JP3876041B2 - カラー画像処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、独自に色ずれ補正を行うカラー画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の装置では、装置製造時に読み取りに起因する色ずれと、記録に起因する色ずれを下記に示すような方法で独立に求め、この色ずれを補正する補正係数を求めていた。ファクシミリ装置の場合、読み取りに起因する色ずれは原稿を読み取って送信する場合に発生し、記録に起因する色ずれは受信した原稿を記録する場合に発生する。また、コピー動作のように読み取ったデータを記録する場合は、両方の色ずれが発生する。この場合、読み取り、記録双方に起因する色ずれの補正係数は、それぞれの補正係数を掛け合わせることにより算出していた。
【0003】
読み取り部では、データの明確なカラーパターンを読み取り、この読み取り値を数値化したデータと、予め同一のカラーパターンを基準となる読取装置で読み取り数値化したデータとを比較して色ずれを求め、その色ずれを補正する色補正係数を算出する。
【0004】
記録部では、基準となるカラー数値データを用紙上に出画させ、出画結果を色差計等の色を測る装置で測定し、その色ずれを求め、その色ずれを補正する補正係数を算出する。
【0005】
上記のように、カラー画像処理装置は、色ずれを補正した状態で出荷されているが、経時変化や記録媒体のばらつき等を原因としてどうしても色ずれが発生してしまう。このため、これらの色ずれを補正する必要があるが、この色ずれをユーザやサービスマンが測定し、色補正係数を算出することは困難であった。
【0006】
このような問題点を解決するために、例えば、特願平7−305440号に示すような発明が提案されている。この発明は、色補正用パターンのデータを記憶しておき、このデータを記録手段で出画し、この出画を読み取り手段で読み取ってパターンデータとし、記憶してある色補正用パターンデータと比較して色ずれを補正する補正データを生成するというものである。
【0007】
上記発明によれば、読み取り手段と記録手段とを一体とした色ずれ補正を得ることができるという効果を奏する。
【0008】
しかし、色補正用パターンを作成する際、それぞれのパターンに対応する画像データをメモリに記録しておき、そのデータを記録部において出画することにより色補正用パターンを作成しているため、各色度において複数の明度に対するパターンを作成する場合は、色度の数に明度の数を乗じた数だけ色補正用パターンのデータを保持しておく必要があり、また、この色補正用パターン数の増加に応じて色補正用パターンのデータを保持するためのメモリ領域を増やす必要があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来のカラー画像処理装置では、多数の色補正用パターンデータが必要であるため、メモリ容量を大きくしなければならず、また、これらのパターンデータを事前に作成する手間がかかるという問題点があった。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、色補正用パターンデータを保持するための大きなメモリ容量を確保しなくても、オートキャリブレーションに使用する明度の異なる多数の色補正用パターンを作成することができるカラー画像処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、原稿画像データを読取る読取手段と、この読取られた画像データを色補正係数により色補正する色補正手段と、この色補正された画像データの濃淡を所定のガンマ変換カーブで補正するガンマ補正手段と、このガンマ補正された画像データを記録媒体に記録する記録手段とを具備し、単一明度の色相データからなる色補正用データを保持する記憶手段と、この単一明度の色相データからなる色補正用データから前記ガンマ変換カーブでガンマ補正することにより複数の異なる明度の色相データからなる色補正用パターンデータを作成するパターン作成手段と、を有し、前記記録手段によりこの作成した色補正用パターンデータを印刷出力し、前記読取手段によりこの印刷出力された色補正用パターンを読取り、この読取られた色補正用パターンデータと前記単一明度の色相データからなる色補正用データからガンマ変換カーブでガンマ補正することにより作成した複数の異なる明度の色相データからなる色補正用パターンデータとを比較して同一色相差を小さくすべく前記色補正係数を算出する色補正係数算出手段とを有するものである。
【0012】
このような構成により、単一明度の色相データからなる色補正用データからガンマ変換カーブでガンマ補正することにより複数の異なる明度の色相データからなる色補正用パターンデータを作成することにより、単一明度の色相データからなる色補正用データを一組有しておけば、ガンマ変換カーブにより複数の異なる明度の色相データからなる色補正用パターンデータを作成することができるため、色補正用データを保持するメモリ容量を増加させる必要がなくなり、メモリ領域を有効に利用することができる。
【0014】
また、色補正用パターンデータを生成するためのガンマ変換カーブとして、通常の原稿画像データの印刷出力時に使用する既存のガンマ変換カーブを利用することができるため、キャリブレーション用に新たにガンマ変換カーブを設けることなく、簡単にかつ装置が本来有しているガンマ変換の機能に最適な色補正係数を求めることができる。
【0017】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のカラー画像処理装置において、記録媒体に色補正用パターンと同時に読取標識を記録し、該記録媒体から色補正用パターンと共に読取標識を読取り、読取標識を基準にして色補正用パターンの読取りポイントを認識する構成を採る。
【0018】
このような構成により、読取標識を基準にして色補正用パターンの読取りポイントを認識することができるため、読取部の読取精度を必要以上に上げることなく、キャリブレーションを実現することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態のオートキャリブレーション機能を持ったカラー画像処理装置のブロック図である。色補正データ記憶部1は、色補正用パターンデータを保持する。ガンマ変換部2は、予め保持している複数のガンマ変換カーブを選択的に利用して、印字する画像データの明度を補正する。記録部3は、印刷対象の画像データを記録媒体に記録する部分であり、色補正用パターンデータを出画する。この記録部3により出画された画像データが色補正用パターン4である。読取部5は、読取り対象の原稿を読取る部分であり、オートキャリブレーションに用いる色補正用パターン4を読み取って電気信号に変換する。色補正係数算出部6は、読み取った色補正用パターン4の値と、色補正データ記憶部1に記憶されている色補正データの値との色ずれを補正するための補正係数を算出する。色補正部7は、色補正係数算出部6によって算出された色補正係数を保持し、コピー動作時等に実際に色補正を行う。パネル8は、ユーザーからの動作指示を受けるものであり、制御部9は、この指示を受けてガンマ変換部2を制御する。
【0022】
以上のように構成されたカラー画像処理装置について、オートキャリブレーション機能を動作させた場合について説明する。
色補正データ記憶部1は、色補正用パッチパターンデータとして同一明度で色相の異なる複数個の画像データを保持している。例えば、図2に示すように、一つの明度における色相を6分割すると、各データ間のHueの差は60度間隔となり、6個の色相データを持つこととなる。
【0023】
ここで、色補正データ記憶部1が一つの明度に限って色相データを保持するとすれば、色補正データ記憶部1は、装置内の信号系であるRGBデータ系で6個のデータを保持することとなる。
【0024】
上記の6個のカラーパターンデータを用いて複数の明度にわたる色補正用パターン4の作成は、以下のように行われる。
まず、明度の高い色補正用パターン4が必要である場合には、ガンマ変換部2が発生することのできる複数のガンマ変換カーブのうち、明度が実際よりも明るくなるカーブであるライトカーブ10を用い、上記の6個の色補正用パターンデータに対してガンマ補正を行う。このガンマ補正後の色補正用パターンデータを記録部3が出画することによって明るい色補正用パターン4が作成される。
【0025】
次に、明度が設計値通りである色補正用パターン4を出画する場合は、ガンマ変換部2が有する複数のガンマ変換カーブのうち、明度が設計値どおりになるカーブであるノーマルカーブ20を用い、上記の6個の色補正用パターンデータに対してガンマ補正を行う。このガンマ補正後の色補正用パターンデータを記録部3が出画することによって設計値通りの色補正用パターン4が作成される。
【0026】
最後に、明度の低い色補正用パターン4が必要である場合には、ガンマ変換部2が有する複数のガンマ変換カーブのうち、明度が実際よりも暗くなるカーブであるダークカーブ30を用い、上記の6個の色補正用パターンデータに対してガンマ補正を行う。このガンマ補正後、記録部3が色補正用パターン4を出画することによって明度の低い色補正用パターン4が作成される。
【0027】
以上のように、ガンマ変換部2が保持する複数のガンマ変換カーブから一つの変数を選択することにより、単一明度のカラーパターンデータを保持しておくだけで、複数の明度の色補正用カラーパターンデータを発生させることができ、異なる明度の色補正用パターン4を容易に作成することができる。
【0028】
例えば、図2に示すように、6個一組の色相データに対しガンマ変換カーブをL*=70となるようにガンマ補正をすれば11〜16の色補正用パターンが、L*=60となるようにガンマ補正をすれば21〜26の色補正用パターンが、L*=50となるようにガンマ補正をすれば31〜36の色補正用パターンが得られる。
【0029】
また、ガンマ補正で使用する複数のガンマ変換カーブは、キャリブレーションのためだけに設けたものを使用するのではなく、コピー動作等においてユーザーがパネル8から画像データの濃淡を設定するためのガンマ変換部が発生させるガンマ変換カーブを使用することもできる。装置が本来有しているガンマ変換部の機能を色ずれ補正のパッチパターン作成に用いることにより、装置の構成を簡素化することができる。
【0030】
また、複数の記録媒体(普通紙、コート紙等)を用いるカラー画像処理装置においては、それぞれの記録媒体の色再現範囲が最適になるような明度の色補正用パッチパターン4によって色補正係数を算出することが求められる。
【0031】
本発明によれば、そのような場合でもそれぞれの記録媒体に合わせて別々の色補正用パターンデータを持つ必要はない。すなわち、単一明度のカラーパターンデータを色補正データ記憶部1が保持していれば、ガンマ変換部2において記録媒体に対して最適なガンマ変換カーブを選択してガンマ補正を行うことにより、各記録媒体に最適な明度の色補正用パターンを作成することができる。
【0032】
また、図2の8a、8bは、記録媒体に色補正用パターン4と共に記録されたマーカーを示している。マーカー8aは、読取部5での走査方向(原稿送り方向)と同方向に長く、またマーカー8bは、読取部5での走査方向と直交する方向(副走査方向)に長くなっている。このマーカー8a,8bは、記録部3が記録媒体に出画した色補正用パターン4を読取部5で読み取ったとときに正確に色補正用パターン4の読取りポイントを認識するために使用する。このマーカー8a、8bを付加することにより、色補正パターン読取り時に原稿が斜めに送られた場合でも読取部5がデータを取得するポイントを自ら補正することができるため、読取り精度を必要以上に上げることなく、キャリブレーションを実現することができる。なお、ここで、補正範囲を超えてしまった場合は、パネル8からユーザーにエラー情報を送ることにより、再度キャリブレーションを行うことを促す。
【0033】
記録部3により出画された色補正用パターン4は、読取部5において読取られ、電気信号に変換される。これが読取値となり、この読取値と色補正データ記憶部1に保持されている同一色相のデータとの差がより小さくなるように、色補正係数算出部6が色補正係数を算出する。
【0034】
色補正係数の算出については、色補正部7が色度成分のみを補正するように、読取部5が読取った色補正用パターン4の明度成分の値を、色補正データ記憶部1が保持しているそれぞれの色相データの明度成分に置き換え、色差が最も小さくなるような色補正係数を算出するという方法を採る。
【0035】
このような方法により、色補正用パターン4の作成時においてガンマ変換部2で設計値どおりの出力になるノーマルカーブ20を用いなくても、色補正係数算出時において色補正データ記憶部1に記憶されている色補正用パターンデータを使用しても色補正における不都合は発生しない。
【0036】
そして、上記の方法にて求められた色補正係数が色補正部7に書込まれる。例えば、図4に示すようなカラーファクシミリ装置に本発明を適用した場合は、色補正部に記録部及び読取り部双方の色補正係数が書込まれる。そして、受信画像を記録部から出画する場合は、受信画像を記録部の色補正係数で色ずれ補正してから出画する。また、読取り部で読み取った送信原稿を通信部から送信する場合は、送信原稿画像を読取り部の色補正係数で色ずれ補正してから送信する。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、単一明度の色相データからなる色補正用データからガンマ変換カーブでガンマ補正することにより複数の異なる明度の色相データからなる色補正用パターンデータを作成することにより、単一明度の色相データからなる色補正用データを一組有しておけば、ガンマ変換カーブにより複数の異なる明度の色相データからなる色補正用パターンデータを作成することができるため、色補正用データを保持するメモリ容量を増加させる必要がなくなり、メモリ領域を有効に利用することができる。
【0038】
また、本発明によれば、色補正用パターンデータを生成するためのガンマ変換カーブとして、通常のコピー動作時に使用する既存のガンマ変換カーブを利用することができるため、キャリブレーション用に新たにガンマ変換カーブを設けることなく、簡単にかつ装置が本来有しているガンマ変換の機能に最適な色補正係数を求めることができる。
【0040】
また、本発明によれば、読取標識を基準にして色補正用パターンの読取りポイントを認識することができるため、読取部の読取精度を必要以上に上げることなく、キャリブレーションを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラー画像処理装置のブロック図
【図2】色補正用パッチパターンを示す図
【図3】ガンマ変換カーブを示す特性図
【図4】本発明をカラーファクシミリ装置に適用した概念図
【符号の説明】
1 パッチパターンデータ記憶部
2 ガンマ変換部
3 記録部
4 色補正用パッチパターン
5 読取部
6 色補正係数算出部
7 色補正部
Claims (2)
- 原稿画像データを読取る読取手段と、この読取られた画像データを色補正係数により色補正する色補正手段と、この色補正された画像データの濃淡を所定のガンマ変換カーブで補正するガンマ補正手段と、このガンマ補正された画像データを記録媒体に記録する記録手段とを具備し、単一明度の色相データからなる色補正用データを保持する記憶手段と、この単一明度の色相データからなる色補正用データから前記ガンマ変換カーブでガンマ補正することにより複数の異なる明度の色相データからなる色補正用パターンデータを作成するパターン作成手段と、を有し、前記記録手段によりこの作成した色補正用パターンデータを印刷出力し、前記読取手段によりこの印刷出力された色補正用パターンを読取り、この読取られた色補正用パターンデータと前記単一明度の色相データからなる色補正用データからガンマ変換カーブでガンマ補正することにより作成した複数の異なる明度の色相データからなる色補正用パターンデータとを比較して同一色相差を小さくすべく前記色補正係数を算出する色補正係数算出手段とを有することを特徴とするカラー画像処理装置。
- 記録媒体に色補正用パターンと同時に読取標識を記録し、該記録媒体から色補正用パターンと共に読取標識を読取り、読取標識を基準にして色補正用パターンの読取りポイントを認識することを特徴とする請求項1記載のカラー画像処理装置。
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