JP3870745B2 - ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する洗浄剤 - Google Patents

ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する洗浄剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明安定性に優れた洗浄剤、及びこの用途に適したポリグリセリン脂肪酸エステル組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
液体洗浄剤は、市場でいろいろな環境条件下に置かれた場合、特に寒冷地におかれた場合に、洗剤成分の析出や沈殿を防止し透明安定性を維持することが必要である。
特開平6-340896号公報には、透明安定性を改良した液体洗浄剤として、短鎖アルコールのアルキレンオキシド付加物が含有された洗浄剤が記載されている。
【0003】
一方、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、表面張力、乳化力、可溶化力、起泡力において高い性能を示すと共に、高い洗浄力を有し、人体に対して安全であり、また、皮膚や毛髪に対する刺激性の低い、極めて温和な界面活性剤であることから、食品、加工食品原料、食品製造設備、食器類等の洗浄に適し、またシャンプー、ボディーシャンプー、洗顔料等の洗浄剤組成物に使用されている。
【0004】
例えば、起泡力等を改善したポリグリセリン脂肪酸エステルとして、グリシドールと脂肪酸との付加重合反応で得られるモノ脂肪酸エステル体の含量が70%以上であるようなポリグリセリン脂肪酸エステルが知られていた(特開平8-109153号公報、EP75864A1)。
【0005】
【解決しようとする課題】
しかし、これまでのポリグリセリン脂肪酸エステルを含有した洗浄剤は、透明安定性が未だ不十分であり、更に透明安定性に優れた洗浄剤の開発が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、長期間保存しても透明安定性に優れ、商品イメージが良好であり、かつ安全性が高く、市場において高い評価を得ることができる透明洗浄剤を提供するものである。そして、この様な洗浄剤は、特定の曇点を有するポリグリセリン脂肪酸エステル組成物を界面活性剤として使用することにより達成されることを見出した。
【0007】
即ち、本発明の要旨は、8重量%硫酸ナトリウム水溶液中、1重量%濃度で測定したときの曇点が40℃以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル組成物を、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして2〜15重量%含む水性溶液であって、かつ5℃で1週間以上透明であることを特徴とする洗浄剤に存する
【0008】
本発明の他の要旨は、8重量%硫酸ナトリウム水溶液中、1重量%濃度で測定したときの曇点が80℃以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル組成物を、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして2〜15重量%含む水性溶液であって、かつ5℃で1週間以上透明であることを特徴とする洗浄剤に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に洗浄剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを2重量%以上含む水性溶液であって、かつ5℃で1週間以上透明であることを特徴とする。
本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステル(以下、「PoGE」と省略することがある)は、通常、ポリグリセリン(以下、「PoG」と省略することがある)と脂肪酸とを反応させて得られるエステル体である。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの平均重合度は、通常4〜20であって、好ましくは8〜14である。構成脂肪酸としては、通常、炭素数8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸から選ばれるが、好ましくは炭素数8〜14であり、飽和脂肪酸であることが好ましい。この様な脂肪酸の例としてはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等が挙げられ、なかでも、ラウリン酸が好ましい。これらの脂肪酸は目的に応じて2種類以上の組み合わせで用いることも出来る。モノエステル含量が多いほど好ましく、平均エステル化度は、通常1〜1.5、特に好ましくは1である。
【0010】
水性溶液とは、通常は水を溶媒とするが、水とエタノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等のアルコールとの混合液を溶媒としてもよい。水とアルコールとの混合液の場合には、混合比率には特に制限は無いが、通常、水の含有量は、溶媒中70重量%以上、好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。
【0011】
洗浄剤中のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、2重量%以上である。2重量%以上とは、エステル体のみの含有量を意味し、未反応の原料等の不純物を含んだポリグリセリン脂肪酸エステル組成物の含有量を意味しない。また、通常は20重量%以下であり、好ましくは15重量%以下であり、更に好ましくは10重量%以下である。2重量%未満であると、洗浄剤中の界面活性剤(ポリグリセリン脂肪酸エステル)の含有量が少なくなって、洗浄効果が低下して好ましくない。この場合、洗浄効果を維持する為に、ポリグリセリン脂肪酸エステル以外の他の界面活性剤を補充すると、安全性が低下し好ましくない。また、20重量%を越えると、沈澱が生じやすくなるという理由により好ましくない。
【0012】
5℃で1週間以上透明とは、洗浄剤の調製時から、洗浄剤を5℃で静置した場合に、洗浄剤が1週間以上透明であることを意味する。透明とは、洗浄剤全体の透過率がほぼ100%であること意味し、洗浄剤の容器の底に沈殿が析出したものを含まない。透明である期間は、好ましくは50日以上、更に好ましくは100日以上、更に好ましくは150日以上である。5℃で1週間以上透明であれば、寒冷地においても、長期間、高い透過率を維持することができると考えられる。これに対し、調製時から透明でない洗浄剤や、透明状態が5℃で1週間も保たない洗浄剤は、寒冷地に長期間保存すると、洗浄剤の容器の底に沈殿がたくさん析出すると考えられる。この場合、顧客は、安全性、洗浄力に疑い持つと共に、美的観点からも商品イメージが悪い。
【0013】
本発明の洗浄剤中の石鹸含量は、好ましくは0.01重量%以上である。石鹸含量が0.01重量%以上だと、洗浄剤の透明安定性が向上し好ましい。これは、石鹸分子がポリグリセリン脂肪酸エステルの作るミセルに取り込まれることにより、石鹸分子の持つ負電荷がミセルに付与され、その負電荷による静電反発力により、ミセル同士の凝集・合一が抑制されることによって、沈殿が生じにくくなるためである。石鹸含量は、更に好ましくは0.03重量%以上、更に好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.3重量%以上であり、通常1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下である。本明細書において石鹸とは、脂肪酸アルカリ金属塩を意味する。脂肪酸アルカリ金属塩の構成脂肪酸は、上述したポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸と通常同じである。アルカリ金属は、通常、カリウム、ナトリウムである。
【0014】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、通常、ポリグリセリンを、アルカリ触媒存在下、脂肪酸でエステル化して製造される。その際に、脂肪酸とアルカリ触媒との副反応により、脂肪酸アルカリ金属塩が副生してくる。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、精製が困難なので、通常、未精製で使用される。したがって、必要量のポリグリセリン脂肪酸エステルと脂肪酸アルカリ金属塩を含有するポリグリセリン脂肪酸エステル組成物を製造し、これを未精製で添加する方法が、作業工程上好ましい。しかし、ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物中の脂肪酸アルカリ金属塩の含量が少ない場合は、脂肪酸アルカリ金属塩のみを、別途添加してもよい。別途添加する脂肪酸アルカリ金属塩の構成脂肪酸は、ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸と同じでも、異なっていてもよいが、好ましくは炭素数8〜14であり、更に好ましくは炭素数8〜12である。
【0015】
本発明の洗浄剤には、乳酸脂肪酸エステルアルカリ金属塩を含有してもよい。乳酸脂肪酸エステルアルカリ金属塩は、石鹸と同様に、ミセルの凝集・合一を起こし難くすると考えられる。洗浄剤中の好ましい乳酸脂肪酸エステルアルカリ金属塩の含有量は、通常0.01重量%以上である。石鹸と乳酸脂肪酸エステルアルカリ金属塩の両方が洗浄剤に含有される場合には、合計で、通常0.01重量%以上である。乳酸脂肪酸エステルアルカリ金属塩を構成する脂肪酸及びアルカリ金属は、上述の石鹸の場合と同様である。
【0016】
本発明の洗浄剤は、8重量%硫酸ナトリウム水溶液中、1重量%濃度で測定したときの曇点が40℃以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル組成物を含有させることにより製造することができる。
PoGEの分析には、これまで種々の化学的分析方法が用いられてきた。例えば、エステル化度や残存脂肪酸量を把握するため、酸価、ケン化価、水酸基価がしばしば用いられ、また、石鹸あるいは残存触媒量を知るための灰分の分析等による評価方法も用いられてきた。
【0017】
しかし、PoGEの原料のポリグリセリンは、グリセリンの重縮合物であり、精製が困難であるため、重合度分布を有し、直鎖状重合体ばかりでなく分岐状重合体や環状重合体等を含む。従って、そのエステル体であるPoGEは、PoG骨格が異なる種々のエステル化度のPoGEと未反応PoGとを含む組成物となる。さらにPoGEには、エステル化反応に使用されるアルカリ触媒と原料の脂肪酸との反応で生ずる副生成物の石鹸や、エステル化反応が不十分な場合及び化学量論量を越えた脂肪酸が過剰に使われた場合等には未反応の脂肪酸が含まれることもある。
【0018】
このように、PoGEは複雑な混合物であるために、従来の化学分析では、PoGEの総合的特性を特定することが困難であった。例えばPoGEの平均エステル化度が近似又は同じであっても、乳化安定性等の物性が格段に異なることもあり、平均エステル化度や未反応PoG等従来の化学的分析手法のみでは物性を十分に把握できず、物性評価方法において不都合が生じていた。そこで、ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物の総合的特性規定として、近年、「曇点」が採用されている。
【0019】
一般に曇点は、エチレンオキシドより誘導された非イオン界面活性剤水溶液が温度の上昇により2相に分離し不均質となる現象の起こる温度として定義され、ポリオキシエチレン系界面活性剤の物性評価方法として良く知られている(油脂用語辞典:日本油化学協会編(幸書房))。曇点はポリグリセリン脂肪酸エステルの構造・組成に敏感であり、脂肪酸石鹸をも反映するので、親水性の程度や組成の違いをより正確に識別することができる。さらに、簡便に測定できることからポリグリセリン脂肪酸エステル組成物の特徴を代表する物性としてもっとも優れている。従って、ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物においては、曇点はHLB(親水性と疎水性のバランス)等よりも有用な指標になる。
【0020】
ポリグリセリンは多数の水酸基を持つために、ポリオキシエチレン系の界面活性剤と比較すると、PoGEは全般的に曇点が高く、水の沸点を越えることもある、その様な場合、適当な塩水溶液を用いることにより、容易に測定することができる(特開平9−157386号公報)。通常、親水性が高いほど曇点は高くなり、エステル化率が同じであってもモノエステル含量が多いほど曇点は高くなる。
【0021】
曇点測定法としては、通常、1〜30%の塩化ナトリウムまたは硫酸ナトリウム溶液にポリグリセリン脂肪酸エステル組成物を溶解後、測定する必要があり、その条件は対象となる試料の溶解性により異なるが、本発明の場合、まず、ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物を1重量%となるように8重量%硫酸ナトリウム水溶液に分散し、均一な水溶液とする。そして得られたポリグリセリン脂肪酸エステル組成物の水溶液を、0℃以上100℃以下の任意の温度範囲で、1〜5℃刻みで温度を変化させ、一定温度でしばらくの間静置し、ポリグリセリン脂肪酸エステルが油滴状、油層状、あるいはゲル状のごとく分離し、不均一水溶液となった状態になる温度を測定する。この温度が本発明でいうところの「曇点」である。0℃未満では氷の融点以下、100℃を越えると水の沸点以上となるため、正確な曇点測定が困難となる。
【0022】
本発明で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステル組成物は、8重量%硫酸ナトリウム水溶液中、1重量%濃度で測定したときの曇点が、40℃以上である。曇点が40℃以上とは、曇点が40〜100℃の範囲にある場合、及び100℃で不均一水溶液とならない場合を含む。曇点は高い方が好ましい。曇点が高いと、ポリグリセリン脂肪酸エステル自体の親水性が高くなり、ミセルの凝集・合一が起こりにくくなるため、沈殿が生じにくく、水溶液の透明安定性が高くなる。曇点が40℃未満であると、ポリグリセリン脂肪酸エステルの疎水性が高くなり水溶性が低下し、水溶液の透明安定性の低下が大きくなる。曇点は、45℃以上が好ましく、50℃以上が更に好ましく、80℃以上が更に好ましい。曇点は100℃以上(100℃で不均一水溶液とならない場合)でもよい。
【0023】
本発明で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステル組成物は、石鹸を0.1重量%以上含むことが好ましい。石鹸含量が0.1重量%以上だと、石鹸分子がポリグリセリン脂肪酸エステルの作るミセルに取り込まれることにより、石鹸分子の持つ負電荷がミセルに付与され、その負電荷による静電反発力により、ミセル同士の凝集・合一が抑制されることによって、沈殿が生じにくくなるためである。石鹸含量は、更に好ましくは0.3重量以上、更に好ましくは1重量%以上、更に好ましくは3重量%以上であり、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
【0024】
ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物中のポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの平均重合度は、通常4〜20であって、好ましくは8〜14である。構成脂肪酸としては、通常、炭素数8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸から選ばれるが、好ましくは炭素数8〜14であり、飽和脂肪酸であることが好ましい。この様な脂肪酸の例としてはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等が挙げられ、なかでも、ラウリン酸が好ましい。これらの脂肪酸は目的に応じて2種類以上の組み合わせで用いることも出来る。
【0025】
ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物中のエステル体の含有量は、通常10重量%以上、60重量%以下であり、好ましくは20重量%以上、50重量%以下である。
本発明で使用する曇点40℃以上のPoGE組成物は、ポリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応において、通常、原料(ポリグリセンリンと脂肪酸の総和)に対して、0.001〜3重量%、好ましくは0.001〜1重量%のアルカリ触媒を用い、反応温度150〜300℃、好ましくは180〜260℃で反応させることによって製造することができる。アルカリ触媒としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。反応は通常、撹拌槽タイプの反応器にポリグリセリン、脂肪酸、触媒を仕込み、撹拌しながら所定温度に加熱して、生成水を反応系外へ留去しながら行う。なお、一連の反応中は反応器気相部に窒素等の不活性ガスを流通させておくのが好ましい。ポリグリセリンに対する脂肪酸の仕込みモル比は、通常1以下、好ましくは0.8以下、通常0.4以上である。
【0026】
石鹸量が0.1重量%未満で、かつ曇点80℃以上のPoGE組成物は、通常、エステル化反応時のアルカリ触媒を少量に抑制し、比較的高温で長時間反応することにより製造することが出来る。具体的には、ポリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応において、原料(ポリグリセンリンと脂肪酸の総和)に対して0.001〜0.025重量%、好ましくは0.002〜0.02重量%の極めて少量のアルカリ触媒を用いる。アルカリ触媒の使用量が0.001重量%より少ない場合は、エステル化反応が進行しにくい。また、使用量が0.025重量%を超える場合、反応温度が高温であるため、製品の着色や、原料ポリグリセリンの重合、環状化等の不都合が生じるおそれがある。反応温度は、通常200〜300℃である。好ましくは脂肪酸の転化率が少なくとも70%に達する迄の反応温度を200〜240℃とし、以降、反応温度を更に20〜60℃高めて反応させることによって製造することができる。この場合、反応温度を高めた後の反応時間は、通常2〜6時間である。この方法で製造されたPoGE組成物中には、通常、石鹸が0.01重量%以上含有される。ポリグリセリンに対する脂肪酸の仕込みモル比は、通常1以下、好ましくは0.8以下、通常0.4以上である。
【0027】
石鹸量が0.1%以上で、かつ曇点40℃以上のPoGE組成物は、通常、エステル化反応時のアルカリ触媒を比較的多く使用し、かつ、比較的低温で短時間反応することにより製造することが出来る。具体的には、ポリグリセリンと脂肪酸との直接エステル化反応において、原料(ポリグリセンリンと脂肪酸の総和)に対して0.025〜3重量%のアルカリ触媒を用いる。アルカリ触媒の使用量が0.025重量%より少ない場合、低温安定性を達成するのに十分な触媒由来の石鹸含量が少なくなる。また、使用量が3重量%を超える場合、製品の着色や、原料ポリグリセリンの重合、環状化等の不都合が生じるおそれがある。反応温度は、160〜240℃、好ましくは180〜220℃である。反応時間は、通常3〜10時間である。ポリグリセリンに対する脂肪酸の仕込みモル比は、通常1以下、好ましくは0.8以下、通常0.4以上である。石鹸量が0.1重量%以上で、かつ曇点が80℃以上のPoGE組成物を製造する場合は、前述の製造方法において、アルカリ触媒の量を、原料に対して、通常0.3〜3重量%、好ましくは0.3〜1重量%、さらに好ましくは0.3〜0.85重量%使用する。
【0028】
本発明の洗浄剤において、PoGE組成物は、必要量のポリグリセリン脂肪酸エステルが洗浄剤に含有される様に添加される。通常、洗浄剤中に10〜40重量%、好ましくは10〜20重量%になるように添加される。
エステル化して得られたPoGE組成物の他に、更に石鹸を添加する場合には、PoGE組成物と石鹸を別々に添加してもよいし、エステル化により得られたPoGE組成物と石鹸を混合して、石鹸含量を高めたPoGE組成物を調製してから、これを添加しても良い。石鹸の代わりに乳酸脂肪酸エステルアルカリ金属塩を添加する場合も同様である。
【0029】
本発明洗浄剤においては、洗浄力を充分に発揮するために、キレート剤を配合してもよい。このキレート剤を用いることで、カルシウム、マグネシウム等を含有する硬水中でスケールの発生による硬水水溶液の白濁を防げるばかりでなく、硬水中での洗浄力、起泡力、泡の感触を保つことができる。このようなキレート剤としては、特に限定されず従来と同様のものが用いられ、具体的にはクエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、グルタミン酸塩、ピロリン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、グルコン酸塩、ニトリロトリ酢酸塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体塩、無水マレイン酸−メチルビニルエーテル共重合体塩、無水マレイン酸−オレフィン共重合体塩、無水マレイン酸−メタクリル酸共重合体の塩、無水マレイン酸−酒石酸縮合体、ゼオライト、トリポリリン酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレンジアミン等が例示される。これらの中でも特に、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、グルタミン酸塩、ピロリン酸塩等は、人体への安全性が高く、環境汚染が無く、一緒に用いるPoGE、さらに洗浄剤を構成する水、アルコール等と相溶性が高く、洗浄力、汚れ分散力、起泡力、泡の感触も優れているので好適に用いられる。これらの群より選ばれる一種または二種以上のキレート剤は、0.01〜50重量%、好ましくは1〜30重量%本発明洗浄剤に含有される。
【0030】
この他にも、本発明の洗浄剤には、本発明の目的が損なわれない範囲で、通常の洗浄剤に慣用される添加成分の中から任意のものを選択して添加してもよい。このような添加成分としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、あるいはカルボキシベタイン型、イミダゾリニウム型、スルホベタイン型、アミノ酸系界面活性剤などの人体に対して穏和な界面活性剤、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム等の無機ビルダー、グリセリン、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の流動性向上剤、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤、さらには香料、着色剤、保湿剤、殺菌剤、酵素、抗炎症剤などが挙げられる。
【0031】
本発明の洗浄剤は、水性溶媒に各成分を均一に溶解することによって得られる。本発明洗浄剤は、食品・食器・厨房器具等の洗浄、また、皮膚・毛髪洗浄剤用あるいはなど皮膚と接触する機会の多い種々の洗浄剤として用いることができるが、野菜、果実、ブロイラー肉、魚介類等の食品の洗浄剤用に特に適している。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
製造例1 PoGE−Aの製造
攪拌機、温度計、加熱ジャケット、ガス仕込み口、原材料仕込み口を備えた容量2リッターの反応容器に、まず、PoG(平均重合度10)を1200g仕込んだ。ついで、同じ反応容器に、ラウリン酸(純度99%)と10%水酸化ナトリウム水溶液とを仕込んだ。なお、ラウリン酸の仕込み量は、ラウリン酸/PoGモル比が0.7/1となる様にした。水酸化ナトリウム量は、PoGとラウリン酸との総量に対して0.0025重量%とした。窒素気流下、常圧で、内温を240℃に昇温し、この温度で3時間反応させた後、内温をさらに260℃に昇温し、この温度で4時間反応させた。反応終了後、内温を常温まで冷却し、ポリグリセリンラウリン酸エステル(PoGE−A)を得た。得られた反応生成物について、曇点、PoGE含有量、および石鹸含有量を測定した。結果を表−1に示す。
製造例2 PoGE−Bの製造
水酸化ナトリウム量を0.125重量%とし、240℃一定で7時間反応させた以外は、製造例1と同様にして、ポリグリセリンラウリン酸エステル(PoGE−B)を得た。得られた反応生成物について、曇点、PoGE含有量、および石鹸含有量を測定した。結果を表−1に示す。
実施例1
PoGE−Aを脱塩水に溶解して10%水溶液を調製した後、5℃で保存しての水溶液の状態を経時的に観察した。結果を表−1に示す。
実施例2
PoGE−Aの代わりにPoGE−Bを用いた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
比較例1〜5
PoGE−Aのかわりに市販品PoGE−C、PoGE−D、PoGE−E、PoGE−F、PoGE−Gを用いた以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表−1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003870745
【0034】
製造例3
実施例1と同様の方法で、ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物(PoGE−A´)を得た。得られた反応生成物について、曇点、PoGE含有量、および石鹸含有量を測定した。
製造例4
実施例3で得られたPoGE−A´100gに、ラウリン酸ナトリウム0.35gを添加し、80℃で加温攪拌を行って、ラウリン酸ナトリウムを0.41重量%含有したポリグリセリンラウリン酸エステル組成物(PoGE−H)を得た。
製造例5
実施例3で得られたPoGE−A´100gに、ラウリン酸ナトリウム0.71gを添加し、80℃で加温攪拌を行って、ラウリン酸ナトリウムを0.76重量%含有したポリグリセリンラウリン酸エステル組成物(PoGE−I)を得た。
製造例6
実施例3で得られたPoGE−A´100gに、ラウリン酸ナトリウム1.42gを添加し、80℃で加温攪拌を行って、ラウリン酸ナトリウムを1.47重量%含有したポリグリセリンラウリン酸エステル組成物(PoGE−J)を得た。
製造例7
ラウリン酸/PoGモル比を0.5/1とし、水酸化ナトリウム量をPoGとラウリン酸との総量に対して0.75重量%とし、200℃一定で5時間反応させた以外は、実施例1と同様にして、ポリグリセリンラウリン酸エステル組成物(PoGE−K)を得た。
製造例8
ラウリン酸/PoGモル比を0.7/1とした以外は、実施例7と同様にして、ポリグリセリンラウリン酸エステル組成物(PoGE−L)を得た。
実施例3〜9
PoGE−A´、B、H〜Lを、脱塩水に溶解して、10%水溶液を調整した後、5℃で保存して、その水溶液の状態を経時的に観察した。その結果を表−2に示す。
【表2】
Figure 0003870745
【0035】
【発明の効果】
本発明の洗浄剤は、透明安定性に優れ、商品イメージが高い。
また、本発明の洗浄剤は、透明安定性が高いことの他に、安全性が高く、皮膚に対する刺激が少なく、かつ洗浄力や起泡力、耐硬水性等の洗浄性能および使用感に優れ、しかも好ましくない着色や臭いがないことから、特に食品・食器用洗浄剤、シャンプー、ボディーシャンプー、洗顔剤、ハンドソープ等の皮膚・毛髪用洗浄剤として好適である。食器用洗剤として用いた場合には、すすぎ後の乾燥促進、水滴痕のない仕上がり、乾燥後の食器の光沢・透明感等に優れる。
本発明の洗浄剤は、特定の曇点を有するポリグリセリン脂肪酸エステル組成物を用いて容易に製造することができる。

Claims (10)

  1. 8重量%硫酸ナトリウム水溶液中、1重量%濃度で測定したときの曇点が40℃以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル組成物を、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして2〜15重量%含む水性溶液であって、かつ5℃で1週間以上透明であることを特徴とする洗浄剤。
  2. ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物が、ポリグリセリン、ポリグリセリンに対して0.4〜0.8モル倍の脂肪酸、及びこの両者の合計に対して0.001〜1.0重量%のアルカリ触媒を含む混合物を、180〜260℃で反応させたもの、ないしはこれに更に石鹸を添加したものであることを特徴とする請求項1記載の洗浄剤。
  3. 8重量%硫酸ナトリウム水溶液中、1重量%濃度で測定したときの曇点が80℃以上であるポリグリセリン脂肪酸エステル組成物を、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして2〜15重量%含む水性溶液であって、かつ5℃で1週間以上透明であることを特徴とする洗浄剤。
  4. ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物が、ポリグリセリン、ポリグリセリンに対して0.4〜0.8モル倍の脂肪酸、及びこの両者の合計に対して0.001〜0.025重量%のアルカリ触媒を含む混合物を、200〜240℃に加熱して脂肪酸の転化率を少なくとも70%に到達させ、次いで反応温度を更に20〜60℃上昇させて反応させたもの、ないしはこれに更に石鹸を添加したものであることを特徴とする請求項3記載の洗浄剤。
  5. ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物を、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして2〜10重量%含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の洗浄剤。
  6. 石鹸の含有量が0.03〜1重量%であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の洗浄剤。
  7. ポリグリセリンと脂肪酸とからポリグリセリン脂肪酸エステルを生成させるときに副生した石鹸に加えて他の石鹸を含有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の洗浄剤。
  8. ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸の炭素数が8〜14であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の洗浄剤。
  9. 食品用、食器・厨房器具用または皮膚・毛髪用の洗浄剤であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の洗浄剤。
  10. 食品用の洗浄剤であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに
    記載の洗浄剤。
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