JP3880688B2 - 車両の後輪操舵制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両前方の走行路の障害物等を容易に回避できるようにした車両の後輪操舵制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両の走行安定性、運動性を向上させるために前後輪を操舵する舵角制御(4WS制御)として、種々のものが提案、実用化されている。例えば、特開昭62−15168号公報には、前輪舵角と車速から目標ヨーレートを定め、この目標ヨーレートと自車モデル演算部から得られたヨーレートとの偏差に比例した後輪舵角を与える車両の後輪操舵制御装置が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記先行技術に示すように目標ヨーレートに基づいて目標とする後輪舵角を算出して車両の後輪操舵制御を行えば、理想とされる目標車両モデルに近い運動性能を容易に実現することができる。
【0004】
しかしながら、運転者にはそれぞれ好みがあり、運転者それぞれで理想とする車両特性が異なり、また、走行条件や運転状況に応じて多少の違いが生じる。特に、運転状況として障害物等が前方に生じた場合、運転者はハンドル操作や制動を行なってこの障害物を回避しようとするが、この状況で車両が安定方向のみに設定されていると、かえって障害物の回避を困難にしてしまう虞がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、走行条件や運転状況に応じた理想の目標車両モデルを設定することができ、その場面における理想に近い運動性能を容易に実現することが可能な車両の後輪操舵制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明は、車両の運転状態から定まる車両の目標ヨーレートに基づいて目標とする後輪舵角を算出する目標後輪舵角算出手段と、上記目標後輪舵角を基に後輪操舵量を設定して後輪操舵部に出力する後輪操舵量設定出力手段とを備えた車両の後輪操舵制御装置において、車両に対する障害物を検出・認識して信号出力する障害物認識手段と、上記障害物に接触可能性有りと判断されるとき、上記目標ヨーレートを、基準となる基準値より大きく設定する目標ヨーレート特性設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、車両の運転状態から定まる車両の目標ヨーレートに基づいて目標とする後輪舵角を算出する目標後輪舵角算出手段と、上記目標後輪舵角を基に後輪操舵量を設定して後輪操舵部に出力する後輪操舵量設定出力手段とを備えた車両の後輪操舵制御装置において、車両に対する障害物を検出・認識して信号出力する障害物認識手段と、上記目標後輪舵角算出手段での上記目標ヨーレートの特性を選択自在にして選択結果を信号出力する目標ヨーレート特性選択手段と、上記目標ヨーレート特性選択手段からの信号に基づき、上記目標ヨーレートの特性を設定すると共に、上記障害物に接触可能性有りと判断されるとき、目標ヨーレート特性選択手段からの信号に基づいて設定される目標ヨーレートよりも目標ヨーレートの値を大きく設定する目標ヨーレート特性設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の本発明による車両の後輪操舵制御装置は、請求項1又は請求項記載の車両の後輪操舵制御装置において、上記障害物認識手段は、車両前方をステレオ光学系で撮像し、この撮像信号を距離分布の三次元画像データとして得て、この三次元画像データにより障害物を認識して出力するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図3は本発明の実施の形態1を示し、図1は車両の後輪操舵制御装置の機能ブロック図、図2は車両の後輪操舵制御装置の概略構成を示す説明図、図3は目標ヨーレートの特性を可変した際の実走行フィーリングの説明図である。
【0015】
図2において、符号1は自動車等の車両であり、この車両1の前輪操舵部2はパワーステアリング装置等を備え、左前輪3fl,右前輪3frとリンク機構で接続され構成されている。
【0016】
また、上記車両1の後輪操舵部4には、モータ駆動部5で駆動される後輪操舵モータ6が設けられており、この後輪操舵モータ6による動力が、ウォーム・ウォームホィール、リンク機構を介して伝達され、上記左後輪3rl,右後輪3rrを転舵するようになっている。
【0017】
また、上記各車輪3fl,3fr,3rl,3rrは、それぞれの車輪速度ω1 ,ω2 ,ω3 ,ω4 が車輪速度センサ(左前輪速度センサ7fl,右前輪速度センサ7fr,左後輪速度センサ7rl,右後輪速度センサ7rr)により検出されるようになっている。
【0018】
さらに、ステアリングホイールのステアリングコラムには、ハンドル角θを検出するハンドル角センサ8が設けられ、上記後輪操舵部4には、後輪舵角δr を検出する後輪舵角センサ9が設けられている。
【0019】
また、車両1にはステレオ光学系が配設されており、このステレオ光学系は、例えば電荷結合素子(CCD)等の固体撮像素子を用いた1組のCCDカメラ(左側カメラ10l,右側カメラ10r)からなり、これら左右のCCDカメラ10l,10rが、それぞれ車室内の天井前方に一定の間隔をもって取り付けられ、車外の対象を異なる視点からステレオ撮像するようになっている。
【0020】
符号15は、マイクロコンピュータとその周辺回路で形成された制御装置を示し、この制御装置15には、上記各車輪速度センサ7fl,7fr,7rl,7rr,ハンドル角センサ8および後輪舵角センサ9と、車両の実際のヨーレートγを検出するヨーレートセンサ11が接続され、これら各センサからの信号が入力されるとともに、上記左右のCCDカメラ10l,10rが接続され、映像信号が入力されるようになっている。
【0021】
この制御装置15は、上記各センサ7fl,7fr,7rl,7rr,8,9,11および上記左右のCCDカメラ10l,10rからの情報を基に必要な後輪舵角を演算し、上記モータ駆動部5に対して駆動信号を出力するようになっている。
【0022】
一方、車室内の、例えばフロントウインドウとダッシュボードの境目、あるいは、インストルメントパネル内等で運転者の視界の妨げにならない部分には、光と音とを併用して、運転者に車両の左側の注意を促す左警報器12lと、運転者に車両の右側の注意を促す右警報器12rとが設けられている。
【0023】
上記制御装置15は、図1に示すように、画像処理部21、道路・障害物検出部22、接触判定部23、警報判定部24、車速算出部25、目標後輪舵角算出部26、目標ヨーレート特性選択設定部27、目標ヨーレート特性メモリ部28、後輪操舵量設定出力部29とから主要に構成されている。
【0024】
上記画像処理部21は、上記左右のCCDカメラ10l,10rから画像信号が入力され、車両前方の撮像された風景を距離分布の三次元画像データとして物体を認識するものであり、撮像した風景を小領域に分割してその各々について、物体をステレオ画像処理して三次元的な位置を算出し、各物体の三次元座標の距離分布の画像データを得るようになっている。そしてこの画像データは上記道路・障害物検出部22に出力され、前方の道路形状が認識され、同時に道路上の障害物が検出されるようになっている。
【0025】
即ち、個々の物体の三次元距離データにより、物体が重なっている場合にも容易に分離して、何であるかを認識することができ、これにより白線、ガードレール、縁石等が抽出される。そして例えば白線を折れ線で近似して、左右の折れ線で囲まれた範囲を自車線と判断し、この自車線のデータの水平成分で道路のカーブを、垂直成分で道路の上りや下りを検出して、手前から遠方に向かって道路形状を三次元的に検出するのである。
【0026】
また画像データを道路形状と比較して道路上の障害となる立体物のみを選別し、この選別された物体が自車線の障害物であるのかを判断すると共に、その障害物までの距離、大きさ、左右端の位置を検出するのであり、この道路形状と障害物のデータが上記接触判定部23に出力されるようになっている。
【0027】
上記接触判定部23は、障害物の左右端の位置とその時間変化から数秒後の位置を推定し、道路形状から得られる自車両の数秒後の位置を推定し、両者を比較して障害物が自車両の車体の左右のいずれかに接触するか否かの可能性を予測するようになっている。そして左右の接触可能性の予測結果の信号が上記目標ヨーレート特性選択設定部27と、破線で示す如く上記警報判定部24(この部分を破線で示すのは、この機能が警報システムの機能であるため)とに出力されるようになっている。
【0028】
上記接触判定部23で左右の接触可能性を予測すると、上記警報判定部24は、左側接触可能性有りの場合は左警報器12lに警報信号を出力して警報を発し、右側接触の可能性有りの場合は、右警報器12rに警報信号を出力して警報を発するようになっている。尚、上記接触判定部23からの予測結果が左右どちらにも接触しない信号の場合、上記警報判定部24は左右の警報器12l,12rのどちらにも警報信号を出力しないようになっている。
【0029】
そこで運転者が例えば居眠り等で覚醒度が低下したり、他に気をとられて運転することで自車両の左右の一方に前方の障害物が接触する可能性を生じると、運転者を中心として接触可能性有りの側の警報器が警報を発する。従って、運転者はその警報で直ちに接触の可能性と、接触可能性有りの側とを同時に認知することができ、このため迷うことなく減速したり、接触可能性有りの側と反対にハンドル操作して、接触回避することが可能になっている。警報器が警報を発する時間は、予め設定しておいた時間、あるいは、運転者が何らかの運転操作を行うまでの時間等である。尚、この警報システムは、障害物等により道路の道幅が実質的に狭くなっている狭路で、その狭路毎に接触するまでの時間を可変設定できる狭路での車両ガイド機能を備えているものであっても良い。
【0030】
このように上記左右のCCDカメラ10l,10r、画像処理部21、道路・障害物検出部22、接触判定部23で、車両に対する障害物を検出・認識して信号出力する障害物認識手段が形成されている。
【0031】
上記車速算出部25は、前記各車輪速度センサ7fl,7fr,7rl,7rrからの車輪速度ω1 ,ω2 ,ω3 ,ω4 の信号が入力され、これらの信号を予め設定しておいた数式で演算して(例えば、上記各車輪速度センサ7fl,7fr,7rl,7rrからの速度信号の平均値を算出して)車速Vを求め、上記目標後輪舵角算出部26に出力するように形成されている。
【0032】
上記目標後輪舵角算出部26は、上記目標ヨーレート特性選択設定部27から後述の上記ヨーレート定常ゲインGrに対する係数kgと上記ヨーレート時定数Trに対する係数ktが入力されるとともに、上記車速算出部25から車速Vが入力され、上記ハンドル角センサ8からハンドル角θ、上記ヨーレートセンサ11からヨーレートγが入力され、下式によって目標とする後輪舵角δr'を算出し、この目標後輪舵角δr'を上記後輪操舵量設定出力部29に出力する目標後輪舵角算出手段として形成されている。
δr'=kδr・(γ' −γ) …(1)
上記(1)式中、kδrは予め実験・計算等により設定しておいた定数で、上記目標ヨーレートγ' は、
γ' =(kg・Gr)/(1+(kt・Tr)・s)・δf …(2)
で算出される。上記(2)式中、sはラプラス演算子、δfは実舵角(=θ/N;θは上記ハンドル角センサ8から得られるハンドル角,Nはステアリングギヤ比)で、2次系で表現される車両の応答遅れを1次系に近似して算出されるようになっている。
【0033】
また、上記ヨーレート定常ゲインGrは、
Gr=(1/(1+A・V2 ))・(V/L) …(3)
で算出され、Aはスタビリティファクタ、Lはホイールベースである。
【0034】
さらに、上記ヨーレート時定数Trは、
Tr=(m・Lf ・V)/(2・L・CPr ) …(4)
で算出され、mは車両質量、Lfは前軸と重心間の距離、CPrはリア等価コーナリングパワーである。
【0035】
ここで、上記(1)式からもわかるように、上記目標ヨーレートγ' の値によって目標とする後輪舵角δr'が変化させられる。そして、車両モデルは、図3に示すように、ヨーレート定常ゲインGrの値が大きいほど、操舵に対して敏感な動きをし、ヨーレート時定数Trが小さいほど操舵に対する車両応答が速いモデルになり、ヨーレート時定数Trの値が大きいほど、操舵に対する車両応答が遅れて操舵に対して安定性が向上したモデルになる。
【0036】
上記目標ヨーレート特性選択設定部27は、上記接触判定部23からの入力信号(接触可能性有りか否かの信号)に基づき、上記目標ヨーレート特性メモリ部28から、上記ヨーレート定常ゲインGrに対する係数kgと上記ヨーレート時定数Trに対する係数ktとを選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定するように形成されている。
【0037】
ここで、上記目標ヨーレート特性メモリ部28には、次の組み合わせで係数kgと係数ktとが予め記憶されている。接触可能性有りの場合に選択される組み合わせとして、kg>1,1>kt>0。接触可能性無しの場合に選択される組み合わせとして、kg=1,kt=1。
【0038】
すなわち、接触可能性有りの場合は、係数kgを1より大きな数とするとともに、係数ktを0より大きく1より小さい数に設定することにより、ヨーレート定常ゲインGrを大きく、ヨーレート時定数Trを小さくして、目標ヨーレートγ' の値が大きく、操舵に対して敏感な動きをし、操舵に対する車両応答が速いモデルを実現するようになっている。
【0039】
これとは逆に、接触可能性無しの場合は、係数kgと係数ktを共に1として、ヨーレート定常ゲインGrとヨーレート時定数Trを共に基準値にして、目標ヨーレートγ' の値を基準値に設定し、理想の車両モデルに合った制御結果が得られるようになっている。
【0040】
尚、車両によっては、係数kg=1で固定して係数ktのみ可変する制御、あるいは、係数kt=1で固定して係数kgのみ可変する制御であっても良く、すなわち接触可能性有りの場合は、目標ヨーレートγ' の値が大きくなるように設定されるようになっていても良い。
【0041】
このように、上記目標ヨーレート特性選択設定部27と上記目標ヨーレート特性メモリ部28とにより目標ヨーレート特性設定手段が構成されている。
【0042】
上記後輪操舵量設定出力部29は、上記目標後輪舵角算出部26からの目標後輪舵角δr'と上記後輪舵角センサ9からの後輪舵角δr とから必要な後輪操舵量を設定し、この後輪操舵量に対応する信号を前記後輪操舵部4のモータ駆動部5に出力し、前記後輪操舵モータ6を駆動させる後輪操舵量設定出力手段として形成されている。
【0043】
次に、上記構成による作用について説明する。
車両1は運転者のハンドル操作によりパワーステアリング装置等の前輪操舵部2を経て左前輪3fl,右前輪3frとが操舵されて走行する。この車両1の運転状態は、各車輪3fl,3fr,3rl,3rrの車輪速度ω1 ,ω2 ,ω3 ,ω4 が車輪速度センサ(左前輪速度センサ7fl,右前輪速度センサ7fr,左後輪速度センサ7rl,右後輪速度センサ7rr)で、ハンドル角θはハンドル角センサ8で、後輪操舵部4による後輪舵角δr は後輪舵角センサ9で、車両の実際のヨーレートγはヨーレートセンサ11でそれぞれ検出され、制御装置15に入力される。また、車両前方の風景が左右のCCDカメラ10l,10rによりステレオ撮像され、上記制御装置15に入力される。
【0044】
上記左右のCCDカメラ10l,10rからの画像信号は、上記制御装置15の画像処理部21に入力され、撮像した風景は、小領域に分割され、その各々について、物体がステレオ画像処理されて三次元的な位置が算出され、各物体の三次元座標の距離分布の画像データが得られる。そしてこの画像データは、上記制御装置15の道路・障害物検出部22に出力され、前方の道路形状が認識され、同時に道路上の障害物が検出される。
【0045】
詳しくは、個々の物体の三次元距離データにより、物体が重なっている場合にも容易に分離して、何であるかが認識され、これにより白線、ガードレール、縁石等が抽出される。そして例えば白線は、折れ線で近似され、左右の折れ線で囲まれた範囲が自車線と判断され、この自車線のデータの水平成分で道路のカーブが、垂直成分で道路の上りや下りが検出されて、手前から遠方に向かって道路形状が三次元的に検出される。
【0046】
また画像データは道路形状と比較され、道路上の障害となる立体物のみが選別されて、この選別された物体が自車線の障害物であるのかが判断されると共に、その障害物までの距離、大きさ、左右端の位置が検出され、この道路形状と障害物のデータが上記制御装置15の接触判定部23に出力される。
【0047】
上記接触判定部23では、障害物の左右端の位置とその時間変化から数秒後の位置が推定され、道路形状から得られる自車両の数秒後の位置が推定されて、両者を比較し、障害物が自車両の車体の左右のいずれかに接触するか否かの可能性が予測される。そして左右の接触可能性が予測されるとその信号が、上記制御装置15の目標ヨーレート特性選択設定部27と、破線で示す如く上記制御装置15の警報判定部24とに出力される。
【0048】
一方、前記各車輪速度センサ7fl,7fr,7rl,7rrからの車輪速度ω1 ,ω2 ,ω3 ,ω4 の信号は、上記制御装置15の車速算出部25に入力され、予め設定しておいた数式で演算されて(例えば、上記各車輪速度センサ7fl,7fr,7rl,7rrからの速度信号の平均値を算出して)車速Vが求められ、上記制御装置15の目標後輪舵角算出部26に出力される。この目標後輪舵角算出部26には、さらに、上記ハンドル角θと上記ヨーレートγとが入力される。
【0049】
上記接触判定部23での左右の接触可能性の予測の結果、左右どちらにも接触可能性が無いと判定されると、まず、上記目標ヨーレート特性選択設定部27はこの信号を受け、上記制御装置15の目標ヨーレート特性メモリ部28から接触可能性無しの場合のヨーレート定常ゲインGrに対する係数kgとヨーレート時定数Trに対する係数ktの組み合わせ(kg=1,kt=1)を選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定する。
【0050】
そして、上記目標後輪舵角算出部26は、前記(2)式により、目標ヨーレートγ' を算出し、前記(1)式により、目標後輪舵角δr'を算出する。ここで、上記係数kgと上記係数ktが上述のように接触可能性無しの組み合わせであるので、上記目標ヨーレートγ' は基準値に設定され、理想的な車両モデルが実現され、この車両モデルで上記目標後輪舵角δr'が算出されることになる。
【0051】
この目標後輪舵角δr'は、上記制御装置15の後輪操舵量設定出力部29に出力され、この後輪操舵量設定出力部29は、目標後輪舵角算出部26からの目標後輪舵角δr'と上記後輪舵角センサ9からの後輪舵角δr とから必要な後輪操舵量を設定し、この後輪操舵量に対応する信号を前記後輪操舵部4のモータ駆動部5に出力し、前記後輪操舵モータ6を駆動させ、ウォーム・ウォームホィール、リンク機構を介して、上記左後輪3rl,右後輪3rrを転舵する。
【0052】
また、この左右どちらにも接触可能性が無いとの信号が上記警報判定部24に入力されると、この警報判定部24は左右の警報器12l,12rのどちらにも警報信号を出力しない。
【0053】
かわって、上記接触判定部23での左右の接触可能性の予測の結果、左右の少なくともどちらにかに接触可能性が有ると判定されると、まず、上記目標ヨーレート特性選択設定部27はこの信号を受け、上記目標ヨーレート特性メモリ部28から接触可能性有りの場合のヨーレート定常ゲインGrに対する係数kgとヨーレート時定数Trに対する係数ktの組み合わせ(kg>1,1>kt>0)を選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定する。
【0054】
そして、上記目標後輪舵角算出部26は、前記(2)式により、目標ヨーレートγ' を算出し、前記(1)式により、目標後輪舵角δr'を算出する。ここで、上記係数kgと上記係数ktが上述のように接触可能性有りの組み合わせであるので、上記目標ヨーレートγ' は基準値より大きく設定され、基準とする車両モデルより操舵に対して敏感な動きをし、操舵に対する車両応答が速いモデルが実現され、この車両モデルで上記目標後輪舵角δr'が算出されることになる。
【0055】
この目標後輪舵角δr'は、上記後輪操舵量設定出力部29に出力され、この後輪操舵量設定出力部29は、上記目標後輪舵角算出部26からの目標後輪舵角δr'と上記後輪舵角センサ9からの後輪舵角δr とから必要な後輪操舵量を設定し、この後輪操舵量に対応する信号を前記後輪操舵部4のモータ駆動部5に出力し、前記後輪操舵モータ6を駆動させ、ウォーム・ウォームホィール、リンク機構を介して、上記左後輪3rl,右後輪3rrを転舵する。このため、運転者の障害物に対する回避行動に、車両1が素早く対応して、障害物の回避が容易になるのである。
【0056】
また、この左右の少なくともどちらかに接触する可能性が有るとの信号が上記接触判定部23から上記警報判定部24に入力されると、上記警報判定部24は、左側接触可能性有りの場合は左警報器12lに警報信号を出力して警報を発し、右側接触の可能性有りの場合は、右警報器12rに警報信号を出力して警報を発する。
【0057】
このように、運転者が例えば居眠り等で覚醒度が低下したり、他に気をとられて運転することで自車両の左右の一方に前方の障害物が接触する可能性を生じると、運転者を中心として接触可能性有りの側の警報器が警報を発っして、運転者はその警報で直ちに接触の可能性と、接触可能性有りの側とを同時に認知することができ、このため迷うことなく減速したり、接触可能性有りの側と反対にハンドル操作して接触回避する。そして接触回避のハンドル操作も、車両1が操舵に対して敏感な動きをし、操舵に対する車両応答が速いモデルで行われるため、障害物の回避を容易に行うことができる。
【0058】
尚、本発明の実施の形態1で、障害物認識手段は、車両前方をステレオ光学系で撮像し、この撮像信号を距離分布の三次元画像データとして得て、この三次元画像データにより障害物を認識し出力するものであるが、他に、超音波を発射してその反射波が返ってくるまでの時間で障害物までの距離を計測する方式のもの、あるいは発光素子で光を発射して計測する方式のもの等で形成した周知の方式であっても良い。
【0059】
次いで、図4〜図7は本発明の実施の形態2を示し、図4は車両の後輪操舵制御装置の機能ブロック図、図5は車両の後輪操舵制御装置の概略構成を示す説明図、図6は各選択モードでの設定される目標ヨーレートの特性の説明図、図7は図6とは異なったスイッチで選択設定される目標ヨーレートの特性の説明図である。尚、本発明の実施の形態2は、目標ヨーレート特性選択手段からの信号で、ヨーレート定常ゲインGrに対する係数kgとヨーレート時定数Trに対する係数ktの組み合わせを目標ヨーレート特性設定手段で行えるようにしたものである。従って、前記発明の実施の形態1の車両が搭載していた障害物認識手段に関する構成は有しない。
【0060】
図5において、符号36は上記ヨーレート定常ゲインGrに対する係数kgとヨーレート時定数Trに対する係数ktの組み合わせを運転者により選択自在にする目標ヨーレート特性選択手段としての目標ヨーレート特性選択スイッチで、インストルメントパネル等に設けられ、本発明の実施の形態2では、スポーツモード(通常に比べて旋回性能を重視したモード)と、ノーマルモード(通常のモード)と、ラグジュアリモード(通常に比べて安定性を重視したモード)の3つの走行モードが選択自在になっている。
【0061】
また、符号35は、マイクロコンピュータとその周辺回路で形成された制御装置を示し、この制御装置35には、前記各車輪速度センサ7fl,7fr,7rl,7rr,ハンドル角センサ8,後輪舵角センサ9、および前記ヨーレートセンサ11が接続され、これら各センサからの信号が入力されるとともに、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36が接続され、運転者による走行モードの選択結果が入力されるようになっている。
【0062】
そして、制御装置35は、上記各センサ7fl,7fr,7rl,7rr,8,9,11および上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36からの情報を基に必要な後輪舵角を演算し、前記モータ駆動部5に対して駆動信号を出力するようになっている。
【0063】
上記制御装置35は、図4に示すように、車速算出部25、目標後輪舵角算出部26、後輪操舵量設定出力部29、目標ヨーレート特性選択設定部37、および目標ヨーレート特性メモリ部38とから主要に構成されている。
【0064】
上記目標ヨーレート特性選択設定部37は、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36からの入力信号(上記3つの走行モードの選択結果の信号)に基づき、上記目標ヨーレート特性メモリ部38から、上記ヨーレート定常ゲインGrに対する係数kgと上記ヨーレート時定数Trに対する係数ktとを選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定するように形成されている。
【0065】
ここで、上記目標ヨーレート特性メモリ部38には、次の組み合わせで係数kgと係数ktとが予め記憶されている。上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36からの入力信号が旋回性能を重視したスポーツモードに対応する組み合わせとして、kg>1,1>kt>0。上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36からの入力信号がノーマルモードに対応する組み合わせとして、kg=1,kt=1。上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36からの入力信号が安定性を重視したラグジュアリモードに対応する組み合わせとして、1>kg>0,kt>1。
【0066】
すなわち、図6に示すように、スポーツモードの場合は、係数kgを1より大きな数とするとともに、係数ktを0より大きく1より小さい数に設定することにより、ヨーレート定常ゲインGrを大きく、ヨーレート時定数Trを小さくして、目標ヨーレートγ' の値が大きく、操舵に対して敏感な動きをし、操舵に対する車両応答が速く旋回性能に優れたモデルを実現するようになっている。
【0067】
また、ノーマルモードの場合は、係数kgと係数ktを共に1として、ヨーレート定常ゲインGrとヨーレート時定数Trを共に基準値にして、目標ヨーレートγ' の値を基準値に設定し、理想の車両モデルに合った制御結果が得られるようになっている。
【0068】
さらに、ラグジュアリモードの場合は、係数kgを0より大きく1より小さい数に設定するとともに、係数ktを1より大きな数に設定することにより、ヨーレート定常ゲインGrを小さく、ヨーレート時定数Trを大きくして、目標ヨーレートγ' の値が小さく、操舵に対して安定した動きをし、操舵に対する車両安定性が高いモデルを実現するようになっている。
【0069】
このように、上記目標ヨーレート特性選択設定部37と上記目標ヨーレート特性メモリ部38とにより目標ヨーレート特性設定手段が構成されている。
【0070】
尚、車両によっては、係数kg=1で固定して係数ktのみ可変する制御、あるいは、係数kt=1で固定して係数kgのみ可変する制御であっても良い。
【0071】
また、本発明の実施の形態2では、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36は、3つの走行モードから選択自在になっているが、これに限ることなく、2つの走行モードあるいは4つ以上の走行モードから選択自在にしても良い。この場合、それぞれの走行モードに応じた目標ヨーレート特性が目標ヨーレート特性メモリ部38に設定され、目標ヨーレート特性選択設定部37で上記目標後輪舵角算出部26に設定されることは言うまでもない。
【0072】
さらに、本発明の実施の形態2では、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36は、例えば、3つの走行モードポジションを持つデジタルスイッチ、ポテンショメータなどのアナログ出力を三分割した信号とするアナログスイッチ等で形成されるが、加えて、図7(a),(b)のヨーレート時定数、ヨーレート定常ゲインで得られるように、ヨーレート時定数Trに対する係数ktとヨーレート定常ゲインGrに対する係数kgの設定が、ポテンショメータなどのアナログ出力を基準値をクリックさせ、スポーツモードからラグジュアリモードまでの範囲をリニア、または非線形に結んだ連続可変の信号で得られるようにしたスイッチで形成しても良い。
【0073】
次に、上記構成による作用について説明する。
車両1を運転するにあたり、運転者は目標ヨーレート特性選択スイッチ36を操作して、スポーツ、ノーマル、ラグジュアリの3つの走行モードから好みのモードを選択し、この選択結果が制御装置35に入力される。
【0074】
また、この車両1は運転者のハンドル操作によりパワーステアリング装置等の前輪操舵部2を経て左前輪3fl,右前輪3frとが操舵されて走行する。この車両1の運転状態は、各車輪3fl,3fr,3rl,3rrの車輪速度ω1 ,ω2 ,ω3 ,ω4 が車輪速度センサ(左前輪速度センサ7fl,右前輪速度センサ7fr,左後輪速度センサ7rl,右後輪速度センサ7rr)で、ハンドル角θはハンドル角センサ8で、後輪操舵部4による後輪舵角δr は後輪舵角センサ9で、車両の実際のヨーレートγはヨーレートセンサ11でそれぞれ検出され、上記制御装置35に入力される。
【0075】
上記各車輪速度センサ7fl,7fr,7rl,7rrからの車輪速度ω1 ,ω2 ,ω3 ,ω4 の信号は、上記制御装置35の車速算出部25に入力され、予め設定しておいた数式で演算されて(例えば、上記各車輪速度センサ7fl,7fr,7rl,7rrからの速度信号の平均値を算出して)車速Vが求められ、上記制御装置35の目標後輪舵角算出部26に出力される。この目標後輪舵角算出部26には、さらに、上記ハンドル角θと上記ヨーレートγとが入力される。
【0076】
ここで、運転者により、例えば障害物が多い道路走行のために、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36から、上記走行モードがスポーツモードに設定されていると、この選択結果が上記制御装置35の目標ヨーレート特性選択設定部37に入力され、この目標ヨーレート特性選択設定部37は、上記制御装置35の目標ヨーレート特性メモリ部38から、ヨーレート定常ゲインGrに対する係数kgと上記ヨーレート時定数Trに対する係数ktの組み合わせとしてkg>1,1>kt>0を選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定する。
【0077】
そして、上記目標後輪舵角算出部26は、前記(2)式により、目標ヨーレートγ' を算出し、前記(1)式により、目標後輪舵角δr'を算出する。ここで、上記係数kgと上記係数ktが上述のスポーツモードの組み合わせであるので、上記目標ヨーレートγ' は基準値より大きく設定され、基準とする車両モデルより操舵に対して敏感な動きをし、操舵に対する車両応答が速く、旋回性能に優れたスポーティなモデルが実現され、この車両モデルで上記目標後輪舵角δr'が算出されることになる。
【0078】
この目標後輪舵角δr'は、上記制御装置35の後輪操舵量設定出力部29に出力され、この後輪操舵量設定出力部29は、上記目標後輪舵角算出部26からの目標後輪舵角δr'と上記後輪舵角センサ9からの後輪舵角δr とから必要な後輪操舵量を設定し、この後輪操舵量に対応する信号を前記後輪操舵部4のモータ駆動部5に出力し、前記後輪操舵モータ6を駆動させ、ウォーム・ウォームホィール、リンク機構を介して、上記左後輪3rl,右後輪3rrを転舵する。このため、運転者の障害物に対する回避行動に、車両1が素早く対応して、障害物の回避が容易で、スポーティな走行が可能になるのである。
【0079】
また、運転者により、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36から、上記走行モードがノーマルモードに設定されていると、この選択結果が上記目標ヨーレート特性選択設定部37に入力され、この目標ヨーレート特性選択設定部37は、上記目標ヨーレート特性メモリ部38から、ヨーレート定常ゲインGrに対する係数kgと上記ヨーレート時定数Trに対する係数ktの組み合わせとしてkg=1,kt=1を選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定する。
【0080】
そして、上記目標後輪舵角算出部26は、前記(2)式により、目標ヨーレートγ' を算出し、前記(1)式により、目標後輪舵角δr'を算出する。ここで、上記係数kgと上記係数ktが上述のノーマルモードの組み合わせであるので、上記目標ヨーレートγ' は基準値に設定され、理想的な車両モデルが実現され、この車両モデルで上記目標後輪舵角δr'が算出されることになる。
【0081】
この目標後輪舵角δr'は、上記後輪操舵量設定出力部29に出力され、この後輪操舵量設定出力部29は、上記目標後輪舵角算出部26からの目標後輪舵角δr'と上記後輪舵角センサ9からの後輪舵角δr とから必要な後輪操舵量を設定し、この後輪操舵量に対応する信号を前記後輪操舵部4のモータ駆動部5に出力し、前記後輪操舵モータ6を駆動させ、ウォーム・ウォームホィール、リンク機構を介して、上記左後輪3rl,右後輪3rrを転舵する。
【0082】
さらに、運転者により、例えば低μ路走行のために、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36から、上記走行モードがラグジュアリモードに設定されていると、この選択結果が上記目標ヨーレート特性選択設定部37に入力され、この目標ヨーレート特性選択設定部37は、上記目標ヨーレート特性メモリ部38から、ヨーレート定常ゲインGrに対する係数kgと上記ヨーレート時定数Trに対する係数ktの組み合わせとして1>kg>0,kt>1を選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定する。
【0083】
そして、上記目標後輪舵角算出部26は、前記(2)式により、目標ヨーレートγ' を算出し、前記(1)式により、目標後輪舵角δr'を算出する。ここで、上記係数kgと上記係数ktが上述のラグジュアリモードの組み合わせであるので、上記目標ヨーレートγ' は基準値より小さく設定され、基準とする車両モデルより操舵に対して安定した動きをし、操舵に対する車両安定性が高いモデルが実現され、この車両モデルで上記目標後輪舵角δr'が算出されることになる。
【0084】
この目標後輪舵角δr'は、上記後輪操舵量設定出力部29に出力され、この後輪操舵量設定出力部29は、上記目標後輪舵角算出部26からの目標後輪舵角δr'と上記後輪舵角センサ9からの後輪舵角δr とから必要な後輪操舵量を設定し、この後輪操舵量に対応する信号を前記後輪操舵部4のモータ駆動部5に出力し、前記後輪操舵モータ6を駆動させ、ウォーム・ウォームホィール、リンク機構を介して、上記左後輪3rl,右後輪3rrを転舵する。このため、例え低μ路走行であっても操舵に対して安定した動きをし、操舵に対する車両安定性に優れた走行が可能になるのである。
【0085】
このように、本発明の実施の形態2によれば、車両モデルの特性を運転者が選択できるので、走行条件が変化しても運転者の要求に合った車両に制御することができる。
【0086】
次いで、図8,図9は本発明の実施の形態3を示し、図8は車両の後輪操舵制御装置の機能ブロック図、図9は車両の後輪操舵制御装置の概略構成を示す説明図である。尚、本発明の実施の形態3は、前記発明の実施の形態1で説明した障害物認識手段と前記発明の実施の形態2で説明した目標ヨーレート特性選択手段の両方を備えるものである。
【0087】
すなわち、図8,図9に示すように、制御装置45は、マイクロコンピュータとその周辺回路で形成され、この制御装置45には、前記各センサ7fl,7fr,7rl,7rr,8,9,11,前記左右のCCDカメラ10l,10rおよび目標ヨーレート特性選択手段としての前記目標ヨーレート特性選択スイッチ36が接続され、これらからの入力情報を基に必要な後輪舵角を演算し、上記モータ駆動部5に対して駆動信号を出力するようになっている。また、前記左警報器12lと前記右警報器12rとが設けられ、上記制御装置45に接続されている。
【0088】
上記制御装置45は、図8に示すように、画像処理部21、道路・障害物検出部22、接触判定部23、警報判定部24、車速算出部25、目標後輪舵角算出部26、後輪操舵量設定出力部29、目標ヨーレート特性選択設定部46、目標ヨーレート特性メモリ部47とから主要に構成されている。
【0089】
上記目標ヨーレート特性選択設定部46は、上記接触判定部23からの入力信号(接触可能性有りか否かの信号)と上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36からの入力信号(スポーツ、ノーマル、ラグジュアリの前記3つの走行モードの選択結果の信号)に基づき、上記目標ヨーレート特性メモリ部47から、上記ヨーレート定常ゲインGrに対する係数kgと上記ヨーレート時定数Trに対する係数ktとを選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定するように形成されている。
【0090】
ここで、上記目標ヨーレート特性メモリ部47には、以下のように係数kgと係数ktとが予め記憶されている。上記接触判定部23からの入力信号が接触可能性有りの場合はkg>1、接触可能性無しの場合はkg=1。上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36からの入力信号が旋回性能を重視したスポーツモードに対応する場合として1>kt>0、ノーマルモードに対応する場合としてkt=1、安定性を重視したラグジュアリモードに対応する場合としてkt>1。
【0091】
すなわち、上記接触判定部23からの入力信号で係数kgを、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36からの入力信号で係数ktを選択するようになっている。
【0092】
そして、上記接触判定部23からの入力信号が接触可能性有りの場合は、係数kgを1より大きな数に設定することにより、ヨーレート定常ゲインGrを大きくして目標ヨーレートγ' の値が大きく、操舵に対して敏感な動きをし、操舵に対する車両応答が速いモデルを実現するようになっている。
【0093】
これとは逆に、上記接触判定部23からの入力信号が接触可能性無しの場合は、係数kgを1として、ヨーレート定常ゲインGrを基準値にし、目標ヨーレートγ' の値を基準値に設定して理想の車両モデルに合った制御結果が得られるようになっている。
【0094】
また、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36からの入力信号がスポーツモードの場合は、係数ktを0より大きく1より小さい数に設定することにより、ヨーレート時定数Trを小さくして目標ヨーレートγ' の値が大きく、操舵に対して敏感な動きをし、操舵に対する車両応答が速く旋回性能に優れたモデルを実現するようになっている。
【0095】
さらに、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36からの入力信号がノーマルモードの場合は、係数ktを1として、ヨーレート時定数Trを基準値にし、目標ヨーレートγ' の値を基準値に設定して理想の車両モデルに合った制御結果が得られるようになっている。
【0096】
また、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36からの入力信号がラグジュアリモードの場合は、係数ktを1より大きな数に設定することにより、ヨーレート時定数Trを大きくして目標ヨーレートγ' の値が小さく、操舵に対して安定した動きをし、操舵に対する車両安定性が高いモデルを実現するようになっている。
【0097】
このように、上記目標ヨーレート特性選択設定部46と上記目標ヨーレート特性メモリ部47とにより目標ヨーレート特性設定手段が構成されている。尚、本発明の実施の形態3では、上記接触判定部23からの入力信号で係数kgを、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36からの入力信号で係数ktを選択するようになっているが、上記接触判定部23からの入力信号と上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36からの入力信号で目標ヨーレートを適切に補正して定められれば、これに限るものではない。例えば、本発明の実施の形態3とは逆に、上記接触判定部23からの入力信号で係数ktを、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36からの入力信号で係数kgを選択するようになっていても良い。
【0098】
また、前記発明の実施の形態2と同じく、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36は、3つの走行モードから選択自在になっているが、これに限ることなく、2つの走行モードあるいは4つ以上の走行モードから選択自在にしても良い。この場合、それぞれの走行モードに応じた目標ヨーレート特性が目標ヨーレート特性メモリ部47に設定され、目標ヨーレート特性選択設定部46で上記目標後輪舵角算出部26に設定されることは言うまでもない。
【0099】
さらに、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36は、例えば、3つの走行モードポジションを持つデジタルスイッチ、ポテンショメータなどのアナログ出力を三分割した信号とするアナログスイッチ等で形成されるが、ポテンショメータなどのアナログ出力を基準値をクリックさせ、スポーツモードからラグジュアリモードまでの範囲をリニア、または非線形に結んだ連続可変の信号で得られるようにしたスイッチで形成しても良い。
【0100】
次に、上記構成による作用について説明する。
車両1を運転するにあたり、運転者は目標ヨーレート特性選択スイッチ36を操作して、スポーツ、ノーマル、ラグジュアリの3つの走行モードから好みのモードを選択し、この選択結果が制御装置45に入力される。
【0101】
また、この車両1は運転者のハンドル操作によりパワーステアリング装置等の前輪操舵部2を経て左前輪3fl,右前輪3frとが操舵されて走行する。この車両1の運転状態は、各車輪3fl,3fr,3rl,3rrの車輪速度ω1 ,ω2 ,ω3 ,ω4 が車輪速度センサ(左前輪速度センサ7fl,右前輪速度センサ7fr,左後輪速度センサ7rl,右後輪速度センサ7rr)で、ハンドル角θはハンドル角センサ8で、後輪操舵部4による後輪舵角δr は後輪舵角センサ9で、車両の実際のヨーレートγはヨーレートセンサ11でそれぞれ検出され、上記制御装置45に入力される。
【0102】
さらに、車両前方の風景が左右のCCDカメラ10l,10rによりステレオ撮像され、上記制御装置45に入力される。
【0103】
上記左右のCCDカメラ10l,10rからの画像信号は、上記制御装置45の画像処理部21に入力され、撮像した風景は、小領域に分割され、その各々について、物体がステレオ画像処理されて三次元的な位置が算出され、各物体の三次元座標の距離分布の画像データが得られる。そしてこの画像データは、上記制御装置45の道路・障害物検出部22に出力され、前方の道路形状が認識され、同時に道路上の障害物が検出される。
【0104】
詳しくは、個々の物体の三次元距離データにより、物体が重なっている場合にも容易に分離して、何であるかが認識され、これにより白線、ガードレール、縁石等が抽出される。そして例えば白線は、折れ線で近似され、左右の折れ線で囲まれた範囲が自車線と判断され、この自車線のデータの水平成分で道路のカーブが、垂直成分で道路の上りや下りが検出されて、手前から遠方に向かって道路形状が三次元的に検出される。
【0105】
また画像データは道路形状と比較され、道路上の障害となる立体物のみが選別されて、この選別された物体が自車線の障害物であるのかが判断されると共に、その障害物までの距離、大きさ、左右端の位置が検出され、この道路形状と障害物のデータが上記制御装置45の接触判定部23に出力される。
【0106】
上記接触判定部23では、障害物の左右端の位置とその時間変化から数秒後の位置が推定され、道路形状から得られる自車両の数秒後の位置が推定されて、両者を比較し、障害物が自車両の車体の左右のいずれかに接触するか否かの可能性が予測される。そして左右の接触可能性が予測されるとその信号が、上記制御装置45の目標ヨーレート特性選択設定部46と、破線で示す如く上記制御装置45の警報判定部24とに出力される。
【0107】
一方、前記各車輪速度センサ7fl,7fr,7rl,7rrからの車輪速度ω1 ,ω2 ,ω3 ,ω4 の信号は、上記制御装置45の車速算出部25に入力され、予め設定しておいた数式で演算されて(例えば、上記各車輪速度センサ7fl,7fr,7rl,7rrからの速度信号の平均値を算出して)車速Vが求められ、上記制御装置45の目標後輪舵角算出部26に出力される。この目標後輪舵角算出部26には、さらに、上記ハンドル角θと上記ヨーレートγとが入力される。
【0108】
ここで、運転者により、例えば障害物が多い道路走行のために、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36から、上記走行モードがスポーツモードに設定されていると、この選択結果が上記制御装置45の目標ヨーレート特性選択設定部46に入力され、この目標ヨーレート特性選択設定部46は、上記制御装置45の目標ヨーレート特性メモリ部47から、ヨーレート時定数Trに対する係数ktとして1>kt>0を選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定する。
【0109】
加えて、上記接触判定部23からの信号が参照され、上記接触判定部23での左右の接触可能性の予測の結果、左右どちらにも接触可能性が無いと判定されると、まず、上記目標ヨーレート特性選択設定部46はこの信号を受け、上記目標ヨーレート特性メモリ部47から接触可能性無しの場合のヨーレート定常ゲインGrに対する係数kg(kg=1)を選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定する。
【0110】
そして、上記目標後輪舵角算出部26は、前記(2)式により、目標ヨーレートγ' を算出し、前記(1)式により、目標後輪舵角δr'を算出する。ここで、上記係数kgと上記係数ktが上述の組み合わせ(上記係数kgは1であるが上記係数ktが小さく設定される組み合わせ)であるので、上記目標ヨーレートγ' は基準値より大きく設定され、基準とする車両モデルより操舵に対して敏感な動きをし、操舵に対する車両応答が速く、旋回性能に優れたスポーティなモデルが実現され、この車両モデルで上記目標後輪舵角δr'が算出されることになる。
【0111】
この目標後輪舵角δr'は、上記制御装置45の後輪操舵量設定出力部29に出力され、この後輪操舵量設定出力部29は、上記目標後輪舵角算出部26からの目標後輪舵角δr'と上記後輪舵角センサ9からの後輪舵角δr とから必要な後輪操舵量を設定し、この後輪操舵量に対応する信号を前記後輪操舵部4のモータ駆動部5に出力し、前記後輪操舵モータ6を駆動させ、ウォーム・ウォームホィール、リンク機構を介して、上記左後輪3rl,右後輪3rrを転舵する。
【0112】
また、左右どちらにも接触可能性が無いとの信号が上記警報判定部24に入力されると、この警報判定部24は左右の警報器12l,12rのどちらにも警報信号を出力しない。
【0113】
かわって、上記接触判定部23での左右の接触可能性の予測の結果、左右の少なくともどちらにかに接触可能性が有ると判定されると、まず、上記目標ヨーレート特性選択設定部46はこの信号を受け、上記目標ヨーレート特性メモリ部47から接触可能性有りの場合のヨーレート定常ゲインGrに対する係数kgとしてkg>1を選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定する。
【0114】
そして、上記目標後輪舵角算出部26は、前記(2)式により、目標ヨーレートγ' を算出し、前記(1)式により、目標後輪舵角δr'を算出する。ここで、上記係数kgが1より大きくなって、上記目標ヨーレートγ' は、さらに大きく設定されるため、スポーツモードであってもより操舵に対して敏感な動きをし、操舵に対する車両応答が速いモデルが実現され、この車両モデルで上記目標後輪舵角δr'が算出されることになる。
【0115】
この目標後輪舵角δr'は、上記後輪操舵量設定出力部29に出力され、この後輪操舵量設定出力部29は、上記目標後輪舵角算出部26からの目標後輪舵角δr'と上記後輪舵角センサ9からの後輪舵角δr とから必要な後輪操舵量を設定し、この後輪操舵量に対応する信号を前記後輪操舵部4のモータ駆動部5に出力し、前記後輪操舵モータ6を駆動させ、ウォーム・ウォームホィール、リンク機構を介して、上記左後輪3rl,右後輪3rrを転舵する。このため、運転者の障害物に対する回避行動に、車両1が素早く対応して、障害物の回避が容易になるのである。
【0116】
また、この左右の少なくともどちらかに接触する可能性が有るとの信号が上記接触判定部23から上記警報判定部24に入力されると、上記警報判定部24は、左側接触可能性有りの場合は左警報器12lに警報信号を出力して警報を発し、右側接触の可能性有りの場合は、右警報器12rに警報信号を出力して警報を発する。
【0117】
このように、運転者が例えば居眠り等で覚醒度が低下したり、他に気をとられて運転することで自車両の左右の一方に前方の障害物が接触する可能性を生じると、運転者を中心として接触可能性有りの側の警報器が警報を発っして、運転者はその警報で直ちに接触の可能性と、接触可能性有りの側とを同時に認知することができ、このため迷うことなく減速したり、接触可能性有りの側と反対にハンドル操作して接触回避する。そして接触回避のハンドル操作も、車両1が操舵に対して敏感な動きをし、操舵に対する車両応答が速いモデルで行われるため、障害物の回避を容易に行うことができる。
【0118】
また、運転者により、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36から、上記走行モードがノーマルモードに設定されていると、この選択結果が上記目標ヨーレート特性選択設定部46に入力され、この目標ヨーレート特性選択設定部46は、上記目標ヨーレート特性メモリ部47から、上記ヨーレート時定数Trに対する係数ktとしてkt=1を選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定する。
【0119】
加えて、上記接触判定部23からの信号が参照され、上記接触判定部23での左右の接触可能性の予測の結果、左右どちらにも接触可能性が無いと判定されると、まず、上記目標ヨーレート特性選択設定部46はこの信号を受け、上記目標ヨーレート特性メモリ部47から接触可能性無しの場合のヨーレート定常ゲインGrに対する係数kg(kg=1)を選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定する。
【0120】
そして、上記目標後輪舵角算出部26は、前記(2)式により、目標ヨーレートγ' を算出し、前記(1)式により、目標後輪舵角δr'を算出する。ここで、上記係数kgと上記係数ktが上述の組み合わせであるので、上記目標ヨーレートγ' は基準値に設定され、理想的な車両モデルが実現され、この車両モデルで上記目標後輪舵角δr'が算出されることになる。
【0121】
この目標後輪舵角δr'は、上記制御装置45の後輪操舵量設定出力部29に出力され、この後輪操舵量設定出力部29は、上記目標後輪舵角算出部26からの目標後輪舵角δr'と上記後輪舵角センサ9からの後輪舵角δr とから必要な後輪操舵量を設定し、この後輪操舵量に対応する信号を前記後輪操舵部4のモータ駆動部5に出力し、前記後輪操舵モータ6を駆動させ、ウォーム・ウォームホィール、リンク機構を介して、上記左後輪3rl,右後輪3rrを転舵する。
【0122】
また、左右どちらにも接触可能性が無いとの信号が上記警報判定部24に入力され、この警報判定部24は左右の警報器12l,12rのどちらにも警報信号を出力しない。
【0123】
かわって、上記接触判定部23での左右の接触可能性の予測の結果、左右の少なくともどちらにかに接触可能性が有ると判定されると、まず、上記目標ヨーレート特性選択設定部46はこの信号を受け、上記目標ヨーレート特性メモリ部47から接触可能性有りの場合のヨーレート定常ゲインGrに対する係数kgとしてkg>1を選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定する。
【0124】
そして、上記目標後輪舵角算出部26は、前記(2)式により、目標ヨーレートγ' を算出し、前記(1)式により、目標後輪舵角δr'を算出する。ここで、上記係数kgが1より大きく、上記目標ヨーレートγ' は、基準値より大きく設定されるため、ノーマルモードであってもより操舵に対して敏感な動きをし、操舵に対する車両応答が速いモデルが実現され、この車両モデルで上記目標後輪舵角δr'が算出されることになる。
【0125】
この目標後輪舵角δr'は、上記後輪操舵量設定出力部29に出力され、この後輪操舵量設定出力部29は、上記目標後輪舵角算出部26からの目標後輪舵角δr'と上記後輪舵角センサ9からの後輪舵角δr とから必要な後輪操舵量を設定し、この後輪操舵量に対応する信号を前記後輪操舵部4のモータ駆動部5に出力し、前記後輪操舵モータ6を駆動させ、ウォーム・ウォームホィール、リンク機構を介して、上記左後輪3rl,右後輪3rrを転舵する。このため、ノーマルモードでの運転者の障害物に対する回避行動に、車両1が素早く対応して、障害物の回避が容易になるのである。
【0126】
さらに同じく左右の少なくともどちらかに接触する可能性が有るとの信号が上記接触判定部23から上記警報判定部24に入力され、上記警報判定部24は、左側接触可能性有りの場合は左警報器12lに警報信号を出力して警報を発し、右側接触の可能性有りの場合は、右警報器12rに警報信号を出力して警報を発する。
【0127】
また、運転者により、例えば低μ路走行のために、上記目標ヨーレート特性選択スイッチ36から、上記走行モードがラグジュアリモードに設定されていると、この選択結果が上記目標ヨーレート特性選択設定部46に入力され、この目標ヨーレート特性選択設定部46は、上記目標ヨーレート特性メモリ部47から、ヨーレート時定数Trに対する係数ktとしてkt>1を選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定する。
【0128】
加えて、上記接触判定部23からの信号が参照され、上記接触判定部23での左右の接触可能性の予測の結果、左右どちらにも接触可能性が無いと判定されると、まず、上記目標ヨーレート特性選択設定部46はこの信号を受け、上記目標ヨーレート特性メモリ部47から接触可能性無しの場合のヨーレート定常ゲインGrに対する係数kg(kg=1)を選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定する。
【0129】
そして、上記目標後輪舵角算出部26は、前記(2)式により、目標ヨーレートγ' を算出し、前記(1)式により、目標後輪舵角δr'を算出する。ここで、上記係数kgと上記係数ktが上述の組み合わせ(上記係数kgは1であるが上記係数ktが大きく設定される組み合わせ)であるので、上記目標ヨーレートγ' は基準値より小さく設定され、基準とする車両モデルより操舵に対して安定した動きをし、操舵に対する車両安定性が高いモデルが実現され、この車両モデルで上記目標後輪舵角δr'が算出されることになる。
【0130】
この目標後輪舵角δr'は、上記後輪操舵量設定出力部29に出力され、この後輪操舵量設定出力部29は、上記目標後輪舵角算出部26からの目標後輪舵角δr'と上記後輪舵角センサ9からの後輪舵角δr とから必要な後輪操舵量を設定し、この後輪操舵量に対応する信号を前記後輪操舵部4のモータ駆動部5に出力し、前記後輪操舵モータ6を駆動させ、ウォーム・ウォームホィール、リンク機構を介して、上記左後輪3rl,右後輪3rrを転舵する。
【0131】
また、左右どちらにも接触可能性が無いとの信号が上記警報判定部24に入力され、この警報判定部24は左右の警報器12l,12rのどちらにも警報信号を出力しない。
【0132】
かわって、上記接触判定部23での左右の接触可能性の予測の結果、左右の少なくともどちらにかに接触可能性が有ると判定されると、まず、上記目標ヨーレート特性選択設定部46はこの信号を受け、上記目標ヨーレート特性メモリ部47から接触可能性有りの場合のヨーレート定常ゲインGrに対する係数kgとしてkg>1を選択し、上記目標後輪舵角算出部26に設定する。
【0133】
そして、上記目標後輪舵角算出部26は、前記(2)式により、目標ヨーレートγ' を算出し、前記(1)式により、目標後輪舵角δr'を算出する。ここで、上記係数kgが1より大きく、上記目標ヨーレートγ' は、基準値より大きく設定されるため、ラグジュアリモードであってもより操舵に対して敏感な動きをし、操舵に対する車両応答が速いモデルが実現され、この車両モデルで上記目標後輪舵角δr'が算出されることになる。
【0134】
この目標後輪舵角δr'は、上記後輪操舵量設定出力部29に出力され、この後輪操舵量設定出力部29は、上記目標後輪舵角算出部26からの目標後輪舵角δr'と上記後輪舵角センサ9からの後輪舵角δr とから必要な後輪操舵量を設定し、この後輪操舵量に対応する信号を前記後輪操舵部4のモータ駆動部5に出力し、前記後輪操舵モータ6を駆動させ、ウォーム・ウォームホィール、リンク機構を介して、上記左後輪3rl,右後輪3rrを転舵する。このため、運転者の障害物に対する回避行動に、車両1が素早く対応して、障害物の回避が容易になるのである。
【0135】
また、この左右の少なくともどちらかに接触する可能性が有るとの信号が上記接触判定部23から上記警報判定部24に入力され、上記警報判定部24は、左側接触可能性有りの場合は左警報器12lに警報信号を出力して警報を発し、右側接触の可能性有りの場合は、右警報器12rに警報信号を出力して警報を発する。
【0136】
このように、本発明の実施の形態3では、障害物認識手段と目標ヨーレート特性選択手段の両方を備えたため、運転者が車両モデルの特性を任意に選択して走行条件が変化しても運転者の要求に合った車両を実現するとともに、急な障害物が存在する場合でも(例えば走行車線に駐車中の車両のドアが開くような場合でも)、これを有効に回避することができ、より緻密な制御が行える。
【0137】
尚、上記各発明の実施の形態では、前記(2)式により目標ヨーレートを求め、前記(1)式で後輪舵角を算出する後輪操舵制御を例に説明したが、これに限ることなく、車両の運転状態から定まる車両の目標ヨーレートに基づいて目標とする後輪舵角を算出する後輪操舵制御であれば本発明を適用できることは言うまでもない。
【0138】
また、上記各発明の実施の形態では、後輪操舵は後輪操舵モータで行うようにしているが、他の、例えば油圧システム等で後輪操舵するものであってもよい。
【0139】
【発明の効果】
以上、説明したように請求項1記載の発明によれば、車両の運転状態から定まる車両の目標ヨーレートに基づいて目標とする後輪舵角を算出し、後輪舵角を基に後輪操舵量を設定するに際し、障害物に接触可能性有りと判断されるときは、目標ヨーレートを基準となる基準値より大きく設定するので、基準とする車両モデルより操舵に対して敏感な動きをし、操舵に対する車両応答が速いモデルが実現され、運転者の障害物に対する回避行動に、車両が素早く対応して、障害物の回避を容易とすることができる。
また、請求項2記載の発明によれば、車両の運転状態から定まる車両の目標ヨーレートに基づいて目標とする後輪舵角を算出し、後輪舵角を基に後輪操舵量を設定するに際し、目標ヨーレート特性選択手段からの信号に基づき目標ヨーレートの特性を設定すると共に、障害物に接触可能性有りと判断されるときは、目標ヨーレート特性選択手段からの信号に基づいて設定される目標ヨーレートよりも目標ヨーレートの値を大きく設定するので、より操舵に対して敏感な動きをし、操舵に対する車両応答が速いモデルが実現され、運転者の障害物に対する回避行動に、車両が素早く対応して、障害物の回避を容易とすることができる。
更に、請求項3記載の発明によれば、上記効果に加え、車両前方をステレオ光学系で撮像し、この撮像信号を距離分布の三次元画像データとして得て、この三次元画像データにより障害物を認識することで、車両前方を広範囲にカバーでき、信頼性を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による車両の後輪操舵制御装置の機能ブロック図
【図2】本発明の実施の形態1による車両の後輪操舵制御装置の概略構成を示す説明図
【図3】本発明の実施の形態1による目標ヨーレートの特性を可変した際の実走行フィーリングの説明図
【図4】本発明の実施の形態2による車両の後輪操舵制御装置の機能ブロック図
【図5】本発明の実施の形態2による車両の後輪操舵制御装置の概略構成を示す説明図
【図6】本発明の実施の形態2による各選択モードでの設定される目標ヨーレートの特性の説明図
【図7】本発明の実施の形態2による図6とは異なったスイッチで選択設定される目標ヨーレートの特性の説明図
【図8】本発明の実施の形態3による車両の後輪操舵制御装置の機能ブロック図
【図9】本発明の実施の形態3による車両の後輪操舵制御装置の概略構成を示す説明図
【符号の説明】
1 車両
3fl,3fr,3rl,3rr 車輪
4 後輪操舵部
5 モータ駆動部
6 後輪操舵モータ
7fl,7fr,7rl,7rr 車輪速度センサ
8 ハンドル角センサ
9 後輪舵角センサ
10l,10r CCDカメラ(障害物認識手段)
11 ヨーレートセンサ
12l,12r 警報器
15 制御装置
21 画像処理部(障害物認識手段)
22 道路・障害物検出部(障害物認識手段)
23 接触判定部(障害物認識手段)
24 警報判定部
25 車速算出部
26 目標後輪舵角算出部(目標後輪舵角算出手段)
27 目標ヨーレート特性選択設定部(目標ヨーレート特性設定手段)
28 目標ヨーレート特性メモリ部(目標ヨーレート特性設定手段)
29 後輪操舵量設定出力部(後輪操舵量設定出力手段)

Claims (3)

  1. 車両の運転状態から定まる車両の目標ヨーレートに基づいて目標とする後輪舵角を算出する目標後輪舵角算出手段と、上記目標後輪舵角を基に後輪操舵量を設定して後輪操舵部に出力する後輪操舵量設定出力手段とを備えた車両の後輪操舵制御装置において、
    車両に対する障害物を検出・認識して信号出力する障害物認識手段と、
    上記障害物に接触可能性有りと判断されるとき、上記目標ヨーレートを、基準となる基準値より大きく設定する目標ヨーレート特性設定手段とを備えたことを特徴とする車両の後輪操舵制御装置。
  2. 車両の運転状態から定まる車両の目標ヨーレートに基づいて目標とする後輪舵角を算出する目標後輪舵角算出手段と、上記目標後輪舵角を基に後輪操舵量を設定して後輪操舵部に出力する後輪操舵量設定出力手段とを備えた車両の後輪操舵制御装置において、
    車両に対する障害物を検出・認識して信号出力する障害物認識手段と、
    上記目標後輪舵角算出手段での上記目標ヨーレートの特性を選択自在にして選択結果を信号出力する目標ヨーレート特性選択手段と、
    上記目標ヨーレート特性選択手段からの信号に基づき、上記目標ヨーレートの特性を設定すると共に、上記障害物に接触可能性有りと判断されるとき、目標ヨーレート特性選択手段からの信号に基づいて設定される目標ヨーレートよりも目標ヨーレートの値を大きく設定する目標ヨーレート特性設定手段とを備えたことを特徴とする車両の後輪操舵制御装置。
  3. 上記障害物認識手段は、車両前方をステレオ光学系で撮像し、この撮像信号を距離分布の三次元画像データとして得て、この三次元画像データにより障害物を認識して出力するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両の後輪操舵制御装置。
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