JP3871042B2 - ピーニング強度測定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、疲れ寿命を向上させるために行われるショットピーニングの施工条件であるピーニング強度と、これに対応してピーニングの対象物に生じる残留応力との相関関係を求めるためのピーニングの強度測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高応力状態で使用される部品、例えば、タービンのディスクやシャフト等には、エンジンの始動・停止の繰り返しのサイクルのため、低サイクルの疲労が生じる。そのため、部品の設計においてその寿命を決定するためのデータが必要となるが、応力や変質層のない状態の材料に基づいたデータによって寿命を求めると実際の寿命と異なることがわかっている。
【0003】
これは、実際の部品では、加工時においてその表面に引っ張り応力や、薄い変質層が生じるため、これが疲れ寿命を短くするためである。
このような疲れ寿命を向上させるには、部品に残留する引っ張り応力を低下させるか圧縮応力を生じさせればよく、そのためにショットピーニングによる表面加工処理(ピーニング加工)が用いられる。
【0004】
ショットピーニング(以下単に「ピーニング」という。)とは、ショットと呼ばれる鋼、ガラス、セラミック等の粒子を対象物(実際の部品)表面にエアや回転インペラによって多数投射する冷間加工法であって、この加工処理によって、対象物表面がへこみ、押し伸ばされて塑性変形し、対象物表面に圧縮応力を残留させるものである。
【0005】
ここでピーニングの強さ(ピーニング強度)は、ショットの大きさ、投射速度等の条件によって決定されるが、このピーニング強度の条件により対象物表面に発生する圧縮応力(残留応力)が異なってくるため、所望の残留応力を対象物に生じさせるためには、各条件に対応するピーニング強度と、これにより生じる残留応力の大きさとの関係を予め正確に把握しておく必要がある。
【0006】
そのため従来から、ピーニング強度と残留応力との関係を測定する方法として、米国特許第2,350,440号に開示されている方法が広く一般的に用いられている。
【0007】
このピーニング強度測定方法は、図4の(a)乃至(c)に示すように、保持具8上面に固定した短冊状の試験片2(「アルメン片」と呼ばれる規格化された試験片)の全面に、実際の対象物にピーニングを施す場合と同一の所定条件でショット16をピーニングノズル11から直接投射してピーニングを施し、(b)(c)に示すように、その塑性変形による変形量(アークハイト)h、すなわち試験片2に生じた変形(反り)の大きさをダイヤルゲージ13を用いて実測することで、この条件におけるピーニング強度とこれに対応する対象物の残留応力(圧縮応力)を間接的に測定するものである。
したがって、ピーニング強度と残留応力との相関関係は、上記の所定条件を種々に変えて測定を繰り返すことによって求められていた。
【0008】
またピーニング対象物となる実際の部品では、例えば概ね0.5インチ以下の小径の中空管の内周面等のように、直接的にショットを投射しても効果が低い部位にピーニングを施すこともある。
かかる場合には中空管内の一端側の開口部から軸方向にショットを投射し、他端側の開口部から挿入した棒状の反射部材によりこれを反射させ、反射したショットによって中空管内周面のピーニングが行われる。
また、ピーニングランス(PEENING LANCE)と呼ばれるショットを内部に通し、かつその先端でショットの進行方向を屈曲させてこれを噴出する中空細径管を用い、これを中空管内に挿入してショットを投射し、さらにピーニングランスを軸方向に移動させ及び軸回りに回転させることによって中空管内周面全域のピーニングを行うこともある。
【0009】
このように反射用部材を用いて対象物表面にいわば間接的にショットを投射し、またはピーニングランスを用いてピーニングを行う場合には、その他の条件(粒子大きさ、投射速度等)が同一であっても直接的にショットを投射する場合とは生じる残留応力も当然に異なってくる。そのため、試験片を用いたピーニング強度と残留応力の関係の測定も上記とは異なる方法で行われることになる。
【0010】
間接投射によるピーニング強度の測定方法は、米国特許第3,695,091号公報に開示された発明に次のように記載されている。
この先行発明では図5(a)〜(d)に示すように、一面側に対象物の内周面の一部分の形状を模擬した半円形状に凹む模擬溝6を形成した直方体の治具4を用い、これを保持具8に固定した試験片2にこの模擬溝6が試験片2の長手方向に垂直となるように被せた状態で、換言すれば模擬溝6に位置する試験片2の一部のみが外部と通じ、他の部分は治具4によってマスキングされた状態で、模擬溝6と試験片上面により形成されたトンネル状の中空空間12の一端側の開口12bからショット16を投射し、他端側の開口12aから先端が円錐に形成された棒状の反射用部材14を挿入して投射されたショット16を反射させ、試験片2の一部のみのピーニングを行い、各ピーニング強度での間接投射における残留応力(圧縮応力)の大きさを、試験片に生じた変形量により測定している。なお図中、(c)は(b)のc−c断面図、(d)は(c)のd−d断面図を示している。
【0011】
すなわちこの米国特許のピーニング強度の測定方法は、実際の対象物の狭隘部位にピーニングを施す際のピーニング強度の条件出しのための試験に用いられるもので、
▲1▼同じ投射条件(ピーニング強度)下で試験片の全体を直接投射によりピーニング(全体ピーニング)した場合と、試験片の一部分のみを直接投射によりピーニング(部分ピーニング)した場合の試験片の変形量の関係を予備実験により予め把握しておき、
▲2▼対象物にピーニングを行う際と同じ条件下で、試験片の一部分のみを間接投射によりピーニングした後にその変形量をダイヤルゲージを用いて計測し、
▲3▼試験片の変形量を、前もって把握しておいた全体ピーニングと部分ピーニングとの変形量との関係に照らして、この投射条件におけるピーニングの強さに対応する残留応力(圧縮応力)の大きさを推定する、
ものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の間接投射によるピーニングの強度測定方法では、
▲1▼部分ピーニングによる試験片の変形量は小さく、またピーニング域の非ピーニング域に対する割合が小さいため、計測精度が悪い、
▲2▼ダイヤルゲージは、試験片長手方向の測定基準幅W(「アークハイト計測幅」ともいう。具体的には1.25インチ)での試験片の変形量(撓み量)を計測するものであるため(図4参照)、測定基準幅よりも狭い幅の部分ピーニングによる場合には、測定基準幅内の非ピーニング域がピーニング域での変形量の計測値を増幅させてしまい、計測値と実際の変形量との間に誤差を生じている、
▲3▼複数回行われる予備試験においても同様に部分ピーニング域の変形のばらつきが非ピーニング域により増幅されてしまうため、わずかな変形量のばらつきが数倍にも強調されてしまう結果、予備試験の信頼性が低くなる、
▲4▼部分ピーニングと全体ピーニングとの関係を予め予備試験によって的確に把握しておかなければならず測定に多くの手間を要する、
等の問題があった。
【0013】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、測定基準幅よりも狭い幅で対象物にピーニングを施す場合の、ピーニングの強さに対応する対象物表面に生じる残留応力(圧縮応力)の大きさを、同一条件により試験片をピーニングしてその変形量から当該条件下での残留応力を間接的に測定する際に、▲1▼変形量の計測精度を向上させ、▲2▼部分ピーニングと全体ピーニングの関係を予備試験により予め調べることなく、様々な投射条件での変形量の計測を直接的に行うことができ、▲3▼部分ピーニング域の変形量のばらつきを増幅させることなく、従来よりも高精度に変形量を計測することができる、ピーニング強度測定方法を提供することを目的とする。
これにより適切なピーニング強度で対象物(実際の部品)へのピーニングが可能となり、所望の残留応力を対象物表面に発生させることが可能となる。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため本発明は、対象物にピーニングを施した際に対象物表面に生じる残留応力の大きさを求めるため、短冊状の試験片(2)を対象物と同一条件によりピーニングして試験片長手方向の測定基準幅(W)に生じた変形量(h)から残留応力の大きさを間接的に求めるピーニング強度測定方法であって、対象物のピーニング域に相当する部分のみがピーニングされるように、試験片の一部分のみを残して非ピーニング域をマスキングしてピーニングを行い、順時ピーニング域をずらして測定基準幅部分の試験片全域をピーニングする第1段階と、試験片の測定基準幅に生じた変形量を計測する第2段階と、を含む、ことを特徴とするピーニング強度測定方法を提供する。
【0015】
本発明のピーニング強度測定方法では、対象物のピーニング域に相当する部分を残して試験片をマスキングし、試験片の一部をピーニングしてその変形量からピーニング強度と残留応力の大きさの関係を測定する点においては従来のピーニング強度測定方法と近似する部分もあるが、本発明では従来法のように試験片の一部分のみをピーニングした後にその変形量をダイヤルゲージで計測し、その値そのままを基に残留応力を近似値として求めるのではなく、ピーニング域をずらしながら順次ピーニングを行って測定基準幅部分の試験片全域をピーニングするものである。
【0016】
すなわち本発明の測定方法は、測定基準幅部分の試験片全域をピーニングすることによってこの部分全体に変形を生じさせ、その変形量を計測するものであり、従来法のように近似的に部分ピーニングの変形量を測定するものではないため、変形量の計測精度が向上し、また、部分ピーニングと全体ピーニングの関係を予備試験により予め調べる必要なく、様々な投射条件での残留応力の計測を直接的に行うことができ、さらに部分ピーニング域の変形量にばらつきがある場合にもそれが平均化されることで相殺され、これにより従来よりも高精度にピーニングの強度と残留応力との関係を求めることができる。
【0017】
ここで、前記マスキングは、試験片(2)上に載置される治具(4)により行われ、該前記治具には対象物の表面形状を模擬した両端を開口する直線凹溝状の模擬溝(6)が形成されており、該模擬溝が試験片のピーニング域を画定する、ことが好ましい。
【0018】
まず対象物の表面形状を模擬した模擬溝を有する治具を製作し、これにより試験片をマスキングし、この模擬溝に対応する部分のみをピーニングする。次にこの治具をずらしながら順次ピーニングを行って測定基準幅部分の試験片全域をピーニングする。このように治具を用いることで容易にピーニング域を分割しながら測定基準幅部分の試験片全域のピーニングを重複することなく容易に行うことができる。
【0019】
より具体的な実施例としては、ブロック状の保持具(8)の上面に前記試験片(2)を載置し、前記模擬溝(6)が試験片の測定基準幅(W)内に位置するように試験片の上に前記治具(4)を載置して保持具と治具との間に試験片を挟止し、
▲1▼治具の模擬溝と試験片上面により形成された直線トンネル状の中空空間(12)の開口部(12a,12b)から中空空間内に向けてその斜め方向から粒子状のショット(16)を直接投射して試験片のピーニングを行う、
▲2▼治具の模擬溝と試験片上面により形成された直線トンネル状の中空空間(12)の開口部(12a,12b)から、粒子状のショット(16)を内部に通しかつその先端でショットの進行方向を屈曲させてこれを噴出する中空細径管からなるピーニングランス(18)を中空空間内に挿入し、該ピーニングランスによりショットを投射して試験片のピーニングを行う、
▲3▼治具の模擬溝と試験片上面により形成された直線トンネル状の中空空間(12)の一端側の開口部(12a)から棒状の反射部材(14)を中空空間内に挿入し、前記中空空間の他端側の開口部(12b)から中空空間内に向けて軸方向に粒子状のショット(16)を投射し、該反射部材に衝突して反射したショットにより試験片のピーニングを行う、
ものとする。
【0020】
小径の中空管の内周面等に実際にピーニングを行う条件と同じ条件下で試験片にピーニングを施すことにより、その条件におけるピーニングの強度と残留応力との関係を高精度に求めることができる。
ここで直接的にショットを投射できない部位にピーニングを施す場合には、既述したようにショットを反射させるための反射部材を用いて反射したショットによって間接的にショットを投射するか、ピーニングランスを使用して対象物のピーニングを行っているため、試験片によるピーニング強度の測定も、模擬的に同一の条件下で行われることになる。
そのため試験片の非ピーニング域をマスキングする治具を製作し、試験片に被せた治具の模擬溝に対応する試験片部分のみを間接投射によりまたはピーニングランスを用いてピーニングし、治具をずらしながら順次ピーニングを行って測定基準幅部分の試験片全域をピーニングする。かかる方法によって間接投射またはピーニングランスによるピーニングの強度とこれにより発生する残留応力との関係を求めることができる。
【0021】
またショットピーニング強度測定としては、前記治具(4)を、前記模擬溝(6)が試験片(2)の長手方向と直角をなすように試験片の上に載置してもよいし、前記模擬溝(6)が試験片(2)の長手方向と平行をなすように試験片の上に載置してもよい。
【0022】
通常、治具は模擬溝が試験片の長手方向と垂直をなすように試験片上に載置されるが、ピーニング対象物の形態によっては模擬溝が試験片の長手方向と平行をなすように治具を載置することでより、実際の対象物へのピーニングとそのピーニングの条件を一致させ、より高精度にピーニングの強度と残留応力との関係を求めることができる。
なおこの場合でも試験片の変形は主として長手方向に発生することになるため変形量の計測する手法は従前と同様に行うことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るピーニング強度測定方法を用いたピーニング強度測定試験について説明する。
【0024】
ピーニングは、前述のように鋼などの粒子であるショットを対象物、すなわち実際の部品(特にガスタービンのブレード、タービンディスク、シャフト等の回転部品)の表面にエアによる圧力等を利用して多数投射し、部品表面を凹ませて塑性変形させ、部品の加工時に部品表面生じた引っ張り応力や変質層を消去し、また圧縮応力を残留させて部品の疲れ寿命を向上させるための表面加工処理である。
【0025】
このピーニング強度測定試験は、ピーニングの施工条件と、そのときに対象物に生じる残留応力の大きさとの関係を調べるためのもので、実際の部品にピーニングを施す前に、試験片に種々の条件でピーニングを行い、その結果からピーニング強度に対応する残留応力を求めている。
ピーニング強度測定試験によりピーニング強度と残留応力との関係が求まると、実際の部品にピーニングする場合にも所望の残留応力を生じさせることができる。
【0026】
図1に示したようにこのピーニング強度測定試験は、ピーニングする部品に見立てたアルメン片(ALMEN STRIP)と呼ばれる試験片を用いて行われる。アルメン片2は規格化された短冊状の鋼製の薄板であり、その表面にピーニングを施すと表面に生じる圧縮応力(残留応力)から、圧縮応力の大きさに応じてピーニング面を背側とする反りを生じる。
【0027】
この測定試験は、実際の部品にピーニングするのに先立ち、アルメン片に実際の部品にピーニングするのと同じ状態で、種々に投射条件(粒子大きさ、投射速度等)を変更してピーニングを行うものであり、その結果を基に実際の部品に所望の残留応力を発生させるための条件出しを目的として行われる。
【0028】
また、この測定試験は小径の中空管の内周面をピーニングする場合であって、直接的にショットを投射できない部位に間接的にショットを投射する場合を想定したピーニング強度の測定試験である。
【0029】
測定試験は次の手順で行われる(図1及び図2)。
まず、スチール製の直方体ブロックの一面に、このブロック上にアルメン片2を載置した場合にアルメン片の上面が該一面と面一になるようなアルメン片と同じ厚みの凹み9を切削加工により形成して保持具8を製作する。
またこれとは別に、スチール製の直方体ブロックの一面に、中空管の内周面の軸方向断面形状を模擬した半円形状に凹む直線溝状の模擬溝6を切削加工により形成した治具4を製作する。
さらに、模擬溝6の直径の約3分の1程度の太さのスチール製の丸棒を加工して、その先端を円錐状にした反射部材14を用意する。
アルメン片2を保持具8の凹み9部分に載置し、さらにその上に治具4(図2では透過的に表している。)を載置してアルメン片を挟止した状態で、図示しないクランプ等を用いて保持具と治具を不動に固定する。すなわちこの状態では、治具4の模擬溝6とアルメン片2上面により直線トンネル状の中空空間12が一側から対向する他側に向けて連通して形成され、模擬溝6に対応するアルメン片部分(ピーニング域)以外のアルメン片の上面(非ピーニング域)は治具によってマスキングされた状態となっている。
次に中空空間12の一端側の開口部12aから反射部材14を中空空間内に他の部材と非接触に挿入した後に、他端側の開口部12bから中空空間内に向けて図示しないピーニングノズルから軸方向に鋼製粒子のショット16を投射する。
ピーニングノズル11から投射されたショット16は、中空空間12のほぼ軸方向に進行し、▲1▼中空空間内をそのまますり抜ける、▲2▼中空空間を形成する模擬溝およびアルメン片に浅い角度で衝突する、▲3▼反射部材先端の円錐状部分で反射して法線方向に近い深い角度でアルメン片等に衝突する、▲4▼他のショット等と衝突して様々な角度でアルメン片等に衝突する等、様々な態様の運動をしてアルメン片のピーニングを行う。なおピーニングの際、反射部材14を中空空間12内で軸方向に移動させ、治具4の模擬溝6に対応するアルメン片部分が十分にピーニングされるようにする。なおその様子は図5(d)と同様であるため図面を省略している。
【0030】
このように非ピーニング域をマスキングしてピーニングを行い、治具4をアルメン片2上で、図2に示したように▲1▼から▲4▼へと順次ずらしながらピーニングを行い測定基準幅W部分の全部をピーニングする。なおこのときのピーニングは同じ部分に重複して行われないように注意する必要がある。
最後にアルメン片2を取り出して、その変形量hをダイヤルゲージを用いて実測する。
【0031】
上記手順の測定試験を、様々なショットの大きさ、球数または投射速度等の条件下で行い、ピーニングの強度と生じるアルメン片の変形量(残留応力の大きさ)との相関関係を求め、実際の部品にピーニングを施す際の最適なピーニング強度を決定する。
【0032】
また反射部材を用いて間接的にショットを投射するのではなく、その代わりに図3に斜視図(a)および断面図(b)で示した構造によりその先端でショットの進行方向を屈曲させるピーニングランス18を用い、これを中空空間12の開口部12a,12bから軸方向に挿入してショット16を投射し、さらにピーニングランス18を軸方向に移動させ及び軸回りに回転させることによって試験片のピーニングを行う場合も上記と同様の手法によって、すなわち治具4を順次ずらしながら測定基準幅W部分の全域をピーニングすることによって、この投射条件におけるピーニング強度と残留応力との相関関係を求めることができる。
なお、ピーニングランスの中空細径管の外径は現在2mm程度の細さまでのものが実用化されている。
【0033】
また詳しい説明は省略するが、小径の中空管の内周面のような部位であっても、その奥行きが大きくなく直接的にショットを投射できる部位を想定してピーニング強度測定試験を行う場合には、実際の部品にピーニングを行うのと同様の条件を模擬して、すなわち前記中空空間の開口部12a,12bから中空空間内に向けて斜め方向からショット16を直接投射することにより試験が行われることになる。
【0034】
本発明のピーニング強度測定方法を用いたピーニング強度測定試験では、測定基準幅W部分のアルメン片2の、実際の部品のピーニング域に相当する部分(同一面積、同一形状)を分割ながらピーニングを行い、測定基準幅部分全域にピーニングを施すことで、前述した従来の測定方法の低計測精度、低信頼性の問題を改善し、また、部分ピーニングと全体ピーニングとの関係を予め求めるための予備試験の手間をなくすことができる。
【0035】
また、従来法によるピーニング強度測定では測定基準幅部分の一部のみをピーニングするものであるため、アルメン片に生じる反りの方向との関係でアルメン片の長手方向と垂直をなす方向にピーニングする必要があるが、本発明のピーニング強度測定方法は測定基準幅部分全域をピーニングするため、ピーニング対象物(実際の部品)の形態によってはアルメン片の長手方向と平行となる方向にピーニングし、これによりピーニングの強度と残留応力との関係を求めることができる。
【0036】
なお本発明は上述した実施形態及び実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない限りで種々に変更できることは勿論である。例えば、治具の模擬溝を模擬溝の幅と同じ間隔をあけて等間隔で複数平行に形成し、治具をずらす作業を1回にすることもできる。
【0037】
【発明の効果】
上述したように本発明のピーニング強度測定方法によれば、試験片の測定基準幅部分の全域をピーニングすることにより、▲1▼試験片の変形量(残留応力の大きさ)の計測精度を向上させ、▲2▼部分ピーニングと全体ピーニングの関係を予備試験により予め調べることなく、様々な投射条件での試験片の変形量の計測を直接的に行うことができ、▲3▼部分ピーニング域の変形量のばらつきを増幅させることなく、従来よりも高精度に部分ピーニングの変形量を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のピーニング強度測定試験の方法を示した図である。
【図2】本発明のピーニング強度測定試験の方法を示した図である。
【図3】ピーニングランスの斜視図および断面図である。
【図4】直接投射によるピーニング強度測定試験の方法を示した図である。
【図5】間接投射によるピーニング強度測定試験の従来法を示した図である。
【符号の説明】
2 試験片(アルメン片)
4 治具
6 模擬溝
8 保持具
9 凹み
11 ピーニングノズル
12 中空空間
12a,12b 開口部
14 反射部材
16 ショット
18 ピーニングランス
W 測定基準幅(アークハイト計測幅)
h 変形量

Claims (7)

  1. 対象物にピーニングを施した際に対象物表面に生じる残留応力の大きさを求めるため、短冊状の試験片(2)を対象物と同一条件によりピーニングして試験片長手方向の測定基準幅(W)に生じた変形量(h)から残留応力の大きさを間接的に求めるピーニング強度測定方法であって、
    対象物のピーニング域に相当する部分のみがピーニングされるように、試験片の一部分のみを残して非ピーニング域をマスキングしてピーニングを行い、順時ピーニング域をずらして測定基準幅部分の試験片全域をピーニングする第1段階と、
    試験片の測定基準幅に生じた変形量を計測する第2段階と、を含む、ことを特徴とするピーニング強度測定方法。
  2. 前記マスキングは、試験片(2)上に載置される治具(4)により行われ、該前記治具には対象物の表面形状を模擬した両端を開口する直線凹溝状の模擬溝(6)が形成されており、該模擬溝が試験片のピーニング域を画定する、ことを特徴とする請求項1に記載のピーニング強度測定方法。
  3. ブロック状の保持具(8)の上面に前記試験片(2)を載置し、
    前記模擬溝(6)が試験片の測定基準幅(W)内に位置するように試験片の上に前記治具(4)を載置して保持具と治具との間に試験片を挟止し、
    治具の模擬溝と試験片上面により形成された直線トンネル状の中空空間(12)の開口部(12a,12b)から中空空間内に向けてその斜め方向から粒子状のショット(16)を直接投射して試験片のピーニングを行う、ことを特徴とする請求項2に記載のピーニング強度測定方法。
  4. ブロック状の保持具(8)の上面に前記試験片(2)を載置し、
    前記模擬溝(6)が試験片の測定基準幅(W)内に位置するように試験片の上に前記治具(4)を載置して保持具と治具との間に試験片を挟止し、
    治具の模擬溝と試験片上面により形成された直線トンネル状の中空空間(12)の開口部(12a,12b)から、粒子状のショット(16)を内部に通しかつその先端でショットの進行方向を屈曲させてこれを噴出する中空細径管からなるピーニングランス(18)を中空空間内に挿入し、該ピーニングランスによりショットを投射して試験片のピーニングを行う、ことを特徴とする請求項2に記載のピーニング強度測定方法。
  5. ブロック状の保持具(8)の上面に前記試験片(2)を載置し、
    前記模擬溝(6)が試験片の測定基準幅(W)内に位置するように試験片の上に前記治具(4)を載置して保持具と治具との間に試験片を挟止し、
    治具の模擬溝と試験片上面により形成された直線トンネル状の中空空間(12)の一端側の開口部(12a)から棒状の反射部材(14)を中空空間内に挿入し、
    前記中空空間の他端側の開口部(12b)から中空空間内に向けて軸方向に粒子状のショット(16)を投射し、
    該反射部材に衝突して反射したショットにより試験片のピーニングを行う、ことを特徴とする請求項2に記載のピーニング強度測定方法。
  6. 前記治具(4)は、前記模擬溝(6)が試験片(2)の長手方向と直角をなすように試験片の上に載置される、ことを特徴とする請求項3乃至5に記載のピーニング強度測定方法。
  7. 前記治具(4)は、前記模擬溝(6)が試験片(2)の長手方向と平行をなすように試験片の上に載置される、ことを特徴とする請求項3乃至5に記載のピーニング強度測定方法。
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