JP3875918B2 - 液晶表示装置及びその駆動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に係り、特に温度依存性に起因する動画の“ぼやけ”を低減して動画表示特性に優れた液晶表示装置及びその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータやその他の情報機器の高精細度カラーモニター、あるいはテレビ受像機の表示デバイスとして液晶表示装置が広く用いられている。液晶表示装置は、基本的には少なくとも一方が透明なガラス等からなる二枚の(一対の)基板の間に液晶層を挟持した所謂液晶表示パネルを有し、この液晶表示パネルの基板に形成した画素形成用の各種電極に選択的に電圧を印加して所定画素の点灯と消灯を行う形式、上記各種電極と画素選択用のアクティブ素子を形成してこのアクティブ素子を選択することにより所定画素の点灯と消灯を行う形式とに分類される。
【0003】
特に、後者の形式の液晶表示装置はアクティブ・マトリクス型と称し、コントラスト性能、高速表示性能等から液晶表示装置の主流となっている。アクティブ・マトリクス型液晶表示装置は、一方の基板に形成した電極と他方の基板に形成した電極との間に液晶層の配向方向を変えるための電界を印加する、所謂縦電界方式と、液晶層に印加する電界の方向を基板面とほぼ平行な方向とする、所謂横電界方式(IPS方式とも言う)の液晶表示装置などが知られている。
【0004】
上記した各種の液晶表示装置には、液晶表示パネルを背面から照明する光源装置(一般に、バックライトと称する)が備えられている。このバックライトには、透明材料からなる導光板の側面にランプ(線状光源、線状ランプ:冷陰極蛍光管)を設置したサイドエッジ方式と、液晶パネル主面の真下にランプを設置した、所謂直下型方式とが知られている。
【0005】
図12は一般的なアクティブ・マトリクス型液晶表示装置の構成と駆動システムの説明図である。この種の液晶表示装置は、液晶表示パネルPNLと、この液晶表示パネルPNLの周辺に表示信号線(映像信号線、データ線、ドレイン信号線、ドレイン線、または単に信号線とも言う)駆動回路(ICチップ)すなわち表示信号駆動回路(以下、ドレインドライバと称する)DDR、表示走査線(ゲート信号線、ゲート線、または単に走査線とも言う)駆動回路(ICチップ)すなわち表示走査線駆動回路(以下、ゲートドライバと称する)GDRを有し、これらドレインドライバDDRとゲートドライバGDRに映像表示のための表示データやクロック信号、階調電圧などを供給する表示制御手段である表示制御装置CRL、電源回路PWUを備えている。
【0006】
コンピュータ、パソコン、あるいはテレビ受像回路などの外部信号源からの表示データと制御信号クロック、表示タイミング信号、同期信号などの各種電圧信号は表示制御装置CRLに入力する。表示制御装置CRLには、階調基準電圧生成部、タイミングントローラTCONなどが備えられており、外部からの表示データと各種電圧信号を液晶表示パネルPNLでの表示に適合した形式のデータに変換する。ドレインドライバDDRとゲートドライバGDRに対する表示データとクロック信号は図示したように供給される。ドレインドライバDDRの前段のキャリー出力は、そのまま次段のドレインドライバのキャリー入力に与えられる。
【0007】
図13は液晶表示パネルの各ドライバの概略構成と信号の流れを示すブロック図である。ドレインドライバDDRは映像信号等の表示データのデータラッチ部と出力電圧発生回路とから構成される。また、階調基準電圧生成部HTV、マルチプレクサMPX、コモン電圧生成部CVD、コモンドライバCDD、レベルシフト回路LST、ゲートオン電圧生成部GOV、ゲートオフ電圧生成部GFD、およびDC−DCコンバータD/Dは図12の電源回路PWUに設けられる。電源回路PWUは図示しない照明装置(バックライト)の電源であるインバータにも給電する。
【0008】
このような構成の液晶表示装置は薄形、低消費電力といった特徴により、ブラウン管(CRT)ディスプレイから置き換わりが進んでいる。この置き換わりがさらに進んだ背景には液晶表示装置の画質向上の技術革新がある。特に、最近はテレビ映像の表示に代表される動画表示への要求が強く、液晶材料や駆動方法による改善がなされている。
【0009】
しかし、CRTが電子銃の走査によるインパルス型発光であるのに対して、液晶表示装置は線状ランプ(蛍光灯)を照明光源としたバックライトシステムを用いたホールド型発光のため、完全な動画表示が困難とされてきた。すなわち、液晶表示装置で動画表示を行った場合、そのホールド特性のために所謂動画像輪郭劣化すなわち“ぼやけ”が発生し、画像品質が劣化する。これは、液晶表示装置に限らず、例えばプラズマ・ディスプレイ等においても同様である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ホールド型である液晶表示装置の動画特性を向上させるため、出来る限りインパルス型に近づける工夫が提案されている。その一例として、フレーム間に黒データを挿入する方法や、バックライトをフレーム期間内で点滅する、所謂ブリンキング方法などがある。
【0011】
図14はテレビ受像用等の比較的大画面の表示装置として用いられる液晶表示装置の構成例を説明する模式図である。この液晶表示装置は液晶表示パネルPNLの背面に照明装置(バックライト)BLを設置してある。液晶表示パネルPNLとバックライトBLの間には、拡散シートやプリズムシートを積層した光学補償シートOPSが介挿されており、バックライトBLからの光を液晶表示パネルPNLの全面を均等に照明するように構成されている。
【0012】
このバックライトBLは液晶表示パネルPNLの主面(パネル平面)に平行に配列した複数本の冷陰極蛍光ランプCFLと反射板RFで構成される。冷陰極蛍光ランプCFLは電源であるインバータINVから給電される。映像信号源HOSTから入力する映像信号(画像データ)および各種のタイミング信号は表示制御装置CRLにおいて液晶表示パネルPNLの表示形式に変換されて駆動回路チップ(DDR、GDR)に供給される。図14にはドレインドライバDDRのみを示してある。
【0013】
液晶表示パネルの液晶を構成する液晶材料あるいは表示モードの改良と、光源に直下型バックライトを用いる方法が報告されている。液晶表示パネルの背面に光源を設置する、所謂直下型と称するバックライトを用いるものは、液晶表示パネルの主面の直下(背面)に複数の線状ランプ(冷陰極蛍光ランプ等)を前記ゲート線と平行な方向に配列し、線状ランプの各点灯開始時間のタイミングを表示画面の上から下へとずらし、かつ画像表示信号の走査周期に同期させるバックライトのブリンキング(Blinking)と称する照明方法である(特開平11−109921号公報参照)。なお、液晶表示装置の動画像を改善する技術は、この他に、例えば、特表平8−500915号、特開平11−202285号、特開平11−202286号、及び特開平11−237606号の各公報を挙げることができる。
【0014】
また、従来のパソコン等に使用される液晶表示装置では、主として静止画像の表示であるめ、液晶の動画性能の温度依存性については考慮されていなかった。この動画性能の温度依存性は液晶の応答速度の温度依存性に起因している。液晶表示装置をテレビ等の動画対応の表示装置として導入するためには、安定時の動画特性を向上させることは勿論のこと、安定時に達するまでの経時的な表示特性の変化も出来るだけ小さくする必要がある。
【0015】
このように、液晶表示装置に動画を表示したとき、電源投入時点(始動時)からある程度時間が経過し、液晶表示パネたのパネル温度がある程度の温度に達しないと動画にボヤケが発生し、安定した動画表示が得られない。また、液晶表示パネルの温度が上記安定時よりも高くなると、冷陰極蛍光ランプの輝度特性は飽和状態となり、無駄な電力を消費することになる。
【0016】
液晶表示装置の電源投入時点からの経時的な変化、つまり温度依存性が大きいための問題点の一例を挙げれば、以下のとおりである。すなわち、「冬の或る日、早くサッカーの試合を観たくて外出から部屋に帰ってきた人が液晶テレビのスイッチを入れたが、画面が“ぼやけ”て見難い。一時間経ってようやく“ぼやけ”が軽減したかと思ったら、試合は終わってしまった。」
【0017】
前記した光源の点灯時間を制御する方式の液晶表示装置では、ある程度の動画像輪郭劣化の発生を回避して動画表示特性を向上させることができるが、液晶表示パネルの温度依存性に起因する動画像の“ぼやけ”は前記した照明光源のブリンキングのみでは対処できない。
【0018】
本発明の目的は、液晶表示装置に動画を表示する際の液晶の温度依存性に起因する動画像の“ぼやけ”を軽減し、高輝度でかつ動画表示特性に優れ、かつ無駄な電力消費を低減した液晶表示装置及びその駆動方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
図1は動画特性の温度依存性の説明図であり、液晶表示パネルの温度変化に対する動画特性の測定例を示す。なお、図1では動画特性は動画特性指数で示している。液晶表示装置に動画像を表示する際、観察者の視覚が移動する画像に追従することによる画像のシャープ感が低下して違和感をもたらすが、これを定量的に表したものを動画特性指数と称する。
【0020】
すなわち、この動画特性指数は動画表示の画質評価基準であり、動画像のぼやけの判断基準である。この動画特性指数については、社団法人電気通信学会、「電気通信学会技報」EID99−10(1999−06)P.55−60“ホールド型ディスプレイにおける動画表示の画質”に“MTF:Modulation Transfer Function”の解説を参照されたい。
【0021】
図1において、直線aは黒データの挿入なしの場合、直線bは黒データの挿入ありの場合を示す。動画特性指数の数値が大きい程、“ぼやけ”が著しいことを示す。黒データの挿入の有無によって動画特性指数の値は異なるが、液晶表示パネルの温度(すなわち、液晶の温度)と動画特性指数との間にはリニアな関係がある。液晶表示パネルの温度が高くなると動画特性指数は小さな値を示す。液晶表示パネルの温度は熱電対による画面中央部の測定値である。
【0022】
図2は動画特性指数の測定方法の一例を説明するシステム図である。図中、参照符号S−PNLは被測定用の液晶表示パネル、CAMは撮像装置(例えば、CCDカメラ)、PCは画像処理装置(例えば、パソコン)、SGSは動画像信号源(例えば、VTR)である。動画像信号源SGSの動画像信号を液晶表示パネルに表示し、これを撮像装置CAMで取り込む。取り込んだ動画像データを画像処理装置PCで処理する。
【0023】
図3は画像処理装置での処理画像の説明図である。画像処理装置PCでは撮像装置CAMで取り込んだ画像データVSLの断面輝度プロファイルの10%から90%におけるスロープ部分SLPに該当する画素数を測定する。図3におけるスロープ部分SLPを“ぼやけ”幅として示す。この“ぼやけ”幅の画素数を画像の移動速度で規格化したものを動画特性指数とする。こうして得た動画特性指数と官能評価とを比較したところ、標準的な動画像を許容できるのは、動画特性指数が図1における略0.9以下の範囲であった。動画特性指数が略0.9を超える範囲では動画“ぼやけ”による違和感が認識されることが分かった。
【0024】
また、動画特性指数が略0.1の大きさで変化すると動画性能がやや変わった感じを覚え、略0.3の大きさで変化すると動画性能がかなり変化した感じを受けることが分かった。図1に示したように、液晶表示パネルの温度が10℃変化すると、動画特性指数は、黒データ挿入なしの条件下で0.13、黒データ挿入ありの条件下で0.21程度変化するため、温度依存性は無視できない。液晶表示パネルの温度を短時間で上昇させるために、液晶表示パネルに加熱用のヒータを設置することも考えられる。しかし、液晶表示パネルの全域で均等な昇温を得るたのヒータの設置場所の選定が難しく、またヒータやヒータ駆動回路を増設するために部品点数が増加する等、液晶表示装置全体の構成の複雑化やコスト高を招く。
【0025】
以上の事実を踏まえ、前記の目的を達成するため、本発明は、照明装置を熱源として利用して電源投入後、液晶表示パネルを昇温して早急に温度を安定化することで動画特性指数が短時間で所要値になるようにして“ぼやけ”を低減した高品質の液晶表示を可能とした。すなわち、液晶表示装置の電源投入時に照明装置を構成する冷陰極蛍光ランプに与える電流(管電流)を定常状態の電流値より高くして液晶表示パネルを強制加熱し、動画性能を短時間で安定状態にすることを基本思想としたものである。
【0026】
本発明はこの基本思想に基づくものであり、その代表的な構成を記述すれば以下のとおりである。
【0027】
(1)、液晶表示パネルと、複数の冷陰極蛍光ランプを有して前記液晶表示パネルの背面に設置された照明装置を有する液晶表示装置として、
前記液晶表示パネルに設置されて当該液晶表示パネルの温度を検出する温度センサと、前記検出出力値を基準温度値と比較して管電流制御信号生成手段と、前記管電流制御信号生成手段の制御出力により前記冷陰極蛍光ランプに管電流を供給する電流制御手段とを備える構成とした。
【0028】
(2)、(1)において、前記冷陰極蛍光ランプの管電流のレベルを変換するレベル変換手段と、前記冷陰極蛍光ランプの管電流をブリンキングするブリンクパルス生成手段を有し、表示される映像信号の動画特性に応じて前記ブリンクパルス生成手段から出力されるブリンキング制御信号に基づいて前記冷陰極蛍光ランプに供給する前記レベル変換手段の出力レベルを制御する構成とした。ブリンキングとは、周期的(例えばフレーム期間毎)に管電流値の増減またはそのオン/オフを繰り返す動作を指す。
【0029】
(3)、(1)または(2)において、前記液晶表示パルスに表示される黒挿入割合指示手段を有し、表示される映像信号の動画特性に応じて前記黒挿入割合指示手段から前記液晶表示パネルに黒信号を挿入する構成とした。黒挿入とは映像データを有効表示領域に入力する期間内に、当映像データよりも画面を暗く表示する所謂擬似データを当該映像データに続き有効表示領域へ入力する動作を指す。この擬似データとして有効表示領域の階調を一様に低くする所謂黒画像データを用いることが多い。
【0030】
(4)、液晶表示パネルと、複数の冷陰極蛍光ランプを有して前記液晶表示パネルの背面に設置された照明装置を有する液晶表示装置の駆動方法として、
前記液晶表示パネルに設置されて当該液晶表示パネルの温度を検出する温度センサの検出出力値を基準温度値と比較して当該検出出力と基準温度値の差に基づく前記冷陰極蛍光ランプの管電流制御出力を生成し、
前記管電流制御出力に基づいて前記冷陰極蛍光ランプに基準値より高い管電流または低い管電流を供給する方法とした。
【0031】
(5)、(4)において、前記液晶表示パネルの温度が基準値より低い場合は、前記基準値より高い管電流を前記冷陰極蛍光ランプに供給する方法とした。
【0032】
(6)、(4)において、前記液晶表示パネルの温度が基準値より高い場合は、前記基準値より低い管電流を前記冷陰極蛍光ランプに供給する方法とした。
【0033】
なお、本発明は、上記構成および後述する実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図4は本発明による液晶表示装置の駆動方法を従来の駆動方法と比較して説明する概念図である。図4の(a)は従来の液晶表示装置の駆動方法を、同(b)は本発明による液晶表示装置の駆動方法を示す。従来は、図4の(a)に示したように、電源投入(スイッチON)後に液晶表示パネルの温度は徐々に上昇する。これと共に動画性能も徐々に向上し、長時間(例えば1時間程度)経って液晶表示パネルの温度が安定化する。この時点で動画性能も安定化する。
【0036】
これに対し、本発明による駆動方法は、電源投入(スイッチON)時点でバックライトを構成する冷陰極蛍光ランプの管電流を通常の値よりも大きく(高く)設定することで液晶表示パネルを強制的に加熱し、昇温させる。したがって、動画性能は素早く向上し、液晶表示パネルの温度は短時間で安定化する。液晶表示パネルの温度の安定化に伴って動画性能も短時間で安定化する。動画性能が安定化した時点で管電流を通常の値に戻す。
【0037】
図5は液晶表示装置の電源を投入してからの本発明による駆動方法を適用した液晶表示パネルの温度変化の様子を従来技術による駆動方法と比較した説明図である。図5における曲線aは本発明による駆動方法、曲線bは従来技術による駆動方法による温度上昇特性を示す。
【0038】
図6は図5に示した液晶表示パネルの測定のための温度測定点の説明図である。液晶表示パネルの温度の測定は液晶表示装置の上側の点P1、中央部の点P2、下側の点P3の3箇所に温度センサを取付けて行った。そして、3点P1、P2、P3の測定値の平均値を時間軸上にプロットしたものが図5の曲線である。
【0039】
図5の曲線aに示されたように、電源投入後に冷陰極蛍光ランプの管電流を高くしたことで液晶表示パネルの温度は急激に上昇し、短時間に安定化する。また、安定化した温度値も曲線bで示した従来の駆動方法における安定化温度に対して差が生じる。したがって、この安定化温度の差により動画特性にも差が生じる。
【0040】
図7は本発明による駆動方法と従来技術による駆動方法における安定化温度差に起因する動画特性の変化の説明図である。図7中の曲線cは管電流を通常値より高くした本発明による駆動方法で駆動した場合の動画特性指数を示し、曲線dは従来技術による駆動方法で駆動した場合の動画特性指数を示す。図7の曲線cとdを比較して明らかなように、本発明による駆動方法で駆動した場合、動画特性指数は急速に低下することが分かる。なお、この測定に使用した液晶表示装置では、黒挿入とブリンクバックライトを組合せたものを用いた。
【0041】
図8は管電流と消費電力の関係を測定した結果の説明図、また図9は管電流と輝度の関係の説明図である。図8に示したように、管電流を高くしていくと消費電力は略直線的に上昇する。つまり、液晶表示パネルの温度も略直線的に昇温される。しかし、図9に示されたように、或る一定の管電流を超えると輝度は若干下がる傾向にある。この原因は、バックライトに使用される冷陰極蛍光ランプの特性によるものである。
【0042】
一般的に、冷陰極蛍光ランプの管温度が60℃〜70℃位まででは、管電流と輝度は略直線的に大きくなるが、この温度を超えると冷陰極蛍光ランプの発光効率が低下することが知られている。したがって、本発明では、冷陰極蛍光ランプの輝度は下がるが、液晶表示パネルの温度を上昇させることができる領域の管電流を用いて液晶表示パネルを急速加熱する点が本発明の特徴である。
【0043】
図10は本発明による液晶表示装置の駆動方法を実現するバックライトシステムの構成の一実施例を説明するブロック図である。図中、参照符号PNLは液晶表示パネル、TSRは温度センサとしての熱電対、BLは照明装置すなわちバックライト、CFLはバックライトを構成する冷陰極蛍光ランプ、INVは冷陰極蛍光ランプの電源部を構成するインバータで、電流制御手段である電流制御回路CCRとブリンキングのための管電流のレベルを変更する電圧レベル変換回路LTRで構成される。
【0044】
また、参照符号MPCは動画特性制御回路で、温度センサのアナログ出力をデジタル信号に変換するデータ変換回路(A/Dコンバータ)ADC、管電流制御信号生成手段である比較回路CPR、ブリンクパルス生成回路BPG、黒挿入割合指示回路BPIで構成される。比較回路CPRの一方の入力には、表示制御装置CRLから基準温度データT0 が印加される。基準温度データT0 は液晶表示パネルPNLを構成する液晶の組成により設定されるが、ここでは37℃としてある。なお、ブリンクパルス生成回路BPG、黒挿入割合指示回路BPIには表示される映像信号の動画特性、すなわち動画の動きの程度に応じた制御信号が表示制御装置CRLから入力し、映像特性に応じたブリンキングと黒挿入が実行される。
【0045】
本実施例では、液晶表示パネルPNLのガラス基板に温度センサとして熱電対TSRを取付けた。熱電対TSRの取付け部位は前記の図6のとおりである。熱電対TSRの温度検出出力は動画特性制御回路MPCのデータ変換回路ADCに入力し、デジタル信号の温度検出出力は比較回路CPRの他方の入力に接続される。比較回路CPRはデータ変換回路ADCからの温度検出データと基準温度データT0 を比較する。
【0046】
温度検出データTsが基準温度データT0 より小さい場合は管電流を高くする制御信号SCをハイレベルとしてインバータINVの電流制御回路CCRに与え、冷陰極蛍光ランプCFLに通常より大きい電流を供給する。温度検出データTsが基準温度データT0 以下の場合は制御信号SCはローレベルのままとし、通常の管電流を冷陰極蛍光ランプCFLに供給する。
【0047】
液晶表示装置の電源を投入した時点で液晶表示パネルPNLの温度が基準温度データT0 以下であれば、管電流を大きくして冷陰極蛍光ランプCFLを急速に発熱させ、その発熱で液晶表示パネルPNLを昇温する。これにより、液晶表示パネルPNLの温度は短時間で定常状態に安定する。したがって、動画特性も急速に安定する。なお、電源の投入時に液晶表示パネルの温度が基準値以上であることが温度センサで検出された場合には管電流を小さくする制御も可能であり、この場合は制御信号SCをハイレベル/ローレベルの2値とせずにハイレベル/中間レベル/ローレベルの3値を与え、あるいは管電流低減を指示する信号を別途出力するように構成する。
【0048】
図11は図10の液晶表示装置の始動時の動作例の説明図であり、同図(a)は動画特性指数の変化、(b)は消費電力の変化、(c)は液晶表示パネルの正面から見た輝度の変化を示す。ここでは、図11の(a)に示したように、動画特性は電源投入時点から20分で安定する。すなわち、液晶表示装置の電源投入時点から20分まで管電流を10mA以上に上げ、液晶表示パネルの温度が充分に昇温したことを温度センサが検出した時点で通常の管電流値6〜7mAに戻す。消費電力は図11の(b)に示されたように、この20分間では若干大きくなるが、同図(c)に示したように液晶表示パネルの輝度はあまり変化してない。
【0049】
なお、本発明は液晶表示パネルを昇温して早急に温度を安定化することで動画特性指数が短時間で所要値になるようにして“ぼやけ”を低減した高品質の液晶表示を可能とすることが目的であるが、冷陰極蛍光ランプのブリンキングや黒挿入を併用することで、より高品質の映像表示を得ることができる。
【0050】
図10のブリンクパルス生成ブリンキングBPGでは、表示制御装置CRLからの映像特性を示す信号に基づいてブリンクの条件を変更し、インバータINVのレベル変換回路LTRにブリンキング制御信号BSを与える。レベル変換回路LTRはブリンキング制御信号BSに従って冷陰極蛍光ランプCFLのブリンキングを行い、動画ぼやけを低減する。そして、黒挿入割合指示回路BRIは表示制御装置CRLからの映像特性を示す信号に基づいて映像信号への黒挿入の割合を変更する黒挿入制御信号KSを映像信号駆動回路DDRに与える。
【0051】
このように、従来の液晶表示装置では電源投入から動画が安定するまで40〜60分もかかっていたのに対し、本実施例では10〜20分程度で安定させることができる。また、この間にブリンキング条件、黒挿入割合を制御することで動画性能の経時変化を小さくすることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば液晶表示装置の電源投入時(始動時)に照明装置を構成する冷陰極蛍光ランプの管電流を高くすることにより、動画特性を急速に安定化でき、ぼやけの無い動画表示を得ることができる。また、冷陰極蛍光ランプのブリンキング制御や映像表示に黒挿入を行うことにより、さらに動画特性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】動画特性の温度依存性の説明図である。
【図2】動画特性指数の測定方法の一例を説明するシステム図である。
【図3】画像処理装置での処理画像の説明図である。
【図4】本発明による液晶表示装置の駆動方法を従来の駆動方法と比較して説明する概念図である。
【図5】液晶表示装置の電源を投入してからの本発明による駆動方法適用した液晶表示パネルの温度変化の様子を従来技術による駆動方法と比較した説明図である。
【図6】図5に示した液晶表示パネルの測定のための温度測定点の説明図である。
【図7】本発明による駆動方法と従来技術による駆動方法における安定化温度差に起因する動画特性の変化の説明図である。
【図8】管電流と消費電力の関係を測定した結果の説明図である。
【図9】管電流と輝度の関係の説明図である。
【図10】本発明による液晶表示装置の駆動方法を実現するバックライトシステムの構成の一実施例を説明するブロック図である。
【図11】図10の液晶表示装置の始動時の動作例の説明図である。
【図12】一般的なアクティブ・マトリクス型液晶表示装置の構成と駆動システムの説明図である。
【図13】液晶表示パネルの各ドライバの概略構成と信号の流れを示すブロック図である。
【図14】テレビ受像用等の比較的大画面の表示装置として用いられる液晶表示装置の構成例を説明する模式図である。
【符号の説明】
PNL・・・液晶表示パネル、TSR・・・温度センサとしての熱電対、BL・・・照明装置(バックライト)、CFL・・・冷陰極蛍光ランプ、INV・・・インバータ、CCR・・・電流制御回路、LTR・・・電圧レベル変換回路、MPC・・・動画特性制御回路、ADC・・・データ変換回路(A/Dコンバータ)、CPR・・・比較回路、BPG・・・ブリンクパルス生成回路、BPI・・・黒挿入割合指示回路。
Claims (5)
- 液晶表示パネルと、複数の冷陰極蛍光ランプを有して前記液晶表示パネルの背面に設置された照明装置を有する液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルに設置されて当該液晶表示パネルの温度を検出する温度センサと、前記検出出力値を基準温度値と比較して管電流制御信号を生成する管電流制御信号生成手段と、前記管電流制御信号生成手段の制御出力により前記冷陰極蛍光ランプに管電流を供給する電流制御手段とを有し、液晶表示装置の電源投入時点で前記管電流制御信号生成手段が前記液晶表示パネルの温度が基準温度値以下である制御出力を生成した場合は、前記電流制御手段が管電流を通常の管電流よりも大きくすることを特徴とする液晶表示装置。 - 前記冷陰極蛍光ランプの管電流のレベルを変換するレベル変換手段と、前記冷陰極蛍光ランプの管電流をブリンキングするブリンクパルス生成手段を有し、表示される映像信号の動画特性に応じて前記ブリンクパルス生成手段から出力されるブリンキング制御信号に基づいて前記冷陰極蛍光ランプに供給する前記レベル変換手段の出力レベルを制御することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶表示パルスに表示される黒挿入割合指示手段を有し、表示される映像信号の動画特性に応じて前記黒挿入割合指示手段から前記液晶表示パネルに黒信号を挿入することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
- 液晶表示パネルと、複数の冷陰極蛍光ランプを有して前記液晶表示パネルの背面に設置された照明装置を有する液晶表示装置の駆動方法であって、
前記液晶表示パネルに設置されて当該液晶表示パネルの温度を検出する温度センサの検出出力値を基準温度値と比較して当該検出出力と基準温度値の差に基づく前記冷陰極蛍光ランプの管電流制御出力を生成し、
液晶表示装置の電源投入時点で前記液晶表示パネルの温度が基準温度値以下である場合は、前記管電流制御出力に基づいて基準値より大きい管電流を前記冷陰極蛍光ランプに供給することを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。 - 前記液晶表示パネルの温度が基準値より高い場合は、前記基準値より小さい管電流を前記冷陰極蛍光ランプに供給することを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置の駆動方法。
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