JP3860991B2 - 磁気ディスク装置およびこれに用いられるキャリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気ディスク装置に関するものである。さらに詳細には磁気ディスク装置の磁気ヘッド位置決めに用いるキャリッジに関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気ディスク装置では、記録容量増大のための記録密度の向上が求められている。そのためには、磁気ヘッドの位置決め精度を上げることが重要である。位置決め精度向上の阻害要因としては、ディスクの回転やキャリッジの位置決め動作による機構系の振動による位置決め誤差や、磁気ディスク装置の外部から振動が加わった場合に生じる位置決め誤差などが挙げられる。これらの位置決め誤差を低減するためには、位置決め制御の制御帯域を広くするか、あるいは機構系の振動を低減することが必要である。
【0003】
これらのうち、キャリッジの位置決め動作による機構系の振動では、トラックから他のトラックへのヘッド移動動作において、目標トラックへの位置決めの際にキャリッジに入力される駆動力によって、キャリッジの各部分が励振されて生じる振動成分が大きい。
特にキャリッジアーム(以下単にアームと呼ぶ)の面内曲げを伴う振動モードは、揺動型のキャリッジにおいてはアームの先端にあるヘッドを振り回すことになるので影響が大きい。このような振動モードは、例えば主共振モードやアームの面内曲げ1次モード等がある。この主共振モードとは、軸受け部の変形とキャリッジ全体の曲げ変形が合成されたモードであり、またアームの面内曲げ1次モードとは、複数あるアームのそれぞれが片持ち梁の1次曲げのように変形するモードである。
【0004】
さらには位置決め動作における残留振動によってデータの読み出しあるいは書き込み可能となるまでの時間が増大することで、ディスク装置の読み出し/書き込みの速度が低下するという問題もある。このような残留振動を低減する方法としては特開平11-66773号公報に記載のように動吸振器によって振動を減少させる方法などがある。
【0005】
また位置決め制御の高帯域化には、コイルに発生する力を入力として、位置決め方向の磁気ヘッドの変位を出力とした伝達特性における、キャリッジの1次振動モードであるところの主共振モードが大きく影響する。一般に位置決め制御の高帯域化を図る場合には、主共振モードの固有振動数(以下主共振周波数)におけるゲイン余裕が制約条件となる。したがって主共振周波数を高くするか、もしくは伝達特性上のゲインを小さくすることで、ゲイン余裕を確保して高帯域化をはかることができる。例えば特開2000-48497号公報の例ではキャリッジの軸受けの締結方法を変更することにより高剛性化することにより主共振周波数を上げようとしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ヘッド位置決め時の残留振動として現れるキャリッジの振動に対して動吸振器を用いる方法では、対象とする振動モードの振動数に対する調整が難しい点が問題として挙げられる。動吸振器において高い減衰を付加しなければ、目標とする振動の振動数に正確に合わせこむ必要があり、これが少しでも外れると直ちに効果が低減してしまう。また高い減衰効果を持つ材料を用いることで。振動数のばらつきに対応しようとしても、その分振動低減効果が下がってしまう。
【0007】
同じく高減衰材を使用するのであれば、残留振動を生じる部位に対して直接減衰効果を持つ部材を適用することで、問題となる残留振動の振幅を低減し、かつ減衰による振動の収束を早めることで、細かい調整を省くことができることは容易に理解できる。
【0008】
一方、高帯域化の要となる主共振モードは軸受け部の変形とキャリッジ全体の曲げ変形が合成されたモードである。そのため、主共振周波数を高くするためには、軸受けやキャリッジ全体の剛性を高くしたり、キャリッジを軽くすることが有効である。しかし、実際の磁気ディスク装置では、軸受けの高剛性化はもはや限界に近づきつつある。キャリッジについても大幅な高剛性化や軽量化は相反する方向であり、大幅に主共振周波数を高くすることは困難である。つまり、主共振周波数を高くして、制御帯域を広くすることはもはや限界に近づいている。そのため、伝達特性上での主共振ゲインを低下させることで制御帯域を広げる必要がある。
【0009】
本発明の目的は、上記の課題を解決するもので、制御帯域を広くして位置決め精度を向上し位置決め誤差を低減することにより、記録密度を向上し、記録容量の大きい磁気ディスク装置を実現することである。また他の目的は、ヘッド位置決め動作時の残留振動を低減し、読み出し/書き込み速度を向上させ、高速転送の可能な磁気ディスク装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の本発明の課題を解決するために、キャリッジアームにディスク面と平行な方向に第1の腕部と第2の腕部とを並べて設け、第1の腕部と第2の腕部との間に粘弾性体を有する部材を設ける。粘弾性体を有する部材は粘弾性体よりも高い剛性を有する剛体部とこの剛体部の両端部に設けられた粘弾性体とを有してなり、剛体部の各端部に設けられた粘弾性体がそれぞれ第1の腕部と第2の腕部とに取り付けられる。これによって、アームの面内曲げを伴う振動モードにおいて、第1の腕部と第2の腕部の相対変位が生じることで、両腕部の間に設けられた粘弾性体に大きなひずみが生じる。そのため粘弾性体の持つ減衰効果を高めることができる。
さらには、第1の腕部および第2の腕部において、それぞれの中央部分の幅がサスペンション側端部あるいはこの端部と反対側の端部の幅よりも大きくした形状にすることで減衰効果をさらに高めることができる。これはアーム曲げ変形において同じヘッド変位で比較した場合に、端部の剛性が相対的に低いために中央の幅の広い部分が変形せず、端部で変形が起こる。これによって第1の腕部と第2の腕部の相対変位がより大きくなり、より大きなひずみを発生するためである。
また、粘弾性体をこの粘弾性体よりも高い剛性を有する剛体部、具体的には薄板状の部材(以下、拘束部材という)の両端部に設け、両端部に設けた粘弾性体をそれぞれ第1の腕部の中央部分と第2の腕部の中央部分のディスク面と略並行な面に貼り付ける構成とすれば、中央部分の幅が広い部分に貼り付ける粘弾性体の面積が大きくなって減衰効果を発生する部分が広がることで、さらに効果を増大することができる。
第1の腕部と第2の腕部との間は、中央の幅の広い部分を、拘束部材を介することなく、粘弾性体を介して連結される構成としても、第1の腕部と第2の腕部が端部を支点に回転するように相対的に変位することで粘弾性体にひずみを発生して高い減衰効果を得ることができる。拘束部材がないことでコストダウンが可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
図1は本発明を適用した第1の実施例であるキャリッジの斜視図、図2はキャリッジの上面図である。図3はキャリッジの側面図である。また本発明のキャリッジを搭載した磁気ディスク装置の例を図4に示す。キャリッジ1の先端にはサスペンション2を介して磁気ヘッド(図示せず)を搭載したスライダ3が取り付けられている。コイル4に電流を流すことによりボイスコイルモータ5とコイル4の間に力が発生し、軸受け部を中心にディスクの回転軸と平行な回転軸周りにキャリッジ1が回転し、スライダ3をディスク6上の任意の半径位置(目標トラック)に位置決めすることができる。
【0013】
キャリッジ1は、キャリッジアームの腕部7aおよび7bの各々のアーム前端部8とアーム後端部9の幅がアーム中央部10の幅より小さい構成としている。ここでaあるいはbは、図2において胴体部11からサスペンション固定部12に向かって右側をa、左側をbの添え字で表す。例えば8aとはアームの腕部7aの前端部である。また腕部7aおよび7bはディスク面に平行な方向に並べてキャリッジアームに設けられている。
【0014】
アーム中央部10aおよび10bのディスク面と平行な面に粘弾性体13を介して拘束板(拘束部材)14が橋渡しするように貼り付けられている。すなわちアーム中央部10aおよび10bの間に粘弾性体13が設けられる。このときアーム中央部10aおよび10bの間には拘束板(拘束部材)14と粘弾性体13とからなるような、粘弾性体13を有する部材であってもよい。この例では、拘束板14は50〜200μm程度の厚さのステンレス鋼板であり、粘弾性体13は50〜100μm程度の厚さの粘着材料であって、拘束板14を中央部10aおよび10b上に支持する役割を兼ねている。拘束板(拘束部材)14は粘弾性体13よりも高い剛性を有する剛体部(剛体部15とは異なる)を構成する。
【0015】
図5は主共振モ−ドにおけるアームの曲げ変形形状を示す図である。図2のアーム形状では、アーム前端部8とアーム後端部9の幅がアーム中央部10の幅を小さくしているため、仮想的には図6に示すような剛体部15と回転部16で表現される、4節リンク構造でモデル化することができる。このとき剛体部15に相当する中央部10aおよび10bは後端部9aあるいは9bを支点に回転するように動き、図5の矢印17で示されるような相対変位を生じる。したがって拘束板14が十分に剛であるため、その長さは不変であり、粘弾性体13に面内方向のせん断ひずみを生じることになる。このひずみエネルギーを粘弾性体13は熱エネルギーに変換して消散することで減衰効果が発生する。このメカニズムによれば粘弾性体13に生じるひずみが大きければ、すなわち拘束板14と各腕部の中央部10との相対変位が大きいほど、費消されるエネルギーが大きくなりより減衰効果が高まる。また。粘弾性体13の腕部中央10と貼り付けられている面積が大きければ、より多くの部分でエネルギーが費消されて減衰効果が高まることがわかる。
【0016】
位置決め制御の高帯域化のためには、コイルに発生する力を入力として、位置決め方向の磁気ヘッドの変位を出力とした伝達特性における、キャリッジの1次振動モードであるところの主共振モードの周波数を上げるか、ゲインを低減することが必要である。図12に伝達特性における本発明の効果を示す。本発明を用いない場合の伝達特性29に比べて、本発明を適用した場合の伝達特性30では主共振モードのゲインが低減する。また図13に位置決め動作時において、目標トラック付近まで来たときの目標トラックからの位置ずれ信号を示す。図13(A)が本発明を適用しない場合であり、(B)が本発明を適用した場合の波形である。矢印31で示す高い振動数の振動振幅が低減していることがわかる。
【0017】
本実施例では図3に示すように、全てのアームに拘束板14を粘弾性体13で貼り付ける構成となっている。このようにすることで全てのアームにおいて曲げ変形時に減衰効果を得ることができる。しかし全てのアームが胴体部11に連接しているキャリッジにおいては、主共振モードに代表されるアームの面内曲げを伴う振動モードとは、キャリッジ全体がひとつの構造体として変形する振動モードであって、部分的に減衰効果を発生する部分を設けてやっても、全体系としてのキャリッジにおけるその振動モードに対する減衰比が増加することになるので、やはり全てのアームの振動を低減することができる。
【0018】
よって図3に示す中間部のアーム18に拘束板14や粘弾性体13を貼らずに、両端のアーム19の外側に貼るだけでも、全てのアームの振動に対して減衰効果を与えることができる。このことは実際の磁気ディスク装置において、両端のアーム19に拘束板14を粘弾性体13で貼り付けることで、全ての磁気ヘッドにおける伝達特性において、アーム面内曲げを伴う振動モードのゲイン低下が可能であることを示している。このように中間部のアーム18に拘束板14を貼らないようにすることで、貼り付け部位を減らして組立工数を低減することができる。
【0019】
また一般に磁気ディスク装置内の高さ方向の関係においては、中間部アーム18はディスク6と互い違いに配置されている。そのためアームの厚さ方向に寸法制限がある場合が多い。その場合には図7に示すように、アームの厚さ方向に溝20を設けてその内部に拘束板14を粘弾性体13を介して貼り付けることで、厚さ方向の寸法増大を避けることができる。この場合、溝20を設けることでアームの剛性低下が懸念されるが、はりの曲げ剛性と対比して考えれば、アームの面内方向剛性に対してはアームの厚さは比例的にしか影響しないので、面内方向に対して3乗で影響するアーム腕幅よりも剛性低下は少なくて済む。特に本実施例の場合、拘束板14を貼り付ける位置は剛体とみなせるように腕幅をひろげてある中央部10であるので、アームの曲げ変形に及ぼす影響は非常に小さい。
【0020】
またアーム面外方向の曲げ剛性に対しては、粘弾性体13を介しているが、その外側に剛性のたかい拘束板14が支持しているので、溝20を設けることによる面外方向の剛性低下も非常に少なくてすみ、さらには溝20におけるひずみ集中を考慮すれば、粘弾性体13にひずみを生じて、アームの面外曲げ振動に対しても減衰効果を得ることができる。
【0021】
組立に際して、アーム中央部10aあるいは10bに拘束板14を貼り付ける際に、粘弾性体13を拘束板14と中央部10とが対向する部分だけに貼るようにすることが望ましい。なぜなら拘束板14のアームに対向する面のうち、両方の腕部中央10aと10bの間の空間に露出している部分に粘弾性体13があっても、拘束板14の剛性が十分である場合には粘弾性体13にひずみは生じないため、この部分での減衰効果が期待できないためである。さらには粘弾性体13が大きく露出することで、微視的に粘弾性体13の一部が剥がれ落ちて塵埃化することを避けるという意味もある。これらを解決する他の方法としては、この腕部中央部10aと10bの間の空間で露出している粘弾性体13にさらに追加の拘束板を貼るといった方法も考えられる。より拘束板14の剛性を向上できるという利点もある。
【0022】
図8に本発明の第2の実施例を示す。図8(a)に示すように、キャリッジアームの腕部7aおよび7bの腕幅は一定とし、図8(b)に示すようなアーム変形を生じるように腕部7aおよび7bの太さ、長さ等の寸法や剛性等を設計してある。この場合でも腕部7aと7bの中間部付近には相対変位が生じるので、上記と同様のメカニズムで拘束板14との間の粘弾性体13にひずみが生じて減衰効果を得ることができるが、各々の腕部7aおよび7bは腕部の全域にわたって次第に曲げられる形状となるので、中央部付近の相対変位は第1の実施例に比べて小さくなり、減衰効果は減る。また粘弾性体13を貼り付ける領域を増やすために腕幅を増やすと、よりアームの曲げ剛性が高くなるため変形量が減って減衰効果は落ちるものの、アーム7全体の剛性が高くなることで主共振モードをはじめとするアーム面内曲げを伴う振動モードの共振周波数を上げることができる。
【0023】
図9に本発明の第3実施例を示す。キャリッジアームの形状は第1の実施例と同じように、キャリッジアームの腕部7aおよび7bの各々のアーム前端部8とアーム後端部9の幅がアーム中央部10の幅が小さい構成としている。さらに腕部中央10aおよび10bの内側に、図中に拡大して示す拘束部材21を2枚の粘弾性体13を用いて挟み込む構成としている。このようにすることで第1の実施例と同様に、腕部中央10aと10bの相対変位に対して、拘束部材21で挟まれた粘弾性体13にひずみが生じて減衰効果を発生することができる。この場合、拘束部材21の厚さをアームの厚さと同程度にすることで、アーム面外方向の寸法増加を抑えることができる。また全てのアームに拘束部材21を貼り付けても、一部のアームに貼り付けても、全てのアームにおいて減衰効果が期待できる点は第1の実施例と同様である。
【0024】
図10に本発明の第4実施例を示す。キャリッジアームの形状は第1および第3の実施例と同じように、キャリッジアームの腕部7aおよび7bの各々のアーム前端部8とアーム後端部9の幅がアーム中央部10の幅が小さい構成としている。ここでは腕部中央部10aおよび10bの形に沿って、熱可塑性の減衰部材22を充填する構成となっている。減衰部材22としては、高い減衰を有する粘弾性体を熱可塑性樹脂に混ぜて整形するか、あるいはゴムのような減衰の高い弾性部材を用いるのが望ましい。この実施例では、第1乃至第3の実施例にあるような拘束部材がないが、腕部中央部10aと10bとがお互いに拘束部材の役割を兼ねて、相対変位する際に減衰部材22にひずみを生じることで、これまでと同様に減衰効果を発生させることができる。このような構成にすることで、拘束部材が不要でより簡単な構造にすることができる。
【0025】
図11に本実施例の組立方法を示す。サスペンション2が取り付けられる前の状態Aで、横整形型23を面内方向にアーム間に挿入する。さらに縦整形型24を面外方向から挿入して状態Bとする。縦整形型24にはアーム腕7aと7bの間に空いている孔に合わせて外形を決めた円筒部25、26があり、その中心軸線上には各々管路27が設けられている。さらに円筒部26、27の側面にはアームの位置に合わせて射出孔28が空いている。状態Bにおいては横整形型23と縦整形型24とアームによって囲まれた空間がうで部中央部10aと10bの間にできることになる。この状態で管路27の片方から高温で溶融した減衰材料を、上記の空間に射出孔28から押出して整形し、しかる後に冷却硬化させて減衰部材22を整形する。以上の工程によって減衰部材22はアーム腕部中央付近に整形される。腕部中央部10aあるいは10bの減衰部材22に対抗する面は、図10では平面で描かれているが、必ずしも平面である必要は無く、減衰部材22との密着面積を増加させるために凹凸を設けるなどすると、さらに望ましい。図11に示す組立工程では、全てのアームに同時に減衰部材22を整形することができるので、全てのアームに付与することが効果的であるが、もちろんこれまでの実施例と同様に一部のアームにのみ付与することもできる。
【0026】
本発明の第1乃至4の実施例によるキャリッジを用いることで、アームの面内曲げを伴う種々の振動モードに対して高い減衰効果を与えることができる、特に主共振モードの伝達関数におけるゲインを下げることで制御帯域を広くして位置決め精度を向上させ、高記録密度の磁気ディスク装置を提供することができる。さらには対象モードのヘッド位置決め動作時の残留振動を低減し、読み出し/書き込み速度を向上させ、高速転送の可能な磁気ディスク装置を提供することができる。
【0027】
以上の説明の中で、”主共振モード”とは、軸受け部の変形とキャリッジ全体の曲げ変形が合成されたモードであり、文献「Analytical and Experimental Study of the Effect of Basa-plate and Top Cover Stiffness on Actuator and Diskpack Dynamics」(Yih-Jen Dennis他、10th Annual Symposium on Information Storage and Processing Systems June28-30,1999)における「lateral bending system mode」、文献「Active Damping in HDD Actuator」(Fu-Ying Huang他、IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS,VOL.37,No2.,MARCH 2001)における「butterfly mode」、文献「Development of a Single Coil Coupled Force VCM Actuator for High TPI Magnetic Recording」(Huai Lin他、IEEE TRANSACTIONS ON MAGNETICS,VOL.37,No2.,MARCH 2001)における「QRmode」と同じ変形モードを意味する。”アームの面内曲げ1次モード”とは、複数あるアームのそれぞれが片持ち梁の1次曲げのように変形するモードで、上記文献「Active Damping in HDD Actuator」における「end arm mode」と同じ振動モードを指す。
【0028】
また以上の説明において、面内とは、ディスク面に平行な面に沿った方向を指し、面外とはディスク面に垂直な軸線方向を指すものとする。
【0029】
尚、以上の説明で用いた図面は、説明の関係上、縦横比、各部の寸法比は必ずしも正しくない。
【0030】
【発明の効果】
本発明により、アームの面内曲げを伴う種々の振動モードに対して高い減衰効果を与えることができ、キャリッジの振動を抑えて位置決め誤差を低減することにより、高記録密度の磁気ディスク装置を提供できる。また、ヘッド位置決め動作時の残留振動を低減し、読み出し/書き込み速度を向上させ、高速転送の可能な磁気ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例のキャリッジの斜視図である。
【図2】 本発明の第1の実施例のキャリッジの上面図である。
【図3】 本発明の第1の実施例のキャリッジの側面図である。
【図4】 本発明の第1の実施例を用いた磁気ディスク装置の模式図である
【図5】 本発明の第1の実施例のアーム変形を示す図である。
【図6】 本発明の第1の実施例のアーム変形の原理モデルを示す図である。
【図7】 本発明の第1実施例のアーム側面拡大図である。
【図8】 本発明の第2の実施例のキャリッジの上面図である。
【図9】 本発明の第3の実施例のキャリッジの斜視図である。
【図10】 本発明の第4の実施例のキャリッジの斜視図である
【図11】 本発明の第4の実施例のキャリッジの組立を説明する図である。
【図12】 本発明の第1実施例の伝達特性線図である。
【図13】 本発明の第1の実施例の位置決め残留振動波形を示した図である。
【符号の説明】
1…キャリッジ、2…サスペンション、3…スライダ、4…コイル、5…ボイスコイルモータ、6…ディスク、7…キャリッジアーム、8…アーム前端部、9…アーム後端部、10…アーム中央部、11…胴体部、12…サスペンション固定部、13…粘弾性体、14…拘束板、15…剛体はり、16…リンク部、17…中央部変形、18…中間アーム、19…両端アーム、20…溝、21…拘束部材、22…減衰部材、23…横整形型、24…縦整形型、25…前側円筒部、26…胴体側円筒部、27…管路、28…射出孔、29…発明未適用の伝達特性、30…発明を適用後の伝達特性、31…残留振動振幅。
Claims (5)
- 磁気ヘッドを搭載するスライダをこのスライダに所定の荷重を与えるためのサスペンションとこのサスペンションが固定されるキャリッジアームとでディスク上に支持し、キャリッジアームの前記サスペンションが固定された端部とは反対側の端部に設けた回転軸周りにキャリッジアームを回転駆動し、前記磁気ヘッドを前記ディスク上の目標とするトラックに位置決めし、情報を読み書きする磁気ディスク装置において、
前記キャリッジアームの前記サスペンションが固定される側の端部と前記回転軸側の端部との間に、ディスク面と平行な方向に第1の腕部と第2の腕部を並べて設け、第1の腕部と第2の腕部とに間に粘弾性体を有する部材を設け、
前記粘弾性体を有する部材は粘弾性体よりも高い剛性を有する剛体部とこの剛体部の両端部に設けられた粘弾性体とを有してなり、前記剛体部の各端部に設けられた粘弾性体がそれぞれ第1の腕部と第2の腕部とに取り付けられたことを特徴とする磁気ディスク装置。 - ディスクに情報を読み書きをする磁気ヘッドを搭載するスライダと、スライダを保持しスライダに所定の荷重を与えるためのサスペンションと、サスペンションを固定するためのキャリッジアームとを有するキャリッジにおいて、
キャリッジアームがサスペンション固定部と、ディスク面に略並行に配置された第1および第2の腕部とからなり、前記第1の腕部と第2の腕部に対向する面をもつ拘束部材を設け、前記拘束部材と前記第1の腕部、および前記拘束部材と第2の腕部とが粘弾性体を介して連結されていることを特徴としたキャリッジ。 - ディスクに情報を読み書きをする磁気ヘッドを搭載するスライダと、スライダを保持しスライダに所定の荷重を与えるためのサスペンションと、サスペンションを固定するためのキャリッジアームと、キャリッジアームが連接された胴体部とを有するキャリッジにおいて、
キャリッジアームがサスペンション固定部と、ディスク面に略並行に配置された第1および第2の腕部とからなり、前記第1の腕部および第2の腕部において、それぞれの中央部分の幅が胴体部側端部あるいはサスペンション側端部の幅よりも大きくなっており、さらに前記第1の腕部と第2の腕部に対向する面をもつ拘束部材を設け、前記拘束部材と前記第1の腕部の中央部分、および前記拘束部材と第2の腕部の中央部分とが粘弾性体を介して連結されていることを特徴としたキャリッジ。 - 請求項3に記載のキャリッジにおいて、前記拘束部材が薄板状の部材であって、前記第1の腕部の中央部分および第2の腕部の中央部分のディスク面と略並行な面に、粘弾性体を介して貼り付けられた構造であることを特徴としたキャリッジ。
- ディスクに情報を読み書きをする磁気ヘッドを搭載するスライダと、スライダを保持しスライダに所定の荷重を与えるためのサスペンションと、サスペンションを固定するためのキャリッジアームと、キャリッジアームが連接された胴体部とを有するキャリッジにおいて、
キャリッジアームがサスペンション固定部と、ディスク面に略並行に配置された第1および第2の腕部とからなり、
前記第1の腕部および第2の腕部は、幅が胴体部側端部あるいはサスペンション側端部の幅よりも大きくなっている中央部分と、
前記中央部分において第1の腕部と第2の腕部とを連結する粘弾性体とを有し、
前記中央部は前記胴体部側端部を支点に回転するように動くことを特徴としたキャリッジ。
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