JP3875832B2 - 電子部品およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単位体積当たりの取得静電容量が大きく、小型化しても大容量を有し、かつ信頼性の高い積層セラミックコンデンサなどの電子部品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサの取得静電容量は、次式の関係にある。
【0003】
C=ε・ε×n×(S/d)
(ただし、C:容量(F)、ε:真空の誘電率、ε:誘電体材料の比誘電率、n:層数、S:有効面積、d:誘電体厚み)。
【0004】
コンデンサの取得静電容量を増加させるためには、誘電体厚みdを薄くする、誘電体材料の比誘電率εを増加させる、有効面積Sを増加させる、誘電体層数nを増加させる、のいずれかの方法が考えられる。しかし、小型で大容量を得るために、有効面積を増加させるには限界があることから、一般に比誘電率を増加させる、あるいは誘電体厚みを薄層化するといった手法がとられている。誘電体厚みの薄層化は、厚みばらつき等の問題から、その限界は10μmとも5μmともいわれてきたが、最近では、製造技術の開発によりその限界を超えた薄層品も開発されるようになってきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、誘電体厚みが3μm以下というような極薄層のチップコンデンサが作製できても、誘電体の抵抗が低すぎて実用に耐えられない、といった問題が生じた。このため、誘電体層厚みの薄層化に歯止めがかけられつつあるのが現状であり、コンデンサの小型且つ大容量化の障害になってきた。
【0006】
本発明の目的は、単位体積当たりの取得静電容量を向上でき、小型化しても大容量を有し、信頼性の高い積層セラミックコンデンサなどの電子部品およびその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の観点に係る電子部品は、
誘電体層と内部電極層とが交互に積層してある素子本体を有し、
前記誘電体層と前記内部電極層との境界付近の少なくとも一部には、所定厚みの異相が形成してあることを特徴とする。
【0008】
前記異相は、前記誘電体層と前記内部電極層との境界付近の少なくとも一部に、形成してあればよく、境界付近の全域に形成してあってもよい。
【0009】
本発明において、異相とは、誘電体層を構成する主成分と同じ組成であるが、その結晶格子が歪み、主成分の組成結晶格子と異なる相を意味している。
【0010】
好ましくは、前記異相の厚みが、0.2〜0.8nmである。
【0011】
好ましくは、一対の内部電極層に挟まれる誘電体層に含まれる誘電体粒子の個数が、前記誘電体層の厚み方向に対して1個である。
【0012】
好ましくは、前記誘電体層には、SiO換算で500ppm以下のケイ素化合物が含有してある。
【0013】
第2の観点に係る電子部品は、
誘電体層と、導電材粒子を含む内部電極層とが交互に積層してある素子本体を有し、
一対の誘電体層に挟まれる内部電極層に含まれる導電材粒子の個数が、前記内部電極層の厚み方向に対して1個であることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、前記導電材粒子が、1粒子あたり2つ以上の双晶が形成された、ニッケルおよび/またはニッケル合金で構成してある。
【0015】
本発明に係る電子部品の製造方法は、誘電体層と内部電極層とを交互に積層して得られる素子本体を1200〜1400℃の温度で焼成して焼結体を得る工程と、
前記焼結体を800〜1100℃の温度でアニール処理してアニール処理済み焼結体を得る工程と、
前記アニール処理済み焼結体を、600℃超1000℃未満の保持温度および0.5〜1.5時間の保持時間で熱処理して熱処理後焼結体を得る工程とを有する。
【0016】
好ましくは、前記熱処理工程における昇降温速度が、1000℃/時間超である。
【0017】
【作用】
本発明者らは、誘電体層と内部電極層との境界付近に特定の異相を存在させることにより、単位体積当たりの取得静電容量を増加できる(たとえば、100F/m以上という高いボリューム比の静電容量)ことを見出した。
【0018】
また、一対の誘電体層に挟まれる内部電極層に含まれる導電材粒子の個数が、内部電極層の厚み方向に対して1個である場合に、多層化しても十分な静電容量を持つ電子部品が得られることを見出した。
【0019】
すなわち、本発明では、単位体積当たりの取得静電容量が増加し、小型化しても大容量を有し、かつ信頼性の高い積層型セラミックコンデンサなどの電子部品を実現できる。
【0020】
本発明に係る電子部品の製造方法では、グリーンチップなどの素子本体を焼成、アニール処理した後、特定の熱処理を行うことにより、誘電体層と内部電極層との境界付近に特定の異相を形成できる。このため、製造される電子部品の単位体積当たりの取得静電容量が増加し、その結果、小型化しても大容量を有し、かつ信頼性の高い積層型セラミックコンデンサなどの電子部品を実現できる。
【0021】
電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品などが例示される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図、
図2(A)は図1に示す誘電体層の要部拡大断面図、図2(B)は図2(A)のIIB 部分の拡大図、
図3は実施例1のセラミック焼成体の透過型電子顕微鏡写真、
図4は図3の要部拡大写真、
図5は実施例1のセラミック焼成体の微細構造をTEMにより観察した顕微鏡写真、
図6は比較例1のセラミック焼成体の透過型電子顕微鏡写真、
図7は図6の要部拡大写真である。
【0024】
本実施形態では、電子部品として図1に示される積層セラミックコンデンサ1を例示し、その構造および製造方法を説明する。
【0025】
積層セラミックコンデンサ
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る電子部品としての積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層されたコンデンサ素子本体10を有する。コンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよいが、通常、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0mm)×(0.3〜1.9mm)程度である。
【0026】
内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
【0027】
誘電体層2
誘電体層2の組成は、本発明では特に限定されないが、たとえば以下の誘電体磁器組成物で構成される。
【0028】
本実施形態の誘電体磁器組成物は、たとえば、組成式{(Ba(1−x−y) Ca Sr)O}(Ti(1−z) Zr で表される誘電体酸化物を含む主成分を有する。なお、A,B,x,y,zは、いずれも任意の範囲であるが、たとえば0.990≦A/B≦1.010、0≦x≦0.80、0≦y≦0.5、0.01≦z≦0.98であることが好ましい。
【0029】
誘電体磁器組成物中に主成分と共に含まれる副成分としては、Y,Gd,Tb,Dy,V,Mo,Zn,Cd,Sn,W,Ca,Mn,Si,およびPの酸化物から選ばれる1種類以上を含む副成分が例示される。副成分を添加することにより、主成分の誘電特性を劣化させることなく低温焼成が可能となり、誘電体層を薄層化した場合の信頼性不良を低減でき、長寿命化を図ることができる。
【0030】
本発明において、副成分の好ましい例としては、Siの化合物であり、こうしたSiの化合物を、SiO換算で、好ましくは500ppm以下、より好ましくは20〜100ppm含有する。Siの化合物を添加することにより、低温焼成が一層容易となる。ただし、Siの化合物を誘電体層中に含有させ過ぎると、比誘電率が低くなる傾向がある。このようなSiの化合物は、不純物や後述する誘電体ペースト中に含まれる程度の微量である。
【0031】
なお、図1に示す誘電体層2の積層数や厚み等の諸条件は、目的や用途に応じ適宜決定すればよいが、本実施形態では、誘電体層の厚みd1は、6μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm未満である。
【0032】
図2(A)および図2(B)に示すように、誘電体層2は、誘電体粒子2aと、粒界相2bと、異相2cとを少なくとも有する。誘電体層2の断面における粒界相2bの面積比は2%以下であることが好ましい。
【0033】
本実施形態では、一対の内部電極層3,3に挟まれる誘電体層2に含まれる誘電体粒子2aの個数は、該誘電体層2の厚み方向に対して1個である。誘電体層2の厚みを厚くすることにより、厚み方向に対する誘電体粒子2aの個数を2個以上とすると、コンデンサとしての静電容量が十分に得られない傾向がある。一方、誘電体粒子2aを小さくすることにより、誘電体粒子2aの個数を2個以上にすると、誘電体層2自体の誘電率が低下し、その結果、コンデンサとしての静電容量が十分に得られない傾向がある。なお、誘電体粒子2aの個数が誘電体層2の厚み方向に対して1個とは、1本の内部電極層3から、隣の内部電極層3に垂直に引いた直線が1個の誘電体粒子2aを通ることを意味する。
【0034】
粒界相2bは、通常、誘電体材料あるいは内部電極材料を構成する材質の酸化物や、別途添加された材質の酸化物、さらには工程中に不純物として混入する材質の酸化物を成分とし、通常ガラスないしガラス質で構成されている。粒界相2bには、Mo,Y,Si,Ca,V,Wから選ばれる少なくとも二種以上の偏析物(偏析相(第2相))を含有することになる。
【0035】
異相2cは、内部電極層3との境界付近に存在する。このような異相2cが存在することにより、単位体積当たりの取得静電容量を増加できる。異相2cは、誘電体層2を構成する主成分(本実施形態では、組成式{(Ba(1−x−y) Ca Sr)O}(Ti(1−z) Zr で表される誘電体酸化物)と同じ組成であるが、その結晶格子が歪み、主成分の組成結晶格子と異なる相を意味する。このような異相2cの幅Wは、特に限定されないが、好ましくは0.2〜0.8nm、より好ましくは0.2〜0.5nmである。
【0036】
内部電極層3
内部電極層3に含有される導電材は、特に限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P,Fe,Mg等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。内部電極層の厚さd2は用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.5〜5μm、特に1〜2.5μm程度であることが好ましい。
【0037】
本実施形態では、一対の誘電体層2,2に挟まれる内部電極層3に含まれる導電材粒子3aの個数は、該内部電極層3の厚み方向に対して1個である。内部電極層3の厚みを厚くすることにより、導電材粒子3aの個数を2個以上とすると、たとえば100層以上、好ましくは500層以上の多層化ができなくなる傾向がある。一方、導電材粒子3aを小さくすることにより、導電材粒子3aの個数を2個以上にすると、焼成温度が低くなり、誘電体層2自体の誘電率が十分に得られず、その結果、コンデンサとしての静電容量が十分に得られない傾向がある。なお、導電材粒子3aの個数が内部電極層3の厚み方向に対して1個とは、1本の誘電体層2から、隣の誘電体層2に垂直に引いた直線が1個の導電材粒子3aを通ることを意味する。
【0038】
また内部電極層3を構成する導電材粒子3aには、透過型電子顕微鏡で観察した場合において、好ましくは2つ以上の双晶が存在する。双晶が存在することにより、取得静電容量のさらなる向上が図られるものと考えられる。
【0039】
外部電極4
外部電極4に含有される導電材は、特に限定されないが、通常、CuやCu合金あるいはNiやNi合金等を用いる。なお、AgやAg−Pd合金等も、もちろん使用可能である。なお、本実施形態では、安価なNi,Cuや、これらの合金を用いる。外部電極の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
【0040】
積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。
【0041】
本実施形態では、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
【0042】
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
【0043】
誘電体原料には、前述した誘電体磁器組成物の組成に応じ、主成分を構成する原料と、副成分を構成する原料と、必要に応じて焼結助剤を構成する原料とが用いられる。主成分を構成する原料としては、Ti,Ba,Sr,Ca,Zrの酸化物および/または焼成により酸化物になる化合物が用いられる。副成分を構成する原料としては、Sr,Y,Gd,Tb,Dy,V,Mo,Zn,Cd,Ti,Ca,Sn,W,Mn,SiおよびPの酸化物および/または焼成により酸化物になる化合物から選ばれる1種類以上、好ましくは3種類以上の単一酸化物または複合酸化物が用いられる。
【0044】
本発明に係る製造方法では、誘電体原料には、必ずしも焼結助剤を含ませる必要はないが、焼結助剤を含ませる場合には、たとえばSiの化合物および/または焼成により酸化物になる化合物が用いられる。Siの化合物は、焼成後に、SiO換算で500ppm以下含有することとなるよう添加することが好ましい。焼成により酸化物になる化合物としては、例えば炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、有機金属化合物等が例示される。もちろん、酸化物と、焼成により酸化物になる化合物とを併用してもよい。
【0045】
これらの原料粉末は、通常、平均粒子径0.0005〜5μm程度のものが用いられる。このような原料粉末から誘電体材料を得るには例えば下記のようにすればよい。
【0046】
まず、出発原料を所定の量比に配合し、例えば、ボールミル等により湿式混合する。次いで、スプレードライヤー等により乾燥させ、その後仮焼し、主成分を構成する上記式の誘電体酸化物を得る。なお、仮焼は、通常500〜1300℃、好ましくは500〜1000℃、さらに好ましくは800〜1000℃にて、2〜10時間程度、空気中にて行う。次いで、ジェットミルあるいはボールミル等にて所定粒径となるまで粉砕し、誘電体材料を得る。副成分と、焼結助剤(たとえばSiOなど)とは、それぞれ主成分とは別に仮焼きし、得られた誘電体材料に混合される。この主成分の仮焼き時に、副成分も含めて行うと所望の特性が得られない傾向がある。
【0047】
誘電体層用ペーストを調整する際に用いられる結合剤、可塑剤、分散剤、溶剤等の添加剤は種々のものであってよい。また、誘電体層用のペーストにはガラスフリットを添加してもよい。結合剤としては、例えばエチルセルロース、アビエチン酸レジン、ポリビニール・ブチラールなど、可塑剤としては、例えばアビエチン酸誘導体、ジエチル蓚酸、ポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、フタール酸エステル、フタール酸ジブチルなど、分散剤としては、例えばグリセリン、オクタデシルアミン、トリクロロ酢酸、オレイン酸、オクタジエン、オレイン酸エチル、モノオレイン酸グリセリン、トリオレイン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリン、メンセーデン油など、溶剤としては、例えばトルエン、テルピネオール、ブチルカルビトール、メチルエチルケトンなどが挙げられる。このペーストを焼成する際に、誘電体材料がペースト全体に対して占める割合は50〜80重量%程度とし、その他、結合剤は2〜5重量%、可塑剤は0.01〜5重量%、分散剤は0.01〜5重量%、溶剤は20〜50重量%程度とする。そして、前記誘電体材料とこれら溶剤などとを混合し、例えば3本ロール等で混練してペースト(スラリー)とする。
【0048】
なお、誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
【0049】
内部電極層用ペーストは、各種導電性金属や合金からなる導電体材料、あるいは焼成後に上記した導電体材料となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、有機ビヒクルとを混練して調製する。
【0050】
内部電極用のペーストを製造する際に用いる導体材料としては、NiやNi合金さらにはこれらの混合物を用いる。このような導体材料は、球状、リン片状等、その形状に特に制限はなく、また、これらの形状のものが混合したものであってもよい。また、導体材料の平均粒子径は、通常、0.1〜10μm、好ましくは0.2〜1μm程度のものを用いればよい。
【0051】
有機ビヒクルは、バインダーおよび溶剤を含有するものである。バインダーとしては、例えばエチルセルロース、アクリル樹脂、ブチラール樹脂等公知のものはいずれも使用可能である。バインダー含有量は1〜5重量%程度とする。溶剤としては、例えばテルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン等公知のものはいずれも使用可能である。溶剤含有量は、ペースト全体に対して、20〜55重量%程度とする。
【0052】
このようにして得られた内部電極層用ペーストと誘電体層用ペーストとは、印刷法、転写法、グリーンシート法等により、それぞれ交互に積層される。印刷法を用いる場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストを、PET等の基板上に積層印刷し、所定形状に切断した後、基板から剥離して積層体とする。また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシート(焼結前誘電体層)を形成し、この上に内部電極層用ペーストから成る内部電極パターン(焼結前内部電極層)を印刷する。
【0053】
内部電極パターンが印刷されたグリーンシートは、積層方向に多数積層されて積層体とされ、その積層方向上下端には、内部電極パターンが印刷されていない複数のグリーンシートも積層される。
【0054】
次に、このようにして得られた積層体を、所定の積層体サイズに切断し、グリーンチップとした後、これを、脱バインダ処理、焼成および誘電体層2を再酸化させるためのアニール処理を行う。
【0055】
脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、内部電極層の導電体材料にNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、特に以下の条件で行うことが好ましい。
昇温速度:5〜300℃/時間、特に10〜50℃/時間、
保持温度:200〜400℃、特に250〜350℃、
保持時間:0.5〜20時間、特に1〜10時間、
雰囲気:加湿したNとHとの混合ガス。
【0056】
焼成は、下記の条件で行うことが好ましい。
昇温速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間、
保持温度:1200〜1400℃、特に1250〜1350℃、
保持時間:0.5〜8時間、特に1〜3時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス等。
【0057】
ただし、酸素分圧は、10−4Pa以下、特に10−9〜10−4Paにて行うことが好ましい。前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にあり、また、酸素分圧があまり低すぎると、内部電極層の電極材料が異常焼結を起こし、途切れてしまう傾向にある。
【0058】
このような焼成を行った後のアニール(再酸化)処理は、保持温度または最高温度を、好ましくは800℃以上、さらに好ましくは800〜1100℃として行うことが好ましい。アニール処理時の保持温度または最高温度が、前記範囲未満では誘電体材料の酸化が不十分なために絶縁抵抗寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲をこえると内部電極のNiが酸化し、容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にある。アニール処理の際の酸素分圧は、焼成時の還元雰囲気よりも高い酸素分圧であり、好ましくは10−4Pa〜1Pa、より好ましくは10−3Pa〜10−1Paである。前記範囲未満では、誘電体層2の再酸化が困難であり、前記範囲をこえると内部電極層3が酸化する傾向にある。
そして、そのほかのアニール処理条件は下記の条件が好ましい。
保持時間:0〜6時間、特に2〜5時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に100〜300℃/時間、
雰囲気用ガス:加湿したNガス等。
【0059】
本発明では、アニール後のコンデンサチップの焼結体に熱処理を行う。熱処理を行うことにより、誘電体層2と内部電極層3との界面に異相2cを形成することが可能となり、これにより、コンデンサの容量を増加させることができる。
【0060】
熱処理雰囲気の酸素分圧は、好ましくは10−6〜10Pa、より好ましくは10−6〜10−1Paである。酸素分圧が低すぎると誘電体層2と内部電極層3との界面に異相2cを形成することが困難となり、酸素分圧が高すぎると内部電極層が酸化するおそれがある。
【0061】
熱処理の保持温度は、600℃超1000℃未満が好ましく、より好ましくは700〜900℃、さらに好ましくは700〜800℃である。保持温度が低すぎても高すぎても、最終的に得られるコンデンサの容量上昇の効果が得られない傾向がある。このような温度の保持時間は、0.5〜1.5時間が好ましく、より好ましくは0.8〜1.2時間である。
【0062】
熱処理時の昇降温速度は、好ましくは1000℃/時間超、さらに好ましくは1500℃/時間以上であり、上限は熱処理装置および熱処理方法の限界から3000℃程度である。昇降温速度が1000℃/時間以下であると、コンデンサの静電容量の上昇の効果が得られない傾向がある。
【0063】
熱処理の雰囲気ガスとしては、たとえば、窒素ガスを加湿して用いることが望ましい。
【0064】
なお、Nガスや混合ガス等を加湿するには、例えばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は0〜75℃程度が好ましい。
【0065】
上述した脱バインダ処理、焼成およびアニールは、それぞれを連続して行っても、独立に行ってもよい。これらを連続して行なう場合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、アニールの保持温度に達したときに雰囲気を変更してアニールを行なうことが好ましい。一方、これらを独立して行なう場合、焼成に際しては、脱バインダ処理時の保持温度までNガスあるいは加湿したNガス雰囲気下で昇温した後、雰囲気を変更してさらに昇温を続けることが好ましく、アニール時の保持温度まで冷却した後は、再びNガスあるいは加湿したNガス雰囲気に変更して冷却を続けることが好ましい。また、アニールに際しては、Nガス雰囲気下で保持温度まで昇温した後、雰囲気を変更してもよく、熱処理の全過程を加湿したNガス雰囲気としてもよい。
これに対し、熱処理は、脱バインダ処理、焼成およびアニールとは独立させて単独で行うことが好ましい。
【0066】
このようにして得られた焼結体(素子本体10)には、例えばバレル研磨、サンドブラスト等にて端面研磨を施し、外部電極用ペーストを焼きつけて外部電極4を形成する。外部電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、外部電極4上にめっき等を行うことによりパッド層を形成する。なお、外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
【0067】
このようにして製造された本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、静電容量が向上している。また本実施形態の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0069】
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層と内部電極層とが交互に積層してある素子本体を有するものであれば何でも良い。
【0070】
【実施例】
本発明の実施の形態をより具体化した実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0071】
実施例1
下記の手順で、2個の積層セラミック焼成体を作製し、そのうちの1個を内部観察用に用いた。また、残りの1個を用いて積層セラミックコンデンサのサンプルを作製した。
【0072】
積層セラミック焼成体の作製
出発原料として、水熱合成により生成された主成分原料としての(Ba,Ca)(Ti,Zr)O(平均粒径0.4μm、最大粒径1.5μm)と、副成分原料としてのMnO(ただし、原料として炭酸塩(MnCO)、SiOおよびYとを用いた。そして、主成分原料100モルに対して、MnCO0.4モルおよびY0.2モルを秤量し、これらをボールミルで約16時間湿式混合した後、乾燥することによって誘電体原料(誘電体磁器組成物)を得た。なお、この誘電体原料中には、SiOが約100ppm程度含まれていた。得られた誘電体原料100重量部と、アクリル系樹脂5.0重量部と、フタル酸ベンジルブチル2.5重量部と、ミネラルスピリット6.5重量部と、アセトン4重量部と、トリクロロエタン20.5重量部と、塩化メチレン41.5重量部とを、ボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを得た。
【0073】
平均粒径0.2μmのNi粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロース8重量部をテルピネオール92重量部に溶解したもの)50重量部と、テルピネオール35重量部とをポット混合により混練してペースト化し、内部電極層用ペーストを得た。
【0074】
前記誘電体層用ペーストを用いてPETフィルム上に、厚さ5μmのグリーンシートを形成し、この上に前記内部電極層用ペーストを印刷した後、前記グリーンシートをPETフィルムから剥離した。これらのグリーンシートと保護用グリーンシート(内部電極層用ペーストを印刷しないもの)とを積層し、圧着してグリーンチップを得た。誘電体層2の積層数は500層であった。
【0075】
得られたグリーンチップを、3.2mm×1.6mm×2.0mmのサイズに切断し、脱バインダ処理、焼成処理、アニール(再酸化)処理および熱処理を行い、積層セラミック焼成体を2個得た。
【0076】
脱バインダ処理は、昇温時間:20℃/時間、保持温度:260℃、保持時間:8時間、雰囲気:加湿したNとHとの混合ガス中、の条件で行った。焼成処理は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1300℃、保持時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気:加湿したN+H混合ガス中(酸素分圧=約4.2×10−7Pa)、の条件で行った。アニール処理は、保持温度:1000℃、保持時間:3時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気:加湿したNガス中(酸素分圧は約6×10−2Pa)、の条件で行った。熱処理は、昇温速度:1500℃/時間、保持温度800℃、保持時間:1時間、冷却速度:1500℃/時間、雰囲気:加湿したN+H混合ガス(酸素分圧=約10−4Pa)の、条件で行った。焼成処理、アニール処理および熱処理における雰囲気ガスの加湿には、水温を35℃としたウェッターを用いた。
【0077】
微細構造の観察
得られた積層セラミック焼成体のうちの1個を、厚み方向に沿って切断して、断面を露出させた後、高分解能透過型電子顕微鏡(商品番号:JEOL−JEM−3010、日本電子社製)を用いて前記セラミック焼成体の断面を観察した。その結果を図3および図4に示す。また、TEM(Transmission Electron Microscope)を用いて前記セラミック焼成体の断面を観察した。その結果を図5に示す。
【0078】
図3および図4を見ると、誘電体層2と内部電極層3との境界には、異相が観察された。この異相の幅は、約0.4nmであった。異相の組成を分析したところ、誘電体層2を構成する誘電体磁器組成物と同組成であることが確認できた。また、図3および図4を観察して分かるように、異相では、誘電体層2と結晶格子のズレが観察された。
【0079】
図5を見ると、一対の内部電極層3の間に挟まれる誘電体層2の粒子が、厚み方向に1個であることが確認できた。また、一対の誘電体層2の間に挟まれる内部電極層3の粒子が、厚み方向に1個であることも確認でき、しかも1個の粒子あたりに、2以上の双晶が観察された。
【0080】
コンデンササンプルの作製
平均粒径0.5μmのCu粒子100重量部と、有機ビヒクル(アクリル系樹脂8重量部をテルピネオール92重量部に溶解したもの)35重量部およびテルピネオール7重量部とを混練してペースト化し、外部電極用ペーストを得た。
【0081】
そして、残りの積層セラミック焼成体の端面をサンドブラストにて研磨した後、前記外部電極用ペーストを端面に転写し、加湿したN+H雰囲気中において、800℃にて10分間焼成(端子焼き付け処理)して外部電極4を形成し、図1に示す積層セラミックコンデンサ1のサンプルを得た。得られたコンデンササンプルのサイズは、3.2mm×1.6mm×2.0mmであり、誘電体層2の厚みは2.4μm、内部電極層3の厚みは2.1μmであった。
【0082】
静電容量の測定
得られたコンデンササンプルに対し、基準温度25℃でデジタルLCRメータ(YHP社製4274A)を用いて、周波数1kHzおよび入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの条件下での静電容量を測定した結果、100μFであった。
【0083】
比較例1
アニール処理後の熱処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、2個の積層セラミック焼成体を作製し、そのうちの1個を用いて積層セラミックコンデンサのサンプルを作製した。
【0084】
得られた積層セラミック焼成体を、実施例1と同様にして、厚み方向に沿って切断して、その断面を観察した。その結果を図6および図7に示す。
【0085】
図6および図7を見ると、誘電体層2と内部電極層3との境界には、異相が観察されなかった。
【0086】
一方、得られたコンデンササンプルの静電容量を、実施例1と同様にして測定した結果、80μFであり、実施例1の優位性が確認できた。
【0087】
実施例2、比較例2〜3
熱処理における保持温度を800℃に固定し、昇温速度および降温(冷却)速度を、表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして、セラミック焼成体の内部構造を観察し、コンデンササンプルの静電容量を測定した。結果を表1に示す。なお、参考までに、実施例1および比較例1の熱処理条件等も併せて記載する。
【0088】
【表1】
Figure 0003875832
【0089】
表1に示すように、昇降温速度が1000℃/時間以下である場合には、誘電体層2と内部電極層3との境界に異相が観察されず、しかもコンデンサの静電容量が100μF未満であるのに対し、昇降温速度が1000℃/時間超である場合には、誘電体層2と内部電極層3との境界に異相が観察され、しかもコンデンサの静電容量が100μF以上となることが確認できた。
【0090】
比較例4〜5
熱処理における昇降温速度を1500℃/時間に固定し、保持温度を、表2に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして、セラミック焼成体の内部構造を観察し、コンデンササンプルの静電容量を測定した。結果を表2に示す。なお、参考までに、実施例1の熱処理条件等も併せて記載する。
【0091】
【表2】
Figure 0003875832
【0092】
表2に示すように、保持温度が600℃であると、あるいは1000℃であると、誘電体層2と内部電極層3との境界に異相が観察されず、しかもコンデンサの静電容量が100μF未満であるのに対し、保持温度が600℃超1000℃未満である場合には、誘電体層2と内部電極層3との境界に異相が観察され、しかもコンデンサの静電容量が100μF以上となることが確認できた。
【0093】
比較例6
積層セラミック焼成体を作製する際に、一対の誘電体層2,2に挟まれる内部電極層3の厚みを実施例1の約2倍である約4.2μmにすることにより、前記内部電極層3に含まれる導電材粒子3aの個数を該内部電極層3の厚み方向に対して2個となるように設計した以外には、実施例1と同様にして、コンデンササンプルを製造した。このコンデンササンプルの比誘電率および静電容量を測定した。静電容量は、実施例1と同様にして測定した。比誘電率は、得られた静電容量と、コンデンササンプルの電極寸法および電極間距離とから算出した。結果を表3に示す。
【0094】
比較例7
積層セラミック焼成体を作製する際に、一対の誘電体層2,2に挟まれる内部電極層3に含まれる導電材粒子3aの平均粒径を、実施例1の約1/2倍である約1.0μmにすることにより、前記内部電極層3に含まれる導電材粒子3aの個数を該内部電極層3の厚み方向に対して2個となるように設計した以外には、実施例1と同様にして、コンデンササンプルを製造した。このコンデンササンプルの比誘電率および静電容量を測定した。結果を表3に示す。
なお、実施例1のコンデンササンプルについても、同様にして比誘電率を算出し、この値とともに静電容量の値も合わせて表3に示す。
【0095】
【表3】
Figure 0003875832
【0096】
表3の結果から、以下のことが理解される。
内部電極層3の厚みを約4.2μmと厚くして導電材粒子3aの個数を2個とすると、3.2mm×1.6mm×2.0mmのサイズでは、一層あたりの内部電極層3の電極厚みが厚くなりすぎ、多層化ができない傾向があることが確認できた。一方、導電材粒子3aの平均粒径を約1.0μmと小さくして導電材粒子3aの個数を2個とすると、焼成温度が低くなり(1300℃未満)、誘電体層2自体の比誘電率が8000と低く、その結果、コンデンササンプルの静電容量が45μFと低くなる傾向があることが確認できた。
【0097】
参考例1
積層セラミック焼成体を作製する際に、一対の内部電極層3,3に挟まれる誘電体層2の厚みを実施例1の約2倍である約4.8μmにすることにより、前記誘電体層2に含まれる誘電体粒子2aの個数を該誘電体層2の厚み方向に対して2個となるように設計した以外には、実施例1と同様にして、コンデンササンプルを製造した。このコンデンササンプルの比誘電率および静電容量を、比較例6〜7と同様の方法で測定した。結果を表4に示す。
【0098】
参考例2
積層セラミック焼成体を作製する際に、一対の内部電極層3,3に挟まれる誘電体層2に含まれる誘電体粒子2aの平均粒径を実施例1の約1/2倍である約1.2μmにすることにより、前記誘電体層2に含まれる誘電体粒子2aの個数を該誘電体層2の厚み方向に対して2個となるように設計した以外には、実施例1と同様にして、コンデンササンプルを製造した。このコンデンササンプルの比誘電率および静電容量を、比較例6〜7と同様の方法で測定した。結果を表4に示す。
なお、実施例1のコンデンササンプルについても、同様にして比誘電率を算出し、この値とともに静電容量の値も合わせて表4に示す。
【0099】
【表4】
Figure 0003875832
【0100】
表4の結果から、以下のことが理解される。
誘電体層2の厚みを約4.8μmと厚くして誘電体粒子2aの個数を2個とすると、コンデンササンプルの静電容量が43μFと低くなる傾向があることが確認できた。一方、誘電体粒子2aの平均粒径を約1.2μmと小さくして誘電体粒子2aの個数を2個とすると、誘電体層2自体の比誘電率が8000と低く、その結果、コンデンササンプルの静電容量が45μFと低くなる傾向があることが確認できた。
【0101】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、単位体積当たりの取得静電容量を向上でき、小型化しても大容量を有し、信頼性の高い積層セラミックコンデンサなどの電子部品およびその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。
【図2】図2(A)は図1に示す誘電体層の要部拡大断面図、図2(B)は図2(A)のIIB 部分の拡大図である。
【図3】図3は実施例1のセラミック焼成体の透過型電子顕微鏡写真である。
【図4】図4は図3の要部拡大写真である。
【図5】図5は実施例1のセラミック焼成体の微細構造をTEMにより観察した顕微鏡写真である。
【図6】図6は比較例1のセラミック焼成体の透過型電子顕微鏡写真である。
【図7】図7は図6の要部拡大写真である。
【符号の説明】
1… 積層セラミックコンデンサ
10… 素子本体
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極

Claims (8)

  1. 誘電体層と内部電極層とが交互に積層してある素子本体を有し、
    前記誘電体層と前記内部電極層との境界付近の少なくとも一部には、所定厚みの異相が形成してあり、
    前記異相は、前記誘電体層を構成する主成分と同じ組成であるが、結晶格子が異なる電子部品。
  2. 前記異相の厚みが、0.2〜0.8nmであることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
  3. 一対の内部電極層に挟まれる誘電体層に含まれる誘電体粒子の個数が、前記誘電体層の厚み方向に対して1個である請求項1または2に記載の電子部品。
  4. 誘電体層と、導電材粒子を含む内部電極層とが交互に積層してある素子本体を有し、
    一対の誘電体層に挟まれる内部電極層に含まれる導電材粒子の個数が、前記内部電極層の厚み方向に対して1個である請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品。
  5. 前記導電材粒子が、1粒子あたり2つ以上の双晶が形成された、ニッケルおよび/またはニッケル合金で構成してあることを特徴とする請求項4に記載の電子部品。
  6. 前記誘電体層には、SiO2 換算で500ppm以下のケイ素化合物が含有してある請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の電子部品を製造する方法であって、
    誘電体層と内部電極層とを交互に積層して得られる素子本体を1200〜1400℃の温度で焼成して焼結体を得る工程と、
    前記焼結体を800〜1100℃の温度でアニール処理してアニール処理済み焼結体を得る工程と、
    前記アニール処理済み焼結体を、700℃以上900℃未満の保持温度および0.5〜1.5時間の保持時間で熱処理して熱処理後焼結体を得る工程とを有する電子部品の製造方法。
  8. 前記熱処理工程における昇降温速度が、1000℃/時間超である請求項7に記載の電子部品の製造方法。
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