JP3869162B2 - ディスクドライブ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はマイクロモータ、詳しくは圧電モータに関する。
【0002】
【従来の技術】
直線及び回転運動を与える共振圧電セラミックの使用は公知である。このようなシステムの大きな利点は可動機械部品を使用することなく大変良好な運動を達成する能力にある。一般に、このようなシステムは、開ループ動作では1マイクロメータ、閉ループ動作では50ナノメータの運動精度に制限される。移動されるべきプレートの重量が0.5kgであるとき、速度は5−10mm/secに制限される。このような状況の下で、運動方向にプレートに加えられる力は約5Nに制限される。このようなモータに対してより良い解決すなわちより速い速度とより大きな駆動力を達成することは、多くの状況において有益である。比較的高速で運動する能力が保持される場合には、この改良された解決が特に有益となるであろう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
SU693493は、プレートの一つの大きな面(裏面)の全面を覆う1つの電極と、前面の四分円部(quadrant)を覆う4つの電極とを有する平坦な矩形の圧電プレートからなる圧電モータを開示している。裏面の電極は接地され、対角線上の電極は電気的に接続されている。2つのセラミックパッドがプレートの長手方向の2つのエッジのうち一方に取り付けられ、これらのパッドは、他方の長手方向のエッジを押圧するスプリング機構によって被駆動物体に押圧されている。
【0004】
接続された一方の1対の電極にAC電圧が印加されると物体が一方に移動し、他方の1対の電圧に印加されると物体が他方に移動するように、長手方向及び短手方向は(異なったモード指令に対して)隣接した共振周波数を有している。
【0005】
本発明の目的は、従来のマイクロモータより高い速度、高い駆動力及びより小さい最小ステップサイズを有するマイクロモータを備えたディスクドライブを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の特徴は、その一方の大きな面に少なくとも1つの電極と、他方の大きな面に複数の電極とを有する薄い矩形の圧電セラミックからなる。好ましくは、硬質材料の単一のスペーサが圧電セラミックの短手エッジの中央に取り付けられ、物体に対して押圧されている。少なくとも幾つかの電極が通電されると、以下に説明するように、圧電セラミックのエッジの長さ方向に沿って、圧電セラミック又は物体のいずれかの移動が生じる。
【0007】
この発明の特徴の第1の実施の形態では、矩形の大きな面の寸法は、圧電セラミックが異なったモードではあるがxとy(圧電セラミックの矩形の大きな面の寸法)に対して近接して配置された共振を有するように、選択されるのが好ましい。好ましくは、共振は重複した応答曲線を有する。
【0008】
圧電セラミックの励起は、両モードが複数の電極のうち選択されたものに対して励起される周波数で、AC電圧を印加することによって達成される。この実施の形態では、小さな変位が要求される場合には少なくとも幾つかの最小期間の間、より大きな変位が要求される場合にはより長い期間の間、共振励起が印加される。
【0009】
この発明の特徴の第2の実施の形態では、励起は複数の電極のうち幾つかに対する非共振非対象のパルス電圧である。本発明者は、そのようなパルス例えばロー時間よりも比較的高いハイ時間を有する矩形パルスが使用されると、非常に小さな運動が達成されることを見出した。このような励起は、運動後に電極に残留電圧が残らないことが望まれる場合に特に有用である。
【0010】
この発明の特徴の第3の実施の形態では、比較的大きなステップに対する共振AC励起と、小さなステップが要求されるときの好ましくは矩形のパルス励起との間で切り換えられる。
【0011】
多数の電極形状が本発明により可能である。一つの実施の形態では、複数の電極は2つの矩形電極からなり、各電極は圧電セラミックの1つの矩形表面の半分を覆い、セラミックの大きい矩形面の長手方向に沿って存在する。
【0012】
第2の好ましい電極形状は、圧電セラミックの大きな面の4つの四分円部を覆う4つの電極を与える。異なった励起モード(ACとパルス)及び励起形状により、モータによって生じる運動に対するより大きな又は小さな最小ステップサイズが生じる場合、これらの電極のうち1つ、2つ、又は3つが励起される。
【0013】
本発明の他の特徴は、同一の共振周波数を有する複数の積層された圧電セラミックの使用を含むが、それは異なった圧電材料で形成するのが好ましく、それらのうち1つは他よりも実質的に軟らかい。異なった硬度を有するセラミックは同一周波数で位相信号から外れて駆動される。このようなシステムでは、より硬い材料は物体を駆動するサイクルの部分の間で高い駆動力を与え、より軟らかい材料はより長い接触時間を与えるが力は小さい。この組合わせにより、高いスタート駆動が慣性及び静的摩擦力を克服するのを許容するとともに、運動中に円滑な動作を伴う。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態は、望まれたモード以外の共振モードを抑制することによってマイクロモータの効率を増加するモード抑制装置の使用を含む。
【0015】
本発明のさらに他の特徴によると、スペーサベアリングエッジの反対側の圧電セラミックの短手エッジにアームの一端が取り付けられている。物体に対して付勢されたスペーサが、アームの第2の端部に取り付けられている。動作中には、2つのスペーサが類似して励起し、被駆動物体での位相運動から離れ、マイクロモータの出力が増加し、圧電セラミックの両端の運動及び力を利用することによって、スペーサに対して付勢されている物体の円滑な運動が与えられる。
【0016】
本発明の他の特徴は、長手エッジに垂直なほぼゼロの運動を有する地点で、弾性力を圧電プレートの長手エッジに印加する弾性要素の使用を含む。そのような要素は、圧電プレートの短手エッジに平行な両方向において物体に対称運動を与えるのに使用される。
【0017】
本発明のさらに他の特徴によると、本発明による圧電マイクロモータはディスクドライブの光学又は磁気読み/書きヘッドの移動に利用される。
【0018】
したがって、本発明の好ましい実施の形態では、物体を動かすマイクロモータは、
長手エッジ及び短手エッジ、第1及び第2面、第1及び第2面に取り付けられた電極、第1のエッジ好ましくは短手エッジの好ましくはその中央に取り付けられて物体に押圧されるセラミックスペーサを有する少なくとも1つの矩形圧電プレートと、
第1のエッジと反対側の第2のエッジに好ましくはその中央に力を印加し、物体にセラミックスペーサを押圧する弾性力源と、
少なくとも幾つかの前記電極を励起する電力源とからなる。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態では、電圧源は少なくとも幾つかの電極を対称で単極のパルス励起電圧で通電する。
【0020】
好ましくは、電圧源は、対称で単極のパルス又はAC励起のいずれかで、幾つかの電極を選択的に印加するように動作する。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態では、電極は圧電プレートの第1の面の好ましくは各四分円部にある複数の電極と、第2の面にある少なくとも1つの電極とからなっている。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態では、プレートの第1の面の一方の長手エッジに沿って四分円部にある電極は第1の極性を有する単極の対称パルス電圧が印加され、第1の面の他方の長手エッジに沿って四分円部にある電極は反対の極性を有する単極の対称パルス電圧が印加される。
【0023】
代案として、セラミックスペーサに近接したそれぞれの四分円部の電極は反対の極性を有する単極の対称パルス電圧が印加されるか、セラミックスペーサから離れたそれぞれの四分円部の電極は反対の極性を有する単極の対称パルス電圧が印加される。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態では、対角線上に位置する四分円部の第1の組の電極は、所定の極性を有する単極の対称パルス電圧が印加され、好ましくは、対角線上に位置する四分円部の第2の組の電極は、前記所定の極性と反対の極性を有する単極の対称パルス電圧が印加される。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態では、マイクロモータは、複数の前記圧電プレートからなり、各プレートのセラミックスペーサは物体に弾性的に押圧されている。好ましくは、複数のプレートの少なくとも1つは比較的より硬い圧電材料で形成され、複数のプレートの少なくとも1つは比較的より軟らかい圧電材料で形成される。本発明のさらに好ましい実施の形態では、電圧源は複数のプレートの少なくとも1つにお互いに位相から離れて電圧を印加する。
【0026】
さらに、本発明の好ましい実施の形態では、
長手及び短手エッジ、第1及び第2面、第1面及び第2面に取り付けられた電極を有し、該電極の少なくとも幾つかの電極が対称でかつ単極のパルス励起電圧で印加される少なくとも一つの矩形圧電プレートと、
1つのエッジ、又は1又はそれ以上のエッジの延長部を物体に対して弾性的に付勢する弾性力源と、
からなる物体を動かすマイクロモータが提供されている。
【0027】
さらに、本発明の好ましい実施の形態では、
長手及び短手エッジ、第1及び第2面、第1面及び第2面に取り付けられた電極を有する少なくとも1つの矩形圧電プレートと、
1つのエッジ、又は1又はそれ以上のエッジの延長部を物体に対して弾性的に付勢する弾性力源と、
少なくとも幾つかの電極に、対称でかつ単極のパルス励起電圧又はAC励起電圧を選択的に印加する電圧源と、
からなる物体を動かすマイクロモータが提供されている。
【0028】
さらに、本発明の好ましい実施の形態では、
長手及び短手エッジ、第1及び第2面、第1面及び第2面に取り付けられた電極を有し、該電極の少なくとも幾つかが励起される複数の矩形圧電プレートと、該複数のプレートの1つのエッジ、又は1又はそれ以上のエッジの延長部を物体に対して弾性的に付勢する弾性力源と、
からなる物体を動かすマイクロモータが提供されている。
【0029】
さらに、本発明の好ましい実施の形態では、
長手及び短手エッジ、第1及び第2面、第1面及び第2面に取り付けられた電極を有し、
該電極の少なくとも1つが電圧で励起されて、プレートの1つのエッジのみに向かって力を引き起こし、
他の電極の少なくとも1つが電圧で励起されて、前記エッジに沿ってある要素を有するエッジの少なくとも一部の移動を引き起こす、少なくとも1つの矩形圧電プレート、
からなる物体を動かすマイクロモータが提供されている。
【0030】
さらに、本発明の好ましい実施の形態では、
長手及び短手エッジ、第1及び第2面、第1面及び第2面に取り付けられた電極を有する少なくとも一つの矩形圧電プレートと、
少なくとも幾つかの電極の電圧を印加して圧電プレートの所望の共振モードを確立する電源と、
所望の共振モード以外の共振モードを抑制するモード抑制手段と、
からなる物体を動かすマイクロモータが提供されている。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態では、前記モード抑制手段は、所望の共振モード以外の共振モードによって引き起こされる寸法変化を抑制するように適合された少なくとも一つの抑制手段からなる。
【0032】
さらに、本発明の好ましい実施の形態では、
2つの長手エッジ及び2つの短手エッジ、第1及び第2面を有する少なくとも一つの矩形圧電プレートと、
圧電プレートの第1短手エッジの中心に取り付けられ物体に押圧される第1セラミックスペーサと、
一端に取り付けられた第2スペーサを有し、圧電プレートの第2短手エッジの取り付けられた他端を有するアームとからなり、
第1及び第2スペーサは物体に対して付勢されるように適合された隣接する平行な面を有する、物体を動かすマイクロモータが提供されている。
【0033】
さらに、本発明の好ましい実施の形態では、
長手及び短手エッジ、第1及び第2面、第1面及び第2面に取り付けられた電極を有し、該電極の少なくとも幾つかが励起され、中央の長手軸に沿って一定間隔で設けられた穴を有する複数の矩形圧電プレートと、
穴に回転可能に装着される一端を有する少なくとも1つのレバーと、
からなる物体を動かすマイクロモータが提供されている。
【0034】
好ましくは、レバーの他端は、固定プレートに回転可能に装着されるか、その代案として前記軸の方向にのみ移動するように拘束されたプレートに回転可能に装着される。
【0035】
以上のすべての実施の形態では、セラミックスペーサは圧電プレートの短手エッジの1つに、好ましくはその短手エッジの中央に取り付けられるのが好ましい。これにより、最適な駆動運動がセラミックプレートの短手エッジで生み出されるので、係合面に垂直な利用可能なスペースがートの長手エッジが係合面にほぼ垂直となる。係合面に垂直な入手可能な面が制限されるシステムでは、本発明の好ましい実施の形態によれば、代案のセラミックマイクロモータが設けられている。ここで、圧電セラミックプレートの短手エッジの運動は、長手エッジと短エッジのコーナ部の近傍でプレートの長手エッジに取り付けられたスペーサを用いてプレートの長手エッジと並設された物体を動かすのに使用される。
【0036】
本発明のこの特徴によると、スペーサは短手エッジで共振運動に従って動くが、係合面はセラミックプレートの長手軸に平行に駆動される。左右運動の対称性を避けるために、お互いに隣接するコーナ部をスペーサで支持して、2つの並列された圧電セラミックプレートを使用するのが好ましい。
【0037】
さらに、本発明の好ましい実施の形態では、
第1及び第2長手エッジ、第1及び第2短手エッジ、前面及び裏面を有する第1及び第2矩形圧電プレートと、
第1プレートの第1短手エッジは第2プレートのの第1短手エッジのほぼ平行に並設され、
各プレートは前面及び裏面に取り付けられた電極を有し、
各プレートは、第1短手エッジの近傍の一端で第1長手エッジに取り付けられ、物体の表面に係合するセラミックスペーサを有し、
各プレートの一部に印加され、セラミックスペーサを物体の表面に押圧する弾性力源と、
からなる物体に対して運動を与える圧電マイクロモータが提供されている。
【0038】
本発明の好ましい実施の形態では、前記弾性力源は少なくとも第2長手エッジの一部に印加される。加えて、あるいは代案として、前記弾性力源は圧電プレート上の点に印加され、前記面に垂直な運動振幅がほぼゼロである。
【0039】
さらに、本発明の好ましい実施の形態では、
お互いに離れて配置されたほぼ矩形の第1及び第2圧電プレートと、
各プレートは2つの長手エッジ及び2つの短手エッジ、前面及び裏面を有し、
隣接するプレートの面は平行でお互いに対向し、
隣接するプレートの長手エッジは平行であり、
第1プレートの第1長手エッジに係合する少なくとも1つの固定サポートと、
第1プレートの第2長手エッジに係合する少なくとも1つの弾性サポートと、
第2プレートの第1長手エッジに係合する少なくとも1つの弾性サポートと、
第2プレートの第2長手エッジに係合する少なくとも1つの固定サポートとからなり、
第1プレートの第1長手エッジは第2プレートの第1長手エッジに隣接している、
物体に対して運動を与える圧電マイクロモータが提供されている。
【0040】
好ましくは、各サポートは、長手エッジに垂直な方向にほぼゼロの運動となる地点で、それぞれの長手エッジに係合し、長手エッジにほぼ平行な方向にスライド可能である。
【0041】
さらに、本発明の好ましい実施の形態では、
長手及び短手エッジ、第1及び第2面、第1面及び第2面に取り付けられた電極、長手エッジに垂直な方向にほぼゼロの運動をとなる2つの地点で長手エッジの各々に弾性力を与える弾性要素、を有する少なくとも一つの矩形圧電プレートと、
少なくとも幾らかの電極を2つのモード、すなわち短手エッジの平行な第1の方向に短手で運動を与える第1のモードと、第1の方向と反対の第2の方向に運動を与える第2のモードで選択的に励起するための電源と、
からなる物体を動かす手段マイクロモータが提供されている。
【0042】
本発明の他の好ましい実施の形態では、マイクロモータはさらに、第1の方向と第2の方向に対称な運動と力を与えるように適合された構造アセンブリからなる。好ましくは、構造アセンブリは弾性要素を含む。
【0043】
本発明の好ましい実施の形態では、前記電圧源は前記電極の少なくとも幾つかの電極にAC励起電圧を印加する。
【0044】
さらに、好ましい実施の形態では、前記電極は、各圧電プレートの前面上の複数の電極と、各圧電プレートの裏面上の少なくとも1つの電極とからなる。好ましくは、前記複数の電極は前記前面の各四分円部にある電極からなり、前記電圧源は前記前面上の少なくとも幾つかの電極にAC励起電圧を印加する。
【0045】
本発明の好ましい実施の形態では、各プレートの対角線上に位置する四分円部の電極は同一極性の励起電圧が印加される。
【0046】
さらに、好ましい実施の形態では、第1圧電プレートの第1長手エッジと第1短手エッジの間の四分円部の電極は第1極性の励起電圧が印加され、第2圧電プレートの第1長手エッジと第1短手エッジの間の四分円部の電極は第1極性と反対の第2極性の電圧が印加される。
【0047】
本発明の1つの好ましい実施の形態では、電力源は、少なくとも幾つかの電極に、AC励起電圧の振幅よりも大きな絶対値を有するDC電圧を一定間隔で分離したAC励起電圧パルスからなるパルス励起電圧を印加する。好ましくは、前記パルス励起電圧のパルス率は物体の自己共振周波数にほぼ相当する。
【0048】
本発明のさらに好ましい実施の形態では、前記第1及び第2矩形圧電プレートは少なくとも1つの長手エッジに接続された少なくとも1つの追加の電極を有し、
電圧源は少なくとも幾つかの追加電極を印加する。好ましくは、前記少なくとも一つの追加電極は第1短手エッジの近傍の第1長手エッジのある電極を含む。さらに好ましくは、前記少なくとも一つの追加電極は第2短手エッジの近傍の第2長手エッジにある電極を含む。
【0049】
好ましくは、前記電圧源は追加電極に励起電圧を印加し、これにより前記面にほぼ垂直な方向におけるセラミックスペーサの運動を増大する。好ましくは、前記電圧源は、各追加電極に、追加電極に隣接する前面の四分円部にある電極と同一極性の励起電圧を印加する。
【0050】
本発明の好ましい実施の形態では、前記第1及び第2圧電プレートは前記面に垂直な運動振幅がほぼゼロであるプレート上の点で弾性的に支持されている。
【0051】
本発明の好ましい実施の形態では、前記弾性力源は調整可能である。
【0052】
本発明の好ましい実施の形態では、マイクロモータは、前記複数の第1圧電プレートと、前記複数の第2圧電プレートとからなり、各プレートのセラミックスペーサは物体を弾性的に押圧している。
【0053】
本発明の好ましい実施の形態では、マイクロモータはさらに、スペーサによって物体に印加される力に対する反力を与えるために、前記スペーサと係合する表面と反対の前記物体の表面に係合する逆支持装置をさらに含む。好ましくは、前記逆支持装置は少なくとも一つの平坦な面に取り付けられた電極を有する圧電セラミックベアリングからなり、前記電圧源は少なくとも幾らかの圧電セラミックベアリングに電圧を印加する。
【0054】
さらに、本発明の好ましい実施の形態では、
軸回りに旋回可能で、両側で当該軸から一定間隔離れた第1及び第2端部、第1端部に取り付けられた読み書きヘッド、第2端部にある剛体を有するアームと、
剛体要素に対して弾性的に付勢された少なくとも1つの圧電プレートマイクロモータと、
からなるディスクドライブが提供されている。
【0055】
本発明の好ましい実施の形態では、前記圧電プレートは静止している。本発明の代案となる好ましい実施の形態では、前記圧電プレートは前記軸に対して移動可能である。
【0056】
さらに、本発明の好ましい実施の形態では、
軸回りに旋回可能なアームからなり、該アームは、
両側で当該軸から一定間隔離れた第1及び第2端部、
第1端部に取り付けられた読み書きヘッド、
第2端部に取り付けられ、前記アームとともに移動可能な圧電プレートとを有するディスクドライブが提供されている。
【0057】
本発明の好ましい実施の形態では、前記軸は前記圧電プレートを貫通して延びている。
【0058】
本発明の好ましい実施の形態では、マイクロモータはさらに、前記圧電プレートに対して付勢された剛性要素からなる。
【0059】
さらに、本発明の好ましい実施の形態では、
軸の回りに旋回可能で、2つの長手エッジ及び2つの短手エッジを有する第1矩形圧電プレートと、
2つの長手エッジ及び2つの短手エッジ、該エッジに取り付けられたセラミックスペーサを有する第2矩形圧電プレートとからなり、
前記スペーサは前記第1圧電プレートのエッジに対して付勢されている、
物体を動かすマイクロモータが提供されている。
【0060】
好ましくは、前記第2圧電プレートに取り付けられたスペーサは前記第1圧電プレートの長手エッジに対して付勢されている。
【0061】
本発明の幾つかの好ましい実施の形態では、マイクロモータはさらに、
前記第2圧電プレートのスペーサと、前記スペーサが付勢されている第1圧電プレートの長手エッジとの間に位置する剛性の弓形要素からなる。
【0062】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態によるモータにおいて使用される比較的薄い矩形の圧電セラミックの大きな一つの面を示す図1を参照する。この圧電セラミックの面(以下「第1面」という)には、4個の電極14、16、18及び20がめっきされている(plated)か、さもなけれが張り付けられており、これにより、それぞれが実質的に第1面の1/4を覆う矩形から成るチェッカー・パターンが形成されている。圧電セラミックの反対側の面(以下「第2面」という)は、好ましくは、一つの電極(図示せず)で実質的に全体が覆われている。対角線方向に配置された電極(14及び20;16及び18)は、好ましくはその4個の電極の連結部分(junction)の近傍に配置されたワイヤ22及び24によって電気的に接続されている。第2面上の電極は好ましくは接地されている。その代わりに、これらの電極を、その形成に使用される技術に類似したプリント回路技術によって接続してもよい。
【0063】
比較的堅いセラミックのスペーサ26が、例えば接合剤で、圧電セラミック10の短辺28に、好ましくはその辺の中央において取り付けられている。
【0064】
圧電セラミック10は多数の共振モード(resonaces)を有している。特に、圧電セラミック10の寸法は、Dx及びDy方向の共振モードが近づいており(closely spaced)、励起曲線(excitation curves)が重なるような寸法が選ばれている。特に、本発明による好ましい共振は、図2及び図4に示されているように、Dy方向については1/2モード共振であってDx方向については11/2モード共振である。しかし、セラミック10の寸法に応じて他の共振モードを使用することができる。
【0065】
圧電セラミック10が図6においてω0として示された帯域内の周波数で励起されているとき、Dx及びDyの双方の共振モードが励起される。図3は、所定の電極に電圧を印加し、それにより二つの共振モードを励起する一例(one configuration)を示している。この例では、電極16及び18に電圧が印加され、電極14及び20は浮いたままである(又は、あまり好ましくはないが接地されている)が、そのモードの振幅が図2に示されている。この例における励起は、Dyが正のときDxを負にし、その結果、圧電セラミック10の動きが阻止されている場合には、圧電セラミック10に押し付けられている本体30が左方向に動くことになる。本体30の表面は、回転すべき円筒の表面のようにカーブしているように描かれているが、直線的な動きが望まれる場合には、その表面は平坦でもよい。
【0066】
電極14及び20に電圧が印加され電極16及び18が浮いたままである(又は、あまり好ましくはないが接地されている)図5に示された励起の例については、Dyのモードは同一であるが、Dxのモードは位相が逆であり、右方向への移動を生じさせる。
【0067】
本発明の好ましい実施の形態では、圧電セラミック10は、固定された1対の支持体32及び34と2個のバネ付きの(spring loaded supports)支持体36及び38とにより、動きが阻止されている。支持体32〜38は、圧電セラミック10と、x方向の移動が0の位置においてそのセラミックの1対の長辺40及び42に沿って接している。これらの支持体はy方向にスライドするように設計されている。
【0068】
このようにバネが取り付けられているのは、磨耗の効果(effect of wear)を低減し、圧電セラミックを或る程度衝撃から保護(a degree of shock protection)するためである。
【0069】
バネ付きの支持体44は、好ましくは短辺28の反対側の圧電セラミック10の第2の短辺43の中央部に押し付けられる。支持体44はセラミック26と本体30との間に圧力を与え、これにより、セラミック26の動きが本体30に伝達される。バネ付き支持体44は圧電セラミック10が励起される周波数の1周期よりも十分に長い応答時間を有している、ということに注意すべきである。したがって、本体30に与えられる動きの方向と反対にセラミック26が動いているときには、本体30に押し付けられているセラミック26の表面は、実際にはその周期の一部の期間だけ本体から離れていく。
【0070】
本発明の好ましい実施の形態では、バネ付き支持体36、38及び44は、中身の詰まった堅いゴム製の円柱体(バネ)であって、好ましくは約60のショアーAの硬度(a Shore A hardness of about 60)を持つ、好ましくはシリコン・ゴム製のものである。実際に、このような「バネ」は、Oリング(例えばパーカ-ハニフィン(Parker-Hannifin)により市場に提供されているもの)の一部を切断して所望のサイズにすることにより製造することができる。好ましくは、そのバネの共振モードは、使用される圧電セラミックの共振モードからは遠く離れているべきである。本発明の好ましい実施の形態では、球状又は半球状の堅い部品(element)がそのバネ部品(spring element)とセラミックとの間に配置される。
【0071】
本発明の好ましい実施の形態では、圧電セラミック10の寸法は、モーガン・マトロック社(Morgan Matroc Inc.)によって製造されたPZT圧電材料を使用した場合、2mmと5mmの間の厚みを有する30mm×7.7mmの大きさである。この例に対し、所望の速度、本体30の重さ(及び/又はバネ44の圧力)、及び要求される力(power)に応じて、圧電セラミック10を励起するために30〜500ボルトの交流を使用することができる。このような装置は、20〜100kHz の範囲内の周波数で動作し、10ナノメータ(nm)の範囲内の最小ステップサイズ(a minimum step size)を有し、約15〜350mm/sec(又はそれ以上)の最大速度を有する。これらは、公称の範囲に過ぎず、圧電セラミック10として使用される材料、寸法、選択される共振モード、及びその他の要因に応じて変化する。
【0072】
実際には、より大きい寸法のセラミックは20mmと80mmの間とすることができ、より小さい寸法のものは3mmと20mmの間とすることができる。例えば、極めて長く薄い装置(例えば、3mm×80mm)は極めて高速度のモータとなるであろう。
【0073】
本体30に対して付勢される圧電セラミック10の短辺28に取り付けられたスペーサ26を用いることにより、与えられたサイズのマイクロモータから出る力が、スペーサが取り付けられていない同一サイズのマイクロモータに比べて増大する。スペーサが取り付けられていない場合には、短辺28が直接本体30に作用する(engage)。この力の増大は、励起中に圧電セラミック内で生成される共振モードのエネルギがスペーサに集中することによる結果である。
【0074】
好ましくは、スペーサ26はシステムの共振モードに影響を与えるべきではない。また、所与のエネルギー出力(power output)に対しx方向の運動について可能な最大振幅を達成することが望ましい。これらの目標は極端に薄いスペーサを使用することにより達成されるかもしれない。しかし、共振周波数の点から薄くしたスペーサは、しばしば薄すぎるため、とうてい実際的でない。本発明の好ましい実施の形態による、より実際的な解決策は、そのスペーサにおける共振モードの2/2、3/2又は4/2波長にほとんど等しい長さのスペーサを利用することである。スペーサ26は99%のアルミニウムによって製造される。前記セラミックとこのスペーサとの材料の相違のため、スペーサの共振モードの1/2波長は、同一周波数のセラミックにおける1/2波長よりもほぼ3倍短い(ほぼ1/3の長さである)。実際には、約4〜5mmの長さを有するセラミック製スペーサが適当であることが判明している。
【0075】
図1〜図6と関連づけて上記で説明された実施の形態において、図1における圧電セラミック10は、その圧電セラミックの共振に近い周波数の交流電圧によって励起される。図7及び8に描かれた方法では、パルス状の単一極性の電圧(a pulsed unipolar voltage)によって励起される。本発明による、このパルス状の励起の実施の形態において、電極14、16、18及び20は、図1の実施の形態におけるような固定された方法で接続されているわけではなく、以下において説明するように、要求される最小ステップに応じて、異なる方法で接続される。
【0076】
パルスによる方法の動作原理は図7に示されている。この図において、圧電セラミック10の第2面上の電極を基準として、電極14及び18は正の直流電圧によって励起され、電極16及び20は負の直流電圧によって励起される。この励起の下で、圧電セラミック10の左側10が右側よりも長くなり(図7では非常に誇張されて描かれている)、セラミック26が右方向に移動する。当然ながら、電圧が印加されなくなると、このセラミックは元の位置に戻る。
【0077】
しかし、非対称の電圧パルス、例えば図8に示されているような電圧パルスが電極に印加されると、ゼロに戻る間において、本体はセラミック26によってその出発位置まで戻ることはない、ということを本願発明者は見出している。好ましくは、このパルスの立ち下がり時間が立ち上がり時間よりも少なくとも4倍長くなるようにすべきである。パルス全体の時間(a total pulse time)は10〜50ミリセカンドであるのが好ましいが、正確な時間は、圧電セラミックによって動かされる質量及びバネ44の力に依存する。実験では、1マイクロセカンドの立ち上がり時間と15ミリセカンドの立ち下がり時間とにより、優れた結果が得られている。この例の最小ステップは、パルス電圧に依存し、30〜100ボルトのピーク電圧に対して2〜6nmに変化し得るものであり、より大きい質量に対しては慣性が増大するため最小ステップが大きくなる。このモードは、一般に、大きな動きには使用されないが、移動させる対象物の最終段階の配置には有用である。励起の極性を逆にするか、又は、立ち上がり時間を長くして立ち下がり時間を短くすると、反対の方向に移動することになる。このモードにおける本体の動作はよく理解されているわけではないが、極端に小さい最小ステップを実現することができる。
【0078】
上記の代わりに、一方の電極対のみに電圧を印加し(electrified)、他方の電極対は接地するか又は浮かせておく。
【0079】
モータがパルス状に動作する代替の実施の形態では、電極14及び16に同一の電圧が印加され、電極18及び20には反対の極性の電圧が印加される(又は接地され、又は浮いたままにされる)。このような電圧印加(electrification)によっても、極めて小さい移動が行われることになる。
【0080】
このようなパルス状の電圧によって電極を励起する他の例により、別の最小ステップ値が得られる。例えば、電極14を正のパルスで励起し、電極16を負のパルスで励起すると(一方、電極18及び20は接地されるか、又は浮いたままとされる)、約2〜5nmの最小ステップが得られる。電極18及び20をそれぞれ正及び負のパルスで励起することにより(一方、好ましくは電極14及び16は浮いたままとする)、5〜8nmの最小ステップが得られる。電極14及び18に一方の極性のパルスが印加され、電極20にはその反対の極性のパルスが印加されたときは(電極16は浮いている)、同じような値の最小ステップが得られる。代替の例として、上記において浮いているとされた電極を接地することができるが、この場合は、効率が低下することになる。
【0081】
特に有用な差動モードにおいては、2つの電極14及び20には正のパルスが印加される一方、2つの電極16及び18は接地され、フロート状態にし、もしくは負のパルスが印加される。このモードにおいては、非常に小さい最小の動きを、0.1乃至2nmの範囲で達成することができる。対角方向の電極には、同一又は異なった振幅の電圧のパルスを印加してもよい。
【0082】
パルス電圧による励起は、好ましくは図8に図示された形状を有して利用され、例えば、各電極が分離されて励起可能である、上述されたSU693494号の形状のような従来技術の形状に印加されるときにまた有用である。
【0083】
本発明に係るモータの好ましい実施の形態においては、圧電セラミック10は、まず、高速の動きを目標の位置の近傍に生成するように、図1乃至図6を参照して説明したようにある交流電圧によって励起され、次いで、図7及び図8を参照して上述したようなパルス電圧によって励起される。このような励起のための装置構成を含むモータシステムの好ましい一実施の形態が、図9においてブロック図の形式で図示されている。
【0084】
図9に示すように、コントロールシステム50は、例えば、それぞれ電圧調節された1対のレギュレータ電源54及び56に対してエネルギーを印加することと、4個のスイッチ/変調器回路58,60,62及び64とを制御するマイクロコントローラ52であるコントローラを備える。スイッチ/変調器回路の各々は電極14,16,18又は20の1つに接続される。第2の面上の電極は、好ましくは同調用インダクタ66を介して接地される。
【0085】
マイクロコントローラ52は好ましくは、ボディ30の位置を示しかつマイクロコントローラ52へのフィードバックを提供する位置指示器(又は位置検出器)68からの位置信号を受信する。マイクロコントローラ52はまた好ましくは、位置(又は動き)を受信し、さらにオプショナルでユーザインターフェース70からの速度コマンドを受信する。
【0086】
動作中において、マイクロコントローラ52は、ユーザインターフェース70からの位置コマンドを受信し、それを位置指示器68によって指示される実際の位置と比較する。もしコマンドが移動コマンドであれば、その位置はただ後の比較のために記憶(記録)する。
【0087】
マイクロコントローラ52は、必要とされる動きの量を記憶し、予め決められた最適化基準に基づいて、交流モード又はパルスモードが適当であるか、そして、ほとんどのボディが移動する方向はどちらの方向であるかを決定する。複数の適当な信号は、圧電セラミック10が上述のように適当な励起形状で動作するように、それらの信号が各電極に対して交流電圧又はパルス電圧のいずれか(もしくは、無電圧又は接地電圧)を生成して印加されるように、スイッチ/変調器回路に出力する。移動すべき距離の中で残っている距離は適当なレベル以下に減少され、マイクロコントローラ52は図7及び図8を参照して上述した、適当なパルス励起を利用する高解像度低速度モードに切り換える。位置の高い正確さが所望されるときに、励起様式における幾つかの変形を適宜行ってもよい。ボディ30が目標の位置に到達したときに、複数の電極の励起は終了される。
【0088】
圧電セラミック10の電気的な共振とそれに接続される配線とを、圧電セラミック10の機械的な共振と同一の周波数に同調させるためにインダクタ66が用いられる。電気回路は、圧電セラミック10の第1と第2の面上の複数の電極によって形成された静電容量のほとんどからなるので、この静電容量を“同調外に設定し”かつ当該システムの効率を改善するために、例えばインダクタ66のようなインダクタを付加することが適当である。
【0089】
当該システムの動きの制御は閉ループシステムについて説明してきたが、より低い正確さでの開ループ動作も可能である。閉ループ動作に対しては、当該システムは約0.5nmよりも良い正確さを達成することができると信じる。開ループ動作に対しては、動きの量はかなり正確に評価検出することができ、位置は動きの全体の量の約0.1%乃至1%以内に制御することができる。
【0090】
本発明の好ましい実施の形態によれば、所望の共振モード以外の共振モードを抑制することによってマイクロモータの能力を増加させるために少なくともひとつの拘束部材(constraining menber)が使用される。図32は2つの拘束部材が使用された形態を示し、図33は、実寸法からの外れを強調して示した所望モードに関するセラミック10を示す図32と同様に、ある形態を示している。圧電セラミック10の輪郭にきつく備わり取り付けられた拘束部材300,302は、糸もしくはワイヤにて作成可能であり、上記圧電セラミックに接着可能である。又、部材300.302は、プラスチックもしくは金属成形を含むこともできる。部材300.302は、動作の所望モードに関するX方向において寸法変化が0である点、即ち、セラミック10の長さのほぼ1/6及びほぼ5/6の位置に好ましくは位置する。他のモードではそれらの位置の一若しくは両方にて寸法変化を有し、それによって抑制される。そのような形態において、スペーサ26の運動幅(motion amplitude)は拘束部材を有しないマイクロモータにおいて同じ入力電力にて得られる運動幅に比較して30%に達することにより増加可能である。又、符号300若しくは符号302のいずれか一方のみの拘束部材が使用される。
【0091】
本発明の好ましい実施の形態において、図34に示すように、上記マイクロモータの出力を増加し上記スペーサに押圧される本体の動作を円滑にするため、固定アーム310がスペーサ軸受け端(bearing edge)に対する圧電セラミック10の短絡端(short edge)に取り付けられる。アーム310は、好ましくは圧電セラミック10の表面にほぼ平行に取り付けられ、アーム310の一端は垂直部材314を介してセラミック10の短絡端43に取り付けられる。本体30に押圧されて取り付けられるスペーサ312は、スペーサ26が取り付けられるセラミック10の端部近傍にてアーム310の他端に取り付けられる。
【0092】
図34の実施の形態の他の多くの好ましい形態が存在する。そのような形態の一つにおいて、スペーサ312は好ましくはセラミックであり、垂直部材314は好ましくはアルミニウムにて作成される。この形態において、垂直部材314が圧電セラミック10の第1面の電極を短絡することを避けるため特別の注意を取らねばならない。他の形態において、垂直部材314はセラミックである。上述した形態において、垂直部材314は短絡端43の全体に沿って取り付けることができ、若しくは短絡端43の中央部のみに例えばセラミックスペーサによって取り付けることができる。
【0093】
図3又は図5に示されるような形態において、AC電圧による圧電セラミック10の励磁(excitation)に関連して上述した形態の一つの利用は、図35に示すように、スペーサ26に関してスペーサ312の位相外れ動作(180°の位相の相違)となる。結果として、本体30に働く力は2倍になり、本体30の動きは、そのようなアームを使用しないマイクロモータに比べよりスムースになる。
【0094】
又、エレメント10の他の励磁(excitations)及び形態は、ここに記述するように、図32から図35に示す装置に関連して使用することができる。
本発明によるモータの好ましい実施の形態において、複数の圧電セラミックが上記モータの出力を増加するため、及び異なる装置間に存在する変化(variability)を減じるために形成可能である。図10に示されるそのような一つの形態は、くし形形態にて2つの圧電セラミック10,10’を備える。即ち、圧電セラミック10,10’により誘発される動作方向において2つの圧電セラミック10,10’がくし形にて取り付けられる。2つの圧電セラミックは、図9に示される制御システム50のような共通の制御システム若しくは分離した制御システムによって駆動可能である。明快となるように、制御システム及び電気的接続は図10には示していない。
【0095】
図10に示すように、圧電セラミック10,10’の中間に位置するスペーサユニット74は、上記圧電セラミックを支持し分離する。4つのスプリング付勢サイドサポート76及び2つのスプリング付勢エンドサポート78は、図1の実施の形態に関連して上述したような同一の方法にて圧電セラミック対を支持する。実際には、圧電セラミック10,10’は、好ましくはスペーサユニット74とスプリング付勢サポート76,78の伸びにより圧電セラミックの表面に垂直に動くことが拘束される。このような形態が図11に示される。
【0096】
図11は、2つのユニットと3つのユニットのくし形/平行形態にて形成された6つの圧電セラミックを示す。図示の制約のため、スプリング付勢サポート及び圧電セラミックに対する押圧スペーサユニット74の機構は示していないが、その好ましい支持機構は図10に示されるものである。又、他の形態である、2×4のくし形/平行形態も有益である。
【0097】
本発明によるモータの好ましい実施の形態において、図10及び図11に示される実施の形態に使用される圧電セラミックはすべて同じではない。本発明のこの実施の形態において、一つ若しくは複数の圧電セラミックはPZT−8(Morgan Matroc Inc.にて製造される)のような比較的硬い材料にて作成され、一つ若しくは複数の圧電セラミックはPZT−5H(Morgan Matroc Inc.にて製造される)のような柔らかい材料にて作成される。上記の2つのタイプの材料は、同じx、y寸法と同じ共振(resonance)を有し、共振周波数が個々の圧電セラミックの厚さを調整することにより得られるように、物理的に形作ることができる。又、両方の材料が同じ厚さにて使用することもできる。そのような形態において、上記の柔らかい材料のブローダ(broader)Qは、硬い材料及び柔らかい材料の両方が同じ周波数にて十分に励磁(excite)されることを仮定するであろう。
【0098】
上記柔らかい圧電セラミックが帯電されるとき、共振幅がDx及びDyの両方において大きくなり、セラミック26が本体に接触する期間の部分(時間)が上記硬い圧電セラミックに関するよりも大きくなる。しかしながら、この性質により、柔らかい圧電セラミックが作用する原動力量は低くなり、動作のむらも低くなる。
【0099】
先のパラグラフにて記述したように両方のタイプの圧電セラミックが使用される、本発明の好ましい実施の形態において、硬い圧電セラミックは静止摩擦及び他の慣性力を抑える能力があり、柔らかい圧電セラミックは、硬い圧電セラミックのみが使用される場合よりもスムースな停止、起動にてよりスムースな、より正確な動作を付与する能力がある。
【0100】
本発明の好ましい実施の形態において、2つのタイプのセラミックは、互いに位相外れ(180°の位相差)を起こす。この場合、2つのタイプのセラミックは、本質的に独立した方法(励磁サイクル(excitation cycle)の異なる部分にて)で動作し、2つのタイプの圧電セラミックの異なる動作のため最小の摩擦となる。本発明の好ましい実施の形態において、位相の逆転は2つのセラミックにて極性化方向を逆にしたセラミックを使用することで達成される。又、位相外れした電圧を印加することもできる。上記セラミックの逆位相動作はまた、同一特性の2つの圧電セラミックが使用されるときにも有益である。
【0101】
本発明のすべての有利な点を有するX−Y運動も可能である。
X−Y運動を生じる一つの形態が図12に示される。一体式のX形状セクション90は、圧電セラミック材料で形成され、上記セクションの大きな平坦な内面に形成された前及び後電極を有する。図示されていない(及び完全に若しくは部分的に示される面に対する)上記内面には、全面に配置された単一電極が設けられる。それらの単一電極は、接地され(若しくはシステム電力共同帰線に接続される)、本発明の好ましい実施の形態によれば、示される上記電極は上述した機構に従い活性化される。そのようなデバイスでX−Yテーブルを構成することは、図1及び図11に従い上述したように上記セラミックを保持し、セラミック26に接触する平坦なテーブルを加えることのみが要求される。同一の若しくは異なるセラミックの複数のX形状セクション90は、図10及び図11に関して上述したような平行−くし形形態において使用可能である。
【0102】
図13は第2の、思い浮かべるよにう簡単に、しかし、小型でない形態を示しており、この構成物は、図1〜5に示したような2つの圧電セラミックが、一端でのX運動および他端でのY運動を達成するように、一体に固着されたものである。
【0103】
図13の形態を使用し、かつ、本願発明の好ましい実施の形態として構成されたX−Yテーブル100は、図14に単純化された形で図示されている。テーブル100は、固定されたベース102およびトップ104の間に挟まれた図13の形態中に2つの圧電セラミック10からなるものであり、支持体106,108,110,112,114および116,118および120が、図1〜5の支持体32,34,36および38に、形および機能において同一である。支持体106〜120のすべては定着物(明確には表示されていない)に一体に設けられているが、ベース102には取り付けられていない。しかしながら、定着物とベース102との間をX方向(矢印122で示す)にスライド移動することが許されるスライダーが設けられることが好ましく、かつ、定着物に取り付けられている。
【0104】
一組のスライダー124,126および128は、矢印130で示したY方向に定着物についてトップ104の動作を許すように設けられている。スライダー124〜128は定着物に取り付けられることが好ましい。
【0105】
要するに、定着物は、上下の圧電セラミック10およびスライダー用支持体を有しており、前記スライダーはベース102に対してX方向に定着物、および、この定着物に対してY方向にトップ104のスライド移動を許すものである。
【0106】
使用中、下方側の圧電セラミックの励起は、それをX方向に移動させる。トップ104は定着物に対してX方向に移動することを前記定着物に規制されているので、トップ104はX方向に定着物と同様に同じ量だけ移動する。したがって、下方側の圧電セラミックの励起はトップ104のX運動を生じさせる。上方側の圧電セラミックが励起された場合、トップ104は定着物に対してY方向に移動する。定着物はベースに対してY方向にいくらか移動するように規制されているので、トップ104はベース102に対して移動する。。
【0107】
上方および下方の圧電セラミックを選択的に励起することがベース102に対してトップ104のX−Y動作を生じさせ、図1〜図11の実施の形態について上で示した直線運動に関する実施の形態のすべての利点を有している。圧電セラミックの一つだけを励起すると、一方向だけの運動が生じる。
【0108】
X,Y,Z運動、X,Y,Θ運動、または、直角でない複数の軸に沿う運動方向に略述した原理を使用することは可能であり、各軸に沿って運動させるために異なるセラミックを設けてもよい。
【0109】
さらに、異なる又は同一の部品からなる圧電セラミックの2個縦列および直列配置は、図10および図11を参照することにより、直線運動装置に関する2個縦列配置のように、前述と同様な利用を生じさせる。
【0110】
回転運動を達成するために本願発明にかかる圧電セラミックの使用が図15に示されており、図10で示されたと同様な圧電セラミック150の2個縦列形態が、シリンダー152に沿うように、かつ、シリンダー152を回転するように適用されている。このような形態により、セラミックスペーサ26の表面はシリンダー152の表面に沿う凹面形状を有していることが好ましい。図1〜5に示したと同様の単一圧電セラミック、または、環状に配置された圧電セラミックのいくつかは形態150の代わりにも使用できる。
【0111】
球体の円運動および3次元位置決めが必要な場合、図15のような形態は、球体を回転させ、かつ、位置決めするために形態150と同様、3つの直交するように配置されたセラミック組成物を設けることより、修正して使用される。もし、回転だけ(そして、3次元の位置決めが必要でない)が必要な場合、2つの直交する駆動部で十分である。この実施の形態では、セラミック26の外表面が球体の表面に沿うように形成されている。
【0112】
本願発明を使用する場合、速度,正確さ,駆動力の組み合わせ改良することは可能である。単一セラミックパッド26だけを使用することにより、過大な力が必要とされるクラッキングのための先行技術以上に、本体30に対してセラミックを押すため、より大きな力を用いることができる。2個縦列のセラミックの使用は意外に駆動力および速度の増大をもたらす。一般に、より高い速度およびより大きな駆動力のいずれもが、本願発明では同一体積の圧電セラミックで同時に達成できる。
【0113】
また、本願発明は、前述の実施の形態において図示された長方形状の電極が使用されている場合、運動は完全な直線ではなく、すなわち、セラミック26の運動の回転特性のため、セラミックの一部分だけが動作中の本体30に接触することが分かる。14′,16′,18′および20′が前述の図で示された直線化バージョンのきっちりとしていない電極である場合には、例えば、図16に示すように電極を切削することによって改良できる。図16には正弦変化が示されているが、他の電極形状もまた装置が直線化するように改良することが可能である
【0114】
本発明の好ましい実施の形態として、図36に一例が挙げられ、複数の圧電セラミックを含む配置は、X軸に沿って反対方向に本体30の運動を対称運動とするために用いられる。この配置が、実質的に使用される場合、同一の力および振幅をXおよび−X方向に適用できる。図36で示された配置は、図36で示されたX,Y方向によって形成されるX−Y平面で同一方向に方向づけされている2つの平行な圧電セラミック10,10′を有している
【0115】
図36に示すように、圧電セラミック10,10′のそれぞれは、一対の固定支持体32,34および一対の弾性支持体36,38によって移動が規制されている。支持体32〜38は、各セラミックの長手方向の角部40,42および40′,42′に沿ってセラミック10,10′を、実質上、X軸に沿って移動量ゼロにしようとして引き合っている。支持体32〜38はY軸に沿ってスライド可能であることが好ましい。
【0116】
固定された支持体32および34は長手方向の角部40に沿って圧電セラミック10を引き合い、一方、圧電セラミック10′が固定されているため、支持体32,34が長手方向の角部42′を引き合っている。弾性支持体36,38が長手方向の角部42にそって圧電セラミック10を引き合い、一方、圧電セラミック10′のため、弾性支持体36.38が長手方向の角部40′に沿って圧電セラミック10′を引き合っている。この配置により、一つの圧電セラミックによってもたらされるXおよび−X運動間のいくつかの違いが、同一で反対の他の圧電セラミックによって補償される。
【0117】
X軸に沿う対称運動を提供するための択一的配置が、本発明の好ましい実施の形態として図37に図示されている。
【0118】
図37は、2つの全く同一構成のアセンブリ320及び340を有する装置を示している。アセンブリ320は2つの剛体322及び324からなり、それらはヒンジ326によって連結されていると共に、ヒンジ328及び329によって基台(図示せず)にそれぞれ装着されている。同様に、アセンブリ340はヒンジ327、341、342によって基台にそれぞれ装着されている。
【0119】
ヒンジ326及び327は、圧電セラミック10の孔、特にセラミック面に延びている。ヒンジ326及び327用の孔は、短縁に沿って2つの電極の間、例えば、電極14と16の間と、電極18と20の間にそれぞれ配設され、X軸に沿って動作しない位置であるのが好ましい。本発明の好ましい実施の形態では、ヒンジ326及び327はセラミック10の1/6及び5/6の長さで短縁28からそれぞれ離れている。
【0120】
各要素322はセラミック10の反対面に2つの腕部330及び331を有し、各要素324がセラミック10の反対面に腕部334及び335を有するのが好ましい。これにより、セラミック10は腕部330と331、腕部334と335の間に配設される。弾性要素337及び338は要素322の腕部330と331の間、要素324の腕部334と335の間に配設されるのが好ましい。アセンブリ320の弾性要素337及び338はセラミックの長さの約1/6で圧電セラミック10に弾性力を付与しており、アセンブロ340の同様な要素はセラミック10の長さの約5/6で弾性力を付与する。
【0121】
1つの典型的な装置では、圧電セラミック10はPZT・4によって構成され、300mmの長さ、7mmの幅、3mmの厚さを有する。この装置での弾性要素337及び338は、5mmの長さで、直径2.5・3mm、ショア硬さ60・70のシリコンシリンダである。弾性要素44は、長さ5mm、直径2.5mmで、圧電セラミック10の短縁43に約5N(ニュートン)の力を及ぼすことが可能である。図3又は図5に示すように、交流200・300Vで圧電セラミックを励磁して、この装置を使用する場合、0.1・0.3μmの分解能(resolution)と最大約400mm/secの速度とが得られる。
【0122】
本発明の好ましい実施の形態では、図17に示される形状の電極が使用されている。この実施の形態のために、電極14、16、18、20に加えて付加電極150が圧電セラミックに適用されている。電極150は好ましくはセラミック10と同一幅まで延設され、直流電圧あるいは他の電極で使用される調波電圧によって励磁される。そのような励磁の結果、セラミック10は伸長され、移動対象物に対してモータに予備負荷を与える。調波励起を使用することによって、この予備負荷は他の電極に対して同期され、セラミック26と移動対象物との間の接触時間を増大させる。理論上は、そのようなシステムからスプリング44を省略することが可能であるが、実際には(圧電セラミックよりもさらにゆっくりと反応する)幾らかの弾性付勢力が使用され、必要ですらある。同様な作用が図18及び19の実施の形態から得られる。
【0123】
単体及び複数のセラミックモータのいずれにも適用可能な他の装着手段が図20に示されている。この装着手段では孔が、圧電セラミック10の中心と、その中心線上の1/6と5/6の位置とに形成されている。これらの孔はセラミック10の厚みの20及び30%の直径を有するのが好ましい。ピン152は約±100μmの隙間を有して孔内に配設され、少なくとも一端はレバー154、156、158の一端に取り付けられている。ピンはセラミック10内で伝わるのと同一の音響速度を有する材料で形成されている。ピンは金属、セラミックあるいは他の適切な材料で構成すればよい。
【0124】
本発明の好ましい実施の形態で使用されるセラミック10の共振モードのために、セラミックは孔の長軸方向にのみ移動する。実際、中央孔は殆ど移動しない。レバーの他端が固着本体160に回転自在に取り付けられると、セラミック10はその長軸に沿ってのみ移動させられる。これにより、スプリング36及び38を除去することが可能となる。さらに、スプリング44は、物体が移動される方向にレバーの1つを推し進め、モータを付勢するスプリング44′によって置き換えられる。そのようなスプリングの多くは他のレバーを付勢するように使用される。
【0125】
同様な原理が、図21に示すように、2つの並設された圧電セラミック要素10及び10′を装着することのみに適用される。この配置では、圧電セラミック10及び10′は上述の手段に使用される5つのレバー162、164、166、168、170に装着される。レバー170は、好ましくは両セラミックの中心に取り付けられると共に、プレート172の中心に固着される単一部材のレバーであることに注目すべきである。他のレバーは一端をセラミックの1つの孔に回転可能の装着され、他端をプレート172に回転可能に装着されている。各セラミック10及び10′は下端をスプリング44によって別個に付勢されている。
【0126】
他の形態では、セラミック10及び10′はスプリングでは付勢されていない。しかしながら、プレート172は垂直方向にのみ移動できるだけであり、移動対象物に対してセラミック10及び10′を付勢するために、下端でスプリング(図示せず)によって付勢されている。装着手段の種々の幅寸法は、これらの好ましい実施の形態に於けるてこの原理を使用することにより、勿論、技術上の改良が可能である。
【0127】
上述のピンに圧電セラミックを装着する主な利点は、セラミックの温度を顕著に低下させることであり、それは取付位置から熱を奪うことによって達成される。また、取付位置は好ましい操作形態では熱い部分でもある。特に、これらの位置の温度は、この手段を使用することによって50・80℃から約30℃まで低下させることができる。
【0128】
セラミックからピンへの熱伝導がよいとき、ピンの冷却効果は高められる。そのような熱伝導を確実にするために、ピンは熱伝導性がよく、相対的に柔らかい材料、例えば、穴の内壁を被覆するエラストマー中に固定されるべきである。1つの適切な材料はエポキシであり、それは硬化するには不十分な量で使用される。そのような弾性材料は孔でピンを小さく部分的に回転させるのに十分である。本発明の好ましい実施の形態では、エポキシには(圧電セラミック自身と同様な材料の)PZT粉末が約40%充填されている。そのような充填により、エポキシでの音響速度を圧電セラミックに合わせることができる。
【0129】
また、装置の動きは、セラミック26が移動対象物に接触状態にある時間量に基づいて測定可能である。そのような測定を容易にするために、移動対象物に面するセラミックの表面は金属でコーティングされ、電極はこのコーティングに接触している。この目的のために、コーティングはセラミック26の側部に伸びている。移動対象物は金属(あるいは金属コーティングを有するもの)からなり、接触時間をセラミック26の金属コーティングと移動対象物との間の短絡時間として測定することができる。
【0130】
図22、23、24はステージの動きに対してセラミックモータを適用した場合を示し、CD読取器のような光学ディスク読取器として使用される。そのような装置では、ステージ160には孔164が形成され、その孔164は、ステージ160に装着された光学読取器(単体では図示せず)が光学ディスクを検出する(及び読み取る)。
【0131】
図22では、ステージ160は2つのレール162とセラミックモータ166に装着されている。このセラミックモータはここで説明するタイプの1つであるのが好ましく、レールに沿ってステージを移動させるためにステージ160の一縁部に移動可能に設けられている。
【0132】
図23及び24では、ステージ160の一縁部はレールに装着され、他縁部はラック170によってウォーム168に噛合されている。セラミックモータ172はここで説明するタイプの1つであるのが好ましく、ウォームの一端に装着されたホイール174を駆動する。図23及び24はモータがホイールを駆動する方法が相違している。
【0133】
上述の全ての実施の形態では、セラミックプレートとマイクロモータが取り付けられる表面との間のスペーサがセラミックプレートの短縁の一方、好ましくは短縁の中心に取り付けられている。プレートの長手方向は取付面に対して直角である。光学駆動動作がセラミックプレートの短縁で得られるので、この配置が好ましい。しかしながら、幾つかの適用例では、例えば、モータがスライドとそのハウジングとの間に配置される際、取付面に直交する、使用可能なスペースには制限があり、セラミックプレートの長手方向よりも短くなる。この問題を解決するため、本発明は他のセラミックマイクロモータを提供する。それはセラミックプレートの長手方向が取付面に対して平行であるが、セラミックプレートの短縁で生み出される光学的動作は利用できるというものである。
【0134】
本発明のこのような態様に関して、セラミックスペーサは圧電プレートの長縁の一端に取り付けられ、長縁と平行な面に取り付けられている。そのように取り付けられたスペーサはセラミックプレートの短縁の近傍に配設されるため、スペーサは短縁で共鳴動作に関係して移動する。このようにスペーサが移動する結果、スペーサに係合する表面あるいはマイクロモータの動きが得られる。その動きはセラミックプレートの長軸方向と平行に両者が制約されることに依存する。しかしながら、プレートの長縁の中央部というよりむしろ端部あるいはその近傍にスペーサを配設することは、スペーサの非対称な動きを生み出す。それで、一方向の取付面あるいはマイクロモータの動きは異なり、例えば他の方向での一致した動きよりも力なくあるいはゆっくりとなる。この非対称性をなくすため、圧電セラミックプレートは後述するように一対で使用するのが好ましい。
【0135】
表面210に取り付けられている、対をなす圧電マイクロモータ200を図式的に図示する図15をいま参照する。上述された対をなさない実施の形態においては、表面210又はマイクロモータ200のいずれかの動きが拘束され、印加される力に依存して、他の動きを可能にする。マイクロモータ200は、好ましくは、アルミニウムにてなるハウジング220内に装着された2枚の圧電セラミックプレート212及び214を備える。ハウジング220は好ましくは、表面210に対して押し付けられる。プレート212及び214の外側の短いエッジ、すなわち、図25に図示されたプレート212の右側エッジとプレート214の左側エッジとは、好ましくは、例えばセラミック材料などの比較的堅い材料で形成された水平方向の支持部材222によって支持される。プレート212及び214の内側の短いエッジ、すなわち、プレート212の左側エッジとプレート214の右側エッジは、好ましくは、堅いゴム又はプラスチック材料で好ましくは形成された、好ましくは弾力性のある連結部材226によって支持される。プレート212及び214は、部材226と同一の材料又は、好ましくはより堅い材料で形成されることが可能な底部支持部材224によってその底部から支持される。
【0136】
本発明に係る好ましい実施の形態によれば、好ましくはセラミックにてなるスペーサ216がプレート212の上表面にその左端部において取り付けられ、同様のスペーサ28がプレート214の上表面にその右端部に取り付けられる。スペーサ212及び214は、マイクロモータ200が表面210に対して押し付けられるときに、機能的に表面210と嵌合されて取り付けられる。本発明に係る好ましい実施の形態においては、ハウシング220は、好ましくは、例えばテフロンなどの低摩擦材料にて形成され又は被覆された保護のためのフレーム215を備え、当該フレーム215は、スペーサ216及び218によって嵌合されて取り付けられた表面210の領域と少なくとも部分的に分離し、ゴミなどの所望されないものが表面210上に蓄積されることを防止する。
【0137】
4個の電極は、複数の長方形状を有するチェッカー盤状のパターン電極を形成するようにメッキされて、もしくは、そうでなければ、圧電セラミックプレート212及び214の各々の前面に取り付けられ、ここで、パターン電極の複数の長方形のそれぞれは、図1における電極14,16,18及び20を参照して上述したように、前面の1/4を実質的にカバーする。各圧電セラミックプレートの裏面は、図1を参照して上述したように、1つの電極(図示せず。)を用いて実質的にその全体がカバーされる。図1の実施の形態におけるように、対角方向に位置する2つの電極は、好ましくは4つの電極の接合部の近傍に置かれた複数のワイヤ230によって電気的に接続される。各セラミックプレートの裏面上の複数の電極は、好ましくは接地される。とって代わって、複数の電極は、上記複数の電極を形成するために用いられたプリント印刷配線技術と同様の技術によって接続することができる。
【0138】
プレート212及び214上の複数の電極は、好ましくは、図25においてブロック図の形式で図示された励起回路によって駆動される。当該励起回路は、例えば、電圧調整されたレギュレータ電源242へのエネルギーの印加と、スイッチ/変調器回路240とを制御するマイクロコントローラ244であるコントローラを備える。スイッチ/変調器回路240における複数のスイッチは、ワイヤ234及び236又はその印刷配線の電極パターンなどの等価物を介して、プレート212及び214の前面上の、予め選択された各グループの電極に接続される。セラミックプレート212及び214の裏面上の複数の電極は、好ましくは、増幅器246及びコイル248を備える同調回路を介して接地される。
【0139】
後述される特別な励起モードとは別に、各セラミックプレート212及び214上の複数の電極は、与えられたアプリケーションに従って所望された特徴を有するマイクロモータ200を提供するように、本発明の対をなさない実施の形態を参照して上述した任意のモードに従って相互に接続されかつ励起されてもよい。同様に、セラミックスペーサ214及び216は、上述の実施の形態のように、比較的柔い又は比較的堅いセラミックスによって形成してもよい。しかしながら、プレート212上の複数の電極の励起は、後述するように、表面210に対して同一の水平方向でスペーサ216及び218の動きを得るために、プレート214上の複数の電極の励起と比較して反転する必要がある。
【0140】
圧電セラミックプレート212及び214における好ましい複数のx−y共振モードを図示し、マイクロモータ200の一部分の簡単にかつ概略を図示する図26をいままた参照する。図26をおいて図示されるように、プレート212及び214上の複数の電極は、好ましくは、2つのグループの電極である電極254と電極256とに分割される。電極254に印加される励起電圧は、一般に、電極256に印加される極性と反対の極性を有し、すなわち、電極256に負の電圧が印加されているとき電極254に正の電圧が印加され、並びに、それらと反対に電圧が印加される。
【0141】
スペーサ216はプレート212の左側端部に取り付けられる一方、スペーサ218はプレート214の右側端部に取り付けられ、図26における励起方法は、上記2つのスペーサがY軸に沿った同一の方向、すなわち上下方向で移動するとき、X軸に沿った同一の方向、すなわち左右方向でのスペーサ216及び218の動きをもたらすことを認識すべきである。従って、スペーサ216及び218は常に、所望されるように表面210に対して同一の方向で移動する。この励起方法によれば、圧電セラミック212及び214のX及びYの共振モードの図式的なグラフは、プレート212及び214の下側に図式的に図示されている。図26においてさらに図示されるように、底部支持部材224は、好ましくは、プレート212及び214上の複数のポイントの下側に設けられ、ここで、Y軸の沿った動き、すなわちΔyが実質的にゼロになる。このことは、マイクロモータ200の安定性を改善し、y軸に沿ってマイクロモータ200によって得られた振幅を最大化する。
【0142】
本発明の好ましい一実施の形態に係る電極254及び256に提供される、マイクロコントローラ244(図25)によって制御されるパルス形状の励起信号を図式的に図示する図27をいま参照する。図27の励起信号は、表面210と接触しないで複数のスペーサを移動するように動作させる、予め決められた直流電圧の間隔によって分離された、駆動励起電圧の複数のパルスからなる。図27においては、励起電圧の上側ピークと、励起電圧の下側ピークとの間の電圧の差が“A”によって示され、パルスとパルスとの間の直流電圧が“B”によって示されている。上述された対をなさないマイクロモータに対して適当な本発明のこの実施の形態によれば、励起信号のパルスレートは、実質的に、マイクロモータによって取り付けられたボディの自己共振周波数に従って設定される。
【0143】
マイクロモータによって駆動される複数のボディの典型的な複数の共振周波数、すなわち300Hzのオーダーでの複数の周波数は、一般的に、用いられる駆動交流周波数よりもきわめて低く、各パルスは駆動する交流の周期における実際の数を含む。パルスとパルスの間の電極254及び256(図25参照。)に印加される直流電圧Bは、一般的に、スペーサ216及び218がパルスとパルスの間で表面210から離れるように、電極254又は256のどちらが駆動されるかに依存して、駆動周波数の低い側のピークよりも低いか、もしくは、駆動周波数の高い側のピークよりも高い。従って、駆動されるボディは自律的にパルスとパルスの間で移動する。上記励起信号のパルスレートと、上記嵌合するように取り付けられたボディの自己共振との間のこの相互関係は、駆動パルスと、それに応答して駆動されたボディの応答との間の破壊的な干渉を防止する。
【0144】
セラミックプレート212及び214上における変形例の電極形状を図式的に図示する図28をいま参照する。本発明に係るこの実施の形態によれば、付加的な複数の電極260がプレート212及び214の上側エッジと下側エッジ上に設けられる。複数の電極260は、好ましくは、複数の電極256(図26)を駆動するために用いられる同一の複数の励起電圧によって励起される。この形状においては、Y軸に沿ったスペーサ216及び218の動きの振幅は、スペーサ216及び218の上側に図式的に図示されるように、X軸に沿った複数のスペーサの動きの振幅よりも大きいということを認識すべきである。複数のスペーサの上に図式的に図示された図26における複数のスペーサの実質的に円形の動きと対照的に、若干傾斜された、スペーサ216及び218の楕円形状のこの動きは、そのような動きがスペーサ216及び218と表面210との間の接触の時間を増大させるので、複数のスペーサと表面210との間でより大きな駆動力とより良い牽引力(牽引摩擦力)を有するマイクロモータ200を提供する。
【0145】
圧電セラミックプレート212及び214の変形例の装着構造を図示する図29をいま参照する。水平方向の支持部材222及び連結部材226に加えて、プレート212及び214がプレート212とプレート214の下側であってそれらの間に、ハウジング220(図25)において装着されたベース266によって支持される。複数のプレート212及び214はまた、好ましくは弾性力のある、複数のホルダー262によって支持される。各ホルダー262の一端は、好ましくは、ハウジング220に固定的に取り付けられた各取付台(マウント)265上に回転可能に装着される一方、各ホルダー262の他端は、プレート212又は214における各孔を介して延在する各ピン264上に回転可能に装着される。4本のピン264は、好ましくはプレート212及び214上に装着され、各プレート上に2本のピンが、Y軸に沿った振幅が上述のように実質的にゼロとなる複数のポイントにおいて装着される。好ましい実施の形態においては、2つのホルダー262は各ピン264上に装着され、1つのホルダーがプレート212又は214の各側面に装着される。弾性のある底部支持部材263は、好ましくは、各ホルダー262の下側端部と、プレート212又はプレート214の底部エッジとの間に装着される。上述のように最適な複数の位置でプレート212及び214を支持する複数のホルダー262の提供は、マイクロモータ200の安定性を改善する。複数のスペーサ262は好ましくは、図29に図示されるように傾斜され、これによって、圧電プレート212及び214の駆動の動きをY軸に沿って可能にする。
【0146】
プレート212及び214のためのもう1つの変形例の装着構造を図示する図30をいま参照する。この構造によれば、図29の複数のピン264と同様の複数のピン268が、プレート212及び214上であって、上述のように、動きの振幅が実質的にゼロになる位置に装着される。従って、上述の複数の共振モードに従って、3本のピン268を各プレートに装着してもよい。好ましくは鋼製のスプリングである、少なくとも1つのスプリング270が、図30において図示された方法で複数のピン268上に装着される。スプリング270の端部は好ましくは、スプリング70が好ましくは水平方向の支持部材222上に装着される2つのボビン272の間で伸びるように、ハウジング220において調節ネジに連結される。このストレッチングは、さらに水平サポート222をプレート212と214の外方短手エッジに対して付勢し、圧電プレートにより良いサポートを提供している。スプリング70のテンションは、スクリュ274を使用して調整することができるが、y軸に沿う運動に対してプレート212と214の弾性を制御する。これにより、マイクロモータ200の収縮、速度、及び力を制御することができる。
【0147】
図31を参照すると、マイクロモータ200を比較的薄い物体278に係合するための好ましい配置が図示されている。一般に、マイクロモータが薄い物体に係合すると、モータによって物体に印加された律動力(pulsed force)が係合領域で物体をわずかに損傷したり、屈曲させたりすることがある。このため、本発明者はこの問題を最小にするカウンターベアリング装置280を考案した。これによると、本発明の好ましい実施の形態であるカウンタ−ベアリング装置280はハウジング282を含み、このハウジングはマイクロモータ200のハウジング220にコネクタ290を介して固定して接続するのが好ましい。ハウジング282の中の少なくとも1つのベアリング284は、スペーサ216と218によって物体278の前面に印加される力に対する、物体278の裏面(すなわち、マイクロモータ200と係合しない面)の剛性サポートを提供する。ベアリング284は、公知の如何なるベアリング、例えば金属円筒であってもよい。
【0148】
カウンタ−ベアリング装置280の特に好ましい実施の形態では、ベアリング284はプレート212と214と類似した圧電セラミックを含む。この実施の形態では、接地電極(不図示)はベアリング284の一方の平坦な面を実質的に覆うのに対し、ベアリング284の他方の面は2つの分離電極286と288を含み、それらはその面の二分の一を覆う。電極286と288が図31に示すようにすなわち上下に配置され、上述したようにAC電圧が印加されると、ベアリング284がy−軸に沿って共振周波数で振動する。ベアリング284がプレート212と214のy−軸周波数で適当な方向例えば上方に駆動され、スペーサ216と218が次第に降下し、スペーサが上方すると、マイクロモータ200によって加えられる力に対する極めて効果的なカウンタ−ベアリングを提供する。本発明のこの実施の形態は、適当な構造的調整をすると、上述の組でないマイクロモータにも同様に適用することができるという利点がある。
【0149】
マイクロモータ200は1つのプレート212と1つのプレート214のみを含むように記載したが、圧電プレート212と214の複数の組を使用する図25−31の実施の形態の変形も本発明の範囲に含まれるということを理解しなければならない。このような場合、プレートの組はお互いに平行に装着されるのが好ましい。
【0150】
本発明のいくつかの好ましい実施の形態では、圧電セラミック10が、読み/書きヘッドを移動し位置決めするディスクドライブに利用されている。このような形態は図38−41に示されている。図38は読み/書きヘッドを移動させる圧電マイクロモータを含むディスクドライブのブロック図である。ディスクドライブ350は、軸354の回りに回転可能なディスク352と読み/書きアセンブリ360を収容する。読み/書きアセンブリ360は軸372の回りに旋回可能なアーム370と、軸372の回りにアーム370を旋回させるのに利用される圧電セラミック10とを含む。ディスク352のスキャンニングは、アーム370を軸372の回りに回転させる間に、ディスク352を軸354の回りに回転させることによって達成される。ディスク352の読み取り及び書き込みは、読み/書きヘッド374を介して達成されるが、そのヘッドはアーム370端部に取り付けられる如何なる公知のヘッドであってもよい。
【0151】
図39は、読み/書きアセンブリ360の詳細図である。図39に示すように、圧電セラミック10は、上述の形式の如何なるものも採用することができるが、固定ベース(不図示)にスルーマウント(through mounts)385と386を介してスライド可能に装着された要素に固定して装着するのが好ましい。圧電セラミック10は弾性要素44によってアーム370の剛性要素380に対して弾性的に付勢されている。弾性要素44は固定ベース(不図示)の中の固定要素に対して押圧されているのが好ましい。上述の励起形状の1つに従って励起されると、圧電セラミック10により、剛性要素380に対して付勢されているスペーサ26が電圧印加状態に依存してx又は−x方向のいずれの方向にも移動する。剛性要素380を介したスペーサ26とアーム370の間の相対運動により、アーム370が軸372の回りに旋回する。この結果、読み/書きヘッド374はディスク352の半径にほぼ接するθ又は−θのいずれかの方向に移動する。
【0152】
マウント385と386は圧電セラミック10の穴を貫通して広がっている。この穴は電極間にセラミック10の長手軸に沿ってセラミック10の長さの約1/6と5/6の地点に配置されるのが好ましい。これらの地点では、x軸に沿うセラミック10の変位及び寸法変化は実質的にゼロである。
【0153】
図40及び図41は、圧電セラミック10が固定ベースに装着される点で図39とは異なっている。図40に示すように、圧電セラミック10は一対の固着要素390と391によって固定ベースに装着することができる。固着要素390と391はセラミックの長さの約1/6と5/6の地点で圧電セラミック10と係合するのが好ましい。圧電セラミック10は、当該セラミック10をその長手軸に垂直な運動を拘束している間にセラミック10の長手軸に沿う運動が可能なように、要素390と391に形成されたガイド穴に位置していてもよい。
【0154】
代案としては、図41に示すように、圧電セラミック10は弾性支持要素392によって固定ベースに装着することができる。支持弾性は支持要素392を構成する材料の剛性によって決定される。支持要素392は固定ベース(不図示)に取り付けられて、セラミック10の長手軸に沿ってセラミックの長さの約1/6と5/6の地点でセラミック10と係合するのが好ましい。
【0155】
支持要素392の端部395と396は、要素380の上に積もったほこりを除去するために、アーム370の要素380に係合するのが好ましい。スペーサ26と両端395及び396の間の要素380のスペーサ対向側に好ましく配置されている突起397と398は、それぞれアーム370の角度変位の範囲を限定し、スペーサ26の近傍にほこりが蓄積するのを抑制している。
【0156】
実際的な例では、軸372に関する要素380上の点の回転半径R1と、軸372に関する読み/書きヘッド374上の点の回転半径R2との間の比は、1から3、又は1から5のオーダである。したがって、ディスク352上の読み/書きヘッド374の所定の角度変位Dθに対する直線変位は、スペーサ26の所定の角度変位Dθに対する直線変位よりも約3から5倍大きい。
【0157】
本発明の好適な実施の形態では、ディスクドライブの読みだしや書き込みの容量を増加させるために、多数の圧電セラミックが使用されている。2つの平行な圧電セラミック10、10′を表した図42に示す配置の例は、シャフト400に装着されている。この配置は、1つのディスクにおける以上の読みだしや書き込みを同時に行うために、単一のディスクの反対側面に読みだしや書き込みを同時または択一的に行うために利用可能である。しかしながら、単一の側面のディスクへの読みだしや書き込みには、1つの圧電セラミック10又は10′のいずれか一方のみが使用される。
【0158】
図42に示す配置では両方のアーム370、370′が、圧電セラミック10、10′の穴を貫通して伸びたシャフト400に関して旋回可能になっている。
【0159】
各圧電セラミックのために、上記穴は、それぞれの短い端部28に沿って隣接する電極の間に位置させるのが好ましく、セラミックの長さのおよそ1/6だけ上記それぞれの短い端部28から離れている。圧電セラミック10、10′は、回転可能なシャフト400に固定され、回転するシャフト400にしたがって動くことができる。一方、圧電セラミック10、10′は、それぞれを独立して動かせるように、保持要素404と405との間に固定的に保持されたシャフト400に回転可能に取り付けられることもできる。上記保持要素404、405は固定された基部(図示せず。)に取り付けられるのが好ましい。
【0160】
圧電セラミック10、10′は、連結要素408、408′によって読みだし/書き込みのヘッド374、374′にそれぞれ取り付けられている。要素408は、長い端部40、42に沿った状態で、圧電セラミック10に取り付けらるか、または、圧電セラミック10を把持するのが好ましい。要素408は、セラミックの長さの約1/2、および約5/6だけ短い端部28から離れた点で圧電セラミックに係合するのが好ましい。対応する要素408′は、長い端部40′、42′に沿って上記1/2およおび5/6の点で圧電セラミック10′に係合されるのが好ましい。上記1/2および5/6の点に、x方向におけるセラミック10、10′の動きがない点、または、寸法の変化がおおよそ存在する。硬質要素410は、好ましくは弾性要素411を用いて、セラミック10、10′のスペーサ26、26′にそれぞれ付勢されるのが好ましい。
【0161】
図42に示すような実際の配置において、シャフト400に関する要素410上の点の回転半径とシャフト400に関する読みだし/書き込みのヘッド374上の点の回転半径との比率は、1対5から1対10の間の範囲とすることができる。その結果、与えられた角度の移動 Dθによって、ディスク352上の読みだし/書き込みのヘッド374の直線上の移動は、スペーサ26の直線上の移動よりも5倍から10倍それぞれ大きくすることができる。
【0162】
圧電セラミック10、10′を含んでいるこのシステムは閉ループモードで作動され、書き込みヘッドの位置を決定するためにディスクドライブトラックコントローラ(図示せず。)を含んでいる。
【0163】
本発明の好適な実施の形態において、回転性能を高めるとともに読みだし/書き込みのヘッドの移動角度を増加させるために、多数の圧電セラミックが使用されている。図43はそのような配置の一例を示しており、この配置では3つの圧電セラミックが用いられている。一対の圧電セラミック10′、10″は、固定された基部(図示せず。)に好適に取り付けられたシャフト420に関して圧電セラミック10を回転させるように利用されている。圧電セラミック10に取り付けられたスペーサ26は、アーム370の端部440に付勢されている。スペーサ26がアーム370の端部440に及ぼす力は、スペーサ26の動きにしたがって、アーム370とこれに取り付けられた読みだし/書き込みのヘッド374のシャフト372に関する回転を起こさせる。
【0164】
本発明の好適な実施の形態では、図39を参照して上記で説明したように、圧電セラミック10′、10″は、シャフト420に関して固定されるとともに、固定された基部(図示せず。)にスライド可能に装着された要素に取り付けられたシャフトによって上記固定された基部に取り付けられることができる。一方、圧電セラミック10′、10″は、図40に示すように固定要素によって、あるいは、この中で説明した他の方法によって、固定された基部に取り付けられることもできる。シャフト420は、圧電セラミック10の中心であって、好ましくはセラミックの4つの電極の交差領域に位置させた穴を貫通して伸びている。圧電セラミック10′に取り付けられたスペーサ26′は、硬い円弧状要素426の凹面側に付勢されている。上記要素426の凸面は、圧電セラミック10の長い端部40のほぼ中央に取り付けられるのが好ましい。圧電セラミック10′の励振は、印加される電圧に応じて、スペーサ26′をy方向または−y方向に移動させる。スペーサ26′が要素426に及ぼす力は、スペーサ26′の動きにしたがって要素426の移動を起こさせる。
【0165】
要素426が圧電セラミック10に及ぼす力は、θ方向または−θ方向への圧電セラミック10の回転を起こさせる。要素426と同様の円弧状要素427は、要素426について上記で説明したように、圧電セラミック10″のスペーサ26″の動きと圧電セラミック10の回転とを結びつけるために、圧電セラミック10の長い端部42に付勢されるのが好ましい。y方向または−y方向へのスペーサ26″の動きは、圧電セラミック10を−θ方向またはθ方向にそれぞれ回転させ、その回転方向はスペーサ26′とおおよそ同じ移動 Dyをもった圧電セラミック10′によって誘導される方向とは反対方向である。そのうえ、x方向または−x方向への本体の直線移動を誘導するスペーサ26の動きは、圧電セラミック10の直接的な励振によって達成されることができる。
【0166】
圧電セラミック10、10′および10″は、各圧電セラミック10、10′および10″にそれぞれ取り付けられたスペーサ26、26′および26″の動きを相互に関係させるために、電気的に接続されているのが好ましい。スペーサ26の全体の動きと、その結果として生ずる読みだし/書き込みのヘッド374の動きは、圧電セラミック10、10′および10″のそれぞれによって個々に生み出される動きの重ね合わせからなるものである。
なお、本発明がここで特に示し、かつ説明したものに限られないことは当業者であれば理解されるところであろう。むしろ、本発明の範囲は上記特許請求の範囲によってのみ決定されるものである。
【0167】
図43に示され、かつ先に説明した帯電(electrification)のモードとの関連において上記で説明した装置を利用すれば、そのような配置を用いていないディスクドライブに比べて、読みだし/書き込みのヘッド374に拡大された範囲の角度および直線の移動を与えることができるとともに、読みだし/書き込みのヘッドの動きをその移動範囲の全体に亘って精巧に調整し得るという性能を向上させることができる。圧電セラミック10、10′および10″の励振は、読みだし/書き込みのヘッド374のための動きの輪郭の幅広い変化を達成することができる。
【0168】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、従来のマイクロモータより高い速度、高い駆動力及びより小さい最小ステップサイズを有するマイクロモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい実施の形態によるモータに有用な圧電セラミック要素の概略図を示す。
【図2】 は本発明の好ましい実施の形態による(A)の要素の第1励起形態を示す。
【図3】 図2のモード図を示す。
【図4】 本発明の好ましい実施の形態による(A)の要素の第1励起形態を示す。
【図5】 図4のモード図を示す。
【図6】 本発明の好ましい実施の形態による図1の要素の2つの近接して配置された共振モードの共振曲線を示す。
【図7】 本発明の好ましい実施の形態によるモータに有用な圧電要素のバイモルフ状の移動状態を示す。
【図8】 図3に示す要素の電極に印加されたときに、要素に接触する物体の制御された運動を引き起こす電圧パルスを示す。
【図9】 本発明の好ましい実施の形態による制御された運動を達成するマイクロモータのブロック図である。
【図10】 本発明の好ましい実施の形態によるモータに有用なタンデム形圧電セラミック要素の斜視図である。
【図11】 本発明の好ましい実施の形態によるモータに有用なタンデム/パラレル形圧電セラミック要素の斜視図である。
【図12】 は本発明の好ましい実施の形態によるx−y運動に適合した圧電セラミック要素の斜視図を示す。
【図13】 本発明の好ましい実施の形態によるx−y運動に適合した2つの圧電セラミック要素の斜視図を示す。
【図14】 図13の実施の形態を利用したx−yテーブルの斜視図である。
【図15】 本発明の好ましい実施の形態による圧電セラミック要素の円筒又は球を回転させるための使用を示す。
【図16】 本発明の好ましい実施の形態による圧電セラミック用のその他の電極形状を示す。
【図17】 本発明の好ましい実施の形態による被駆動物体に対して圧電セラミックのプリローディング力を印加するのに適した電極形状を示す。
【図18】 本発明の好ましい実施の形態による被駆動物体に対して圧電セラミックのプリローディング力を印加するのに適した電極形状を示す。
【図19】 本発明の好ましい実施の形態による被駆動物体に対して圧電セラミックのプリローディング力を印加するのに適した電極形状を示す。
【図20】 本発明の好ましい実施の形態による圧電セラミックを装着する他の方法を示す。
【図21】 本発明の好ましい実施の形態による2つの圧電セラミックを装着するための図20の装着原理の応用を示す。
【図22】 本発明の好ましい実施の形態によるCDリーダのステージにセラミックモータを使用する他の形態を示す。
【図23】 本発明の好ましい実施の形態によるCDリーダのステージにセラミックモータを使用する他の形態を示す。
【図24】 本発明の好ましい実施の形態によるCDリーダのステージにセラミックモータを使用する他の形態を示す。
【図25】 本発明のさらに好ましい実施の形態により製造され動作される圧電マイクロモータのブロック図である。
【図26】 マイクロモータの圧電セラミックの好ましいx−y共振モードを示す、図25のマイクロモータの概略図である
【図27】 本発明の1の好ましい実施の形態による図25のマイクロモータの圧電セラミックを駆動するパルス励起信号の概略図である。
【図28】 異なったx及びy励起振幅で駆動される圧電マイクロモータの概略図である。
【図29】 図25の圧電マイクロモータのセラミックプレートの他の装着状態の概略図である。
【図30】 図25の圧電マイクロモータのセラミックプレートのさらに他の装着状態の概略図である。
【図31】 図25、26、28−30のマイクロモータを物体に動作的に連結する好ましい状態を示す概略図である。
【図32】 本発明の好ましい実施の形態による望まれない共振モードを抑制するための抑制部材を利用する圧電マイクロモータの概略図を示す。
【図33】 図32のマイクロモータの誇張された振動運動を示す。
【図34】 は本発明の好ましい実施の形態による増加された出力及びより円滑な運動を与えるために剛性アームを利用した圧電マイクロモータの概略図を示す。
【図35】 選択された励起状態に対して図34のマイクロモータによって好ましく利用される2つのスペーサの相対運動を量的に示す。
【図36】 本発明の好ましい実施の形態による圧電セラミックの短手エッジに平行な対称運動を与えるのに適合された他のマイクロモータの概略図である。
【図37】 本発明の好ましい実施の形態による圧電セラミックの短手エッジに平行な対称運動を与えるのに適合されたさらに他のマイクロモータの概略図である。
【図38】 読み/書きヘッドを移動するために圧電マイクロモータを使用する本発明の好ましい実施の形態によるディスクドライブの概略ブロック図を示す。
【図39】 本発明の好ましい実施の形態による図38のディスクドライブの読み/書きアームの他の形態を示す概略図である。
【図40】 本発明の好ましい実施の形態による図38のディスクドライブの読み/書きアームの他の形態を示す概略図である。
【図41】 本発明の好ましい実施の形態による図38のディスクドライブの読み/書きアームの他の形態を示す概略図である。
【図42】 本発明の好ましい実施の形態によるデュアルディスクドライブの概略図である。
【図43】 本発明の好ましい実施の形態による、増加された回転及び直線変位範囲を与える一方、読み/書きヘッドの運動の良好なチューニングを可能にするように適合された3つの圧電プレート配置の概略図である。
【符号の説明】
10…圧電プレート、14,16,18,20…電極、26…スペーサ。
Claims (5)
- 第1及び第2長辺、第1及び第2短辺、並びに対向する平面を有し、対向する平面に電極が設けられ、電極へ電圧が印加されることにより、上記辺に楕円形状の動きを発生する圧電プレートと、
軸回りに旋回可能なアームであって、軸から互いに反対方向に延在する第1端部と第2端部を有するアームと、
該第1端部に設けた、読み出し、または書き込みを行なうヘッドと、
該第2端部に設けた剛性要素とからなり、
前記圧電プレートは、該アームの第2端部に設けられ、前記圧電プレートの辺、またはその延長された部分は、前記剛性要素に弾性的に付勢されていると共に、前記アームは、前記圧電プレートの辺またはその延長された部分に楕円形状の動きが発生することにより、軸回りに旋回する、ディスクドライブ。 - 前記圧電プレートは、前記軸に対し、静止している請求項1に記載のディスクドライブ。
- 前記圧電プレートは前記軸に対して移動可能である請求項1に記載のディスクドライブ。
- 上記圧電プレートは、第2軸の回りを旋回可能に設けた請求項1、3のいずれか一項に記載のディスクドライブ。
- 少なくとも、もう一つマイクロモータを備え、上記第2軸の回りに圧電プレートを旋回させる請求項4に記載のディスクドライブ。
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