JP3853161B2 - 微量mRNA及びcDNAの増幅方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料中に存在する微量のmRNAの増幅方法、より詳しくは、cDNAライブラリーの作製、サブトラクションクローニング、マイクロアレイへの適用が可能である、PCR法を組み合わせた、生体内で発現している超微量のmRNAを感度よく増幅する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
マウス、ヒトなどの哺乳類のゲノムの全遺伝子数は従来約10万個程度と予想されており、これに対応するmRNA/cDNAを網羅的にクローン化することは、遺伝子のコードするタンパク質の配列予測、遺伝子の構造予測、DNAマイクロアレイの構築等の観点から、実用的にも基礎研究の上でも極めて重要であり、現在、米国、日本をはじめ世界的な取り組みがなされている。例えば、マウスでは既に3万種類程度のcDNAがクローン化されているが、これらは主に、成体あるいは胚に適当量以上存在するmRNAに由来するものであると考えられ、残されたcDNAの単離が今後の課題であるといわれている。多細胞高等生物においては、相当部分の遺伝子は、特化された一部の細胞に限局して発現している可能性が考えられており、例えば、脳視床下部における下垂体ホルモン放出因子遺伝子や、膵島細胞における糖調節ホルモン遺伝子等は、極めて限られた少数の細胞においてのみ、その発現が見られる。ある一群の遺伝子は特定の発生段階の限局された領域でのみ発現している可能性があり、また、他の一群の遺伝子は各種ストレスや病原体の感染など環境要因の変動にさらされた細胞でのみ誘導される可能性がある。そして、一般に、より多くのcDNA種をクローン化するためには、種々の発生段階にあるより多くの組織、細胞種について環境条件を多様化させて調べることの有用性が指摘されている。
【0003】
産業上有用な遺伝子は、その産物であるmRNAあるいはタンパク質の解析や調製が容易なcDNAの形で単離されることが望ましく、cDNAの単離はmRNAを出発材料とするが、上記のようにmRNA種の多くは生体の極く限られた組織、細胞にのみ発現しており、得られるmRNAが微量なため、cDNAの調製が困難な場合が多々あり、現在までに多くの微量mRNA/cDNAの増幅法が提案されている(Dulac,C.&Axel,R. (1995)A novel family of genes encoding putative pheromone receptors in mammals.Cell Vol.83,pp.195-206、Mackler S.A.,Brooks,B.P.&Eberwine,J.H. (1992)Stimulus-induced coordinate changes in mRNA abundance in single postsynaptic hippocampal CA1 nuerons. Neuron Vol.9,pp.539-548等)が、それぞれcDNAライブラリーの調製、ハイブリダイゼーションプローブの調製に特化したものであり、汎用性を有しないものがほとんどである。
【0004】
その他、迅速かつ簡便に被検試料中の特定の核酸配列を検出する方法として、検出すべき配列に操作可能に結合したプロモーターを含む2本鎖核酸の製造方法であって、(a)オリゴヌクレオチドプロモーター−プライマーを得;(b)プロモーター−プライマーと検出すべき核酸配列とがハイブリダイズする条件下で、該プロモーター−プライマーと該検出すべき配列を含有する核酸とを接触させ、(c)プロモーター−プライマーの3′末端から、検出すべき核酸配列に相補的な伸長産物を製造させ;(d)工程(c)の産物を3′−5′エキソヌクレアーゼ活性を有する物質と接触させ;(e)プロモーター−プライマーのプロモーターと相補的な伸長産物を、検出すべき配列の3′末端から合成することからなる方法(特開平11−89600号公報)や、センス及びアンチセンスmRNAや一本鎖cDNAの合成を含む遺伝子の保存等種々の方法に有用なポリヌクレオチド固定化担体、そのポリヌクレオチド固定化担体を用いる遺伝子の保存方法、並びに、ss−cDNA、ds−cDNA、センスmRNAもしくはアンチセンスmRNAの製造方法(WO93/15228)に関する技術が知られている。上記WO93/15228に記載された方法は、ポリヌクレオチド固定化担体を用いているものの、アダプターの付着や固定化担体からのcDNAの切出しに制限酵素を用いており、また固定化担体上でのセンス鎖cRNAの合成効率が不明であり、かかる方法では微量のmRNAから大量のセンス鎖cRNAやcDNAを遺失なく合成することができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
神経科学が対象とする神経組織は限局された領域であることが多く、また発生生物学が対象とする初期胚は細胞数が少なく、そこから得られるmRNA等は極微量であり、分子生物学的解析を困難にしている。現在、cDNA増幅法としてPCR法が最も広く使われているが、各cDNAの含有率の代表性に問題があり、PCRサイクル数は極力少なくするべきである。一方、cDNA合成による線型増幅は、代表性に優れているが、極微量の試料への適用には問題があった。本発明の課題は、cDNAライブリーの作製、サブトラクションクローニング、マイクロアレイへの適用が可能で、かつ汎用性のある、生体内で発現している超微量のmRNAを増幅する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、今回、微量全mRNAを増幅し、特定のmRNAの変動を定量化すると共に、cDNAライブラリーを容易に構築できる実験手技の開発を試みた。そして、オリゴ(dT)を結合させた磁気ビーズに試料中のmRNAを吸着させた後、磁気ビーズ上で2重鎖cDNAを合成し、5′末端にT7プロモーター配列を有するリンカーを付加した後、アンチセンス鎖cDNAが結合した磁気ビーズを除去し、上清中のセンス鎖cDNAを鋳型として、SP6プロモーター配列を有するリンカーを付加したオリゴ(dT)プライマーを用いて、2重鎖cDNAを再度合成し、この2重鎖cDNA両端のリンカー部分の既知配列をプライマーとしてPCRを行ってcDNA混成物を増幅し、次いでT7ポリメラーゼやSP6ポリメラーゼを用いることにより、試料中のmRNAを108倍程度増幅しうることを見い出し、かかる微量mRNAの増幅法を用いて、mRNAのレベルの定量、及びcDNAライブラリーの構築が可能であることを確認し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、以下の1.6.の工程を含み、該工程1.〜6.までの間は制限酵素を用いないことを特徴とする微量mRNAの増幅方法1.試料中のmRNAを、オリゴ(dT)を結合させた担体に吸着させる工程;2.担体上でアンチセンス鎖cDNA及びセンス鎖cDNAを合成する工程;3.得られる2重鎖cDNAの少なくともセンス鎖の5′末端に第1のプロモーター配列を有するリンカーを付加する工程;4.2重鎖cDNAを解離させ、担体に結合したアンチセンス鎖cDNAを担体と共に除去する工程;5.解離したセンス鎖cDNAを鋳型として、第2のプロモーター配列を有するリンカーを付加したオリゴ(dT)プライマーを用いて、2重鎖cDNAを合成する工程;6.2重鎖cDNA両端のリンカー部分の配列をプライマーとしてPCRを行い、cDNA混成物を増幅する工程;(請求項1)や、以下の1.〜7.の工程を含み、該工程1.〜6.までの間は制限酵素を用いないことを特徴とする微量mRNAの増幅方法1.試料中のmRNAを、オリゴ(dT)を結合させた担体に吸着させる工程;2.担体上でアンチセンス鎖cDNA及びセンス鎖cDNAを合成する工程;3.得られる2重鎖cDNAの少なくともセンス鎖の5′末端に第1のプロモーター配列を有するリンカーを付加する工程;4.2重鎖cDNAを解離させ、担体に結合したアンチセンス鎖cDNAを担体と共に除去する工程;5.解離したセンス鎖cDNAを鋳型として、第2のプロモーター配列を有するリンカーを付加したオリゴ(dT)プライマーを用いて、2重鎖cDNAを合成する工程;6.2重鎖cDNA両端のリンカー部分の配列をプライマーとしてPCRを行い、cDNA混成物を増幅する工程;7.前記第1のプロモーター配列及び/又は第2のプロモーター配列を利用して、インビトロ転写系によりセンス鎖cRNA及び/又はアンチセンス鎖cRNAを合成する工程;(請求項2)や、担体が磁気ビーズであることを特徴とする請求項1又は2記載の微量mRNAの増幅方法(請求項3)や、第1のプロモーター配列を有するリンカーとして、その5′末端が非対合末端、3′末端が平滑末端であるリンカーを使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法(請求項4)や、第1のプロモーター配列を有するリンカー及び/又は第2のプロモーター配列を有するリンカーとして、該プロモーター配列の5′側及び/又は3′側に制限酵素認識配列を有するリンカーを使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法(請求項5)や、第1のプロモーター配列と第2のプロモーター配列が異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法(請求項6)や、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターが、該プロモーターを特異的に転写することができるRNAポリメラーゼが存するプロモーターであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法(請求項7)や、プロモーター特異的に転写することができるRNAポリメラーゼが、T7プロモーター、SP6プロモーター、T3プロモーターから選ばれることを特徴とする請求項7記載の微量mRNAの増幅方法(請求項8)や、第1のプロモーター配列を有するリンカーが、配列番号1及び2で表される塩基配列からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法(請求項9)や、第2のプロモーター配列を有するリンカーを付加したオリゴ(dT)プライマーが、配列番号3で表される塩基配列からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法(請求項10)に関する。
【0008】
また本発明は、請求項1〜10のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法を用いることを特徴とする遺伝子のクローニング方法(請求項11)や、請求項1〜10のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法により得られるセンス鎖cDNA、アンチセンス鎖cDNA、センス鎖cRNA又はアンチセンス鎖cRNAの少なくとも1つを標識化して用いることを特徴とするサブトラクションクローニング方法(請求項12)に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の微量mRNAの増幅方法としては、1.試料中のmRNAを、オリゴ(dT)を結合させた担体に吸着させる工程;2.担体上でアンチセンス鎖cDNA及びセンス鎖cDNAを合成する工程;3.得られる2重鎖cDNAの少なくともセンス鎖の5′末端に第1のプロモーター配列を有するリンカーを付加する工程;4.2重鎖cDNAを解離させ、担体に結合したアンチセンス鎖cDNAを担体と共に除去する工程;5.解離したセンス鎖cDNAを鋳型として、第2のプロモーター配列を有するリンカーを付加したオリゴ(dT)プライマーを用いて、2重鎖cDNAを合成する工程;6.2重鎖cDNA両端のリンカー部分の配列をプライマーとしてPCRを行い、cDNA混成物を増幅する工程;を含むことを特徴とする方法や、上記1.〜6.の工程に加えて、7.前記第1のプロモーター配列及び/又は第2のプロモーター配列を利用して、インビトロ転写系によりセンス鎖cRNA及び/又はアンチセンス鎖cRNAを合成する工程;をも含むことを特徴とする方法であれば特に制限されるものではなく、その一例が図1に示されている。
【0010】
上記工程1.における試料としては、動物、植物、微生物等の細胞・組織等のmRNAを含むものであれば特に制限されるものではなく、これら細胞溶解液等のmRNAを含む液体サンプルの調製は常法により行うことができるが、グアニジンチオシアネートの存在下等のRNase活性が阻害された緩衝液中で行うことが好ましい。本発明によると、例えば、細胞をグアニジンチオシアネートを用いて溶解した後、細胞1個程度に含まれる全RNA量0.1ng程度以上を単離すればよく、その中に増幅しようとする標的mRNAが5pg以上程度含まれていればよい。また、工程1.において用いられる担体としては、水不溶性の担体で、加熱変性時に溶融しないものであればどのようなものでもよいが、ポリエチレンビーズ、プラスチックプレート、磁気ビーズ等を好適に例示することができるが、これらの中でも工程4.における担体に結合したアンチセンス鎖cDNAを担体と共に除去する操作を簡便に実施することができる磁気ビーズが特に好ましい。また、工程1.〜3.を磁気ビーズ等の担体上で行うことにより、反応液の交換等が容易となり、試料の逸失が少ない。
【0011】
工程1.におけるオリゴ(dT)は常法により合成されたものであればどのようなものでもよく、オリゴ(dT)の重合度としてはmRNAのポリ(A)とハイブリダイズして、mRNAをオリゴ(dT)を結合させた担体に吸着させうる重合度であれば特に制限されないが、5〜200、特に10〜30程度が好ましい。また、オリゴ(dT)に代えてポリU等のmRNAのポリ(A)に相補的な配列を含んでいるものも使用することができ、これらの使用も本発明に含まれる。かかるオリゴ(dT)と上記磁気ビーズ等の担体とを結合させる方法としては特に制限されるものではなく、例えば、共有結合法、イオン結合法、物理吸着法、ビオチン−アビジン系を用いる方法等を例示することができる。
【0012】
工程1.のオリゴ(dT)を結合させた担体に試料中のmRNAを吸着させる反応は、オリゴ(dT)結合担体とポリ(A)+RNA含有試料とを緩衝液中でインキュベーションし、担体に結合しているオリゴ(dT)とmRNAのポリ(A)とをハイブリダイズすることにより行うことができる。かかるハイブリダイゼーションのためのインキュベーションは、温度20〜25℃で5分程度穏やかな攪拌下で行うことが好ましい。上記緩衝液としては、RNase活性が極力除去された緩衝液が好ましい。また、インキュベーション後、上記緩衝液等を用いて、試料中の担体非結合成分を不溶性担体から洗浄・除去することが好ましい。
【0013】
上記工程1.で調製された担体結合オリゴ(dT)−ポリ(A)+RNA複合体は、工程2.の磁気ビーズ等の担体上でのアンチセンス鎖cDNA及びセンス鎖cDNAの合成に用いられる。アンチセンス鎖cDNAの合成は、オリゴ(dT)をプライマーとし、mRNAを鋳型として、デオキシヌクレオチドの存在下、逆転写酵素を用いて反応させ、ポリ(A)+RNA−担体結合cDNA複合体を担体上で調製することにより行うことができる。センス鎖cDNAの合成は、ポリ(A)+RNA−担体結合cDNA複合体を、RNase含有液で処理してポリ(A)+RNAを消化・除去するか、希NaOH溶液を用いてポリ(A)+RNAを解離・除去し、次いであるいは並行して、担体結合アンチセンス鎖cDNAを鋳型として、デオキシヌクレオチドの存在下、DNAポリメラーゼを反応させ、センス鎖cDNA−担体結合アンチセンス鎖cDNA複合体を担体上で調製することにより行うことができるが、センス鎖cDNA断片の連結を促進するため、DNAリガーゼを存在させておくことが好ましい。また、得られる2重鎖cDNAの5′末端をT4DNAポリメラーゼで処理することにより平滑化しておくことが好ましい。
【0014】
次いで、上記工程2.で得られた担体結合2重鎖cDNAの少なくともセンス鎖の5′末端に第1のプロモーター配列を有するリンカーが工程3.において付加される。かかる第1のプロモーター配列を有するリンカーとしては、DNAリガーゼ等により担体結合2重鎖cDNAの少なくともセンス鎖の5′末端に結合しうるものであれば、単鎖あるいは2重鎖のどちらでもよいが、操作の簡便性からして2重鎖が好ましく、例えば、その5′末端が非対合末端、3′末端が平滑末端であるリンカーを使用することもできる。また、上記第1のプロモーター配列を有するリンカーとして、該プロモーター配列の5′側及び/又は3′側に制限酵素認識部位(配列)を有するリンカーを使用することが、cDNAを解析するときなど好ましい場合が多いが、cDNA混成物を増幅する工程6.までの間に、上記認識部位に相当する制限酵素を使用することは、試料に由来するcDNAを消化・分解する可能性があるので好ましくない。そして、この工程3.においては、担体結合2重鎖cDNAのアンチセンス鎖のオリゴ(dT)からなる5′末端は磁気ビーズ等の担体上に固定されているため、この断端が遮蔽されており、まずセンス鎖cDNAの5′末端に第1のプロモーター配列を有するリンカーを確実に結合させることができ、後の工程5.においてセンス鎖cDNAの3′末端に第2のプロモーター配列を有するリンカーを付加したオリゴ(dT)プライマーを特異的に連結できるよう工夫されている。さらに、上記第1のプロモーター配列を有するリンカー構造を、事前にmRNAのキャップ部位に直接連結するリンカーの構造に組み込むと、完全長cDNAの増幅が容易となる。
【0015】
上記第1のプロモーター配列としては、該プロモーターを特異的に転写することができるRNAポリメラーゼが存するプロモーター配列であることが好ましく、特に第1のプロモーター配列と後述する第2のプロモーター配列とが異なる場合、例えば、第1のプロモーター配列としてT7プロモーター配列を、第2のプロモーター配列としてSP6プロモーター配列を用いる場合、工程7.において、T7プロモーター配列を特異的に転写することができるT7ポリメラーゼを用いることにより、工程7.においてアンチセンス鎖cRNAを特異的に増幅することができる。上記プロモーター特異的に転写することができるRNAポリメラーゼが存するプロモーター配列としては、T7プロモーター配列(5′−TAATACGACTCACTATAGGGAGA−3′;配列番号6)、SP6プロモーター配列(5′−ATTTAGGTGACACTATAGAATAC−3′;配列番号7)、T3プロモーター配列(5′−AATTAACCCTCACTAAAGGG−3′;配列番号8)等を具体的に例示することができる。そして、これら第1のプロモーター配列を有するリンカーは、DNA合成装置を用いて常法により調製することができる。
【0016】
上記5′末端に第1のプロモーター配列を有するリンカーが付加された担体結合2重鎖cDNAは、次の工程4.において、2重鎖が解離させられ、アンチセンス鎖cDNAが担体と共に除去される。2重鎖cDNAを解離する方法としては特に制限されるものではなく、例えば低塩濃度溶液中で90〜100℃にて約1〜10分間加熱して2重鎖cDNAを熱変性することにより行われる。かかる2重鎖cDNAを解離させた後のアンチセンス鎖cDNA結合担体の除去は常法により行うことができ、例えば、担体が磁気ビーズの場合は磁石等の磁性体を用いて、また担体がポリエチレンビーズの場合は遠心分離若しくは濾過等により除去することができるが、溶液中に遊離状態で残存するセンス鎖cDNAの逸失を最少限度に留めることができる点で、担体として磁気ビーズを用いることが好ましい。
【0017】
次の工程5.において、工程4.で解離したセンス鎖cDNAを鋳型として、第2のプロモーター配列を有するリンカーを付加したオリゴ(dT)プライマーを用いて、2重鎖cDNAが再び合成される。上記工程4.により得られる遊離状態のセンス鎖cDNAを含む溶液に、第2のプロモーター配列を有するリンカーを付加したオリゴ(dT)プライマーが加えられ、センス鎖cDNAの3′端のポリ(A)部分に上記プライマーのオリゴ(dT)をハイブリダイズさせ、センス鎖cDNAと前記オリゴ(dT)プライマーとの複合体を作製する。上記第2のプロモーター配列を有するリンカーを付加したオリゴ(dT)プライマーにおける第2のプロモーター配列を有するリンカーとしては、該プロモーター配列の5′側及び/又は3′側に制限酵素認識配列を有するリンカーを使用することが、cDNAを解析するときなど好ましい場合が多いが、cDNA混成物を増幅する工程6.までの間に、制限酵素認識部位に相当する制限酵素を使用することは試料に由来するcDNAを消化・分解する可能性があるので好ましくない。上記第2のプロモーター配列としては、T7プロモーター配列、SP6プロモーター配列、T3プロモーター配列等の特異的に転写することができるRNAポリメラーゼが存するプロモーター配列であることが好ましく、特に第2のプロモーター配列と前述の第1のプロモーター配列とが異なる場合、例えば、第2のプロモーター配列としてSP6プロモーター配列を、第1のプロモーター配列としてT7プロモーター配列を用いる場合、工程7.において、SP6プロモーター配列を特異的に転写することができるSP6ポリメラーゼを用いることにより、アンチセンスcRNAを特異的に増幅することができる。そして、これら第2のプロモーター配列を有するリンカーを付加したオリゴ(dT)プライマーは、DNA合成装置を用いて常法により合成することができる。
【0018】
センス鎖cDNAと前記オリゴ(dT)プライマーとの複合体を用い、センス鎖cDNAを鋳型として、デオキシヌクレオチドの存在下、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素を反応させることにより、両5′端にプロモーター配列を有するリンカー部分が付加された2重鎖cDNAを合成することができる。工程6.では、この2重鎖cDNA両端のリンカー部分の既知配列をプライマーとしてPCRを行い、全cDNA混成物を増幅する。PCRはサーマルサイクラー(Perkin-Elmer社製)等を用いて常法により行うことができる。工程6.までの過程により10μg程度のcDNA混成物を得ることができる。このcDNA混成物を用いると、cDNAライブラリーの構築が可能となる。また、全cDNA混成物を数十分子種程度に希釈し、PCRを行い、このPCR産物を電気泳動等により分離し、ゲルから切り出したcDNAバンドから塩基配列を直接決定することもできる。
【0019】
工程6.により大量に増幅された、両端にプロモーター配列を有するリンカー部分が付加された2重鎖cDNAにおける前記第1のプロモーター配列及び/又は第2のプロモーター配列を利用して、RNAポリメラーゼを用いるインビトロ転写系により、センス鎖cRNA及び/又はアンチセンス鎖cRNAを大量に合成することができる。前記のように、第1のプロモーター配列と第2のプロモーター配列が異なる場合、センス鎖cRNA又はアンチセンス鎖cRNAを個別に合成することができる。この工程7.により、工程6.までの過程により得られた10μg程度のcDNA混成物を用いて、100μg程度のセンス鎖及びアンチセンス鎖cRNA混成物を容易に調製することができる。この100μg程度のRNA量は、通常の分子生物学的実験には十分な量であり、例えば、センス鎖cRNA及びアンチセンス鎖cRNA混成物を用いてサブトラクションクローニングが可能となる。
【0020】
上記のように、本発明の微量mRNAの増幅方法を用いると、生体内で一過性に発現する超微量のmRNAであっても、通常の分子生物学的実験に十分な量まで増幅することができることから、本発明の微量mRNAの増幅方法は、遺伝子の検出やクローニング、cDNAライブラリーの作製、マイクロアレイの作製・解析等に幅広く利用することができる。本発明の遺伝子のクローニング方法としては、上記本発明の微量mRNAの増幅方法を用いる方法であれば特に制限されるものではなく、かかる遺伝子のクローニング方法により、遺伝子のクローニングの他、遺伝子の検出や遺伝子のスクリーニングを行うことができる。より具体的には、本発明の微量mRNAの増幅方法により増幅されたcDNA又はcRNAを標識化し、これら標識化されたcDNA又はcRNAを用いて、リバース−ノーザンハイブリダイゼーション、サブトラクションクローニング、DNAアレイ等の解析を行うことができる。また、本発明により増幅されたcDNA又はcRNAに対して、通常のサザンハイブリダイゼーションやノーザンハイブリダイゼーションを行うことも可能である。さらに、本発明の微量mRNAの増幅方法により調製した完全長cDNAを用いる場合には、インビトロ転写・翻訳によりタンパク質を合成し、2次元電気泳動法等により解析することにより、発現量の変動する遺伝子数や発現産物の同定が可能となる。
【0021】
上記リバース−ノーザンハイブリダイゼーション方法としては、その一例が図7に示されているように、本発明の微量mRNAの増幅方法により得られる増幅された混成2重鎖cDNAから、まずジゴキシゲニン(Digoxigenin;DIG)等で標識された基質リボヌクレオチドの存在下にセンス鎖cRNA混成物をインビトロで合成する。他方、特定の遺伝子のクローン化cDNAからアンチセンス鎖cRNAをインビトロで合成し、これを変性アガロースゲル等を用いて電気泳動後、ナイロンメンブランやニトロセルロース膜に写しとって膜上に固定し、この膜上に固定されたアンチセンス鎖cRNAに、前記DIG等で標識化されたセンス鎖cRNA混成物を反応させ、次いでハイブリダイズしたcRNAを、例えばアルカリフォスファターゼ結合抗DIG抗体と化学発光基質等を用いて検出することにより行うことができる。かかるリバース−ノーザンハイブリダイゼーションを、特定条件下の細胞由来のmRNAと対照細胞由来のmRNAとに個別に行い、それらの結果を比較することにより、発生過程において生体内で発現量の変動する遺伝子や特定の薬剤の存在下で発現量の変動する遺伝子等のmRNAレベルの変化を検出することができる。
【0022】
本発明のサブトラクションクローニング方法としては、上記本発明の微量mRNAの増幅方法により得られるセンス鎖cDNA、アンチセンス鎖cDNA、センス鎖cRNA又はアンチセンス鎖cRNAのうちの少なくとも1つを標識化して用いる方法であれば、どのようなサブトラクションクローニング方法であっても特に制限されるものではないが、以下に示すサブトラクションによるクローニングを例示することができる。特定条件下の細胞由来のmRNAを、本発明の微量mRNAの増幅方法により増幅し、大量のセンス鎖cRNA混成物を調製する。一方、対照細胞由来のmRNAを、本発明の微量mRNAの増幅方法により増幅し、大量のアンチセンス鎖cRNA混成物を調製する。かかるアンチセンス鎖cRNA混成物の調製に際して、ビオチン化リボヌクレオチドを基質に用いて標識する。次に、前記センス鎖cRNA混成物とビオチン標識アンチセンス鎖cRNA混成物をハイブリダイゼーションさせ、続いてアビジン結合磁気ビーズを反応せしめた後、磁性体等を用いてハイブリダイズしていないアンチセンス鎖cRNAや、センス鎖cRNA−アンチセンス鎖cRNA複合体を系外に除去し、特定条件下の細胞のみに発現しているmRNAに由来するハイブリダイズしていないセンス鎖cRNAを得て、これを鋳型とし、アンチセンス鎖cDNAを合成した後、PCRによりcDNAを増幅し、次いで、このcDNAが挿入されたプラスミドを用いて大腸菌を形質転換し、以後、常法によりディファレンシャル・ハイブリダイゼーションを行う。かかるサブトラクションクローニング方法においては、例えば、1個のマウスの初期胚、1匹のマウスの微小な脳神経核・組織領域から出発することが可能である。
【0023】
本発明のマイクロアレイとしては、上記本発明の微量mRNAの増幅方法により得られるセンス鎖cDNA、アンチセンス鎖cDNA、センス鎖cRNA又はアンチセンス鎖cRNAのうちの少なくとも1つを用いて作製されるマイクロアレイであればどのようなものでもよく、マイクロアレイの作製は、「DNAマイクロアレイと最新PCR法」(秀潤社2000年3月16日発行)の26〜34頁に記載された方法など、従来公知の方法により行うことができる。また、かかるマイクロアレイを用いたゲノム解析も、文献(Nature Vol.407, September 7 (2000) Appendix 9-19)に記載された方法など、従来公知の方法により行うことができる。
【0024】
本発明のcDNAライブラリーとしては、上記本発明の微量mRNAの増幅方法により得られるcDNA混成物がベクターに導入されているものであればどのようなものでもよく、上記ベクターとしては、プラスミドベクター、ファージベクター、コスミドベクターなど従来公知のライブラリー作製用のベクターを例示することができる。本発明の微量mRNAの増幅方法によると、工程1.〜6.により増幅cDNA混成物を調製するまで制限酵素を使用する必要がないことから、一部のcDNAの欠失を招くことがない。かかるcDNAライブラリーの作製は、例えば、1個のマウスの初期胚、1匹のマウスの微小な脳神経核・組織領域から出発することが可能である。また、cDNAライブラリー作製に用いられるcDNA混成物として、工程7.で得られたcRNA混成物から、さらに逆転写酵素を用いて合成したcDNA混成物を用いることもできる。
【0025】
また、先行技術(WO93/15228)では、cDNAをプラスミドベクターに一方向性に挿入するため、制限酵素消化による断端配列を利用しており、これにより一部のcDNAが失われることになるが、本発明においては、制限酵素消化を用いることなく、DNAポリメラーゼの3′→5′エキソヌクレアーゼ活性を利用して調製した、その両端に特異的な制限酵素切断端配列を有するcDNA断片を利用してプラスミドベクターに一方向性かつ1コピーの挿入を行うことが可能となる。後述する実施例において詳しく説明されているように、例えば、dATPとdTTPのみ含有し、dCTPとdGTPを含まない反応液中で、T4DNAポリメラーゼを作用させると、その3′→5′エキソヌクレアーゼ活性により、3′端側からC及び/又はGからなるヌクレオチド部分がA又はTが現出するところまで除去されて5′突出末端が形成され、制限酵素AaI及びAccI断端を有するcDNA断片等を調製することができ、かかるcDNA断片を利用するとプラスミドベクターに一方向性かつ1コピーの挿入を行うことができる。
【0026】
本発明の微量mRNA増幅用キットとしては、オリゴ(dT)を結合させた磁気ビーズ等の担体、第1のプロモーター配列を有するリンカー、前記第1のプロモーター配列とは異なる第2のプロモーター配列を有するリンカーを付加したオリゴ(dT)プライマーを含むものであれば特に制限されるものではないが、前記工程1.〜7.で使用する各種緩衝液等を含むものが好ましい。本発明の微量mRNA増幅用キットを用いると、前記サブトラクションクローニングや、マイクロアレイの作製・解析や、cDNAライブラリーの構築を簡便に行うことができる。
【0027】
【実施例】
以下に、実施例を揚げてこの発明を更に具体的に説明するが、この発明の範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1[微量mRNA増幅法(MSMAP);図1参照]
[RNAサンプル液の調製]
ラット初代培養肝細胞から酸・グアニジンチオシアネート・フェノール・クロロホルム抽出法(AGPC法)により全RNAを抽出し、1μgの全RNAを含む10μlの水溶液を出発材料とした。これを滅菌水を用いて段階希釈し、RNA量(ng)が102、10、1、10-1、10-2、10-3を含む各サンプル液及びネガティブコントロールとしてRNA量(ng)が0のサンプル液それぞれ10μlを調製した。
【0028】
[オリゴ(dT)磁気ビーズへのポリ(A)+RNAの吸着(図1ステップ1)]
上記RNA1μgを含む水溶液10μlを65℃にて5分間保温後氷上で急冷し、25μgのオリゴ(dT)磁気ビーズ(Dynal社製Dynabeads Oligo(dT)25)を懸濁した10μlの2×結合緩衝液[1×結合緩衝液の組成:10mMトリス塩酸(pH7.5)、0.5M塩化ナトリウム、1mM EDTA]に加え、室温で5分間インキュベートし、ポリ(A)+RNAをオリゴ(dT)にアニールさせた。ポリ(A)RNA吸着オリゴ(dT)ビーズを磁石(Dynal社製MPC-E/E1)による吸引と分散を繰り返すことにより、50μlの0.3×結合緩衝液にて2回洗滌した。
【0029】
[磁気ビーズ上での2重鎖cDNAの合成(図1ステップ2)]
上記ポリ(A)+RNA吸着オリゴ(dT)磁気ビーズを、20mMトリス塩酸(pH8.4)、50mM塩化カリウム、2.5mM塩化マグネシウム、10mMDTT、1mM dNTP(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)、0.1mg/ml BSA、M−MLV逆転写酵素(Gibco BRL社製SuperScriptII)200ユニットを含む20μlの反応混合液に懸濁し、42℃にて50分間(10分ごとに攪拌しビーズを浮遊させながら)インキュベートして、アンチセンス鎖cDNAを合成した。0.5M EDTA(pH8.0)0.8μlを加えて反応を停止し、mRNA/cDNAビーズを10mMトリス塩酸(pH8.0)/1mM EDTA(以下、TE溶液という)50μlにて3回洗滌した。続いて、同ビーズを19mMトリス塩酸(pH8.3)、91mM塩化カリウム、4.6mM塩化マグネシウム、10mM硫酸アンモニウム、3.8mM DTT、0.15mM NAD、1mM dNTP(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)、大腸菌DNAポリメラーゼI(Gibco BRL社製)5ユニット、大腸菌DNAリガーゼ(Gibco BRL社製)5ユニット、大腸菌RNaseH(Gibco BRL社製)1ユニットを含む20μlの反応混合液に懸濁し、16℃にて1時間インキュベートして、センス鎖cDNAを合成し、磁気ビーズ固定2重鎖cDNAを得た。さらに、1ユニット/μl T4 DNAポリメラーゼ(Roche Diagnostics社製)0.5μlを追加し、16℃にて10分間インキュベートして、5′末端の平滑化を徹底した。0.5M EDTA(pH8.0)0.8μlを加えて反応を停止し、2重鎖cDNAビーズをTE溶液50μlにて3回洗滌した。
【0030】
[cDNA5′末端へのプロモーター配列の付加とセンス鎖cDNAの分取(図1ステップ3および4)]
配列番号1で表される52merの塩基配列からなるupper strandと、配列番号2で表される50merの塩基配列からなるlower strandのオリゴヌクレオチドを、DNAシンセサイザーを用いて常法により合成した。lower strandの5′末端はT4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造社製)を用いてリン酸化した。両鎖を常法によりアニールし、2重鎖とし、図2に示したMSMAP−5′−T7リンカーを得た。上記の2重鎖cDNAビーズを66mMトリス塩酸(pH7.5)、5mM塩化マグネシウム、5mM DTT、1mM ATP、MSMAP−5′−T7リンカー1μg、T4 DNAリガーゼ(宝酒造社製)350ユニットを含む20μlの反応混合液に懸濁し(最後に酵素液1μlを加えて反応開始)、4℃にて1晩インキュベートし(ローテーターにて持続的に撹拌)、MSMAP−5′−T7リンカーを2重鎖cDNAの5′末端に連結した(図1ステップ3)。0.5M EDTA(pH8.0)0.8μlを加えて反応を停止し、リンカー連結2重鎖cDNAビーズをTE溶液50μlにて3回洗滌した。続いて、同ビーズをTE溶液20μlに懸濁し、95℃にて5分間インキュベートして、熱融解によりセンス鎖cDNAを解離させた。アンチセンス鎖cDNAビーズを磁石に吸引し、センス鎖cDNAを含む上清を分取した(図1ステップ4)。
【0031】
[cDNA3′末端へのプロモーター配列の付加とアンチセンス鎖cDNAの再合成(図1ステップ5)]
センス鎖cDNA溶液4μlに、配列番号3で表される68merの塩基配列からなる、SP6プロモーター配列を付加したオリゴ(dT)プライマーMSMAP−3′−SP6プライマー50ngを加え、合計5μlとした。90℃にて3分間加熱した後、氷上にて急冷し、これに各終濃度20mMトリス塩酸(PH8.4)、50mM塩化カリウム、2.5mM塩化マグネシウム、10mM DTT、1mM dNTP(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)、0.1mg/ml BSAを加え、42℃にて5分間プレインキュベートした後、さらにM−MLV逆転写酵素(Gibco BRL社製SuperScriptII)200ユニット(1μl)を加え20μlの反応混合液とした。42℃にて1時間インキュベートして、アンチセンス鎖cDNAを合成し、2重鎖cDNAとした。反応終了後、ドライアイス上にて凍結させ、−25℃に保管した。この状態で少なくとも1年間保存することができた。
【0032】
[cDNA混成物の増幅(図1ステップ6)]
2段階のPCRにより、cDNA混成物の増幅を行なった。プライマーとしては、2重鎖cDNA両端のリンカー部分の既知配列、すなわち配列番号4で表される20merの塩基配列からなる5′PCRプライマー(図2)と、配列番号5で表される20merの塩基配列からなる3′PCRプライマー(図2)を用いた。第1段階のPCRは、20mMトリス塩酸(pH8.2)、10mM塩化カリウム、6mM硫酸アンモニウム、2mM塩化マグネシウム、0.1% Triton X-100、0.2mM dNTP(dATP、dCTP、dGTP、dTTP)、10μg/ml BSA、上記2重鎖cDNA溶液2μl、5′PCRプライマー0.1nmol、3′PCRプライマー0.1nmol、熱耐性DNAポリメラーゼ(Stratagene社製Pfu DNAポリメラーゼ)3ユニットを含む100μlの反応混合液中で行なった。なお、PCRの条件は、94℃にて1分間熱変性、57℃にて2分間アニーリング、72℃にて2分間伸長反応させるというサイクルを15回繰り返すという条件で行なった。第2段階のPCRは、第1段階のPCR産物混合液5μlずつを5本のチューブに分注し、各チューブの他の組成は第1段階と同様の100μlの反応混合液中で行なった。なお、PCRの条件は、上記第1段階と同様の条件で行なった。5本の産物混合液(全RNA1μgの1/200に相当)を1本に集め、0.5M EDTA(pH8.0)10μlと10% SDS10μlとを加えて反応を停止した。TE飽和フェノール500μlによる抽出2回、TE飽和フェノール/クロロフォルム(50:50)500μlによる抽出2回、クロロフォルム500μlによる抽出2回の後、残された約450μlの産物混合液に、キャリアーとしてグリコーゲン(Roche Diagnostics社製)20μg(1μl)を加え、さらに5M酢酸アンモニウム2/3容(300μl)、エタノール2容(1.5ml)を加え、氷上に1時間保管後、遠心により産物を回収した。沈殿を70%エタノール1mlにて洗滌した後、風乾し、TE溶液20μlに溶解した。以上の方法により、全RNA1μgの1/200相当量を第2段階のPCRに適用した場合、通常、約10μgの増幅cDNA混成物が得られることがわかった。図3に示すように、第2段階のPCRの各サイクルにおける増幅cDNA混成物を1%アガロースゲルにて電気泳動後、エチジウムブロマイドにて蛍光染色すると、12サイクル以上で約4000bpの長さに及ぶcDNAの増幅が認められた。上記のように、通常、第2段階のPCRのサイクル数としては、合成量が飽和していない15サイクル程度を用いた。また、図4に示すように、出発材料の全RNAは0.1ngまで少量化が可能であった。これに含まれるmRNAを2pgと仮定し、この全量を増幅した場合、理論上2mgの増幅cDNAが得られることになり、この段階までで109倍の増幅が可能であることが明らかになった。
【0033】
[cRNA混成物の合成(図1ステップ7)]
上記増幅cDNA混成物を鋳型として、センス鎖およびアンチセンス鎖cRNAをそれぞれT7およびSP6 RNAポリメラーゼを用いて以下のように特異的に合成した。40mMトリス塩酸(pH8.0)、6mM塩化マグネシウム、10mM DTT、2mMスペルミジン、1mM NTP(ATP、CTP、GTP、UTP)、RNaseインヒビター(Roche Diagnostics社製)4ユニット、増幅cDNA混成物0.3μg、T7 RNAポリメラーゼ(Roche Diagnostics社製)またはSP6 RNAポリメラーゼ(Roche Diagnostics社製)40ユニットを含む20μlの反応混合液を37℃にて2時間インキュベートして、cRNAを合成した。続いて、RNase活性を含まないDNaseI(10ユニット/μl Roche Diagnostics社製)2μlを加え、さらに37℃にて15分間インキュベートすることにより鋳型cDNAを分解し、最後に0.5M EDTA(pH8.0)0.8μlを加えて反応を停止した。続いて5M酢酸アンモニウム2/3容(15.2μl)、エタノール2容(76μl)を加え、氷上に10分間保管後、遠心により産物を回収した。回収した産物(沈殿物)を70%エタノール0.1mlにて洗滌した後、風乾し、滅菌水10μlに溶解した。なお、上記の結果、増幅cDNA混成物0.3μgから、通常、約10μgの増幅cRNA混成物が得られることがわかった。以上のことから、出発材料の1μgの全RNA(約20ng mRNA)から起算してルーチンに108倍、0.1ngの全RNAから出発した場合理論上最大で1012倍の増幅が可能であると計算された。図5に示すように、増幅cRNA混成物を1%アガロース/MOPS酢酸/ホルムアルデヒドゲルにて電気泳動後、エチジウムブロマイドにて蛍光染色すると、約2000bの長さに及ぶcRNAの合成が認められた。
【0034】
[増幅cRNA混成物のノーザンハイブリダイゼーション解析(図6)]
ラット初代培養肝細胞に由来する全RNA2μg、およびその増幅センス鎖cRNA混成物0.3μgを1%アガロース/MOPS酢酸/ホルムアルデヒドゲルにて電気泳動後、RNA蛍光バンドを検出し、さらに常法によりナイロンメンブレンにブロットした。アルギナーゼcDNAを鋳型にしてRoche Diagnostics社製のキットを用いてDIG標識したアンチセンス鎖cRNAを合成し、これをプローブに用いてハイブリダイゼーションを行なった。同社のプロトコルに従い、アルカリフォスファターゼ結合抗DIG抗体と化学発光基質CDP-Starを用い、発光シグナルをX線フィルムに検出した。約1.6kbのアルギナーゼmRNAおよびセンス鎖cRNAが検出された。
【0035】
[標識cRNA混成物を用いたリバース−ノーザンハイブリダイゼーション解析(図7,8)]
クローン化遺伝子由来のcRNAをフィルターに固定し、これに、検体試料に由来する標識反対鎖cRNA混成物をハイブリダイズさせ、特定のmRNAのレベルを測定することを可能にする方法の原理を図7に、実験例を図8に示した。β−アクチン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(G3PDH)、およびアルギナーゼのcDNAを鋳型として、インビトロ転写系によりアンチセンス鎖cRNAを合成した。各cRNA0.5μgを1%アガロース/MOPS酢酸/ホルムアルデヒドゲルにて電気泳動後、常法によりナイロンメンブレンにブロットした。一方、10-6Mデキサメサゾンおよび3×10-8Mグルカゴンにて2時間処理あるいは無処理のラット初代培養肝細胞の全RNAに由来する増幅cDNA混成物を鋳型として、Roche Diagnostics社製のキットを用いてDIG標識したセンス鎖cRNA混成物を合成した。同社のプロトコルに従い、アンチセンス鎖cRNAブロットに対して、0.5μg/mlのDIG標識センス鎖cRNA混成物を68℃にて1晩反応させ、ハイブリダイズしたRNAに由来するシグナルを化学発光としてX線フィルムに検出した。その結果、β−アクチン、G3PDHのmRNAレベルに変化が認められないのに対し、デキサメサゾンおよびグルカゴン処理によりアルギナーゼmRNAレベルが上昇するのが確認できた。
【0036】
[cDNA混成物よりのcDNAライブラリーの作製(図9)]
PCRによる増幅前あるいは増幅後のcDNA混成物は、その両端に構築された特殊な配列を利用して、pUC18/19、pGEM-3Zf(+)/(-)等のプラスミドベクターに一方向性に、かつ1コピーのみ挿入することが可能である。cDNA混成物の5′末端の配列
5′−CCGGA・・・・・−3′
3′−GGCCT・・・・・−5′
に対して、dATPとdTTPのみが存在し、dCTPとdGTPが存在しない反応液中で、T4 DNAポリメラーゼを作用させると、その3′→5′エキソヌクレアーゼ活性により、
5′−CCGGA・・・・・−3′
3′−T・・・・・−5′
の5′突出末端を形成できる。この末端は、pUC18/19、pGEM-3Zf(+)/(-)等のポリリンカー部位をAvaIにて消化した際形成される5′突出末端と相補的である。同様にして、cDNA混成物の3′末端の配列
5′−CGA・・・・・−3′
3′−GCT・・・・・−5′
に対して、
5′−CGA・・・・・−3′
3′−T・・・・・−5′
の5′突出末端を形成できる。この末端は、pUC18/19、pGEM-3Zf(+)/(-)等のポリリンカー部位をAccIにて消化した際形成される5′突出末端と相補的である。この特質を利用して、各cDNAを一方向性にプラスミドのAvaI−AccI部位に挿入できる。また、各cDNAの両端はリン酸化されていないため、cDNA同士の連結がおこらず、1コピーのみ挿入される。
【0037】
以下に、前記増幅cDNA混成物をpUC19に挿入し、cDNAライブラリーを構築した実験例を示す。50mMトリス塩酸(pH8.8)、7mM塩化マグネシウム、15mM硫酸アンモニウム、0.1mM EDTA、10mMメルカプトエタノール、0.2mg/ml BSA、0.1mM dATP、0.1mM dTTP、増幅cDNA混成物1.2μg、T4 DNAポリメラーゼ(Roche Diagnostics社製)2.5ユニットを含む100μlの反応混合液を37℃にて5分間インキュベートして、3′→5′エキソヌクレアーゼ活性によりcDNAの両3′端よりCおよびGヌクレオチド残基を除去した。0.5M EDTA(pH8.0)4μlを加えて反応を停止した。キャリアーとしてグリコーゲン(Roche Diagnostics社製)20μg(1μl)を加え、TE飽和フェノール100μlによる抽出2回、TE飽和フェノール/クロロフォルム(50:50)100μlによる抽出2回、クロロフォルム100μlによる抽出2回の後、産物混合液に5M酢酸アンモニウム2/3容(67ml)、エタノール2容(334ml)を加え、氷上に10分間保管後、遠心により産物を回収した。回収した産物(沈殿物)を70%エタノール0.5mlにて洗滌した後、風乾し、TE溶液20μlに溶解した。一方、pUC19をAvaIおよびAccIにより消化し、アガロース電気泳動後、ベクター部分のバンドを含むゲルを切り出し、DNAをGlassmilk(Bio 101社製)を用いて精製した。AvaI/AccI末端構成cDNA混成物約5ngとAvaI/AccI消化pUC19約5ngを、T4 DNAリガーゼを用いて連結し、常法により大腸菌JM109コンピテントセルをトランスフォームした。約200コロニーのトランスフォーマントが得られ、そのうち無作為に選んだ12クローンについて液体培養後プラスミドを抽出した。これをClaIおよびHindIIIにて消化し、1%アガロース電気泳動にて解析した。その結果を図9に示す。このことから、11クローンにcDNA由来と考えられるインサートが確認され、その長さは約200〜1000bpであることがわかった。以上のことから、cDNA混成物1μgを用いると、約4万クローンからなるcDNAライブラリーを、プラスミドをベクターに用いて容易に構築することが可能であることが明らかになった。
【0038】
【発明の効果】
本発明の微量mRNAの増幅方法は、ヒトなど高等生物の限局された細胞、組織に由来する微量のmRNA/cDNAを増幅することが可能な汎用性を有する方法であり、本発明によると、磁気ビーズ上でのcDNA合成、PCRによるcDNAの増幅と、それに続くインビトロRNA合成を組み合わせることにより、mRNAの一億倍程度の増幅が容易にでき、cDNAの増幅のみでも、単一細胞からのライブラリー調製が十分可能となり、限局された細胞からの各種cDNAの単離にきわめて有用である。また、cDNAの両端に連結したT7及びSP6のプロモーター配列を利用し、センス鎖及びアンチセンス鎖両方のcRNAを特異的に合成することができ、サブトラクションクローニングや各鎖特異的標識プローブを調製することができる。かかる各鎖特異的標識プローブは、DNAマイクロアレイ等の高感度解析に極めて有用である。さらに、特異的に合成されたセンス鎖cRNAを用いてタンパク質のインビトロ合成も可能となる。そして、cDNA各端の潜在的制限酵素認識部位構成配列により、プラスミドへの一方向かつ1コピーの挿入が可能であり、クローン化後の解析が容易となる。このように本発明は、微量試料に由来するcDNAの単離とその遺伝子発現解析に汎用性が高く、遺伝子資源の発見、開発に極めて有用である。
【0039】
【配列表】
Figure 0003853161
Figure 0003853161
Figure 0003853161
Figure 0003853161

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微量mRNA増幅法により、cDNA混成物やcRNA混成物を合成する、各工程別の概略を示す図である。
【図2】本発明の微量mRNAの増幅方法に用いられるリンカーやプライマーの構造を示す図である。
【図3】本発明の微量mRNAの増幅方法により、全RNAからcDNA混成物を増幅した結果を示す図である。第1段階のPCR産物混合液5μlを用いて、第2段階のPCRを100μlの反応混合液中で行った。各サイクル数の反応の後10μlを抜取り、アガロース電気泳動を行なってcDNA混成物の増幅を解析した。レーンMはDNA分子量マーカーを泳動した。
【図4】本発明の微量mRNAの増幅方法により、段階希釈した全RNAからcDNA混成物を増幅した結果を示す図である。用いた全RNA量に相当する細胞の概数も示した。PCRは1段階のみで、40サイクル行なった。レーンMはDNA分子量マーカーを泳動した。
【図5】本発明の微量mRNAの増幅方法により増幅したcDNA混成物から、センス鎖およびアンチセンス鎖cRNA混成物を合成した結果を示す図である。レーンMは分子量マーカーとして全RNAを泳動した。
【図6】全RNAおよび増幅cRNA混成物のノーザンハイブリダイゼーション解析の結果を示す図である。レーン1および2は、ラット初代培養肝細胞由来の全RNAおよびその増幅センス鎖cRNA混成物を電気泳動後、蛍光染色した結果を示す。これらをブロット後、アルギナーゼmRNAおよびcRNAを検出した(レーン3および4)。
【図7】本発明におけるリバース−ノーザンハイブリダイゼーション解析の概要を示す図である。
【図8】リバース−ノーザンハイブリダイゼーション解析の結果を示す図である。
【図9】増幅cDNA混成物を用いて、cDNAライブラリーを作製し、各クローンのインサートの長さを検定した結果である。レーン12を除く全てのクローンにインサートが認められた。レーンMはDNA分子量マーカーを泳動した。

Claims (12)

  1. 以下の1.6.の工程を含み、該工程1.〜6.までの間は制限酵素を用いないことを特徴とする微量mRNAの増幅方法。
    1.試料中のmRNAを、オリゴ(dT)を結合させた担体に吸着させる工程;
    2.担体上でアンチセンス鎖cDNA及びセンス鎖cDNAを合成する工程;
    3.得られる2重鎖cDNAの少なくともセンス鎖の5′末端に第1のプロモーター配列を有するリンカーを付加する工程;
    4.2重鎖cDNAを解離させ、担体に結合したアンチセンス鎖cDNAを担体と共に除去する工程;
    5.解離したセンス鎖cDNAを鋳型として、第2のプロモーター配列を有するリンカーを付加したオリゴ(dT)プライマーを用いて、2重鎖cDNAを合成する工程;
    6.2重鎖cDNA両端のリンカー部分の配列をプライマーとしてPCRを行い、cDNA混成物を増幅する工程;
  2. 以下の1.〜7.の工程を含み、該工程1.〜6.までの間は制限酵素を用いないことを特徴とする微量mRNAの増幅方法。
    1.試料中のmRNAを、オリゴ(dT)を結合させた担体に吸着させる工程;
    2.担体上でアンチセンス鎖cDNA及びセンス鎖cDNAを合成する工程;
    3.得られる2重鎖cDNAの少なくともセンス鎖の5′末端に第1のプロモーター配列を有するリンカーを付加する工程;
    4.2重鎖cDNAを解離させ、担体に結合したアンチセンス鎖cDNAを担体と共に除去する工程;
    5.解離したセンス鎖cDNAを鋳型として、第2のプロモーター配列を有するリンカーを付加したオリゴ(dT)プライマーを用いて、2重鎖cDNAを合成する工程;
    6.2重鎖cDNA両端のリンカー部分の配列をプライマーとしてPCRを行い、cDNA混成物を増幅する工程;
    7.前記第1のプロモーター配列及び/又は第2のプロモーター配列を利用して、インビトロ転写系によりセンス鎖cRNA及び/又はアンチセンス鎖cRNAを合成する工程;
  3. 担体が磁気ビーズであることを特徴とする請求項1又は2記載の微量mRNAの増幅方法。
  4. 第1のプロモーター配列を有するリンカーとして、その5′末端が非対合末端、3′末端が平滑末端であるリンカーを使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法。
  5. 第1のプロモーター配列を有するリンカー及び/又は第2のプロモーター配列を有するリンカーとして、該プロモーター配列の5′側及び/又は3′側に制限酵素認識配列を有するリンカーを使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法。
  6. 第1のプロモーター配列と第2のプロモーター配列が異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法。
  7. 第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターが、該プロモーターを特異的に転写することができるRNAポリメラーゼが存するプロモーターであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法。
  8. プロモーター特異的に転写することができるRNAポリメラーゼが、T7プロモーター、SP6プロモーター、T3プロモーターから選ばれることを特徴とする請求項7記載の微量mRNAの増幅方法。
  9. 第1のプロモーター配列を有するリンカーが、配列番号1及び2で表される塩基配列からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法。
  10. 第2のプロモーター配列を有するリンカーを付加したオリゴ(dT)プライマーが、配列番号3で表される塩基配列からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法を用いることを特徴とする遺伝子のクローニング方法。
  12. 請求項1〜10のいずれか記載の微量mRNAの増幅方法により得られるセンス鎖cDNA、アンチセンス鎖cDNA、センス鎖cRNA又はアンチセンス鎖cRNAの少なくとも1つを標識化して用いることを特徴とするサブトラクションクローニング方法。
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