JP3866922B2 - フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は不飽和環状炭化水素化合物、例えばジシクロペンタジエンと、フェノール類とから誘導される色相の良好なフェノール樹脂およびエポキシ樹脂の製造方法に関するものである。
詳細には、耐熱性、耐湿性、耐クラック性等に優れているために、電気絶縁材料、特に半導体封止材用樹脂や積層板用樹脂として有用であり、更に色相に優れているため成形物の外観やマーキング性能が良好なフェノール樹脂およびエポキシ樹脂の製造方法に関するものである。
技術背景
近年、電子産業を中心とする科学技術の急速な進歩に伴い、各製品とその原料の性状に対する要求は次第に厳しくなりつつある。なかでも半導体関連技術の進歩はめざましく、半導体のメモリーの集積度は益々向上し、それに伴い配線の微細化、チップサイズの大型化が進んでおり、更に実装方法もスルーホール実装から表面実装への移行が進められている。しかしながら、表面実装の自動化ラインにおいては、リード線の半田付けの際に半導体パッケージが急激な温度変化を受け、半導体封止材用樹脂の成形部にクラックが生じたり、リード線樹脂間の界面が劣化して耐湿性が低下するなどの問題がある。
上記の耐湿性の低下を改善する目的で、フィラー粒子の形状を変化させることによりフィラーの高充填化を図る方法が提案されているが、この方法では樹脂の弾性率が高くなり、熱衝撃に対してクラックが生じ易くなるという問題がある。そこで、半導体パッケージを半田浴に浸漬する際の熱衝撃を緩和するために、樹脂へのシリコーン化合物の添加、熱可塑性オリゴマーの添加あるいはシリコーン変性などの樹脂組成物の変性方法が提案されているが、いずれの方法においても、半田浴浸漬後、成形物にクラックが生じ、信頼性のある半導体封止材用樹脂組成物は得られていない。
半導体封止材用樹脂組成物中には、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂が使用されたり、また主剤として、クレゾールノボラック骨格を有するエポキシ樹脂が使用されている。しかしこれらの樹脂を用いた場合には、半導体パッケージの耐湿性が低下し、その結果として前述のような半田浴浸漬時におけるクラックの発生が避けられない。
そこで最近では、半導体封止材用樹脂組成物の耐熱性を改善するために、エポキシ樹脂原料およびエポキシ樹脂の硬化剤としてのフェノール樹脂を改良する検討が行われている。本発明者らは、特開平3−66919号公報において、フェノール類と、ジシクロペンタジエンのような炭素−炭素二重結合を2個以上有する不飽和多環式炭化水素化合物との反応により得られるフェノール樹脂を提案し、このフェノール樹脂をエポキシ樹脂原料や硬化剤として用いることにより、前述の問題が解消できることを報告した。
ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂が、触媒として三フッ化ホウ素や三フッ化ホウ素フェノール錯体を用いて製造されることは広く知られている。しかし、この方法で製造されたジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂は、著しく着色し黒褐色を呈しているために成形品の外観が著しく劣り、これを原料としてエピハロヒドリンと反応させて得られるエポキシ樹脂も同様に黒褐色を呈することが問題とされていた。そして、上記のエポキシ樹脂を封止材用樹脂組成物の原料として用いると、耐湿性や耐熱性などの特性が改善される反面、組成物の製造工程中でのマーキング性能が悪いために、作業効率が著しく低下するという問題があった。
特開平8−53539号公報には、エポキシ樹脂の色相を改善する製造方法が開示されている。しかしながら、その色相はなお十分ではない。また、上記方法においては、製造に用いる原料を数回にわたって凍結乾燥したり、脱気工程で処理することが必要であるため、作業行程が複雑となり、多大な労力を必要とする上に製造コストが高いという問題もある。
また特開平7−252349号公報には、精製した樹脂を溶剤に溶解した上で無機多孔質物質で処理する色相の改善方法が提示されているが、同様に作業行程が複雑で多大な労力を必要とし、かつ製造コストが高いという問題を有していた。
本発明は、ヒドロキシル基含有芳香族化合物と不飽和環状炭化水素化合物とを酸触媒の存在下で反応させて色相が良好なフェノール樹脂を製造する方法、および上記フェノール樹脂を用いて色相に優れたエポキシ樹脂を製造する方法を提供することを課題とする。
発明の開示
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、フリーデル−クラフツ酸触媒の存在下でヒドロキシル基含有芳香族化合物と不飽和環状炭化水素化合物とを反応させるフェノール樹脂の製造方法において、反応段階における反応系内の水分を調整し、かつフリーデル−クラフツ触媒の濃度を調整することにより色相の良好なフェノール樹脂が得られること、および、得られたフェノール樹脂を塩基触媒の存在下でグリシジル化した後、触媒残渣を除去し、未反応のエピハロヒドリンを留去して精製することにより色相が良好なエポキシ樹脂が得られることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1は、反応系中の水分含有量が100ppm以下、フリーデル−クラフツ触媒の濃度が0.07質量%以下の条件で、ヒドロキシル基含有芳香族化合物と不飽和環状炭化水素化合物とを反応させることを特徴とする色相の良好なフェノール樹脂の製造方法に関するものである。
本発明の第2は、本発明の第1において、ヒドロキシル基含有芳香族化合物が1価もしくは2価のフェノール類またはビスフェノール類であり、不飽和環状炭化水素化合物がジシクロペンタジエンであるフェノール樹脂の製造方法に関する。
本発明の第3は、本発明の第1において、フリーデル−クラフツ触媒が、三フッ化ホウ素系触媒であるフェノール樹脂の製造方法に関する。
本発明の第4は、本発明の第1により得られるフェノール樹脂とエピハロヒドリンとを塩基触媒の存在下に反応させ、その後触媒残渣を除去し、未反応のエピハロヒドリンを除去することを特徴とする色相の良好なエポキシ樹脂の製造方法に関するものである。
本発明の第1により得られるフェノール樹脂は、フェノール樹脂の2質量%ジオキサン溶液の波長350nmにおける吸光度が1.0以下であり、色相が良好である。
すなわち、フリーデル−クラフツ触媒の存在下に、ヒドロキシル基含有芳香族化合物と炭素−炭素二重結合を2個以上有する不飽和環状炭化水素とを反応させることにより、2質量%ジオキサン溶液としたときの波長350nmにおける吸光度が1.0以下であるフェノール樹脂が得られる。
また、本発明の第4により得られるエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂の2質量%ジオキサン溶液の波長350nmにおける吸光度が0.8以下であり、色相が良好である。
すなわち、フリーデル−クラフツ触媒の存在下に、ヒドロキシル基含有芳香族化合物と炭素−炭素二重結合を2個以上有する不飽和環状炭化水素とを反応させて得られるフェノール樹脂を、塩基の存在下にエピハロヒドリンと反応させることにより、2質量%ジオキサン溶液としたときの波長350nmにおける吸光度が0.8以下であるエポキシ樹脂が得られる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の色相の良好なエポキシ樹脂の製造方法においては、まず中間原料としてフェノール樹脂を以下の方法で製造する。
すなわち、フリーデル−クラフツ触媒の存在下において、フェノール性水酸基を有するフェノール類と炭素−炭素二重結合を2個以上有する不飽和環状炭化水素を反応させる。
本発明のフェノール樹脂の原料成分として用いる不飽和環状炭化水素としては、ジシクロペンタジエン、4−ビニルシクロヘキセン、5−ビニルノボルナ−2−エン、3a,4,7,7a−テトラヒドロインデン、α−ピネン、リモネン等が挙げられ、これらは混合して用いることもできる。得られる樹脂が耐熱性、耐湿性および機械的特性に優れている点から、特にジシクロペンタジエンが好ましい。
工業用の市販ジシクロペンタジエンには一定の不純物が含まれることがあるが、純度80質量%以上、好ましくは90質量%以上の純度のジシクロペンタジエンであれば支障なく用いることができる。
また、ヒドロキシル基含有芳香族化合物は、ヒドロキシル基が芳香族環に直接置換した芳香族化合物であれば特に限定されるものではないが、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−イソプロピルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェノール、m−ブロモフェノール、p−ブロモフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール等の一価フェノール類;レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1’−ビス(ジヒドロキシフェニル)メタン、1,1’−ビス(ジヒドロキシナフチル)メタン、テトラメチルビフェノール、ビフェノール等の二価フェノール類;トリス(ヒドロキシフェニル)メタン等の三価フェノール類、およびそれらの混合物等が好ましい。
特にフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、α−ナフトール、β−ナフトールおよび2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパンは、経済性および製造の容易さの点から望ましい。これらは混合して用いることもできる。
不飽和環状炭化水素化合物とヒドロキシル基含有芳香族化合物との反応においては、両成分のモル比を変化させることにより、得られるフェノール樹脂の分子量と溶融粘度を適宜に調節することができる。しかしながら、通常は、ヒドロキシル基含有芳香族化合物/不飽和環状炭化水素化合物=1〜20(モル比)の範囲が好ましい。特に溶融粘度を低下させるためには、ヒドロキシル基含有芳香族化合物/不飽和環状炭化水素化合物=1〜15(モル比)の範囲が好ましい。
溶融粘度が低いフェノール樹脂を用いてエポキシ化すれば、溶融粘度の低いエポキシ樹脂が得られる。いずれも、半導体封止材料等の用途においてフィラーの高充填が可能であり、線膨張係数が低く、また、耐水性が高いので好ましい。
触媒使用量が少ない場合には、ヒドロキシル基含有芳香族化合物/不飽和環状炭化水素化合物=7〜10(モル比)とすることが好ましい。
本発明のフェノール樹脂において用いるフリーデル−クラフツ触媒としては、活性および触媒除去の容易さの点から、ハロゲン化金属、例えば三フッ化ホウ素、その錯体触媒、例えば三フッ化ホウ素・エーテル錯体、三フッ化ホウ素・フェノール錯体、三フッ化ホウ素・水錯体、三フッ化ホウ素・アルコール錯体、三フッ化ホウ素・アミン錯体等、またはこれらの混合物等が用いられる。これらのなかでも特に、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素・フェノール錯体および三フッ化ホウ素・エーテル錯体が好ましい。
なお、例えば三フッ化ホウ素・フェノール錯体等は、三フッ化ホウ素のフェノール溶液の形態で市販されている。本発明ではこのようなフェノール溶液を用いることができる。また三フッ化ホウ素錯体のような錯体触媒を用いるときは、上記市販の三フッ化ホウ素のフェノール溶液を用いる場合のように、あらかじめ調製した錯体を用いることもできるし、また反応系に三フッ化ホウ素と配位子を別個に供給し、系内において錯体を調製しこれを用いることもできる。
本発明のフェノール樹脂の製造は、あらかじめ水分含量を調整した後、フリーデル−クラフツ触媒濃度が0.07質量%以下の条件で行う。ここで、本発明の「触媒濃度」とは、反応系における触媒濃度をいうが、フリーデル−クラフツ触媒としては、錯体を構成する配位子を含まないものとする。例えば、三フッ化ホウ素・フェノール錯体触媒を用いる場合、触媒濃度としては三フッ化ホウ素のみの量をもって表わす。もちろん、反応系中には配位子も含むものを用いる。
なお、本発明においては、反応態様として反応基質自体を反応溶媒とすることが好ましいが、他の反応溶媒を用いることも可能である。その場合の触媒濃度は、反応溶媒も含めた反応系中の濃度をいう。
なお、反応形式はバッチ式および連続流通式のいずれも採用することができる。バッチ式においては、反応基質の添加における順序や方法等は特に限定されないが、後に述べるように、少なくとも不飽和環状炭化水素を反応系内に徐々に添加する方法を採用することができる。例えば、ヒドロキシル基含有芳香族炭化水素および必要に応じ溶剤をあらかじめ張り込んだ反応器内へ、徐々に不飽和環状炭化水素を添加する方法を採用することができる。触媒も、不飽和環状炭化水素と同様に徐々に添加してもよいし、全量をあらかじめ添加してもよい。
上記のように、バッチ式の反応形式において、少なくとも反応基質の一方を徐々に加える方法を選択する場合に、触媒の供給形態によっては、反応初期に一時的に触媒濃度が高くなることがある。本発明においては、触媒濃度は可能な限り低濃度に保つことが好ましいが、反応初期に一次的に高濃度になることは差し支えない。ただし、このような場合にも、触媒濃度を0.10質量%以下とすることが好ましい。
本発明においてこのような場合には、原料投入の最終段階における触媒濃度、すなわち、全ての反応基質と触媒を投入した時点における触媒の濃度を、上記の「触媒濃度」とする。また反応の後期において触媒濃度が高くなることもあり得るが、このような場合においても、本発明でいう触媒濃度は、触媒も含めた全ての反応基質が投入された時点における触媒濃度とする。
上記のように調節することによって、色相の良好な樹脂が得られる。
触媒濃度の下限値は、反応の進行に支障がない限り低くすることができるが、通常、0.001質量%以上とする。
また、上記の触媒濃度領域においては、色相に対する水分の影響が大きく、そのために反応系中の水分濃度を100ppm以下にすることが必要である。フェノールなどのヒドロキシル基含有芳香族炭化水素は、極性基を含む性質上、水分を含有し易い。脱水方法としては、例えば、窒素気流下にヒドロキシル基含有芳香族化合物をトルエンなどの芳香族炭化水素、その他含酸素化合物などの有機溶剤と共沸させる方法等が挙げられるが、反応系内の脱気処理などの際にかえって吸湿することもあるため、脱水には十分な注意が必要である。また不飽和環状炭化水素なども、常法により脱水して用いることが必要である。
反応時においては、通常反応器内を不活性ガスで置換するため、密閉系であることが好ましい。開放系で反応させる場合には、反応器内に不活性ガスを供給しつつ反応を行うこともできる。ここで用いる不活性ガスとしては、窒素、アルゴンなどが挙げられる。
このように、反応系雰囲気の水分量を調整して、反応系中の水分量を100ppm以下にすることが肝要である。この水分量は、系内の試料をサンプリングして確認することが必要である。
フェノール樹脂の製造においては、ヒドロキシル基含有芳香族化合物を不飽和環状炭化水素に対して過剰に用いる場合には、両者の反応を無溶剤で行うことができる。また溶剤を使用することもでき、溶剤としては反応を阻害しないものであれば特に制限されない。好ましい溶剤としてはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物等が挙げられる。
溶剤の使用量は、前記ヒドロキシル基含有芳香族化合物100重量部に対して20〜300重量部とすることが好ましい。
上記反応の温度は、通常20〜170℃、好ましくは50〜150℃である。反応温度が170℃を超える場合には、触媒の分解または副反応が生じ、また20℃未満の場合には、反応に長時間を要し、経済的に不利であるため、いずれも好ましくない。
反応時間は特に制限されないが、通常は10分〜60時間の範囲から適宜に選択することができる。
本発明のフェノール樹脂の製造方法は、上記の条件でヒドロキシル基含有芳香族化合物と不飽和環状炭化水素化合物とを反応させればよく、具体的な反応方法は特定されるものではないが、例えば、以下の方法が用いられる。
すなわち、反応器にヒドロキシル基含有芳香族化合物を、必要に応じ所定の有機溶剤と共に仕込み、次いで加熱し共沸させて、有機溶剤および水分を除去する。系内が所定の水分含有量となったことを確認する。この確認は通常系内の液を抜き出して測定することにより行うことができる。その後、系内に所定量のフリーデル−クラフツ触媒を加え、不飽和環状炭化水素を滴下する。ここで、不飽和環状炭化水素の水分量も調整する必要があるので、あらかじめその水分量も測定し、常法により脱水しておくことが好ましい。
上記のようにフェノール樹脂を製造した後に触媒の失活を行う。
失活の手段は特に制限されないが、最終的に得られるフェノール樹脂中のホウ素、フッ素等のイオン性不純物の残存量が100ppm以下となるような手段を用いることが好ましい。この目的のために、失活剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、それらの酸化物、水酸化物または炭酸塩、あるいは水酸化アンモン、アンモニアガス等の無機塩基類などを用いることもできるが、処理が簡潔で迅速であり、かつ処理後のイオン性不純物の残存量も少ないハイドロタルサイト類を用いることが好ましい。
ハイドロタルサイト類等を用いて酸触媒を失活させあるいは吸着した後、酸触媒を吸着したハイドロタルサイト類等を濾過により除去して、触媒残渣を実質的に含まない反応液を回収し、次いで反応液を蒸留濃縮することにより高純度の炭化水素フェノール樹脂を得ることができる。濾過にあたっては溶剤を添加したり、濾過物の温度を上昇させる処理等により作業性を良好にすることができる。
樹脂の色相評価方法として従来知られているガードナー標準溶液による色相評価法(JIS K 5400)は、元来、溶液などの液体の色相を評価する方法であるため、実際の固体状態の樹脂の色相と矛盾することが多い。しかも、標準色相液と比較して求めるために、測定者により判定基準に差が生じ、評価結果がばらつくこともある。これに対し、可視光線および紫外線領域における吸光度測定による方法は、ばらつきが少なく実際の色相との相関が良いので、色相評価方法として採用した。
吸光度による測定においては、樹脂を任意の溶剤に溶解し、希釈溶液として用いる。希釈溶剤は可視光線および紫外線全領域にわたって吸収の少ないものが好ましいことから、脂肪族飽和炭化水素溶媒、脂肪族飽和炭化水素エーテルなどが用いられるが、樹脂の溶解性が良好なことから、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが特に好ましい。通常はジオキサンが望ましい。波長350nmにおける吸光度を測定して色相を判断する。
本発明で得られる色相の良好なフェノール樹脂は、波長350nmにおける吸光度に最も顕著な特徴を有し、2質量%ジオキサン溶液の吸光度が1.0以下であるものが、次の工程であるエポキシ樹脂製造の原料として好ましい。
このようにして得られたフェノール樹脂は、エポキシ樹脂の原料とするほか、電気絶縁材料、特に半導体封止材用あるいは積層板用のエポキシ樹脂の硬化剤として有用であり、また色相に優れているために、成形外観やマーキング性能が良好であるが、特に用途が限定されるものではない。
続いて、色相の良好なエポキシ樹脂の製造方法について説明する。
本発明による色相の良好なエポキシ樹脂は、上述の方法で得られた色相の良好なフェノール樹脂を、塩基触媒の存在下でエピハロヒドリン類と反応させてグリシジル化することにより得られる。
上記グリシジル化反応は、常法を用いて行うことができる。具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基の存在下において、通常10〜150℃、好ましくは30〜80℃の温度で、フェノール樹脂をエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン等のグリシジル化剤と反応させた後、水洗、乾燥することにより得ることができる。
ここでグリシジル化剤の使用量は、フェノール樹脂のヒドロキシル基に対して好ましくは2〜20倍モル当量、特に好ましくは3〜7倍モル当量である。
また反応の際、減圧下において、グリシジル化剤との共沸蒸留により水を留去することによって、反応をより速く進行させることができる。
また本発明による炭化水素エポキシ樹脂を電子材料分野で使用する場合には、副生する塩化ナトリウムを水洗工程において完全に除去しておかなければならない。このとき、グリシジル化剤を蒸留により回収して反応溶液を濃縮した後、濃縮物を溶剤に溶解し、水洗してもよい。ここで用いる溶剤としては、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、ブチルセロソルブ等が好ましい。水洗した濃縮物を加熱濃縮することにより、炭化水素エポキシ樹脂を得る。
前記エポキシ樹脂のエポキシ当量(g−樹脂/グラム当量−エポキシ基)は、通常200〜500、好ましくは250〜450である。エポキシ当量が500を超える場合には、架橋密度が低くなるため好ましくない。
このようにして得られたエポキシ樹脂は、従来の方法で得られる同様の構造を有するエポキシ樹脂と比較して、色相に優れ、成形外観やマーキング性能が良好である。また前述の方法により測定した吸光度が0.8以下のものは、実際の色相も良好であり好ましい。
上記エポキシ樹脂は、色相に優れているため、電気絶縁材料、特に半導体封止材用あるいは積層板用のエポキシ樹脂組成物原料として有用であるが、用途はこれらに限定されるものではなく、粉体塗料、ブレーキシュー等にも有用である。
なお、エポキシ樹脂の使用に際しては、従来公知の硬化剤を用いることができる。具体的には、通常エポキシ樹脂の硬化剤として常用されている化合物はすべて使用することができ、特に限定されるものではない。例えば、フェノールノボラック樹脂、オルトクレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ビスフェノールFノボラック樹脂、フェノール類−ジシクロペンタジエン重付加型樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ジヒドロキシナフタレンノボラック樹脂、キシリデン基を結接基とした多価フェノール類、フェノール−アラルキル樹脂、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族アミン類、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族アミン類、ポリアミド樹脂およびそれらの変性物、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物系硬化剤、ジシアンジアミド、イミダゾール、三フッ化ホウ素−アミン錯体、グアニジン誘導体等の潜在性硬化剤等が挙げられる。
本発明により得られるエポキシ樹脂は、半導体封止材用として有用である。この用途の硬化剤としては、上記フェノール・ノボラック樹脂等の芳香族炭化水素−ホルムアルデヒド樹脂が硬化性、成形性、耐熱性などに優れていることにより、また本発明によるフェノール樹脂のようなフェノール−アラルキル樹脂が硬化性、成形性、低吸水率などに優れていることにより、いずれも好ましい。
これらの硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂を硬化させ得る量であれば特に限定されないが、好ましくは用いるエポキシ樹脂に含まれるエポキシ基の数に対し硬化剤中の活性水素の数がほぼ当量付近になる量を選ぶ。
また、上記硬化剤に加え、硬化促進剤を適宜使用することができる。硬化促進剤としては公知慣用のものをいずれも使用することができるが、例えば、リン系化合物、第三級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられ、これらは単独でも2種以上の併用においても使用が可能である。半導体封止材料用としては、リン系ではトリフェニルホスフィン、アミン系ではDBUなどが、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性などに優れているため好ましい。
また本発明のエポキシ樹脂の使用に際しては、更にその他のエポキシ樹脂を併用してもよい。
ここで用いるその他のエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂の使用量は特に制限されない。
また必要に応じて、着色剤、難燃剤、離型剤、またはカップリング剤などの公知慣用の各種の添加剤成分も適宜配合することができる。
また、本発明により得られたエポキシ樹脂から成型材料を調製するには、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、その他の添加剤をミキサー等によって十分に均一に混合した後、更に熱ロールまたはニーダー等で溶融混練し、射出あるいは冷却後粉砕するなどの方法を用いることができる。このようにして、本発明により得られるエポキシ樹脂は、特にその用途が限定されるものではなく、例えば、半導体封止材料やプリント配線基板材料、絶縁粉体塗料、注型材料、レジストインキ材料、ビルドアップ型の層間絶縁材料、硝子繊維強化樹脂材料、炭素繊維強化樹脂材料、塗料材料、接着剤材料等として用いられる。また、本発明のエポキシ樹脂をアクリレート化したエポキシアクリレート樹脂の原料、あるいはシリコーンエラストマーやCTBNエラストマーなどで変性したゴム変性エポキシ樹脂の原料に用いてもよい。
これらの用途の中でも、特に耐ハンダクラック性に著しく優れている等の利点から、半導体封止材料が極めて有用である。また含侵性、耐湿性、密着性などに加えて、色相にも優れたプリント配線基板材料としても有用である。このような半導体封止材料について次に詳述する。
半導体封止材料用としては、前記エポキシ樹脂および硬化剤に加え、無機充填材を必須成分として配合する。
本発明により得られる半導体封止材料は、半導体を封止する際の成形時の流動性、硬化性、成形性や封止硬化後の耐熱性、更にはプリント基板へ実装する際の耐ハンダクラック性、およびレーザーマーキング方式による印字性等の全ての要求特性を満足している。
半導体封止用において用いる無機充填材は、硬化物の機械強度や硬度を高めるのみならず、低吸湿率や低線膨張係数を達成し、更に耐ハンダクラック性を高めるための必須成分である。無機充填材の配合量は、特に限定されるものではないが、封止材料中80〜95質量%の範囲である場合、上記の諸特性が格段に優れた値を示す。特に半導体封止材料用とする場合においては、耐ハンダクラック性が著しく向上するため好ましい。なお、ここで特筆すべき点は、本発明においては80質量%以上無機充填剤を添加しても、流動性、成形性等が全く損なわれないことである。
無機充填材の種類については、特に限定されないが、破砕シリカ、球状シリカ、アルミナ、タルク、クレー、ガラス繊維等が挙げられる。これらの中でも、特に半導体封止材料用としては、破砕シリカおよび球状シリカが一般的に用いられており、破砕シリカと球状シリカを混合することによって、成形時の流動性と、硬化物の強度の両方をバランス良く向上させることができる。特に平均粒径が10〜30μmの範囲の破砕シリカと、平均粒径が10〜30μmの範囲の球状シリカを混合することによって、それらの特性が著しく向上する。
また半導体封止材料の用途においても、前記のように本発明のエポキシ樹脂の他に、他のエポキシ樹脂を併用することができ、他のエポキシ樹脂としては、特にテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化エポキシ樹脂のような難然性のものが好ましい。
また、その他の配合成分としては、三酸化アンチモン、ヘキサブロモベンゼン等の難撚剤、カーボンブラック、ベンガラ、雲母等の着色剤、天然ワックス、合成ワックス等の離型剤、あるいはシリコーンオイル、合成ゴム、シリコーンゴム等の低応力添加剤等の種々の添加剤が挙げられる。また、前記硬化促進剤も好ましく使用することができる。
また必要に応じて、その他の着色剤、難燃剤、離型剤、またはカップリング剤などの公知慣用の各種の添加剤成分も適宜配合することができる。
また、本発明により得られたエポキシ樹脂組成物から成型材料を調製するには、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、その他の添加剤をミキサー等によって十分に均一に混合した後、更に熱ロールまたはニーダー等で溶融混練し、冷却後粉砕し、タブレット化するなどの方法を用いることができる。
このように、本発明により得た半導体封止材料を用いた樹脂封止型半導体装置は、レーザーマーキング方式で印字することができ、この場合に印字部位は極めて優れた発色性を有する。半導体装置のパッケージ形態は、特に制限されることなく、DIP、SOP、SOJ、QFP、BGA、CSPなどの全ての形態のパッケージが挙げられる。レーザーマーキング方式に関しても特に限定されず、YAGレーザーや炭酸ガスレーザー等の方式が挙げられる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を実施例および比較例により詳細に説明する。
なお、以下の実施例および比較例におけるフェノール樹脂の色相は、以下の方法により測定した。
(1)紫外および可視領域の吸光度測定法
フェノール樹脂の2質量%ジオキサン(1,4−ジオキサン)溶液について以下の方法により測定した。
・分析機器:紫外・可視分光光度計(日本分光(株)製Ubest−50型)
・サンプル調製:水分が0.1質量%以下の試薬特級のジオキサンを用いて、樹脂を2.00±0.01質量%の範囲の濃度に希釈した溶液を用いた。
・測定セル:石英製、光路長10mm×光路幅4mm
(2)ガードナー標準溶液法
フェノール樹脂の50%ジオキサン溶液について、ガードナー標準溶液(JIS K 5400)と比較してガードナー色数を決定した。
<実施例1>
(フェノール樹脂の製造−1)
反応器にフェノールとトルエンを仕込み、160℃に加熱して、トルエンと共沸させ、脱水を行うと共に、トルエンを留去した。系内の脱水後のフェノール量は780gであった。適宜にサンプリングを行い、系内フェノールの水分量が100ppm以下であることを確認した。次いで、三フッ化ホウ素・フェノール錯体(三フッ化ホウ素30.0質量%のフェノール溶液、以下同じ)を1.7g添加し均一にした後、液温を70℃に保持しながらジシクロペンタジエン115gを1時間を費やして徐々に滴下し、更に同温度で20時間攪拌した。反応におけるフェノール、ジシクロペンタジエンおよび三フッ化ホウ素の全合計量に対する三フッ化ホウ素の濃度は0.057質量%である。
なお、ジシクロペンタジエンなどについては、別に測定を行い、水分量が100ppm以下であることを確認した。また反応系の水分量も適宜に測定し、100ppm以下であることを確認した。
反応終了後、70℃に冷却し、水酸化マグネシウム・水酸化アルミニウム/ハイドロタルサイト(商品名:キョーワード1000、協和化学(株)製)を5.5g添加して触媒を失活させた後、反応液を濾過した。得られた濾過液を減圧蒸留により濃縮し、フェノール樹脂250gを得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点は89.0℃、フェノール性水酸基当量(g−樹脂/グラム当量−水酸基)は169であった。また、樹脂の2%ジオキサン溶液の吸光度を測定したところ、350nmの吸光度は0.841であり、ガードナー色数は13〜14であった。結果を表1に示す。
<実施例2>
(エポキシ樹脂の製造−1)
撹拌機、還流冷却器および温度計付きの3リットル4つ口フラスコに、実施例1の方法で製造したフェノール樹脂169gとエピクロルヒドリン400gとを仕込んだ後、溶解して撹拌し、反応系内を150mmHg(200hPa)の圧力に調整し、68℃に昇温した。この系に濃度48質量%の水酸化ナトリウム水溶液100gを連続的に添加しながら3.5時間反応を行った。反応により生成する水および水酸化ナトリウム水溶液の水を、水−エピクロルヒドリン共沸混合物の還流により分解し、反応系外へ連続的に除去した。反応終了後、反応系を常圧に戻し、110℃まで昇温して反応系の水を完全に除去した。過剰のエピクロルヒドリンを常圧下で蒸留除去し、更に15mmHg(20hPa)の減圧下に140℃で蒸留を行った。
生成した樹脂および塩化ナトリウムの混合物に、メチルイソブチルケトン300gおよび10質量%の水酸化ナトリウム水溶液36gを加え、85℃の温度で1.5時間反応を行った。反応終了後、メチルイソブチルケトン750gおよび水300gを加え、下層の塩化ナトリウム水溶液を分液除去した。次にメチルイソブチルケトン液層に水150gを加えて洗浄し、リン酸で中和し、水層を分離した後、更に水800gで洗浄し水層を分離した。油層と水層の分離性は良好であり、定量的に無機塩を回収した後、メチルイソブチルケトン液層を常圧下で蒸留し、続いて5mmHg(6.7hPa)、140℃で減圧蒸留を行い、220gのエポキシ樹脂を得た。
このエポキシ樹脂のエポキシ当量は261であった。また、液体クロマトグラフィーによる単官能体の含有量は0.1質量%以下であった。
また、樹脂の2%ジオキサン溶液の吸光度を測定したところ、350nmの吸光度は0.690であり、ガードナー色数は11〜12であった。結果を表1に示す。
<実施例3>
(フェノール樹脂の製造−2)
反応器にフェノールとトルエンとを仕込み、実施例1と同様に共沸脱水を行った。脱水後のフェノール量は870gであった。次いで、三フッ化ホウ素・フェノール錯体を2.25g添加し、ジシクロペンタジエン150gを滴下して、実施例1と同様の操作を行った。反応におけるフェノール、ジシクロペンタジエンおよび三フッ化ホウ素の全合計量に対する三フッ化ホウ素の濃度は0.066質量%である。
その結果、330gのフェノール樹脂を得た。なお、ジシクロペンタジエンなどについては別に測定を行い、水分量が100ppm以下であることを確認した。また反応系の水分量も適宜に測定し、100ppm以下であることを確認した。
得られたフェノール樹脂の軟化点は92.5℃であり、水酸基当量を測定したところ170であった。また、樹脂の2%ジオキサン溶液の350nmの吸光度を測定したところ、0.984であり、ガードナー色数は14〜15であった。結果を表1に示す。
<実施例4>
(エポキシ樹脂の製造−2)
実施例3で合成したフェノール樹脂170gを用いた以外は実施例2と同様の操作を行い、180gのエポキシ樹脂を得た。このエポキシ樹脂のエポキシ当量は261であった。また、液体クロマトグラフィーによる単官能体の含有量は0.1質量%以下であった。
また、樹脂の2%ジオキサン溶液の吸光度を測定したところ、350nmの吸光度は0.734であり、ガードナー色数は12〜13であった。結果を表1に示す。
<比較例1>
(フェノール樹脂の合成−3)
反応器にフェノールとトルエンとを仕込み、実施例1と同様に共沸脱水を行った。脱水後のフェノール量は760gであった。次いで、三フッ化ホウ素・フェノール錯体を6.6g添加し、ジシクロペンタジエン135gを滴下して、実施例1と同様の操作を行った結果、290gのフェノール樹脂を得た。反応におけるフェノール、ジシクロペンタジエンおよび三フッ化ホウ素の全合計量に対する三フッ化ホウ素の濃度は0.220質量%である。
得られたフェノール樹脂の軟化点は90.0℃であり、水酸基当量は168であった。また、樹脂の2%ジオキサン溶液の吸光度を測定したところ350nmの吸光度は1.642であり、ガードナー色数は18以上であった。結果を表1に示す。
<比較例2>
(エポキシ樹脂の合成−3)
比較例1で合成したフェノール樹脂168gを用いた以外は実施例と同様に操作を行い、218gのエポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は266であった。また、樹脂の2%ジオキサン溶液の吸光度を測定したところ、350nmの吸光度が1.437であり、ガードナー色数は17〜18であった。結果を表1に示す。
<比較例3>
(フェノール樹脂の製造−4)
反応器にフェノールとトルエンとを仕込み、160℃に加熱して、トルエンとの共沸により、系内の水分が100ppm以下となるまで脱水すると共にトルエンを留去した。ついで、系内を20mmHg(27hPa)の圧力条件下に凍結−乾燥を6回行い脱気を行った。この時、脱気後のフェノール量は320gであった。
次いで、三フッ化ホウ素・フェノール錯体2.7gを添加して均一にした後、液温を60℃に保持しながら、フェノールと同様に脱気処理を行ったジシクロペンタジエン45gを1時間を費やして徐々に滴下し、更に反応液を80℃に昇温して20時間攪拌した。反応におけるフェノール、ジシクロペンタジエンおよび三フッ化ホウ素の合計量に対する三フッ化ホウ素の濃度は0.220質量%である。
反応終了後、70℃に冷却して、水酸化マグネシウム・水酸化アルミニウム/ハイドロタルサイト(商品名:キョーワード1000)を5.5g添加し、70℃の条件下で1時間攪拌して触媒を失活させた後、反応液を濾過した。得られた濾過液を減圧蒸留により濃縮し、フェノール樹脂260gを得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点は93.0℃であり、フェノール性水酸基当量は169であった。また、この樹脂の2%ジオキサン希釈溶液の吸光度を測定したところ350nmの吸光度は1.232であり、ガードナー色数は14〜15であった。結果を表1示す。
<比較例4>
(エポキシ樹脂の合成−4)
比較例3で合成したフェノール樹脂169gを用いた以外は実施例と同様に操作を行い、218gのエポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は266であった。
また、樹脂の2%ジオキサン溶液の吸光度を測定したところ、350nmの吸光度が1.097であり、ガードナー色数は13〜14であった。結果を表1に示す。
産業上の利用可能性
本発明の方法によれば、フェノール樹脂の製造において、水分含量および触媒含量の両方を低く制限することにより、固相色相の良好な樹脂が得られる。すなわち、本発明によれば、ヒドロキシル基含有芳香族化合物と不飽和環状化合物とを酸触媒下で反応させて、2%ジオキサン溶液の波長350nmにおける吸光度が1.0以下のフェノール樹脂を得ることができ、この樹脂は従来の耐湿性、耐熱性および耐クラック性に加えて、色相が良好であるために、成形物の外観やマーキング性能においても優れている。
また、上記の方法により得られたフェノール樹脂をグリシジル化して得られる、上記条件における吸光度が0.8以下のエポキシ樹脂は、耐湿性および電気特性に非常に優れているため、これを用いて得られる硬化物もまた耐湿性に優れ、半導体封止用樹脂、プリント配線基板用積層板、粉体塗料、ブレーキシュー等に有用であり、また色相に優れているために、成形外観やマーキング性能も良好である。
Claims (2)
- 反応系中の水分含有量が100ppm以下、三フッ化ホウ素系のフリーデル−クラフツ触媒の濃度が0.07質量%以下の条件で、ヒドロキシル基含有芳香族化合物と不飽和環状炭化水素化合物とを反応させることを特徴とする色相の良好なフェノール樹脂の製造方法。
- ヒドロキシル基含有芳香族化合物が1価もしくは2価のフェノール類またはビスフェノール類であり、不飽和環状炭化水素化合物がジシクロペンタジエンである請求項1に記載のフェノール樹脂の製造方法。
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