JP3870120B2 - インクジェット記録ヘッド、およびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド、およびインクジェット記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3870120B2
JP3870120B2 JP2002121157A JP2002121157A JP3870120B2 JP 3870120 B2 JP3870120 B2 JP 3870120B2 JP 2002121157 A JP2002121157 A JP 2002121157A JP 2002121157 A JP2002121157 A JP 2002121157A JP 3870120 B2 JP3870120 B2 JP 3870120B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
flow path
recording head
discharge port
filter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002121157A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003311965A (ja
Inventor
宣幸 松本
虎近 長田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2002121157A priority Critical patent/JP3870120B2/ja
Publication of JP2003311965A publication Critical patent/JP2003311965A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3870120B2 publication Critical patent/JP3870120B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録ヘッド及びこれを備えたインクジェット記録装置に関し、特に同一色の異なる液滴サイズのインクを吐出するインクジェット記録ヘッドにおけるインク流路内の構造に関するものである。詳しくは同一色のインクを吐出する、複数のインク吐出口が列状にならんだインク吐出口列を一色あたり、少なくとも1列以上有するヘッドチップ内において、2サイズ以上の異なるサイズの液滴を吐出させる吐出口が混在する構成のインクジェット記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
サーマルインクジェット技術を用いたカラーインクジェットプリンタは年々高解像度化しており、特に、画質を形成するために使用する記録ヘッドにおいては個々の液滴を吐出する吐出口配列の解像度が600dpi、1200dpiと年々高解像度化している。
【0003】
また、画像を形成する吐出インク滴のサイズに関してはグレースケールのハーフトーン部や、カラーフォト画像における中間調、ハイライト部での粒状性を軽減させるべく、特にカラーインクを吐出させる記録ヘッドでは15pl程度から5pl、2plと年々小液滴化する傾向にある。
【0004】
しかし、小液滴、高解像度の記録ヘッドにおいては、高品位なカラーグラフィック画像や、フォト画像の印刷出力では高品位のユーザーニーズに対応できるものの、モノクロテキスト印刷や、帳票におけるカラーグラフなどの解像度の要求されない粗い画像の印刷出力に対しては、小液滴、高解像度により、画像出力データの肥大化、および、データ転送時間を多く必要とする点から、高速印刷の要求には反する結果となる。
【0005】
これを改善するために本願出願人は、高速印刷の要求の高い、モノクロ印刷用記録ヘッドには30pl程度の大液滴サイズ、高周波対応の記録ヘッドを配し、カラー色インクの記録ヘッドには5pl程度の小液滴、高周波対応の記録ヘッドを配する手段を考案し、製品化している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カラー画像においても、帳票グラフなどの比較的、高解像度を必要としない画像データを印刷する場合と、デジタルカメラや、カラースキャナなどによるデジタル入力機器データのデジタルフォト画像など、高精細画像データを印刷する場合では、印刷出力データのサイズ、およびデータ処理時間、データ転送時間、記録装置上のメモリバッファ量、を考慮すると、高速印刷時には比較的大きいサイズの液滴で、少ない出力データサイズで画像を形成できることが望ましく、高画質印刷の場合には限りなく小さいサイズの液滴で、形成画像の粒状性を極力少なくすることが望まれるため、カラー色のインクジェット記録ヘッドにおいて同一色の記録素子基盤(記録チップともいう)で異なるサイズの液滴を吐出させ、一色あたりの液滴サイズを変調させることが望ましい。
【0007】
これを実現すべく、1つには、本願出願人は特開平8−183179号において、異なるサイズのヒーターを同一ノズル(インク吐出口に連通するインク流路)内に配置し、個々のヒーターの発泡を使い分けることによって、同一ノズルから異なるサイズの液滴を吐出させる手段を考案し、製品化している。
【0008】
また、他には、単に異なるサイズの吐出量を必要とする記録ヘッドを実現化するならば、異なるサイズの液滴を吐出することが可能な吐出口列(ノズル列ともいう)を1つの記録ヘッドに1色あたり、複数配設することが考えられる。
【0009】
しかしながら、前者においては、同一ノズルで異なるサイズの液滴を吐出させるため、液滴のサイズによって、インク流路へのインク供給元からのインク供給速度(リフィル速度)が変化する。そのため、インクジェット記録ヘッドを記録シートに対して移動(スキャン)させながら記録を行う、いわゆるシリアル方式の記録装置では、同一の記録ヘッドスキャン時に、異なるサイズの液滴を吐出することが困難であり、記録ヘッドの複数回の往復移動を実施して大小などの異なるサイズの液滴を吐出し分ける必要がある。これは、異なるサイズの液滴を同一の駆動周波数で吐出することができないため、高精細画像を形成する上では液滴サイズの変調制御が困難であることを意味する。
【0010】
また、後者に関しては、低価格化の著しいインクジェットプリンタ市場ではコスト的に成立し難い。
【0011】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、第1の目的とするところは、インクジェット記録ヘッドの同一色のインク吐出口列において少なくとも2サイズ以上の異なる液滴を吐出させ、かつ、それらの吐出周波数を同等に調整することで、安価な、液滴サイズの変調が可能なインクジェット記録ヘッド、及びこのインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を提供することにある。
【0012】
また、本願出願人の発明者らは、同一色の記録素子基盤で異なるサイズの液滴を吐出させ、一色あたりの液滴サイズを変調させるために、同一色のインクを吐出する2列の吐出口列(ノズル列)を、各吐出口に対するインク流路にインクを供給する共通液室とインク供給口を挟むように配置し、各列の吐出口の開口径を変えることにより、各吐出口列からの吐出インク滴のサイズを異ならせる構成を考案した。しかしながら、この構成において以下の課題を生じるおそれがあった。
【0013】
記録ヘッドのコストを安価にするため、記録素子基盤のサイズを小さくし、各吐出口に対するインク流路内へインクを供給するインク供給口(インク共通液室)の開口面積を狭くしていくと、異なる液滴サイズの連続吐出において設定した吐出周波数でインクを吐出しているにもかかわらず、あるノズルでの吐出動作が別のノズルのインクに干渉し、インクの吐出が乱れるというクロストーク現象が生じ、特に、液滴サイズが小さい吐出口において顕著に現れた。
【0014】
このクロストーク現象はインク共通液室及びインク供給口の開口面積を広げる事で回避可能であるが、同一色の記録チップで異なるサイズの液滴吐出を実現するインクジェット記録ヘッドを安価に提供できなくなる。
【0015】
この現象を観察すると、ノズル列に配される複数のインク吐出口を連続して駆動する程、顕著に発生することが判明した。また、クロストーク現象は、インク吐出口からインクを吐出する際に電気熱変換素子の熱でインクに発泡を生じさせたときの圧力波がインクを供給する共通液室及びインク供給口側へ伝達され、他のインク吐出口へのインク流れと干渉する事で発生する。そして、複数のインク吐出口から同時にインクを吐出する程、共通液室及びインク供給口内での圧力波の干渉が増大し、これにより、インクを吐出していない吐出口面のインクメニスカスを圧力波の振動で吐出口面の外側に押しだしている(オーバーシュート)現象も引き起こす。
【0016】
また、圧力波は、大きい気泡を生じる液滴サイズ大のインク吐出を多く行うほど大きく、インクを吐出していない液滴サイズ小の吐出口で大きなインクのオーバーシュートが確認された。
【0017】
そこで、本発明の第2の目的とするところは、インク供給口を共有する同一色のインクジェット記録ヘッドの異なるインク吐出口列において、インクを吐出する際に共通液室及びインク供給口内での圧力波の干渉で発生するクロストーク現象を抑制し、特に液滴サイズが小さい吐出口での、クロストーク現象によるインクメニスカスのオーバーシュートを抑制することにより、異なる液滴の安定吐出を実現できるインクジェット記録ヘッド、及びこのインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置を安価に提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、液滴を吐出するための複数の吐出口、各吐出口に供給するための液体を蓄える液室と、該液室内に液体を供給するための供給口と、前記各吐出口と前記液室とを連通する複数の流路と、前記流路を形成する流路壁と、前記各流路と前記供給口との間に柱で構成されるフィルター構造と、前記流路内の液体に吐出エネルギーを付与するための吐出エネルギー発生素子と備えるインクジェット記録ヘッドにおいて、
前記複数の吐出口は、所定の大きさの液滴を吐出する第一の吐出口と、該第一の吐出口から吐出される液滴よりも大きな液適を吐出する第二の吐出口と、を備え、
前記フィルター構造は、前記第一の吐出口を備える流路に対応して設けられた第一のフィルター構造と、前記第二の吐出口を備える流路に対応して設けられた第二のフィルター構造と、を備え、
前記フィルター構造および前記流路壁によって前記供給口と前記各流路との間をそれぞれ連通する経路が複数に分けられており、
前記第一及び第二のフィルター構造により、前記第一の吐出口を備える流路と前記供給口との間の流抵抗が、前記第二の吐出口を備える流路と前記供給口との間の流抵抗よりも大きいことを特徴とする。
【0019】
上記のとおりの発明では、複数の吐出口から吐出する液滴のサイズが少なくとも2サイズ以上混在する構成において、第一及び第二のフィルター構造により、第一の吐出口を備える流路と前記供給口との間の流抵抗を、第二の吐出口を備える流路と前記供給口との間の流抵抗よりも大きくしたことにより、吐出する液滴の大きさが異なる第一及び第二の吐出口ごとに吐出周波数を調整することが可能となる。
【0020】
ここで述べている、吐出周波数の調整とは、記録シートに対して記録ヘッドを移動(スキャン)させることで行方向の記録を行う、いわゆるシリアル方式の記録方式でインクジェット記録ヘッドを使用するにあたって、記録ヘッドの一回のスキャン内で、異なるサイズの液滴の同時吐出を行う際に、吐出液滴の欠落など画像不具合に至らないように吐出周波数を同等に揃えることを意味し、画像不具合に至らない様な吐出周波数のばらつきは±20%以下であることが望ましいと考えている。なお、吐出周波数とは、発明の実施の形態の欄でも同じであるが、流路内の液体が吐出口より吐出されて再び流路内に液体が充填される周期をいう。
【0021】
また、本発明は、上記インクジェット記録ヘッドにおいて、前記第一の吐出口を複数備える第一の吐出口列と、前記第二の吐出口を複数備える第二の吐出口列と、を備えるとともに、前記第一及び第二の吐出口列が、前記供給口を挟むように2列配置されている構成も包含する。このようなヘッド構成の場合、大きさの異なる液滴を吐出させた際に生じる、液室および供給口内での圧力波による液体の振動が、液滴サイズの小さい吐出口に対応する流路の液体に影響を及ぼさないようになり、同一の供給口を共有する液滴サイズの異なる吐出口列から、異なるサイズの液滴を安定的に吐出させることができる。
【0023】
さらに、上記の各発明のインクジェット記録ヘッドにおいて、前記フィルター構造は、吐出する液滴サイズに応じて、柱の断面積、柱の個数または前記各流路から前記供給口までの間に配置される柱の位置が異なっていることにより、吐出する液滴サイズの異なる流路ごとに通過するインク流抵抗を調整することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
まず、本発明の特徴を具体的に説明する前に、本発明を好適に実施できるインクジェット記録ヘッド及びこの記録ヘッドを搭載するのに好適なインクジェット記録装置の構成について説明する。
【0026】
図1は本発明を好適に実施するインクジェット記録ヘッドにおいて、一色のインクを吐出する記録ヘッド(記録チップともいう)の吐出口近傍部の模式図で、(a)は一部を破断して表した斜視図であり、(b)は(a)のA−A’線断面図を示す。
【0027】
図1(a)に示す形態の記録ヘッドでは、基板4上に、モールド樹脂6を壁材とした空間からなるインク吐出口2、インク流路8およびインク液室12が形成されている。また、モールド樹脂6はインク吐出口2を形成するオリフィスプレート部11も兼ねている。インク液室12には、基板4に開けられたインク供給口3が連通されている。
【0028】
インク流路8は、吐出するための記録液であるインクを蓄える箇所であり、インク供給口3からインク液室12を介してインクが補充される。インク吐出口2とインク供給口3とはインク液室12、およびインク流路8で連通されている。
【0029】
インク流路8はモールド樹脂6の壁5によって仕切られている。インク流路8内のインクは、インク吐出エネルギー発生のための電気熱発生素子1から付与される吐出エネルギーに応じてインク吐出口2から液滴としてインクを吐出する。
【0030】
各インク流路8のインク供給口3側の開口(インク出入口)からインク供給口3までの間のインク液室12にはそれぞれ、インクをろ過するためのフィルター10が設けられている。フィルター10は、それぞれのインク流路8のインク供給口3側の開口に対して配された柱状構造よりなる。
【0031】
また、この図に示す形態において柱状構造のフィルター10は、インク液室12の床面から天井面に連なる柱である。ここで、柱と柱および、柱とインク流路壁の間の空間の幅(フィルター構造の開口径)は、インク流路8の幅(インク流路壁の間隔)以下にしてある。この様な構造のフィルターによって、たとえインク供給口3から補充するインク中にゴミなどが入っている場合でも、インク流路8内へのごみ等の流入を阻止できる効果が生まれる。
【0032】
次に、上記構成のインクジェット記録ヘッドを搭載するインクジェット記録装置について説明する。
【0033】
図2は本発明のインクジェット記録ヘッドを搭載するインクジェット記録装置の一例の要部構成を示す図である。
【0034】
図2に示す形態のインクジェット記録装置では、K(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の4色のインクタンク22を着脱可能に搭載し、各色のインクをシート状の記録媒体25に吐出して記録を行うための記録ヘッド21が備えられている。記録ヘッド21は、駆動モーター23の駆動力を伝達する駆動ベルト24の一部に連結され、ガイド軸に案内されて往復移動を可能にしている。そして、記録媒体25に対してわずかのギャップを保った状態で記録ヘッド21を往復させながら、記録ヘッド21の吐出口(不図示)よりインク液滴を記録媒体25に吐出することにより記録が行われる。
【0035】
また図2において、記録媒体25は給紙搬送機構26により記録ヘッド21の移動方向と交差する方向(好ましくは直角方向)に搬送される。1行分の記録を行うごとに記録媒体25を所定量ピッチ搬送して再び次の1行を記録するという記録動作を繰り返すことにより記録媒体25の全域に画像が形成される。
【0036】
記録ヘッド21の往復範囲内であって記録領域を外れた所定位置(例えばホームポジション)には、記録ヘッド21の複数の吐出口が形成された面(吐出口形成面)をキャッピングし、各吐出口からインクを強制的に吸引、排出させることにより、各吐出口内の増粘インク、固着インク、ごみ、気泡などの異物を除去し、吐出機能を正常に回復するための吸引回復キャップ27が配設されている。吸引回復キャップ27は、非記録時には、吐出口からのインクの蒸発を防ぐために記録ヘッド21の吐出口形成面をキャッピングしている。
【0037】
また、吸引回復キャップ27の設置位置の近くにはウレタンゴム等で形成したゴム状弾性体のワイパーブレード28が設けられている。ワイパーブレード28は通常、記録ヘッド21の往復移動方向に邪魔にならない場所に待機してたり、ワイピングを行うときにインクジェット記録装置に備えられたモータ等(不図示)によって前後(図2では記録媒体搬送方向に概ね平行)に移動して、所定の位置にある記録ヘッド21の吐出口形成面に付着したインク液、ごみ、ほこり、紙粉等の異物を拭き取るように構成されている。
【0038】
なお、上記のような、記録媒体の搬送方向に対して交差する方向にインクジェット記録ヘッドを往復移動させる所謂シリアル方式のインクジェット記録装置において、カラー画像の出力を行う記録ヘッドを構成するにあたっては、図1に示した記録ヘッド吐出口近傍部の部品を同一面上に、使用するインク色数に応じて、インク吐出口をある幅内で直線的に並べてなるノズル列の並び方向に対し垂直な方向に配置する。
【0039】
図3は図2に示した記録ヘッド21の吐出口形成面側からの斜視図である。この図に示すように記録ヘッド21は記録媒体(図2の符号25)に対向する面に二つの記録チップ34を有し、一つの記録チップにはK(ブラック)のインクを吐出する吐出口が一列で記録ヘッド21の往復移動方向と交差する方向に配設されている。もう一つの記録チップにはC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の色のインクを吐出する吐出口がそれぞれ一列で記録ヘッド21の往復移動方向と交差する方向に配設され、かつ各色に対応する吐出口列が平行に配置されている。
【0040】
また、図1で例示した本発明のインクジェット記録ヘッドは、大小の異なる液滴サイズを吐出可能なインク吐出口、および各インク吐出口に繋がるインク流路構成を持っており、記録すべき画像情報に応じて、所望の液滴サイズを吐出できるインク流路の電気熱変換素子に選択的に電気パルスを印加することが可能な構成となっている。
【0041】
大小の異なる液滴サイズの組み合わせとしては15plと8pl、8plと4pl、または5plと2plなどのインク滴体積による組み合わせが考えられるが、異なる液滴サイズの構成は最小液滴サイズの整数倍に近いインク滴体積の組み合わせで構成することが望ましい。
【0042】
そこで、前述した本発明の課題を解決するにあたっては、大小の異なる液滴サイズを吐出可能なインク吐出口に繋がるインク流路の形状が全て同じ形状のインクジェット記録ヘッドにおいて、図1に示したような柱状のフイルター10に着目し、異なる液滴サイズを吐出するインク吐出口のインク流路に応じてフィルターの構成を変えた。
【0043】
この本発明の特徴的な構成について複数の実施の形態を挙げて説明する。
【0044】
(第1の実施の形態)
図4は本発明の第1の実施の形態におけるインクジェット記録ヘッドの吐出口形成面を示す平面図である。なお、図では図1に示した構成要素と同一部品に同一符号を付し、図1と異なる構成について主に説明する。
【0045】
この図で示すインクジェット記録ヘッドでは、大小二つの液滴サイズを吐出する吐出口、すなわち液滴サイズ大の吐出口51および、吐出口51よりも開口径の小さい液滴サイズ小の吐出口52が交互に配置されて一つの吐出口列を構成している。また、このように構成された吐出口列が2列、インク供給口3を挟むように平行に配置され、かつ各列の吐出口が互いにインク流路幅の1/2ずれた位置で配置されている。
【0046】
インク流路8のインク供給口3側の開口(インク出入口)からインク供給口3までの間には柱で構成するフィルター53又は54が各インク流路あたり1つ配置されている。フィルター53又は54は図1に示したフィルター10と同じように形成され同じ効果を生じるものである。
【0047】
フィルター53,54はインクの流れを、インク供給口3からインク流路8までの間に示した矢印55,56のような複数のインク供給経路に分岐する。
【0048】
ここで、特徴的な事として、液滴サイズ大の吐出口51に対応するフィルター53の断面積(またはフィルター53である柱の外径)は、液滴サイズ小の吐出口52に対応するフィルター54の断面積(またはフィルター54である柱の外径)より小さい。
【0049】
フィルター53の箇所では、フィルター53の柱とインク流路8の壁との間の空間の幅(インク供給経路の開口幅)がフィルター54の箇所と比べて広くなり、反対にフィルター54の箇所では、フィルター54の柱とインク流路8の壁との間の空間の幅(インク供給経路の開口幅)が、フィルター53の箇所と比べて狭くなっている。
【0050】
これにより、インク供給経路の開口幅が広い液滴サイズ大のインク流路では、インク供給の際のインク流抵抗が小さく、大きいインク液滴を吐出した体積分のインク供給時間が短くなり、インク供給経路の開口幅が狭い液滴サイズ小のインク流路では、インク供給の際のインク流抵抗が大きく、小さいインク液滴を吐出した体積分のインク供給時間が速く成りすぎることを防ぐこととなる。その結果、所望の異なる液滴サイズのインク吐出口に応じて、インク供給速度を調整することが可能となる。
【0051】
このように液滴サイズのインク流路に応じてフィルターの断面積(柱の外径)を異ならせる構成にすることより、インク供給速度を調整できるので、異なる液滴サイズのインクの吐出周波数を同等に揃える効果を持たせることができる。
【0052】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。上記の第1の実施の形態では、異なる液滴サイズのインク吐出口にそれぞれ繋がるインク流路ごとにフィルター断面積を変えることを特徴としたインク流抵抗制御であったが、この実施形態のようにフィルター断面積の大きさによらず、フィルター設置数によってインク流抵抗を制御してもよい。
【0053】
図5は本発明の第2の実施の形態におけるインクジェット記録ヘッドの吐出口形成面を示す平面図である。なお、図では図1に示した構成要素と同一部品に同一符号を付し、図1並びに第1の実施の形態と異なる構成について主に説明する。
【0054】
本実施形態のインクジェット記録ヘッドでは第1の実施の形態と同様、図5に示すように、2列のインク吐出口列があり、液滴サイズ大の吐出口61、および吐出口61よりも開口径の小さい液滴サイズ小の吐出口62が交互に配置されている。
【0055】
インク流路8のインク供給口3側の開口(インク出入口)からインク供給口3までの間には同じ断面積の柱状のフィルター63又は64が配置されている。フィルター63又は64は図1に示したフィルター10と同じように形成され同じ効果を生じるものである。
【0056】
ここで、特徴的な事として、液滴サイズ大の吐出口61に対応するフィルター63は1本の柱であるのに対し、インク液滴小の吐出口62に対応するフィルター64は2本の柱で構成されている。本実施形態では、この柱の設置数を個々の液滴サイズに対応する吐出口へのインク流路ごとに異ならせている。
【0057】
このように、液滴サイズの異なる吐出口へのインク流路上流側のフィルター設置数を変えることで、インク供給口3からインク流路8までの間に示した矢印65,66のような複数のインク供給経路を構成でき、液滴サイズに応じてインク流路への流抵抗を調整することが可能となる。したがって、異なる液滴サイズのインクの吐出周波数を同等に揃えることができる。
【0058】
本実施形態が第1の実施の形態と異なる点は、高解像度の記録チップで且つ、高周波で吐出駆動させる高周波対応の記録チップを構成する際に有利なことである。例えば1200dpiの解像度を発揮させるようにインク吐出口を一列に配し、かつ各吐出口に通じるインク流路を形成する場合などは、1インチ(25.4mm)/1200dpi=21.1ミクロンのピッチで流路、および、流路壁を構成する必要がある。そのため、一つのインク流路あたりのフィルター設置可能幅が小さくなり、また、高周波対応でインク流路上流側からのインク供給速度を速くしたい場合、インク洪給口をインク流路に近づけたいがために、インク流路壁の端部からインク供給口の開口縁までの距離は狭くなることとなる。従って、そのような狭い空間では各フィルターの断面積を固定し、フィルター設置数を異ならせるという本実施形態が有利となる。
【0059】
なお、本発明は上述した構成のみに限定されるものではなく、本発明を達成し得るものであればどのような構成であってもよい。従って、フィルターの断面積に応じて、フィルター設置数を液滴サイズ大の吐出口に対応するフィルター数とインク液滴小の吐出口に対応するフィルター数の比で、1対3、0対2など異ならせることも考え得る。
【0060】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施形態においても、第1及び第2の実施の形態と同様にフィルター構成によりインク供給口から複数のインク流路への各インク供給経路のインク流抵抗を調整することを目的とする。
【0061】
図6は本発明の第3の実施の形態におけるインクジェット記録ヘッドの吐出口形成面を示す平面図である。なお、図では図1に示した構成要素と同一部品に同一符号を付し、図1並びに第1及び第2の実施の形態と異なる構成について主に説明する。
【0062】
本実施形態のインクジェット記録ヘッドでは第1の実施の形態と同様、図6に示すように、2列のインク吐出口列があり、液滴サイズ大の吐出口71、および吐出口71よりも開口径の小さい液滴サイズ小の吐出口72が交互に配置されている。
【0063】
インク流路8のインク供給口3側の開口(インク出入口)からインク供給口3までの間には同じ断面積の柱状のフィルター73又は74が各インク流路あたり1つ配置されている。フィルター73又は74は図1に示したフィルター10と同じように形成され同じ効果を生じるものである。
【0064】
ここで、特徴的な事として、液滴サイズ大の吐出口71に対応するフィルター73はインク流路壁の端部5Bからインク供給口の縁部3B’までの距離Xにおいて、インク供給口の縁部3B’に近い位置に設置されている。一方、液滴サイズ小の吐出口72に対応するフィルター74はインク流路壁の端部5Bからインク供給口の縁部3B’までの距離Xにおいて、インク流路壁の端部5Bに近い位置に設置されている。すなわち、本実施形態では、インク流路8の上流側におけるインク流路壁の端部5Bからインク供給口の縁部3B’までの距離Xの範囲内において、柱状のフィルター73又は74の設置位置を異ならせている。
【0065】
そのため、フィルター73の箇所では、フィルター73の柱とインク流路8の壁との間の空間の幅(インク供給経路の開口幅)がフィルター74の箇所と比べて広くなり、反対にフィルター74の箇所では、フィルター74の柱とインク流路8の壁との間の空間の幅(インク供給経路の開口幅)が、フィルター73の箇所と比べて狭くなっている。
【0066】
これにより、インク供給経路の開口幅が広い液滴サイズ大のインク流路では、インク供給の際のインク流抵抗が小さく、大きいインク液滴を吐出した体積分のインク供給時間が短くなり、インク供給経路の開口幅が狭い液滴サイズ小のインク流路では、インク供給の際のインク流抵抗が大きく、小さいインク液滴を吐出した体積分のインク供給時間が速く成りすぎることを防ぐこととなる。その結果、所望の異なる液滴サイズのインク吐出口に応じて、インク供給速度を調整することが可能となる。
【0067】
このように、液滴サイズの異なる吐出口へのインク流路上流側のフィルター設置位置を変えることで、インク供給口3からインク流路8までの間に示した矢印75,76のような複数のインク供給経路を構成できるので、液滴サイズに応じてインク流路への流抵抗を調整することが可能となる。したがって、異なる液滴サイズのインクの吐出周波数を同等に揃えることができる。
【0068】
本実施形態が第1及び第2の実施の形態と異なる点は、高解像度の記録チップを構成する際に有利なことである。例えば1200dpiの解像度を発揮させるようにインク吐出口を一列に配し、かつ各吐出口に通じるインク流路を形成する場合などは、1インチ(25.4mm)/1200dpi=21.1ミクロンのピッチで流路、および、流路壁を構成する必要がある。そのため、一つのインク流路あたりのフィルター設置可能幅が小さくなる。
【0069】
従って、そのような狭い空間では各フィルターの断面積を固定し、フィルター設置数を異ならせるという本実施形態が有利となる。
【0070】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0071】
図7は本発明の第4の実施の形態におけるインクジェット記録ヘッドの吐出口形成面を示す平面図である。なお、図では図1に示した構成要素と同一部品に同一符号を付し、図1と異なる構成について主に説明する。
【0072】
この図で示すインクジェット記録ヘッドでは、大小二つの液滴サイズを吐出する吐出口、すなわち液滴サイズ大の吐出口81および、吐出口81よりも開口径の小さい液滴サイズ小の吐出口82がそれぞれ複数配設されて二列の吐出口列を構成している。このように構成された二列の吐出口列はインク供給口3を挟むように平行に配置され、かつ各列の吐出口が互いにインク流路幅の1/2ずれた位置で配置されている。
【0073】
各インク流路8のインク供給口3側の開口(インク出入口)からインク供給口3までの間には柱で構成するフィルター83又は84が各インク流路あたり1つ配置されている。フィルター83又は84は図1に示したフィルター10と同じように形成され同じ効果を生じるものである。
【0074】
フィルター83,84はインクの流れを、インク供給口3からインク流路8までの間に示した矢印85,86のような複数のインク供給経路に分岐する。
【0075】
ここで、特徴的な事として、液滴サイズ大の吐出口81に対応するフィルター83の断面積(またはフィルター83である柱の外径)は、液滴サイズ小の吐出口82に対応するフィルター84の断面積(またはフィルター84である柱の外径)より小さい。
【0076】
フィルター83の箇所では、フィルター83の柱とインク流路8の壁との間の空間の幅(インク供給経路の開口幅)がフィルター84の箇所と比べて広くなり、反対にフィルター84の箇所では、フィルター84の柱とインク流路8の壁との間の空間の幅(インク供給経路の開口幅)が、フィルター83の箇所と比べて狭くなっている。
【0077】
これにより、液滴サイズ大のインク吐出時の、インク供給口側および、液滴サイズ大のインク流路とはインク供給口を挟んで位置する液滴サイズ小のインク流路に伝達される振動成分が、液滴サイズ小のインク流路では開口幅が狭いゆえにインク供給経路の流抵抗が大きくなっているために小さく抑制されるので、液滴サイズの小さい吐出口列に対する、クロストークの影響を減少させ、インク吐出口へのメニスカス振動を減少させることが可能となる。その結果、同一のインク供給口を共有する液滴サイズの異なる吐出口列から、異なるサイズのインク液滴を安定的に吐出させることが可能となる。
【0078】
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。上記の第4の実施の形態では、異なる液滴サイズのインク吐出口にそれぞれ繋がるインク流路ごとにフィルター断面積を変えることを特徴とした、クロストーク現象による液滴サイズ小吐出口でのメニスカス振動の抑制であったが、この実施形態のようにフィルター断面積の大きさによらず、フィルター設置数によってクロストーク現象によるメニスカス振動の抑制を実施してもよい。
【0079】
図8は本発明の第5の実施の形態におけるインクジェット記録ヘッドの吐出口形成面を示す平面図である。なお、図では図1に示した構成要素と同一部品に同一符号を付し、図1並びに第4の実施の形態と異なる構成について主に説明する。
【0080】
本実施形態のインクジェット記録ヘッドでは第4の実施の形態と同様、図8に示すように、2列のインク吐出口列がインク供給口を挟むように略平行に配置され、インク吐出列ごとに吐出口の開口径が異なっている。一方のインク吐出口列は液滴サイズ大の吐出口91が複数個並んで構成され、もう一方のインク吐出口列は、吐出口91よりも開口径の小さい液滴サイズ小の吐出口92が複数個並んで構成されている。
【0081】
インク流路8のインク供給口3側の開口(インク出入口)からインク供給口3までの間には同じ断面積の柱状のフィルター93又は94が配置されている。フィルター93又は94は図1に示したフィルター10と同じように形成され同じ効果を生じるものである。
【0082】
ここで、特徴的な事として、液滴サイズ大の吐出口91に対応するフィルター93は1本の柱であるのに対し、液滴サイズ小の吐出口92に対応するフィルター94は2本の柱で構成されている。本実施形態では、第2の実施の形態と同様、フィルターとなる柱の設置数を個々の液滴サイズに対応する吐出口へのインク流路ごとに異ならせている。
【0083】
このように、液滴サイズの異なる吐出口へのインク流路上流側のフィルター設置数を変えることにより、インク供給口3からインク流路8までの間に示した矢印65,66のような複数のインク供給経路を構成できることから、液滴サイズ小のインク流路への流抵抗を液滴サイズ大のインク流路への流抵抗に比べて大きく調整することが可能となる。これにより、液滴サイズ大のインク吐出時の、液滴サイズの小さい吐出口列に対する圧力波の影響、ひいては液滴サイズ小の吐出口でのメニスカスのオーバーシュートを抑制することができるので、同一のインク供給口を共有する液滴サイズの異なる吐出口列から、異なるサイズのインク液滴を安定的に吐出させることが可能となる。
【0084】
本実施形態が第4の実施の形態と異なる点は、高解像度の記録チップで且つ、高周波で吐出駆動させる高周波対応の記録チップを構成する際に有利なことである。例えば1200dpiの解像度を発揮させるようにインク吐出口を一列に配し、かつ各吐出口に通じるインク流路を形成する場合などは、1インチ(25.4mm)/1200dpi=21.1ミクロンのピッチで流路、および、流路壁を構成する必要がある。そのため、一つのインク流路あたりのフィルター設置可能幅が小さくなり、また、高周波対応でインク流路上流側からのインク供給速度を速くしたい場合、インク洪給口をインク流路に近づけたいがために、インク流路壁の端部からインク供給口の開口縁までの距離は狭くなることとなる。従って、そのような狭い空間では各フィルターの断面積を固定し、フィルター設置数を異ならせるという本実施形態が有利となる。
【0085】
なお、本発明は上述した構成のみに限定されるものではなく、本発明を達成し得るものであればどのような構成であってもよい。従って、フィルターの断面積に応じて、フィルター設置数を液滴サイズ大の吐出口に対応するフィルター数と液滴サイズ小の吐出口に対応するフィルター数の比で、1対3、0対2など異ならせることも考え得る。
【0086】
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。本実施形態においても、第4及び第5の実施の形態と同様にフィルター構成により、クロストーク現象による液滴サイズ小の吐出口におけるメニスカス振動の抑制を実施することを目的とする。
【0087】
図9は本発明の第6の実施の形態におけるインクジェット記録ヘッドの吐出口形成面を示す平面図である。なお、図では図1に示した構成要素と同一部品に同一符号を付し、図1並びに第4及び第5の実施の形態と異なる構成について主に説明する。
【0088】
本実施形態のインクジェット記録ヘッドでは第4の実施の形態と同様、図9に示すように、2列のインク吐出口列がインク供給口を挟むように略平行に配置され、インク吐出列ごとに吐出口の開口径が異なっている。一方のインク吐出口列は液滴サイズ大の吐出口101が複数個並んで構成され、もう一方のインク吐出口列は、吐出口101よりも開口径の小さい液滴サイズ小の吐出口102が複数個並んで構成されている。
【0089】
インク流路8のインク供給口3側の開口(インク出入口)からインク供給口3までの間には同じ断面積の柱状のフィルター103又は104が各インク流路あたり1つ配置されている。フィルター103又は104は図1に示したフィルター10と同じように形成され同じ効果を生じるものである。
【0090】
ここで、特徴的な事として、液滴サイズ大の吐出口101に対応するフィルター103はインク流路壁の端部5Bからインク供給口の縁部3B’までの距離Xにおいて、インク供給口の縁部3B’に近い位置に設置されている。一方、液滴サイズ小の吐出口102に対応するフィルター104はインク流路壁の端部5Bからインク供給口の縁部3B’までの距離Xにおいて、インク流路壁の端部5Bに近い位置に設置されている。すなわち、本実施形態では、インク流路8の上流側におけるインク流路壁の端部5Bからインク供給口の縁部3B’までの距離Xの範囲内において、柱状のフィルター103又は104の設置位置を異ならせている。
【0091】
そのため、フィルター103の箇所では、フィルター103の柱とインク流路8の壁との間の空間の幅(インク供給経路の開口幅)がフィルター104の箇所と比べて広くなり、反対にフィルター104の箇所では、フィルター104の柱とインク流路8の壁との間の空間の幅(インク供給経路の開口幅)が、フィルター103の箇所と比べて狭くなっている。
【0092】
このように、液滴サイズの異なるインク流路後方のフィルター設置位置を変えることで、インク供給口3からインク流路8までの間に示した矢印105,106のような複数のインク供給経路を構成でき、液滴サイズ小のインク流路への流抵抗を液滴サイズ大のインク流路への流抵抗に比べて大きく調整することが可能となる。これにより、液滴サイズ大のインク吐出時の、液滴サイズの小さい吐出口列に対する圧力波の影響、ひいては液滴サイズ小の吐出口でのメニスカスのオーバーシュートを抑制することができるので、同一のインク供給口を共有する液滴サイズの異なる吐出口列から、異なるサイズのインク液滴を安定的に吐出させることが可能となる。
【0093】
本実施形態が第4及び第5の実施の形態と異なる点は、高解像度の記録チップを構成する際に有利なことである。例えば1200dpiの解像度を発揮させるようにインク吐出口を一列に配し、かつ各吐出口に通じるインク流路を形成する場合などは、1インチ(25.4mm)/1200dpi=21.1ミクロンのピッチで流路、および、流路壁を構成する必要がある。そのため、一つのインク流路あたりのフィルター設置可能幅が小さくなる。
【0094】
従って、そのような狭い空間では各フィルターの断面積を固定し、フィルター設置数を異ならせるという本実施形態が有利となる。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の吐出口から吐出させる液滴のサイズが、少なくとも2サイズ以上混在するインクジェット記録ヘッドにおいて、一つの液体の供給口と各吐出口に連通する流路の各々との間に柱状のフィルター構造が配設され、所定の液滴サイズを吐出する第一の吐出口を備える流路に対応する第一のフィルター構造と、第一の吐出口より大きな液滴を吐出する第二の吐出口を備える流路に対応させた第二のフィルター構造とによって、前記第一の吐出口を備える流路と前記供給口との間の流抵抗を、前記第二の吐出口を備える流路と前記供給口との間の流抵抗よりも大きくしたことにより、吐出液滴サイズの異なる第一及び第二の吐出口から、同一の吐出周波数で液滴を吐出することが可能になる。
【0096】
また、第一の吐出口を複数備える第一の吐出口列と、第二の吐出口を複数備える第二の吐出口列と、を備えるとともに、第一及び第二の吐出口列が、供給口を挟むように2列配置されているヘッド構成の場合においては、同一の供給口を共有する液滴サイズの異なる吐出口列から、異なるサイズの液滴を安定的に吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を好適に実施するインクジェット記録ヘッドにおいて、一色のインクを吐出する記録ヘッドの吐出口近傍部の模式図で、(a)は一部を破断して表した斜視図であり、(b)は(a)のA−A’線断面図を示す。
【図2】本発明のインクジェット記録ヘッドを搭載するインクジェット記録装置の一例の要部構成を示す図である。
【図3】図2に示した記録ヘッドの吐出口形成面側からの斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるインクジェット記録ヘッドの吐出口形成面を示す平面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるインクジェット記録ヘッドの吐出口形成面を示す平面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態におけるインクジェット記録ヘッドの吐出口形成面を示す平面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態におけるインクジェット記録ヘッドの吐出口形成面を示す平面図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態におけるインクジェット記録ヘッドの吐出口形成面を示す平面図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態におけるインクジェット記録ヘッドの吐出口形成面を示す平面図である。
【符号の説明】
1 電気熱変換素子
2 インク吐出口
3 インク供給口
3B’ インク供給口の縁部
4 電気熱変換素子を有する基板
5 モールド樹脂を利用したインク流路の壁
5B インク流路壁の端部
6 モールド樹脂
8 インク流路
10 柱状のフィルター
11 オリフィスプレート部
12 インク液室(共通液室ともいう)
21 記録ヘッド
22 インクタンク
23 駆動モータ
24 駆動ベルト
25 記録煤体
26 給紙搬送機構
27 吸引回復キャップ
28 ワイパーブレード
34 記録チップ
51,61,71,81,91,101 液滴サイズ大の吐出口
52,62,72,82,92,102 液滴サイズ小の吐出口
53,54,63,64,73,74,83,84,93,94,103,104 柱状のフィルター
55,56,65,66,75,76,85,86,95,96,105,106 インク供給経路を表す矢印

Claims (6)

  1. 液滴を吐出するための複数の吐出口、各吐出口に供給するための液体を蓄える液室と、該液室内に液体を供給するための供給口と、前記各吐出口と前記液室とを連通する複数の流路と、前記流路を形成する流路壁と、前記各流路と前記供給口との間に柱で構成されるフィルター構造と、前記流路内の液体に吐出エネルギーを付与するための吐出エネルギー発生素子と備えるインクジェット記録ヘッドにおいて、
    前記複数の吐出口は、所定の大きさの液滴を吐出する第一の吐出口と、該第一の吐出口から吐出される液滴よりも大きな液適を吐出する第二の吐出口と、を備え、
    前記フィルター構造は、前記第一の吐出口を備える流路に対応して設けられた第一のフィルター構造と、前記第二の吐出口を備える流路に対応して設けられた第二のフィルター構造と、を備え、
    前記フィルター構造および前記流路壁によって前記供給口と前記各流路との間をそれぞれ連通する経路が複数に分けられており、
    前記第一及び第二のフィルター構造により、前記第一の吐出口を備える流路と前記供給口との間の流抵抗が、前記第二の吐出口を備える流路と前記供給口との間の流抵抗よりも大きいことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記第一の吐出口を複数備える第一の吐出口列と、前記第二の吐出口を複数備える第二の吐出口列と、を備えるとともに、前記第一及び第二の吐出口列が、前記供給口を挟むように2列配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記第一のフィルター構造を構成する柱の断面積が、前記第二のフィルター構造を構成する柱の断面積よりも大きい請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 前記第一のフィルター構造を構成する柱の個数が、前記第二のフィルター構造を構成する柱の個数よりも多い請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 前記第一のフィルター構造を構成する柱の位置が、前記第二のフィルター構造を構成する柱の位置よりもより吐出口側に近い請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドを有し、インクジェット記録ヘッドの吐出口から記録媒体に液滴を吐出することにより記録を行うインクジェット記録装置。
JP2002121157A 2002-04-23 2002-04-23 インクジェット記録ヘッド、およびインクジェット記録装置 Expired - Fee Related JP3870120B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002121157A JP3870120B2 (ja) 2002-04-23 2002-04-23 インクジェット記録ヘッド、およびインクジェット記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002121157A JP3870120B2 (ja) 2002-04-23 2002-04-23 インクジェット記録ヘッド、およびインクジェット記録装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003311965A JP2003311965A (ja) 2003-11-06
JP3870120B2 true JP3870120B2 (ja) 2007-01-17

Family

ID=29537181

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002121157A Expired - Fee Related JP3870120B2 (ja) 2002-04-23 2002-04-23 インクジェット記録ヘッド、およびインクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3870120B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5111477B2 (ja) * 2003-11-28 2013-01-09 キヤノン株式会社 インクジェットヘッド
JP4646665B2 (ja) * 2005-03-28 2011-03-09 キヤノン株式会社 インクジェット記録ヘッド
JP4854328B2 (ja) * 2005-04-13 2012-01-18 キヤノン株式会社 液体吐出記録ヘッド
JP4994924B2 (ja) * 2006-05-02 2012-08-08 キヤノン株式会社 インクジェット記録ヘッド
US8511808B2 (en) * 2007-04-20 2013-08-20 Canon Kabushiki Kaisha Liquid-ejecting recording head and liquid-ejecting recording apparatus
JP5171127B2 (ja) * 2007-06-26 2013-03-27 キヤノン株式会社 インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置
JP6532293B2 (ja) * 2015-05-22 2019-06-19 キヤノン株式会社 液体吐出ヘッド、吐出素子基板および液体吐出装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003311965A (ja) 2003-11-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7300137B2 (en) Liquid-discharge recording head
JP3871320B2 (ja) インクジェット記録ヘッド
US7784921B2 (en) Liquid ejection head and image forming apparatus
JP3848218B2 (ja) インクジェット記録ヘッド
JP4926680B2 (ja) インクジェット記録装置
US20060114278A1 (en) Liquid-ejecting method and liquid-ejecting apparatus
US20070091139A1 (en) Liquid ejection apparatus and liquid maintenance method
JP4218524B2 (ja) 液体吐出装置及び液体吐出方法
JP2006076011A (ja) 液体噴射記録ヘッド
JP2007144788A (ja) インクジェット記録装置
JP3870120B2 (ja) インクジェット記録ヘッド、およびインクジェット記録装置
US7316468B2 (en) Liquid droplet ejection head, liquid droplet ejection device and image forming apparatus
JP2007144787A (ja) インクジェット記録装置
JP3848203B2 (ja) 液体吐出ヘッドならびに前記液体吐出ヘッドを用いたヘッドカートリッジおよび画像形成装置
JPH09254413A (ja) 階調記録に用いるインクジェットヘッド、インクジェットヘッドカートリッジ、インクジェット装置およびインクジェット記録方法
JP2003145775A (ja) 液体吐出ヘッドならびにこれを用いた画像形成装置
JPH06191060A (ja) インクジェット記録装置
JP3554110B2 (ja) インクジェット記録装置
JP5538752B2 (ja) 記録装置、記録方法及び画像処理装置
JP5568920B2 (ja) 液体吐出装置
JP5252857B2 (ja) インクジェット記録装置および該記録装置の制御方法
JP2004243574A (ja) インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録方法
JP4100896B2 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP2009166257A (ja) インクジェット記録ヘッド、ヘッドカートリッジ及び記録装置
JP4828889B2 (ja) インクジェットヘッド駆動方法、インクジェットヘッドおよび、インクジェット記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050415

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20050415

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060511

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060517

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060712

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060927

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061016

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091020

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101020

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101020

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111020

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111020

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121020

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131020

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees