JP3880073B2 - 生分解性ステープル・フアイバー - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、融点が 120℃以上のポリラクチドからなる生分解性ステープル・ファイバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、おむつや生理用ナプキン等の衛生材、使い捨ておしぼりやワイピングクロス等に用いられる生活資材用繊維としては、主として経済性からポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ビニロン等の合成繊維が使用されている。しかし、これらの繊維は自己分解性がなく、使用後、屋外に放置すると種々の公害を引き起こすという問題がある。したがって、これら生活資材は、止むを得ず焼却されているのが現状である。
【0003】
このような問題を解決する方法として、生分解性の素材を用いることが考えられる。
【0004】
従来、生分解性ポリマーとして、セルローズやキチン等の多糖類、カット・グット(腸線)や再生コラーゲン等の蛋白質やポリペプチド(ポリアミノ酸)、微生物が自然界で作るポリ−3−ヒドロキシブチレート又はその共重合体のような微生物ポリエステル(ポリ−β−ヒドロキシアルカノエート)、ポリグリコリドのようなポリ(α−オキシ酸)やポリラクチド、ポリカプロラクトンやポリプロピオラクトンのようなポリ−ω−ヒドロキシアルカノエート、ポリエチレンサクシネートやポリブチレンサクシネートのようなジカルボン酸成分とグリコール成分とからなる合成脂肪族ポリエステル等がよく知られている。
【0005】
この中で、天然セルロースである木綿(コットン)や再生セルローズであるレーヨンは比較的安価な生分解性素材であることが知られている。しかし、これらセルローズ系素材は、一般に湿潤下での機械的強度に劣る。また、これらセルローズ系素材は親水性であるために、疎水性であることが要求される用途、例えば現在ポリオレフィンの短繊維不織布が用いられているナプキンのカバーストック(表面シート)には用いることができない。また、熱可塑性でないために、熱融着繊維としての利用ができない。
【0006】
また、キチンやポリペプチドから繊維を製造する場合、湿式紡糸法で製造しなければならなかったり、素材のコストが極めて高いため製造原価が高価になったり、高強度の繊維を得ることができなかったりするという問題があった。
【0007】
そのなかで、ポリカプロラクトンは溶融紡糸の可能な比較的安価な完全生分解性の合成高分子であって、実際に一定の強度と捲縮特性を有する短繊維が製造される。しかし、ポリカプロラクトンは融点が約60℃と低いために、その加工工程又は使用過程において60℃以上の雰囲気にさらされる場合には、使用できないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は比較的安価で、120℃以上の耐熱性を有し、かつ実用に供することのできる優れた捲縮特性と強度を有し、微生物により完全に分解される生分解性ステープル・ファイバーを提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、融点が 120 ℃以上、メルトフローレート( g/10min )が 30 以下のポリラクチドからなり、スタフィングボックス法又は押込加熱ギア法により機械捲縮が付与されたステープル・ファイバーであって、引張強さが2.0g/d以上、捲縮数が8〜35コ/25mm、伸び率が100%以下、捲縮率が5.0%以上であることを特徴とする生分解性ステープル・ファイバーを要旨とするものである。なお、本発明のステープル・ファイバーには、上記特性を満足する範囲内で、少量の可塑剤や結晶核剤、低融点の生分解性ポリマー等を混合したものも含まれる。
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明において用いられる融点が 120℃以上の生分解性熱可塑性ポリマーは、JIS K 6760に準じて測定したメルトフローレート(g/10min)が30以下、好ましくは10以下のものが適当である。メルトフローレートが30を超えると本発明の目的とする強度及び捲縮特性のステープル・ファイバーを得ることが困難である。
【0011】
本発明における生分解性熱可塑性ポリマーは、融点が 120℃以上のポリラクチドである。
【0012】
本発明のステープル・ファイバーは、上記の生分解性熱可塑性ポリマーを溶融紡糸し、延伸した後、機械的に捲縮加工し、切断することにより製造することができる。
【0013】
溶融紡糸の温度は、用いる生分解性熱可塑性ポリマーの種類とメルトフローレートにより異なるが、180〜300 ℃とすることが望ましい。紡糸温度が 180℃未満では溶融押出しが困難であり、300℃を超えると分解が顕著となり、捲縮特性に優れた高強度のステープル・ファイバーを得ることが困難となる。
【0014】
溶融紡出された糸条は結晶化温度以下に急冷される。この場合、生分解性ポリマーの融点は一般に低く、したがって結晶化温度は約60〜105 ℃の範囲にあるため、ノズルから引取りローラまでのドラフト過程で一定の配向結晶化を促進させるように十分に冷却しないと、得られる糸条の機械的強度や捲縮特性が劣ったものとなる。冷却された糸条は、一旦巻き取った後又は巻き取らずにそのまま1段又は2段以上で、室温〜110 ℃で延伸される。延伸倍率は、紡糸速度と目的とするステープル・ファイバーの要求性能により異なり、 2.0g/d以上の引張強さと 100%以下の伸び率とを有する繊維が得られるように設定される。引張強さが 2.0g/d未満であると加工工程でトラブルが発生したり、最終製品の強度不足で実用上トラブルが発生したりして好ましくない。また、伸び率が 100%を超えると捲縮特性、特に捲縮率が劣ったものとなり、実用に供することが困難となる。
【0015】
次に、上記延伸糸をスタッフィングボックス法、押込加熱ギア法により8〜35コ/25mm、好ましくは10〜30コ/25mmの捲縮を付与し、20〜100mm の長さに切断する。この場合、捲縮数が8コ/25mm未満では梳綿工程で未開繊部が生じやすく、35コ/25mmを超えるとネップが発生しやすい。また、捲縮率が 5.0%以上となるようにすることが必要であり、捲縮率が 5.0%未満であると次工程でカードにかける際に抱合性が悪いためウエブに密度斑が生じやすい。押込加熱ギア法によって捲縮を付与する場合、クリンパーに入る前の糸条を40〜80℃に温水浴中その他で予熱した後、ニップ圧 1.0〜3.5 kg/cm2 、押込圧 1.0〜3.5 kg/cm2 のクリンパーに通し、さらに油剤付与及び乾燥を経て、最後にカッターでステープル・ファイバーに切断する。この場合、クリンパー内に入る糸条の充填密度を大きくすることにより、捲縮数及び捲縮率を高めることができる。
【0016】
このようにして得られる本発明のステープル・ファイバーは、 120℃以上の耐熱性を有し、前述のように優れた捲縮特性と強伸度特性と生分解性を有するものである。なお、通常ステープル・ファイバーの単糸繊度は、1〜20dとされる。
【0017】
本発明のステープル・ファイバーは、従来公知の紡績工程により紡績糸となし編織物に加工するか、あるいは乾式又は湿式工程を経て短繊維不織布として使用される。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、引張強さと伸び率はJIS L 1015に準じて測定した。また、試料を土壌中に2カ月埋めておいて取り出し、ステープル・ファイバーがその形状を失っている場合を生分解性が良好であると判断した。
【0019】
【0020】
実施例1
融点 178℃、メルトフローレート8のポリ−L−乳酸を、紡糸温度 190℃で直径 0.3mmの紡糸孔を24個有する紡糸口金から紡速600m/min で溶融紡糸し、8℃の空気を吹き付けて冷却した後、未延伸糸を巻き取った。この未延伸糸を90℃で 4.2倍に延伸し、引き続き80℃の温水浴中で予熱し、押込ギア式クリンパー(ニップ圧:3.0kg/cm2、押込圧:3.0kg/cm2)に導入して捲縮を与えた後、油剤付与、乾燥を行い、長さ約51mmにカットして繊度3デニールのステープル・ファイバーを得た。得られたステープル・ファイバーは、引張強さ2.8g/d、伸び率38.1%、捲縮数16.1コ/25mm、捲縮率13.2%で、生分解性は良好であった。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、耐熱温度が120℃以上で、実用に耐え得る優れた捲縮特性と強度特性を有し、かつ疎水性で熱融着性を有する生分解性のステープル・ファイバーが提供される。本発明のステープル・ファイバーを用いた編織物や不織布は、使い捨ておむつや生理用ナプキン等のカバーストック(表面シート)や使い捨ておしぼりやパッド等の衛生材、ワイピングクロスやハップ剤の基布等の生活資材として好適であり、使用後微生物が存在する環境(土中又は水中)に放置しておけば一定期間後には完全に生分解されるため、特別な廃棄物処理を必要とせず、公害防止に有用である。また、コンポスト化することにより、肥料として再利用することが可能である。
Claims (1)
- 融点が 120 ℃以上、メルトフローレート( g/10min )が 30 以下のポリラクチドからなり、スタフィングボックス法又は押込加熱ギア法により機械捲縮が付与されたステープル・ファイバーであって、引張強さが2.0g/d以上、捲縮数が8〜35コ/25mm、伸び率が100%以下、捲縮率が5.0%以上であることを特徴とする生分解性ステープル・ファイバー。
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