JP3860781B2 - 着脱自在な二階床が昇降可能に設置される荷箱 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は，昇降可能な二階床が設置される荷箱に関し，特に，二階床が着脱自在に設置される荷箱に関する。
【０００２】
【従来の技術】
各種の荷物を運搬するために，トラックなどの車両が利用されるが，このようなトラックは荷物を搬入，搬出する荷箱を有している。
【０００３】
荷物は一般に種々の大きさ，重量を有し，荷箱内を有効に使用するために，さらには荷物の搬入，搬出を容易にするために，荷箱内にもう一つの床を設け，これを二階床として，昇降手段により昇降可能としている。
【０００４】
この二段床を荷箱に設けた車両の斜示図が図１に示されている。図示の車両1の荷箱2は，その両側がウイング式に開閉でき，後方は観音扉式に開閉できる。
荷箱2は，四隅にフレーム3を有し，これがウイング式扉，観音扉を取り付けるための骨格となる。さらに四隅に，案内レール4が設けられ，この中に昇降可能に収納されたスライドブロック5（図２，図３を参照）を介して二階床6が昇降可能に配置されている。
【０００５】
図２に，案内レール4の一部斜視図が示されている。図２に示されているように，案内レール4は，断面略「コ」の字をもち，前述のように，上下に伸長し，荷箱の四隅に固定される。この案内レール4内には，スライドブロック5が，昇降手段により昇降可能に収納され，二階床6に面する側から，ロッド7が突き出ている。ロッド7の先端は二階床6の枠に設けられた穴を通過し，ナットにより二階床6に固定される。
【０００６】
図３および図４に示されているように，案内レール4内のスライドブロック5は，ワイヤ8に連結され，そのワイヤ8を引き込むことにより，または引き出すことにより，昇降し，これにより，スライドブロック5に連結された二階床6も，荷箱内で昇降する。
【０００７】
二階床を昇降可能に収納した荷箱をもつ車両は，二段床の位置を調節することにより，種々の大きさ，重量をもつ荷物を有効に積み込むことができ，荷箱内の空間を有効に利用できるという特徴をもつ。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
しかし，二階床は，スライドブロックに連結固定されているために，不要となっても，フォークリフトやクレーンを使用しないと荷箱から取り外すことができない。
【０００９】
二階床を取り外せないときは，図３，図４に示されているように，下降させ，荷箱の床面に接するようにするが，それ自身厚みがあるために，荷箱内の利用に供する空間が減少し，また車両の重量を重くする。
【００１０】
そこで，本発明は，かかる課題を解決するためになされたものであり，必要に応じて，二階床を設置可能にした荷箱を提供することを目的とする。
【００１１】
本発明の他の目的は，二階床の固定が容易な上記荷箱を提供することである。
【００１２】
さらに，本発明の目的は，二階床を設置したときは，通常の二階床と同様に昇降させることができる上記荷箱を提供することである。
【００１３】
【課題を解決するための手段】
本発明の荷箱は，着脱自在な二階床が昇降可能に設置された荷箱であって，荷箱の壁部に上下方向に設けられた案内レールと，該案内レール内にスライド可能に収納されたスライドブロックと，該スライドブロックを昇降させる昇降装置と，スライドブロックから伸張し，二階床を下から支持する膨出部とを有する。ここで，荷箱に昇降可能に設置された二階床の，スライドブックに対応する部分に，膨出部が下から嵌合可能な凹部が形成される。
【００１４】
二階床を荷箱内に設置するときは，荷箱内に位置する二階床の凹部に，スライドブロックの膨出部を下から嵌合させる。
【００１５】
二階床を荷箱に搬入または搬出するためのキャスターを，二階床の下面に着脱自在に取り付けることができる。
【００１６】
二階床の凹部に嵌合した膨出部を，下から固定するために，付加ブロックを利用することができる。
【００１７】
昇降手段は，スライドブロックに連結されてワイヤを引き込み，引き出す手段であってもよい。また，昇降手段は，レール内に配置され，螺刻されたロッドと，レール内で回転不能に収納された，ロッドに螺合するスライドブロックとからなるものでもよい。
【００１８】
【発明の実施の態様】
図５および図６に，本発明にしたがったスライドブロック10と，これと二階床6とを係合させる基部ブロック11，付加ブロック12との拡大斜視図がそれぞれ示されている。なお，従来の荷箱と本発明の荷箱の共通要素については同じ符号が付される。
【００１９】
スライドブロック10は，従前のスライドブックと同様の形状をもつが，本発明においては，スライドブロック10と二階床6とは固定されない点で異なる。スライドブロック10は案内レール4内で昇降可能に収納されるが，この案内レール4は，従前の案内レールと同様のもので，略「コ」の字の断面を有し，通常は荷箱の四隅に上下方向に伸長し，開放部が荷箱の内部に向くように固定される。四隅に設けられる各案内レールは同じ構造をなすことから，以下で一箇所について説明する。
【００２０】
スライドブロック10は，案内レール4内に昇降可能に収納されるように，案内レールの断面とほぼ同様の矩形の断面をもつブロックである。このスライドブロック10に，ワイヤ8が固定される。ワイヤ8は，従前の昇降手段，たとえば，油圧シリンダーに連結され，油圧シリンダーの伸縮により，引き込まれまたは引き出され，その結果スライドブロックは案内レール内で昇降できる。
【００２１】
スライドブロック10の，荷台内部に向く面からロッド11が膨出している。この実施例では，ロッド11は円筒形のものであるが，これに限定されず，断面多角形のものでもよい。しかし，下で説明するように，ロッドは，二階床に嵌合させるために，円形であることが望ましい。
【００２２】
図６に示されているように，スライドブロックに対応する二階床6の側方下部には，上記ロッド11と嵌合可能な溝16を下端に有する基部ブロックが固着されている。この基部ブロック15の溝16に，以下で説明するように，スライドブロック10のロッド11が下から嵌合すると，二階床6はスライドブロック10に支持され，スライドブロック10が昇降すると，これにともなって二階床も昇降する。
【００２３】
この実施例では，基部ブロックを，二階床とは別個の部品としているが，二階床の側方部材に直接，ロッド11が嵌合する溝を設けてもよい。
【００２４】
上述のように，基部ブロックの溝に，ロッドが嵌合すれば二階床の昇降は行えるが，走行中の振動等により，基部ブロックとロッドとの嵌合が解けるおそれがある。二階床を使用するときに，上記嵌合が解けないように，図６に示されているように付加ブロック20が利用される。
【００２５】
付加ブロック20は，ロッド11が嵌合できる溝21を上端に有し，たとえば，ネジにより，基部ブロック15に取り付けできるように，ネジ穴22を有している。
【００２６】
両ブロック15，20の溝の間に，スライドブロック10のロッド11を位置させ，ネジにより，付加ブロック20を基部ブロック15に取り付けることで，スライドブロックを二階床に固定することができる。この固定により，ロッドが基部ブロックから振動等により外れることがなくなる。さらいより堅固にするために，ロッドの先端をナットで締め付けてもよい。
【００２７】
基部ブロックは，荷箱の四隅に配置された各案内レールに収納されたスライドブロックに対応する二階床の側方位置に配置され，その基部ブロックに付加ブロックが取り付けられる。
【００２８】
図７および図８を参照して，スライドブロックと二階床との係合，およびその係合の解除を説明する。
【００２９】
二階床を必要とするときに，図７に示されているように，予めキャスターを取り付けておいた二階床を，荷箱の2の床面と整合するプラットフォームから荷箱2内に配置しておく。また，昇降手段により，案内レール4内のスライドブック10は，最下点まで下降させておく（図８を参照）。
【００３０】
次に，キャスターが取り付けられた二階床6を荷箱2内に配置する。最下点にあるスライドブロック10は，二階床6に設けた基部ブロック15より下方に位置することから，二階床の荷箱への搬入の邪魔にならない。このとき，二階床6には必要な荷物を予め積んでおくこともできる。二階床6を搬入すると，図８において矢印Aにより示された状態になる。
【００３１】
昇降手段がワイヤ8を巻き上げると，スライドブロック10は案内レール4に案内され上昇し，ロッド11が基部ブロック15の溝16に嵌合する。さらにスライドブロック10が上昇すると，ロッド11により下から支持されて二階床6も上昇する。図８の矢印Bにより示された位置（付加ブロックの取り付け，キャスターの取り外しが行いやすい位置）まで，二階床6が上昇したとき，ロッド11と付加ブロック20の溝21とを整合させて，ボルトなどにより，付加ブロック20を基部ブロック15に固定する。これにより，ロッド11は基部ブロックから外れることなく，二階床6を下から固定して支持することができる。ここで，キャスター25を二階床から取り外す（ただし，キャスターが取り付けられていても，荷物の搬入，搬出に邪魔とならないときは外す必要はない）。
【００３２】
固定された後に，二階床6を所望の高さに，昇降手段をつかって配置する。そして，荷箱の床に必要な荷物を搬入する。
【００３３】
二階床6を取り外すときは，図８において矢印Bにより示された位置に二階床6を配置し，付加ブロック20を，基部ブロック15から外すとともに，取り外されたキャスター25を取り付ける。そして，昇降手段により，スライドブロック10を図８の矢印Aの位置まで下降させる（二階床6のキャスター25が荷箱の床に接地する）。このとき，スライドブロック10のロッド11は，基部ブロックから外れる。
【００３４】
キャスター25を転がすことで，図７に示されているように，二階床6は，プラットフォームへと引き出すことができる。このとき，二階床6上に荷物があると，荷物全体を一度に搬出することができる。
【００３５】
このように，二階床の設置，またはその除去は，フォークリストなどの別個の手段を使用することなく行うことができる。二階床が荷箱から引き出されると，荷箱は通常どおりに使用できる。
【００３６】
説明した実施例では，スライドブロックはワイヤに固定され，ワイヤの引き込み，引き出しにより昇降するが，これに換え，案内レール内に，螺刻されてロッドを回転自在に配置し，ロッドと螺合する穴を有するスライドブロックを案内レールに回転不能に収容し，螺刻されてロッドを回転させることにより，スライドブロックを案内ブロック内で昇降させる構造としてもよい。
【００３７】
【効果】
上記説明したように，本発明にしたがって，スライドブロックと二階床とを係脱自在にすることで，二階床を必要なときに，荷箱に設置することができる。
【００３８】
さらに，二階床にキャスターを着脱自在に取り付けると，別個の手段を使用することなく，二階床を荷箱に設置，または除去することができる。二階床に予め荷物を積んでおくと，荷物全体を一度に，荷箱に搬入，搬出することもできる。二階床の除去は，荷箱全体の重量を減らことになる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は，従来の二階床が設置された車両の斜視図である。
【図２】図２は，案内レールに収納された，二階床に固定される従来のスライドブロックの斜視図である。
【図３】図３は，荷箱に設置された従来の二階床が，昇降手段により，昇降する状態の側面を示す。
【図４】図４は，荷箱に設置された従来の二階床が，昇降手段により，昇降する状態の背面を示す。
【図５】図５は，本発明にしたがった，案内レールに昇降可能に収納されたスライドブロックの斜視図である。
【図６】図６は，本発明にしたがって，スライドブロックを二階床に取り付けるための基部ブロックおよび付加ブロックの斜視図である。
【図７】図７は，本発明にしたがって，二階床をプラットフォームから荷箱に搬入，搬出する状態を示す，車両の略示側面図である。
【図８】図８は，本発明にしたがって，二階床がスライドブロック係脱自在に取り付けられる荷箱の部分背面図を示す。
【符号の説明】
2 荷箱
4 案内レール
6 二階床
8 ワイヤ
10 スライドブロック
15 基部ブロック
20 付加ブロック
25 キャスター

Claims (6)

1. 着脱自在な二階床が昇降可能に設置される荷箱であって，
   前記荷箱の壁部に上下方向に設けられた案内レールと，
   該案内レール内にスライド可能に収納されたスライドブロックと，
   該スライドブロックを昇降させる昇降装置と，
   前記スライドブロックから伸張し，前記二階床を下から支持する膨出部と，
   を有し，
   前記荷箱に昇降可能に設置された二階床の，前記スライドブックに対応する部分に，前記膨出部が下から嵌合可能な凹部が形成され，
   前記二階床を前記荷箱内に設置するときは，前記荷箱内に位置する前記二階床の前記凹部に，前記スライドブロックの前記膨出部を下から嵌合させる，
   ところの荷箱。
2. 請求項１に記載の荷箱であって，
   前記二階床を前記荷箱に搬入または搬出するためのキャスターが前記二階床の下面に着脱自在に取り付けられる，ところの荷箱。
3. 請求項１に記載の荷箱であって，さらに
   前記二階床の前記凹部に，嵌合した前記膨出部を，下から固定するための付加ブロックを有する，ところの荷箱。
4. 請求項３に記載の荷箱であって，
   前記二階床の前記凹部は，前記二段床の側方下面に設けられた基部ブロックに形成され，
   前記付加ブロックは，前記基部ブロックに連結手段により着脱自在に固定できる，ところの荷箱。
5. 請求項１に記載の荷箱であって，
   前記昇降手段は，前記スライドブロックに連結されたワイヤを引き込み，引き出す手段である，ところの荷箱。
6. 請求項１に記載の荷箱であって，
   前記昇降手段は，前記レール内に配置され，螺刻されたロッドを有し，
   前記スライドブロックは，前記レール内で回転不能に収納され，前記ロッドと螺合し，
   前記ロッドの回転により，前記スライドブロックが昇降する，ところの荷箱。

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