物の製造方法に関する。
【0010】
更に本発明は、顔料に水溶性樹脂のみを添加して乾式粉砕し、次いで界面活性剤を添加して乾式粉砕する請求項7記載の粉体状の顔料組成物の製造方法に関する。
更に本発明は、乾式粉砕時の加熱温度が30〜150 ℃である上記製造方法に関する。
更に本発明は、乾式粉砕後の加熱処理温度が50〜150 ℃である上記製造方法に関する。
【0011】
更に本発明は、乾式粉砕がアトライター、ボールミルおよび振動ミルからなる群から選ばれる一種の粉砕装置を使用する上記製造方法に関する。
更に本発明は、上記顔料組成物を水中に分散してなる水系顔料分散体に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の顔料は特に限定されないが、例えば、フタロシアニン系粗顔料、キナクリドン系粗顔料、ジオキサジン系粗顔料等の縮合多環系の粗製顔料が好ましい。粗製顔料は、一般に発色不良のため通常の色材としての適正を欠くものであり、粒子径としては10〜60μmである。
又、本発明においては平均粒径が0.3〜0.5μm程度の市販の顔料を粉砕原料として使用することもでき、この場合には粉砕して得られる顔料の平均粒径を0.01〜0.03μm程度となる。
【0013】
本発明の乾式粉砕は、ビーズ等の粉砕メディアを内蔵した粉砕装置を使用して、顔料を粉体の形態を維持したまま粉砕するものである。粉砕は、粉砕メディア同士の衝突による粉砕力や破壊力を利用し、粉砕助剤としての水溶性無機塩を添加しないで行われる。乾式粉砕中、粉体としての形態を維持できる範囲で水や水溶性溶剤を添加しても良い。粉砕装置としては、乾式のアトライター、ボールミル、振動ミルなどの公知の方法を用いることができる。生産効率の点からアトライターが好ましい。
【0014】
本発明の界面活性剤は、水系顔料分散体の分散安定化に通常使用されている界面活性剤が使用できる。好ましい界面活性剤としては、エチレンオキシド等のアルキレンオキシドが4〜40モル付加した親水性部と、置換もしくは無置換のベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル等の芳香族環が疎水性部として作用するものが好ましい。これらの界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスルホン酸アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルオキシエーテル、ポリオキシエチレンスルホン酸ナフチルオキシエーテルなどが例示できる。
【0015】
界面活性剤の使用量は、粗製顔料に対して1〜20重量%、好ましくは、2〜12重量%である。界面活性剤の使用量が上記上限より多くなると、乾式粉砕装置内部での顔料組成物が粉体の形態を維持できなくなり、固着が生じるので好ましくなく、又、上記下限より少なくなると顔料組成物が水中で解膠、分散せず顔料凝集体として存在し発色しないので好ましくない。
【0016】
本発明の水溶性樹脂は、乾式粉砕時または乾式粉砕後の加熱処理において溶融したり、軟化して粉砕物が固着しないような固体の状態のもので、好ましくはカルボキシル基やスルホン基などの酸性基を有するものである。具体的には、カルボキシル基を有する水溶性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル−スチレン共重合体、アクリル−α−メチルスチレン共重合体、マレイン酸樹脂、マレイン酸−スチレン共重合体があり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、部分エステル化マレイン酸等のアルカリ成分の存在下に水溶性となりえるモノマー成分を含むものである。また、スルホン基を有する水溶性樹脂としては、アクリル-3-スルホプロピルエステル、メタクリル-3-スルホプロピルエステル、スチレンスルホン酸などをモノマーの一部として使用した樹脂がある。以上は使用できる樹脂の一例であり、共重合により酸性基を導入できる樹脂であれば使用できる。また、これらの他に、樹脂を変性することにより、カルボキシル基やスルホン基を導入した水溶性樹脂も使用できる。粉砕工程において配合される水溶性樹脂はペレット状形態であると操作上好ましい。
【0017】
水溶性樹脂の使用量は、顔料に対して2〜50重量%、好ましくは5〜20重量%である。水溶性樹脂の使用量が上記上限より多くなると、分散体に使用する樹脂が本発明の顔料組成物で使用した樹脂に制約されるので好ましくなく、又、上記下限より少なくなると粉砕時の凝集防止効果が発揮されず、顔料組成物が水中で解膠しないため発色不良となり好ましくない。
使用する界面活性剤と水溶性樹脂は夫々の機能を発揮して水中への分散に対し加算効果を与えているのみではなく、夫々が互いに相溶して相乗効果を与えることによって水中に容易に分散する分散体が得られるのである。
【0018】
本発明の乾式粉砕は、粉砕温度を30〜150 ℃で行うことが好ましい。粉砕温度は使用する装置により設定する。しかし、粉砕温度が使用する樹脂の軟化点より高くなると乾式粉砕装置内部での固着が生じるので、使用する樹脂の軟化点よりなるべく低く設定する必要がある。
粉砕時間は粉砕装置の種類によって異なるが、10分〜6時間で行うことが好ましい。粗製顔料を使用する場合には、粉砕時間が短いと粗製顔料が粉砕されないため分散した顔料粒子は不均一になる。また、生産効率からあまり長くする必要がない。
【0019】
本発明の顔料組成物の製造方法は、乾式粉砕中か乾式粉砕後、加熱処理を行う。勿論、乾式粉砕中と後の両方で加熱処理をすることができる。
【0020】
本発明で乾式粉砕工程で得られた顔料組成物を加熱処理することにより分散粒子の大きさや形状、結晶構造などをコントロールすることが可能である。つまり、顔料分散粒子の大きさや形状を整えられ、色相や着色力を変えることができる。又、縮合多環系顔料の一部は結晶型をいくつか有し、その構造により色相や着色力が異なる。例えば、銅フタロシアニン顔料は結晶構造をいくつか有し、α型結晶構造では色相が赤味になりβ型結晶構造では色相が黄味になる。これらの結晶構造はお互い平衡関係にあり、熱などのエネルギーにより転移するので、加熱処理により顔料の結晶構造を変化させることができる。
【0021】
乾式粉砕後の加熱処理装置は、箱形乾燥機、バンド乾燥機など加熱処理できる装置であれば種類は問わない。乾式粉砕後の加熱処理温度および加熱処理時間は、目的の顔料組成物により設定する必要があるため、希望とする顔料粒子の大きさや形状、結晶構造に応じて任意に設定すればよい。加熱処理温度が低いと処理時間が長くなり、温度が高いと大きなエネルギーが必要である。したがって、加熱処理温度が50〜150 ℃が好ましい。
【0022】
本発明の顔料組成物は、顔料の表面を界面活性剤と樹脂が被覆した、流動性のある粉体状の組成物である。粉体の粒径は5〜100μmの範囲にある。又、この粉体を水中に分散した時の顔料粒子径は、乾式粉砕工程や加熱処理工程の条件により調整でき、0.01〜0.3μmであり、ソルベントソルトミリング法により得られた顔料粒子とほぼ同じレベルにもなる。
【0023】
本発明の顔料組成物は、アルカリ金属、アミン、アンモニア等のアルカリ存在下で水中に容易に解膠し分散し、水性顔料分散体となる。この際、水中に水系顔料分散体用ビヒクルを存在させていてもよい。又、本発明の顔料組成物を、一旦、アルカリを含む水中に分散させて濃縮分散体とし、次いで、この濃縮分散体をバインダー樹脂を含む最終製品のビヒクルに分散させてもよい。アルカリの使用量は使用した樹脂に含まれる酸性基に対し1.0〜1.4当量である。
【0024】
本発明の製造方法で得られる顔料組成物を用いた水系顔料分散体としては、例えば、水性塗料、捺染剤、水性インキ、インキジェット用インキ、カラーフィルター用の分散液等が挙げられるが、これらの用途に限定されるものではない。
【0025】
【実施例】
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。
なお、実施例1〜6および比較例1〜2で標準インキとして使用しているのは、比較例3で作成した粗製顔料をソルベントソルトミリングにより顔料化したものである。なお、実施例および比較例で得られた銅フタロシアニン顔料濃縮分散体のα化度、平均分散粒子径、分散安定性の評価は、下記の方法で行った。
【0026】
1)α結晶化度
RINT1000 X-ray Diffactometer(理学社製)を用いて結晶型の測定を行い、ピークの積分強度からα型結晶の百分率を算出した。
2)平均分散粒子径
実施例1〜6および比較例1〜2の平均粒子径は、電子顕微鏡により測定した。
実施例7〜24の平均粒子径は、レーザー回折方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)を用いて測定した。
3)分散安定性
50mlの蓋付きスクリュー管に濃縮分散体を30ml加え、50℃で1週間後の沈降性を評価した。(◎:沈降物なし、○:沈降物が高さ0.5mm未満、△:沈降物が高さ5mm未満、沈降物が高さ5mm以上)
4)着色力、色相
着色力および色相は、実施例および比較例で作製したインキの顔料分率を同じにして塗工し、SZ Opitical Sensor(日本電色工業社製)で測色し、80 Color Measuring System(日本電子工業社製)で解析した。
【0027】
【実施例1】
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン70重量部とアクリル系樹脂( ジョンソンポリマー社製の「ジョンクリルJ-679 」)30 重量部を加え120 ℃で30分間粉砕した。次に、ノニオン界面活性剤( 日本乳化剤社製の「Newcol B13」)8重量部を加え120 ℃で15分間粉砕した。得られた顔料組成物のα型結晶の含有率は10%以下であった。
次に、得られた顔料組成物10重量部とイオン交換水10重量部と樹脂を溶解するために25% 水酸化ナトリウム溶液1.6部を加え室温で緩やかに攪拌することにより濃縮分散体を得た。次に、得られた濃縮分散体に水性塗料用ビヒクル( 大日本塗料社製「ハイライト700 」)400重量部加え最終インキに調整した後、同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、本実施例のインキは着色力、光沢、色相などの点において標準インキより優れており着色力は140%程度の品位を有していた。このインキ中に分散した顔料の平均粒径は50〜100nm であった。
【0028】
【比較例1】
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン70重量部とアクリル系樹脂( ジョンソンポリマー社製の「ジョンクリルJ-679 」)30 重量部を加え120 ℃で30分間粉砕した。次に、得られた顔料組成物10重量部とイオン交換水10重量部と樹脂を溶解するために25% 水酸化ナトリウム溶液1.6部を加え室温で緩やかに攪拌することにより濃縮分散体を得た。このとき得られたインキ濃縮物は沈降が生じ、得られた濃縮分散体に水性塗料用ビヒクル( 「ハイライト700 」)400重量部加え最終インキに調整した後、同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、かなり劣るものであった。
【0029】
【比較例2】
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン70重量部とノニオン界面活性剤( 日本乳化剤社製の「Newcol B13」)10 重量部を加え120 ℃で30間粉砕した。次に、得られた顔料組成物10重量部とイオン交換水10重量部を加え室温で緩やかに攪拌することにより濃縮分散体を得た。このとき、得られた濃縮分散体に水性塗料用ビヒクル( 「ハイライト700 」)400重量部加え最終インキに調整した後、同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、不鮮明であり着色力は70% 程度であった。
【0030】
【比較例3】
銅フタロシアニン顔料(「FG7330」東洋インキ製造社製)70重量部、アクリル系樹脂(ジョンソンポリマー社製の「ジョンクリルJ-679」)30重量部、ノニオン界面活性剤(日本乳化剤社製の「Newcol B13」)8部、25%水酸化ナトリウム水溶液1.6重量部をマヨネーズビンに取り、ペイントコンディショナーを用いて2時間分散させて、濃縮分散体を作製した。
その後、水性塗料用ビヒクル(「ハイライト700」)400重量部加え最終インキに調整した。
【0031】
【実施例2】
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン70重量部とアクリル系樹脂( ジョンソンポリマー社製の「ジョンクリルJ-68」)30 重量部を加え50℃で30分間粉砕した。次に、ノニオン界面活性剤( 日本乳化剤社製の「Newcol B13」)8重量部を加え50℃で15分間粉砕した。得られた顔料組成物のα型結晶の含有率は55% 程度であった。次に、実施例1と同じ方法で濃縮分散体にし、水性塗料用ビヒクル( 「ハイライト700 」)を400重量部加え最終インキに調整した後、同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、本実施例のインキの着色力は140%程度で色相は赤味の品位を有していた。このインキ中に分散された顔料の平均粒径は20〜50nmであった。
【0032】
【実施例3】
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン70重量部とアクリル系樹脂( ジョンソンポリマー社製の「ジョンクリルJ-679 」)10 重量部を加え50℃で30分間粉砕した。次に、ノニオン界面活性剤( 日本乳化剤社製の「Newcol B13」)3.5重量部を加え50℃で15分間粉砕した。次に、顔料組成物を120 ℃で24時間加熱処理を行った。得られた顔料組成物のα型結晶の含有率は1%以下であった。次に、実施例1と同じ方法で濃縮分散体にし、水性塗料用ビヒクル( 「ハイライト700 」)を400重量部加え最終インキに調整した後、同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、本実施例のインキの着色力は同程度で色相はやや赤味の品位を有していた。このインキ中に分散された顔料の平均粒径は100 〜200nm で針状の形態であった。
【0033】
【実施例4】
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン70重量部とアクリル系樹脂( ジョンソンポリマー社製の「ジョンクリルJ-679 」)10 重量部を加え120 ℃で30分間粉砕した。次に、アニオン界面活性剤( 日本乳化剤社製の「Newcol B4SN 」)8重量部を加え50℃で120 分間粉砕した。得られた顔料組成物のα型結晶の含有率は20% 程度であった。次に、実施例1と同じ方法で濃縮分散体にし、水性塗料用ビヒクル( 「ハイライト700 」)を400重量部加え最終インキに調整した後、同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、本実施例のインキの着色力、色相、光沢は標準品と同等の品位を有していた。
【0034】
【実施例5】
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン70重量部とアクリル系樹脂( ジョンソンポリマー社製の「ジョンクリルJ-679 」)10 重量部を加え120 ℃で30分間粉砕した。次に、ノニオン界面活性剤( 日本乳化剤社製の「Newcol B4SN 」)8重量部を加え120 ℃で15分間粉砕した。得られた顔料組成物のα型結晶の含有率は30% 程度であった。次に、実施例1と同じ方法で濃縮分散体にし、水性塗料用ビヒクル( 「ハイライト700 」)を400重量部加え最終インキに調整した後、同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、本実施例のインキの着色力、色相、光沢は標準品と同等の品位を有していた。
【0035】
【実施例6】
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン70重量部とアクリル系樹脂( ジョンソンポリマー社製の「ジョンクリルHPD-671 」)10 重量部を加え120 ℃で30分間粉砕した。次に、ノニオン界面活性剤( 日本乳化剤社製の「Newcol B13」)8重量部を加え120 ℃で15分間粉砕した。得られた顔料組成物のα型結晶の含有率は30% 程度であった。次に、実施例1と同じ方法で濃縮分散体にし、水性塗料用ビヒクル( 「ハイライト700 」)を400重量部加え最終インキに調整した後、同一顔料分を含む標準インキと比較したところ、本実施例のインキの着色力、色相、光沢は標準品と同等の品位を有していた。
【0036】
実施例1〜6および比較例1〜3で作製した水性塗料のα化度、平均粒子径および測色の結果をまとめて表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【実施例7】
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン70重量部とアクリル系樹脂(ジョンソンポリマー社製の「ジョンクリルJ-679」)10重量部を加え120℃で30分間粉砕した。次に、ノニオン界面活性剤(日本乳化剤社製の「Newcol B13」)8重量部を加え120℃で15分間粉砕した。得られた顔料組成物のα型結晶の含有率は10%以下であった。
次に、得られた顔料組成物10重量部とイオン交換水10重量部と樹脂を溶解するために25%水酸化ナトリウム溶液1.6重量部を加え室温で緩やかに攪拌することにより濃縮分散体を得た。次に、下記インキジェット用バインダー成分を攪拌混合した後、3.00μmのフィルターにて、濾過し、インキジェットインキを作製した。
【0039】
上記濃縮分散液 5重量部
1,3-プロパンジオール 10重量部
グリセリン 5重量部
アクリル樹脂エマルジョン 0.2重量部
防黴剤 0.05重量部
イオン交換水 79.75重量部
【0040】
【比較例4】
銅フタロシアニン顔料(「FG7351」東洋インキ製造社製)70重量部、アクリル系樹脂(ジョンソンポリマー社製の「ジョンクリルJ-679」)30重量部、ノニオン界面活性剤(日本乳化剤社製の「Newcol B13」)8重量部、25%水酸化ナトリウム水溶液1.6重量部をマヨネーズビンに取り、ペイントコンディショナーを用いて2時間分散させて、濃縮分散体を作製した。その後、実施例7で使用したインキジェット用バインダー成分を攪拌混合した後、3.00μmのフィルターにて、濾過し、インキジェットインキを作製した。
【0041】
【実施例8〜14】
実施例7と同様の方法で、表2に示す処理を行い、インキジェットインキを作製した。また、加熱処理は120℃で12時間行った。濃縮分散体のα化度、平均分散粒子径および分散性は表2に示すとおりであった。
【0042】
【表2】
【0043】
P1 粗製銅フタロシアニン(川崎化成社製)
P2 粗製ジメチルキナクリドン(フランカラー社製)
P3 粗製カルバゾールジオキサジンバイオレット(住友化学工業社製)
P4 銅フタロシアニン顔料(FG7330:東洋インキ製造社製)
P5 銅フタロシアニン顔料(FG7351:東洋インキ製造社製)
R1 J679(ジョンソンポリマー社製)(スチレン-アクリル共重合体、酸価=200、Tg=85℃、Mw=7,000)
R2 SMA1440(川原油化社製)(スチレン-部分エステル化マレイン酸共重合体、酸価=185、Tg=44℃、Mw=6,700)
R3 SMA2625(川原油化社製)(スチレン-部分エステル化マレイン酸共重合体、酸価=220、Tg=110℃、Mw=7,500)
R4 HPD671(ジョンソンポリマー社製)(スチレン-アクリル共重合体、酸価=214、Tg=128、Mw=17,250)
R5 J68(ジョンソンポリマー社製)(スチレン-アクリル共重合体、酸価=195、Tg=70℃、Mw=10,000)
S1 Newcol B13(日本乳化社製)(ナフタレン-エチレンオキシド型ノニオン活性剤)
S2 Newcol B4SN(日本乳化社製)(ナフタレン-エチレンオキシド型アニオン活性剤)
S3 Newcol 723(日本乳化社製)(スチリルベンジル-エチレンオキシド型ノニオン活性剤)
S4 Newcol 560(日本乳化社製)(アルキルフェニル-エチレンオキシド型ノニオン活性剤)
インキジェットインキを用いて、市販のピエゾ方式プリンターを用いて、コピー紙に記録した。着色力、色相の比較を表3に示した。
【0044】
【表3】
【0045】
【実施例15】
乾式アトライターに粗製銅フタロシアニン70重量部とアクリル系樹脂(ジョンソンポリマー社製の「ジョンクリルJ-679」)10重量部を加え120℃で30分間粉砕した。次に、ノニオン界面活性剤(日本乳化剤社製の「Newcol B13」)8重量部を加え120℃で15分間粉砕した。得られた顔料組成物のα型結晶の含有率は10%以下であった。
次に、得られた顔料組成物10重量部とイオン交換水10重量部と樹脂を溶解するために25%水酸化ナトリウム溶液1.6重量部とエチレングリコール1重量部を加え室温で緩やかに攪拌することにより濃縮分散体を得た。次に、濃縮分散体と活性剤、添加剤、水溶性樹脂からなるコンパウンドと添加剤、防腐剤等を含むエマルジョンワニスを混合攪拌し、水性グラビアインキを作製した。色相および着色力の評価は、作製した水性グラビアインキ2重量部にアクアコンテG65白(東洋インキ製造社製)20重量部を混合し、アート紙に塗工して測色した。
【0046】
【比較例5】
銅フタロシアニン顔料(「FG7330」東洋インキ製造社製)70重量部、アクリル系樹脂(ジョンソンポリマー社製の「ジョンクリルJ-679」)30重量部、ノニオン界面活性剤(日本乳化剤社製の「Newcol B13」)8重量部、25%水酸化ナトリウム水溶液1.6重量部とエチレングリコール1重量部をマヨネーズビンに取り、ペイントコンディショナーを用いて2時間分散させて、濃縮分散体を作製した。次に、濃縮分散体と活性剤、添加剤、水溶性樹脂からなるコンパウンドと添加剤、防腐剤等を含むエマルジョンワニスを混合攪拌し、水性グラビアインキを作製した。色相および着色力の評価は、作製した水性グラビアインキ2重量部にアクアコンテG65白(東洋インキ製造社製)20重量部を混合し、アート紙に塗工して測色した。
【0047】
【実施例16〜19】
実施例15と同様の方法で、表4に示す処理を行い、水性グラビアインキを作製した。また、着色力および色相の結果を表4に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、現在一般的に使用されているソルベントソルトミリング法の顔料と比較して同等もしくはそれ以上の品質であるばかりか、より低コストの顔料組成物を提供することが可能である。また、本発明によれば、顔料組成物により水系顔料分散体を安価に提供することができる。
Claims (12)
- 顔料を、該顔料に対して1〜20重量%の界面活性剤および該顔料に対して2〜50重量%の水溶性樹脂の存在下に乾式粉砕してなる粉体状の顔料組成物。
- 顔料が粗製顔料である請求項1記載の顔料組成物。
- 顔料が縮合多環系顔料である請求項1記載の顔料組成物。
- 界面活性剤がエチレンオキシドが付加した芳香族系化合物である請求項1記載の顔料組成物。
- 水溶性樹脂が酸性基を有しアルカリの存在下に水に溶解する樹脂である請求項1記載の顔料組成物。
- 水溶性樹脂が固体樹脂である請求項1記載の顔料組成物。
- 顔料を界面活性剤および水溶性樹脂の存在下に乾式粉砕する粉体状の顔料組成物の製造方法であって、上記乾式粉砕時および/または乾式粉砕後に加熱処理することを特徴とする粉体状の顔料組成物の製造方法。
- 顔料に水溶性樹脂のみを添加して乾式粉砕し、次いで界面活性剤を添加して乾式粉砕する請求項7記載の粉体状の顔料組成物の製造方法。
- 乾式粉砕時の加熱温度が30〜150 ℃である請求項7記載の製造方法法。
- 乾式粉砕後の加熱処理温度が50〜150 ℃である請求項7記載の製造方法。
- 乾式粉砕がアトライター、ボールミルおよび振動ミルからなる群から選ばれる一種の粉砕装置を使用する請求項7記載の製造方法。
- 請求項1ないし6いずれか記載の顔料組成物を水中に分散してなる水系顔料分散体。
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