JP3864009B2 - エレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレクトロルミネッセンス(以下、ELと略称することがある)表示装置に関する。さらに詳しくは、EL素子電極とその取出し電極とを強固に接合して構成されたEL表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電界発光を利用したEL素子は、自己発光であることから視認性が高く、また完全固体素子であることから耐衝撃性に優れている。EL素子は、このような特長を有することから、その発光材料として無機材料を用いた無機EL素子や、発光材料として有機材料を用いた有機EL素子の提案が数多くなされており、その実用化が試みられている。
【0003】
殊に、有機EL素子は、無機EL素子に較べて印加電圧を大幅に低下させることができることから、各種有機材料の開発や改良が進展し、より高性能の有機EL素子を得るための技術開発が盛んに行われている。この有機EL素子については、面光源としての利用が進められている。有機EL素子を画素として用いた表示装置においては、有機EL素子からなる画素を同一平面上に二次元配列することによって、バネルを形成し、この有機EL表示パネルを構成している個々の有機EL素子を画素として、これら画素を独立に駆動させることによって、有機EL表示パネル上に所望の表示を行うように構成されている。
【0004】
そして、この有機EL素子は、少なくとも基板上に、陽極、発光層、陰極の順で、あるいはその逆の順で積層された構成となっており、発光層から発した光は、陽極または陰極の少なくとも一方を透明にして外部に取り出される。
ここで、EL素子電極をそのまま接続端子として使用すると、半田付けなどの接続操作に伴う不具合から、その接続端子上にアルミニウム膜、ニッケル膜を積層した三層構造の電極端子が提案(実開昭64−13693号公報)されている。また、EL素子が有機EL素子の場合には、とくに仕事関数の低い電子注入層側の電極(陰極)が使用されるが、その電極を接続端子として用いる場合には、その電極上に半田付けの可能な金属または抵抗率の低い金属を積層して、接続端子の抵抗を小さく、かつ半田付けを容易にする提案(特開平4−6795号公報)がなされている。
【0005】
しかしながら、前者においては、EL素子の電極上にさらに金属を積層する必要が生じ、機械的強度が低下するという問題があった。また、後者の場合、有機EL素子の陰極は、仕事関数が低い、すなわち、外部の空気や水分により容易に酸化などの化学変化を受けて高抵抗化し易く、したがって、接続端子として用いるために、一時的にも外部に引き出すことは得策ではない。
【0006】
このようなことから、別途、接続端子(取り出し電極)を設け、EL素子の電極と接続端子を封止内部でつなぎ合わせるようにする提案(特開平5−190280号公報)がなされている。ところで、この場合には、接続端子の厚みの段差により、EL素子電極(背面電極)が断線し、EL表示装置の表示不良が発生するという問題がある。
【0007】
また、このような接続端子(取り出し電極)とEL素子電極との接続時に生ずる段切れを防止するため、薄膜EL素子の膜厚と端子部の高さをほぼ一致させるように、EL素子と接続端子部の間に絶縁膜を埋め込む提案(実開昭62−84085号公報)がなされている。しかしながら、この場合には、その絶縁膜をEL素子とほぼ同一の厚みでEL素子の端縁に設けることは、容易なことではないという難点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況に鑑み、EL素子電極とその取出し電極とを強固に接合して構成されたEL表示装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために種々検討を重ねた結果、EL素子における取出し電極のEL素子電極との接続側の端部が順テーパー状部に形成され、その順テーパー状部にEL素子の電極を接合してなるEL表示装置によれば、上記目的を達成し得ることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1)支持基板上に、取出し電極と該取出し電極に接続されたエレクトロルミネッセンス素子を備えたエレクトロルミネッセンス表示装置において、該取出し電極のエレクトロルミネッセンス素子の陰極との接続側の端部が順テーパー状部に形成され、少なくとも該順テーパー状部にエレクトロルミネッセンス素子の陰極接合され、前記陰極が仕事関数が4eV以下の電極物質からなり、前記エレクトロルミネッセンス素子が有機エレクトロルミネッセンス素子であるエレクトロルミネッセンス表示装置。
(2)取出し電極のエレクトロルミネッセンス素子の電極との接続側の端部に隣接する断線防止層に順テーパー状部が形成され、少なくとも該順テーパー状部にエレクトロルミネッセンス素子の電極が接合されてなるエレクトロルミネッセンス表示装置。
(3)順テーパー状部のテーパーの角度が、支持基板面に対して、0.1°〜45°である、前記(1)または(2)に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置。
(4)取出し電極の厚みが、200nm〜10μmである前記(1)〜(3)のいずれかに記載のエレクトロルミネッセンス表示装置。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、支持基板上に、取出し電極と該取出し電極に接続されたEL素子を備えたEL表示装置において、該取出し電極のEL素子電極との接続側の端部が順テーパー状部に形成され、少なくとも該順テーパー状部にEL素子電極が接続されてなるEL表示装置である。そして、この順テーパー状部のテーパーの角度は、支持基板の表面に対して0.1°〜45°としてあるものが好ましい。これは、この角度を0.1°よりも小さくすると、取出し電極の長さを長くする必要があり、表示部の範囲を狭めることになることから好ましくない。また、この角度を45°以上にすると、取出し電極とEL素子電極との接合部における密着性の低下による接続不良や断線のおそれが大きくなるからである。
【0012】
また、上記取出し電極は、その厚みが200nm〜10μmであるもの、好ましくは500nm〜3μmであるものが好適に用いられる。この取出し電極においても、EL表示装置における電極と同様に、EL表示装置の表示性能を維持する必要がある。したがって、この取出し電極の厚みを200nm未満とすると、抵抗値が高くなり過ぎて、表示性能の維持に支障をきたすおそれが大きくなる。また、この取出し電極の適正な抵抗値を維持するためには、その厚みを10μmを超えて厚くすると、高精細な取出し電極の形成が困難になるからである。
【0013】
つぎに、本発明のEL表示装置における、取出し電極のEL素子電極との接続側の端部を順テーパー状部に形成され、少なくとも該順テーパー状部がEL素子電極に接合された構造を、その一例を示す図1により説明する。図1の1は、支持基板であり、2は、支持基板1上に設けられた取出し電極である。そして、3は,この取出し電極2のEL素子電極との接続側の端部であり、この端部3には順テーパー状部4が形成されている。この順テーパー状部4の角度は、支持基板1の表面に対して0.1°〜45°であるものが好ましい。そして、5は、EL素子電極であり、このEL素子電極5は、取出し電極2の端部3に形成された順テーパー状部4に接して、さらに取出し電極2の上面に重なり合う形態を有している。このように構成されているので、取出し電極2とEL素子電極5との強固な接合状態を維持することができるのである。すなわち、このように順テーパー状部4を形成することによって、取出し電極2が200nm以上の厚膜であっても、取出し電極2と支持基板1表面との段差によるEL素子電極5の断線を防止することができる。
【0014】
また、本発明においては、取出し電極2のEL素子電極5との接続側の端部にEL素子電極の断線防止層を設けて、該断線防止層に順テーパー状部が形成され、少なくともこの順テーパー状部に、EL素子電極5が接合された構造であってもよい。このような構造を有する場合の一例を示す図2、また他の例を示す図3により説明すれば、これら図における1は支持基板であり、2は取出し電極、3はこの取出し電極2のEL素子電極5との接続側の端部である。この端部3の側面に隣接して断線防止層6が設けられている。この断線防止層6の形態は、その断面形状が図2に示してあるような形状であっても、また図3に示してあるような形状であってもよい。いずれの断面形状の場合でも、ここで形成される順テーパー状部4の角度は、支持基板1の表面に対して0.1°〜45°であるものが好ましい。また、これら図における5は、EL素子電極である。
【0015】
つぎに、本発明のEL表示装置において用いる取出し電極の材料としては、比抵抗の値が10-3Ω・cm以下であるものが好ましく、さらに機械的強度と化学的な安定性を有するものが望ましく、具体的には、銀、アルミニウム、金、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、コバルト、クロム、銅、鉄、ガリウム、インジウム、イリジウム、モリブデン、マンガン、ニオブ、ニッケル、オスミウム、鉛、パラジウム、白金、レニウム、ルテニウム、アンチモン、錫、タンタル、チタン、バナジウム、タングステン、ジルコニウム、珪素、ゲルマニウムなどが挙げられる。これらの中でも、特に好ましいのは、銀、アルミニウム、ニッケル、金、クロム、モリブデンおよび銅である。そして、これらは、単体を用いてもよく、2種以上の合金であってもよい。さらに、これらを用いた単一層からなるものでも、異種金属または異種合金の積層体で形成された電極であってもよい。
【0016】
また、上記断線防止層を構成する材料としては、合成樹脂や金属、金属酸化物、金属窒化物などを用いることができるが、ここで形成する順テーパー状部に加工しやすい合成樹脂が好適に用いられる。
このような合成樹脂の具体例としては、光硬化型樹脂や熱硬化型樹脂が特に好ましく、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂の反応性ビニル基を有するものを硬化させたものが好適に用いられる。さらに、環状オレフィン系樹脂、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、アニリンホルムアルデヒド樹脂、フッ素樹脂などを用いることができる。
【0017】
また、金属や金属酸化物、金属窒化物の具体例としては、銀、アルミニウム、金、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、コバルト、クロム、銅、鉄、ガリウム、インジウム、イリジウム、モリブデン、マンガン、ニオブ、ニッケル、オスミウム、鉛、パラジウム、白金、レニウム、ルテニウム、アンチモン、錫、タンタル、チタン、バナジウム、タングステン、ジルコニウム、珪素、ゲルマニウムなどの単体やこれらの合金、酸化物あるいは窒化物が挙げられる。
【0018】
つぎに、本発明のEL表示装置におけるEL素子としては、薄膜型の無機EL素子でも有機EL素子であってもよいが、駆動電圧が低く、コンパクト化や軽量化のしやすい有機EL素子が特に好ましい。この有機EL素子の構成としては、様々な形態のものであってもよく、少なくとも一対の電極間に有機発光層を含む有機化合物層を挟持させて構成された素子であって、その代表的な素子構成を例示すれば、下記のとおりである。
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(3)陽極/発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/有機半導体層/発光層/陰極
(6)陽極/有機半導体層/電子障壁層/発光層/陰極
(7)陽極/有機半導体層/発光層/付着改善層/陰極
(8)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
本発明における有機EL素子は、これら各種の素子構成のいかなる形態であってもよいが、上記(8)の構成のものが特に好ましく用いられる。
【0019】
この有機EL素子は、透光性の基板上に作製する。この透光性基板は有機EL素子を支持する基板であり、その透光性については、400〜700nmの可視領域の光の透過率が10%以上、好ましくは50%以上でであるものが望ましく、さらに表面が平滑な基板を用いるのが望ましい。
このような透光性基板としては、たとえば、ガラス基板、合成樹脂基板などが好適に用いられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英などで成形された基板が挙げられる。また、合成樹脂基板としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルサルファイド樹脂、ポリサルフォン樹脂などの板か挙げられる。
【0020】
つぎに、上記の陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物またはこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、金等の金属、CuI、ITO、SnO2 、ZnO等の導電性材料が挙げられる。この陽極を形成するには、これらの電極物質を、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させることができる。この陽極は、上記発光層からの発光を陽極から取り出す場合、陽極の発光に対する透過率が、10%より大きくなるような特性を有していることが望ましい。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/□以下としてあるものが好ましい。さらに、陽極の膜厚は、材料にもよるが通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
【0021】
そして、本発明の有機EL素子の発光層としては、以下の機能を併せ持つものが好適である。
(a)注入機能;電界印加時に陽極または正孔注入層より正孔を注入することがき、陰極または電子注入層より電子を注入することができる機能
(b)輸送機能;注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能
(c)発光機能;電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能ただし、正孔の注入されやすさと電子の注入されやすさには、違いがあってもよく、また正孔と電子の移動度で表される輸送能に大小があってもよいが、どちらか一方の電荷を移動することが好ましい。
【0022】
有機EL素子の発光材料は主に有機化合物であり、具体的には所望の色調により、次のような化合物が用いられる。
たとえば、紫外域から紫色の発光を得る場合には、下記の一般式〔1〕で表される化合物が好適に用いられる。
【0023】
【化1】
Figure 0003864009
【0024】
〔式中、Xは下記一般式〔2〕、
【0025】
【化2】
Figure 0003864009
【0026】
(式中、nは2〜5の整数を示す)で表される基を示し、Yは下記一般式〔3〕
【0027】
【化3】
Figure 0003864009
【0028】
で表される基を示す。〕
この一般式〔1〕で表される化合物におけるフェニル基、フェニレン基、ナフチル基には、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、スルホニル基、カルボニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基またはジフェニルアミノ基等の単数または複数の置換基を有する化合物を用いてもよい。また、これら置換基が複数ある場合には、それらが互いに結合し、飽和5員環あるいは6員環を形成していてもよい。さらに、この化合物の形態については、フェニル基、フェニレン基、ナフチル基にパラ位で結合したものが、結合性が良く、かつ平滑な蒸着膜が形成し易いことから好ましい。上記一般式〔1〕で表される化合物の具体例を示せば、下記のとおりである。
【0029】
【化4】
Figure 0003864009
【0030】
【化5】
Figure 0003864009
【0031】
これら化合物の中では、特にp−クォーターフェニル誘導体、p−クインクフェニル誘導体が好ましい。
また、青色から緑色の発光を得るためには、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物を用いることができる。これら化合物の具体例としては、例えば特開昭59−194393号公報に開示されている化合物を挙げることができる。さらに他の有用な化合物は、ケミストリー・オブ・シンセティック・ダイズ(1971)628〜637頁および640頁に列挙されている。
【0032】
前記キレート化オキシノイド化合物としては、例えば、特開昭63−295695号公報に開示されている化合物を用いることができる。その代表例としては、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−ヒドロキシキノリン系金属錯体や、ジリチウムエピントリジオン等が好適な化合物として挙げることができる。
【0033】
また、前記スチリルベンゼン系化合物としては、例えば、欧州特許第0319881号明細書や欧州特許第0373582号明細書に開示されているものを用いることができる。そして、特開平2−252793号公報に開示されているジスチリルピラジン誘導体も、発光層の材料として用いることができる。このほか、欧州特許第0387715号明細書に開示されているポリフェニル系化合物も発光層の材料として用いることができる。
【0034】
さらに、上述した蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物およびスチリルベンゼン系化合物等以外に、例えば12−フタロペリノン(J. Appl. Phys.,第27巻,L713(1988年))、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(以上Appl. Phys. Lett.,第56巻,L799(1990年))、ナフタルイミド誘導体(特開平2−305886号公報)、ペリレン誘導体(特開平2−189890号公報)、オキサジアゾール誘導体(特開平2−216791号公報、または第38回応用物理学関係連合講演会で浜田らによって開示されたオキサジアゾール誘導体)、アルダジン誘導体(特開平2−220393号公報)、ピラジリン誘導体(特開平2−220394号公報)、シクロペンタジエン誘導体(特開平2−289675号公報)、ピロロピロール誘導体(特開平2−296891号公報)、スチリルアミン誘導体(Appl. Phys. Lett.,第56巻,L799(1990年)、クマリン系化合物(特開平2−191694号公報)、国際特許公報WO90/13148やAppl. Phys. Lett.,vol58,18,P1982(1991)に記載されているような高分子化合物等も、発光層の材料として用いることができる。
【0035】
本発明では特に発光層の材料として、芳香族ジメチリディン系化合物(欧州特許第0388768号明細書や特開平3−231970号公報に開示のもの)を用いることが好ましい。具体例としては、4,4’−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、およびそれらの誘導体を挙げることができる。
【0036】
また、特開平5−258862号公報等に記載されている一般式(Rs−Q)2 −Al−O−L〔式中、Lはフェニル部分を含んでなる炭素原子6〜24個の炭化水素であり、O−Lはフェノラート配位子であり、Qは置換8−キノリノラート配位子を示し、Rsはアルミニウム原子に置換8−キノリノラート配位子が2個を上回り結合するのを立体的に妨害するように選ばれた8−キノリノラート環置換基を示す〕で表される化合物も挙げられる。具体的には、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(パラ−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等が挙げられる。
【0037】
このほか、特開平6−9953号公報等によるドーピングを用いた高効率の青色と緑色の混合発光を得る方法が挙げられる。この場合、ホストとしては、上記の発光材料、ドーパントとしては青色から緑色までの強い蛍光色素、例えばクマリン系あるいは上記のホストとして用いられているものと同様な蛍光色素を挙げることができる。具体的には、ホストとしてジスチリルアリーレン骨格の発光材料、特に好ましくは4,4’−ビス(2,2−ジフエニルビニル)ビフェニル、ドーパントとしてはジフェニルアミノビニルアリーレン、特に好ましくは例えばN,N−ジフェニルアミノビニルベンゼンを挙げることができる。
【0038】
白色の発光を得る発光層としては特に制限はないが、下記のものを用いることができる。
▲1▼有機EL積層構造体の各層のエネルギー準位を規定し、トンネル注入を利用して発光させるもの(欧州特許第0390551号公報)。
▲2▼▲1▼と同じくトンネル注入を利用する素子で実施例として白色発光素子が記載されているもの(特開平3−230584号公報)。
【0039】
▲3▼二層構造の発光層が記載されているもの(特開平2−220390号公報および特開平2−216790号公報)。
▲4▼発光層を複数に分割してそれぞれ発光波長の異なる材料で構成されたもの(特開平4−51491号公報)。
▲5▼青色発光体(蛍光ピーク380〜480nm)と緑色発光体(480〜580nm)とを積層させ、さらに赤色蛍光体を含有させた構成のもの(特開平6−207170号公報)。
【0040】
▲6▼青色発光層が青色蛍光色素を含有し、緑色発光層が赤色蛍光色素を含有した領域を有し、さらに緑色蛍光体を含有する構成のもの(特開平7−142169号公報)。
これらの中では、上記▲5▼の構成のものが特に好ましい。
さらに、赤色蛍光体としては、下記に示すものが好適に用いられる。
【0041】
【化6】
Figure 0003864009
【0042】
つぎに、上記材料を用いて発光層を形成する方法としては、例えば蒸着法、スピンコート法、LB法等の公知の方法を適用することができる。発光層は、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜や、溶液状態または液相状態の材料化合物から固体化され形成された膜のことであり、通常この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区分することができる。
【0043】
また特開昭57−51781号公報に開示されているように、樹脂等の結着剤と材料化合物とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法等により薄膜化することによっても、発光層を形成することができる。
このようにして形成される発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常5nm〜5μmの範囲が好ましい。この発光層は、上述した材料の1種または2種以上からなる一層で構成されてもよいし、また、前記発光層とは別種の化合物からなる発光層を積層したものであってもよい。
【0044】
つぎに、正孔注入・輸送層は、発光層への正孔注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、正孔移動度が大きく、イオン化エネルギーが通常5.5eV以下と小さい。このような正孔注入・輸送層としてはより低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、さらに正孔の移動度が、例えば104 〜106 V/cmの電界印加時に、少なくとも10-6cm2 /V・秒であるものが好ましい。本発明の芳香族炭化水素化合物と混合して正孔注入・輸送層を形成する材料としては、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において正孔の電荷輸送材料として慣用されているものや、有機EL素子の正孔注入層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0045】
このような正孔注入・輸送層の形成材料としては、具体的には、例えばトリアゾール誘導体(米国特許3,112,197号明細書等参照)、オキサジアゾール誘導体(米国特許3,189,447号明細書等参照)、イミダゾール誘導体(特公昭37−16096号公報等参照)、ポリアリールアルカン誘導体(米国特許3,615,402号明細書、同第3,820,989号明細書、同第3,542,544号明細書、特公昭45−555号公報、同51−10983号公報、特開昭51−93224号公報、同55−17105号公報、同56−4148号公報、同55−108667号公報、同55−156953号公報、同56−36656号公報等参照)、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体(米国特許第3,180,729号明細書、同第4,278,746号明細書、特開昭55−88064号公報、同55−88065号公報、同49−105537号公報、同55−51086号公報、同56−80051号公報、同56−88141号公報、同57−45545号公報、同54−112637号公報、同55−74546号公報等参照)、フェニレンジアミン誘導体(米国特許第3,615,404号明細書、特公昭51−10105号公報、同46−3712号公報、同47−25336号公報、特開昭54−53435号公報、同54−110536号公報、同54−119925号公報等参照)、アリールアミン誘導体(米国特許第3,567,450号明細書、同第3,180,703号明細書、同第3,240,597号明細書、同第3,658,520号明細書、同第4,232,103号明細書、同第4,175,961号明細書、同第4,012,376号明細書、特公昭49−35702号公報、同39−27577号公報、特開昭55−144250号公報、同56−119132号公報、同56−22437号公報、***特許第1,110,518号明細書等参照)、アミノ置換カルコン誘導体(米国特許第3,526,501号明細書等参照)、オキサゾール誘導体(米国特許第3,257,203号明細書等に開示のもの)、スチリルアントラセン誘導体(特開昭56−46234号公報等参照)、フルオレノン誘導体(特開昭54−110837号公報等参照)、ヒドラゾン誘導体(米国特許第3,717,462号明細書、特開昭54−59143号公報、同55−52063号公報、同55−52064号公報、同55−46760号公報、同55−85495号公報、同57−11350号公報、同57−148749号公報、特開平2−311591号公報等参照)、スチルベン誘導体(特開昭61−210363号公報、同第61−228451号公報、同61−14642号公報、同61−72255号公報、同62−47646号公報、同62−36674号公報、同62−10652号公報、同62−30255号公報、同60−93455号公報、同60−94462号公報、同60−174749号公報、同60−175052号公報等参照)、シラザン誘導体(米国特許第4,950,950号明細書)、ポリシラン系(特開平2−204996号公報)、アニリン系共重合体(特開平2−282263号公報)、特開平1−211399号公報に開示されている導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)等を挙げることができる。
【0046】
正孔注入・輸送層の材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物(特開昭63−2956965号公報等に開示のもの)、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物(米国特許第4,127,412号明細書、特開昭53−27033号公報、同54−58445号公報、同54−149634号公報、同54−64299号公報、同55−79450号公報、同55−144250号公報、同56−119132号公報、同61−295558号公報、同61−98353号公報、同63−295695号公報等参照)、芳香族第三級アミン化合物を用いることもできる。
【0047】
また米国特許第5,061,569号に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有する、例えば4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル、また特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン等を挙げることができる。さらに、発光層の材料として示した前述の芳香族ジメチリディン系化合物の他、p型Si、p型SiC等の無機化合物も正孔注入・輸送層の材料として使用することができる。
【0048】
そして、この正孔注入・輸送層を形成するには、上述の化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方法により薄膜化すればよい。この場合、正孔注入・輸送層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmである。この正孔注入・輸送層は、正孔輸送帯域に本発明の芳香族炭化水素化合物を含有していれば、上述した材料の1種または2種以上からなる一層で構成されてもよいし、また、前記正孔注入・輸送層とは別種の化合物からなる正孔注入・輸送層を積層したものであってもよい。
【0049】
また、有機半導体層は、発光層への正孔注入または電子注入を助ける層であって、10-10 S/cm以上の導電率を有するものが好適である。このような有機半導体層の材料としては、含チオフェンオリゴマーや特開平8−193191号公報に記載の含アリールアミンオリゴマー等の導電性オリゴマー、含アリールアミンデンドリマー等の導電性デンドリマー等を用いることができる。
【0050】
つぎに、電子注入層は、発光層への電子の注入を助ける層であって、電子移動度が大きく、また付着改善層は、この電子注入層の中で特に陰極との付着が良い材料からなる層である。電子注入層に用いられる材料としては、8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体が好適である。上記8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体の具体例としては、オキシン(一般に8−キノリノールまたは8−ヒドロキシキノリン)のキレートを含む金属キレートオキシノイド化合物、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウムを電子注入材料として用いることができる。
【0051】
そして、オキサジアゾール誘導体としては、下記一般式〔4〕〜〔6〕、
【0052】
【化7】
Figure 0003864009
【0053】
〔上記式中、Ar1 ,Ar2 ,Ar3 ,Ar5 ,Ar6 ,Ar9 は、各々独立に置換または無置換のアリール基を示し、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。また、Ar4 ,Ar7 ,Ar8 は、各々独立に置換または無置換のアリーレン基を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。〕で表される電子伝達化合物が挙げられる。
【0054】
これら一般式〔4〕〜〔6〕におけるアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、アントラニル基、ペリレニル基、ピレニル基が挙げられる。また、アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントラニレン基、ペリレニレン基、ピレニレン基などが挙げられる。そして、これらへの置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基またはシアノ基等が挙げられる。この電子伝達化合物は、薄膜形成性の良好なものが好ましく用いられる。
【0055】
そして、これら電子伝達性化合物の具体例としては、下記のものを挙げることができる。
【0056】
【化8】
Figure 0003864009
【0057】
つぎに、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム・銀合金、アルミニウム/酸化アルミニウム、アルミニウム・リチウム合金、インジウム、希土類金属などが挙げられる。
この陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
【0058】
ここで、発光層からの発光を陰極から取り出す場合、陰極の発光に対する透過率は10%より大きくすることが好ましい。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、さらに、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmである。
つぎに、本発明の有機EL素子を作製する方法については、上記の材料および方法により陽極、発光層、必要に応じて正孔注入層、および必要に応じて電子注入層を形成し、最後に陰極を形成すればよい。また、陰極から陽極へ、前記と逆の順序で有機EL素子を作製することもできる。
【0059】
以下、透光性基板上に、陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極が順次設けられた構成の有機EL素子の作製例について説明する。
まず、適当な透光性基板上に、陽極材料からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着法あるいはスパッタリング法により形成し、陽極とする。次に、この陽極上に正孔注入層を設ける。正孔注入層の形成は、前述したように真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の方法により行うことができるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが発生しにくい等の点から真空蒸着法により形成することが好ましい。真空蒸着法により正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は使用する化合物(正孔注入層の材料)、目的とする正孔注入層の結晶構造や再結合構造等により異なるが、一般に蒸着源温度50〜450℃、真空度10-7〜10-3torr、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜選択することが好ましい。
【0060】
次に、この正孔注入層上に発光層を設ける。この発光層の形成も、所望の有機発光材料を用いて真空蒸着法、スパッタリング、スピンコート法、キャスト法等の方法により、有機発光材料を薄膜化することにより形成できるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが発生しにくい等の点から真空蒸着法により形成することが好ましい。真空蒸着法により発光層を形成する場合、その蒸着条件は使用する化合物により異なるが、一般的に正孔注入層の形成と同様な条件範囲の中から選択することができる。
【0061】
次に、この発光層上に電子注入層を設ける。この場合にも正孔注入層、発光層と同様、均質な膜を得る必要から真空蒸着法により形成することが好ましい。蒸着条件は正孔注入層、発光層と同様の条件範囲から選択することができる。
本発明の芳香族炭化水素化合物は、上記有機化合物層のいずれの層に含有させるかによって異なるが、真空蒸着法を用いる場合は他の材料との共蒸着をすることができる。またスピンコート法を用いる場合は、他の材料と混合することによって含有させることができる。
【0062】
そして、最後に陰極を積層して有機EL素子を得ることができる。陰極は金属から構成されるもので、蒸着法、スパッタリングを用いることができる。しかし、下地の有機物層を製膜時の損傷から守るためには真空蒸着法が好ましい。
以上の有機EL素子の作製は、一回の真空引きで、一貫して陽極から陰極まで作製することが好ましい。
【0063】
この有機EL素子に直流電圧を印加する場合、陽極を+、陰極を−の極性にして、5〜40Vの電圧を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れず、発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加した場合には、陽極が+、陰極が−の極性になった時のみ均一な発光が観測される。この場合、印加する交流の波形は任意でよい。
【0064】
【実施例】
つぎに、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
〔実施例1〕
支持基板として、100mm×100mm×1mm厚のガラス基板(コーニング社製;7059)を用い、その中央部の表示領域の周辺部に、取出し電極用のクロムをスパッタリングして、膜厚600nmに製膜した。
【0065】
つぎに、ポジ型のフォトレジスト(富士フィルムオーリン社製:HPR204)を、上記クロム薄膜上にスピンコートし、80℃でベークした。そして、このフォトレジスト塗布面上に、パターン形成用のマスクとして、250μmライン、50μmギャップのストライプ状の陽極側の取出し電極のクロム薄膜パターンおよび、600μmライン、100μmギャップのストライプ状の陰極側の取出し電極のクロム薄膜パターンを形成することのできる形状のマスクを介して、露光機により100mJ/cm2 の条件で露光した。
【0066】
つぎに、現像剤として、2.38重量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、上記で露光したフォトレジストの現像を行い、レジストパターンを形成した。
ついで、エッチャントとして、硝酸第二セリウムアンモニウム165gと70重量%濃度の過塩素酸42ミリリットルおよび、純水1リットルの組成からなる水溶液を用い、これに上記基板を室温で浸漬し、クロム薄膜の露出部をエッチングした。さらに、レジスト剥離剤(長瀬産業社製:N303)を用いて、残存するフォトレジストを剥離し、上記ストライブ形状を有する取出し電極パターンを形成した。
【0067】
ここで得られた取出し電極につき、その一部の切断端面を電子顕微鏡により観察したところ、図1に示すように、取出し電極の端部の上面が基板の表面に対して10°の角度で傾斜した順テーパー形状をなしていることが確認された。
つぎに、ガラス基板中央部の表示領域に、陽極としてインジウム錫酸化物(以下、ITOと略称する)の薄膜を形成した。この薄膜に形成は、スパッタリング法によって行い、膜厚は120nmとした。
【0068】
ついで、この陽極のITO膜の上に、ポジ型のフォトレジスト(富士フィルムオーリン社製:HPR204)をスピンコートし、80℃でベークした。そして、このフォトレジスト塗布面上に、パターン形成用のマスクとして、250μmライン、50μmギャップのストライプ状の陽極用ITO薄膜パターンを形成することのできる形状のマスクを介し、さらに、上記取出し電極パターンとわずかに重なり合うように位置合わせをして、露光機により100mJ/cm2 の条件で露光した。
【0069】
つぎに、現像剤として、2.38重量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、上記で露光したフォトレジストの現像を行い、120℃においてポストベークして、レジストパターンを形成した。
ついで、エッチャントとして、47重量%濃度の臭化水素酸水溶液を用いて、これに上記基板を室温で浸漬し、ITO薄膜の露出部をエッチングした。さらに、レジスト剥離剤(長瀬産業社製:N303)を用いて、残存するフォトレジストを剥離し、上記取出し電極パターンと接続した形態のITO薄膜パターンを形成した。このようにして得られた電極パターン形成基板は、さらに、イソプロピルアルコール中で超音波洗浄した。
【0070】
つぎに、この電極パターン形成基板の上記ITO薄膜パターン形成面上に、正孔注入層、正孔輸送層、ドーパントを含む発光層、電子注入層、陰極を順次積層した。まず、上記電極パターン形成基板を、蒸着装置(日本真空技術社製)の基板ホルダーに固定し、蒸着源はモリブデン製の抵抗加熱ボートに、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、ドーパント、電子注入材料をそれぞれ仕込み、陰極の第二金属として銀をタングステン製フィラメントに、陰極の電子注入性金属としてマグネシウムをモリブデン製ボートに装着した。ついで、真空槽を5×10-7torrまで減圧した後、正孔注入層から陰極の蒸着までの間に途中で真空を破ることなく1回の真空引きで、下記のそれぞれの条件下に各層を順次蒸着積層して、有機EL素子を作製した。
【0071】
上記正孔注入材料としては、4,4’,4”−トリス−〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミンを用い、その加熱温度を360℃とし、蒸着速度を0.1〜0.3nm/秒として、200nmの正孔注入層を形成した。
正孔輸送材料としては、4,4’−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニルを用い、加熱温度を260℃とし、蒸着速度を0.1〜0.3nm/秒として、膜厚20nmの正孔輸送層を形成した。
【0072】
発光材料としては4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニルを用い、ドーパントとしてN,N−ジフェニルアミノビニルベンゼンを用い、発光材料の蒸着速度を0.1〜0.3nm/秒、ドーパントの蒸着速度を0.05nm/秒において同時蒸着し、全膜厚40nm(発光材料に対するドーパントの重量比:1.2〜1.6)のドーパントを含む発光層を形成した。
【0073】
電子注入材料としては、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウムを用い、蒸着速度を0.1〜0.3nm/秒として、膜厚20nmの電子注入層を形成した。
陰極としては、そのストライブパターンが陽極のITOストライブパターンの方向に対して垂直方向に、600μmライン、100μmギャップのストライブパターンを形成することのできるマスクを介し、かつ周縁部が上記取出し電極のクロムパターンとわずかに重なり合うようにして、マグネシウムと銀を同時蒸着した。この場合、マグネシウムの蒸着速度を1.3〜1.4nm/秒とし、銀の蒸着速度を0.1nm/秒として、膜厚200nmの陰極を形成し、図4に示す形態の有機EL素子の形成されたガラス基板を得た。
【0074】
つぎに、この有機EL素子の形成されたガラス基板上の、図4における封止部材形成部位8に、有機EL素子の表面を覆う封止をした。封止部材としては、サンドブラスト処理により凹状に加工され、外寸法が80mm×80mmで、内寸法が76mm×76mmであり、かつ厚さが1.1mm、凹状部の深さが0.5mmであるものを用いた。そして、封止部材の凹状部の隅に、直径1mmの不活性物質注入用スルーホールを設けた。
【0075】
ついで、窒素ガス気流下のドライボックス内において、封止部材の周縁部に、エポキシ系二液混合型接着剤(チバ・ガイギー社製:アラルダイト)を薄く塗布し、これでガラス基板中央部の表示領域を覆い、封止部材の周縁部とガラス基板表面の陽極、陰極および取出し電極の表面を接着させた。そして、封止部材のスルーホールより、不活性物質のフッ化炭化水素(米国3M社製:フロリナート)を注入し、封止部材と表示領域との間隙を埋めた。最後に、不活性物質注入用スルーホールの周辺に前記接着剤を薄く塗布し、その上に、ガラス基板の切断片を被せて接着することにより、有機EL表示装置を得た。
【0076】
このようにして得られた有機EL表示装置の表示性能を確認するため、この有機EL表示装置の陽極と、陰極のそれぞれの取出し電極に、直流8Vの電源からのリード線を接続し、8Vの電圧を印加した。
この結果、この有機EL表示装置における表示部全ての陽極ラインと陰極ラインの交差部に発光が確認された。このことから、有機EL素子の陽極と陰極およびこれらの取出し電極との間の接続が良好であることが確認された。
【0077】
〔実施例2〕
実施例1における取出し電極形成時のフォトレジスト現像後のベーク温度を130℃に変更した他は、実施例1と同様にして取出し電極を形成した。
ここで得られた取出し電極につき、その一部の切断端面を電子顕微鏡により観察したところ、取出し電極の端部の上面が基板の表面に対して90°の角度で矩形状をなしていることが確認された。
つぎに、このガラス基板上の取出し電極の端部側面に、エポキシ系二液混合型接着剤(チバ・ガイギー社製:アラルダイト)を微量滴下して硬化させた。接着剤の硬化後、この取出し電極の一部の切断端面を電子顕微鏡により観察したところ、図2に示すとおり、取出し電極の端部の上面が基板の表面に対して30°の角度で傾斜した順テーパー形状をなしていることが確認された。
【0078】
ついで、このようにして取出し電極を形成した基板を用い、実施例1と同様にして、有機EL表示装置を作製し、表示性能の確認をした。
この結果、この有機EL表示装置における表示部全ての陽極ラインと陰極ラインの交差部に発光が確認された。このことから、有機EL素子の陽極と陰極およびこれらの取出し電極との間の接続が良好であることが確認された。
【0079】
〔実施例3〕
実施例2と同様にして取出し電極を形成した。
ここで得られた取出し電極につき、その一部の切断端面を電子顕微鏡により観察したところ、取出し電極の端部の上面が基板の表面に対して90°の角度で矩形状をなしていることが確認された。
つぎに、このガラス基板上の取出し電極の端部側面に、エポキシ系二液混合型接着剤(チバ・ガイギー社製:アラルダイト)を微量滴下して硬化させた。接着剤の硬化後、この取出し電極の一部の切断端面を電子顕微鏡により観察したところ、図3に示すように、取出し電極の端部の上面が基板の表面に対して25°の角度で傾斜した順テーパー形状をなしていることが確認された。
【0080】
ついで、このようにして取出し電極を形成した基板を用い、実施例1と同様にして、有機EL表示装置を作製し、表示性能の確認をした。
この結果、この有機EL表示装置における表示部全ての陽極ラインと陰極ラインの交差部に発光が確認された。このことから、有機EL素子の陽極と陰極およびこれらの取出し電極との間の接続が良好であることが確認された。
【0081】
〔比較例1〕
実施例2と同様にして取出し電極を形成した。
ここで得られた取出し電極につき、その一部の切断端面を電子顕微鏡により観察したところ、取出し電極の端部の上面が基板の表面に対して90°の角度で矩形状をなしていることが確認された。
ついで、この取出し電極を形成した基板を加工することなくそのまま用い、実施例1と同様にして、有機EL表示装置を作製し、表示性能の確認をした。
【0082】
この結果、この有機EL表示装置における表示部の陽極ラインと陰極ラインの交差部のうち、大部分は発光したが、10本の発光しないラインがあることが確認された。このことから、有機EL素子の陽極と陰極およびこれらの取出し電極との間の接続に断線部が10箇所存在することが判明した。
そこで、この有機EL素子電極と取出し電極の断線部について、その切断端面を電子顕微鏡により観察したところ、図5に示すように、取出し電極の段差により有機EL素子電極が切断されていることが確認された。
【0083】
【発明の効果】
本発明のEL表示装置は、EL素子電極と、その駆動回路を結線するための取出し電極との接合が強固に構成されていることから、当該接合部位での接合不良や断線に起因する表示不良を招くおそれのないEL表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のEL表示装置におけるEL素子電極とその取出し電極の接合部の一例を示す部分断面図である。
【図2】本発明のEL表示装置におけるEL素子電極とその取出し電極の接合部の他の一例を示す部分断面図である。
【図3】本発明のEL表示装置におけるEL素子電極とその取出し電極の接合部のさらに他の一例を示す部分断面図である。
【図4】本発明のEL表示装置の封止処理前の平面の説明図である。但し、電極の本数は作図上の都合で実際の本数より減少して表した。
【図5】本発明の比較例1におけるEL表示装置の欠陥部分のEL素子電極とその取出し電極の接合部を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 取出し電極
3 取出し電極のEL素子の電極側の端部
4 順テーパー状部
5 EL素子の電極
6 断線防止層
7 表示領域
8 封止部材の接着部位

Claims (4)

  1. 支持基板上に、取出し電極と該取出し電極に接続されたエレクトロルミネッセンス素子を備えたエレクトロルミネッセンス表示装置において、該取出し電極のエレクトロルミネッセンス素子の陰極との接続側の端部が順テーパー状部に形成され、少なくとも該順テーパー状部にエレクトロルミネッセンス素子の陰極接合され、前記陰極が仕事関数が4eV以下の電極物質からなり、前記エレクトロルミネッセンス素子が有機エレクトロルミネッセンス素子であるエレクトロルミネッセンス表示装置。
  2. 取出し電極のエレクトロルミネッセンス素子の電極との接続側の端部に隣接する断線防止層に順テーパー状部が形成され、少なくとも該順テーパー状部にエレクトロルミネッセンス素子の電極が接合されてなるエレクトロルミネッセンス表示装置。
  3. 順テーパー状部のテーパーの角度が、支持基板面に対して、0.1°〜45°である請求項1または2に記載のエレクトロルミネッセンス表示装置。
  4. 取出し電極の厚みが、200nm〜10μmである請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトロルミネッセンス表示装置。
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