JP3874735B2 - デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、デバイス製造方法、それも、少なくとも部分的に放射線感受材料層で被覆された基板を得る段階と、放射系を用いて放射投影ビームを得る段階と、パターニング装置を用いて投影ビーム横断面にパターンを付与する段階と、パターン付与された放射ビームを放射線感受材料層のターゲット区画へ投影する段階とを含む形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ここで使用する「パターニング装置」の用語は、広義に解釈して、基板のターゲット区画に形成されるパターンに対応するパターンを放射ビーム横断面に付与するのに使用できる装置を指すものである。また「ライトバルブ」の用語も、同様の文脈で使用される。概して、前記パターンは、ターゲット区画に形成されるデバイス、例えば集積回路その他のデバイス内の特定機能層に対応する。このパターニング装置の例には、マスクと、プログラム可能なミラー配列と、プログラム可能なLCD配列とが含まれている:
【0003】
マスク。マスクの概念は、リソグラフィではよく知られており、それには、種々の型のマスク、例えばバイナリ型、交番位相偏移型、減衰位相偏移型、種々のハイブリッド型が含まれている。このようなマスクを放射ビーム内に配置することで、マスク上に入射する放射ビームが、マスクのパターンにしたがって選択的に透過(透過性マスクの場合)または反射(反射性マスクの場合)される。或るマスクの場合、支持構造物がマスクテーブルであり、マスクテーブルが、入射ビーム内の目標位置にマスクを保持し、所望とあれば、ビームに対してマスクを移動させることができる。
【0004】
プログラム可能なミラー配列。このデバイスの一例は、粘弾性制御層と反射面とを有する行列形式で区画認識可能な面である。この配列の背後の基本原理は、反射面の(例えば)アドレス区域が、入射ビームを回折光として反射する一方、非アドレス区域は入射ビームを非回折光として反射することにある。適当なフィルタの使用により、この非回折光は、反射光から濾外され、回折光のみを残すことができる。このようにして、ビームは行列形式で区画認識可能な面のアドレスパターンにしたがってパターン付与できる。プログラム可能なミラー配列の別の実施例では、マトリックス構成の小ミラーが採用され、小ミラーのそれぞれが、適当な局所的電場の印加により、または圧電アクチュエータ装置の使用により、軸線を中心として個別に傾けられる。繰り返すが、ミラーはマトリックスアドレス可能であり、その結果、アドレスされたミラーは、入射ビームを異なる方向で非アドレスミラーへ反射する。このようにして、反射ビームは、行列方式で区画認識可能なミラーのアドレスパターンにしたがってパターン付与される。必要なマトリックスアドレス作業は、適当な電子装置を用いて行われる。前述の双方の状況において、パターニング装置は、1つ以上のプログラム可能なミラー配列を含むことができる。ミラー配列についてのこれ以上の情報は、例えば米国特許5,296,891および5,523,193、PCT出願WO 98/38597およびWO 98/33096から収集できる。これらは、ここに引用することで本明細書に取り入れられるものである。
【0005】
プログラム可能なLCD配列。この構成の一例は、米国特許5,229,870に示されている。該特許は、ここに引用することで本明細書に取り入れられる。前述のように、この場合の支持構造物は、例えばフレームまたはテーブルとして構成され、要求に応じて固定式にも可動式にもすることができる。
【0006】
簡単化のため、本明細書の以下の部分は、特定箇所で、特にマスクまたはマスクテーブルに関係する例で説明することにする。しかし、それらの例で説明される一般原則は、既述のように、より広いパターニング装置の文脈で見られるべきである。
リソグラフィ投影装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用される。その場合、パターニング装置は、ICの個別層に対応する回路パターンを発生させることができ、このパターンが、放射線感受性材料層(レジスト)を被着された基板(シリコンウェーハ)上のターゲット区画(例えば1つ以上のダイを含む)に転写される。一般的に言って、単一ウェーハは、投影システムを介して一度に1個づつ順次に照射される複数隣接ターゲット区画の全ネットワークを含んでいる。マスクテーブル上のマスクによってパターン付与が行われる従来の装置には、2種類の異なる型がある、一方の型のリソグラフィ投影装置では、各ターゲット区画が照射され、全マスクパターンがターゲット区画上へ一括露光される。この型の装置は、普通、ウェーハステッパと呼ばれる。他方の型の装置−通常、ステップアンドスキャン装置と呼ばれる−の場合は、各ターゲット区画が、所定基準方向(「走査」方向)で投影ビーム下のマスクパターンを順次走査することで照射される一方、同時に、基板テーブルが前記方向に平行または逆平行に走査される。一般に、投影系は、倍率M(概して<1)を有するので、基板テーブルが走査される速度Vは、マスクテーブルが走査される速度のM倍である。ここに述べたリソグラフィデバイスに関するこれ以上の情報は、例えば米国特許6,049,792から収集できる。該特許は、ここに引用することで本明細書に取り入れるものである。
【0007】
リソグラフィ投影装置を使用する製造工程では、パターン(例えばマスク内の)が、少なくとも部分的に放射線感受性材料層(レジスト)で被覆された基板上に転写される。この転写段階の前に、基板には、種々の処理、例えばプライミング、レジスト被覆、ソフトベイク等が施される。露光後、基板には、他の処理、例えば露光後ベイク(PEB)、現像、ハードベイク、転写された形状特徴(features)の測定/点検等が行われる。この一連の処理は、例えばIC等のデバイスの個別層にパターン付与する基礎として行われる。こうしてパターン付与された層は、次いで種々の処理、例えばエッチング、イオン注入(ドーピング)、金属化、酸化、化学機械式研摩等を受けるが、これらの処理は、すべて個別層を仕上げる意図のものである。数層を要する場合は、全処理、またはその変化処理が、各層に反復される必要がある。場合により、複数デバイスが基板(ウェーハ)上に配列される。それらのデバイスは、ダイシングまたはソーイング等の技術で互いに分離され、次いで、個々のデバイスは、ピンに接続されたキャリア等に載せることができる。これらの処理に関するこれ以上の情報は、ピーター・ヴァン・ザント『半導体処理便覧』(Peter van Zant:A Practical Guide to Semiconductor Processing)(第三版、1997年マグロウヒル出版社刊、ISBN 0−07−067250−4)から得ることができ、該情報は、ここに引用することで本明細書に取り入れられる。
【0008】
簡単化のため、以下では、投影系を「レンズ」と呼ぶことがあるが、この用語は、種々の型の投影系、例えば屈折光学素子、反射光学素子、反射屈折光学素子を含むものと広義に解釈されたい。放射系もまた、それらの種類の設計のいずれかにより動作する構成素子を含むことで、放射投影ビームを指向させ、付形し、制御することができ、かつそれらの構成素子も、以下では、集合的に又は単一で「レンズ」と呼ぶことがある。更に、リソグラフィ装置は、2個以上の基板テーブル(及び/又は2個以上のマスクテーブル)を有する型のものでよい。この型の「多ステージ」装置では、付加テーブルが並列的に使用されるか、準備段階が1個以上のテーブルで行われる一方、1個以上の別のテーブルが露光に使用される。2重ステージのリソグラフィ装置は、例えばUS5,969,441及びWO98/40791に記載されており、それらは、ここに引用することで本明細書に取り入れられるものである。
【0009】
リソグラフィ装置内の種々の可動構成素子の位置と運動は、精密に制御されねばならない。多くの場合、運動と制御には6度の自由度が必要である(線形に3直交方向と3直交軸線を中心とする回転方向)。例えばステップアンドスキャン装置では、マスクテーブルと基板テーブルとは、それぞれ投影ビーム下及び投影系下で例えばy方向に走査されねばならない。各瞬間に、マスクテーブルと基板テーブルの位置と速度が精密制御されねばならない。例えばオーバーレイ誤差を防止するためには、マスク平面内でのマスクテーブル位置(投影ビームに対し事実上直角のX−Y平面内での)が正確であることが重要である。また、写像の正確な結像が保証されるには、Z方向(投影ビームと平行方向)でのマスクテーブル位置が正確であることが重要である。投影ビームに対して平行の軸線を中心とするか、又はマスク平面内の軸線を中心とする、いずれかのマスクテーブル回転も結像誤差を発生させる。
【0010】
マスクテーブル又は基板に対し要求される制御を実施するためには、互いに直角の少なくとも2方向に直線的に作用する制御された線形力と、該2つの線形力の方向と直角の軸線を中心とするトルクとが得られるアクチュエータシステムが備えられる。このアクチュエータシステムにより、互いに直角の3方向での線形力と、これらの方向と平行な軸線を中心とするトルクとが得られるのが好ましい。これら線形力と回転力とにより、マスクパターンまたは基板が、所望どおり加速され、したがって、適当な制御装置を使用することで、6度の自由度で対象物の位置及び速度を制御できる。アクチュエータシステムは、例えば、マスクテーブル又は基板テーブルの重量に耐えるように重力補償装置と組み合わされた複数の個別アクチュエータから成っている。あるいはまた、アクチュエータシステムは、基板又はマスクテーブルの制御に要するあらゆる力が得られるプレーナモータでよい(このモータの説明は、例えばWO 01/18944 A1から得られ、ここに引用することで本明細書に取り入れられる)。
【0011】
従来の制御系は、基板テーブル又はマスクテーブルを全体として、その位置及び速度を制御するだけだった。したがって、構成素子上の1点の位置及び速度は、所望どおりに正確には制御できなかった。
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、構成素子上の1点の線形位置及び速度に対する構成素子の旋回調節の影響を補償する、リソグラフィ装置内の可動構成素子を制御する方法を得ることにある。
【0012】
前記目的及びその他の目的は、冒頭に述べたデバイス製造方法において、以下の段階を含む本発明により達せられた。すなわち
第1と第2の直交方向での目標線形加速と、構成素子の1点に、前記第1と第2の方向に対し直角の軸線を中心とする角加速とを発生させる段階を含み、
しかも、目標線形加速と角加速とを発生させる前記段階には、
前記構成素子の質量中心に双方の前記目標加速を発生させるのに要する位置決め力を決定する段階と、
前記構成素子の前記点の第1方向での速度と、前記第1と第2の方向に対し直角の前記軸線を中心とする前記構成素子の角速度とに比例する大きさを有する、前記第2方向の修正力を決定する段階と、
前記構成素子の質量中心に対して、位置決め力と修正力との合計を作用させる段階とが含まれている。
【0013】
修正力を決定し、かつ作用させることにより、構成素子内の区画の位置と速度の制御が改善されるが、この改善は、全体としての構成素子の、第1方向での線形運動と、第1及び第2の方向に対し直角の軸線を中心とする旋回運動との組合わせの、第2方向での当該の点に対する作用を補償することで行われる。この補償なしには、構成素子上の複数点の直線方向での位置及び速度は、構成素子が旋回すると変化し、構成素子の前記複数点の位置及び速度の精度が低下する。こうしたことは、例えば構成素子上の点が、投影ビーム又はパターン付与されたビームがそれぞれ入射するパターニング素子上または基板上の区画の場合には、致命的になることがある。本発明は、したがって極めて有益である。なぜなら、構成素子内の当該区画の位置精度を高めることができるからである。
【0014】
第2方向で得られる力は、更に2つの修正力によって変更されるのが好ましい。第1の修正力は、第1及び第2の方向に対し直角の軸線を中心とする前記構成素子の角加速と、構成素子の質量中心と構成素子上の前記点との間の、第1方向での距離との積に比例し、第2の修正力は、第1方向での前記構成素子の加速と、予め決められた位置に対する、第1及び第2方向と直角の軸線を中心とする構成素子の角変位との積に比例する。
これらの修正力により、更に構成素子上の点の位置及び速度を制御できる精度が、全体としての構成素子の位置及び速度を制御するだけの、つまり構成素子の質量中心の位置及び速度を制御するだけの場合よりも、高められる。
本発明は、パターニング素子を保持するマスクテーブル及び/又は基板を保持する基板テーブルの位置及び速度を制御するのに使用できる。このことが特に有用なのは、いずれの場合も投影ビーム(又はパターン付与されたビーム)は、パターニング素子(又は基板)の比較的小さいターゲット区画に入射するだけだからである。したがって重要なことは、パターニング素子(又は基板)を単に全体としてだけではなく、ターゲット区画の位置及び速度を、6度の自由度で正確に制御できることである。
【0015】
本発明の更に別の態様により、リソグラフィ投影装置を制御するコンピュータプログラムが得られ、該コンピュータプログラムには、
第1と第2の直交方向での目標線形加速と、構成素子の1点上での前記第1と第2の方向に対し直角方向の軸線を中心とする角加速とを発生させるコード手段が含まれ、
しかも、前記目標線形加速と角加速とを発生させる前記コード手段には、
前記構成素子の質量中心に前記目標加速を発生させるのに要する位置決め力を決定するためのコード手段と、
前記構成要素上の前記点の第1方向での速度と、前記第1と第2の方向に対し直角の前記軸線を中心とする前記構成要素の角速度とに比例する大きさを有する、前記第2方向での修正力を決定するためのコード手段と、
前記構成要素の質量中心に対して位置決め力と修正力との合計を作用させるため、アクチュエータシステムを制御するコード手段がふくまれている。
【0016】
本発明の更に別の態様により得られるリソグラフィ投影装置には、
放射投影ビームを得るための放射系と、
目標パターンにしたがって投影ビームにパターン付与するパターニング装置を支持する支持構造物と、
基板を保持する基板テーブルと、
基板のターゲット区画にパターン付与されたビームを投影する投影系と、
第1と第2の直交方向での所要線形加速と、装置内の可動構成素子上の1点に第1と第2の方向に対し直角の軸線を中心とする所要角加速とを作用させるのに要する力を決定する制御系とが含まれ、該制御系が、
前記構成素子の質量中心に前記双方の所要加速を作用させるのに要する位置決め力を決定する装置と、
前記構成素子上の前記点の第1方向での速度と、前記第1と第2の方向に対し直角の前記軸線を中心とする前記構成素子の角速度とに比例する大きさを有する、前記第2方向の修正力を決定する装置と、
前記位置決め力と修正力との合計を決定する装置とを含み、更に前記リソグラフィ投影装置が、前記構成要素の質量中心に対し力の前記合計を作用させるアクチュエータシステムを含んでいる。
【0017】
本明細書では、特に集積回路の製造に本発明の装置を使用する場合について言及されているが、本発明による装置は、多くの他の用途にも使用可能であることは言うまでもない。例えば、集積光学系、磁区メモリ用の案内及び検出パターン、液晶ディスプレーパネル、薄膜磁気ヘッド等々の製造に使用できる。当業者は、このような別の用途の場合には、本明細書で用いられている「レチクル」、「ウェーハ」、「ダイ」の用語が、より一般的な用語「マスク」、「基板」、「ターゲット区画」に、それぞれ置き換えられると考えるのがよい。
本明細書では、「放射線」及び「ビーム」の用語は、紫外線(例えば波長365、248、193、157、126nmの紫外線を含む)及びEUV(極端紫外線、例えば波長5〜20nmの)を含むあらゆる種類の電磁放射線、並びにイオンビーム又は電子ビーム等の粒子ビームを含んでいる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下で、本発明の実施例を添付略示図面を参照して説明する。
図において、対応する部品には対応する符号が付されている。
実施例1
図1は、本発明の一特定実施例によるリソグラフィ投影装置を示すものである。該装置には、
この特定の場合には放射源LAをも含む、放射線(例えばUV)の投影ビームPBを供給する放射系Ex,ILと、
マスクMA(例えばレチクル)を保持するマスクホールダを備え、素子PLに対しマスクを精密位置決めする第1位置決め素子に接続された第1客体テーブル(マスクテーブル)MTと、
基板W(例えばレジスト被覆されたシリコンウェーハ)を保持する基板ホールダを備え、素子PLに対し基板を精密位置決めする第1位置決め素子に接続された第2客体テーブル(基板テーブル)WTと、
基板Wのターゲット区画C(例えば1個以上のダイを含む)にマスクMAの照射区域を結像させる投影系(「レンズ」)PL(例えば屈折レンズ群)とが含まれている。
【0019】
図示のように、該装置は透過型である(すなわち透過性マスクを有している)。しかし、一般的に、例えば反射型(反射性マスクを有している)の装置も可能である。あるいはまた、該装置は、別の種類のパターニング素子、例えば既述の型式のプログラム可能なミラー配列を採用することもできる。
放射源LA(例えばエキシマレーザ)は放射ビームを発生させる。このビームは、照明系(照明器)ILへ、直接に又は例えばビームエキスパンダEx等のコンディショニング装置を通過後に供給される。照明器ILは、ビーム内の強度分布の半径方向外方及び/又は内方の広がり(通常、それぞれσ−外方及びσ−内方と呼ぶ)を設定する調節装置AMを含むことができる。加えて、一般的に、その他種々の構成素子、例えば積分器IN、コンデンサCO等を含むことができる。このようにすることで、マスクMA上に入射するビームPBには、その横断面での均一性及び強度の目標分布が可能になる。
図1に関して注意すべき点は、線源LAは、リソグラフィ投影装置のハウジング内に配置できるが(線源LAが例えば水銀灯の場合が多い)、リソグラフィ投影装置から離れた場所に設置して、線源からの放射ビームを装置内へ導入することもできる(例えば適当な指向性ミラーを用いて)。後者の場合は、線源LAがエキシマレーザの場合が多い。本発明及び特許請求の範囲は、前記双方の場合を含むものである。
【0020】
ビームPBは、次に、マスクテーブルMT上に保持されたマスクMAと交差する。マスクMAを通過したビームPBは、レンズPLを通過し、該レンズにより基板Wのターゲット区画CへビームPBが集束する。第2位置決め装置(及び干渉測定装置IF)によって、基板テーブルWTは、例えば、ビームPBの経路内に異なるターゲット区画Cを位置決めするために、正確に移動せしめられる。同じように、第1位置決め装置は、例えば、マスクMAをマスクライブラリーから機械式に取出した後か、又は走査中に、ビームPBの経路に対しマスクMAを正確に位置決めするのに使用できる。一般に、客体テーブルMT,WTの運動は、長行程モジュール(コース位置決め)と短行程モジュール(精密位置決め)とによって実現される。これらのモジュールは、図1には明確には示されていない。しかし、ウェーハステッパの場合には(ステップアンドスキャン装置の場合と異なり)、マスクテーブルMTが、短行程アクチュエータに接続されるか、又は固定される。
【0021】
図示の装置は、2つの異なるモードで使用できる:
1. ステップモードでは、マスクテーブルMTは、事実上定置されたままであり、全マスク画像がターゲット区画Cに一括して(すなわち単一「フラッシュ」で)投影される。次いで、基板テーブルWTがx及び/又はy方向に変位されることで、別のターゲット区画CがビームPBによって照射される。
2. 走査モードでも、事実上同じシナリオが適用されるが、所定ターゲット区画Cが単一「フラッシュ」では露光されない点が異なっている。その代わり、マスクテーブルMTが所定方向(いわゆる「走査方向」、例えばy方向)に速度νで可動であり、これにより投影ビームPBは、マスク画像全体にわたって走査せしめられる。同時に、基板テーブルWTが、等方向又は逆方向に速度V=Mνで移動せしめられる。この場合、MはレンズPLの倍率である(通常、M=1/4又は1/5)。こうして、比較的大きいターゲット区画Cが露光でき、解像面で妥協する必要がない。
【0022】
既述のように、また図2に示すように、装置が走査モードで使用される場合、投影ビームは、基板上の1点、すなわち基板のターゲット区画Cの下位区画、以下でターゲット下位区画CSと呼ぶ、に集束される(これに対応して、投影ビームは、マスクのターゲット区画のターゲット下位区画Cmにのみ集束される)。このことは、基板が走査されるにつれて(図2に示す方向Sに)、基板の位置及び配向が、基板表面の不完全さを計算に入れて調節可能であることを意味する。便宜上、以下の説明では、走査方向をY方向、放射ビームと平行方向をZ方向、図2の平面と直角方向(つまりY,Z両方向と直角方向)をX方向と、それぞれ呼ぶことにする。
【0023】
図2には、基板表面WSの凹凸は誇張して示されているが、X軸を中心として基板を旋回させ、基板のターゲット下位区画CSの表面が事実上投影ビームに対し直角になることが望ましい。また、基板位置をZ方向で調節して、ターゲット下位区画CSが、投影レンズPLから事実上正確な焦点距離にあるようにするのが望ましい。線源LAに対しマスクを位置決めするさいには、相応の考慮がなされる。注意すべき点は、基板上のターゲット下位区画CSが基板に対し固定されていないことである。基板が、投影ビーム下で走査されるにつれて、ターゲット下位区画CSは基板の表面に沿って移動する。
基板テーブル又はマスクテーブルの表面トポグラフィの検出(及び必要とされる調節)が、いわゆる「予備走査ステージ」中の走査の進行時に行われるか、もしくは走査の進行中に(「飛行中に」)行われる。図2には示されていないが、基板テーブル又はマスクテーブルの位置も、Y軸とZ軸を中心とする旋回により調節できる。最後に、X方向の修正が必要となる。
【0024】
図3は、基板テーブルWT上の基板Wと、基板テーブルの位置、速度、加速並びに基板テーブルに作用する力を規定するために使用される座標とを示している。基板テーブルは、空気マウント又はプレーナモータによって支持されている。したがって、X軸を中心として基板テーブルに作用するどのトルクTRXも、基板テーブル/基板の組合わせの質量中心COMを中心とする加速を、該組合わせに発生させる。その結果生じる基板テーブル角位置RXの変化により、Z方向でのターゲット下位区画CSの位置誤差が生じる。このため、トルクTRXが基板テーブルに作用する場合、Z方向での力FZに対する調節が必要になる。
対象物の、この場合は基板テーブル/基板の組合わせの角加速は、該組合わせに作用するトルクに比例する。この場合、それが
【数式1】
として表され、この式において、JXXはX軸を中心とする基板テーブル/基板の組合わせの慣性モーメントであり、
は角加速である。
【0025】
この角加速
は、基板及び基板テーブル内の区画の線形加速を生じさせる。この場合、我々が関心をもつものは、投影ビームが向けられる基板のターゲット下位区画CSの、Z方向での線形加速の影響である。既述のように、基板上のターゲット下位区画CSと投影系との間隔zは、一定に維持して基板上での投影ビーム集束を維持せねばならない。角加速の結果生じる基板ターゲット下位区画CSのZ方向での線形加速
は
【数式2】
によって決定できる。この式において、yは、基板テーブル/基板の組合わせの質量中心COMと、基板ターゲット下位区画CSとの間の、Y方向での間隔である。
【0026】
更に、基板ターゲット下位区画CSの、Y方向(走査方向)での線形速度
と、X軸を中心とする基板の角速度
との組合わせ効果により、Z方向でのターゲット下位区画CSの付加加速
が生じる。ターゲット下位区画CSの線形速度
は直接には決定されない。干渉測定系によって、基板全体の位置及び速度が検出される。これらの測定値から、ターゲット下位区画CSの位置及び速度が、単純な機械的関係によって決定できる。加速
は、下記の式によって決定できる:
【数式3】
最後に、基板テーブル/基板の組合わせの、Y方向での加速(大部分は走査の開始時及び終了時の)も、ターゲット下位区画CSの、Z方向での加速を生じさせる。この加速の効果は次式によって決定できる:
【数式4】
【0027】
したがって、基板のターゲット下位区画CSの位置を精密に制御するには、Z方向の力を基板に作用させて、基板の運動によって生じる加速
を相殺せねばならない。前記力は、基板全体の位置調節に要する加速
を得るために必要な力に加えられる。Z方向で基板に作用せねばならないこれらの合計された力FZは次式で決定できる:
【数式5】
この式において、mは基板テーブル/基板の組合わせ質量である。
装置の操作条件に応じて、既出の項の幾つかは無視でき、したがって、制御を簡単化するために省いてもよい。加速
の修正に要する力は、別個のアクチュエータで得られるが、より好ましいのは、単一アクチュエータを用いて合計力FZを得ることであり、制御系を所要合計力の検出に用いることである。それらの力はプレーナモータにより得るのが好ましい。プレーナモータにより、6度の自由度で基板テーブルを制御するのに要する力のすべてを得ることができる。
【0028】
適当な変更態様による同じ方法及び装置を、X方向での線形運動とY軸を中心とする旋回運動との結果であるZ方向での構成素子の位置の調節に使用できる。相応に、この方法及び装置は、またY方向とX方向での構成素子の位置を調節して、他の2軸に沿った、また2軸を中心とした運動を補償するのに使用することができる。
以上、本発明の特定実施例を説明したが、本発明は、既述の説明とは別様に実施することもできることは言うまでもない。以上の説明は、本発明を限定する意図のものではない。特に、既述の説明は基板テーブル及びマスクテーブルの制御についてのものだが、本発明は、装置内のどの可動構成素子の位置決めにも使用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるリソグラフィ投影装置の図。
【図2】投影ビームで露光される間に走査される基板を示す図。
【図3】基板テーブル上の基板を示す図。
【符号の説明】
LA 線源
Ex ビームエキスパンダ
IL 照明系
AM 調節装置
IN 積分器
CO コンデンサ
PB 投影ビーム
MA マスク
MT マスクテーブル
PL 投影系(レンズ)
W 基板
WT 基板テーブル
C ターゲット区画
CS 基板のターゲット下位区画
WS 基板表面
S 走査方向
RX 基板テーブルの角位置
TRX トルク
COM 基板テーブル/基板組合わせの質量中心
Claims (10)
- デバイスの製造方法であって、
少なくとも部分的に放射線感受材料層で被覆された基板を得る段階と、
放射系を用いて放射投影ビームを得る段階と、
パターニング装置を用いてマスクを介して投影ビーム横断面にパターンを付与する段階と、
パターン付与された放射ビームを放射線感受材料層のターゲット部分へ投影する段階とを含む形式のものにおいて、
直交する第1と第2の方向での目標線形加速と、基板又はマスクを備える構成素子上の1点上での、前記第1と第2の方向に対し直角の軸線を中心とする角加速とを発生させる段階を含み、しかも、前記目標線形加速と角加速とを発生させる段階に、
前記構成素子の質量中心に前記目標線形加速と角加速とを発生させるのに要する位置決め力を決定する段階と、
位置決め力を作用させる前に、前記構成素子上の前記点の第1方向での速度と、前記第1と第2の方向に対し直角の前記軸線を中心とする前記構成素子の角速度とに比例する大きさを有する、前記第2方向の修正力を予め決定する段階と、
前記構成素子の質量中心に対して、位置決め力と修正力との合計を作用させる段階とが含まれる、デバイスの製造方法。 - 位置決め力と修正力との合計を作用させる段階で、複数アクチュエータを有するシステムが使用され、該アクチュエータのすべてが質量中心を介して作用するわけではなく、該アクチュエータシステムにより加えられる力は、前記構成素子の質量中心でのそれらの力の合計が、位置決め力と修正力の前記合計に等しい、請求項1に記載されたデバイス製造方法。
- 更に、位置決め力を作用させる前に、第2修正力を予め決定する段階が含まれ、該第2修正力が、前記第2方向では、前記第1と第2の方向に対し直角の前記軸線を中心とする前記構成素子の角加速と、前記構成素子の質量中心・前記構成素子上の点間の、第1方向での距離との積に比例する大きさを有しており、
前記作用させる段階で、位置決め力と修正力との合計を作用させる、請求項1または請求項2に記載されたデバイス製造方法。 - 更に、位置決め力を作用させる前に、第3修正力を予め決定する段階が含まれ、該第3修正力が、前記第2方向では、第1方向での前記構成素子の加速と、第1と第2方向に対して直角の前記軸線を中心とする、予め決めた位置に対する前記構成素子の角変位との積に比例する大きさを有しており、
前記作用させる段階で、位置決め力と修正力との合計を作用させる、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載されたデバイス製造方法。 - 前記構成素子が、パターニング装置とその支持体との組合わせであり、前記構成素子上の前記点が、投影ビームが入射するパターニング装置上の区画である、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたデバイス製造方法。
- 前記構成素子が、基板とそれを支持する基板テーブルとの組合わせであり、構成素子上の前記点が、パターン付与されたビームが入射する基板上の区画である、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたデバイス製造方法。
- 前記第2方向が投影ビームまたはパターン付与されたビームの方向と平行である、請求項5または請求項6に記載されたデバイス製造方法。
- リソグラフィ投影装置の制御用のコンピュータプログラムにおいて、該コンピュータプログラムが、
直交する第1と第2の方向での目標線形加速と、基板又はマスクを備える構成素子の1点上での前記第1と第2の方向に対し直角の軸線を中心とする角加速とを発生させるコード手段を含み、しかも、
前記目標線形加速と角加速とを発生させる前記コード手段が、
前記構成素子の質量中心に前記目標線形加速と角加速とを発生させるための所要位置決め力決定用と、
前記構成素子の前記点の第1方向での速度と、前記第1と第2の方向に対し直角の前記軸線を中心とする前記構成素子の角速度とに比例する大きさを有する、前記第2方向での修正力を、位置決め力を作用させる前に、予め決定する用と、
前記構成素子の質量中心に対して位置決め力と修正力との合計を作用させるためのアクチュエータシステム制御用との、コード手段を含むコンピュータプログラム。 - リソグラフィ投影装置において、
該リソグラフィ投影装置が、
放射投影ビームを得るための放射系と、
目標パターンにしたがってマスクを介して投影ビームにパターン付与するパターニング装置を支持する支持構造物と、
基板を保持する基板テーブルと、
基板ターゲット区画にパターン付与されたビームを投影する投影系と、
直交する第1と第2の方向での所要線形加速と、装置内の基板又はマスクを備える可動構成素子上の1点での第1と第2の方向に対し直角の軸線を中心とする所要角加速とを発生させるための所要力を決定する制御系とを含んでおり、該制御系が、
前記構成素子の質量中心に前記双方の所要線形加速と所要角加速とを発生させるのに要する位置決め力を決定する装置と、
位置決め力を作用させる前に、前記構成素子上の前記点の第1方向での速度と、前記第1と第2の方向に対し直角の前記軸線を中心とする前記構成素子の角速度とに比例する大きさを有する、前記第2方向の修正力を予め決定する装置と、
前記位置決め力と修正力との合計を決定する装置とを含み、
更に前記リソグラフィ投影装置が、前記構成素子の質量中心に対し力の前記合計を作用させるアクチュエータシステムを含む、リソグラフィ投影装置。 - 前記アクチュエータシステムがプレーナモータである、請求項9に記載されたリソグラフィ投影装置。
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