JP3871749B2 - 排煙脱硫排水の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排煙脱硫排水の処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、石炭火力発電所の排煙脱硫排水の、膜を用いた固液分離濃縮工程を伴う処理において、洗浄による膜性能の回復率に優れ、膜の交換頻度を低減することができる排煙脱硫排水の処理方法、及び、さらに洗浄によって発生した洗浄廃液自体の処理を省くことができる排煙脱硫排水の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
排煙脱硫排水は、石油、石炭等の燃料を燃焼した際に発生する排煙を、洗煙、脱硫処理したときに生ずる排水であり、硫酸イオン、亜硫酸イオン、カルシウムイオン等のイオン類や石膏等の懸濁物、燃料に由来するCOD成分のほか、鉄、アルミニウム、マンガン、その他重金属等の金属や、ふっ素、シリカ等を含有している。
このような汚染物質を含む排煙脱硫排水を処理するときは、先ず排水中の汚染物質を凝集処理してできるだけ固形分として水中から分離する。固形化せず水中に溶解したままの一部のCOD成分や、除去対象となるイオンは、吸着工程、イオン除去工程、分解処理工程等により除去する。また、CODの対象となる還元性物質、例えば、亜硫酸イオン、マンガンイオン等を除去するために、酸化工程が設けられる。
酸化工程、凝集工程を経た排水は、凝集によって生成したフロックを膜によって分離する。膜分離工程で使用する膜は、処理の継続により膜面が汚染され透過水量(フラックス)が低下する。このため、透過水量が低下したときは、透過水側から処理水を逆流させる逆流洗浄や、洗浄剤を含む液で膜を洗う薬液洗浄が行われる。
従来、一般的な薬液洗浄は、通常、アルカリ液や酸液が用いられたり、これらの液を併用して行われている。ポリ塩化アルミ(PAC)、硫酸バンド、水酸化マグネシウム、塩化第二鉄、消石灰等を排液の凝集中和に用いた場合、濃縮時に発生する懸濁物質(SS)はアルカリ又は鉱酸による溶解が可能である。そのため従来は、膜の薬品洗浄は水酸化ナトリウム等のアルカリや、塩酸等の鉱酸を用いて行われていた。水酸化ナトリウムはシリカを溶解するために40〜60℃に加温し、鉱酸はその他の金属類を溶解するために常温又は加温し膜に接触させる。
しかし、排煙脱硫排水に適用した膜に対しては、アルカリや酸による洗浄効果は十分でなく、通液一定期間ごとに、通常しばしば用いられる水酸化ナトリウムや塩酸、硫酸による洗浄を繰り返すと洗浄回復率が十分でなく、徐々に膜性能が低下し、膜の交換頻度が高くなるという問題点があった。また、通常運転時のフラックス低下速度も早く、薬品洗浄実施の期間も早くなり、装置稼働率の低下、洗浄用薬品量が増大するという問題点もある。さらに薬品洗浄を実施すると洗浄廃液が生成し、洗浄廃液を別途処理する必要が生じ、設備費、薬剤費がかかる等の問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、排煙脱硫排水を酸化、凝集、膜分離により処理する際に、膜の洗浄回復率を高め、薬品洗浄実施の期間を延長して、膜の交換頻度を少なくすることができ、さらに膜の洗浄廃液を容易に処理することができる排煙脱硫排水の処理方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、排煙脱硫排水を酸化、凝集、膜分離した際の膜面の汚染において、膜の性能回復に大きな影響を与えている汚染成分が二酸化マンガンであることを解明し、膜面に沈着した二酸化マンガンは、シュウ酸を含む洗浄液で洗浄することにより除去することができ、さらに洗浄に用いたシュウ酸を含む洗浄廃液は、返送して排煙脱硫排水に混合することにより容易に処理することができることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)排煙脱硫排水を、酸化工程、凝集工程、膜分離工程に通水して処理する排煙脱硫排水の処理方法において、処理の継続によって汚染した膜をシュウ酸を含む水溶液と鉱酸水溶液とを併用して洗浄する又はシュウ酸と鉱酸の混合水溶液で洗浄することを特徴とする排煙脱硫排水の処理方法、及び、
(2)汚染した膜をシュウ酸を含む洗浄液と鉱酸水溶液とを併用して洗浄する又はシュウ酸と鉱酸の混合水溶液で洗浄することにより発生した洗浄廃液を、返送して排煙脱硫排水に混合する第(1)項記載の排煙脱硫排水の処理方法、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(3)膜分離工程において、精密ろ過膜(MF膜)を使用する第(1)項又は第(2)項記載の排煙脱硫排水の処理方法、
)洗浄液が、シュウ酸0.05〜1重量%と鉱酸3〜15重量%を含む混合水溶液である第(1)〜(3)項記載の排煙脱硫排水の処理方法、
)濃度0.05〜1重量%のシュウ酸水溶液と濃度3〜15重量%の鉱酸水溶液を併用して洗浄する第(1)〜(3)項記載の排煙脱硫排水の処理方法、
)汚染した膜とシュウ酸を含む洗浄液を、常温〜80℃において、1〜数10時間接触せしめる第(1)〜()項記載の排煙脱硫排水の処理方法、及び、
)汚染した膜をさらにアルカリで洗浄する第(1)〜()項記載の排煙脱硫排水の処理方法、
を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明方法は、火力発電所等の排煙脱硫装置から排出される排煙脱硫排水を、酸化工程、凝集工程、膜分離工程に通水して処理する工程に適用することができる。図1は、本発明の排煙脱硫排水の処理方法の一態様の工程系統図である。
本発明方法において、酸化工程1は、排煙脱硫排水中に含まれているマンガンイオンを酸化し、不溶性の二酸化マンガンを形成することを主たる目的とする。酸化の手段には特に制限はなく、例えば、空気曝気、あるいは、過マンガン酸塩、オゾン、塩素系酸化剤等の添加により行うことができる。図1においては、酸化工程が凝集反応槽2の前に設けられているが、凝集反応槽に酸化剤を添加し、酸化工程と凝集工程を同時に行うことも可能である。
また、マンガンイオンの除去とは関係なく、例えば、排水中の亜硫酸イオンを酸化するために空気曝気する工程を含む場合も、結果的に二酸化マンガンが生成する。また、凝集工程において撹拌のため空気撹拌する場合にも、同様に二酸化マンガンが生成する。本発明における酸化工程は、上述のような二酸化マンガン除去を目的としていない酸化工程であってもよい。
本発明方法において、酸化工程を終了した被処理水は、凝集反応槽2へ送られる。凝集反応槽における凝集工程において、被処理水にpH調整剤、凝集剤等を添加して、被処理水中の懸濁物、フッ素イオン、金属イオン、COD成分の一部等を凝集せしめる。凝集反応槽には、pH計3を備えることが好ましい。pH調整剤の添加により、被処理水中の懸濁物の凝集に適するpHとし、あるいは被処理水中に溶存するイオンが不溶化するpHとすることができる。使用するpH調整剤には特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、消石灰等のアルカリや、塩酸、硫酸等の酸を使用することができる。使用する凝集剤には特に制限はなく、例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物、塩化鉄、硫酸鉄、ポリ鉄等の鉄塩、消石灰、水酸化マグネシウム等の水酸化物、ポリアクリルアミド、その加水分解物、カチオン変性物、ポリアクリル酸等の高分子凝集剤等を、懸濁物の性状に応じて適宜選択して使用することができる。凝集剤の添加量は、被処理水中の除去対象物の量及び性状に応じて設定することができる。
【0006】
本発明方法において、反応凝集槽において凝集工程を終了した被処理水は、循環槽4に送られる。循環槽中の被処理水は、循環ポンプ5を用いて膜分離装置6に送液し、膜分離により凝集工程で生成した凝集フロックを水から分離する。使用する分離膜には特に制限はなく、例えば、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、逆浸透膜(RO膜)、ナノフィルター膜(NF膜)等を凝集フロックの性状に応じて適宜選択して使用することができるが、多くの場合、精密ろ過膜及び限外ろ過膜を好適に使用することができる。膜エレメントの形式には特に制限はなく、例えば、平面膜締め付け型、平面膜スパイラル巻型、管状膜、中空糸膜等を使用することができる。膜分離装置の形式にも特に制限はなく、例えば、外圧式、内圧式あるいは加圧式、減圧式等を適宜選択して使用することができる。
循環槽より循環ポンプにより膜モジュールに送液され、膜を透過した水は処理水として、そのまま又はいったん処理水槽7に入れてさらにpH調整等必要な処理を施した上で排出される。膜モジュールにおいて濃縮された被処理水は、一部は凝集反応槽へ、残部は循環槽へ循環される。凝集反応槽へ濃縮された被処理水を循環することにより、返送された汚泥が凝集反応の種晶となり、大きい、分離性のよいフロックを形成するので好ましい。循環槽へ循環された被処理水は、再度膜モジュールへ供給され、膜による固液分離が繰り返される。膜分離により、通常、数十ないし数百mg/リットルのSSを含む凝集反応槽中の被処理水は、循環槽内の汚泥のSS成分が約2重量%程度になるまで濃縮され、膜を透過した処理水中のSSは1mg/リットル以下となる。
【0007】
本発明方法においては、膜の使用により膜が汚染し、透過水量が低下したとき、膜の洗浄を行う。膜の洗浄は、逆流洗浄及び薬品洗浄によって行う。逆流洗浄は、通常、5分ないし5時間に1回程度行うのが適当であり、例えば、コンプレッサー8から処理水槽7に加圧空気を送り、処理水を加圧して膜の透過側から原水側に向かって供給し、逆流洗浄を行うことができる。逆流洗浄では膜面の汚れを完全に除去することができず、徐々に透過水量が減少するので薬品洗浄を行う。
本発明方法においては、シュウ酸を含む洗浄液で薬品洗浄を行う。シュウ酸を含む洗浄液による薬品洗浄の方法には特に制限はなく、例えば、濃度1〜10重量%のシュウ酸水溶液を用いて洗浄することができ、濃度0.05〜1重量%のシュウ酸水溶液と濃度3〜15重量%の鉱酸水溶液を併用して洗浄することができ、あるいは、シュウ酸0.05〜1重量%と鉱酸3〜15重量%を含む混合水溶液を用いて洗浄することができる。シュウ酸水溶液と鉱酸水溶液を併用する場合、洗浄の順序には制限はなく、シュウ酸水溶液で洗浄したのち鉱酸水溶液で洗浄することができ、あるいは逆に鉱酸水溶液で洗浄したのちシュウ酸水溶液で洗浄することができる。シュウ酸水溶液のみを用いる場合、シュウ酸濃度が1重量%未満であると洗浄効果が小さく、シュウ酸濃度が10重量%を超えると洗浄効果は濃度の上昇に見合っては向上しない。シュウ酸水溶液と鉱酸水溶液を併用する場合あるいはシュウ酸と鉱酸の混合水溶液を用いる場合、シュウ酸濃度が0.05重量%未満であると洗浄効果が小さく、シュウ酸濃度が1重量%を超えると洗浄効果は濃度の上昇に見合っては向上しない。シュウ酸水溶液と併用する鉱酸水溶液の濃度及びシュウ酸と鉱酸の混合水溶液中の鉱酸の濃度は、3重量%未満であると洗浄効果が小さく、15重量%を超えると洗浄効果は濃度の上昇に見合っては向上しない。膜に付着するSS成分には、通常、シュウ酸水溶液に可溶な成分と、鉱酸水溶液に可溶な成分とが混在しているため、洗浄薬剤としてシュウ酸と鉱酸とを混合し、両者を同時に作用させることにより高い洗浄効果を得ることができるので好ましい。
【0008】
本発明方法において、膜の薬品洗浄は膜の原水側へシュウ酸水溶液又はシュウ酸と鉱酸の混合水溶液を充填して行うことができる。膜とシュウ酸水溶液又はシュウ酸と鉱酸の混合水溶液の接触の際の温度は、常温〜80℃とすることが好ましい。接触の際の温度を冷却により常温未満としても特に利点はなく、むしろ洗浄効果が小さくなるおそれがある。一般に膜とシュウ酸水溶液又はシュウ酸と鉱酸の混合水溶液の接触の際の温度を上昇すると洗浄効果は向上するが、80℃を超える温度とする必要は少なく、むしろ膜の劣化をはやめるおそれがある。膜とシュウ酸水溶液又はシュウ酸と鉱酸の混合水溶液の接触時間は、1〜数10時間であることが好ましい。接触時間が1時間未満であると、膜の洗浄が十分に行われないおそれがある。接触時間は数10時間あれば十分であり、接触時間が数10時間を超えても通常は洗浄効果は向上しない。
本発明方法においては、酸洗浄に加えてアルカリ洗浄を行うことができる。アルカリ洗浄はシリカ系スケールの除去に有効であり、膜の汚染物質としてシリカが多い場合に好適に実施することができる。使用するアルカリ洗浄液には特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等を使用することができる。アルカリ洗浄液の濃度は、4〜15重量%とすることが好ましい。アルカリ洗浄液は、常温又は加温した状態で、数時間、膜に充填又は循環しながら膜に接触させることが好ましい。本発明方法において、洗浄の順序は、酸洗浄後にアルカリ洗浄でもよく、アルカリ洗浄後に酸洗浄でもよく、特に順序に制限はない。
図1に示した例では、アルカリ洗浄液はアルカリ貯槽9に、鉱酸とシュウ酸との混合酸洗浄液は酸貯槽10に用意される。洗浄に際しては、まずポンプ11を駆動してアルカリ貯槽9のアルカリ洗浄液を膜分離装置6の透過水側に供給し、配管を通ってアルカリ貯槽9に戻り、所定時間アルカリ洗浄液が循環される。次にアルカリ洗浄液を濃縮水側に入れ、循環される。その後、洗浄液は酸洗浄液に切り換えられ、酸貯槽10の酸洗浄液が同様にして酸貯槽10と膜分離装置6との間を循環され、膜を洗浄する。このようにして洗浄すると、排煙脱硫排水特有の膜汚染物質が除去され、膜性能が回復する。
そして、本発明方法の膜洗浄で発生した洗浄廃液は、排煙脱硫排水の処理工程を利用することにより、別途廃液処理装置を設けることなく処理することができる。図1の例において、膜モジュールの洗浄により発生した洗浄廃液は、アルカリ性洗浄廃液をアルカリ貯槽9及び酸性洗浄廃液を酸貯槽10に分けて貯留する。アルカリ性洗浄廃液は、洗浄に用いた水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を含有する。酸性洗浄廃液は、シュウ酸又はシュウ酸及び鉱酸を含有する。洗浄廃液は、ポンプ11により排煙脱硫排水に直接又は凝集反応槽に返送され、排煙脱硫排水と一定の割合で混合される。洗浄廃液の返送量は、膜モジュールの洗浄頻度及び1回の洗浄に使用する洗浄液の量によって決まるが、通常は排煙脱硫排水の数十分の一の量であるので、排煙脱硫排水の処理工程の運転効率を低下させることなく、洗浄廃液を返送することができる。排煙脱硫排水は、通常、返送される洗浄廃液中のシュウ酸を不溶性のシュウ酸カルシウムにするに十分なカルシウムイオンを含有しているが、必要に応じてpH調整に消石灰を用いる等の方法により被処理水にカルシウムイオンを供給することができる。洗浄廃液中のシュウ酸は、排煙脱硫排水の処理工程において中和され、水不溶性のシュウ酸カルシウムとなり、凝集フロックとともに膜分離装置で除去されるのでCOD負荷とならず、シュウ酸除去のための薬剤や工程を必要とせず、洗浄廃液は排煙脱硫排水と同時に処理される。また、洗浄廃液を排煙脱硫排水に混合することにより、フラックスはむしろ安定化する。この作用機構は明らかではないが、洗浄廃液を混合することによって生成するSSの粒子が膜処理に適したものとなるためと考えられる。
本発明方法においては、排煙脱硫排水の処理工程として、必要に応じて、酸化工程、凝集工程及び膜分離以外の任意の処理工程を、任意の段階に加えることができる。例えば、凝集工程で除去することができないイオン性のCOD成分の除去のために、吸着樹脂、活性炭、イオン交換樹脂等を充填した吸着塔を設けることができる。また、要求処理水質によっては、フッ素の除去率を向上させるために、フッ素吸着塔を設けることができ、さらに重金属の除去効果をあげるために、凝集工程において重金属固定剤を併用することができる。
【0009】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
火力発電所脱硫排水をポリプロピレン製チューブラ精密ろ過膜(内径5.5mm、孔径0.2μm)で処理した。この精密ろ過膜の純水フラックスは、22.4m3/m2・day(at 0.5kg/cm2・25℃)である。また、排水の水質は、pH7.2、CODMn20mg/リットル、SS41mg/リットル、フッ素20mg/リットル、マンガン3.6mg/リットルであった。
原水を酸化工程においてpH8.5で空気酸化したのち、凝集反応槽でポリ塩化アルミニウム及び過マンガン酸カリウムを添加して凝集反応を行い、循環槽に送った。循環槽から循環ポンプを用いて膜モジュールに送液し、膜透過水は処理水として放流した。膜分離条件は、膜面流速2m/s、水温30〜40℃、循環水入口圧力約1kgf/cm2、循環水出口圧力約0.6kgf/cm2、膜透過水量5m3/m2・day(定流量)とした。
処理水の水質は、pH6.9、CODMn18mg/リットル、SS1mg/リットル以下、フッ素4.1mg/リットル、マンガン0.1mg/リットル以下となった。また、循環槽内の汚泥は、SS成分約2重量%まで濃縮された。
この条件で1ケ月運転した膜は、純水フラックス9.0m3/m2・dayとなった。この膜を、8重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて60℃で2時間洗浄し、続いてシュウ酸0.1重量%を溶解した7重量%塩酸を用いて25℃で2時間洗浄した。膜の純水フラックスは21.6m3/m2・dayとなり、膜の回復率は96.4%であった。
実施例2
実施例1に用いたものと同じ条件の精密ろ過膜を用いて、塩酸による洗浄と、シュウ酸水溶液による洗浄を逐次行った。
1ケ月運転後の純水フラックス9.0m3/m2・dayとなった膜を、8重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて60℃で2時間洗浄し、続いて7重量%塩酸を用いて25℃で2時間洗浄し、さらに0.5重量%シュウ酸水溶液を用いて25℃で2時間洗浄した。膜の純水フラックスは22.1m3/m2・dayとなり、膜の回復率は98.7%であった。
参考例
実施例1に用いたものと同じ条件の精密ろ過膜を用いて、シュウ酸水溶液による洗浄を行った。
1ケ月運転後の純水フラックス9.0m3/m2・dayとなった膜を、8重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて60℃で2時間洗浄し、続いて5重量%シュウ酸水溶液を用いて25℃で2時間洗浄した。膜の純水フラックスは21.1m3/m2・dayとなり、膜の回復率は94.2%であった。
比較例1
実施例1に用いたものと同じ条件の精密ろ過膜を用いて、シュウ酸を用いることなく、塩酸による洗浄のみを行った。
1ケ月運転後の純水フラックス9.0m3/m2・dayとなった膜を、8重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて60℃で2時間洗浄し、続いて7.5重量%塩酸を用いて25℃で2時間洗浄した。膜の純水フラックスは19.6m3/m2・dayとなり、膜の回復率は87.5%であった。
実施例1〜2、及び参考例のシュウ酸含む洗浄液を用いた洗浄によると、精密ろ過膜の純水フラックスの回復率が高く、膜の汚染が効率よく除去されているが、洗浄にシュウ酸を用いない比較例1では、精密ろ過膜の純水フラックスの回復率が低い。
実施例4
火力発電所脱硫排水をポリプロピレン製チューブラ精密ろ過膜(内径5.5mm、孔径0.2μm、膜面積0.036m2)で処理した。この精密ろ過膜のフラックスは、12.0m3/m2・d(0.5kgf/cm2、25℃換算)である。また、排水の水質は、pH6.5、CODMn25mg/リットル、SS150mg/リットル、フッ素25mg/リットル、マンガン3.0mg/リットル、カルシウム1,500mg/リットルであった。
排水を酸化工程において空気酸化したのち、反応槽でポリ塩化アルミニウム2,000mg/リットル及び過マンガン酸カリウム6.0mg/リットルを添加し、水酸化ナトリウムによりpHを6.5に調整して凝集反応を行い、循環槽に送った。循環槽から循環ポンプを用いて膜モジュールに送液し、膜透過水は処理水として放流した。膜分離条件は、膜面流速2m/s、水温30〜40℃、循環水入口圧力1.0kgf/cm2、循環水出口圧力0.8kgf/cm2、膜透過水量5m3/m2・d(定流量)とした。膜は、15分間に1回、処理水による10秒間の逆流洗浄を行った。
この条件で1カ月運転したところ、処理水の水質はCODMn19mg/リットル、SS0mg/リットル、フッ素7.5mg/リットル、マンガン0.2mg/リットルであった。なお、循環槽内の汚泥は、SS成分約2重量%まで濃縮された。また、フラックスは6.0m3/m2・dとなり、1日当たりのフラックス低下率は、0.20m3/m2・d2(0.5kgf/cm2、25℃換算)であった。
この膜を、8重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて60℃で5時間洗浄し、純水で置換後、シュウ酸0.1重量%を溶解した7重量%塩酸を用いて25℃で2時間洗浄した。膜のフラックスは、洗浄により12.0m3/m2・dに回復した。この洗浄の際に発生した洗浄廃液のCODMnは、85mg/リットルであった。
この洗浄廃液を、排煙脱硫排水に5容量%の割合で均一に添加しながら、反応槽における凝集反応及び膜分離を継続した。最初の1カ月と同じ条件で処理を行ったところ、処理水の水質はCODMn19mg/リットル、SS0mg/リットル、フッ素7.5mg/リットル、マンガン0.2mg/リットルで、最初の1カ月の処理水の水質と全く同じであった。また、40日後にフラックスが6.0m3/m2・dとなり、この間の1日当たりのフラックス低下率は0.15m3/m2・d2であった。すなわち、1日当たりのフラックスの低下率は、最初の1カ月よりも小さい。
以上の結果から、シュウ酸を含む膜洗浄廃液を排煙脱硫排水に添加し、処理した場合も、処理水質には膜洗浄廃液を添加しない場合と変化がなく、フラックスの低下率が抑制され、フラックスが安定して洗浄頻度が少なくなることが分かった。
【0010】
【発明の効果】
本発明方法によれば、二酸化マンガンのように鉱酸に難溶性のSSを含む排煙脱硫排水の膜処理の膜洗浄において、高い性能回復率を保つことができ、膜の長寿命化、ランニグクコスト低下の効果がある。さらに、膜洗浄廃液を排煙脱硫排水に混合することにより、膜洗浄廃液と排水を同時に処理し、洗浄廃液自体の処理を省くことができ、装置全体の運転効率を高めることができる。さらに、洗浄廃液を排水に混合処理することにより、膜のフラックスが安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の排煙脱硫排水の処理方法の一態様の工程系統図である。
【符号の説明】
1 酸化工程
2 凝集反応槽
3 pH計
4 循環槽
5 循環ポンプ
6 膜分離装置
7 処理水槽
8 コンプレッサー
9 アルカリ貯槽
10 酸貯槽
11 ポンプ

Claims (2)

  1. 排煙脱硫排水を、酸化工程、凝集工程、膜分離工程に通水して処理する排煙脱硫排水の処理方法において、処理の継続によって汚染した膜をシュウ酸を含む水溶液と鉱酸水溶液とを併用して洗浄する又はシュウ酸と鉱酸の混合水溶液で洗浄することを特徴とする排煙脱硫排水の処理方法。
  2. 汚染した膜をシュウ酸を含む洗浄液と鉱酸水溶液とを併用して洗浄する又はシュウ酸と鉱酸の混合水溶液で洗浄することにより発生した洗浄廃液を、返送して排煙脱硫排水に混合する請求項1記載の排煙脱硫排水の処理方法。
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