JP3855744B2 - 超仕上げ方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被加工物の曲面形成部位の超仕上げ方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動調心ころ軸受のころのように、太鼓状の形状を有する被加工物の外面に対して超仕上げ加工を施す方法として、被加工物の外面を切削するための砥石を、被加工物外面の曲率の中心に対応する中心位置を中心として揺動運動させることにより、被加工物の外面の超仕上げ加工を行うものがある。
【0003】
この方法を実現するための装置構成について図15を参照しながら具体的に説明する。図15は従来の超仕上げ装置の主要部構成を示す正面図および側面図である。
【0004】
従来の超仕上げ装置は、図15(a),(b)に示すように、鉛直方向に立ち上がるコラム202に昇降可能に支持されているベース201を備える。ベース201には、互いに間隔をおいて配置されている2つの回転軸205が設けられ、各回転軸205には、それぞれ対応する垂直リンクアーム203の一端が回転可能に支持されている。各垂直リンクアーム203は、2つの水平リンクアーム204で連結されている。各水平リンクアーム204の各端は、それぞれ対応する垂直リンクアーム203に回転可能に連結されている。各水平リンクアーム204には、それぞれ2つの砥石ホルダ206が連結されている。各砥石ホルダ206は、互いに間隔をおいて配置され、各砥石ホルダ206には、加圧シリンダ207がそれぞれ取り付けられている。各加圧シリンダ207は、砥石208を被加工物212(例えば自動調心ころ軸受のころ)に押し付け可能に砥石208を保持する。
【0005】
垂直リンクアーム203の一方には、伝達部材209の一端が連結され、伝達部材209の他端は、駆動モータ211の出力軸に固着されている駆動アーム210に連結されている。駆動モータ211の回転出力は、駆動アーム210を介して伝達部材209に伝達され、伝達部材209を駆動する。この伝達部材209の運動により、一方の垂直リンクアーム203は、その一端が支持されている回転軸205を中心に揺動する。この一方の垂直リンクアーム203の揺動に連動して各水平リンクアーム204が運動して他方の垂直リンクリンクアーム203を対応する回転軸205を中心に揺動させる。そして、各砥石ホルダ206が被加工物212の外面の曲率Rの中心に一致する位置を中心として揺動する。これにより、砥石ホルダ206の加圧シリンダ207に保持されている砥石208は、被加工物212の外面の曲率Rに等しい曲率の円弧に沿って揺動する。この際、砥石208は、加圧シリンダ207により所定の圧力で被加工物212に押し付けられている。
【0006】
これに対し、例えば玉軸受の内輪の軌道溝など、被加工物における曲率が小さい部位に超仕上げを施す場合、図16に示す装置が用いられる。図16は従来の被加工物における曲率が小さい部位に超仕上げを施す装置の主要部構成を示す正面側断面図、側面側断面図および砥石の先端周囲を示す断面図である。
【0007】
この装置は、図16(a),(b)に示すように、砥石222を保持するための砥石ホルダ221を備える。砥石ホルダ221内には、砥石222を被加工物220の曲率Rが小さい仕上げ対象部位(例えば玉軸受の内輪の軌道溝)に押し付けるための加圧機構の加圧ピストン224が組み込まれている。この加圧ピストン224のヘッド部には、図16(a)に示すように、V字形状の溝が形成されている。砥石ホルダ221の先端部には、Oリング223が組み込まれている。砥石ホルダ221は、揺動中心Osの周りに揺動される。
【0008】
超仕上げ加工を行う際、砥石ホルダ221は、揺動中心Osが被加工物222の仕上げ対象部位の曲率Rの中心に一致するように、位置決めされる。そして、砥石220が被加工物220の仕上げ対象部位に押し付けられた状態で砥石221が揺動中心Osを中心に揺動半径Rで揺動される。これにより、被加工物220の仕上げ対象部位が超仕上げされることになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
玉軸受の内輪の軌道溝など、被加工物における曲率が小さい部位に超仕上げを施す装置(図16に示す)の場合、構造が簡素でまた揺動半径R(被加工物の曲率)が小さいので、小型化することができるとともに、揺動速度が通常1000回毎分程度と大きいので、超仕上げの加工能率を高くすることができる。また、2軸構造(バランスウェイト構造)を採用し、互いに逆向きに運動させることによって、振動的にバランスを取ることができる。このため、加工精度、粗さが良い仕上りを得ることができる。また、装置としての振動も小さく、近傍にある加工装置(例えば、研削盤)に与える振動の影響を小さくすることができる。
【0010】
しかしながら、球面ころの外面などのように大きな曲率Rの部位に対する超仕上げを行う場合には、大きな曲率Rに対して寸法調整範囲が大となり、装置自体が大型化する。また、砥石ホルダの質量が増し、かつ曲率Rが大との相乗効果により遠心力による振動が大きくなる。
【0011】
また、曲率Rが大きな仕上げ対象部位に超仕上げを施す装置(図15に示す)の場合、構造が複雑で、揺動機構全体の質量が大きく、さらに振動的にバランスをとることができないので、揺動速度を200回毎分程度に抑える必要があり、加工能率が低くなる。また、精度、粗さが良い仕上げを得ることができない。
【0012】
本発明の目的は、構造を簡素化することができ、曲率が小さい超仕上げ対象部位の超仕上げの場合と同様に、高い加工能率で、精度および粗さが良い仕上げを得ることができる超仕上げ装置および方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被加工物の曲面形成部位の超仕上げ方法において、軸線と直交する第1の方向へ移動可能なように基台上に支持されている回転軸に該回転軸の軸線と直交する第2の方向へ所定距離をおいて砥石を取り付けるとともに、該回転軸に対して偏心する偏心カム部材を同軸上に取り付け、前記偏心カム部材に当接する規制部材および前記偏心カム部材を前記第1の方向へ前記規制部材に向けて付勢する付勢部材を前記基台に設け、前記偏心カムが前記規制部材に当接されかつ前記回転軸が前記付勢部材により付勢された状態で前記回転軸を角度的に回転駆動することにより、前記回転軸を前記第1の方向へ移動させながら前記砥石を前記回転軸の周りに揺動させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、被加工物の曲面形成部位の超仕上げ装置において、基台と、軸線と直交する第1の方向へ前記基台上を移動可能なように支持されている回転軸と、前記回転軸に該回転軸の軸線と直交する第2の方向へ所定距離をおいて取り付けられている砥石と、前記回転軸に同軸上に取り付けられ、該回転軸に対して偏心する偏心カム部材と、前記基台に設けられ、前記偏心カム部材に当接されている規制部材と、前記基台に設けられ、前記偏心カム部材を前記第1の方向へ前記規制部材に向けて付勢する付勢部材と、前記回転軸を角度的に回転駆動する駆動機構とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明では、偏心カムが規制部材に当接され、回転軸が付勢部材により付勢された状態で回転軸を角度的に回転駆動することにより、回転軸を所定方向へ移動させながら砥石を回転軸の周りに揺動させるので、回転軸の軸線から砥石の先端位置までの直線距離および偏心カム部材の偏心量を適宜設定することによって、被加工物の超仕上げ部位に対応する曲率半径の軌道に沿って砥石の先端を揺動させることが可能になる。また、この揺動機構を簡素化された構造で実現することが可能となる。さらに、揺動機構全体の質量が小さくすることができるので、揺動速度を増すことが可能になり、加工能率の向上を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
まず、本発明に係る超仕上げ方法を実現するための装置の基本構成について図1ないし図4を参照しながら説明する。図1は本発明に係る超仕上げ方法を実現するための装置の基本構成を示す側面図および正面図、図2は図1の砥石先端位置Pが回転軸の回転に応じて描く軌跡を示す図、図3は図1の回転軸の中心から砥石先端位置Pまでの直線距離r0を変数とした場合の偏心カムの偏心量eと曲率半径(超仕上げ加工半径)R0との関係を示す図、図4は図1の偏心カムの偏心量eを変数とした場合の回転軸の中心から砥石先端位置Pまでの直線距離r0と曲率半径(超仕上げ加工半径)R0との関係を示す図である。
【0018】
超仕上げ装置の基本構成は、図1に示すように、ガイドレール部1aが設けられているベース1を備える。ベース1には、スピンドル装置2が搭載され、スピンドル装置2は、ガイドレール部1aに案内されながらx軸方向に移動可能なように構成されている(図1(b)を参照)。スピンドル装置2は、ガイドレール1aの案内方向と直交する方向に伸びる回転軸2aを有し、回転軸2aの一端には、砥石ホルダ3が取り付けられている。砥石ホルダ3は、かぎ状の部材から構成され、その先端3aには、砥石4が取り付けられている。回転軸2aの他端には、偏心カム5およびプーリ7が取り付けられている。偏心カム5は、回転軸2aに偏心して取り付けられている円板からなる。プーリ7には、駆動モータ(図示せず)の駆動力を伝達するためのタイミングベルト8が巻き掛けられている。偏心カム5の両側には、規制部材6a,6bがそれぞれ配置されている。一方の規制部材6aは、ベース1に固定され、偏心カム5の側面に当接するように位置決めされている。他方の規制部材6bは、ベース1にx軸方向に移動可能に取り付けられ、ばね部材(図示せず)により偏心カム5の側面に押し付けられるように付勢されている。
【0019】
ここで、上記駆動モータにより図1(b)に示す矢印の方向に回転軸2aを角度的に回転させる場合を考える。まず、上記駆動モータにより回転軸2aを一方の方向(図1(b)において時計方向)へ角度的に回転駆動すると、回転軸2aの回転に伴い偏心カム5が回転される。この際、偏心カム5は固定側の規制部材6aに当接しながら回転するので、偏心カム5の回転により規制部材6bは、上記ばね部材の付勢力に抗しながらx軸方向に移動されることになる。これにより、回転軸2aは、回転しながらその回転角度θに応じてx軸方向に移動される。また、上記駆動モータにより回転軸2aを他方の方向(図1(b)において反時計方向)へ角度的に回転駆動すると、同様に、回転軸2aは、回転しながらその回転角度θに応じてx軸方向に移動される。
【0020】
回転軸2aがx軸方向に移動しながら回転すると、この回転軸2aに取り付けられている砥石ホルダ3は、x軸方向に移動しながら回転軸2aの周りに回転することになる。このとき、砥石ホルダ3の砥石4の先端位置Pが描く軌跡P(x,y)は、図2に示すように、x−y座標系の原点Oから観て、次の(1)式で表される楕円となる。
【0021】
{x/(r0+e)}2+(y/r0)2=1 …(1)
r0:回転軸2aの中心Osから砥石4の先端位置Pまでの直線距離
e:偏心カム5の回転軸2aに対する偏心量
Oc:偏心カム5の中心(回転軸2aの回転角度θに応じて移動する)
次に、偏心カム5の偏心量eと距離r0と曲率半径R0との関係を考える。この曲率半径R0は、x−y座標系においてx=0とした場合の曲率半径であり、所定位置に保持された被加工物の超仕上げ対象部位に対して砥石4の先端位置Pが描くべき軌跡の曲率半径を表すことになる。この曲率半径R0は、次の(2)式により表される。
【0022】
R0=(r0+e)2/r0=(1+e/r0)2・r0 …(2)
まず、偏心カム5の偏心量eを固定値とし、上記距離r0を変数とした場合に、これらと曲率半径R0との関係を考える。ここでは、距離r0と偏心量eとの関係をr0=γ・eで表すものとすると、曲率半径R0と偏心量eとの比R0/eは、上記(2)式から次の(3)式で表される。
【0023】
ここで、γ<1とした場合のR0/eとγとの関係を図3に示す。図3から分かるように、非線形ではあるが、γ=0.3〜0.05であるときに、R0/eが5.6〜22.0となり、約4倍の範囲の値が得られる。例えば、e=15mmとすると、γ=0.3の場合、r0=15×0.3=4.5mm、R0=5.6×15=84mmとなる。また、γ=0.05の場合、r0=15×0.05=0.75mm、R0=22.0×15=330mmとなる。
【0024】
また、回転軸2aの回転角度θに応じて砥石4の先端位置Pがx軸方向へ移動する移動量xsは、次の(4)式により表される。
【0025】
xs=(e+r0)sinθ …(4)
上記(4)式により、上記各場合における移動量xsは、19.5sinθ〜15.75sinθとなり、例えば移動量xs=3mmとした場合、回転角度θ=0.032π(rad)〜0.041π(rad)となる。
【0026】
また、上記距離r0を固定値とし、偏心カム5の偏心量eを変数とした場合の曲率半径R0と上記r0の関係を考える。上記(2)式に従えば、曲率半径R0と上記距離r0との比R0/r0と、偏心量eと上記距離r0との比e/r0との間で、図4に示すような関係が得られる。図4から分かるように、線形的に、e/r0=0.4〜1.5の範囲で、R0/r0=2.0〜6.2となり、約3倍の範囲の値が得られる。例えば、r0=35mmとすると、e/r0=0.4の場合、e=35×0.4=14mm、R0=35×2.0=70mmとなる。また、e/r0=1.5の場合、e=35×1.5=53.5mm、R0=35×6.2=218mmとなる。
【0027】
また、上記各場合における移動量xsは、上記(4)式により、49sinθ〜88.5sinθとなり、例えば移動量xs=2mmとした場合、回転角度θ=0.018π(rad)〜0.007π(rad)となる。
【0028】
このように、回転軸2aの中心Osから砥石4の先端位置Pまでの直線距離r0および偏心カム5の偏心量eを適宜設定することによって、小さい回転角度θの範囲で、被加工物の超仕上げ部位に対応する曲率半径の軌道に沿って砥石4の先端を揺動させることが可能になる。また、この揺動機構を簡素化された構造で実現することが可能となる。さらに、揺動機構全体の質量が小さくすることができるので、揺動速度を増すことが可能になり、加工能率の向上を図ることができる。よって、本方法によれば、構造を簡素化することができ、曲率が小さい超仕上げ対象部位の超仕上げの場合と同様に、高い加工能率で、精度および粗さが良い仕上げを得ることができる超仕上げ装置を提供することができる。
【0029】
(第1実施の形態)
次に、本発明の第1実施の形態に係る超仕上げ装置について図5ないし図8を参照しながら説明する。図5(a)は本発明の第1実施の形態に係る超仕上げ装置の構成を示す上面図、図5(b)は図5(a)のA−A線に沿って得られた縦断面図、図6(a)は図5の偏心カムの正面図、図6(b)は図5の偏心カムの側面図、図6(c)は図5の偏心カムの斜視図、図7(a)は図5の砥石ホルダの構成を示す縦断面図、図7(b)は図7(a)のBから見た矢視図、図8(a)は砥石ホルダの先端部の他の構成例の正面図、図8(b)は図8(a)のC−C線に沿って得られた断面図である。
【0030】
本実施の形態における超仕上げ装置は、上述した基本構成に基づくものであるが、本実施の形態では、振動を打ち消し合うことが可能な2軸構造とし、各軸を1つの駆動モータで駆動する構成とする。
【0031】
具体的には、本実施の形態の超仕上げ装置は、図5に示すように、床などの支持面に置かれるベース11を備える。ベース11には、2つのスライダ12,13が互いに対向するように搭載されている。
【0032】
スライダ12は、ベース11の上面に設けられた一対のガイドレール14a,14bに沿って摺動する複数のリニアガイド12aを有し、複数のリニアガイド12aによりガイド一対のガイドレール14a,14bに案内されながらベース11上を移動可能に構成されている。スライダ12には、ガイドレール14a,14bと直交する方向に伸びるスピンドル16が回転可能に支持されている。スピンドル16の一端16aには、リンク部材32が取り付けられ、その他端16bには、砥石ホルダ20が取り付けられている。この砥石ホルダ20の詳細構成については後述する。
【0033】
また、スピンドル16には、偏心カム18が取り付けられている。この偏心カム18は、図6に示すように、リング部18aと、リング部18aに対して偏心してかつ一体的に連なるカム部18bとから構成され、カム部18bは、リング部18aの孔部に対応する部分を切り欠いた円板からなる。偏心カム18は、リング部18aがスピンドル16と同軸上になるようにスピンドル16に嵌合されている。これにより、偏心カム18のカム部18bは、その中心がスピンドル16の中心に対して偏心量e分だけ偏心してスピンドル16に取り付けられていることになる。
【0034】
砥石ホルダ20は、図7に示すように、スピンドル16の他端16bに取り付けられているベース部40を有し、ベース部40には、ホルダ部47を案内するための一対のガイドレール41が設けられている。ホルダ部47は、かぎ状の形状を有し、そのベース部40に対向する部位には、ボールねじ機構42と、各ガイドレール41に摺動可能に係合する一対のリニアガイド46とが設けられている。ボールねじ機構42は、ねじ軸44と、ホルダ部47に固定されているナット部45とを含み、ねじ軸44はベース部40に固定されている駆動モータ43により回転駆動される。ねじ軸44の回転運動に伴いナット部45は、ねじ軸44に沿って移動するので、ホルダ部47はベース部40に対して相対的に移動される。ホルダ部47の先端部位47aには、保持部材48が取り付けられ、この保持部材48と先端部位47aとの間に砥石49が保持されている。砥石49は、その先端位置とスピンドル16の中心との距離がr0になるように位置決めされている。被加工物50(例えば球面ころに相当する)の曲率半径Rに一致する曲率R0で揺動される。ここで、砥石49による超仕上げの際には、被加工物50は一対のローラ51間に挟持されて砥石49の先端に対して位置決めされるとともに、ローラ51の回転により被加工物50が回転される。
【0035】
このような構成の砥石ホルダを用いることによって、ホルダ部47の相対移動により、砥石49を被加工物50に対して所定の加圧力で押し付けることが可能になる。また、砥石49の摩耗などによって砥石49の先端位置が被加工物50に対して鉛直方向に変化した場合に、砥石49の先端位置と被加工物50の鉛直方向の位置調整が可能になる。
【0036】
スライダ13は、スライダ12と同様に、ベース11の上面に設けられた一対のガイドレール15a,15bに沿って摺動する複数のリニアガイド13aを有し、複数のリニアガイド13aにより一対のガイドレール15a,15bに案内されながらベース11上を移動可能に構成されている。スライダ13には、ガイドレール15a,15bと直交する方向に伸びるスピンドル17が回転可能に支持されている。スピンドル17の一端17aには、リンク部材33が取り付けられ、その他端17bには、砥石ホルダ21が取り付けられている。この砥石ホルダ21は、砥石ホルダ20と同じ構成を有し(図7を参照)、ここでは、その説明は省略する。
【0037】
また、スピンドル17には、偏心カム19が取り付けられている。この偏心カム19は、偏心カム18と同様に構成され、リング部19aとカム部19bとを有する(図6を参照)。これにより、偏心カム19のカム部19bは、その中心がスピンドル17の中心に対して偏心量e分だけ偏心してスピンドル17に取り付けられていることになる。
【0038】
スライダ12とスライダ13との間には、転がり軸受からなる2つの規制部材23,24が設けられ、各規制部材23,24は軸22に同軸上に支持されている。軸22の各端は、それぞれベース11に設けられている支持部材22a,22bに支持されている。規制部材23は、その外周面がスピンドル16に取り付けられた偏心カム18のカム部18bの外周面に当接するように、規制部材24は、その外周面がスピンドル17に取り付けられた偏心カム19のカム部19bの外周面に当接するようにそれぞれ配置されている。
【0039】
スライダ12は、ばね部材35により、偏心カム18のカム部18bが規制部材23に押し付けられる方向に付勢されている。ばね部材35は、ベース11に固定されている保持部材34に保持されている。同様に、スライダ13は、ばね部材37により、偏心カム19のカム部19bが規制部材24に押し付けられる方向に付勢されている。ばね部材37は、ベース11に固定されている保持部材36に保持されている。
【0040】
スピンドル16のリンク部材32は、図5(b)に示すように、リンク部材30を介して中間リンク28のアーム部28bに連結されている。また、スピンドル17のリンク部材33は、リンク部材31を介して中間リンク28のアーム部28cに連結されている。中間リンク28には、上記アーム部28bおよびアーム部28cとともに、アーム部28aが設けられている。アーム部28bとアーム部28cとは、同一直線上に沿って互いに逆向きに突出し、アーム部28aは、アーム部28bに対して垂直に突出する。中間リンク28は、軸箱29に支持されている。中間リンク28のアーム部28aは、リンク部材27の一端に連結され、リンク部材27の他端は、駆動モータ25の回転運動を揺動運動に変換するための変換部材26に連結されている。変換部材26は駆動モータ25の出力軸(図示せず)に固定され、変換部材26におけるリンク部材27との連結点は、駆動モータ25の出力軸に対して偏心量E1分偏心した位置にある。この偏心量E1は、各スピンドル16,17の回転角度θの最大値を規定する。
【0041】
このようなリンク機構により、駆動モータ25の回転運動は各スピンドル16,17の揺動運動に変換され、各スピンドル16,17は、互いに逆向きに角度的に回転運動される。スピンドル16が例えば一方の方向(図5(b)において時計方向)へ角度的に回転駆動されると、スピンドル16の回転に伴い偏心カム18が回転される。この際、偏心カム18はそのカム部18bが規制部材23に当接された状態で回転するので、偏心カム18の回転によりスライダ12は、ばね部材35の付勢力に抗しながらガイドレール14a,14bに沿って移動される。これにより、スピンドル16は、回転しながらその回転角度θに応じてガイドレール14a,14bの案内方向に移動される。
【0042】
スピンドル16が一方の方向へ回転駆動された場合には、スピンドル17は他方の方向(反時計方向)へ角度的に回転駆動される。この場合も、スピンドル16の場合と同様に、偏心カム19の回転によりスライダ13は、ばね部材37の付勢力に抗しながらガイドレール15a,15bに沿って移動される。これにより、スピンドル17は、回転しながらその回転角度θに応じてガイドレール15a,15bの案内方向に移動されることになる。
【0043】
また、スピンドル16が他方の方向(反時計方向)へ回転駆動された場合には、スピンドル17は一方の方向(時計方向)へ角度的に回転駆動される。この場合も、同様に、各スピンドル16,17は、回転しながらその回転角度θに応じてガイドレール14a,14b,15a,15bの案内方向に移動されることになる。
【0044】
スピンドル16,17が回転駆動されると、スピンドル16,17に取り付けられている砥石ホルダ20,21は、ガイドレール14a,14b,15a,15bの案内方向に移動しながらスピンドル16,17の周りに角度的に回転されることになる。このとき、砥石ホルダ20,21の砥石49の先端位置は、スピンドル16,17の中心から砥石20,21の先端位置までの直線距離r0および偏心カム16,17の偏心量eに応じて決定された曲率半径の軌道に沿って移動する。即ち、砥石ホルダ20,21を、砥石49の先端位置が所定位置に保持された被加工物50の超仕上げ対象部位の曲率半径に沿って移動するように揺動させることができる。
【0045】
よって、本実施の形態では、2つのスピンドル16,17を同時に逆向きに駆動することによって、振動的にバランスを取ることができ、揺動速度をより速くすることが可能である。
【0046】
なお、本実施の形態では、ホルダ部47の先端部位47aと保持部材48との間に砥石49が保持するように構成されているが、この構成は、砥石49の傾斜成分に誤差が発生せず、また被加工物50の姿勢(軸方向位置および傾斜)が変わる可能性がないことを前提としたものであるが、超仕上げにおいては、前工程(研削工程)で得られた被加工物50の超仕上げ対象部位の形状を崩さずに、その粗さを良くすることが望まれているので、上記構成に代えて、砥石49が被加工物50の姿勢の変化に追従可能なならい機構を用いることが好ましい。
【0047】
具体的には、図8に示すように、砥石ホルダのホルダ部47の先端部位47aには、中間部材52がピボット53を介して取り付けられ、この中間部材52と先端部位47aとの間には、Oリング55が嵌め込まれている。中間部材52には、複数のねじ部材56により保持部材54が取り付けられ、中間部材52と保持部材54との間に砥石49が挟持されている。この構成により、砥石49が被加工物50の姿勢の変化に追従可能になり、前工程(研削工程)で得られた被加工物50の超仕上げ対象部位の形状を崩さずに、その粗さを良くすることが確実に行われる。
【0048】
(第2実施の形態)
次に、本発明の第2実施の形態について図9を参照しながら説明する。図9(a)は本発明の第2実施の形態に係る超仕上げ装置の主要部構成を示す上面図、図9(b)は図9(a)のD−D線に沿って得られた縦断面図である。
【0049】
上述の第1実施の形態が規制部材として転がり軸受を用いることに対し、本実施の形態では、規制部材としてリニアガイドを用いる。これ以外の構成は上述の第1実施の形態に同じであり、同一の部材には同一の符号を付し、その説明は省略または簡略化する。
【0050】
具体的には、図9に示すように、スライダ12とスライダ13との間には、偏心カム18,19のカム部18b,19bに当接される規制部材61が設けられている。規制部材61は、支柱63に設けられたガイドレール62に係合しながら鉛直方向に摺動可能なリニアガイドからなる。規制部材61は、各スピンドル16,17の加点に伴い偏心カム18,19が回転されると、各偏心カム18,19から鉛直方向上向きまたは下向きへの力を受けることになり、この受けた力の方向へ移動される。
【0051】
このように、規制部材61としてリニアガイドを用いることによって、さらに構造を簡素化することができる。また、規制部材61の偏心カム18,19のカム部18b,19bとの当接面が平面であるので、転がり軸受のように誤差が発生しない。さらに、規制部材61が各偏心カム18,19から受ける力は、同一作用線上にあるので、負荷容量、剛性などの観点から、規制部材61にリニアガイドを用いることは有利である。
【0052】
(第3実施の形態)
次に、本発明の第3実施の形態について図10および図11を参照しながら説明する。図10(a)は本発明の第3実施の形態に係る超仕上げ装置の構成を示す上面図、図10(b)は図10(a)の超仕上げ装置の正面図、図11は偏心カム機構の構成例を示す断面図である。
【0053】
本実施の形態の超仕上げ装置は、図10に示すように、ベース71を備え、ベース71には、2つのスライダ72,73が互いに対向するように搭載されている。
【0054】
スライダ72は、ベース71の上面に設けられた一対のガイドレール74a,74bに沿って滑動する複数のリニアガイド72aを有し、複数のリニアガイド72aにより一対のガイドレール74a,74bに案内されながらベース71上を移動可能に構成されている。スライダ72には、ガイドレール74a,74bと直交する方向に伸びるスピンドル76が回転可能に支持されている。スピンドル76の一端76aには、リンク部材90が取り付けられ、その他端76bには、砥石ホルダ80が取り付けられている。この砥石ホルダ80の構成は、図7に示す構成と同じであり、ここでは、その説明は省略する。
【0055】
スライダ73は、スライダ72と同様に、ベース71の上面に設けられた一対のガイドレール75a,75bに沿って滑動する複数のリニアガイド73aを有し、複数のリニアガイド73aにより一対のガイドレール75a,75bに案内されながらベース71上を移動可能に構成されている。スライダ73には、ガイドレール75a,75bと直交する方向に伸びるスピンドル77が回転可能に支持されている。スピンドル77の一端77aには、リンク部材91が取り付けられ、その他端77bには、砥石ホルダ81が取り付けられている。この砥石ホルダ81は、砥石ホルダ80と同じ構成を有する(図7を参照)。
【0056】
スライダ72とスライダ73との間には、偏心カム機構が設けられている。この偏心カム機構は、ベース71に固定されている軸箱88と、軸箱88に支持されている回転軸87とを有し、回転軸87の一端にはリンク部材89が、その他端には支持板86が設けられている。支持板86には、一対の台座85(一方のみを示す)が締結され、各台座85には、互いに所定の間隔をおいて配置されている2つの軸82a,83aが取り付けられている。ここで、各台座85は、各軸82a,83aが回転軸87の中心から距離e(偏心量)分離れた位置になるようにそれぞれ配置されている。軸82aには円板82が回転可能に支持され、軸83aには、円板82の直径と同じ直径を有する円板83が回転可能に支持されている。円板82はその縁部がスライダ72に設けられた当接部72bに、円板83はその縁部がスライダ73に設けられた当接部73bにそれぞれ当接するように位置決めされている。
【0057】
スライダ72は、ばね部材103により、当接部72bが円板82に押し付けられる方向に付勢されている。ばね部材103は、ベース71に固定されている保持部材102に保持されている。同様に、スライダ73は、ばね部材105により、当接部73bが円板83に押し付けられる方向に付勢されている。ばね部材105は、ベース71に固定されている保持部材104に保持されている。
【0058】
スピンドル76のリンク部材90は、リンク部材97を介して中間リンク部材96に連結され、中間リンク部材96は、リンク部材94を介して、回転軸87のリンク部材89に連結されている。ここで、中間リンク部材96は、軸線の周りに回転する円板からなり、中間リンク部材96におけるリンク部材97との連結点およびリンク部材94との連結点は、所定位置に設けられている。スピンドル77のリンク部材91は、リンク部材99を介して中間リンク部材98に連結され、中間リンク部材98は、リンク部材95を介して、回転軸87のリンク部材89に連結されている。ここで、中間リンク部材98は、その軸線の周りに回転する円板からなり、中間リンク部材98におけるリンク部材99との連結点およびリンク部材95との連結点は、所定位置に設けられている。
【0059】
回転軸87のリンク部材89は、回転軸87と同軸上の円板からなり、上記リンク部材94,95とともに、リンク部材93の一端が連結されている。リンク部材93の他端は、駆動モータ92の回転運動を揺動運動に変換するための変換部材(図示せず)に連結されている。この変換部材は駆動モータ92の出力軸(図示せず)に固定され、変換部材におけるリンク部材93との連結点は、駆動モータ92の出力軸に対して偏心量E2分偏心した位置にある。この偏心量E2は、各スピンドル76,77および回転軸87の回転角度θの最大値を規定する。
【0060】
このようなリンク機構により、駆動モータ92の回転運動は各スピンドル76,77および回転軸87の揺動運動に変換される。回転軸87は、角度的に回転運動され、これに連動して各スピンドル76,77は、互いに逆向きに角度的に回転運動される。例えば回転軸87が時計方向(図10(b)において)へ角度的に回転されると、スピンドル76は反時計方向へ、スピンドル77は時計方向へ角度的に回転される。また、回転軸87の回転に伴い支持板86が回転軸87の周りに時計方向へ角度的に回転される。この支持板86の回転に伴い各円板82,83が回転軸87を中心に時計方向へ揺動すると、スライダ72は、ばね部材103の付勢力により、当接部72bが円板82に当接された状態でガイドレール74a,74bに沿って円板82に向けて移動される。スライダ73は、ばね部材105の付勢力により、当接部73bが円板83に当接された状態でガイドレール75a,75bに沿って円板83に向けて移動される。
【0061】
また、回転軸87が反時計方向(図10(b)において)へ角度的に回転された場合も同様である。
【0062】
このよう構成により、スピンドル76,77に取り付けられている砥石ホルダ80,81は、ガイドレール74a,74b,75a,75bの案内方向に移動しながらスピンドル76,77の周りに回転することになる。このとき、砥石ホルダ80,81の砥石の先端位置は、スピンドル76,77の中心から砥石の先端位置までの直線距離r0および上記偏心カム機構の偏心量eに応じて決定された曲率半径の軌道に沿って移動する。即ち、砥石ホルダ80,81を、砥石の先端位置が所定位置に保持された被加工物の超仕上げ対象部位の曲率半径に沿って移動するように揺動させることができる。
【0063】
また、本実施の形態では、2つのスピンドル76,77を同時に逆向きに駆動することによって、振動的にバランスを取ることができ、揺動速度をより速くすることが可能である。
【0064】
また、本実施の形態において、偏心カム機構の偏心量eを調整可能にする場合には、図11に示すような偏心カム機構を用いればよい。この偏心カム機構は、図11に示すように、回転軸87に設けられた支持板116を有し、この支持板116には、あり溝116aが形成されている。支持板116には、一対の台座115が対応する止めねじ119によりあり溝116aを介して締結され、各台座115には、それぞれ軸113が取り付けられている。各軸113には、上記円板82,83に相当する転がり軸受111が支持されている。各台座115は、それぞれの軸113が回転軸87の中心から距離e(偏心量)分離れた位置になるようにそれぞれ配置されている。また、各台座115には、止めねじ119を受け入れるための位置調整用穴部115aが形成され、各台座115間の間隔即ち偏心量eは基準プラグ117により調整することが可能である。基準プラグ117はその軸線が回転軸87と同軸上になるように支持板116に形成された穴に嵌合される。例えば、異なる幅の複数の基準プラグ117を準備し、偏心量eに応じた幅の基準プラグ117を支持板116に取り付けることによって、各台座115間の間隔即ち軸113と回転軸87との距離(偏心量)eを調整することができる。この間隔の調整により、各台座115の支持板116に対する相対位置が変化した場合、その位置変化に伴い各台座115における止めねじ119の位置は変化するが、位置調整用穴部115aが設けられているので、各台座115の相対位置の調整後も、調整前と同じように、各台座115を支持板116に止めねじ119により取り付けることができる。
【0065】
このような構成の偏心カム機構を設けることによって、偏心量eを容易に調整することができる。その結果、砥石の先端位置が描く軌跡の曲率半径を容易に変更することができ、曲率が異なる複数の被加工物の超仕上げに対応することが可能になる。
【0066】
また、本実施の形態の超仕上げ装置は、球面ころだけでなく、内外輪の軌道溝の超仕上げに適用することも可能である。この場合、一方のスピンドルのみを揺動させ、他方のスピンドルを負荷マスとして追従させるように構成すればよい。
【0067】
(第4実施の形態)
次に、本発明の第4実施の形態について図12ないし図14を参照しながら説明する。図12は本発明に係る超仕上げ装置を用いた超仕上げラインの構成を模式的に示す図、図13は図12の超仕上げラインにおいて被加工物の超仕上げを実施している状態を示す図、図14は図12のラインにおけるボックスの移動を模式的に示す図である。
【0068】
本実施の形態では、研削ラインから受けた被加工物を、上述の各実施の形態で示した超仕上げ装置のいずれかを用いて超仕上げを行うラインを説明する。
【0069】
現状の研削盤では、3.6秒のサイクルタイムが実現可能であるが、この研削盤のサイクルタイムに1対1で対応するためには、超仕上げラインにおいて、2つの砥石ホルダを設けた場合(2軸の場合)、サイクルタイムを3.6秒で実現する必要がある。この3.6秒のサイクルタイムの実現には、比較的交差角に影響されずに目詰まりが少ない砥石(例えばCBN砥石)を使用し、被加工物の回転数を増大させることが条件となる。また、被加工物のローディング、アンローディングに要する時間を短くすることが重要である。そこで、超仕上げラインにおいては、被加工物の支持に2ロール方式(図7を参照)を用い、また被加工物の搬送にボックスを用いる。
【0070】
具体的には、図12に示すように、本ラインは、研削ラインからの被加工物151を受け取る入口部150と、超仕上げを行う加工部160と、超仕上げ後の被加工物151を排出する出口部170とを含み、入口部150から出口部170への被加工物151の搬送には、ボックス152が用いられる。ボックス152には、被加工物151をそれぞれ保持する2つの保持部152aが設けられている。
【0071】
ボックス152は、移動台153に搭載されている。この移動台153には、送りねじ機構およびリニアガイドが組み込まれている。送りねじ機構はねじ軸153aおよび移動台153に固定されているナット部(図示せず)を有し、このねじ軸153aは上記ナット部に螺合され、駆動モータ156により駆動される。移動台153のリニアガイド154は水平ガイドレール155に摺動可能に係合されている。駆動モータ156によりねじ軸153aが駆動されると、移動台153は、水平ガイドレール155に沿って移動される。
【0072】
移動台153は、図13に示すように、複数の支持部材158に支持され、各支持部材158は、ベース174に固定されている支柱173に設けられた垂直ガイドレール172に沿って鉛直方向に移動可能に構成されている。各支持部材158には、送りねじ機構159および垂直ガイドレース172に摺動可能に係合する複数のリニアガイド171が設けられている。各支持部材158の送りねじ機構159は駆動モータ157により駆動され、これにより各支持部材158は鉛直方向に移動される。各支持部材158の鉛直方向への移動により移動台153を鉛直方向へ移動させることが可能である。
【0073】
入口部150においては、研削ラインから2つの被加工物151を受け取り、各被加工物151をボックス152に積載する。被加工物151を積載したボックス152は、移動台153の移動により加工部160に送られる(図14のA1)。
【0074】
加工部160においては、図12および13に示すように、ボックス152に積載された2つの被加工物151を互いに対向する一対のローラ163間に保持する。この際、各被加工物151は、2つの砥石ホルダ161にそれぞれ保持されている砥石162に対してそれぞれ位置決めされ、回転される。各砥石162は、上述の各実施の形態において説明したように、対応する被加工物151の加工対象部位に押し付けられながらこの部位の曲率半径で揺動する。これにより、各被加工物151の加工対象部位が超仕上げされる。
【0075】
そして、超仕上げ後の被加工物151を積載したボックス152は、移動台153の移動により出口部170に送られる。出口部170においては、移動台153を鉛直方向下方へ向けて移動し(図14のA2)、ボックス152に積載されている被加工物151を外部に排出する。この後、ボックス152は、移動台153の移動により入口部150に戻され(図14のA3)、移動台153は鉛直方向上方へ向けて移動される(図14のA4)。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、偏心カムが規制部材に当接され、回転軸が付勢部材により付勢された状態で回転軸を角度的に回転駆動することにより、回転軸を所定方向へ移動させながら砥石を回転軸の周りに揺動させるので、回転軸の軸線から砥石の先端位置までの直線距離および偏心カム部材の偏心量を適宜設定することによって、被加工物の超仕上げ部位に対応する曲率半径の軌道に沿って砥石の先端を揺動させることが可能になる。また、この揺動機構を簡素化された構造で実現することが可能となる。さらに、揺動機構全体の質量が小さくすることができるので、揺動速度を増すことが可能になり、加工効率の向上を図ることができる。即ち、構造を簡素化することができ、曲率が小さい超仕上げ対象部位の超仕上げの場合と同様に、高い加工効率で、精度および粗さが良い仕上げを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超仕上げ方法を実現するための装置の基本構成を示す図である。
【図2】図1の砥石先端位置Pが回転軸の回転に応じて描く軌跡を示す図である。
【図3】図1の回転軸の中心から砥石先端位置Pまでの直線距離r0を変数とした場合の偏心カムの偏心量eと曲率半径(超仕上げ加工半径)R0との関係を示す図である。
【図4】図1の偏心カムの偏心量eを変数とした場合の回転軸の中心から砥石先端位置Pまでの直線距離r0と曲率半径(超仕上げ加工半径)R0との関係を示す図である。
【図5】(a)は本発明の第1実施の形態に係る超仕上げ装置の構成を示す上面図、(b)は(a)のA−A線に沿って得られた縦断面図である。
【図6】(a)は図5の偏心カムの正面図、(b)は図5の偏心カムの側面図、(c)は図5の偏心カムの斜視図である。
【図7】(a)は図5の砥石ホルダの構成を示す縦断面図、(b)は(a)のBから見た矢視図である。
【図8】(a)は砥石ホルダの先端部の他の構成例の正面図、(b)は(a)のC−C線に沿って得られた断面図である。
【図9】(a)は本発明の第2実施の形態に係る超仕上げ装置の主要部構成を示す上面図、(b)は(a)のD−D線に沿って得られた縦断面図である。
【図10】(a)は本発明の第3実施の形態に係る超仕上げ装置の構成を示す上面図、(b)は(a)の超仕上げ装置の正面図である。
【図11】偏心カム機構の構成例を示す断面図である。
【図12】本発明に係る超仕上げ装置を用いた超仕上げラインの構成を模式的に示す図である。
【図13】図12の超仕上げラインにおいて被加工物の超仕上げを実施している状態を示す図である。
【図14】図12のラインにおけるボックスの移動を模式的に示す図である。
【図15】従来の超仕上げ装置の主要部構成を示す正面図および側面図である。
【図16】従来の被加工物における曲率が小さい部位に超仕上げを施す装置の主要部構成を示す正面側断面図、側面側断面図および砥石の先端周囲を示す断面図である。
【符号の説明】
1,11,71 ベース
2a 回転軸
3,20,21 砥石ホルダ
4,49 砥石
5,18,19 偏心カム
6a,6b,23,24,61 規制部材
16,17 スピンドル
35,37,103,105 ばね部材
Claims (2)
- 被加工物の曲面形成部位の超仕上げ方法において、軸線と直交する第1の方向へ移動可能なように基台上に支持されている回転軸に該回転軸の軸線と直交する第2の方向へ所定距離をおいて砥石を取り付けるとともに、該回転軸に対して偏心する偏心カム部材を同軸上に取り付け、前記偏心カム部材に当接する規制部材および前記偏心カム部材を前記第1の方向へ前記規制部材に向けて付勢する付勢部材を前記基台に設け、前記偏心カムが前記規制部材に当接されかつ前記回転軸が前記付勢部材により付勢された状態で前記回転軸を角度的に回転駆動することにより、前記回転軸を前記第1の方向へ移動させながら前記砥石を前記回転軸の周りに揺動させることを特徴とする超仕上げ方法。
- 被加工物の曲面形成部位の超仕上げ装置において、基台と、軸線と直交する第1の方向へ前記基台上を移動可能なように支持されている回転軸と、前記回転軸に該回転軸の軸線と直交する第2の方向へ所定距離をおいて取り付けられている砥石と、前記回転軸に同軸上に取り付けられ、該回転軸に対して偏心する偏心カム部材と、前記基台に設けられ、前記偏心カム部材に当接されている規制部材と、前記基台に設けられ、前記偏心カム部材を前記第1の方向へ前記規制部材に向けて付勢する付勢部材と、前記回転軸を角度的に回転駆動する駆動機構とを備えることを特徴とする超仕上げ装置。
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