JP3861477B2 - 色素会合体薄膜、その製造方法および光スイッチ - Google Patents

色素会合体薄膜、その製造方法および光スイッチ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素会合体薄膜、その製造方法、それを用いて形成した光スイッチ、光分配器、光変調器および光スイッチ列に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクエアリリウム色素誘導体の中には会合体を形成するものがあることが知られている。会合体とは、数十〜数百の分子が規則正しく配列して緩く結合し、光学的にあたかも一つの超分子として振る舞うようになった状態をいう。会合体を形成する際、吸収は分子単体に比べ長波長にシフトし、先鋭化することが知られている(図1)。会合体は、吸収ピーク付近の波長の光に対して極めて大きな相互作用を持ち、しかも、3次の非線形光学効果である吸収飽和の回復が非常に早いことが報告されている(M.Furuki, L.S.Pu, F.Sasaki, S.Kobayashi and T.Tani, 4th International Workshop on Femtosecond Technology Proceedings (1997)135)。また、最近、実際に固体基板上に形成したスクエアリリウム色素誘導体薄膜について、光に対し300fs(1fs=10-15秒)以下の応答時間が確認された(平成10年7月13日付日刊工業新聞第1面)。このような特徴により、スクエアリリウム誘導体は、テラビット(1012bit/s)オーダーの光情報通信の際に光スイッチとして使用され得るものであると認められる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、スクエアリリウム色素誘導体が固体基板上で会合体を形成し、かつfsオーダーの超高速光学応答特性を示すことを確認し、先に特許出願を行なった(特願平10−181581号)。
しかし、これらを実際に光スイッチへ応用するためには、さらに鋭い吸収ピークを示す会合体を使用することが望まれる。それは、
(1) 吸収ピークの絶対値が大きいほうが吸収変化量も大きくなるため、効率が同じでもダイナミックレンジを大きく取ることができる。
(2) 吸収スペクトルの波長広がりを制御用の光の波長広がり(10〜20nm)と同程度にすることにより、光エネルギーを効率よく利用することができる。等の理由による。因みに上記特許出願において用いた会合体の波長広がりは、半値幅で50nm程度であった(図2)。
したがって、本発明の目的は、波長広がりが狭く、光スイッチに適したスクエアリリウム色素会合体薄膜を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、スクエアリリウム色素誘導体薄膜の会合体形成について検討を重ねた結果、スクエアリリウム色素誘導体を溶媒に溶解し、得られた溶液を固体基板上に塗布して得られた会合体に、酸またはアルカリによる処理を施すことにより、波長広がりが従来の会合体薄膜の半分以下である色素会合体薄膜を形成することができることを見出した。さらに、会合体薄膜の吸収飽和の回復時定数として、500fsを得、それが超高速光スイッチ材料として利用可能であることを確認し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記一般式(I)
【0005】
【化5】
Figure 0003861477
【0006】
(Rはアルキル基を示し、Xは、H、Cl、OH、CH3またはOCH3を示す)で示されるスクエアリリウム色素誘導体を溶媒に溶解し、得られた溶液を固体基板上に塗布して薄膜を形成し、次いで、得られた薄膜を酸またはアルカリで処理することを特徴とする色素会合体薄膜の製造方法、
下記一般式(II)
【0007】
【化6】
Figure 0003861477
【0008】
(R1〜R4は同じでも異なっていてもよく、それぞれアルキル基を示し、X1〜X8は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、H、Cl、OH、CH3またはOCH3を示す)
で示されるスクエアリリウム色素誘導体を溶媒に溶解し、得られた溶液を固体基板上に塗布して薄膜を形成し、次いで、得られた薄膜を酸またはアルカリで処理することを特徴とする色素会合体薄膜の製造方法、
前記製造方法により得られる色素会合体薄膜、または
前記色素会合体薄膜を用いて形成する光スイッチ、光分配器、光変調器、光スイッチ列である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の色素会合体薄膜は、上記一般式(I)または一般式(II)で示されるスクエアリリウム誘導体を、有機溶媒に溶解し、得られた溶液を固体基板上に塗布して薄膜を形成し、次いで、得られた薄膜を酸またはアルカリで処理することにより製造することができる。
【0010】
上記一般式(I)において、Rは、アルキル基を示すが、炭素数3〜7の低級アルキル基が好ましく、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基がより好ましく、n−プロピル基またはiso−プロピル基が特に好ましい。また、上記一般式(I)中、Xは、H、Cl、OH、CH3またはOCH3を示し、H、OHまたはCH3が好ましく、Hがより好ましい。
【0011】
上記一般式(II)において、R1〜R8は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、アルキル基を示すが、炭素数3〜7の低級アルキル基が好ましく、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基がより好ましく、n−プロピル基またはiso−プロピル基が特に好ましい。なお、アルキル基の炭素数を増やすことにより、溶媒に対する溶解度を高めることができる。また、上記一般式(II)中、X1〜X8は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、H、Cl、OH、CH3またはOCH3を示す。特に、X2、X4、X5およびX7からなる群から選ばれる1または2以上がOH基である場合には、色素の耐熱性を100℃以上高めることができるので好ましい。また、X1、X3、X6およびX8からなる群から選ばれる1または2以上がClである場合には、分子に双極子モーメントを与えることができ、二次の非線形光学効果を発現させることができるので好ましい。
【0012】
上記一般式(I)または(II)で示されるスクエアリリウム色素誘導体を溶解する溶媒としては、特に限定されないが、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロルエタン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、シクロヘキサン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、プロピルアミン、エチルアミン等のアミン類を用いることができる。これらの中でも、一般式(I)のスクエアリリウム誘導体を用いる場合は、ジクロロエタン、エタノール特に好ましく、一般式(II)のスクエアリリウム誘導体を用いる場合は、ジクロロエタン、メタノールが特に好ましい。
【0013】
なお、上記一般式(I)または(II)で示されるスクエアリリウム色素誘導体は、高分子化合物とともに溶媒中に溶解すると、会合体の形成を促進させることができ、好ましい。高分子化合物としては、色素の波長域で光学的に透明なポリマーであればすべて使用可能であり、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸フェニル等のメタクリル酸系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルカルバゾール等のビニル系ポリマー、ポリカーボネート、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルやその誘導体、およびそれらの共重合体等を用いることができる。これらの中でも、ポリビニルアルコールは特に好ましい。
【0014】
上記一般式(I)または(II)で示されるスクエアリリウム色素誘導体を高分子化合物とともに溶媒に溶解する場合、スクエアリリウム色素誘導体の重量比は、スクエアリリウム色素誘導体と高分子化合物との合計重量に基づいて、10〜30重量%とすることが好ましい。混合比をこの範囲とすることにより、良質の会合体を形成することができる。
【0015】
また、上記一般式(I)または(II)で示されるスクエアリリウム色素誘導体の溶媒中の濃度は、1〜5重量%とすることが好ましく、1〜3重量%とすることが特に好ましい。濃度をこの範囲とすることにより、会合体の形成が顕著となる。
【0016】
溶液の固体基板上への塗布方法としては、従来より知られた方法を用いることができ、例えば、スピンコート法、キャストコート法、ディップコート法等を挙げることができる。
【0017】
本発明においては、このようにして得られた色素会合体薄膜を、酸またはアルカリにより後処理する。
酸としては、特に限定されないが、塩酸、臭化水素、硫化水素、硫酸、硝酸、亜硫酸、亜硝酸、リン酸、亜リン酸、炭酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の他、RCOOH、RSO3H(式中、Rは、H、Cn2n+1、Cn2n-1、Cn2n-3、Cn2n+1-mmまたはCn2n-1-mmを示し、Xは、F、Cl、Br、I、NO2、CN、−CHO、OHまたはSHを示し、nは、1〜10の整数を示し、mは、1〜2n−1の整数を示す)で示される有機酸等を挙げることができる。これらの中でも、酢酸および塩酸は特に好ましい。
アルカリとしては、特に限定されないが、アンモニア、RNH2、R2NH、R3H(Rは、Cn2n+1、Cn2n-1、アリール基、Cn2n+1-mmまたはCn2n-1-mmを示し、Xは、F、Cl、Br、I、NO2、CN、−CHO、OHまたはSHを示し、nは、1〜10の整数を示し、mは、1〜2n−1の整数を示す)等を挙げることができ、これらの中でもアンモニアは特に好ましい。
これらの酸またはアルカリは、希釈せずにそのまま用いることができるが、濃度1〜30容量%となるように水に希釈して用いることができる。
【0018】
酸またはアルカリによる後処理は、色素会合体薄膜を酸またはアルカリの蒸気中に保持することにより行なうことができる。処理温度は、酸の場合、酸の種類によっても異なるが、例えば、酢酸を使用する場合、室温〜130℃程度の温度が好ましく、70〜90℃がより好ましく、80℃程度が特に好ましい。また、処理時間は、処理温度に依存し、酢酸や塩酸を使用する場合、室温においては、数時間以上を要するが、70〜90℃においては、数秒〜10分間程度とすることができ、特に、80℃の場合は、数秒〜数分、特に1分間程度とすることが好ましい。会合体の波長広がりは、用いる酸の種類、濃度、処理温度および処理時間に大きく依存するが、いずれの場合でも最適処理時間を超えると、会合体吸収がブロードになるとともにピーク値が現象し、会合体が崩壊する。
【0019】
アルカリで処理する場合は、酸処理の場合よりも、処理時間が若干長くなり、例えば、アンモニアを用いる場合は、60〜130℃程度の温度において、一般的に、数分〜2時間程度とすることができる。
【0020】
本発明のスクエアリリウム色素会合体薄膜は、光スイッチの他、光分配器、光変調器、光スイッチ列の材料として使用することができる。
すなわち、本発明における光スイッチは、光で光を変調する広い意味での光変調器全体を包含する。したがって、必ずしもオン・オフ型の光スイッチのみを意味しない。光変調器は、光路変換素子、レンズ、ミラー、方向性結合器の他、制御光により誘起された屈折率変化により信号光を変調するデバイスすべてを含む。また、屈折率変化の要因は特に限定しておらず、吸収飽和の回復現象以外にも、色素会合体薄膜の示す非線形光学効果のすべてを利用することができる。さらに、本発明の光スイッチは、個々の光スイッチを組み合わせた光分配器等のシステムデバイスも包含している。
【0021】
(光スイッチについて)
本発明の色素会合体薄膜を用いて形成された光スイッチの構造を図8に模式的に示す。
図8中、本発明の色素会合体薄膜12(膜厚200〜300nm)は、ガラス基板14の上の誘起体多層膜反射ミラー13上に設けられており、さらに、Auの薄膜11(50nm)により被覆されている。
下記実施例1において得られた色素会合体薄膜12の膜厚は、制御光なしの状態で、干渉により信号光の反射光が0になるように調整した。パルス幅100fsの信号光(500nJ/cm2)および制御光(40μJ/cm2)を用いたところ、制御光の照射時のみ信号光の反射が観測され、光スイッチ動作が確認された。この光スイッチの応答時定数は約500fsであった。
【0022】
(光分配器、光変調器、光スイッチ列について)
図9は、本発明の色素会合体薄膜を用いて形成された光分配器、光変調器および光スイッチ列を模式的に示す図である。
このうち、光分配器は、テラビット信号光1〜4をギガビット信号光に変換する本システム全体を指している。本発明の色素会合体薄膜12は、光分配器中にある超高速空間変調素子15の材料として用いられる。超高速空間変調素子15は、光変調器として、制御光により、信号光に強度変調を与えるものである。この超高速空間変調素子15は、図9に示すような個々の光スイッチが集合した光スイッチ列により形成される。光スイッチ列は、固体基板上に形成された色素会合体薄膜12を部分的に被覆することにより容易に形成することができる。
【0023】
本発明の光分配器の動作原理を簡単に説明する。十分に波面の広がった信号光を超高速空間変調素子15に対して垂直に入射させる。一方、同様に波面を広げた制御光を、超高速空間変調素子15に対して傾斜した方向から入射させる。超高速空間変調素子15の傾斜による制御光の光路差のため、ある主観においては、超高速空間変調素子15を形成する光スイッチ列のうち、唯一つの光スイッチのみを動作させることが可能である。このとき、超高速空間変調素子15上に達している信号光は、動作した光スイッチの位置に対応した受光素子アレイ6に到達する。信号光と制御光の交わる位置が各光スイッチに対応するよう信号光と制御光を同期させることにより、シリアルに送られてきた信号光を各受光素子に割り振ることが可能になる。
【0024】
本発明の色素会合体薄膜を用いて形成した光スイッチは、半導体により形成される光スイッチに比べて、絶対的な応答時間に優れたものであるが、さらに下記のような利点を有している。
【0025】
(1)材料、プロセスが安価で、簡易であるため、極めて低コストで形成することができる。
(2)光スイッチの製造、動作ともに常温、大気中で行なうことができる。
(3)材料形成に要する時間が極めて短く、大掛かりな設備を必要としないため生産性に優れる。
(4)大面積化が容易である。
【0026】
この大面積化が容易であるという特徴によって、本発明の光スイッチが形成可能となる。すなわち、これまで半導体材料では作製が不可能であるか極めて困難であった、大面積(数cm〜数十cmφ)の光スイッチを容易に形成することができる。また、ある程度の面積の膜を作製し、その後、マスク形成によって膜を複数に分割することにより、極めて容易に1次元または2次元の光スイッチ列を形成することができる。これらの特徴から、本発明の光スイッチは、並列光情報処理等の用途にも極めて有望である。
その他、本発明の光スイッチは、多様な分子を利用することにより高機能化が容易であること、製膜に高温を必要としないため他種材料とのハイブリッド化が容易であること等の利点も有している。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
(参考例1:特願平10−181581号の実施例1の色素会合体薄膜)
スクエアリリウム色素誘導体(上記一般式(I)中、Rはn−ブチル基を示し、X=Hを示す)をジクロロエタン中に溶解し、ジクロロエタン1重量%スクエアリリウム色素会合体薄膜溶液を得た。次いで、この溶液をスピンコート法により、固体基板上に塗布し、色素会合体薄膜を得た。得られた薄膜の吸収スペクトルを図2に示す。図2中、770nm付近に現れている吸収が会合体由来のピークである。650nm付近の単分子由来の吸収より100nm以上も長波長化していることが解る。
【0028】
(実施例1)
スクエアリリウム色素誘導体(上記一般式(I)中、Rはn−プロピル基を示し、X=Hを示す)をジクロロエタン中に溶解し、ジクロロエタン1重量%スクエアリリウム色素会合体薄膜溶液を得た。次いで、この溶液をスピンコート法により、固体基板上に塗布し、色素会合体薄膜を得た。得られた薄膜の吸収スペクトルを図3に示す。図3中、710nm付近に現れている吸収が会合体由来のピークである。この誘導体の溶液状態の吸収ピークは640nmである。
次いで、この薄膜を酢酸蒸気中において、80℃で3分間処理すると、会合体吸収が765nmにシフトし、吸収ピークの先鋭化・増大が見られ、会合体形成が促進することが解った(図4)。図4に示されるように、酸処理された会合体は、酸処理されていない図3の会合体に比べて、極めて鋭い吸収を持つことがわかる。
【0029】
(実施例2)
実施例1で得られた図3に示される色素会合体薄膜を、アンモニア10容量%水溶液の蒸気中において、60℃において1時間処理した。得られた薄膜の吸収スペクトルを図5に示す。図5に示されるように、スピンコートにより形成された会合体が壊れ、ほぼ分子分散状態になっている。また、400nm付近に新たな会合体吸収が現れている。
このように酸処理とアルカリ処理は、会合体の形成について、逆方向に作用するため、これらを組み合わせることにより、薄膜化した後に会合体の多様な制御が可能となる。
【0030】
(実施例3)
本発明の色素会合体薄膜の超高速光スイッチへの応用可能性を検証するために、吸収飽和の回復時定数を測定した。
色素会合体薄膜は、実施例1において得られた色素会合体薄膜(その吸収スペクトルは図4を参照のこと)を用い、測定はポンプ・プローブ法により行なった。図6に測定結果を示す。ポンプ光強度が36μJ/cm2・pulseのとき、明瞭な吸収変化が観測された。図7に吸収変化の時間変化を示す。モデル関数によりフィッティングした結果、時定数として、早い成分は約500fsであることがわかった。これは、本材料を用いることにより、1THz以上で動作可能な超高速光スイッチを形成できることを示している。
【0031】
本発明により、任意の固体基板上に形成したスクエアリリウム色素薄膜を酸またはアルカリ処理することにより、会合体の形成を制御することができる。本発明の色素会合体薄膜は、フェムト秒領域での超高速光スイッチ材料、光分配器、光変調器、光スイッチ列として使用可能である。本発明の色素会合体薄膜は、テラビット光情報通信のための極めて低コストで高性能な超高速光スイッチ材料として、非常に有望である。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、任意の固体基板上に形成したスクエアリリウム色素薄膜を酸またはアルカリ処理することにより、会合体形成を制御して、波長広がりが狭く、光スイッチに適した色素会合体薄膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】会合体と光の相互作用を示す図である。(a)は、分子がランダムに分散した状態を示し、(b)は、分子が会合体を形成して規則的に配列した状態を示す。
【図2】参考例1における色素会合体薄膜の吸収スペクトルである。
【図3】実施例1における酸処理前の色素会合体薄膜の吸収スペクトルである。
【図4】実施例1における酸処理後の色素会合体薄膜の吸収スペクトルである。
【図5】実施例2におけるアルカリ処理後の色素会合体薄膜の吸収スペクトルである。
【図6】図4の色素会合体薄膜のポンプ・プローブ測定結果を示すグラフである。
【図7】図4の色素会合体薄膜の吸収回復の時間変化を示すグラフである。
【図8】光スイッチの構造を示す図である。
【図9】光分配器、光変調器、光スイッチ列の構造を示す摸式図である。
【符号の説明】
1、2、3、4 テラビット信号光
11 Au薄膜
12 色素会合体薄膜
13 誘電体多層膜反射ミラー
14 ガラス基板
15 超高速空間変調素子
16 受光素子アレイ

Claims (12)

  1. 下記一般式(II)
    Figure 0003861477
    (R1〜R4は同じでも異なっていてもよく、それぞれアルキル基を示し、X1〜X8は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、H、Cl、OH、CH3またはOCH3を示す)
    で示されるスクエアリリウム色素誘導体を溶媒に溶解し、得られた溶液を固体基板上に塗布して薄膜を形成し、次いで、得られた薄膜を、70℃〜90℃の酢酸蒸気中において、数秒〜10分間保持することにより処理することよりなり、得られる色素会合体薄膜の吸光度の波長広がりの半値幅が25nm以下であることを特徴とする色素会合体薄膜の製造方法。
  2. 下記一般式(II)
    Figure 0003861477
    (R1〜R4は同じでも異なっていてもよく、それぞれアルキル基を示し、X1〜X8は同じでも異なっていてもよく、それぞれ、H、Cl、OH、CH3またはOCH3を示す)
    で示されるスクエアリリウム色素誘導体を溶媒に溶解し、得られた溶液を固体基板上に塗布して薄膜を形成し、次いで、得られた薄膜を、70℃〜90℃の酢酸蒸気中において、数秒〜10分間保持することにより処理して得られ、吸光度の波長広がりの半値幅が25nm以下であることを特徴とする色素会合体薄膜。
  3. 請求項記載の色素会合体薄膜を用いて形成することにより得られることを特徴とする光スイッチ。
  4. 色素会合体薄膜の2次または3次の非線形光学効果を利用することを特徴とする請求項記載の光スイッチ。
  5. 色素会合体薄膜の吸収飽和の回復現象を利用することを特徴とする請求項記載の光スイッチ。
  6. 色素会合体薄膜を1mm2以上の面積に渡って製膜して利用することを特徴とする請求項記載の光スイッチ。
  7. 色素会合体薄膜を1cm2以上の面積に渡って製膜して利用することを特徴とする請求項記載の光スイッチ。
  8. 請求項記載の色素会合体薄膜を用いて形成することを特徴とする光スイッチの製造方法。
  9. 請求項記載の色素会合体薄膜を用いて形成することにより得られることを特徴とする光分配器(DEMUX)。
  10. 請求項記載の色素会合体薄膜を用いて形成することにより得られることを特徴とする光変調器。
  11. 請求項記載の色素会合体薄膜を部分的に覆い、色素会合体薄膜の各部分に独立して動作する複数の光スイッチを形成することにより得られることを特徴とする光スイッチ列。
  12. 請求項記載の色素会合体薄膜を部分的に覆って、色素会合体薄膜の各部分に独立して動作する複数の光スイッチを形成することを特徴とする光スイッチ列の製造方法。
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