JP3876606B2 - ディジタル/アナログ変換器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、多ビット数、高精度のディジタル/アナログ(以下、D/Aと言う)変換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、D/A変換器として種々の回路構成のものが考案され、実用化されている。例えば、図18に示す回路はラダー回路を用いた4ビットのD/A変換器であり、ラダー回路で形成された電圧が被変換データによってオン/オフされるスイッチを通して加算回路へ供給され、この加算回路で合成され変換後電圧として出力される。
ところで、このD/A変換器は、抵抗トリミングなしでは12ビットが限度であり、それ以上のビット数のD/A変換器を作成する場合は抵抗トリミングが不可欠である。しかし、抵抗トリミングはコストがかかり、しかも、D/A変換器をCMOSによって作成できない欠点がある。
【0003】
他方、D/A変換器の回路構成として、抵抗ストリング方式が知られている。この抵抗ストリング方式は、多数の抵抗を直列接続してその両端に電圧を印加し、各抵抗の接続点の電圧を変換後電圧として取り出す方式であり、高精度の変換が可能であって、しかも、CMOSによって形成できる利点がある。しかしながら、この方式のD/A変換器も例えば24ビットというような多ビットのD/A変換器には対応できない欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は高精度かつ多ビットであって、しかも、CMOSによって作成することができるD/A変換器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、直列接続された複数の抵抗と、前記直列接続された抵抗の各接続点に一端が接続され、他端が共通接続されたM(M:1より大きい整数)個のスイッチから構成されるN(N:1より大きい整数)列のスイッチ列と、前記スイッチ列の各スイッチを被変換データの上位側ビットに基づいてオン/オフ制御するスイッチ制御手段と、前記被変換データの下位側ビットに対応する電圧を形成して出力する電圧形成手段と、前記複数のスイッチ列の各共通接続点の電圧と前記電圧形成手段の出力とを加減算する減加算手段とによってD/A変換器を構成したことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のディジタル/アナログ変換器において、前記電圧形成手段を、前記被変換データの下位側ビットによってオン/オフされて所定の電圧を出力する複数のスイッチと、前記スイッチの出力を重み付けした抵抗を通して前記加算へ印加する回路とから構成したことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のディジタル/アナログ変換器において、前記電圧形成手段を、前記被変換データの下位側ビットによってオン/オフされて所定の電圧を出力する複数のスイッチと、前記スイッチの出力をオンとされたスイッチに応じた電圧に変換する抵抗ラダー回路とから構成したことを特徴とする。
【0007】
また、請求項4に記載の発明は、前記電圧形成手段を、前記直列接続された抵抗の各接続点に一端が接続され、他端が共通接続された複数のスイッチからなる1または複数のスイッチ列と、前記スイッチ列の各スイッチを被変換データの下位側ビットに基づいてオン/オフ制御する下位側スイッチ制御手段と、前記スイッチ列の共通接続点の電圧を重み付けした抵抗を介して前記加減算手段へ印加する回路とから構成したことを特徴とする。
【0008】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のディジタル/アナログ変換器において、前記電圧形成手段を、前記直列接続された抵抗の各接続点に一端が接続され、他端が共通接続された複数のスイッチからなる1または複数のスイッチ列と、前記スイッチ列の各スイッチを被変換データの下位側ビットに基づいてオン/オフ制御する下位側スイッチ制御手段と、前記スイッチ列の共通接続点の電圧を抵抗ラダー回路を介して前記加減算手段へ印加する回路とから構成したことを特徴とする。
【0009】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかの項に記載のディジタル/アナログ変換器において、前記スイッチ制御手段は、前記複数のスイッチ列の各共通接続点に発生する、前記複数の抵抗の誤差に基づく電圧誤差が相殺されるように前記各スイッチをオン/オフ制御することを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかの項に記載のディジタル/アナログ変換器において、前記スイッチ列は、共通接続点の電圧が前記加減算手段において加算される第1、第2のスイッチ列と、共通接続点の電圧が前記加減算手段において減算される第3、第4のスイッチ列とから構成され、前記スイッチ制御手段は、前記第1、第2のスイッチ列の出力電圧の誤差が相殺されるように前記第1、第2のスイッチ列の各スイッチをオン/オフ制御すると共に、前記第3、第4のスイッチ列の出力電圧の誤差が相殺されるように前記第3、第4のスイッチ列の各スイッチをオン/オフ制御することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しこの発明の実施形態について説明する。図1はこの発明の第1の実施形態によるD/A変換器の構成を示す回路図であり、この図に示すD/A変換器は8ビットの被変換データをアナログ電圧に変換する回路である。このD/A変換器は、大きく分けて、被変換データの上位4ビットをアナログ電圧に変換するスイッチマトリクス回路1と、下位4ビットをアナログ電圧に変換する下位ビット変換回路2と、スイッチマトリクス回路1の出力と下位ビット変換回路2の出力を加算する加算回路として機能する演算増幅器3とから構成されている。
【0011】
スイッチマトリクス回路1は、抵抗ストリングおよびスイッチマトリクスによってD/A変換を行うもので、直列接続された8個の抵抗4、4・・・(値はいずれもR)によって構成された抵抗ストリング5と、抵抗4、4・・・の接続点に一端が接続され、他端が共通接続されたスイッチS0a〜S8aと、同様に、抵抗4、4・・・の接続点に一端が接続され、他端が共通接続されたスイッチS0b〜S8bと、スイッチS0a〜S8aの共通接続点の電圧が印加される増幅度1のアンプ16と、スイッチS0b〜S8bの共通接続点の電圧が印加される増幅度1のアンプ17と、アンプ16の出力端と演算増幅器3の反転入力端間に介挿された抵抗6(値R)と、アンプ17の出力端と演算増幅器3の反転入力端間に介挿された抵抗7(値R)とから構成されている。そして、抵抗ストリング5の一端に直流電圧Vcが印加され、他端が接地されている。
【0012】
また、下位ビット変換回路2は、接地電位に一端が接続されたスイッチS0e、S0f、S0g、S0hと、抵抗ストリング5の内の最下部の抵抗(一端が接地された抵抗)と2番目の抵抗の接続点に一端が接続されたスイッチS1e、S1f、S1g、S1hと、スイッチS0e,S1eの各他端、スイッチS0f,S1fの各他端、スイッチS0g,S1gの各他端、スイッチS0h,S1hの各他端が各々その入力端に接続された増幅度1のアンプ21〜24と、アンプ21〜24と演算増幅器3の反転入力端間に接続され、重み付けされた抵抗11(値2R)、抵抗12(値4R)、抵抗13(値8R)、抵抗14(値16R)とから構成されている。
また、符号8は演算増幅器3の帰還抵抗(値Rf)、9は変換後のアナログ電圧Soutが出力される出力端子である。
【0013】
次に、上記D/A変換器の動作を説明する。まず、このD/A変換器によってアナログ電圧に変換される8ビットの非変換データは、2’sCOMPの形式のデータである。すなわち、この非変換データを10進数および2進数で各々示すと、次の第1表の通りである。また、この表に変換後のアナログ電圧を示す。
動作を説明すると、まず、被変換データの上位4ビットは、デコーダ(図示略)によってデコードされ、そのデコード出力によってスイッチマトリクス回路1のスイッチS0a〜S8aおよびスイッチS0b〜S8bがオン/オフ制御される。図2に、被変換データの上位4ビットと各スイッチのオン/オフ状態の関係を示す。図において”1”はオン、”0”はオフを示す。また、被変換データの下位4ビットは、デコーダを通さず、そのまま下位ビット変換回路2のスイッチS0e〜S0hおよびスイッチS1e〜S1hをオン/オフ制御する。図3に、被変換データの下位4ビットと各スイッチのオン/オフ状態の関係を示す。
【0014】
いま、例えば、被変換データが”01111111”(+127)であった場合は、上位4ビットおよび図2の最上行から、スイッチS7aとスイッチS8bがオン(他のスイッチはオフ)となる。したがって、1つの抵抗4の両端電圧をVとすると、アンプ16の出力が7V、アンプ17の出力が8Vとなる。また、下位4ビットおよび図3の最上行から、スイッチS1e,S1f、S1g、S1hがオン(他のスイッチはオフ)となる。この結果、アンプ21〜24の出力がいずれもVとなる。
【0015】
そして、上述したアンプ16,17,21〜24の各出力電圧が演算増幅器3によって加算されることから、出力端子9に得られる出力電圧Soutは、
となる。また、例えば、被変換データが”01111110”(+126)であった場合は、スイッチS7a、S8b、S1e,S1f、S1g、S0hがオンとなる。この結果、アンプ16、アンプ17、アンプ21〜23の出力は上記と同じであり、アンプ24の出力のみ0となる。これにより、出力電圧は、
となる。
【0016】
同様に、例えば被変換データが”00000000”(0)の場合は、スイッチS0a、S8b、S0e〜S0hが各々オンとなり、したがって、アンプ17の出力が8V、他のアンプの出力はいずれも「0」となる。この結果、出力電圧は、
Sout=−(Rf/R)8V・・・(3)
となる。同様にして、被変換データが”10000000”(−128)の場合は、
Sout=−(Rf/R)×0=0・・・(4)
となる。
このように、図1に示すD/A変換器は(1/16)Vを最小電圧として8ビットの被変換データをアナログ電圧に変換する。
【0017】
次に、この発明の第2の実施形態について説明する。図4は同実施形態の構成を示す回路図である。この図に示す回路は被変換データの下位4ビットをアナログ電圧に変換する下位ビット変換回路28であり、図1における下位ビット変換回路2の代わりに用いられるもので、下位ビット変換回路2における抵抗11〜14に代えて、ラダー接続された抵抗30〜33(値はいずれも2R)、抵抗34〜36(値はいずれもR)、抵抗37(値2R)が用いられている。この図に示す回路も、各スイッチS0e〜S0hおよびスイッチS1e〜S1hが各々被変換データの下位4ビットによって図3に示すようにオン/オフ制御され、これにより、図4に示す点Pの位置に被変換データに対応する電圧が得られる。そして、この電圧が演算増幅器3(図1)によってスイッチマトリクス回路1の出力に加算される。
【0018】
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。図5は同実施形態の構成を示す回路図である。この図に示す回路も図4の回路と同様に、被変換データの下位4ビットをアナログ電圧に変換する下位ビット変換回路40であり、図1における下位ビット変換回路2の代わりに用いられる。この図に示す下位ビット変換回路40は、図1におけるスイッチマトリクス回路1と同様に、抵抗ストリングおよびスイッチマトリクスによって変換を行う。
【0019】
すなわち、図におけるスイッチS0e、S0fの各一端は図1に示す抵抗ストリング5の最下端部(接地電位)に接続され、スイッチS1e、S1fの各一端は抵抗ストリング5の第1番目の抵抗接続点に接続され、スイッチS2e、S2fの各一端は抵抗ストリング5の第2番目の抵抗接続点に接続され、スイッチS3e、S3fの各一端は抵抗ストリング5の第3番目の抵抗接続点に接続されている。そして、スイッチS0e〜S3eの各他端が共通接続されてアンプ41の入力端に接続され、また、スイッチS0f〜S3fの各他端が共通接続されてアンプ42の入力端に接続されている。
アンプ41,42は増幅度1のアンプであり、その出力端は各々抵抗44(値4R)および抵抗45(値16R)を介して演算増幅器3(図1)の反転入力端に接続されている。
【0020】
このような構成において、各スイッチS0e〜S3e、S0f〜S3fは被変換データの下位4ビットをデコードした信号によってオン/オフ制御される。図6に、被変換データの下位4ビットと各スイッチのオン/オフ状態の関係を示す。例えば、被変換データの下位4ビットが”0000”の場合、図6から明らかなように、スイッチS0e,S0fがオンとされる。これにより、アンプ41,42の入力端へ電圧0が供給され、従ってアンプ41,42の出力が0となる。
【0021】
また、被変換データの下位4ビットが”0001”の場合、図6から、スイッチS0e,S1fがオンとされる。これにより、アンプ41の入力端へ電圧0が,アンプ42の入力端へ電圧Vが供給され、アンプ41,42の各出力が0、Vとなる。これにより、演算増幅器3(図1)において、スイッチマトリクス回路1の出力に、−(Rf/R)(V/16)が加算される。
同様に、被変換データの下位4ビットが”0002”の場合、スイッチS0e,S2fがオンとされ、これにより、アンプ41,42の各出力が0、2Vとなる。この結果、演算増幅器3において、スイッチマトリクス回路1の出力に、−(Rf/R)(2V/16)が加算される。また、被変換データの下位4ビットが”1111”の場合、スイッチS3e,S3fがオンとされ、これにより、アンプ41,42の各出力が共に3Vとなる。この結果、演算増幅器3において、スイッチマトリクス回路1の出力に、−(Rf/R)(3V/4)および−(Rf/R)(3V/16)が加算される。すなわち、合計で−(Rf/R)(15V/16)が加算される。
【0022】
このように、図5の回路によっても図1または図4の下位ビット変換回路2,28と同様の変換を行うことができる。
次に、この発明の第4の実施形態について説明する。図7は同実施形態の構成を示す回路図であり、この図に示すD/A変換器は2’sCOMP形式の10ビットの被変換データをアナログ電圧に変換するものである。また、このD/A変換器は、上述した各D/A変換器が演算増幅器3の非反転入力端の電位に対し、一方の側の電圧のみを変換後電圧として出力するものであったのに対し、両側の電圧を出力する点で異なっている。
【0023】
この図において、50,50・・・は直列接続され抵抗(値はいずれもR)であり、これらの抵抗50によって抵抗ストリング53が形成されている。そして、この抵抗ストリング53の一端には正電圧が印加され、他端は接地されている。スイッチS0a〜S8aおよびスイッチS0b〜S7bは被変換データの上位4ビットによってオン/オフ制御されるスイッチであり、これらのスイッチの各一端は抵抗50、50・・・の各接続点に接続され、スイッチS0a〜S8aの各他端は共通接続されてアンプ51の入力端に接続され、スイッチS0b〜S8bの各他端は共通接続されてアンプ52の入力端に接続されている。アンプ51は増幅度1のアンプであり、その出力は抵抗54(値R)の一端に接続され、抵抗54の他端が演算増幅器55の反転入力端に接続されている。また、アンプ52は増幅度1のアンプであり、その出力端は抵抗55(値R)の一端に接続され、抵抗55の他端が演算増幅器55の非反転入力端に接続されている。上記の構成は図1におけるスイッチマトリクス回路1と同じであるが、抵抗54,55の他端と演算増幅器55の入力端との接続状態が異なっている。
【0024】
スイッチS0c〜S4cの各一端は、接地点および抵抗ストリング53の接続点に順次接続され、他端は共通接続されてアンプ57(増幅度1)の入力端に接続されている。アンプ57の出力端は抵抗58(値8R)を介して演算増幅器55の反転入力端に接続されている。
スイッチS0d〜S3dの各一端は、接地点および直列接続抵抗の接続点に順次接続され、他端は共通接続されてアンプ59(増幅度1)の入力端に接続されている。アンプ59の出力端は抵抗60(値8R)を介して演算増幅器55の非反転入力端に接続されている。
【0025】
スイッチS0e〜S4eの各一端は、接地点および直列接続抵抗の接続点に順次接続され、他端は共通接続されてアンプ61(増幅度1)の入力端に接続されている。アンプ61の出力端は抵抗62(値64R)を介して演算増幅器55の反転入力端に接続されている。
スイッチS0f〜S3fの各一端は、接地点および直列接続抵抗の接続点に順次接続され、他端は共通接続されてアンプ63(増幅度1)の入力端に接続されている。アンプ63の出力端は抵抗64(値64R)を介して演算増幅器55の非反転入力端に接続されている。
【0026】
65は演算増幅器55の帰還抵抗(値Rf)、66は接地抵抗(値Rf)、67は出力端子である。
図8、図9は被変換データと各スイッチのオン/オフ状態との関係を示す図であり、10bitの被変換データはデコーダによってデコードされ、そのデコード出力によって各スイッチが図8、図9に示すようにオン/オフ制御される。
【0027】
いま、例えば、被変換データが”0111111111”(+511)の場合、図8、図9からスイッチS0a、S7b、S0c、S3d、S0e、S3fがオンとなり、これにより、アンプ52,59,63の出力が各々7V、3V、3Vとなり(V;抵抗50の両端電圧)、アンプ51,57,61の出力が0となる。この結果、出力電圧Soutは、
となる。
【0028】
また、被変換データが”0000000000”の場合は、図8、図9よりスイッチS4a、S4b、S2c、S2d、S2e、S2fがオンとなり、この結果、出力電圧Soutは、
となる。
【0029】
また、被変換データが”1000000000”(−512)の場合、図8、図9からスイッチS8a、S0b、S4c、S0d、S4e、S0fがオンとなり、これにより、アンプ51,57,61の出力が各々8V、4V、4Vとなり、アンプ52,59,63の出力が0となる。この結果、出力電圧Soutは、
となる。
【0030】
図10は上述したD/A変換器を、被変換データ=24ビットに拡張したこの発明の第5の実施形態の構成を示す回路図である。この図において、抵抗ストリングは258個の直列接続した抵抗から構成されている。また、「1〜11Bit」と記載してある16行の各スイッチが被変換データの上位12ビットによってオン/オフ制御されるスイッチであり、これらのスイッチは合計4112個(257×16)設けられている。なお、実際は4111個で足りる。すなわち、12ビット分のスイッチは4096個であり、これにゼロ位置(接地位置)を選択するためのスイッチ16個を加えると4112個となり、4096番目のスイッチは不要であるので、スイッチ数の合計は4111個となる。
【0031】
また、「15Bit」、「19Bit」、「23Bit」と記載された6行のスイッチが被変換データの下位12ビットによってオン/オフ制御され、アンプの出力側のラダー接続された抵抗と共に下位12ビットに対応する電圧を形成する。そして、上述した上位12ビットに基づく電圧と下位12ビットに基づく電圧が演算増幅器70によって合成され、変換後アナログ電圧として出力される。
【0032】
図11はこの発明の第6の実施形態の構成を示す回路図であり、この図に示すD/A変換器は11ビットの2’COMP形式の被変換データをアナログ電圧に変換するものである。この図に示すD/A変換器が図7に示すものと異なる点は、被変換データの上位ビットをアナログ電圧に変換するスイッチ列が+側2列、−側2列の合計4列設けられている点である。
【0033】
すなわち、スイッチS0a〜S8aの各一端が抵抗ストリング53の各節点に接続され、各他端が共通接続されてアンプ51の入力端に接続され、スイッチS0c〜S8cの各一端が抵抗ストリング53の各節点に接続され、各他端が共通接続されてアンプ70の入力端に接続されている。そして、アンプ51の出力端が抵抗54(値R)を介して、また、アンプ70の出力端が抵抗71(値R)を介して各々演算増幅器55の反転入力端に接続されている。同様に、スイッチS0b〜S8bの各一端が抵抗ストリング53の各節点に接続され、各他端が共通接続されてアンプ52の入力端に接続され、スイッチS0d〜S8dの各一端が抵抗ストリング53の各節点に接続され、各他端が共通接続されてアンプ72の入力端に接続されている。そして、アンプ52の出力端が抵抗55(値R)を介して、また、アンプ72の出力端が抵抗73(値R)を介して各々演算増幅器55の非反転入力端に接続されている。そして、上述した各スイッチS0a〜S8dが被変換データの上位5ビットによってオン/オフ制御され、スイッチS0e〜S4hが被変換データの下位5ビットによってオン/オフ制御される。
【0034】
図12、図13は、被変換データと各スイッチのオン/オフ状態との関係を示す図であり、11bitの被変換データはデコーダによってデコードされ、そのデコード出力によって各スイッチがこれらの図に示すようにオン/オフ制御される。
【0035】
いま、例えば、被変換データが”01111111111”(10進数+1023)の場合、図12、図13からスイッチS0a、S8b、S0c、S7d、S0e、S3f、S0g、S3hがオンとなり、これにより、アンプ52,72、59,63の出力が各々8V、7V、3V、3Vとなり(V;抵抗50の両端電圧)、アンプ51,70、57,61の出力が0となる。この結果、出力電圧Soutは、
となる。同様に、被変換データが”01111111110”(10進数+1022)の場合、図12、図13からスイッチS0a、S8b、S0c、S7d、S0e、S3f、S1g、S3hがオンとなる。これにより、
となる。以下同様であり、このD/A変換器は被変換データが「1」変化する毎に出力電圧が(1/64)Vずつ変化する。
【0036】
また、被変換データの上位5ビットとスイッチS0a〜S8dのオン/オフ関係は次の通りである。なお、「−」は上の欄と同じを意味する。
このように、上記実施形態においては、プラス側のスイッチS0b〜S8b、S0d〜S8dが、被変換データが小となるに従い高電圧側のスイッチS8b、S7dから順次オンとなり、一方、マイナス側のスイッチS0a〜S8a、S0c〜S8cが、被変換データが小となるに従い低電圧側のスイッチS0a、S0cから順次オンとなる。
【0037】
ところで、抵抗ストリング53の各抵抗50の抵抗値Rは、全く同一であることが望ましいが、厳密には僅かに誤差がある。この抵抗誤差は、バラバラに発生するのではなく、抵抗ストリング53の一端から他端に向かって徐々に抵抗値が小さくなる、あるいは、大きくなる状態で発生する。このため、上記実施形態のように、各スイッチを高電圧側および接地側から順々にオンとするよりも、なるべく離れた位置のスイッチを順次オンとすることが望ましい。以下、このような考察に基づく第7の実施形態について説明する。
【0038】
この第7の実施形態のスイッチ回路の構成は図11と同じである。この実施形態が上記第6の実施形態と異なる点は、被変換データをデコードし、そのデコード結果に従って図11の各スイッチをオン/オフ制御するデコーダである。すなわち、図14、図15はこの第7の実施形態によるデコーダによって制御される各スイッチのオン/オフ状態を示す図である。この場合、被変換データの下位6ビットと、スイッチS0e〜S4e、S0f〜S4f、S0g〜S4g、S0h〜S4hのオン/オフ状態との対応関係は第6の実施形態(図12、図13)と同じである。第6の実施形態と異なる点は、被変換データの上位5ビットと、スイッチS0a〜S8a、S0b〜S8b、S0c〜S8c、S0d〜S8dのオン/オフ状態との対応関係である。
【0039】
すなわち、この実施形態では、被変換データの上位5ビットに対応して次の各スイッチがオンとなる。
【0040】
このように各スイッチをオン/オフ制御することによって、アンプ52の出力に含まれる抵抗誤差に基づく誤差電圧と、アンプ72の出力に含まれる抵抗誤差に基づく誤差電圧とが一部相殺される。同様に、アンプ51の出力に含まれる抵抗誤差に基づく誤差電圧と、アンプ70の出力に含まれる抵抗誤差に基づく誤差電圧とが一部相殺される。これにより、抵抗ストリング53の抵抗誤差に基づく出力変動を最小限に押さえることができる。図16は、被変換データと出力電圧Soutとの対応関係を示す図であり、この図において、破線L1、L2は前述した第6の実施形態の特性を示し、また、破線L3、L4は上述した第7の実施形態の特性を示している。実線L5は変換誤差が0の場合である。また、曲線L1、L3は抵抗ストリング53の接地側から高電圧側へ向かって抵抗値が徐々小さくなる場合であり、曲線L2、L4は逆に大きくなる場合である。この図に示すように、上記第7の実施形態によれば、第6の実施形態より抵抗誤差に基づく変換誤差をさらに小さくすることができる。
なお、上記第6、第7の実施形態においては、アンプ出力抵抗がRのラインについて説明したが、アンプ出力抵抗が8R、64Rのラインについても同様の考えを適用できることは勿論である。
図17は上述した第6、第7の実施形態によるD/A変換器の全体構成を示すブロック図である。この図において、符号80はデコーダ、81は図11に示す回路である。デコーダ80は被変換ディジタルデータをデコードするデコーダであり、このデコーダ80の出力によって図11に示す各スイッチS8a、S8b、・・・S0hのオン/オフが図12〜図15に示すように制御される。83はローパスフィルタであり、出力端子Soutに含まれる高周波成分をカットする。なお、前述した図1、図7、図10に示す回路も図17に示す回路と同様に、前段にデコーダ、後段にローパスフィルタが設けられて、D/A変換器として構成される。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、上位ビットの変換を抵抗ストリングおよびスイッチマトリクスによって行うようにしたので、高精度かつ多ビットであって、しかも作成に抵抗トリミングのような手間を必要としないD/A変換器を提供することができる効果がある。また、この発明によるD/A変換器はCMOSによって作成することが可能であり、量産に適する利点が得られる。また、請求項6および請求項7に記載の発明によれば、抵抗誤差に基づく変換誤差を最小限とすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施形態の構成を示す回路図である。
【図2】 同実施形態におけるスイッチマトリクス回路1の各スイッチのオン/オフ状態を示す図である。
【図3】 同実施形態における下位ビット変換回路2の各スイッチのオン/オフ状態を示す図である。
【図4】 この発明の第2の実施形態の要部の構成を示す回路図である。
【図5】 この発明の第3の実施形態の要部の構成を示す回路図である。
【図6】 同図の各スイッチのオン/オフ状態を示す図である。
【図7】 この発明の第4の実施形態の構成を示す回路図である。
【図8】 同実施形態における各スイッチのオン/オフ状態を示す図である。
【図9】 同実施形態における各スイッチのオン/オフ状態を示す図であり、図8に連続する図である。
【図10】 この発明の第5の実施形態の構成を示す回路図である。
【図11】 この発明の第6および第7の実施形態の構成を示す回路図である。
【図12】 この発明の第6の実施形態における各スイッチのオン/オフ状態を示す図である。
【図13】 同実施形態における各スイッチのオン/オフ状態を示す図であり、図12に連続する図である。
【図14】 この発明の第7の実施形態における各スイッチのオン/オフ状態を示す図である。
【図15】 同実施形態における各スイッチのオン/オフ状態を示す図であり、図14に連続する図である。
【図16】 この発明の第6、第7の実施形態の変換特性を示す図である。
【図17】 第6、第7の実施形態の全体構成を示すブロック図である。
【図18】 従来のD/A変換器の構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
1…スイッチマトリクス回路、2…下位ビット変換回路、3、55…演算増幅器、4,6,7,11〜14、30〜33、34〜37、44,45、54,55,58,60,62,64…抵抗、16,17,21〜24、41,42、51,52,57,59,61,63…アンプ、S0a〜S8a、S0b〜S8b、S0e、S1e、S0f、S1f、S0g、S1g、S0h、S1h…スイッチ。
Claims (7)
- 直列接続された複数の抵抗と、
前記直列接続された抵抗の各接続点に一端が接続され、他端が共通接続されたM(M:1より大きい整数)個のスイッチから構成されるN(N:1より大きい整数)列のスイッチ列と、
前記スイッチ列の各スイッチを被変換データの上位側ビットに基づいてオン/オフ制御するスイッチ制御手段と、
前記被変換データの下位側ビットに対応する電圧を形成して出力する電圧形成手段と、
前記複数のスイッチ列の各共通接続点の電圧と前記電圧形成手段の出力とを加減算する加減算手段と、
を具備してなるディジタル/アナログ変換器。 - 前記電圧形成手段は、前記被変換データの下位側ビットによってオン/オフされて所定の電圧を出力する複数のスイッチと、前記スイッチの出力を重み付けした抵抗を通して前記加算へ印加する回路とから構成されることを特徴とする請求項1に記載のディジタル/アナログ変換器。
- 前記電圧形成手段は、前記被変換データの下位側ビットによってオン/オフされて所定の電圧を出力する複数のスイッチと、前記スイッチの出力をオンとされたスイッチに応じた電圧に変換する抵抗ラダー回路とから構成されることを特徴とする請求項1に記載のディジタル/アナログ変換器。
- 前記電圧形成手段は、前記直列接続された抵抗の各接続点に一端が接続され、他端が共通接続された複数のスイッチからなる1または複数のスイッチ列と、
前記スイッチ列の各スイッチを被変換データの下位側ビットに基づいてオン/オフ制御する下位側スイッチ制御手段と、
前記スイッチ列の共通接続点の電圧を重み付けした抵抗を介して前記加減算手段へ印加する回路と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載のディジタル/アナログ変換器。 - 前記電圧形成手段は、前記直列接続された抵抗の各接続点に一端が接続され、他端が共通接続された複数のスイッチからなる1または複数のスイッチ列と、
前記スイッチ列の各スイッチを被変換データの下位側ビットに基づいてオン/オフ制御する下位側スイッチ制御手段と、
前記スイッチ列の共通接続点の電圧を抵抗ラダー回路を介して前記加減算手段へ印加する回路と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載のディジタル/アナログ変換器。 - 前記スイッチ制御手段は、前記複数のスイッチ列の各共通接続点に発生する、前記複数の抵抗の誤差に基づく電圧誤差が相殺されるように前記各スイッチをオン/オフ制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載のディジタル/アナログ変換器。
- 前記スイッチ列は、共通接続点の電圧が前記加減算手段において加算される第1、第2のスイッチ列と、共通接続点の電圧が前記加減算手段において減算される第3、第4のスイッチ列とから構成され、
前記スイッチ制御手段は、前記第1、第2のスイッチ列の出力電圧の誤差が相殺されるように前記第1、第2のスイッチ列の各スイッチをオン/オフ制御すると共に、前記第3、第4のスイッチ列の出力電圧の誤差が相殺されるように前記第3、第4のスイッチ列の各スイッチをオン/オフ制御することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの項に記載のディジタル/アナログ変換器。
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