JP3871837B2 - ホログラム記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホログラム記録媒体の製造方法に関し、特に、計算機を用いた演算によって作成するのに適したホログラム記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金券やクレジットカードについての偽造防止の用途として、ホログラムが広く利用されるに至っている。通常は、偽造防止対策を施す対象となる媒体上の一部に、ホログラムを記録する領域を設け、この領域内に立体像などをホログラムの形で記録することが行われている。
【0003】
現在、商業的に利用されているホログラムは、光学的な手法により、原画像を媒体上に干渉縞として記録したものである。すなわち、原画像を構成する物体を用意し、この物体からの光と参照光とを、レンズなどの光学系を用いて感光剤が塗布された記録面上に導き、この記録面上に干渉縞を形成させるという手法を採っている。この光学的な手法は、鮮明な画像を得るためにかなり精度の高い光学系を必要とするが、ホログラムを得るための最も直接的な手法であり、産業上では最も広く普及している手法である。
【0004】
また、最近では、計算機を用いた演算により記録面上に干渉縞を形成させ、ホログラムを作成する手法も知られており、このような手法で作成されたホログラムは、一般に「計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram )」、あるいは単に「計算機ホログラム」と呼ばれている。この計算機ホログラムは、いわば光学的な干渉縞の生成プロセスをコンピュータ上でシミュレーションすることにより得られるものであり、干渉縞パターンを生成する過程は、すべてコンピュータ上の演算として行われる。このような演算によって干渉縞パターンの画像データが得られたら、この画像データに基いて、実際の媒体上に物理的な干渉縞が形成される。具体的には、たとえば、コンピュータによって作成された干渉縞パターンの画像データを電子線描画装置に与え、媒体上で電子線を走査することにより物理的な干渉縞を形成する方法が実用化されている。
【0005】
コンピュータグラフィックス技術の発展により、印刷業界では、種々の画像をコンピュータ上で取り扱うことが一般化しつつある。したがって、ホログラムに記録すべき原画像も、コンピュータを利用して得られた画像データとして用意することができれば便利である。このような要求に応えるためにも、計算機ホログラムを作成する技術は重要な技術になってきており、将来は光学的なホログラム作成手法に取って代わる技術になるであろうと期待されている。このような計算機ホログラムに関する種々の技術は、たとえば、特開平9−319290号公報、特開平10−123919号公報、特開平11−24539号公報、特開平11−24540号公報、特開平11−24541号公報、特開平11−202741号公報、特開2000−214750号公報、特開2000−214751号公報、特開2001−013858号公報、特開2001−013859号公報などに開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本来、ホログラムは、単一波長からなる物体光および参照光の干渉縞を記録面に記録し、この干渉縞に、同じ単一波長をもった再生用照明光を照射することにより、立体像の再生を行うべきものである。しかしながら、単一波長による再生は、実験室などの特殊な環境でなければ実現不可能であり、実用上は、クレジットカードの一部などに記録されたホログラムについては、種々の波長の光が混じり合った白色照明光の下で再生されるのが一般的である。ところが、従来の一般的なホログラム記録媒体を、白色照明光の下で再生すると、記録された干渉縞からは様々な色の再生光が分散して観察されることになるため、カラー画像を正しく再生させることはできない。
【0007】
このような問題を解決するために、特願平11−017749号明細書には、記録媒体上にRGBの三原色を記録するための別々の領域を設け、白色照明光の下であっても各領域ごとに特定の原色の再生が行われるようにし、全体としてカラー画像を再生することができる技術が開示されている。しかしながら、この技術を用いて、特定の色が偏在しているようなカラー原画像を記録した場合、再生像が全体的に暗くなるという問題が生じる。
【0008】
そこで本発明は、白色照明光の下でも明るいカラー画像の再生を行うことができるホログラム記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1) 本発明の第1の態様は、計算機を用いた演算によりホログラム記録媒体を製造する方法において、
XYZ三次元座標系上に、互いに空間的に重複することがないように配置された複数の「立体形状をもった単色部分原画像」を定義し、これら単色部分原画像を組み合わせることにより複数の色からなる原画像が構成されるようにする原画像定義段階と、
各単色部分原画像上に、それぞれ各単色部分原画像ごとに固有の色をもった多数の微小光源を定義する光源定義段階と、
XY平面上に、原画像を記録するための記録面を定義し、この記録面上に、互いに重複することがないように、各単色部分原画像にそれぞれ対応する部分領域を定義する記録面定義段階と、
各部分領域内に、それぞれ対応する単色部分原画像をホログラム像として記録することができるように、各単色部分原画像上に定義された各微小光源から放出された当該微小光源のもつ固有の色に対応する特定波長の物体光と、記録面に所定角度で入射し物体光と同一波長をもった参照光とを定義し、各微小光源から放出された物体光が、対応する部分領域内にのみ到達するように、物体光の広がり角を制限し、個々の部分領域内にそれぞれ特定波長の物体光とこの物体光の特定波長と同一波長の参照光との干渉によって生じる干渉縞を演算により求める干渉縞演算段階と、
各部分領域について求められた干渉縞を媒体上に物理的に記録する干渉縞記録段階と、
を行うようにしたものである。
【0015】
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係るホログラム記録媒体の製造方法において、
複数の単色部分原画像が互いに所定間隔をおいて離れて配置されている場合に、これらに対応する各部分領域を、記録面上で互いに所定間隔をおいて離れて配置されるように定義し、各部分領域間の空隙部分には、干渉縞が形成されない空白領域が形成されるようにしたものである。
【0016】
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1または第2の態様に係るホログラム記録媒体の製造方法において、
各単色部分原画像を記録面上に投影してそれぞれの二次元投影像を求め、各二次元投影像を包含する領域として、各単色部分原画像に対応する部分領域を定義するようにしたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
§1.計算機ホログラムの基本原理
図1は、一般的なホログラムの作成方法を示す原理図であり、原画像10を記録媒体20上に干渉縞として記録する方法が示されている。ここでは、説明の便宜上、図示のとおりXYZ三次元座標系を定義し、記録媒体20(説明の便宜上、厚みをもたない媒体、すなわち、記録面自体と考えることにする)がXY平面上に置かれているものとする。光学的な手法を採る場合、記録対象となる物体が原画像10として用意されることになる。この原画像10上の任意の点Pから発せられた物体光Oは、記録媒体20の全面に向けて進行する。一方、記録媒体20には、参照光Lが照射されており、物体光Oと参照光Lとの干渉縞が記録媒体20上に記録されることになる。
【0018】
記録媒体20の位置に計算機ホログラムを作成するには、原画像10、記録媒体20、参照光Lを、コンピュータ上にデータとしてそれぞれ定義し、記録媒体20上の各位置における干渉波強度を演算すればよい。具体的には、図2に示すように、原画像10をN個の点光源P1,P2,P3,…,Pi,…,PNの集合として取り扱い、各点光源からの物体光O1,O2,O3,…,Oi,…,ONが、それぞれ演算点Q(x,y)へと進行するとともに、参照光Lが演算点Q(x,y)に向けて照射されたものとし、これらN本の物体光O1〜ONと参照光Lとの干渉によって生じる干渉波の演算点Q(x,y)の位置における振幅強度を求める演算を行えばよい。物体光および参照光は、通常、単色光として演算が行われる。記録媒体20上には、必要な解像度に応じた多数の演算点を定義するようにし、これら各演算点のそれぞれについて、振幅強度を求める演算を行えば、記録媒体20上には干渉波の強度分布が得られることになる。
【0019】
このようにして、記録媒体20上に定義された個々の演算点について、それぞれ干渉波の強度値が演算できたら、個々の演算点位置に、干渉波の強度値に応じた画素値を有する画素を定義すれば、これら画素の集合からなる干渉波画像を記録媒体20上に作成することができる。この干渉波画像は、記録媒体上に得られた干渉波の強度分布を示す画像ということになる。そこで、この干渉波画像に基づいて、実際の媒体上に物理的な濃淡パターンやエンボスパターンを形成すれば、原画像10を干渉縞として記録したホログラムが作成できる。媒体上に高解像度の干渉縞を形成する手法としては、電子線描画装置を用いた描画が適している。電子線描画装置は、半導体集積回路のマスクパターンを描画する用途などに広く利用されており、電子線を高精度で走査する機能を有している。そこで、演算によって求めた干渉波の強度分布を示す画像データを電子線描画装置に与えて電子線を走査すれば、この強度分布に応じた干渉縞パターンを描画することができる。
【0020】
ただ、一般的な電子線描画装置は、描画/非描画を制御することにより二値画像を描画する機能しか有していない。そこで、演算によって求めた強度分布を二値化して二値画像を作成し、この二値画像データを電子線描画装置に与えればよい。図3は、このような二値化処理の概念図である。上述した演算により、記録媒体20上の各演算点Q(x,y)には、所定の干渉波強度(物体光と参照光との干渉波の振幅強度値)が定義されることになる。そこで、この振幅強度値に対して所定のしきい値(たとえば、記録媒体20上に分布する全振幅強度値の平均値)を設定し、このしきい値以上の強度値をもつ演算点には画素値「1」を与え、このしきい値未満の強度値をもつ演算点には画素値「0」を与えるようにし、各演算点Q(x,y)を、「1」もしくは「0」の画素値をもつ画素D(x,y)に変換すれば、多数の画素D(x,y)の集合からなる二値画像が得られる。この二値画像のデータを電子線描画装置に与えて描画を行えば、物理的な二値画像として干渉縞を描画することができる。実際には、この物理的に描画された干渉縞に基づいて、たとえばエンボス版(画素値「1」をもつ画素部分を凸部、画素値「0」をもつ画素部分を凹部とするエンボス版、あるいは凹凸の関係がその逆のエンボス版)を作成し、このエンボス版を用いたエンボス加工を行うことにより、表面に干渉縞が凹凸構造として形成されたホログラムを量産することができる。
【0021】
さて、上述のような方法により作成されたホログラムが記録された記録媒体を、理想的な条件の下で再生するには、記録時に用いた参照光Lと同一波長の光を同一方向から照射すればよい。すなわち、図1に示すような方向から再生用の照明光Lを照射し、これを記録媒体20の裏側から観察すれば、原画像10が立体再生像として観察されることになる。
【0022】
しかしながら、クレジットカード用の偽造防止マークなどとして実社会で利用されているホログラム記録媒体の場合、上述のような理想的な条件で再生されることはむしろ希である。特に、実社会における照明環境では、単色光はほとんど存在せず、自然光や照明器具からの光は、ほとんどが白色光に近いものである。このような白色光を用いて再生を行った場合、記録された干渉縞からは様々な色の再生光(再生のための照明光を記録媒体に照射した際に、記録媒体上の干渉縞に基づいて生じる光)が分散することになり、再生像は白濁して観察されることになる。
【0023】
図4は、白色光を用いた再生により白濁した再生像が得られる原理を示す側面図である。ここでは、記録媒体20上に、上述した方法によりホログラムが記録されているものとし、この記録媒体20の左側から再生用の白色照明光Lw(平面波)を角度θをもって照射した状態で、記録媒体20の右側の視点Eにおいて再生像を観察するものとする。なお、図4では、記録媒体20に対して、視点Eの反対側から白色照明光Lwを照射して再生を行っているが、クレジットカード用の偽造防止マークなどとして利用されているホログラム記録媒体の場合は、視点E側から照射された白色照明光を用いた再生が行われることになる(この場合の図は、図4に示されている白色照明光Lwを、記録媒体20に関して面対称の位置にもっていったものになる)。
【0024】
いま、白色照明光Lwの照射によって記録媒体20から生じる再生光に着目すると、白色照明光Lwには種々の波長の光が含まれているため、再生光にも種々の波長が含まれることになる。しかも、記録媒体20上の同一点から視点E側に向かう再生光の向きは、波長によってそれぞれ異なる。たとえば、記録媒体20上の3点Q1,Q2,Q3から生じる再生光のうち、三原色RGBの波長成分のみに着目すると、図4に示す例では、点Q1からは再生光R1,G1,B1が図示の方向に向かい、点Q2からは再生光R2,G2,B2が図示の方向に向かい、点Q3からは再生光R3,G3,B3が図示の方向に向かうことになる。このため、視点Eの位置には、様々な波長成分の再生光が観察されることになり、再生像は白濁したものとなってしまう。これは、視点Eの位置を動かしても同じである。
【0025】
もっとも、記録媒体20の縦寸法に比べて、視点Eと記録媒体20との距離がかなり大きい場合、記録媒体20から図の水平方向に向かう光が視点Eに到達するものと考えても問題は生じない。たとえば、クレジットカード用の偽造防止マークなどとして利用されているホログラム記録媒体の場合、記録媒体の縦寸法は1cm程度であるのに対し、これを観察するときの目と記録媒体との距離は25cm程度になるのが一般的であり、しかも目の位置は記録媒体の垂直上方に置かれるのが一般的である。このため、目の位置においては、記録媒体から垂直に放出された平行光線のみが到達すると近似しても問題はない。このような環境下であれば、図4の例の場合、緑色の再生光G1,G2,G3が視点Eにおいて観察されることになり、緑色の再生像を得ることが可能になる。
【0026】
しかしながら、このような従来の計算機ホログラムでは、カラー(多色の意)の原画像を再生させることができない。たとえば、図4に示す例では、視点Eの位置からは、原画像は全体として緑色の像として観察されることになり、単一色の再生像しか得られないことになる。本発明の目的は、白色光を用いて再生を行った場合でも、明るいカラー再生像を得ることができるようなホログラムを計算機による演算を利用して作成することにある。以下、この方法について詳述する。
【0027】
§2.本発明の基本原理
本発明の基本原理は、媒体の記録面上に、互いに重複することなく複数の部分領域を定義し、これら各部分領域ごとにそれぞれ独立したホログラムを再生するための干渉縞を記録するようにするという点にある。ここで、媒体に対して所定の角度から白色の再生用照明光を照射し、所定の視点位置から媒体を観察した場合に、個々の部分領域についてそれぞれ固有の単色波長をもった再生光による単色部分再生像が再生されるようにし、これら単色部分再生像を組み合わせることにより複数の色からなる原画像が再生されるようにするのである。
【0028】
これを具体例で示そう。たとえば、図5に示すような原画像10を考える。ここに示す原画像10の特徴は、複数の単色部分原画像11〜16から構成されている点である。ここで、単色部分原画像とは、「原画像を構成する部分的な一要素であり、単一色によって表現されている画像」ということができる。ここでは、便宜上、図5に示されている各単色部分原画像を、それぞれ右耳部11、左耳部12、眼球部13、口鼻部14、右髭部15、左髭部16と呼ぶことにし、これらはそれぞれ異なる色で表現されているものとする。なお、この例では、眼球部13は、立体構造の点からは、右眼球部13aと左眼球部13bとの2つの球状体から構成されているが、両者は同一色で表現されているため、両者をひっくるめて1つの単色部分原画像である「眼球部13」として取り扱っている。右眼球部13aと左眼球部13bとが異なる色で表現されていた場合には、当然、これらを別個の単色部分原画像として取り扱う必要がある。もっとも、両者が同一色で表現されていた場合であっても、両者を別個の単色部分原画像として取り扱っても問題はない。
【0029】
実際には、図5に示すような原画像10の定義は、コンピュータ上で三次元画像データを用意することにより行われる。すなわち、XYZ三次元座標系上において、各単色部分原画像11〜16を構成する立体形状を定義するための画像データを用意することになる。図5に示す例では、各単色部分原画像は単純な立体幾何学図形から構成されているが、もちろん、各単色部分原画像は任意形状のものでかまわない。ただ、各単色部分原画像は、互いに空間的に重複することがないように、三次元空間上に配置する必要がある。このように、それぞれ異なる色で表現された複数の単色部分原画像を定義すれば、これら単色部分原画像の組み合わせとして、複数の色からなる原画像10を構成することができる。
【0030】
次に、こうして定義した原画像10を記録するための記録面20を定義する。ここでは、図5に示すように、XYZ三次元座標系におけるXY平面上に、記録面20を定義することにする。この記録面20は、§1で述べた記録媒体20と同等のものであり、コンピュータを用いて記録面20上に計算された干渉縞のパターンが、最終的に、物理的な記録媒体上に凹凸パターンとして表現されることになる。続いて、この記録面20上に、各単色部分原画像11〜16にそれぞれ対応する部分領域21〜26を定義する。各部分領域21〜26は(図5では、記録面20を破線で分割した個々の領域として示されている)、それぞれ単色部分原画像11〜16を干渉縞として記録するための領域であり、互いに重複することがない独立した領域として定義する必要がある。
【0031】
図6は、図5に示す記録面20上の部分領域21〜26と、原画像10を構成する単色部分原画像11〜16との位置関係を示す図であり、ちょうど、図5に示す記録面20を背面側(原画像10とは反対側)から見た平面図に相当する。図示の例では、矩形の記録面20を破線で分割することにより、それぞれ矩形状の部分領域21〜26が定義されているが、本発明を実施する上で、各部分領域は必ずしも矩形状である必要はない。ただ、原画像10を構成する個々の単色部分原画像11〜16の空間的な配置と整合性をもつように、各部分領域21〜26を定義する必要がある。たとえば、図6に示すように、記録面20側から原画像10を観察すると、右耳部11と左耳部12との空間的な配置は、右耳部11が向かって左側、左耳部12が向かって右側に配置されているので、右耳部11を記録するための部分領域21は左側、左耳部12を記録するための部分領域22は右側に配置する必要がある。同様に、眼球部13と口鼻部14との空間的な配置は、眼球部13が上、口鼻部14が下の関係にあるので、眼球部13を記録するための部分領域23は、口鼻部14を記録するための部分領域14よりも上方に配置する必要がある。
【0032】
もちろん、記録面20への記録は、あくまでもホログラム像を再生することができる干渉縞を用いて行われるため、各部分領域の大きさは、必ずしも記録対象となる単色部分原画像の大きさに比例させる必要はなく、各部分領域の形状も、必ずしも記録対象となる単色部分原画像の形状に近似させる必要はない。ホログラムの原理上、非常に小さな部分領域であっても、正しく干渉縞が記録されていさえすれば、非常に大きな単色部分原画像の再生像を得ることができる。たとえば、図6の部分領域23内の任意の1点Q4には、右眼球部13aおよび左眼球部13bからなる単色部分原画像13のすべての部分に関する情報が干渉縞として記録される(§3の手法を用いた場合は若干異なるが)ことになるので、たとえば、この1点Q4を中心とした小さな円内に記録されている干渉縞のみを用いても、右眼球部13aおよび左眼球部13bの再生像を得ることは可能である。
【0033】
しかしながら、実際には、ホログラムの再生像を観察するのは、両目をもった人間であり、干渉縞が記録された部分領域は、この人間が像を観察するときの窓として機能することになる。したがって、この窓の大きさが再生像の大きさに比べて極端に小さいと、再生像の一部が窓の外に隠れてしまい、全体を観察することができなくなってしまう。このような事情から、実際には、各部分領域の大きさは、記録対象となる単色部分原画像の大きさに応じた大きさに設定するのが好ましい。たとえば、図6に示す眼球部13は横方向に細長い画像であるので(右眼球部13aと左眼球部13bとが横方向に配置されており、全体として横長の画像となっている)、これを記録するための部分領域23も横長の領域にするのが好ましい。
【0034】
このような事情を考慮した場合、各単色部分原画像11〜16を記録面20上に投影してそれぞれの二次元投影像を求め、各二次元投影像を包含する領域として、各単色部分原画像11〜16に対応する部分領域21〜26を定義すると、部分領域を効率的に定義することができる。図6に示す例では、各単色部分原画像11〜16の二次元投影像を包含する矩形領域として、各部分領域21〜26が定義されている。
【0035】
こうして、各単色部分原画像11〜16と、これに対応する各部分領域21〜26とが定義できたら、§1で述べた方法により、各部分領域内に記録対象となる単色部分原画像をホログラムとして記録することができるように干渉縞の演算を行う。たとえば、図5における部分領域21内には、右耳部11をホログラムとして記録するための干渉縞が演算されることになる。このような干渉縞の演算は、単色部分原画像上に多数の微小光源を定義し、この各微小光源から放出された物体光と、記録面20に所定角度で入射する参照光との干渉波強度を、部分領域内の各演算点について求める計算を行えばよい。たとえば、部分領域21内の各演算点については、右耳部11上に定義された多数の微小光源から放出された物体光と、所定の参照光との干渉波強度が演算されることになり、このような干渉波強度の演算値の二次元的な分布として、部分領域21内に右耳部11を再生するための干渉縞パターンが形成されることになる。
【0036】
このような干渉縞の演算が、それぞれ各部分領域ごとに実行されることになるが、このとき、演算に用いる光の波長は、各単色部分原画像ごとに定義された固有の色に対応する波長を用いるようにする点は重要なポイントである。たとえば、右耳部11が赤色であったとすると、この右耳部11の固有の色は赤ということになるので、右耳部11上には赤色の微小光源が定義されることになり、部分領域21内の干渉縞演算を行う際には、物体光の波長も赤に対応した波長が用いられ、参照光についても、この物体光の波長と同一の波長が用いられる。一方、左耳部12が緑色であったとすると、この左耳部12の固有の色は緑ということになるので、左耳部12上には緑色の微小光源が定義されることになり、部分領域22内の干渉縞演算を行う際には、物体光の波長も緑に対応した波長が用いられ、参照光についても、この物体光の波長と同一の波長が用いられる。このように、各部分領域ごとに、それぞれ固有の波長をもった物体光および参照光による干渉縞が記録される点が本発明の重要な特徴のひとつである。
【0037】
なお、記録面20に対する参照光の照射角は、すべての部分領域について共通にしておくのが好ましい。これは、再生時の照明環境を考慮すると、再生用照明光は記録面20のいずれの部分に対してもほぼ同一の角度で入射する場合が多いと考えられるからである。
【0038】
また、上述の干渉縞演算を行う際には、1つの単色部分原画像から放出された物体光が、本来の部分領域内にのみ到達するように、物体光の広がり角を制限する必要がある。たとえば、図5に示す例において、右耳部11から放出された物体光は、この右耳部11についての記録を行うべき本来の部分領域21内にのみ到達し、隣接する部分領域22,23などには到達しないようにする必要がある。ホログラムの基本原理によれば、原画像10を構成するすべての部分の情報が、記録面20上のすべての点に記録されることになるが、本発明では、ある1つの部分領域内には、これに対応する単色部分原画像についての情報のみが記録されることになる。たとえば、図6に示す演算点Q4には、右眼球部13aおよび左眼球部13bに関する情報が記録されるだけであり、右耳部11や左耳部12などの情報は一切記録されることはない。なお、物体光の広がり角を制限することにより、1つの単色部分原画像から放出された物体光が対応する特定の部分領域内にのみ到達するようにする具体的な手法については§3で詳述する。
【0039】
さて、こうして記録面20上のすべての部分領域について、それぞれ干渉縞を求めることができたら、この各部分領域について求められた干渉縞を媒体上に物理的に記録する工程を行う。実際には、§1で述べたように、干渉縞パターンを二値画像に変換し、電子線描画装置などを用いて物理的な凹凸パターンを形成すればよい。
【0040】
このような工程で製造されたホログラム記録媒体では、白色光で再生した場合であっても、明るいカラー画像の再生が可能になる。図7は、図6に示す記録面20上に形成される干渉縞を記録した媒体を、白色照明光によって再生した場合に、視点Eから再生像を観察した状態を示す側面図である。この例では、記録媒体の背面(視点E側とは逆の面)の斜め上方から白色照明光Lwが照射されている。白色照明光Lwは、記録媒体20の記録面に対して角度θで入射する平行光線である。ここで、角度θは、干渉縞の演算を行う際に用いた参照光の照射角度と同一である。なお、記録媒体20を、クレジットカード用の偽造防止マークとして用いるような場合、白色照明光Lwは、記録媒体の正面(視点E側の面)側から照射されることになるが、記録媒体20に対して面対称となる向きから照射すれば、図7に示す系と物理的には等価になる。
【0041】
原画像10と記録面20とを図5に示すように配置して干渉縞の演算を行い、白色照明光Lwによってこれを再生した場合、個々の部分領域から放出される再生光(原画像10を正面から観察したときの再生像を生じさせる再生光、以下正面再生光という)のうち、当該部分領域についての固有の単色波長をもった再生光は、図7に示すように、XZ平面に平行な方向(X軸は紙面に垂直)に放出されることになる。たとえば、図7において、上段部分に位置する部分領域21については、右耳部11の固有色に対応する単色波長λ21をもった物体光および参照光を用いた干渉縞が記録されているため、任意の点Q21から放出される再生光のうち、波長λ21をもった正面再生光は、XZ方向(図の水平方向)へと放出されることになる。もちろん、点Q21には白色照明光Lwが照射されているため、点Q21からは種々の波長をもった再生光が放出されるが、視点Eの方向へは波長λ21の正面再生光が向かうことになる。同様に、中段部分に位置する部分領域23内の任意の点Q23から放出される再生光のうち、眼球部13の固有色に対応する単色波長λ23をもった正面再生光も視点Eの方向へと向かい、下段部分に位置する部分領域25内の任意の点Q25から放出される再生光のうち、右髭部15の固有色に対応する単色波長λ25をもった正面再生光も視点Eの方向へと向かうことになる。
【0042】
かくして、視点Eから観察した場合、右耳部11の正面再生像は波長λ21に対応する色をもった像として認識され、眼球部13の正面再生像は波長λ23に対応する色をもった像として認識され、右髭部15の正面再生像は波長λ25に対応する色をもった像として認識されることになり、図5に示す原画像10を構成する単色部分原画像11〜16が、それぞれ固有の色で認識されることになる。しかも、記録媒体20上に形成されているすべての干渉縞が、この正面再生像に寄与することになるため、視点Eにおいて観察されるカラー画像はかなり明るいものになる。
【0043】
もっとも、図7において、記録媒体20から図の水平方向に放出されるすべての再生光が視点Eの位置で観察されるためには、記録媒体20の縦寸法に比べて、視点Eと記録媒体20との距離が十分に大きいという条件が必要になる。前述したように、クレジットカード用の偽造防止マークなどとして利用されているホログラム記録媒体の場合、記録媒体の縦寸法は1cm程度であるのに対し、これを観察するときの目と記録媒体との距離は25cm程度になるのが一般的であり、しかも目の位置は記録媒体の垂直上方に置かれるのが一般的である。したがって、図7に示す視点Eは、実際には、図示されている位置よりもはるか右遠方に存在することになり、記録媒体20から図の水平方向に放出される平行光線はすべて視点Eへ向かうものと近似して問題はない。
【0044】
もちろん厳密に言えば、視点Eの位置に到達する再生光は、正確にはXZ平面に平行な光にはならず、若干傾いたものになる。このため、波長も本来意図していた波長に対して若干ずれたものになる。たとえば、点Q21から放出される再生光のうち、XZ平面に平行な方向に放出されるのは波長λ21の成分をもった光である。ところが、視点Eに到達する光は、厳密には、この波長λ21の光ではなく、角度δだけ下方に偏向した波長λ21の光となる。同様に、点Q25から放出される再生光のうち、XZ平面に平行な方向に放出されるのは波長λ25の成分をもった光であるが、視点Eに到達する光は、厳密には、この波長λ25の光ではなく、角度εだけ上方に偏向した波長λ25の光となる。しかしながら、通常の観察環境では、角度δ,εは微小であるため、波長λ21とλ21の差、あるいは波長λ25とλ25との差もわずかになり、多少の色ずれが生じるものの、実用上は問題にはならない。
【0045】
§3.物体光の広がり角の制限
既に述べたように、本発明における干渉縞演算では、物体光の広がり角を制限し、ある特定の単色部分原画像から放出された物体光が、対応する部分領域内だけに到達するようにする必要がある。ここでは、物体光の広がり角を制限した干渉縞演算を行うための具体的な一手法を述べておく。
【0046】
いま、図8に示すように、原画像10上の任意の点光源Piから発せられた物体光Oiが、図示のとおり水平方向(XZ平面に平行な平面内)にのみ広がると仮定する。すると、物体光Oiは、記録媒体20上の線状領域Bだけに到達することになり、記録媒体20の他の領域には、物体光Oiは一切届かないことになる。光学的な方法でホログラムを作成する場合、このように物体光の広がりを制限することは極めて困難であるが、計算機を用いてホログラムを作成する場合であれば、演算式を修正するだけで物体光を容易に制御することができる。そこで、原画像10を構成するすべての点光源から発せられる物体光について、同様の限定(物体光はXZ平面に平行な平面内にのみ広がるという限定)を付すようにする。
【0047】
図9は、上述した基本概念に基づく記録方法の具体例を示す斜視図である。この例では、原画像10および記録媒体20(記録面)を、それぞれ多数の平行線によって水平方向に分割し、多数の線状の単位領域を定義している。すなわち、図示のとおり、原画像10は、合計M個の単位領域A1,A2,A3,…,Am,…AMに分割されており、記録媒体20は、同じく合計M個の単位領域B1,B2,B3,…,Bm,…BMに分割されている。原画像10が立体画像の場合、各単位領域A1,A2,A3,…,Am,…AMは、この立体の表面部分を分割することによって得られる領域になる。ここで、原画像10上のM個の単位領域と記録媒体20上のM個の単位領域とは、それぞれが1対1の対応関係にある。たとえば、原画像10上の第m番目の単位領域Amは、記録媒体20上の第m番目の単位領域Bmに対応している。
【0048】
なお、この図9に示す例では、各単位領域A1,A2,A3,…,Am,…AMの幅は、原画像10上に定義された点光源のY方向のピッチに等しく設定されており、個々の単位領域は、点光源が一列に並んだ線状の領域になっている。たとえば、図示の例では、第m番目の単位領域Amには、N個の点光源Pm1〜PmNが一列に並んでいる。また、各単位領域B1,B2,B3,…,Bm,…BMの幅は、記録媒体20上に定義された演算点のY方向のピッチに等しく設定されており、個々の単位領域には、演算点が一列に並んだ線状の領域になっている。図示の演算点Q(x,ym)は、第m番目の単位領域Bm内に位置する演算点を示しており、XY座標系において座標値(x,ym)で示される位置にある。
【0049】
この例の場合、演算点Q(x,ym)についての干渉波強度は、次のようにして求められる。まず、この演算点Q(x,ym)が所属する単位領域Bmに対応する原画像10上の単位領域Amを演算対象単位領域として定める。そして、この演算対象単位領域Am内の点光源Pm1〜PmNから発せられた物体光Om1〜OmNと、参照光Lとによって形成される干渉波についての演算点Q(x,ym)の位置における振幅強度を求めれば、この振幅強度が、目的とする演算点Q(x,ym)についての干渉波強度である。ここで、参照光Lは、YZ平面に平行な単色平行光線であり、所定角度θをもって記録媒体20上に入射する。
【0050】
図10は、このような演算処理の概念を説明するための上面図であり、図9に示す原画像10および記録媒体20を、図の上方から見た状態を示している。図示のとおり、演算点Q(x,ym)における干渉波強度を求めるのに必要な物体光は、演算対象単位領域Am内のN個の点光源Pm1,…,Pmi,…,PmNから発せられた物体光Om1,…,Omi,…,OmNのみに限定され、原画像10を構成する全点光源からの物体光を考慮する必要はない。こうして、記録媒体20上に定義したすべての演算点Q(x,y)について、それぞれ所定の干渉波強度を求めれば、記録媒体20上に干渉波の強度分布が得られることになる。
【0051】
以上、図8〜図10を参照しながら、原画像10上に定義された第m番目の単位領域Am上の光源の情報を、記録媒体20上に定義された第m番目の単位領域Bm上に記録する手法を述べた。この手法で述べたモデルでは、単位領域AmおよびBmは、いずれも幾何学的な線状の領域であり、点光源および演算点はいずれも一次元的に並んでいた。しかしながら、実際には、原画像10上に定義された単位領域は、面積をもたない幾何学的な線状の領域であってもかまわないが(別言すれば、点光源が一次元的に配列された領域であってもかまわないが)、記録媒体20上に定義された単位領域は、線状の領域ではなく、ある程度の幅(Y軸方向の幅)をもった二次元領域である必要がある(別言すれば、演算点が二次元的に配列された領域である必要がある)。なぜなら、記録媒体20上の単位領域には、あくまでも干渉縞が記録されねばならず、この干渉縞によって、YZ平面に平行な照明光をY軸方向に回折させる必要があるからである。要するに、記録媒体20上の単位領域には、Y軸方向に並んだ複数の演算点が定義されなければならないのである。
【0052】
そこで、実際には、図11に示す例のように、記録媒体20上にY軸方向に所定幅をもった単位領域Cmを定義し、この単位領域Cmに、原画像10上に定義された対応する単位領域Am(この例では、幅をもたない線状の単位領域であるが、Y軸方向に幅をもった二次元単位領域としてもよい。)に関する情報をホログラムとして記録するようにすればよい。具体的には、線状単位領域Am上の点光源からの物体光が、水平方向(X軸方向)だけではなく、垂直方向(Y軸方向)にも角度ξの範囲である程度広がるような設定を行えばよい。この例では、原画像10上の線状単位領域Am上には、多数の点光源が並んでおり、これらの点光源からの物体光と所定の参照光との干渉縞が、記録媒体20上に定義された単位領域Cm上の各演算点に記録されることになる。図9に示す例では、単位領域Bmが線状の領域であり、演算点が一次元的に並んでいただけであるが、図11に示す例では、図にハッチングを施して示すように、単位領域Cmは二次元の領域を形成しており、演算点が二次元的に並ぶことになる。別言すれば、図9に示す単位領域Bmが、Y軸方向の幅をもたない幾何学上の線であるのに対し、図11に示す単位領域Cmは、Y軸方向に所定幅hをもった幾何学上の平面ということになる。
【0053】
ここでは、説明の便宜上、原画像10上に定義された線状単位領域Amを「単位線分」と呼ぶことにし、記録媒体20上に定義された単位領域Cmを、この単位線分Amに対応した二次元単位領域Cmと呼ぶことにする。なお、任意形状の立体などを像として記録する場合、原画像10が任意曲面になるため、この任意曲面上に定義された単位線分は、「曲線分」を形成することになる。したがって、本明細書における「単位線分」という文言は、「直線分」だけでなく「曲線分」も含めた意味で用いることにする。
【0054】
図11に示す例では、原画像10上に複数の単位線分を定義し、記録媒体20上には、これら各単位線分にそれぞれ対応した個々の二次元単位領域を定義することになる。たとえば、原画像10上に合計M本の単位線分A1,A2,A3,…,Am,…AMを定義した場合、記録媒体20上には、それぞれに対応した二次元単位領域C1,C2,C3,…,Cm,…CMが定義されることになる。そして、これら各二次元単位領域内に、二次元的に分布する多数の演算点が定義され、個々の演算点について干渉波の強度を演算する際に、その演算点が所属する二次元単位領域に対応した単位線分上に定義された点光源のみを考慮した演算を行う。
【0055】
たとえば、図11には、原画像10上に定義された第m番目の単位線分Amと、これに対応して定義された第m番目の二次元単位領域Cm(ハッチングを施した細長い矩形領域)とが示されている。ここで、二次元単位領域Cm内には、縦横二次元マトリックス状に配された多数の演算点が定義され、各演算点について、それぞれ干渉波の強度が演算されるが、その際に、単位線分Am上の点光源Pm1,Pm2,Pm3,…,Pmi,…,PmNからの物体光のみを考慮した演算が行われる。この演算は、個々の点光源に着目すれば、ある点光源Pmiから発せられた物体光のY軸方向に関する広がり角を、図11に示す所定角ξに制限した演算ということができる。この例では、物体光のX軸方向に関する広がりは制限されていないため、単位線分Am上のすべての点光源Pm1,Pm2,Pm3,…,Pmi,…,PmNから発せられた物体光は、横幅が記録媒体20の横幅に等しく、縦幅が角度ξに応じて定まる寸法hとなる矩形状の二次元単位領域Cmに照射されることになる。
【0056】
図9に示す例は、いわば図11に示す例における広がり角ξを0にしたものに相当し、実際には、前述したように、広がり角ξを0にしたのでは、必要な干渉縞を記録することができない(演算点が横方向にしか並ばないので、照明光をY軸方向に回折させることができない)。
【0057】
そもそも、原画像上の特定の領域を、記録面上の特定の領域内のみに記録する、という手法は、本来のホログラムの基本原理からは逸脱した手法である。すなわち、記録面上のどの部分をとっても、原画像のすべての部分の情報が記録されている、という点がホログラムの根本的な原理であり、このような原理で干渉縞の記録が行われているからこそ、原画像が立体像として再生されるからである。したがって、単位領域ごとに別個独立して情報を記録するという上述の手法を採ると、ホログラム本来の立体像再生が阻害されることになり、単位領域のY軸方向の幅hを狭くすればするほど、その影響は大きくなり、縦方向の立体視の効果が阻害されることになる。
【0058】
その一方で、再生時の色再現性を向上させる(白色照明光で再生した場合に、視点位置に、記録時に意図したとおりの波長の光を集合させる)という点からは、記録面上に定義された二次元単位領域のY軸方向の幅hは、できるだけ小さく設定した方が好ましい。これは、幅hをもった二次元単位領域が、再生像を眺める窓として機能するため、この窓の縦幅が広ければ広いほど、「記録時に視点に集めようと意図した本来の波長」の光だけでなく、それ以外の波長の光も視点位置において観察されるようになるためである。結局、幅hを大きく設定すればするほど、視点位置における波長選択性は低下することになる。しかも、再生像の位置は、波長によってずれるため、波長選択性が低下すると、色が混じって見えるだけでなく、像がぼやける原因にもなる。このような理由から、幅hが大きくなればなるほど、再生像の色がにじんで見えたり、白濁して見えたりする好ましくない現象が顕著になる。
【0059】
結局、記録面上に定義する二次元単位領域Cmは、X軸方向に関しては、記録媒体20の横幅と同じ幅をもっていてよいが、Y軸方向に関しては、上述した議論を踏まえて、本発明に適した所定の幅に設定する必要がある。すなわち、立体像を干渉縞として記録する、というホログラム本来の趣旨からは、Y軸方向の幅hは、できるだけ大きく設定した方がよいが、再生時の色再現性を向上させる(視点における波長選択性を高める)、という効果を奏するという趣旨からは、Y軸方向の幅hは、できるだけ小さく設定した方がよいことになる。もっとも、肉眼による波長弁別分解能は、それほど精度の高いものではないので、幅hをある程度の寸法まで大きく設定しても、肉眼観察による色再現性はさほど阻害されるものではない。また、人間の目は水平方向に2つ並んでいるため、記録媒体を観察した際、横方向の立体視の方が縦方向の立体視よりも重要であるため、縦方向の立体視に関してはある程度犠牲にしても大きな問題は生じない。そのような点からは、幅hをある程度の寸法まで小さく設定しても、肉眼観察による立体視効果はさほど阻害されるものではない。このような理由から、現実的には、幅hの寸法にはかなりの許容範囲が認められ、具体的には、h=0.4〜1000μm程度に設定すれば、本発明に係るホログラム記録媒体を実現することが十分に可能である。
【0060】
原画像10上に定義された個々の単位線分のそれぞれに対応した二次元単位領域を記録媒体20上に定義する際には、次のような手法をとればよい。まず、所定の投影条件に基づいて、原画像10上の単位線分を記録媒体20上に投影して投影線分を求める。そして、この投影線分を記録媒体20上で移動させることにより得られる二次元領域を、単位線分に対応する二次元単位領域とすればよい。たとえば、図11に示す例の場合、原画像10上に定義された単位線分AmをZ軸方向に投影すれば、投影線分Bmが求まる。そこで、この投影線分Bmを記録媒体20上でY軸方向に沿って区間幅hにわたって上下に移動させれば、図示のような矩形領域Cmが得られるので、これを単位線分Amに対応する二次元単位領域と定義すればよい。
【0061】
より具体的な実施形態を図12に示す。ここでは、XYZ三次元座標系上に定義された図12(a) に示すような任意立体形状の表面模様を原画像10として、図12(b) に示すようなXY平面上に定義された記録媒体20上に記録を行う場合を考える。まず、原画像10上に多数の単位線分を定義する。ここでは、XZ平面に平行なM枚の切断面をピッチhでY軸方向に並べるように定義し(いわば、M枚の水平面を上下方向に多層配置した構造を定義する)、これらの切断面で原画像10を切断したときに切り口に得られるM本の平行な線分を単位線分として定義している。図12(a)には、原画像10上に定義されたM本の単位線分A1,…,Am−1,Am,Am+1,…AMが示されている(既に述べたように、原画像10が曲面を構成する場合には、これら各単位線分は曲線分となる)。また、これら各単位線分上には、それぞれ所定のピッチで多数の点光源が定義される。たとえば、第m番目の単位線分Am上には、N個の点光源Pm1,…,Pmi,…PmNが定義されている。なお、点光源は必ずしも一定ピッチで定義する必要はなく、それぞれ任意の間隔で配置された点光源を用いるようにしてもかまわない。
【0062】
続いて、こうして求めたM本の単位線分A1,…,Am−1,Am,Am+1,…AMのそれぞれに対応した二次元単位領域を記録媒体20上に定義する。ここに示す例では、各単位線分A1,…,Am−1,Am,Am+1,…AMをZ軸方向(水平方向)に投影し、記録媒体20上にそれぞれ投影線分B1,…,Bm−1,Bm,Bm+1,…BM (図示されていない)を求めている(投影線分が記録媒体20の横幅よりも短い場合には、長さ方向に伸ばす処理を行っておく)。もっとも、これらの投影線分は、上述したM枚の切断面で記録媒体20を切断したときの切り口としても得ることができる。次に、これらM本の投影線分B1,…,Bm−1,Bm,Bm+1,…BMを、Y軸を共通の移動方向として上下両方向にそれぞれh/2の距離だけ移動させることにより、図12(b) に示すような二次元単位領域C1,…,Cm−1,Cm,Cm+1,…CMを求めることができる。別言すれば、記録媒体20上に定義されたM本の投影線分を、Y軸を共通の移動方向として、隣接する投影線分の移動範囲には重ならない限度で所定の距離(この例では、上下にそれぞれh/2の距離)だけ移動させることにより、M個の二次元単位領域C1,…,Cm−1,Cm,Cm+1,…CMが得られたことになる。これらの二次元単位領域は、いずれも横幅が記録媒体20の横幅に等しく、縦幅がピッチhに等しい細長い矩形になる。
【0063】
こうして、M個の二次元単位領域C1,…,Cm−1,Cm,Cm+1,…CMが定義されたら、各領域内に二次元的に分布する演算点を定義する。各演算点は、最終的に記録媒体20上に形成される干渉縞パターンの画素として機能することになる。図13は、第m番目の二次元単位領域Cm(図12にハッチングを施して示してある領域)内に、縦横マトリックス状に多数の演算点を定義した状態を示す平面図である。縦幅hの矩形内に多数の正方形が描かれているが、個々の正方形は1画素を示しており、各正方形の中心点がそれぞれ演算点として機能する。なお、1画素は、必ずしも正方形にする必要はなく、任意の矩形でもかまわない。
【0064】
このようにして定義した各演算点について、それぞれ干渉波の強度が演算されるが、既に述べたように、演算に考慮される点光源は、対応する単位線分上の点光源に限定される。たとえば、図13に示す第m番目の二次元単位領域Cm内のj列k行目の演算点Qm(j,k)についての干渉波の強度は、図12(a) に示す第m番目の単位線分Am上のN個の点光源Pm1,…,Pmi,…PmNからの物体光と、図11に示すように斜め上方から所定の角度θで入射する参照光Lとの干渉によって生じる波の振幅強度として演算されることになる。図13に示されている他の演算点(各正方形の中心点)についても、同様の演算が行われ、それぞれ固有の強度値が求められる。
【0065】
こうして、記録媒体20上の全演算点について、それぞれ強度値が求められたら、これを二値化する。その結果、図13において、小さな正方形として示されている個々の画素に、白または黒のいずれかの画素値が与えられる。この画素値に基づいて、物理的な媒体上に印刷もしくはエンボス加工を施せば、原画像10が記録されたホログラム記録媒体が得られる。
【0066】
なお、記録媒体20上に定義される二次元単位領域のY軸方向の幅h(縦方向の幅)は、視覚的に認識不可能な寸法(肉眼の解像度よりも更に高い解像度を実現できる寸法)に設定するのが好ましい。これは、幅hを視覚的に認識可能な寸法に設定した場合、記録媒体20を全体的に観察した際に、二次元単位領域の境界線が肉眼で認識されてしまい、全体的に横縞模様が観察されるおそれがあるからである。前述したように、h=0.4〜1000μm程度に設定すれば、一応、本発明に係る記録媒体を実現することは可能である。ただ、h=1000μm(1mm)程度(視覚的に十分認識可能な寸法)に設定した場合、再生像に幅1mmの横縞が重なって観察されることになる。したがって、実用上は、h<100μm、より好ましくはh<50μmに設定するのがよい。この程度の寸法設定であれば、ほとんどの場合、横縞模様は認識されなくなる。
【0067】
§4.本発明に係るホログラム記録媒体の具体的な作成方法
ここでは、§3で述べた物体光の広がり角を制限する手法を利用して、図5に示す原画像10を記録面20上にホログラムとして記録する具体的な方法を説明する。図5あるいは図6に示す例では、記録面20を破線で示す境界線で分けることにより、部分領域21〜26を定義していた。これに対して、ここで述べる方法では、図14に示すような部分領域21〜26が定義されることになる。すなわち、図5に示す原画像10のように、複数の単色部分原画像11〜16が互いに所定間隔をおいて離れて配置されている場合には、これらに対応する各部分領域21〜26も、記録面10上で互いに所定間隔をおいて離れて配置されるように定義するのである。特に、図14に示す例では、§3で述べた手法を適用するのに便利なように、各部分領域21〜26を、その縦方向の寸法が各単色部分原画像11〜26の投影像の縦方向の寸法に一致するような矩形領域として定義している。たとえば、図14における部分領域21は、右耳部11を記録面20上に投影した投影像の縦寸法と同じ縦寸法を有する矩形領域となっている。
【0068】
このように、単色部分原画像と部分領域との縦寸法を揃えておくと、§3で述べた手法を適用するのに便利である。すなわち、図12に示す例では、原画像10の縦寸法と同じ縦寸法を有する記録面20を用意し、原画像10上にM本の単位線分を定義するとともに、記録面20上にM個の二次元単位領域を定義し、第m番目の二次元単位領域Cm内の演算点については、第m番目の単位線分Am上の点光源Pm1〜PmNからの物体光と参照光との干渉縞を記録している。この手法を、図5に示す各単色部分原画像11〜16のそれぞれについて適用するためには、各部分領域21〜26の縦寸法を各単色部分原画像11〜16の縦寸法に揃えておくと便利である。なお、各部分領域21〜26の縦寸法をこのように設定すると、各部分領域間の空隙部分(より具体的には、縦方向に関する空隙部分)には、干渉縞が形成されない空白領域(図14にハッチングを施した領域)が形成されるようになる。
【0069】
さて、図14に示すように、各部分領域21〜26が定義できたら、個々の部分領域ごとに、§3で述べた手法に基いて干渉縞の演算を行う。たとえば、部分領域21についての干渉縞を求めるのであれば、次のような手順が行われる。まず、XZ平面に平行となるように所定ピッチhで配された多数の切断面を定義する。そして、この個々の切断面で、記録対象となる単色部分原画像(すなわち右耳部11)およびこれに対応する部分領域21を切断する。そして右耳部11側の切り口に得られる線分(この場合は曲線分になる)を単位線分と定義し、部分領域21側の切り口に得られる線分を投影線分と定義する。これにより、右耳部11の表面には、図12(a) に示すようなM本の単位線分A1〜AMが定義されることになる。一方、部分領域21側では、Y軸を共通の移動方向として個々の投影線分を幅hだけ移動させることにより、図12(b) に示すように、幅hをもったM個の二次元単位領域C1〜CMが形成される。
【0070】
続いて、各二次元単位領域C1〜CM内の各点について干渉波の強度演算を行う。このとき、対応する単位線分上に定義された点光源からの物体光のみを考慮した演算を行う。たとえば、図12に示す二次元単位領域Cm内の演算点について、干渉波の強度演算を行う際には、対応する単位線分Am上に定義された点光源Pm1〜PmNからの物体光のみを考慮した演算が行われることになる。このような演算は、結局、点光源から放出される物体光の縦方向(切断面に垂直な方向:Y軸方向)への広がり角を所定角度ξに制限した演算ということができ、角度ξは点光源から二次元単位領域の幅hをみる角度に相当する(図11参照)。
【0071】
図14に示すすべての部分領域21〜26について、それぞれ上述の手法に基く干渉縞の演算が完了すれば、図にハッチングを施した領域を除いて、記録面20上に干渉縞パターンが形成されることになる。なお、このように、§3で述べた手法を適用して記録したホログラム記録媒体には、視点を横方向に移動したときには立体視が得られ、視点を縦方向に移動したときには立体視が得られないような再生像を生じる干渉縞が記録されていることになる。すなわち、図12において、第m番目の二次元単位領域Cm内には、第m番目の単位線分Am上に定義された点光源Pm1〜PmNの情報、すなわち、一次元横方向に並んだ点光源の情報しか記録されていないので、横方向に関する立体情報は記録されているものの縦方向に関する立体情報は記録されていないことになる。
【0072】
結局、図14に示す記録面20に形成された干渉縞を記録した媒体を観察した場合、視線を横方向に動かすと、いずれの単色部分原画像も立体像として認識できるが、視線を縦方向に動かすと、立体像として認識できないことになる。しかしながら、現実的には、人間は横方向に並んだ一対の目で立体像を認識するようにできているため、横方向に関する立体視が得られれば、縦方向に関する立体視が得られなかったとしても、原画像10を全体として立体画像として認識することができるので、大きな問題は生じない。なお、ここで言う立体視とは、個々の単色部分原画像がそれぞれ立体像として観察できるという意味であり、原画像10が全体として立体像として再生されるわけではない。すなわち、本来のホログラムであれば、視点を横方向に移動させると、たとえば、右眼球部13aのうしろに左眼球部13bの一部が隠れるような立体視が生じることになるが、本発明によるホログラム記録媒体では、そのような単色部分原画像同士の立体視は得られない。
【0073】
なお、§3で述べた手法では、図11に示すように、物体光の縦方向(Y軸方向)の広がり角を角度ξに制限しているが、図15に示す例のように、物体光の横方向(切断面に沿った方向:X軸方向)の広がり角を更に所定角度Ψに制限するようにしてもよい。この場合、1つの点光源からの物体光は、図にハッチングを施して示した領域Sの中だけに到達することになる。もっとも、角度Ψをあまり小さく設定しすぎると、領域Sの横幅(X軸方向の幅)もかなり小さくなり、横方向の立体視も得られない状態になるので、角度Ψはある程度以上に設定する必要がある。具体的には、記録面20上の任意の点Qに、ただ1つの点光源Pからの物体光しか届かなくなるまで角度Ψを小さく設定すると、立体視が全く得られなくなってしまうことになる。
【0074】
実用上は、横方向にいくつもの単色部分原画像が並んでいるような原画像10を用いる場合に、横方向の広がり角Ψを制限するとよい。たとえば、図14に示す例では、口鼻部14,右髭部15,左髭部16が横方向に並んでいるが、このような場合、物体光の横方向の広がり角Ψを制限した演算を行うようにすると、部分領域14,15,16の横幅が比較的小さくても、像を正しく再生させるために必要な干渉縞を各部分領域内に記録することが可能になる。別言すれば、横幅の狭い部分領域に、横方向の広がり角を制限しないで干渉縞の記録を行うと、正しい再生像を得るために必要な干渉縞の一部が記録しきれなくなるおそれがある。このような場合、縦方向の広がり角ξの制限とともに、横方向の広がり角Ψの制限が非常に有効である。
【0075】
以上、本発明を図示する実施形態に基いて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の形態で実施可能である。たとえば、上述の実施形態で原画像10を構成する単色部分原画像11〜16は、いずれも立体から構成されている三次元画像であるが、単なる二次元画像を単色部分原画像として用いることも可能である。
【0076】
【発明の効果】
以上のとおり本発明に係るホログラム記録媒体の製造方法によれば、複数の単色部分原画像から構成される原画像を、それぞれ部分領域ごとに干渉縞として記録するようにしたため、白色照明光の下でも明るいカラー画像の再生を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なホログラムの作成方法を示す原理図であり、原画像10を記録媒体20上に干渉縞として記録する方法が示されている。
【図2】図1に示す原理に基づいて、記録媒体上の任意の点Q(x,y)における干渉波の強度を演算する方法を示す図である。
【図3】図2に示す方法で演算された干渉波の強度分布を二値画像に変換する状態を示す図である。
【図4】白色光を用いてホログラムを再生した場合に、白濁再生像が得られる原理を示す側面図である。
【図5】本発明に係るホログラム記録媒体の作成方法の基本原理を示す斜視図である。
【図6】図5に示す記録面20上の部分領域21〜26と、原画像10を構成する単色部分原画像11〜16との位置関係を示す図であり、図5に示す記録面20を背面側(原画像10とは反対側)から見た平面図に相当する。
【図7】図6に示す記録面20上に形成される干渉縞を記録した媒体を、白色照明光によって再生した場合に、視点Eから再生像を観察した状態を示す側面図である。
【図8】本発明を実施する上で、物体光の広がり角を制限して干渉縞演算を行う方法を示す斜視図である。
【図9】図8に示す原理に基づいて、記録媒体20上の任意の点Q(x,ym)における干渉波の強度を演算する方法を示す斜視図である。
【図10】図9に示す原画像10および記録面20を、図の上方から見た状態を示した上面図である。
【図11】本発明を実施する上で、単位領域ごとに情報記録を行うホログラムのより具体的な作成方法を示す斜視図である。
【図12】図11に示す方法を実施するために、原画像10上に定義された単位線分と、記録面20上に定義された二次元単位領域とを示す図である。
【図13】図12(b) に示されている二次元単位領域Cm内に定義された演算点(画素)のマトリックス配列を示す図である。
【図14】記録面20上に定義される部分領域の別な形態を示す平面図である。
【図15】本発明を実施する上で、物体光の広がり角を制限して干渉縞演算を行う別な方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
10…原画像
11…右耳部(単色部分原画像)
12…左耳部(単色部分原画像)
13…眼球部(単色部分原画像)
13a…右眼球部(単色部分原画像の右半分)
13b…左眼球部(単色部分原画像の左半分)
14…口鼻部(単色部分原画像)
15…右髭部(単色部分原画像)
16…左髭部(単色部分原画像)
20…記録媒体(記録面)
21〜26…部分領域
A1,A2,A3,Am−1,Am,Am+1,AM…原画像上の単位線分
B,B1,B2,B3,Bm,BM…記録面上の投影線分
B1,B2,B3…色Bをもった再生光
C1,C2,C3,Cm−1,Cm,Cm+1,CM…二次元単位領域
D(x,y)…二値画像を構成する画素
E…視点
G1,G2,G3…色Gをもった再生光
h…二次元単位領域の縦幅/単位線分のピッチ
L…参照光
Lw…白色照明光
O,O1,Oi,ON,Om1,OmN…物体光
P,P1,Pi,PN,Pm,PM,Pm1,Pmi,PmN,…点光源
Q,Q1〜Q4,Q(x,y),Q(x,ym),Qm,Qm(j,k),QM…演算点
Q21,Q23,Q25…記録媒体上の1点
R1,R2,R3…色Rをもった再生光
S…物体光の到達領域
δ,ε…再生光の偏角
θ…参照光および照明光の角度
ξ…物体光の縦方向(Y軸方向)に関する広がり角
Ψ…物体光の横方向(X軸方向)に関する広がり角
λ21,λ21,λ23,λ25,λ25…再生光の波長

Claims (3)

  1. 計算機を用いた演算によりホログラム記録媒体を製造する方法であって、
    XYZ三次元座標系上に、互いに空間的に重複することがないように配置された複数の「立体形状をもった単色部分原画像」を定義し、これら単色部分原画像を組み合わせることにより複数の色からなる原画像が構成されるようにする原画像定義段階と、
    前記各単色部分原画像上に、それぞれ各単色部分原画像ごとに固有の色をもった多数の微小光源を定義する光源定義段階と、
    XY平面上に、前記原画像を記録するための記録面を定義し、この記録面上に、互いに重複することがないように、前記各単色部分原画像にそれぞれ対応する部分領域を定義する記録面定義段階と、
    前記各部分領域内に、それぞれ対応する単色部分原画像をホログラム像として記録することができるように、各単色部分原画像上に定義された各微小光源から放出された当該微小光源のもつ固有の色に対応する特定波長の物体光と、前記記録面に所定角度で入射し前記物体光と同一波長をもった参照光とを定義し、前記各微小光源から放出された物体光が、対応する部分領域内にのみ到達するように、前記物体光の広がり角を制限し、前記各部分領域内にそれぞれ特定波長の物体光とこの物体光の特定波長と同一波長の参照光との干渉によって生じる干渉縞を演算により求める干渉縞演算段階と、
    前記各部分領域について求められた干渉縞を媒体上に物理的に記録する干渉縞記録段階と、
    を有することを特徴とするホログラム記録媒体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法において、
    複数の単色部分原画像が互いに所定間隔をおいて離れて配置されている場合に、これらに対応する各部分領域を、記録面上で互いに所定間隔をおいて離れて配置されるように定義し、各部分領域間の空隙部分には、干渉縞が形成されない空白領域を設けるようにすることを特徴とするホログラム記録媒体の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法において、
    各単色部分原画像を記録面上に投影してそれぞれの二次元投影像を求め、各二次元投影像を包含する領域として、各単色部分原画像に対応する部分領域を定義することを特徴とするホログラム記録媒体の製造方法。
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