JP3852496B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、空調用、冷凍用、冷蔵庫用のスクロール圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は例えば特開昭59-177783号公報に示された密閉形圧縮機を示す構成図である。図8において、17は内部に圧縮要素、電動機(図示せず)等を収納する支持部材であり、外周部は結合部材18とボルト30により固定されている。結合部材18は外周部で密閉容器7の内壁に取り付けてある固定台32にボルト31により固定されている。13は密閉容器7に固定され、圧縮される前の低圧冷媒ガスを密閉容器7内に導く吸入管であり、14は密閉容器7及び支持部材17に固定され、圧縮された後の高圧冷媒ガスを密閉容器7外に排出する吐出管である。
次に運転時の動作について説明する。電動機によって発生する駆動トルクは、圧縮要素を駆動し、冷媒ガスの圧縮行程が行われる。そして吸入管13から吸入された低圧の冷媒ガスは圧縮要素で圧縮され、高圧となった冷媒ガスは吐出管14から密閉容器7外に排出される。
【0003】
ところで、圧縮機運転中は支持部材17の内部の圧縮要素、電動機に作用する力により振動が発生し、支持部材17、結合部材18、密閉容器7へと伝達し、密閉容器7から騒音が発生する。この騒音発生を抑制する為には、騒音で問題となる周波数成分の振動が結合部材18で減衰する様に結合部材18の形状および固定方法を設定する必要があり、その為には、支持部材17と支持部材17に重量が作用する全ての部品と結合部材18を合わせた系の共振周波数を問題となる周波数以下に設定する必要がある。しかし、共振周波数を下げる為に結合部材18の弾性率を下げる必要があり、結合部材18の剛性を下げる必要があるが、剛性を下げると運転中の結合部材18の強度が低下してしまい、運転中に結合部材18が破損してしまうおそれがある為、困難である。また、結合部材18の剛性を下げると、圧縮機運転中の結合部材18の変形量が大きくなり、密閉容器7と支持部材17の変位差により、密閉容器7および支持部材17に固定されている吐出管14は密閉容器7および支持部材17から反力を受ける。従って、運転中の吐出管14の強度を保持させる為、密閉容器7内で吐出管14を湾曲させて許容変形量を増加させる必要があるので、吐出管14の材料、形成、組立コストが増加してしまう。さらに、結合部材18の取り付けには、ボルト30、31を使用しているので、結合部材18を密閉容器7および支持部材17に固定する為の加工、組立コストが増加してしまい、さらには、運転中の支持部材17から受ける力や落下時の衝撃力によりボルト固定部で固定部品がずれたり、ボルトがゆるんでしまう等の危険もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術に示した密閉形圧縮機は以上のように構成されているので、圧縮機運転中に問題となる騒音の周波数成分の振動を結合部材で減衰させる為に結合部材の剛性を下げる事は、結合部材の強度の低下による結合部材破損のおそれがある為に困難であり、さらに、運転中の吐出管の強度を保つ為、密閉容器内で吐出管を湾曲させる必要がある為、吐出管の材料、形成、組立コストが増加してしまい、また、結合部材を密閉容器および支持部材にボルト固定する為に、加工、組立コストが増加してしまい、運転中の支持部材から受ける力や落下時の衝撃力によりボルト固定部で固定部品がずれたり、ボルトがゆるんでしまう危険があるなどの問題点があった。
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、騒音で問題となる周波数成分の振動を結合部材で減衰させる構造を可能とし、かつ、結合部材が破損することなくまた変形量を小さくでき、よって吐出管の材料、形成、組立コストを低下でき、低コストで信頼性、騒音面で優れたスクロール圧縮機を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の第1の発明に係わるスクロ−ル圧縮機は、密閉容器と、固定スクロール及び揺動スクロールを備えた圧縮要素と、電動機及び電動機の駆動力を伝達する主軸を備えた駆動要素と、主軸を支持するフレ−ムと、前記圧縮要素、前記駆動要素及び前記フレ−ムを支持する支持部材と、前記支持部材と前記密閉容器とを連結し、複数の軸方向の切欠きを有し、所定の厚さと所定の長さの中空円筒形状の結合部材とを有するものである。
【0006】
また、この発明の第2の発明に係わるスクロ−ル圧縮機は、密閉容器と、固定スクロール及び揺動スクロールを備えた圧縮要素と、電動機及び電動機の駆動力を伝達する主軸を備えた駆動要素と、主軸を支持するフレ−ムと、前記圧縮要素、前記駆動要素及び前記フレ−ムを支持する支持部材と、前記支持部材と前記密閉容器とを連結する結合部材と、前記密閉容器に固定され、前記固定スクロールあるいは固定スクロールに固定されている部品にシ−ル材を介して密封シ−ルされ、前記固定スクロールから吐出されるガスを前記密閉容器外に導く吐出管とを備えたスクロール圧縮機において、圧縮機運転中に前記密閉容器の振動周波数を低下し、かつ、前記密閉容器からの反力が前記吐出管に作用しないように前記結合部材の形状および固定方法を設定したものである。
【0007】
また、この発明の第3の発明に係わるスクロ−ル圧縮機は、第1又は第2の発明において、支持部材の軸方向のほぼ重心位置に結合部材を取付けたものである。
【0008】
また、この発明の第4の発明に係わるスクロ−ル圧縮機は、第1又は第2の発明において、支持部材の振動の共振周波数が1KHZ以下となるように結合部材の形状を決定したものである。
【0009】
また、この発明の第5の発明に係わるスクロ−ル圧縮機は、第1又は第2の発明において、圧縮機として許容すべき落下、転倒時等の衝撃加速度に対し結合部材の発生応力を材料降伏点以下におさえるような結合部材の切欠の幅と長さを設定したものである。
【0010】
また、この発明の第6の発明に係わるスクロ−ル圧縮機は、第1又は第2の発明において、支持部材と結合部材の固定及び密閉容器と前記結合部材の固定のうち少なくとも一方は圧入、焼きばめ又は溶接によって固定したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明のスクロール圧縮機の実施の形態1の構成図である。図1において、1は固定スクロールであり、台板部1aの外周部はフレーム4に固定されており、フレーム4の外周部は支持部材17に焼ばめによって固着されている。固定スクロール1の台板部1aの中心付近には吐出ポート1cが形成されており、台板部1aの片側には板状渦巻歯1bが形成されている。2は揺動スクロールであり、台板部2aの片側には固定スクロールの板状渦巻歯と実質的に同一形状の板状渦巻歯2bを形成している。揺動スクロール2の台板部2aの板状渦巻歯2bと反対側の中心部には中空円筒状のボス部を形成しており、その中空円筒状ボス部には軸受2cを形成している。また、揺動スクロール2の台板部2aの前記中空円筒状ボス部と同じ側の外周側はスラスト面2dを形成しており、フレーム4のスラスト軸受4aと平面接触摺動可能となっている。また、揺動スクロール2のスラスト面2dの外側には1対で2箇所のオルダム案内溝2eが形成されており、オルダムリング12の上爪12aが直線方向摺動自在に係合されている。他方、フレーム4にも、揺動スクロール2のオルダム案内溝2eとおおよそ90゜の位相差をもってオルダム案内溝4bが形成されており、オルダムリング12の下爪12bが直線摺動自在に係合されている。フレーム4の中心部には、電動機10によって駆動される主軸6をラジアル方向に支持する軸受4cを形成している。電動機10は、そのステ−タが支持部材17に固着され、そのロ−タが主軸6に固着されている。電動機10に対しフレーム4と反対側にはサブフレーム15が配置され、中心部には主軸6をラジアル方向に支持する軸受15aを形成しており、外周部は焼きばめにより中空円筒状の支持部材17に固着されている。主軸6の揺動スクロール側端部には、揺動スクロール2の偏心方向と同一方向の平面部を有するピン部6aが形成されており、内側面に平面部を有するスライダ5が主軸6のピン部6aに係合されている。スライダ5の外側面は円筒形状であり、揺動スクロール2の軸受2cに回転自在に係合されている。固定スクロール1の板状渦巻歯1bと反対側には吐出マフラー8が配置されており、外周部は固定スクロール1固定されている。また、固定スクロール1の板状渦巻歯1bの先端と揺動スクロール2の台板部2a及び固定スクロール1の台板部1aと揺動スクロール2の板状渦巻歯2bの先端は組立時に所定の微小隙間になるよう設定されている。13は密閉容器7に気密固定され、圧縮される前の低圧冷媒ガスを密閉容器7内に導く吸入管であり、14は密閉容器7に気密固定され、圧縮された後の高圧冷媒ガスを密閉容器7外に排出する吐出管である。また、図2に示す通り、吐出管14は吐出マフラー8内に所定の隙間を保持して挿入されており、挿入部のシール溝14aには弾性作用のあるシール材16が組み込まれていて、吐出マフラー8内外の高低圧をシールしている。18は支持部材17と密閉容器7を連結する結合部材であり、結合部材18の密閉容器固定部18bで密閉容器7の内周部と圧入あるいは焼きばめあるいは溶接により固着されており、結合部材18の支持部材固定部18cで支持部材17の外周部と圧入あるいは焼きばめあるいは溶接により固着されている。
但し、吐出管14は、吐出マフラ−8がない場合は、固定スクロ−ル1の台板1aにシ−ル材を介して密封シ−ルし、吐出ポ−ト1cと連通するようにしてもよい。
【0012】
電動機10によって発生する駆動トルクは、主軸6を介して公転運動を行うスライダ5へと伝達される。スライダ5に伝達された駆動トルクは、軸受2cを介して揺動スクロール2を駆動し、揺動スクロール2は、オルダムリング12によってフレーム4に対しての自転ひいては固定スクロール1に対しての自転を拘束されているので、固定スクロール1に対して揺動運動を行う。そして、吸入管13から吸入された低圧の冷媒ガスは、固定スクロール1に形成された板状渦巻歯1bと揺動スクロール2に形成された板状渦巻歯2bとがかみ合って形成される一対の三ケ月状の圧縮室22に取り込まれ、この三ケ月状の圧縮室が相似的に容積を減少していくことで圧縮動作が実現する。さらに、圧縮された高圧の冷媒ガスは、固定スクロール1の吐出ポート1cを通り吐出マフラー8内に開放され、その後吐出管14から密閉容器7外に排出される。また、主軸6のピン部6aの平面部とスライダ5の内側面の平面部とは揺動スクロール2の偏心方向に直線摺動自在であるので、揺動スクロール2に遠心力等の所定の力が偏心方向に作用することで、揺動スクロール2は固定スクロール1に半径方向に押し付けられ、揺動スクロール2の板状渦巻歯2bの側面と固定スクロール1の板状渦巻歯1bの側面に隙間が生じる事を防止する。
【0013】
また、スクロール圧縮機運転中は、圧縮室22内では冷媒ガスの圧縮行程による圧力変化及び高周波成分の圧力波の発生により、固定スクロール1と揺動スクロール2にはラジアル方向、回転方向、軸方向に変動する力が作用する。さらに、固定スクロール1の板状渦巻歯1bの側面と揺動スクロール2の板状渦巻歯2bの側面はスライダ5により所定の力で押し付けられる。これら固定スクロール1と揺動スクロール2に作用する力により、固定スクロール1と揺動スクロール2には振動が発生する。また、揺動スクロール2の軸受2c、フレーム4の軸受4c、サブフレーム15の軸受15aには主軸6によりラジアル方向の力が作用する為、揺動スクロール2、フレーム4、サブフレーム15で振動が発生し、さらに電動機10には回転方向の磁気力により振動が発生する。この様にして各部品で振動が発生し、支持部材17、結合部材18、密閉容器7へと伝達し密閉容器7から騒音となって発生する。通常密閉容器7の振動の固有値は1k〜4kHzであり、圧縮機運転中密閉容器7から発生する騒音の中でもこの周波数成分が大きくなる特徴がある。この周波数成分の騒音発生を抑制して騒音値を低減させる為には、支持部材17と支持部材17に重量が作用する全ての部品と結合部材18を合わせた系の軸方向、半径方向、回転方向の振動モードの中で騒音に影響のある方向の振動の共振周波数を1kHz以下にして、この周波数以上の振動を減衰させる必要があり、その為には結合部材18の剛性を下げて、密閉容器7固定部18bと支持部材17固定部18c間の結合部材18の弾性率を所定の値に設定する必要がある。また、結合部材18の剛性を低下させると運転中の結合部材8の変形量が大きくなるが、その変形により吐出管14と吐出マフラー8が接触すると、吐出マフラー8の振動が吐出管14を経て密閉容器7へ伝達し、振動、騒音増大の原因となり、さらに、密閉容器7および吐出マフラー8から受ける反力の為、吐出管14が破損してしまうおそれがある。また、結合部材18の剛性を低下させると、結合部材18の強度の低下による結合部材18の破損のおそれがある。従って、結合部材18の形状は密閉容器7固定部18bと支持部材17固定部18c間の弾性率と運転中の変形量、応力値を考慮して設定する必要がある。
【0014】
結合部材18は図3に示す通り、所定の厚さと長さの中空円筒にして支持部材17と支持部材17に重量が作用する全ての部品と結合部材18を合わせた系の軸方向共振周波数を低下させ、特に1kHz以下とし、さらに、複数個の軸方向の切欠18aを設けて、密閉容器に伝達する振動で最も影響の大きい半径方向共振周波数を低下させ、特に1kHz以下とする形状に設定してある。
一般に中空円筒形状ののように軸に沿った断面形状が同一である弾性体の場合、軸方向の断面積が大きいほど、軸方向の弾性率は増加し、共振周波数は増加する。また、軸方向長さが長いほど、軸方向の弾性率は低下し、共振周波数は低下する。従って、結合部材の場合も外径が同じであるなら、厚さを厚くすると軸方向断面積が増加し、軸方向の共振周波数は増加する。また、密閉容器固定部〜支持部材固定部間の距離を長くすると軸方向の共振周波数は低下する。以上のことから結合部材の軸方向の共振周波数設定のため、中空円筒部の厚さと長さを決定した。
また、一般に弾性体は剛性が高いほど、弾性率(力/変位)が高くなり、共振周波数は高くなる。また、同じ弾性率の場合、重量(質量)が大きいほど共振周波数は低くなる。従って、弾性変形する部分が結合部材だけの場合を考えると切欠等により結合部材の剛性を下げて、密閉容器固定部〜支持部材固定部間の弾性率を下げると共振周波数は低下し、また結合部材と結合部材と一体となって振動する部分(図1で密閉容器7、吸入管13、吐出管14、シ−ル材17以外の部品)の総重量を大きくすると、共振周波数は低下する。以上のことから、結合部材と一体となって振動する部分の重量が決められている場合、結合部材の剛性を変えて、結合部材の共振周波数を設定する。
また、結合部材の切欠の数が多く、幅が長く、長さが長いほど、特に半径方向の剛性が低下し、共振周波数が低下する。それ以外の方向(軸方向、回転方向)の剛性も低下するが、半径方向ほど大きな変化はない。以上のことから結合部材の半径方向の共振周波数設定のため、切欠の数、幅、長さを決定した。
【0015】
また、結合部材18の形状を所定の厚さと長さの中空円筒とし、上記の密閉容器7、支持部材17への固定方法により、結合部材18を、結合部材18に対し運転中に支持部材17から作用する力と圧縮機落下、転倒等の衝撃力に耐えうる強度とし、運転中の結合部材18の変形量を吐出管14と吐出マフラ8が接触しない程度にしているが、共振周波数を低下するために結合部材18の切欠き18aの幅および長さが増加すると半径方向の共振周波数は低下するが、運転中に支持部材17から作用する力および圧縮機落下、転倒時等にかかる衝撃力による結合部材18の変形量と応力値も増加するので、これらを考慮して切欠き18aの幅と長さを設定する。
これら共振周波数、変形量及び強度を満足する結合部材18の形状の決定法の一例を次に記す。
振動する部分の所定の重量に対して、軸方向の共振周波数を低下させ、特に1KHZ以下とするために構造解析により結合部材18の中空円筒の所定の厚さと所定の長さを決定する。
ついで、所定の数量で、所定の長さの切欠きを設定し、結合部材18の径方向の共振周波数を構造解析により、低下させ、特に1KHZ以下に低下させる幅寸法を算出し、また、切欠きによる最大応力部の応力値が材料の降伏点より小となる幅寸法を算出し、強度を確保し、さらに、結合部材18の密閉容器7固定部18bと支持部材17固定部18c間の変形量が吐出管14と吐出マフラ8が接触しない程度とする幅寸法を算出する。かくして、前記三者を満足するものとして、切欠き幅寸法を選定する。
もし、前記の所定の数量、所定の長さで前記の共振周波数、応力値及び変形量を満足させる幅寸法が選定できない場合は、別に所定の数量、所定の長さを設定して幅寸法の選定を行う。
図4は、前記強度に関して幅寸法を選定するもので、横軸に結合部材18の切欠き18aの幅の大きさをとり、縦軸は、切欠き18aの前記所定の数量、所定の長さに対して、構造解析により算出した、圧縮機落下時の結合部材18の切欠き先端部の最大応力部A(図3)の応力を示したもので、結合部材18の切欠き18aの幅は最大応力部Aの応力が材料の降伏点より小となる幅寸法に選定する。
尚、結合部材18の切欠18aの幅に対する構造解析により算出した結合部材18の変形量の関係も図4と同様となり、前記接触が生じない範囲で切欠き幅を選定する。
ついで、上記構造解析により選定した結合部材18にもとずき、実験で共振周波数、強度及び変形量を確認して最終的に決定する。
【0016】
また、支持部材17と支持部材17に重量が作用する全ての部品を合わせた軸方向のほぼ重心位置に結合部材18の内周を固定部18cで固定してあるので、運転中に密閉容器7内で支持部材17が結合部材18から反力を受けても支持部材17の傾きによる変位は増大せず、密閉容器7内での吐出マフラー8の変位量も増大しないので、吐出管14と吐出マフラー8が接触する事を防止すると共に、支持部材17が密閉容器7内でふれ回るモードの振動が減少するので、密閉容器7に伝達する振動が減少する。
【0017】
以上のような結合部材18の形状と結合部材18の密閉容器7、支持部材17への固定方法により、結合部材18を、結合部材18に対し運転中に支持部材17から作用する力と圧縮機落下、転倒時等の衝撃力に耐えうる強度とし、運転中の結合部材18の変形量を吐出管14と吐出マフラー8が接触しない程度にしながらも、支持部材17と支持部材17に重量が作用する全ての部品と結合部材18を合わせた系の軸方向、半径方向の共振周波数を低下させ、特に1kHz以下とすることを可能とした。従って、密閉容器7内で、支持部材17がふれ回るモードの振動が減少し、さらに、図5は上記の如く決定した結合部材18において支持部材固定部18cから受ける力と密閉容器固定部18bに伝わる力の比である減衰率を示した図であるが、図5に示す通り結合部材18における高周波成分の振動の減衰により、1k〜4kHz付近に固有値を持った密閉容器7へ伝達する振動が大幅に減少する。図6は図1の本実施の形態のスクロール圧縮機と同じ冷凍能力を持ち支持部材17と結合部材18がない仕様のスクロール圧縮機の構造図であり、フレーム4とサブフレーム15は直接密閉容器7にアークスポット溶接により固定されており、電動機10はサブフレームに固定されている。また、図7は図1の本実施の形態のスクロール圧縮機と図6のスクロール圧縮機の騒音実測結果を示した図であり、本実施の形態のスクロール圧縮機は図6のスクロール圧縮機と比較して高周波成分の騒音が低下して騒音値が大幅に低減する事が確認されている。また、結合部材18の変形量が小さく抑えられるので、吐出管14と吐出マフラー8が接触せず、吐出管14には密閉容器7からの反力が作用せず、強度を保持させる為に吐出管を湾曲させる必要がなくなり、吐出管の材料、形成、組立コストが低下する。さらに、支持部材17と結合部材18は圧入あるいは焼きばめあるいは溶接により固着されており、密閉容器7と結合部材18も同様に圧入あるいは焼きばめあるいは溶接により固着されているので、支持部材17を結合部材18を介して密閉容器7に固定する際の加工コスト及び組立コストが低減し、取り付けの安定性も大きくなる。
【0018】
なお、支持部材17は、図1では、内部にフレ−ム4、主軸6、電動機10、サブフレ−ム15等を含む略中空円筒状の形状とし、かつ、振動発生及び伝達の要因となる固定スクロ−ル、揺動スクロ−ルを備えた圧縮要素及び電動機、主軸、フレ−ム、サブフレ−ム、軸受を備えた駆動要素の重量が作用するように支持しているが、(図1では、密閉容器7、吸入管13、吐出管14以外の部品の重量が作用するようになっている)形状としては、図1のような略中空円筒形状に限られるものではなく、要するに、振動発生及び伝達要素となる主要な部品の重量が作用するように支持し、即ち、これらの部品の重量が直接密閉容器7に作用しないようにし、かつ、中空円筒形状の結合部材により密閉容器7に結合するようにしたものであればよい。
【0019】
【発明の効果】
以上のように、第1の発明に係わるスクロ−ル圧縮機は、密閉容器と、固定スクロール及び揺動スクロールを備えた圧縮要素と、電動機及び電動機の駆動力を伝達する主軸を備えた駆動要素と、主軸を支持するフレ−ムと、前記圧縮要素、前記駆動要素及び前記フレ−ムを支持する支持部材と、前記支持部材と前記密閉容器とを連結し、複数の軸方向の切欠きを有し、所定の厚さと所定の長さの中空円筒形状の結合部材とを有するようにしたので、圧縮機運転中に問題となる騒音の周波数成分の振動が結合部材で減衰し、密閉容器から発生する騒音が低減できるとともに、結合部材の強度も確保でき信頼性の高いスクロ−ル圧縮機が得られる。
【0020】
また、第2の発明に係わるスクロ−ル圧縮機は、密閉容器と、固定スクロール及び揺動スクロールを備えた圧縮要素と、電動機及び電動機の駆動力を伝達する主軸を備えた駆動要素と、主軸を支持するフレ−ムと、前記圧縮要素、前記駆動要素及び前記フレ−ムを支持する支持部材と、前記支持部材と前記密閉容器とを連結する結合部材と、前記密閉容器に固定され、前記固定スクロールあるいは固定スクロールに固定されている部品にシ−ル材を介して密封シ−ルされ、前記固定スクロールから吐出されるガスを前記密閉容器外に導く吐出管とを備えたスクロール圧縮機において、圧縮機運転中に前記密閉容器の振動周波数を低下し、かつ、前記密閉容器からの反力が前記吐出管に作用しないように前記結合部材の形状および固定方法を設定したので、圧縮機運転中に問題となる騒音の周波数成分の振動が結合部材で減衰し、密閉容器から発生する騒音が低減しながらも、強度を保持させる為に吐出管を湾曲させる必要がなくなり、吐出管の材料、形成、組立コストが低下できるので、低コストで騒音面で優れたスクロール圧縮機が得られる。
【0021】
また、第3の発明に係わるスクロ−ル圧縮機は、第1又は第2の発明において、支持部材の軸方向のほぼ重心位置に結合部材を取付けたので、運転中に密閉容器内で支持部材が結合部材から反力を受けても支持部材の傾きによる変位は増大せず、密閉容器内での吐出管が密封シ−ルされる固定スクロ−ルまたは固定スクロ−ルに固定されている部品の変位量も増大しないので、吐出管と吐出管が密封シ−ルされる固定スクロ−ルまたは固定スクロ−ルに固定されている部品が接触する事を防止でき、吐出管には反力が作用せず、強度を保持させる為に吐出管を湾曲させる必要がなくなり、吐出管の材料、形成、組立コストが低下するので、低コストで信頼性に優れたスクロール圧縮機が得られる効果があり、さらに、密閉容器内で、支持部材がふれ回るモードの振動が減少し、密閉容器に伝達する振動が減少し、密閉容器から発生する騒音は大幅に低減するので、騒音面で優れたスクロール圧縮機が得られる。
【0022】
また、第4の発明に係わるスクロ−ル圧縮機は、第1又は第2の発明において、支持部材の振動の共振周波数が1KHZ以下となるように結合部材の形状を決定したので、第1又は第2の発明の効果に加えて、1k〜4kHz付近に固有値を持った密閉容器に伝達する振動の1kHz以上の周波数成分が減衰し、密閉容器から発生する騒音は大幅に低減するので、騒音面で優れたスクロール圧縮機が得られる。
【0023】
また、第5の発明に係わるスクロ−ル圧縮機は、第1又は第2の発明において、圧縮機として許容すべき落下、転倒時等の衝撃加速度に対し結合部材の発生応力を材料降伏点以下におさえるような結合部材の切欠の幅と長さを設定したので、密閉容器に伝達する振動を減衰させるとともに、圧縮機運転中および圧縮機落下時に結合部材が破損する事もないので、信頼性および騒音面で優れたスクロール圧縮機が得られる。
【0024】
また、第6の発明に係わるスクロ−ル圧縮機は、第1又は第2の発明において、支持部材と結合部材の固定及び密閉容器と前記結合部材の固定のうち少なくとも一方は圧入、焼きばめ又は溶接によって固定したので、第1または第2の発明の効果に加えて、結合部材を支持部材あるいは密閉容器に固定する際の加工コスト及び組立コストが低減し、圧縮機運転中および圧縮機落下時に結合部材のボルト固定部で固定部品がずれてしまう危険性もなくなるので、低コストで信頼性に優れたスクロール圧縮機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施の形態によるスクロール圧縮機の断面図である。
【図2】 この発明の一実施の形態によるスクロール圧縮機の部分拡大図である。
【図3】 この発明の一実施の形態によるスクロール圧縮機の結合部材を示す斜視図である。
【図4】 この発明の一実施の形態によるスクロール圧縮機の結合部材の形状に対する変位、応力の関係を示す図である。
【図5】 この発明の一実施の形態によるスクロール圧縮機の結合部材の振動伝達特性を示す図である。
【図6】 この発明の一実施の形態によるスクロール圧縮機と比較の為の、同じ容量のスクロール圧縮機の断面図である。
【図7】 この発明の一実施の形態によるスクロール圧縮機の騒音低減効果を示す図である
【図8】 従来のスクロール圧縮機の断面図である。
【符号の説明】
1 固定スクロール、2 揺動スクロール、4 フレーム、6 主軸、7 密閉容器、10 電動機、14 吐出管、16 シール材、17 支持部材、18 結合部材、18a 切欠。
Claims (6)
- 密閉容器と、固定スクロール及び揺動スクロールを備えた圧縮要素と、電動機及び電動機の駆動力を伝達する主軸を備えた駆動要素と、主軸を支持するフレ−ムと、前記圧縮要素、前記駆動要素及び前記フレ−ムを支持する支持部材と、前記支持部材と前記密閉容器とを連結し、複数の軸方向の切欠きを有し、所定の厚さと所定の長さの中空円筒形状の結合部材とを有することを特徴とするスクロ−ル圧縮機。
- 密閉容器と、固定スクロール及び揺動スクロールを備えた圧縮要素と、電動機及び電動機の駆動力を伝達する主軸を備えた駆動要素と、主軸を支持するフレ−ムと、前記圧縮要素、前記駆動要素及び前記フレ−ムを支持する支持部材と、前記支持部材と前記密閉容器とを連結する結合部材と、前記密閉容器に固定され、前記固定スクロールあるいは固定スクロールに固定されている部品にシ−ル材を介して密封シ−ルされ、前記固定スクロールから吐出されるガスを前記密閉容器外に導く吐出管とを備えたスクロール圧縮機において、圧縮機運転中に前記密閉容器の振動周波数を低下し、かつ、前記密閉容器からの反力が前記吐出管に作用しないように前記結合部材の形状および固定方法を設定したことを特徴とするスクロール圧縮機。
- 支持部材の軸方向のほぼ重心位置に結合部材を取付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスクロール圧縮機。
- 支持部材の振動の共振周波数が1KHZ以下となるように結合部材の形状を決定したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスクロール圧縮機。
- 圧縮機として許容すべき落下、転倒時等の衝撃加速度に対し結合部材の発生応力を材料降伏点以下におさえるような結合部材の切欠の幅と長さを設定したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスクロール圧縮機。
- 支持部材と結合部材の固定及び密閉容器と前記結合部材の固定のうち少なくとも一方は圧入、焼きばめ又は溶接によって固定したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のスクロール圧縮機。
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