JP3856056B2 - 易開封性の脱酸素多層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は脱酸素機能を有するフィルム状またはシート状の脱酸素多層体に関する。詳しくは、脱酸素性能に優れ、かつ易開封性を備えた片側吸収型の脱酸素多層体に関する。本発明の脱酸素多層体は、食品、医薬品や金属製品などの、酸素の影響を受けて変質し易い各種製品の酸化を防止する目的を持つ容器および包装体を構成するために使用される。
【0002】
【従来の技術】
食品や医薬品、金属製品に代表される、酸素の影響を受けて変質し易い各種製品の酸化を防止する目的で、これらを収納した包装容器や包装袋内の酸素除去を行う脱酸素剤が従来より使用されている。この脱酸素剤として初期に開発され現在も多く使用されている形態は、粒状または粉状の脱酸素成分を小袋に詰めたものである。また、より取扱いが容易で適用範囲が広く、誤食などの問題のない安全な脱酸素体として、フィルムまたはシート(以下、まとめてフィルムとする)の形状のものがあり、これにより包装容器や包装袋自体に脱酸素機能を持たせることができる。
【0003】
フィルム形状の脱酸素体自体の内部構造としては、脱酸素成分を含む樹脂からなる脱酸素層と、その脱酸素層の外気側の面に酸素のさらなる透過流入を阻止するバリヤ層とが必須である。また、脱酸素成分による前記各種製品への汚染を防止するために、脱酸素層の外気側とは逆の面に樹脂層を配置することが一般的であり、その樹脂層に高い酸素透過性があることが望ましい。さらに、これらバリヤ層、脱酸素層、酸素透過性層の3種の層以外に、フィルムとしての強度の発現、製造の容易さ、脱酸素性能の向上などの要請により、各種の層を追加することになる。以上を反映した脱酸素体自体の内部構造の例として、特公平4−13147や特願平8−347786などがある。
【0004】
このフィルムを包装容器や包装袋に用いる場合には、上記の脱酸素機能に関する内部構造の最適化と共に、包装容器や包装袋としての各種機能の付与が必要である。この機能のひとつとして易開封性がある。これは、器具を用いることなく適度な強度で容器や袋を開封できる機能である。
通常の脱酸素機能のない包装容器や包装袋への易開封性の付与は、すでに種々の方法により実現されている。それらの方法のうち、容器や袋の構造が最も単純となるのは、包装容器や包装袋を構成するフィルムの、相互に融着する側の層に易開封性を付与する方法であり、さらには、その層に易開封性の樹脂などを用いる方法である。そして、包装容器や包装袋を、易開封性を付与した層を含む側と、易開封性を付与せず易開封される側(相手側)とに分けて捉えると、易開封される側の材質として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどの樹脂、各種のガラス、各種の金属などがあり、これらの各材質に対応して易開封性を付与した層の樹脂などが選択される。これらの例として、特公昭46−35513、特公昭47−35876、特公昭52−46150、特公平5−64593、特公平5−82818、特公平7−110532、特開平8−26340などがある。
【0005】
以上のように、易開封性を付与した脱酸素機能のないフィルムはすでに存在している。しかし、易開封性と高い脱酸素性能とを両立させた脱酸素多層体は存在していなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決して、脱酸素性能に優れ、かつ易開封性のある脱酸素多層体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、易開封性を有することが知られている樹脂のうちの一部の樹脂または樹脂混合物について酸素透過性も高いことを見い出し、これを酸素透過性層に用いることで、高い脱酸素性能と易開封性とを両立させた脱酸素多層体を得て、本発明を完成した。
【0008】
本発明は、複数の樹脂の層が積層された脱酸素機能を有する脱酸素多層体において、脱酸素成分を含む樹脂からなる無孔性または多孔性の脱酸素層Aと、高い酸素透過率の無孔性の樹脂からなる酸素透過性層Bと、低い酸素透過性の材料からなるバリヤ層Cとを備え、前記脱酸素層Aの一方の面に少なくとも前記酸素透過性層Bを、他方の面に少なくとも前記バリヤ層Cを積層し、かつ該酸素透過性層Bが他の樹脂層又はガラス層に融着及び融着後の剥離が容易にできることを特徴とする脱酸素多層体に関する。
【0009】
ここで、前記脱酸素多層体を他の樹脂層又はガラス層に融着させた後に剥離させる場合において、前記酸素透過性層Bの剥離強度が幅1cm当たり1〜20N であることが好ましい。
【0010】
また、前記酸素透過性層Bの酸素透過率が1×10-11 〜6×10-9[cm3 /cm2 ・sec ・Pa]であることが好ましい。
【0011】
また、前記バリヤ層Cの酸素透過率が1×10-12 [cm3 /cm2 ・sec ・Pa]以下であることが好ましい。
【0012】
さらに、フィルムとしての強度の発現、製造の容易さ、脱酸素性能のさらなる向上などの要請により、前記3層以外に各種の層を追加することも可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明による片側吸収型の脱酸素多層体の層構成例が図面に示される。図1はバリヤ層C/脱酸素層A/酸素透過性層Bからなる構成例を示す。ここで、脱酸素層Aは無孔質または多孔質である。また、図2はバリヤ層C/中間層2/脱酸素層A/中間層1/酸素透過性層Bからなる構成例を示す。ここで、脱酸素層Aと中間層1とは多孔質であり、中間層1と中間層2は脱酸素層中の脱酸素成分粒子の凹凸などからそれぞれ酸素透過性層Bとバリヤ層Cとを保護するための層である。
【0014】
脱酸素層の脱酸素成分としては、種々の組成物が知られているが、中でも鉄粉、アルミニウム粉、ケイ素粉などの金属粉、第一鉄塩などの無機塩類、アスコルビン酸とその塩類、カテコール、グリセリンなどのアルコールまたはフェノール類などの各種有機化合物が好ましく、特に鉄粉を主成分とするものが適当である。さらに、鉄粉と各種塩類、特にハロゲン化金属を添加したもの、中でも鉄粉の表面をハロゲン化金属で被覆したものが好ましい。
【0015】
脱酸素層の脱酸素成分以外の樹脂成分としては、通常知られている各種の樹脂、すなわち、単独のモノマー種から重合された高分子のみでなく、各種の共重合体、樹脂の混合体が使用可能である。具体的な樹脂の例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどのオレフィン類の単独重合体および共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体とその水素添加物、各種シリコン樹脂、などがあり、さらにこれらの変成物、グラフト体、混合物などでもよい。
【0016】
バリヤ層を構成する材料としては、低酸素透過性の樹脂では、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル類、ナイロン6、ナイロンMXDなどのポリアミド類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩素含有樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体などと、それらのコート品、金属では、アルミニウムなどの箔または樹脂への蒸着品、無機化合物では、ケイ素酸化物などの樹脂への蒸着品などの通常知られたものがある。
【0017】
酸素透過性層に用いる樹脂としては、脱酸素層の樹脂成分として示したような各種の樹脂のうち、易開封性と高い酸素透過性とを満たす樹脂を選択する。これらについては以下のようになる。
2つの層(少なくとも一方は樹脂からなる層)の間における易開封性は、それら2つの層の間における広い意味での結合力を変化させることで実現される。この結合力を樹脂の材質で変化させる手法として、相溶性のある2つの層の少なくとも一方に相溶性の無い樹脂を混合(逆に見れば、相溶性の無い2つの層の少なくとも一方に相溶性のある樹脂を混合)するものや、相溶性の無い2つの層の少なくとも一方に接着性のある樹脂を混合するものなどがあり、本発明でもこれらの手法を用いる。なお、ここでの相溶性の証明は熱力学的に厳密である必要はなく、例えば、両者の熱融着が可能であればよい。
【0018】
酸素透過性層に要求される酸素透過性の程度は次のように計算される。すなわち、面積Aの膜の両面の圧力差がpのとき、体積Vの気体を透過させるのに時間tを要する場合、その定義より気体透過率(P/X、Pは気体透過係数、Xは膜の厚さ)は、P/X=V/Aptとなる。ただし、これは圧力差が一定の場合であり、ここで対象とする有限の体積を持つ系からの脱酸素では、酸素の圧力が脱酸素に伴って低下するので、圧力差が低下していくことを考慮する必要がある。これを考慮すると、酸素濃度の変化は直線的な減少ではなく、ほぼ指数関数的な減少となる。そのため、例えば、空気(酸素濃度20.6[vol %])を含む対象系からの脱酸素で、酸素濃度0.1 [vol %]を脱酸素状態と判定するなら、前式で計算される値のlogee 20.6/0.1 )=5倍程度の透過率があればよい。さらに、空気の体積Va (V=0.206 Va )、空気の圧力pa (p=0.206 pa )より、係数0.206 は相殺されて、結局、P/X=5Va /Apa tとなる。以上より、脱酸素フィルムおよびシートの無孔質層に要求される酸素透過率を計算すると、pa =1.013 ×105 [Pa](常圧)において、Va /A=0.1 〜5 [cm3 /cm2 ]、t=0.5 〜5 [day ]より、Va /At=0.02〜10[cm3 /cm2 ・day ]、P/X=1 ×10-11 〜6 ×10-9 [cm3 /cm2 ・sec ・Pa]となる。
【0019】
本発明では、前述したような各種の樹脂から、易開封性と同時に高酸素透過性を与える樹脂または樹脂混合物を選択して、酸素透過性層に用いる。その酸素透過率P/Xの下限値は1×10-11 [cm3 /cm2 ・sec ・Pa]であり、樹脂そのものに要求される酸素透過係数Pは、酸素透過性層の厚さXにより、変化する。例えば、X=0.001cmであれば、P=1×10-14 [cm3 ・cm/cm2 ・sec ・Pa]以上の樹脂を選択すればよい。実際の選択に当たっては、この酸素透過係数と、易開封性で重要となる剥離強度、さらに他の層との積層の容易さ、などを考慮することになる。
これらより、酸素透過性層に用いる具体的な樹脂として、易開封される側(相手側)がポリプロピレンである場合には、エチレンープロピレン共重合体と直鎖状低密度ポリエチレンとの混合物、エチレンープロピレン共重合体とエチレンー酢酸ビニル共重合体との混合物、エチレンープロピレン共重合体とポリエチレンを主体に改質した易開封性の特殊樹脂との混合物、などがあり、また、易開封される側がポリエステル、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、各種ガラスである場合には、エチレンープロピレン共重合体とポリエチレンを主体に改質し反応性の官能基も導入した易開封性の特殊樹脂および/またはポリエチレンを主体に反応性の官能基を導入した接着性の特殊樹脂との混合物など、がある。
【0020】
多数の層の積層には、共押し出し、押し出しラミネート、押し出しコーティングなどの公知の方法を用いることができる。また、バリヤ層を後から加える場合には、同層を熱ラミネート、ドライラミネート、押し出しコーティングなどの公知の方法により接着または融着して、最終的な多層構造とすることができる。
易開封される側(相手側)の材質については、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル類、ポリ塩化ビニルなどの塩素含有樹脂、ポリカーボネート類、ポリスチレン、各種硬化系のエポキシ樹脂類、などの樹脂、各種ガラス、各種金属などのような多くの種類がある。ただし、これは少なくとも表面の材質を規定するものであり、一般的には、易開封される側が多層構造を持ち、その内部の材質が異なっていても、もちろんよい。
【0021】
本発明の脱酸素多層体は、脱酸素包装材料として包装袋や包装容器の一部または全部に種々の形で使用される。図3と図4は、脱酸素多層体をそれぞれ包装用容器の蓋材、または、包装容器の一部に使用した例である。
【0022】
【実施例】
以下、実施例と比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、説明中に共通の事項は次の通りである。
脱酸素成分として、平均粒径約35μm (最大粒径約100μm )の鉄粉に塩化カルシウム水溶液を噴霧し加熱乾燥させてコーティングしたものを用いた(以下、これを単に鉄粉と呼ぶ)。比率は鉄粉100重量部に対して塩化カルシウム2重量部である。また、難水溶性フィラーとして、合成シリカ(( 株) 龍森製、商品名CRYSTALITE VXS2 、平均粒径5μm )を用いた。
【0023】
用いた樹脂は以下である。
エチレン−プロピレン共重合体:三井石油化学工業( 株) 製、商品名TAFMER P-0680 、エチレン成分のmol 分率は約0.75、メルトフローレート0.4g/10min(190℃) 、25℃における酸素透過係数1.4×10-12 [cm3 ・cm/cm2 ・sec ・Pa]。
直鎖状低密度ポリエチレン:三井石油化学工業( 株) 製、商品名ULTZEX 2520F、ポリエチレンであるが実際は他のα−オレフィンを若干含む共重合体、メルトフローレート2.3g/10min 、融点118℃、25℃における酸素透過係数3.0×10-13 [cm3 ・cm/cm2 ・sec ・Pa]。
エチレン−酢酸ビニル共重合体:三菱化学( 株) 製、商品名LV350 、酢酸ビニル成分の重量分率は0.11、メルトフローレート3.5g/10min 、25℃における酸素透過係数5.0×10-13 [cm3 ・cm/cm2 ・sec ・Pa]。
ポリエチレンを主体に改質した特殊樹脂:三菱化学( 株) 製、商品名VMX Y-02、メルトフローレート8.0g/10min (190℃)、25℃における酸素透過係数2.7×10-13 [cm3 ・cm/cm2 ・sec ・Pa]。
ポリエチレンを主体に改質し反応性の官能基も導入した特殊樹脂:三菱化学( 株) 製、商品名VMX Z120F 、メルトフローレート8.0g/10min 、25℃における酸素透過係数3.0×10-13 [cm3 ・cm/cm2 ・sec ・Pa]。
ポリエチレンを主体に反応性の官能基を導入した接着性樹脂:三菱化学( 株) 製、商品名MODIC-AP F504 、メルトフローレート3.5g/10min 。
【0024】
脱酸素成分または難水溶性フィラーと樹脂との混合、または複数の樹脂の混合では、それらを所定の重量比でドライブレンド後、30mm径2軸押し出し機にて混練、ストランドダイより押し出し、冷却、ペレタイザーで切断して、混合物ペレットとした。
多層フィルムの作製では、上記の混合物ペレットを含めた各層の材料ペレットを用いて、バリヤ層以外の複数の層を共押し出しまたは押し出しコーティングにて積層し、その後、アルミニウム(7μm )/ポリエチレンテレフタレート(25μm )の2層からなるバリヤフィルムをドライラミネート用接着剤で接着して、バリヤ層とした。
【0025】
脱酸素性能の測定は、所定面積の脱酸素多層フィルムと所定量の空気、さらに加湿用の水を含ませた脱脂綿を、アルミニウム層を含む酸素バリヤ性の袋に入れて、25℃における酸素濃度の経時変化をガスクロマトグラフ(( 株) 島津製作所、GC-14B)で追跡することで行った。測定用の試料として15cm×20cmで切り出したフィルムを用い、空気量を300cm3 または50cm3 とした。そして、脱酸素速度を酸素濃度0.1vol %に達するまでの時間で示した。
融着強度の測定では、まず、脱酸素フィルムと剥離される側の各材質のシートとを、表1の各温度に調節した熱板を用いて、圧力1.0kgf/cm2 で、3秒間加熱して融着させた。そして、この融着品から幅15mmの試料を切り出し、そのシートの融着していない面を両面テープで台に固定してから、脱酸素フィルム側を引っ張り、剥離時の強度を測定した。その際、剥離の速度を300mm/min、角度を135度とした。また、測定を3回以上行い、その平均を強度の値とした。
【0026】
実施例1
酸素透過性層Bとしてエチレン−プロピレン共重合体(TAFMER P-0680 )70wt%と直鎖状低密度ポリエチレン(ULTZEX 2520F)30wt%との混合物(25℃における酸素透過係数8.2×10-13 [cm3 ・cm/cm2 ・sec ・Pa])、中間層1の前段階の難水溶性フィラー含有層として直鎖状低密度ポリエチレン(同)50wt%と合成シリカ50wt%の混合物、脱酸素層Aとして直鎖状低密度ポリエチレン(同)30wt%と鉄粉70wt%の混合物、中間層2として直鎖状低密度ポリエチレン(同)の計4層を、酸素透過性層(40μm )/難水溶性フィラー含有層(100μm )/脱酸素層(100μm )/中間層2(200μm )、の構成と各厚さで、共押し出しにより積層した。この4層品を温度100℃、倍率4倍で1軸延伸して、酸素透過性層を含めた全体を薄くし、同時に、脱酸素層と難水溶性フィラー含有層とを連続多孔化した。延伸後の4層全体の厚さは約140μm であった。この多層品の中間層2側を3.6kJ/m2 でコロナ放電処理した後、バリヤ層Cとするためにバリヤフィルムを接着して、酸素透過性層B/中間層1/脱酸素層A/中間層2/接着層/バリヤ層Cからなる脱酸素フィルムとした。酸素透過性層の厚さを10μm として、その酸素透過率は8.2×10-10 [cm3 /cm2 ・sec ・Pa]となる。
このフィルムによる空気量300cm3 からの脱酸素は1.7日であった。また、剥離される側に厚さ1mmのポリプロピレン(三菱化学( 株) 、EA9 )のシートを用いた場合の剥離強度は表1の通りであった。
【0027】
実施例2
酸素透過性層Bとしてエチレン−プロピレン共重合体(TAFMER P-0680 )50wt%とエチレン−酢酸ビニル共重合体(LV350 )50wt%との混合物(25℃における酸素透過係数9.4×10-13 [cm3 ・cm/cm2 ・sec ・Pa])を用いた以外は実施例1と同様にして、脱酸素フィルムを作製した。酸素透過性層の厚さを10μm として、その酸素透過率は9.4×10-10 [cm3 /cm2 ・sec ・Pa]となる。
このフィルムによる空気量300cm3 からの脱酸素は1.5日であった。また、剥離される側に実施例1と同じポリプロピレンのシートを用いた場合の剥離強度は表1の通りであった。
【0028】
実施例3
酸素透過性層Bとしてエチレン−プロピレン共重合体(TAFMER P-0680 )70wt%と易開封用樹脂(VMX Y-02)30wt%との混合物(25℃における酸素透過係数8.1×10-13 [cm3 ・cm/cm2 ・sec ・Pa])を用いた以外は実施例1と同様にして、脱酸素フィルムを作製した。酸素透過性層の厚さを10μm として、その酸素透過率は8.1×10-10 [cm3 /cm2 ・sec ・Pa]となる。
このフィルムによる空気量300cm3 からの脱酸素は1.8日であった。また、剥離される側に実施例1と同じポリプロピレンのシートを用いた場合の剥離強度は表1の通りであった。
【0029】
実施例4〜9
酸素透過性層Bとしてエチレン−プロピレン共重合体(TAFMER P-0680 )20wt%と易開封用樹脂(VMX Z120F )50wt%と接着性樹脂(MODIC-AP F504 )30wt%の混合物(25℃における酸素透過係数5.0×10-13 [cm3 ・cm/cm2 ・sec ・Pa])を用いた以外は実施例1と同様にして、脱酸素フィルムを作製した。酸素透過性層の厚さを10μm として、その酸素透過率は5.0×10-10 [cm3 /cm2 ・sec ・Pa]となる。
このフィルムによる空気量300cm3 からの脱酸素は2.9日であった。また、剥離される側にポリエチレンテレフタレート(厚さ200μm )、ポリエチレンナフタレート(厚さ100μm )、ポリブチレンテレフタレート(厚さ100μm )、ポリカーボネート(ジオール成分はビスフェノール−A、厚さ500μm )、エポキシ樹脂(ジシアンジアミド硬化型、電子回路用積層板の樹脂表面、厚さ500μm )、鉄に表面コーティングされたエポキシ樹脂(厚さ10μm 前後の水溶性エポキシ樹脂の硬化物、飲料水の缶、鉄部分の厚さ200μm 程度)を用いた場合のそれぞれの剥離強度は表1の通りであった。
【0030】
実施例10〜14
エチレン−プロピレン共重合体(TAFMER P-0680 )20wt%と易開封用樹脂(VMX Z120F )50wt%と接着性樹脂(MODIC-AP F504 )30wt%の混合物を用いて単層フィルムを作製し、その片側に、直鎖状低密度ポリエチレン(ULTZEX 2520F)40wt%と鉄粉60wt%の混合物、直鎖状低密度ポリエチレン(同)を押し出しコーティングにより順に積層して、酸素透過性層B(50μm )/脱酸素層A(150μm )/中間層2(50μm )の構成と各厚さとした。さらに、中間層2側に実施例1と同様にしてバリヤ層を接着した。酸素透過性層の酸素透過率は1.0×10-10 [cm3 /cm2 ・sec ・Pa]となる。
このフィルムによる空気量50cm3 からの脱酸素は2.4日であった。また、剥離される側にポリスチレン(厚さ200μm )、ポリ塩化ビニル(厚さ500μm )、ソーダガラス(厚さ2mm)、ホウケイ酸ガラス(厚さ2mm)、アルミノケイ酸ガラス(厚さ2mm)を用いた場合のそれぞれの剥離強度は表1の通りであった。ここで、3種のガラスは予めアルカリ水溶液に浸漬、洗浄して表面を親水化しておいた。
【0031】
【表1】
Figure 0003856056
【0032】
比較例1
実施例1と同じ脱酸素フィルムを用いて、剥離される側にポリエチレンテレフタレート(厚さ200μm )、ポリエチレンナフタレート(厚さ100μm )、ポリブチレンテレフタレート(厚さ100μm )、ポリカーボネート(ジオール成分はビスフェノール−A、厚さ500μm )、エポキシ樹脂(ジシアンジアミド硬化型、電子回路用積層板の樹脂表面、厚さ500μm )、鉄に表面コーティングされたエポキシ樹脂(厚さ10μm 前後の水溶性エポキシ樹脂の硬化物、飲料水の缶、鉄部分の厚さ200μm 程度)、ポリスチレン(厚さ200μm )、ポリ塩化ビニル(厚さ500μm )、ソーダガラス(厚さ2mm)、ホウケイ酸ガラス(厚さ2mm)、アルミノケイ酸ガラス(厚さ2mm)を用いて、融着を試みた。いずれも融着されなかった。
【0033】
【発明の効果】
本発明の脱酸素多層体は、高酸素吸収速度、脱酸素成分による汚染の防止性に加えて易開封性を合わせ持つ、新規な脱酸素体であり、従来の脱酸素剤の主な対象であった液体成分の少ない系だけでなく、各種液体成分が多量に含まれる系に対しても適用可能であって、食品、医薬品や金属製品などの、酸素の影響を受けて変質し易い各種製品の酸化を防止する目的を持つ容器および包装体を構成するために用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱酸素多層体の構成例の断面図
【図2】脱酸素多層体の構成例の断面図
【図3】脱酸素多層体を蓋材に使用した包装容器の断面図
【図4】脱酸素多層体を容器本体に使用した包装容器の断面図
【符号の説明】
1 酸素透過性無孔質層
2 脱酸素層
3 バリヤ層
4 中間層1(多孔質)
5 中間層2(無孔質)
10 片側吸収型の脱酸素多層体
20 バリヤ性のある容器本体(単層または多層)
30 脱酸素機能のない一般のバリヤフィルム(単層または多層)

Claims (2)

  1. 複数の樹脂の層が積層された脱酸素機能を有する脱酸素多層体において、直鎖状ポリエチレンからなる中間層2、脱酸素成分を含む樹脂からなる脱酸素層A、直鎖状ポリエチレンと水難溶性フィラーとを含む中間層1およびエチレン−プロピレン共重合体50%〜70%と易開封用樹脂を含む酸素透過性層Bを順に積層し、一軸延伸して、該中間層1と脱酸素層Aを連続多孔化し、かつ、該酸素透過性層Bの酸素透過率を1×10 −11 〜6×10 −9 cm cm sec Pa ]とした後、酸素透過率が1×10 −12 cm cm sec Pa ]以下であるガスバリア層を中間層2側に積層してなる、該酸素透過性層Bがポリプロピレンに融着及び融着後の剥離が容易にできることを特徴とする脱酸素多層体。
  2. 前記酸素透過性層Bが、エチレン−プロピレン共重合体と直線状低密度ポリエチレンとの混合物、エチレン−プロピレン共重合体とエチレン−酢酸ビニル共重合体との混合物又はエチレン−プロピレン共重合体とポリエチレンを主体に改質した易開封性の特殊樹脂との混合物である請求項1記載の脱酸素多層体。
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