JP3879639B2 - 優れた溶接性を有する高靭性高降伏点鋼材及びその製造方法 - Google Patents

優れた溶接性を有する高靭性高降伏点鋼材及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接構造物の主要部材を対象とする高い降伏点を有する高靭性高張力鋼材及びその製造方法に関する。より具体的には、橋梁に代表される溶接構造物を対象とする降伏強度が480MPa以上であって優れた溶接性を有する高靭性鋼材及びそのような鋼材の効率的な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、橋梁に代表される溶接構造物の主要鋼材に高張力鋼が適用される事例が多くなってきている。これは高張力鋼材の使用による設計の合理化、例えば鋼材重量の低減、薄肉化、さらにはこれに伴う溶接における省力化が狙いである。このような高張力鋼材には、例えば、JIS G 3106および道路橋示法書に記載されているSM570鋼(8mm≦板厚≦100mm)があり、降伏強度が450MPa以上(降伏点一定鋼)、引張強度が570〜720MPa、マイナス5℃のシャルピー吸収エネルギーが47J以上、PCM(溶接割れ感受性指数)≦0.28%(板厚≦50mm),PCM≦0.30%(50mm<板厚≦100mm)と規定されている。また、この他にも耐候性を有するSMA570W鋼もあり、これについても強度、靭性についてSM570鋼と同様の規定がなされている。
【0003】
一方、米国では近年、従来の橋梁用鋼材より優れた性能を有するHigh Performance Steel(HPS)の開発がなされ、HPSの実橋への適用成果が報告されつつある。HPSは従来鋼よりも高強度、高靭性、高溶接性であり、かつ耐候性を有する鋼であり、溶接時の予熱省略、或いは予熱低減が可能とされている。例えばHPSは、強度に関してASTM A709 Gr.70W(板厚≦100mm)において降伏強度が485MPa以上、引張強度が620〜760MPaと規定され、低温靭性に関してASTM A709 Zone3でマイナス23℃の吸収エネルギーが48J以上と規定されている。このようなHPSを使用することにより、大幅な鋼材重量の低減や建設コストの削減が可能となったことが報告されている。
【0004】
このように、従来のSM570鋼或いはSMA570W鋼よりもさらに低コストで製造され、かつ改善された降伏強度、靭性、溶接施工性を有する鋼材が求められ、研究が進められている。
【0005】
これまで、SM570鋼或いはSMA570W鋼は焼入れ/焼戻しにより製造されてきた。このような技術は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3などに開示されている。
【0006】
上記の熱処理における焼戻しはオフラインで行われてきたが、製造コスト削減や納期短縮の観点からオンラインでの熱処理を用いることが望ましい。このような技術として、例えば、特許文献4には、圧延後さらに[Ar3点−30℃]〜[Ar3点−150℃]の温度域でレベラー掛けまたは軽圧下処理を施すことでNb,Vの析出を促進しつつ、その後、加速冷却することにより高降伏点鋼を得る手法が開示されている。また、特許文献5には、圧延後[Ar3点−70℃]〜[Ar3点−150℃]の温度範囲で2分間以上保持し、この間にNb,Vを析出させ、その後に加速冷却することにより高降伏点鋼板を得るプロセスが開示されている。また、特許文献6にはCu,Ni,Ti,REMを含有する鋼を圧延後、引き続き350〜500℃の温度域まで加速冷却することにより降伏強度46kgf/mm2以上を有する鋼材を得る技術が開示されている。
【0007】
特許文献7には加速冷却装置と同一の製造ライン上に設置された加熱装置を用い、圧延、冷却、焼戻しを連続的に行う方法が開示されている。この技術によれば、冷却により鋼組織をベイナイトまたはマルテンサイト組織とした後に、急速加熱焼戻しを行うことにより過飽和に固溶した炭素を微細なセメンタイトとして析出させることができる。このため、従来の焼入れ/焼戻しプロセスよりも効率的に鋼材を製造することが可能であり、かつ得られる鋼材を強度・靭性に優れたものとすることが可能となる。
【0008】
【特許文献1】
特開昭61−139627号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2000−45044号公報、
【0010】
【特許文献3】
特開2002−47532号公報
【0011】
【特許文献4】
特開昭62−89814号公報
【0012】
【特許文献5】
特開平4−221015号公報
【0013】
【特許文献6】
特開昭63−161119号公報
【0014】
【特許文献7】
特許3015923号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した技術には以下のような問題点がある。
【0016】
例えば、オンラインでの製造法に関して、特許文献4〜6に開示されている技術はいずれも加速冷却ままで高降伏強度を有する鋼を得る手法であるが、このようにして得られた鋼は、焼入れ/焼戻しプロセスを用いて製造した鋼に比べて降伏強度が低い。これは、焼戻し時の析出強化による高降伏強度化を活用できないからである。例えば、特許文献6の実施例で示されている鋼の降伏比は平均で約81%である。また、特許文献4,5に開示されている技術は、Nb,Vの析出強化を活用することにより高降伏強度化することを狙いとして、Ar3点以下の温度域でレベラー掛け/軽圧下ならびに保持を行うものであるが、これらの公報の実施例で示されている鋼の降伏比は平均でそれぞれ83%、84%程度である。
【0017】
特許文献7に開示されている技術に基づけば、従来の焼入れ/焼戻しプロセスと同様に高降伏強度(降伏比≧約85%)の鋼を高効率に製造することができる可能性がある。ただし、この技術で得られる鋼の基本的な組織は焼き戻されたベイナイトまたはマルテンサイト組織である。したがって、その実施例が示すように大半の鋼は冷却停止温度が室温と低く、焼戻し時の温度差(焼戻し終了温度−焼戻し開始温度)が大きいために、消費電力などのコスト増に繋がる。
【0018】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、480MPa以上の高降伏強度を有し、かつ靭性および溶接性に優れた鋼材を高効率かつ低コストで提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するべく実験と検討を重ねた結果、従来は低降伏比化に有効な組織であるとされていたフェライト+ベイナイト組織が、フェライトの細粒化および高強度化を図ることにより、むしろ高降伏強度化(高降伏比化)に最適な組織となることを新たに見出した。さらにフェライトの高強度化の手段としてNb炭窒化物およびV炭窒化物の微細析出が有効であること、このため低成分化により溶接施工性が良好であることを見出した。そして、そのような鋼材は、ライン上に配置された加速冷却、加熱設備を駆使して一連の工程で造りこむことにより高効率で得られることを見出した。本発明はこのような知見に基づきなされたものである。
【0020】
本発明の優れた溶接性を有する高靭性高降伏点鋼材は、質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.0l〜0.50%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.02%以下、Nb:0.005〜0.10%、V:0.005〜0.10%を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、かつPCM=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Mo/15+Ni/60+V/10+5Bで定義される溶接割れ感受性指数が0.25%以下であり、金属組織が体積分率で20%以上80%以下のフェライトを含むフェライト/ベイナイト混合組織であり、前記フェライトは、平均値で、粒径が20μm以下、ビッカース硬度が160以上、ベイナイトとのビッカース硬度比が0.6以上であり、かつ480MPa以上の降伏点を有することを特徴とする。
【0021】
前記鋼材は、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:2.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちのいずれか一種または二種以上をさらに含有することが好ましい。
【0022】
本発明の優れた溶接性を有する高靭性高降伏点鋼材の製造方法は、質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.02%以下、Nb:0.005〜0.10%、V:0.005〜0.10%を含有し、かつPCM=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Mo/15+Ni/60+V/10+5Bで定義される溶接割れ感受性指数が0.25%以下であり、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼を1000℃以上1300℃以下の温度範囲まで加熱し、Ar3点以上の温度域での累積圧下率が50%以上である圧延を行い、圧延後、Ar 3 点−200℃以上Ar 3 点以下の温度範囲において、冷却速度を4℃/秒未満とし、かつ前記冷却速度を5秒以上保持し、その後、冷却速度5℃/秒以上で300℃以上600℃以下の温度範囲まで加速冷却を行い、その後直ちに昇温速度0.5℃/秒以上で500℃以上Ac1点未満の温度範囲まで再加熱することを特徴とする。
【0023】
前記鋼は、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:2.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちのいずれか一種または二種以上をさらに含有することが好ましい。
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0025】
まず、本発明で用いる鋼材の化学成分の限定理由について説明する。以下の説明において「%」で示す単位は全て質量%である。
【0026】
(1)C:0.02〜0.15%
Cは強度確保のために0.02%以上添加する必要がある。一方、0.15%を超えて添加すると溶接性を阻害する。したがって、C含有量は0.02%以上0.15%以下に限定する。
【0027】
(2)Si:0.01〜0.50%
Siは脱酸剤として有効であるとともに高強度化にも寄与する。このような効果を得るためには0.01%以上の添加が必要である。一方、0.50%を超えて添加すると溶接性、靭性を劣化させる。したがってSi含有量は0.01%以上0.50%以下に限定する。
【0028】
(3)Mn:0.5〜2.0%
Mnは安価に焼入れ性の増加を通じて強度を高めるだけでなく、靭性向上にも寄与する。このような観点からMnは0.5%以上必要である。一方、Mnが2.0%を超えると溶接性の劣化に繋がる。したがってMn含有量は0.5%以上2.0%以下に限定する。
【0029】
(4)P:0.05%以下
Pは鋼の靭性を劣化させるため、その含有量はできるだけ低いことが望ましい。このためP含有量はその上限を0.05%、好ましくは0.03%とする。
【0030】
(5)S:0.02%以下
Sは多量に添加すると鋼の靭性を低下させるため極力低減することが望ましい。このためS含有量はその上限を0.02%、好ましくは0.01%とする。
【0031】
(6)Nb:0.005〜0.10%
Nbは本発明において非常に重要な働きをなす元素であり、再加熱時の析出強化を通じて高降伏強度化をもたらす。この効果を発揮させるためにはNbを0.005%以上添加する必要がある。一方、0.10%を超えて添加すると靭性が劣化する。したがってNb含有量は0.005%以上0.10%以下に限定する。
【0032】
(7)V:0.005〜0.10%
VもNbと同様、本発明において重要な働きをなす元素であり、再加熱時の析出強化を通じて高降伏強度化をもたらす。この効果を発揮させるためにはVを0.005%以上添加する必要がある。一方、0.10%を超えて添加すると溶接性および靭性の低下を招く。したがってV含有量は0.005%以上0.10%以下に限定する。
【0033】
(8)PCM:0.25%以下
溶接割れ感受性指数は、PCM=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Mo/15+Ni/60+V/10+5B(但し、元素記号は鋼材中の各元素の含有量(質量%)を表す)で定義される関係式を用いて鋼材の各成分の含有値を代入して導くことが出来る。
【0034】
溶接割れ感受性指数PCMを0.25%以下として、低合金化により溶接性を向上し、低温割れの抑制を図る。厚肉物ではさらにPCM≦0.22%とすることが好ましい。
【0035】
以上を本発明の基本成分とするが、強度、靭性や溶接性等の調整、耐候性の付与などを目的として、以下に示すCu,Ni,Cr,Mo,Ti,Bの元素のうち1種または2種以上を添加しても良い。
【0036】
(9)Cu:1.0%以下
Cuは固溶による強度上昇および耐候性確保のため必要に応じて添加する。しかし、その含有量が1.0%を超えると鋼材の溶接性を損なうとともに鋼材製造時に疵が生じやすくなる。したがって添加する場合は、Cu含有量の上限を1.0%とする。
【0037】
(10)Ni:2.0%以下
Niは低温靭性を向上させるとともに耐候性やCuを添加した場合に生ずる熱間脆性の改善に有効であるため必要に応じて添加する。しかし、その添加量が2.0%を超えると溶接性を阻害する上、コスト上昇に繋がる。したがって添加する場合は、Ni含有量の上限を2.0%とすることが好ましく、さらに1.0%とすることがより好ましい。
【0038】
(11)Cr:1.0%以下
Crは耐候性や強度の観点から必要に応じて添加されるが、その含有量が1.0%を超えると溶接性および靭性を損なう。したがって添加する場合は、Cr含有量の上限を1.0%とする。
【0039】
(12)Mo:1.0%以下
Moは強度上昇のために必要に応じて添加されるが、その含有量が1.0%を超えると溶接性および靭性の劣化が生じる。したがって添加する場合は、Mo含有量の上限を1.0%とすることが好ましく、さらに0.5%とすることがより好ましい。
【0040】
(13)Ti:0.1%以下
Tiは強度上昇と溶接部靭性の改善のために必要に応じて添加される。しかし、その含有量が0.1%を超えるとコスト上昇を招く傾向にある。したがって添加する場合は、Ti含有量の上限を0.1%とすることが好ましく、さらに0.05%とすることがより好ましい。
【0041】
(14)B:0.005%以下
Bは焼入れ性を高め強度上昇に寄与するため、必要に応じて添加する。しかし、その含有量が0.005%を超えると溶接性を害する。したがって添加する場合は、B含有量の上限を0.005%とすることが好ましく、さらに0.003%とすることがより好ましい。
【0042】
本発明の鋼材は上記範囲内の各成分を含有するものであって、さらに、金属組織が実質的に体積分率で20%以上80%以下のフェライトを含むフェライト/ベイナイト混合組織であり、このフェライトは平均値で、粒径が20μm以下、ビッカース硬度が160以上、ベイナイト硬度(BHv)に対するビッカース硬度比(αHv/BHv)が0.6以上である。
【0043】
以下、金属組織の限定理由について説明する。
【0044】
従来から知られているように、低成分鋼の引張強度を570MPa以上とし、高強度鋼とするためにはその金属組織をベイナイト主体とする必要がある。しかし、ベイナイト主体の金属組織とすると、応力−歪曲線がラウンドハウス型となり、低降伏比になりやすい。この金属組織のままで降伏強度を高めようとすると、引張強度の過度の上昇に繋がり、例えばSM570鋼の引張強度の基準値を超える可能性がある。
【0045】
一方、低成分鋼であってもベイナイト中にフェライトが混入すると応力−歪曲線は降伏点型に近づく。そしてフェライトの体積分率を20%以上にすると、応力−歪曲線は降伏点型となる。但し、一般的にフェライトはベイナイトよりも極度に軟質であるため、フェライト相とベイナイト相との強度差が大きいとフェライト+ベイナイト混合組織としても応力−歪曲線はラウンドハウス型になりやすく、降伏強度および降伏比が著しく低くなる。そこで、フェライトを細粒化して降伏強度を改善する必要がある。目標の降伏強度とするためにはフェライト粒径を20μm以下とする。これにより降伏強度を改善することが可能となり、さらに良好な靭性をも得ることができる。
【0046】
さらに高降伏強度化(高降伏比化)するためにはフェライトを高強度化し、ベイナイトの強度に近づける必要がある。ここで、ビッカース硬度比は、フェライトのビッカース硬度(αHv)をベイナイトのビッカース硬度(BHv)で除した値(αHv/BHv)と定義する。目標とする降伏強度を得るためには、フェライトの硬度αHvを160以上とし、かつ、ビッカース硬度比(αHv/BHv)を0.6以上とする。このようなフェライトとすることで降伏比も高くなり、例えば、85%以上の降伏比が得られるようになる。
【0047】
このようにフェライトの硬度およびベイナイトとのビッカース硬度比を上記範囲とすることで、ある程度低い引張強度でも高い降伏強度が得られる。しかしながら、上記のようにフェライトの高強度化を図っても、フェライト量が体積分率で80%を超えると目標の強度が得られなくなる。以上のことから、金属組織はフェライト/ベイナイト混合組織とし、この混合組織中のフェライト量は体積分率で20%以上80%以下とし、フェライト粒径は20μm以下、フェライト硬度は160以上、フェライトとベイナイトとのビッカース硬度比(αHv/BHv)は0.6以上とする。
【0048】
なお、フェライトとベイナイトとの二相組織に、マルテンサイトやパーライトなどの他の金属組織が1種または2種以上混在する場合は、強度低下、靭性劣化が生じる。このため、フェライト相とベイナイト相以外の組織の体積分率は少ない程良いが、トータルの体積分率が10%以下であればその影響が無視できる。このため、この体積分率範囲内であれば、例えばマルテンサイト、パーライト等の他の金属組織を1種または2種以上含有してもよい。
【0049】
次に上記の鋼材を得るための製造方法について以下に説明する。
【0050】
本発明の製造方法は、上記範囲内の成分組成を有する鋼を(a)1000℃以上1300℃以下の温度範囲まで加熱する工程と、(b)Ar3点以上の温度域での累積圧下率が50%以上である圧延を行う工程と、(c)圧延後、Ar 3 点以下、(Ar 3 点−200℃)以上の温度範囲において、冷却速度を4℃/秒未満とし、かつ前記冷却速度を5秒以上保持し、その後、冷却速度5℃/秒以上で300℃以上600℃以下の温度範囲まで加速冷却を行う工程と、(d)その後直ちに昇温速度0.5℃/秒以上で500℃以上Ac1点未満の温度範囲まで再加熱する工程とを具備する。
【0051】
以下、本発明の製造方法の限定理由について述べる。なお、下記温度は板厚方向を通じての平均温度とする。
【0052】
(a)加熱温度:1000℃以上1300℃以下の温度範囲
加熱温度が1000℃未満であるとNbおよびVの固溶が不十分となる。一方、加熱温度が1300℃を超えると鋼の結晶粒が粗大化するので靭性の確保が困難となる。したがって、加熱温度は1000℃以上1300℃以下に限定する。
【0053】
(b)圧延:Ar3点以上の温度域で累積圧下率50%以上
圧延によりオーステナイト粒を微細化させて靭性向上を図るとともに、下記の加速冷却におけるベイナイト変態の促進およびフェライト粒の微細化を図る。このために、Ar3点以上の累積圧下率が50%以上の圧延を行う。Ar3点以上の温度であればオーステナイト再結晶域あるいはオーステナイト未再結晶域のいずれで圧延を行っても構わない。但し、オーステナイト未再結晶域での過度の圧下は機械的特性に対して異方性が生じることから、オーステナイト未再結晶域での累積圧下率は50%以下とすることが望ましい。
【0054】
なお、Ar3点は例えば、Ar3(℃)=910−310C−80Mn−20Cu−15Cr−55Ni−80Mo(但し、元素記号は鋼材中の各元素の含有量(質量%)を表す)で定義される関係式を用いて鋼材の各成分の含有値を代入して導くことが出来る。
【0055】
(c)冷却・加速冷却:圧延後、Ar 3 点−200℃以上Ar 3 点以下の温度範囲において、冷却速度を4℃/秒未満とし、かつ前記冷却速度を5秒以上保持し、その後、冷却速度5℃/秒以上で300℃以上600℃以下の温度範囲まで加速冷却
冷却中にフェライトを生成させるために、Ar 3 点−200℃以上Ar 3 点以下の温度範囲において、冷却速度を4℃/秒未満とし、かつ、この温度範囲内で冷却速度4℃/秒未満を5秒以上保持する。温度がAr3点を超える場合またはAr3点−200℃を下回る場合には、冷却速度を4℃/秒未満としてもフェライトが生成しない。またその温度範囲内であっても、冷却速度が4℃/秒を超える場合および/またはこの冷却速度での冷却が5秒以上行われない場合、高降伏強度化のために十分なフェライト量が得られない。したがって、Ar 3 点−200℃以上Ar 3 点以下の温度範囲において、冷却速度を4℃/秒未満とし、この冷却速度を5秒以上保持する。なお、冷却速度は4℃/秒未満であれば一定としても良いし、一定としなくても良い。
【0056】
また、圧延仕上げ温度からAr3点までの冷却速度は特に規定しない。しかし、製造効率の点からこの温度範囲での冷却速度は5℃/秒以上とすることが望ましい。
【0057】
次に、上記冷却工程でフェライト変態が完了しないうちに、残りの未変態オーステナイトをベイナイト変態させる。このために、Ar3点−200℃以上の温度から冷却速度5℃/秒以上で300℃以上600℃以下の温度範囲まで加速冷却する。冷却速度が5℃/秒未満である場合および/または冷却停止温度が600℃を超える場合、ベイナイト変態せずにフェライトやパーライトが生成する。一方、冷却停止温度が300℃を下回る場合は、靭性に有害な島状マルテンサイトが生成する。したがって、加速冷却は冷却速度5℃/秒以上で300℃以上600℃以下の温度範囲まで行うこととする。
【0058】
上記の冷却・加速冷却工程は加速冷却設備により達成可能である。図1に、フェライト/ベイナイト組織を得るための冷却・加速冷却の手法およびその後の再加熱の手法の一例を示すが、本発明はこれらに限られるものではない。図示するように、例えば板厚25mmの鋼材を800℃から450℃まで冷却する場合以下のような手順で冷却・加速冷却することができる。
【0059】
▲1▼まず水冷により冷却速度40℃/秒で加速冷却し、続いて冷却速度3℃/秒で徐冷し、引き続き水冷により冷却速度40℃/秒で加速冷却する(水冷→徐冷→水冷)
▲2▼まず水冷により冷却速度40℃/秒で加速冷却し、続いて冷却速度0.5℃/秒で放冷し、引き続き水冷により冷却速度40℃/秒で加速冷却する(水冷→放冷→水冷)
▲3▼まず冷却速度3℃/秒で徐冷し、引き続き水冷により冷却速度40℃/秒で加速冷却する(徐冷→水冷)
▲4▼まず冷却速度0.5℃/秒で放冷し、引き続き水冷により冷却速度40℃/秒で加速冷却する(放冷→水冷)
以上のように冷却・加速冷却工程を行うことにより鋼材の金属組織をフェライト/ベイナイト組織とすることができる。
【0060】
(d)再加熱:直ちに昇温速度0.5℃/秒以上で500℃以上Ac1点未満の温度範囲まで再加熱
本発明の根幹をなす工程である。加速冷却後、直ちに再加熱を行うことで、フェライト中にNb,Vの炭窒化物が微細析出し、析出強化が図られる。これと同時に、本工程によりベイナイトの焼戻しがなされ、靭性の向上が図られる。しかも、高強度化されたフェライトの強度が焼戻し軟化したベイナイトの強度に近づき、高降伏強度化(高降伏点化)に繋がる。
【0061】
昇温速度が0.5℃/秒未満では、再加熱に時間がかかり製造効率の悪化を導くとともに、ベイナイトの過度の軟化やフェライト中の析出物の過剰成長が生じ強度低下や靭性劣化に繋がる。また、再加熱温度が500℃未満ではNb,Vの炭窒化物の析出が十分でない。一方、Ac1点以上では金属組織の一部がオーステナイト化し、島状マルテンサイトが生成するなど組織が不均一となり降伏強度低下や靭性劣化が生じる。したがって、再加熱は、昇温速度0.5℃/秒以上で500℃以上Ac1点未満の温度範囲まで行うこととする。
【0062】
上記Ac1点は、例えば、Ac1(℃)=723−14Mn+22Si−4.4Ni+23.3Cr(但し、元素記号は鋼材中の各元素の含有量(質量%)を表す)で定義される関係式を用いて鋼材の各成分の含有値を代入して導くことが出来る。
【0063】
以下、再加熱工程を図1を参照して説明する。図1中の破線は、加速冷却を450℃で終了した後、1分ほど放冷し、昇温速度25℃/秒で650℃まで再加熱し、その後再び放冷する工程を示している。このように上記再加熱工程は、例えば加速冷却後、通常のオフライン焼戻し(temper)のように室温まで放冷することなく、図1の破線で示すように、直ちに再加熱することを特徴としている。
【0064】
なお、再加熱に関しては、所望の強度・靭性が得られる範囲内で、目標温度での等温保持を行っても良いし、行わなくても良い。さらに、再加熱後は炉冷/放冷/急冷のいずれを選択して冷却しても構わない。
【0065】
本発明の製造方法においては、加速冷却後に直ちに再加熱を行うため、加速冷却装置と加熱装置は同一ライン上にレイアウトされていること、すなわちオンラインであることが好ましい。加熱方式は昇温速度が達成されれば誘導加熱雰囲気加熱などどのようなものでも構わない。
【0066】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
【0067】
供試鋼として表1に示す組成を有する鋼を用意した。これらの供試鋼を溶製し、得られた鋼片に所定の圧延、冷却、及びオンラインでの熱処理を施し、板厚12〜100mmの鋼板とした。このときの鋼板の製造条件として、加熱温度、Ar3点以上での累積圧下率、圧延仕上げ温度、冷却プロセス、放冷または徐冷を行った温度域、放冷または徐冷時の冷却速度、放冷または徐冷を行った時間、加速冷却の停止温度、加速冷却時の冷却速度、再加熱時の昇温速度、再加熱により達した温度を表2に示す。なお、表2中の冷却プロセスにおける▲1▼〜▲4▼は、図1中のプロセスに対応する。
【0068】
得られた鋼板の金属組織について以下のような調査を行った。
【0069】
鋼板の板厚の1/4の位置(板厚25mm未満は板厚の1/2の位置)を光学顕微鏡によって観察することにより金属組織を特定するとともに、画像解析装置を用いてフェライト/ベイナイト混合組織中のフェライトの体積分率を求めた。また、JIS G 0552に規定されている切断法に従いフェライト粒径の測定を行った。
【0070】
さらに、鋼板の板厚の1/4の位置(板厚25mm未満は板厚の1/2の位置)において、試験力0.09807Nのマイクロビッカース硬度計を用い、フェライト、ベイナイト各々で各10点のビッカース硬度を測定し、その平均値を求めた。このようにして得られたフェライトのビッカース硬度の平均値をベイナイトのビッカース硬度の平均値で除してビッカース硬度比を求めた。
【0071】
ベイナイトが得られず、フェライト/マルテンサイト混合組織またはフェライト/パーライト混合組織となった鋼板に関しては、ベイナイトの代わりにマルテンサイトまたはパーライトに対するフェライト分率およびビッカース硬度比を求めた。
【0072】
これらの結果を表3に示す。
【0073】
さらに、これらの鋼板について以下のように強度、靭性、溶接性、耐候性についての評価を行った。
【0074】
強度は、JIS Z 2241に規定されている引張強度試験方法に準拠して、板厚の1/4の位置(板厚25mm未満は板厚の1/2の位置)で圧延方向に対して直角方向に採取した丸棒試験片(14mmφ×GL50mmおよび10mmφ×GL35mm)を用いて評価した。ここでは、上降伏点(YS)もしくは0.2%耐力が480MPa以上となるものを合格とした。また、得られた引張強度(TS)が570MPa以上、降伏比(YR)が85%以上となるものをそれぞれ合格とした。
【0075】
靭性は、JIS Z 2202に規定されているVノッチ試験片を板厚の1/4の位置(板厚25mm未満は板厚の1/2の位置)で圧延方向と平行方向に採取してシャルピー衝撃試験により評価した。ここでは、延性/脆性破面遷移温度(vTs)がマイナス30℃以下となるものを合格とした。
【0076】
溶接性は、JIS Z 3158の規定に準拠して、温度20℃、湿度60%の雰囲気下で予熱温度25℃としたy形溶接割れ試験を行い評価した。ここでは、割れの生じなかったものを合格とした。
【0077】
耐候性は、表1に示すD,F,Jの鋼種を用いて製造した鋼板に関して、板厚の1/4の位置より採取した幅100mm、長さ150mm、厚さ5mmの板状試験片を用い、国内臨界工業地域にて3年間の大気暴露試験を行い評価した。ここでは、片面腐食減量が0.3mm以下となるものを合格とした。
【0078】
以上の評価結果を表4、表5に示す。
【0079】
【表1】
Figure 0003879639
【0080】
【表2−1】
Figure 0003879639
【0081】
【表2−2】
Figure 0003879639
【0082】
【表3】
Figure 0003879639
【0083】
【表4】
Figure 0003879639
【0084】
【表5】
Figure 0003879639
【0085】
本発明に規定の成分および製造方法を採用し、また本発明に規定の組織とした実施例1〜7,23〜25の鋼板は、いずれも降伏点が480MPa以上、引張強度が570MPa以上、降伏比が85%以上、延性/脆性破面遷移温度がマイナス30℃以下であり、y形溶接割れ試験にて割れが認められなかった。加えて、実施例23〜25の鋼板に関しては優れた耐候性をも兼ね備えていた。
【0086】
このように、本発明に規定の成分および組織とすることで、また本発明に規定の製造方法を採用することで、高降伏強度化(高降伏比化)、高靭性化に適した組織を有する鋼材が得られ、しかも低成分系のため溶接性にも優れる鋼材が得られる。また、必要に応じて耐候性も兼ね備えた鋼材を製造することが可能となる。
【0087】
これに対し比較例8は、VとNbの添加を行わなかった鋼種Kを用いたものであり、比較例9は、Vのみを添加しNbの添加を行わなかった鋼種Lを用いたものである。これらの鋼板は、いずれもV,Nb炭窒化物の析出によるフェライトの強化が図られなかったため、フェライトの硬度が160を下回り、ベイナイトとの硬度比が0.6を下回った。このため、比較例8,9の鋼板はいずれも降伏強度、引張強度とも低く、降伏比も低かった。
【0088】
比較例10は、C,Si含有量、PCM値が本発明の上限を超える鋼種Mを用いた鋼板であり、靭性が低く、溶接性が低位にあった。
【0089】
比較例11は、P,S含有量が本発明の上限を超える鋼種Nを用いた鋼板であり、靭性が低かった。
【0090】
比較例12は、加熱温度が1300℃を超え、得られた鋼板のフェライト粒径が20μmを超えたものである。この鋼板は、降伏強度および降伏比とも低く、靭性も劣化した。
【0091】
比較例13は、圧延後に室温まで放冷し、加速冷却を行わなかったものであり、比較例14は、室温まで放冷し、加速冷却を行わなかったものである。これらの鋼板はいずれも金属組織がフェライト/パーライト混合組織となり、フェライト分率が80%を超えた。このため、比較例13,14の鋼板はいずれも降伏強度および引張強度が低かった。
【0092】
比較例15は、徐冷時間が5秒を下回り、得られた鋼板のフェライト分率が20%に満たなかったものである。この鋼板は、降伏強度、降伏比ともに低かった。
【0093】
比較例16は、放冷を行った温度がAr3点−200℃を下回ったものであり、比較例17は、徐冷時の冷却速度が4℃/秒を上回ったものである。これらの鋼板はいずれも金属組織がベイナイト主体であった。このため、比較例16,17の鋼板はいずれも降伏強度、降伏比ともに低かった。
【0094】
比較例18は、加速冷却の停止温度が300℃を下回り、得られた鋼板の金属組織がフェライト/マルテンサイト混合組織となり、フェライトとマルテンサイトとの硬度比が0.6を下回ったものである。この鋼板は、降伏強度、降伏比ともに低く、靭性も低かった。
【0095】
比較例19は、再加熱時の昇温速度が0.5℃/秒を下回ったものであり、比較例20は、再加熱を行わなかったものであり、比較例21は、再加熱温度が500℃を下回ったものである。これらの鋼板はいずれもフェライトの硬度が160未満、ベイナイトとの硬度比が0.6未満であった。このため、比較例19,20,21の鋼板は、降伏強度、降伏比ともに低く、しかもベイナイトの焼戻しが十分になされなかったために靭性も劣った。
【0096】
比較例22は、再加熱温度がAc1点以上であり、得られた鋼板の金属組織がベイナイト主体であって島状マルテンサイトが大量に生成した。この鋼板は、降伏強度、降伏比ともに低く、靭性も劣った。
【0097】
比較例26は、累積圧下率が50%に満たなかったものであり、得られた鋼板のフェライト粒径が20μmを超えたものである。この鋼板は、降伏強度および降伏比とも低く、靭性も劣化した。
【0098】
比較例27は、加速冷却停止温度が600℃を超え、得られた鋼板の金属組織がフェライト/パーライト混合組織であり、フェライト分率が80%を超えたものである。この鋼板は、降伏強度、引張強度が低かった。
【0099】
【発明の効果】
以上示したように本発明に従えば、特殊な工程や多量の合金元素の添加を必要とせずに、480MPa以上の降伏点を有する高張力鋼材を製造することが可能である。また、本発明の鋼材は優れた靭性、溶接性および耐候性をも兼ね備え得る。
【0100】
さらに、本発明の製造方法はオンラインでの加速冷却−再加熱プロセスであるため、効率的に上記鋼材を生産することが可能である。したがって、橋梁に代表されるような溶接構造物の主要部材に適用するために十分な機械的特性を有する鋼材を短納期で、安価に提供することが出来る。
【0101】
以上詳述したように本発明によれば、480MPa以上の高降伏強度を有し、かつ靭性および溶接性に優れた鋼材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷却・加速冷却工程および再加熱工程を説明するための熱履歴線図。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.02%以下、Nb:0.005〜0.10%、V:0.005〜0.10%を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、かつPCM=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Mo/15+Ni/60+V/10+5Bで定義される溶接割れ感受性指数が0.25%以下であり、金属組織が体積分率で20%以上80%以下のフェライトを含むフェライト/ベイナイト混合組織であり、前記フェライトは、平均値で、粒径が20μm以下、ビッカース硬度が160以上、ベイナイトとのビッカース硬度比が0.6以上であり、かつ480MPa以上の降伏点を有することを特徴とする優れた溶接性を有する高靭性高降伏点鋼材。
  2. さらに質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:2.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちのいずれか一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の鋼材。
  3. 質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.05%以下、S:0.02%以下、Nb:0.005〜0.10%、V:0.005〜0.10%を含有し、かつPCM=C+Si/30+(Mn+Cu+Cr)/20+Mo/15+Ni/60+V/10+5Bで定義される溶接割れ感受性指数が0.25%以下であり、残部がFe及び不可避不純物からなる鋼を1000℃以上1300℃以下の温度範囲まで加熱し、Ar3点以上の温度域での累積圧下率が50%以上である圧延を行い、圧延後、Ar 3 点−200℃以上Ar 3 点以下の温度範囲において、冷却速度を4℃/秒未満とし、かつ前記冷却速度を5秒以上保持し、その後、冷却速度5℃/秒以上で300℃以上600℃以下の温度範囲まで加速冷却を行い、その後直ちに昇温速度0.5℃/秒以上で500℃以上Ac1点未満の温度範囲まで再加熱することを特徴とする優れた溶接性を有する高靭性高降伏点鋼材の製造方法。
  4. 前記鋼は、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:2.0%以下、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうちのいずれか一種または二種以上をさらに含有することを特徴とする請求項3記載の製造方法。
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