JP3850683B2 - ブラスト屑の分別装置および分別方法並びにリサイクル処理方法 - Google Patents

ブラスト屑の分別装置および分別方法並びにリサイクル処理方法 Download PDF

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  • Separation Of Solids By Using Liquids Or Pneumatic Power (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サンド等のブラスト材を被処理物に衝突させることにより発生したブラスト屑から、使用可能なブラスト材や有用な金属あるいは有害な金属等の物質を回収してリサイクルするために好適に用いられるブラスト屑の分別装置および分別方法並びにリサイクル処理方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、例えば、スパッタ装置やCVD(Chemical Vapor Deposition) 装置等の真空成膜装置に設けられている防着板や基板トレイに付着した膜材をサンドブラスト法で除去することによって生じるサンドブラスト屑や、廃液晶パネル(ディスプレイ)のシール材を剥離して該液晶パネルを開封した後、液晶パネルを構成する薄膜(膜材)をサンドブラスト法で除去することによって生じるサンドブラスト屑から、膜材を回収するリサイクル処理方法、あるいは、PDP(Plasma Display Panel)の製造工程で発生するサンドブラスト屑から、リブ材や電極材等を回収するリサイクル処理方法、等の各種リサイクル処理方法に好適な分別装置および分別方法並びにリサイクル処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、廃棄物の発生量が年々増加の一途をたどっており、埋め立て処分地等の確保やその使用可能年数(残余年数)が心配される状況となってきていることから、環境により一層配慮した産業活動を行うことが求められている。このため、工場から排出される産業廃棄物の削減や、使用済み(回収)製品の廃棄量の削減等に寄与することができる各種リサイクル処理技術の開発の重要性が増してきており、各方面で種々検討がなされている。また、省資源化や資源の有効利用、あるいは有害物質による環境汚染を防止する上でも、リサイクル処理技術の開発は重要となっている。
【0003】
リサイクル処理技術のうち、金属の回収については、有用な方法が既に幾つか開発されており、具体的には、例えば、サンドブラスト法によって生じるサンドブラスト屑に含まれるインジウムを回収する方法が知られている。該方法では、インジウムを塩酸や硝酸に溶解させて抽出する等の化学的操作を行うことによって、サンドブラスト屑からインジウムを回収している。
【0004】
ここで、サンドブラスト法について、以下に説明する。サンドブラスト法は、サンドと称される粒子を圧縮空気を用いて被加工物に衝突させることによって、該被加工物の表面層を機械的に剥離する方法である。該サンドブラスト法は、例えば、(1) 電子部品等の製造時に使用されるスパッタ装置やCVD装置等の真空成膜装置に設けられている防着板や基板トレイに付着した膜材の除去;(2) 使用済み(回収)製品を解体することによって取り出された廃液晶パネルのシール材を剥離して該液晶パネルを開封した後の、液晶パネルを構成する薄膜(膜材)の除去;(3) PDPの製造工程の一部、例えばリブ形成工程や電極形成工程;塗装膜の剥離;等の種々の用途に供されている。
【0005】
上記(1) の用途に使用されるサンドとしては、例えば、粒子径が数百μm程度のアルミナや炭化シリコン等の、比較的大きく硬度の高い(硬い)無機化合物が好適であり、(2) の用途に使用されるサンドとしては、例えば、粒子径が数百μm程度の炭酸カルシウムや酸化セリウム等の、比較的大きく硬度の低い(柔らかい)無機化合物や、粒子径が数十μm程度のアルミナや炭化シリコン等の、比較的小さく硬度の高い無機化合物が好適であり、(3) の用途に使用されるサンドとしては、例えば、粒子径が数十μm程度の炭酸カルシウムや酸化セリウム等の、比較的小さく硬度の低い無機化合物が好適である。
【0006】
一般に、液晶パネルの透明電極の材料としては、希少金属であるインジウムを主成分として含むITO(Indium Tin Oxide)が用いられている。そして、透明電極であるITO膜(薄膜)をガラス基板上に形成する際には、スパッタ装置が使用されている。該スパッタ装置には、ガラス基板を搬送する基板トレイや、ガラス基板上以外の真空容器内に形成された薄膜が積層・厚膜化して剥離し、ガラス基板に付着することを防止する防着板が設けられている。通常、上記防着板や基板トレイに付着した膜材は、真空容器内にダストが発生することを防止するために、サンドブラスト法で定期的に除去される。それゆえ、該作業(サンドブラスト処理)で生じたサンドブラスト屑には、希少金属であるインジウムが含まれているので、回収して再利用することが望ましい。
【0007】
また、液晶パネルを構成するガラス基板を再利用する際にも、サンドブラスト法で薄膜を除去する作業が行われる。それゆえ、該作業で生じたサンドブラスト屑には、希少金属であるインジウムや、有価金属であるタンタル、チタンが含まれているので、回収して再利用することが望ましい。また、一部の液晶パネルには、有害金属であるクロムを含む反射防止膜が用いられており、この場合にも、サンドブラスト屑からクロムを回収して再利用することが望ましい。
【0008】
さらに、PDPの製造工程においては、鉛を含むペースト材をサンドブラスト法で除去することによってリブを形成する工程や、サンドブラスト法を実施して電極を形成する工程等が行われる。それゆえ、該工程で排出されるサンドブラスト屑には、リブ材や電極材が含まれているので、回収して再利用することが望ましい。
【0009】
また、金属を樹脂塗装する際の下地処理に、クロムを含む下地材が用いられている場合がある。この場合には、サンドブラスト法による塗装膜の剥離によって生じるサンドブラスト屑からクロムを回収して再利用することが望ましい。
【0010】
ところが、一般に、廃棄物中に含まれる量(使用量)が少ない元素を、化学的手法やバイオ技術、製錬技術等を駆使して回収することは、技術的には可能であっても経済的には困難である。従って、リサイクル事業を推進させることができる経済的に可能なリサイクル処理技術の確立、つまり、最終的な回収操作に先立って行われる分別や濃縮等の前処理操作を安価に実施することができる装置や方法の開発が急務となっている。
【0011】
また、サンドを被加工物に衝突させると、被加工物の表面層が剥離すると共に、一部のサンドも砕けて小さくなる。サンドの粒子径が所定の値よりも小さくなると衝突時における剥離能力(加工能力)が低下するので、一般に、サンドブラスト法を実施する際には、剥離した表面層(薄片)と共に、小さくなったサンドをサイクロン等の遠心分離機を用いて分離・除去する。このため、サンドブラスト法を実施すると、多量のサンドブラスト屑が生じることとなる。該サンドブラスト屑には、上述したように、有用な金属あるいは有害な金属が含まれている場合があり、その場合には、これら金属を回収または無害化処理する必要がある。また、上記各種サンドブラスト屑には、充分に使用可能な(小さくなっていない)サンドが依然多く含まれているので、経済的な面並びに廃棄物の削減(減量化)等の面からも、該サンドをさらに回収して再利用する必要がある。このため、サンドを安価に回収することができる装置や方法が求められている。
【0012】
従来より実施されている分別、回収方法としては、例えば、篩を用い、該篩を振動させることによって分級する乾式法、並びに、水中で沈澱させることによって分級する自然沈降法や遠心分離法(湿式法)がある。また、遠心分離法には、側面に孔が多数開けられた回転容器に濾材を配し、遠心力を利用して濾過する遠心濾過法と、一方の底面が開放された無孔壁の回転容器に濾材を配し、遠心力を利用して該回転容器の側面に沈降させる遠心沈降法とに大別される。例えば、特開平7−155510号公報や特開平8−277108号公報には、遠心沈降法を利用した懸濁粒子の分級方法が開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来、多くの分別方法が知られてはいるものの、粒子に強固に付着している微粒子、つまり、比較的大きな粒子の表面に付着している微粒子を粒子から分離することに関しては、何ら考慮がなされていない。
【0014】
上記特開平7−155510号公報には、懸濁液を流動させると、懸濁粒子間の絡まりは解かされて粘性が低下し、懸濁粒子間の相互作用が低下して、各粒子が独立に挙動しやすくなることが開示されている。しかしながら、サンドブラスト屑の懸濁液を遠心機の回転沈降槽にて流動させただけでは、サンド同士は独立に挙動しやすくなったとしても、サンドブラスト法による加工時にサンドに付着した膜材や被加工物の削屑等の膜片のように、サンドブラスト屑のサンドに強固に付着した微粒子をサンドから分離するには至らず、該方法を採用して、例えばサンドブラスト屑に含まれるサンドに強固に付着している上記膜片を分離しようとしても、満足な効果を得ることができない。このため、分級しても、正確な分別ができないため、使用可能なサンドや膜片を効率的に回収することができない。
【0015】
また、特開平8−277108号公報には、超音波処理による効果について開示がなされてはいるものの、該公報では、懸濁液の分散性の向上並びにベントナイトの劈解について言及されているにすぎず、超音波処理で粒子が劈解するとは考え難いが、何れにしても、サンドブラスト屑のサンドに付着している膜材や被加工物の削屑等の膜片のように、粒子に強固に付着した微粒子を分離することに関しては何ら検討がなされていない。従って、該方法を採用した場合にも、例えばサンドブラスト屑に含まれるサンドに強固に付着している上記膜片を分離しようとしても、満足な効果を得ることができない。このため、分級しても、正確な分別ができないため、使用可能なサンドや膜片を効率的に回収することができない。
【0016】
しかも、上記各公報に記載の方法並びに装置を用いて分級を行う場合、沈降層が抵抗として作用することから、沈降層表面層と内面層とに流速差が生じ、この結果、沈降層の中に微粒子が残留して混入することが避けられない。
【0017】
以上のことから、上記各公報に開示されている何れの方法を採用しても、リサイクル処理における最終的な回収操作に先立って行われる分別・濃縮を正確に行うことができず、リサイクル資源を効率良く安価に回収することができないという問題がある。
【0018】
また、遠心濾過法を採用した場合、濾材に堆積した堆積物もまた濾材として作用する。このため、濾材の目よりも大きな粒子に付着している微粒子が分離・分級されないことは勿論のこと、濾材に堆積した堆積物同士の隙間よりも大きな微粒子もまた、分離・分級されない。このため、遠心濾過法によって分級する方法では、堆積物の中に微粒子が混入することが避けられず、該微粒子を効率的に回収することができない。従って、上記の方法を採用した場合にもまた、リサイクル処理における最終的な回収操作に先立って行われる分別・濃縮を正確に行うことができず、リサイクル資源を効率良く安価に回収することができないという問題がある。
【0019】
また、篩を振動させることによって分級する方法では、篩の目よりも小さな微粒子は効率的に分離・分級することができるものの、篩の目よりも大きな粒子に付着している微粒子は、分離・分級されない。従って、該微粒子を正確かつ効率的に分別して回収することができない。さらに、粒子径が10μm以下の微粒子は、空気抵抗によって落下速度が極端に遅くなると共に、粉塵として空気中を浮遊し易くなることから、周辺の作業環境が著しく悪化するおそれがある。
【0020】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、リサイクルのための分別回収操作、例えば、使用可能なサンド等のブラスト材の分別回収や、リサイクル処理における、有用な金属あるいは有害な金属の最終的な回収操作に先立って行われる、膜材や被加工物等の被処理物の削屑等の膜片(付着物)の分別・濃縮を、効率よく確実かつ安価に実施することができる分別装置および分別方法並びに上記分別装置を用いたリサイクル処理方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかるブラスト屑の分別装置は、上記の課題を解決するために、ブラスト材を被処理物に衝突させることにより発生したブラスト屑の分別装置であって、上記ブラスト屑の分散液を攪拌する攪拌羽根を備えた攪拌槽と、上記攪拌槽内のブラスト屑の分散液に超音波による振動を与える超音波発生装置と、底面が、内側への傾斜面を有して真中が開放された開口部を有する回転筒を有するとともに、上記攪拌槽にて超音波をかけながら攪拌処理して上記ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離させた後のブラスト屑の分散液を、上記回転筒内の傾斜面に当たるように上記回転筒内に導く配管と、上記回転筒に、上記回転筒の回転下、外部から分散媒を、上記回転筒内の傾斜面に当たるように供給する分散媒供給手段とが取り付けられ、上記付着物を剥離させた後のブラスト屑の分散液を供給して上記回転筒を回転させることにより所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより排出するとともに、分散媒除去機能を有する回転沈降槽とを備え、上記回転筒内には、上記回転筒の内壁の形状に沿った形状に形成されているとともに、上記回転筒の回転中心から離間した位置に、上記回転筒の回転軸と平行な回転軸を有し、回転することで、上記回転筒の内壁との距離が変わるように設置された回転ヘラが設けられており、上記回転ヘラは、所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる処理を行っている間は、上記回転筒の内壁に沈降した沈降物に触れないように上記回転筒の内壁から遠い側に固定され、分散媒除去後は、上記回転筒の内壁に近い側に固定されることで、上記回転筒の回転下、上記沈降物に当接して上記沈降物を掻き落として上記開口部から排出することを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、上記分別装置が、上記ブラスト屑の分散液を攪拌する攪拌羽根を備えた攪拌槽と、上記攪拌槽内のブラスト屑の分散液に超音波による振動を与える超音波発生装置とを備えていることで、上記ブラスト屑を、超音波をかけながら分散媒中で攪拌処理することができ、これにより、上記ブラスト屑中のブラスト材に膜片として強固に付着している、膜材や被加工物等の被処理物の削屑等の微粒子からなる付着物を、上記ブラスト材から、効率よく確実に剥離して分離することができる。このため、上記分別装置を用いれば、正確な分別を行うことができ、使用可能なブラスト材の分別回収や、リサイクル処理における、有用な金属あるいは有害な金属の最終的な回収操作に先立って行われる、膜材や被加工物等の被処理物の削屑等の微粒子からなる上記付着物(膜片)の分別・濃縮を、効率よく確実かつ安価に実施することができ、リサイクル資源を効率良く安価に回収することができる。
【0023】
また、上記の構成によれば、上記ブラスト屑を分散媒中で攪拌することができるため、上記ブラスト屑中のブラスト材に膜片として付着していた微粒子(付着物)、特に、粒子径が10μm以下の微粒子が飛散し、粉塵として空気中を浮遊して周辺の作業環境を著しく悪化させることを防止し、また、確実かつ効率的に、上記ブラスト材に付着していた微粒子を回収することができる。
【0024】
また、本発明にかかるブラスト屑の分別装置は、上記したように、上記配管から供給されたブラスト屑の分散液、つまり、上記攪拌槽にて超音波をかけながら分散媒中で攪拌処理した後のブラスト屑の分散液を回転させて所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子を排出する回転筒を有する回転沈降槽と、上記回転沈降槽に取り付けられ、上記回転筒の回転下、外部から分散媒を供給する分散媒供給手段(例えば分散媒供給のための配管)とをさらに備えている。
【0025】
このため、上記の構成によれば、上記ブラスト屑の分散液を上記回転沈降槽の回転筒にて回転させて沈降速度の差を利用して所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子を排出することで粗分級した後、上記回転沈降槽の回転筒に分散媒を供給して上記回転沈降槽の回転筒を回転させ、上記回転沈降槽の回転筒内の沈降物層に残留した所定サイズ以下の粒子を分離、除去することができる。このため、所定サイズよりも大きい粒子と所定サイズ以下の粒子とを正確に分級、分別することができる。この結果、例えば、上記付着物(膜片)を含まない比較的大きな粒子と上記付着物(膜片)を含む微粒子とに効率良く確実に、安価で簡易に分別することが可能となり、リサイクル可能なブラスト材と、含有量が高く、後工程、つまり、リサイクルのための最終的な回収工程での希少金属、有価金属、有害金属等の回収を、安価に行うことができる微粒子とを得ることができる。
【0026】
また、上記の構成によれば、上記ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を、物理的に剥離して分級により分別するため、例えば水を用いて上記付着物を剥離、分級することができ、乾燥のみで特別な後処理を必要としない。また、上記分級は湿式処理であるこ
とから発塵による環境汚染の心配も無く、水の使用量も少なくて済むという利点もある。
【0027】
さらに、本発明にかかるブラスト屑の分別装置は、上記したように、上記回転沈降槽は、分散媒除去機能(脱水機能)を有しているとともに、上記回転筒は、その底面が、内側への傾斜面を有して真中が開放された開口部を有しており、上記回転筒内には、上記回転筒の内壁の形状に沿った形状に形成されているとともに、上記回転筒の回転中心から離間した位置に、上記回転筒の回転軸と平行な回転軸を有し、回転することで、上記回転筒の内壁との距離が変わるように設置された回転ヘラが設けられている。上記回転ヘラは、所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる処理を行っている間は、上記回転筒の内壁に沈降した沈降物に触れないように上記回転筒の内壁から遠い側に固定され、分散媒除去後は、上記回転筒の内壁に近い側に固定されることで、上記回転筒の回転下、上記沈降物、つまり、分散媒除去後の上記回転筒内の沈降物に当接して該沈降物を掻き落とす。
【0028】
このため、上記回転ヘラは、上記回転筒を回転させて所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離する分級処理を行っている間は、上記回転筒の内壁(壁面)から遠い側に固定されており、上記回転筒の内壁に沈降、堆積した沈降層に触れることはなく、分散媒除去後に、上記回転筒の内壁に近い側に固定されることで、上記沈降物に当接して該沈降物を上記開口部から掻き落とす。
【0029】
したがって、上記の構成によれば、上記回転筒から分散媒を除去し、この分散媒除去後の上記回転筒内の沈降物を自動的に上記回転筒の底面から外部に排出して回収することができる。したがって、沈降により分級した粒子(沈降物)を、効率よく確実かつ容易に分別回収することができる。
【0030】
本発明にかかるブラスト屑の分別装置は、上記の課題を解決するために、上記回転沈降槽が複数段連設され、各回転沈降槽から排出される排出液が、後段の回転沈降槽に供給される機構(例えば配管)を有し、上記回転沈降槽は、上記回転筒を回転させることにより所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより
排出する際の回転数が下段ほど高速となるように設定されていることを特徴としている。
【0031】
また、本発明にかかるブラスト屑の分別装置は、上記の課題を解決するために、上記ブラスト屑の分別装置において、最終段の回転沈降槽には、該回転沈降槽から排出される排出液を、上記攪拌槽に送出する配管が設けられていることを特徴としている。
【0032】
また、本発明にかかるブラスト屑の分別装置は、上記の課題を解決するために、上記回転沈降槽が少なくとも1段設けられ、最終段の回転沈降槽には、該回転沈降槽から排出される排出液を濾過する濾過装置(例えば遠心濾過装置)が連設され、上記濾過装置には、該濾過装置から排出される排出液を、上記攪拌槽に送出する配管が設けられていることを特徴としている。
【0033】
上記各構成によれば、複数段の分級を行い、所定の粒度分布を有する粒子をそれぞれ回収することができる。このようにして分級を行うことで、例えば、リサイクル資源として、リサイクル処理に応じた粒子を分別回収することができる。また、このように複数段の分級を行うことで、粒子サイズに応じてより厳密に分別回収を行うことができるので、リサイクル処理にかかる費用をより低減することができる。例えば、最終段の回転沈降槽の沈降層または最終段の濾過装置の堆積層の粒子は大きな粒子が取除かれて減容化されていると同時に、膜材や被加工物等の被処理部の微粒子の含有率が高く、濃縮されているので、運搬費を低減できるとともに、後工程で希少金属や有価金属や有害金属を、例えば化学的手法を用いて回収する時のコストを低減することができる。また、このような分級処理を行うことで、例えば一段目の回転沈降槽にて、充分に使用可能な(小さくなっていない)ブラスト材を得ることが可能であり、このようなブラスト材は、そのまま単独で、あるいは未使用のブラスト材と混合して用いることができる。
【0034】
このように、最終段を除く全てのまたは一部の回転沈降槽で沈降層として得られたブラスト材を、そのまま、または別途さらに分級処理を行い、単独でまたは未使用のサンドと混合して、再度ブラスト材として使用することは、資源の有効利用並びにリサイクル処理を安価に行う上で、好ましい。
【0035】
また、少なくとも、最終段の回転沈降槽の沈降層または最終段の濾過装置の堆積層の粒子を希少金属、有価金属または有害金属を回収する原料として使用することは、資源の有効利用並びにリサイクル処理を安価に行う上で、好ましく、また、上記したように、最終段の回転沈降槽内に沈降した沈降層または最終段の濾過装置の堆積層の粒子は大きな粒子が取除かれて減容化されていると同時に、膜材や被加工物等の被処理部の微粒子の含有率が高く、濃縮されているので、運搬費を低減できるとともに、後工程で希少金属や有価金属や有害金属を、例えば化学的手法を用いて回収する時のコストを低減することができる。
【0036】
また、このように、複数段の分級処理を行う場合、最終段の回転沈降槽からオーバーフローした分散媒(排出液)あるいは上記濾過装置から排出された濾液(排出液)は、微粒子をほとんど含まない清浄な分散媒である。このため、最終段の回転沈降槽あるいは濾過装置に、これら回転沈降槽あるいは濾過装置から排出される排出液を、上記攪拌槽に送出する配管が設けられていることで、これら回転沈降槽あるいは濾過装置から排出される排出液を、元に戻して繰返し使用できることから、水の使用量を抑えることができる。また、上記ブラスト屑が鉛やクロムといった有害金属を含んでいる場合であって廃水処理が必要な場合は、廃水の量を減らすことができ、廃水処理費用を安価にすることができる。
【0037】
このように複数段の分級処理を行う場合、最終段の回転沈降槽あるいは濾過装置には、沈降あるいは堆積した粒子をさらに厳密に分級するために、外部から別途、洗浄のための分散媒を導入する必要はない。このため、前記分散媒供給手段は、最終段の回転沈降槽あるいは濾過装置を除く各回転沈降槽に対して設けられていればよい。
【0038】
また、本発明にかかるブラスト屑の分別装置は、上記の課題を解決するために、シーケンスコントローラを備え、自動運転されることを特徴としている。
【0039】
本発明によれば、上記の一連の操作(動作)をシーケンスコントローラ(制御部)を用いてコントロールすることで、上記分別装置の自動運転が可能となる。
【0040】
また、本発明にかかるブラスト屑の分別方法は、上記の課題を解決するために、ブラスト材を被処理物に衝突させることにより発生したブラスト屑を、本発明にかかる上記ブラスト屑の分別装置を用いて分別するブラスト屑の分別方法であって、上記ブラスト屑を、上記攪拌槽にて超音波をかけながら分散媒中で攪拌処理して該ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離させる付着物剥離工程と、上記付着物剥離工程で上記ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離した後、分級を行う分級工程とを備え、上記分級工程が、上記回転ヘラを、上記回転筒の内壁から遠い側に固定して、上記回転筒内に、上記攪拌槽内にて攪拌処理した後のブラスト屑の分散液を供給して上記回転筒を回転させることにより上記分散液中の所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる粗分級を行う工程と、上記分散液の供給を止めて上記分散媒供給手段により上記回転筒内に分散媒を供給しながら上記回転筒を回転させて、上記回転筒内の沈降物層に残留した所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる工程と、上記分散媒の供給を止めて上記回転筒内から分散媒を除去した後、上記回転ヘラを回転させて上記回転筒の内壁に近い側に固定して上記回転筒を回転させることで、上記回転ヘラを上記回転筒の内壁に沈降した沈降物に当接させて上記沈降物を掻き落として回収する工程とを備えていることを特徴としている。
【0041】
上記の方法によれば、上記ブラスト屑を、超音波をかけながら分散媒中で攪拌処理することにより、該ブラスト屑中のブラスト材に膜片として強固に付着している、膜材や被加工物等の被処理物の削屑等の微粒子からなる付着物を、上記ブラスト材から、効率よく確実に剥離して分離することができる。このため、上記の方法によれば、正確な分別を行うことができ、使用可能なブラスト材の分別回収や、リサイクル処理における、有用な金属あるいは有害な金属の最終的な回収操作に先立って行われる、膜材や被加工物等の被処理物の削屑等の微粒子からなる上記付着物(膜片)の分別・濃縮を、効率よく確実かつ安価に実施することができ、リサイクル資源を効率良く安価に回収することができる。
【0042】
また、上記の方法によれば、上記ブラスト屑を分散媒中で攪拌することにより、該ブラスト屑中のブラスト材に膜片として付着していた微粒子(付着物)、特に、粒子径が10μm以下の微粒子が飛散し、粉塵として空気中を浮遊して周辺の作業環境を著しく悪化させることを防止し、また、確実かつ効率的に、上記ブラスト材に付着していた微粒子を回収することができる。
【0043】
さらに、上記の方法によれば、上記付着物剥離工程で上記ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離した後、分級を行う分級工程を備えているので、ブラスト材から付着物を剥離した後の上記ブラスト屑を、粒子サイズに応じて分別回収することができる。例えば、上記ブラスト屑を、上記ブラスト材から剥離された付着物を含まない、比較的大きな再利用可能なブラスト材と、上記付着物を含む微粒子とに効率良く分別することができる。上記ブラスト屑は、該ブラスト屑中のブラスト材から付着物が剥離されていることで、従来よりも正確な分級、分別を行うことができる。
【0044】
また、上記の方法によれば、上記分級工程が、上記回転ヘラを、上記回転筒の内壁から遠い側に固定して、上記回転筒内に、上記攪拌槽内にて攪拌処理した後のブラスト屑の分散液を供給して上記回転筒を回転させることにより上記分散液中の所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる粗分級を行う工程と、上記分散液の供給を止めて上記分散媒供給手段により上記回転筒内に分散媒を供給しながら上記回転筒を回転させて、上記回転筒内の沈降物層に残留した所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる工程を備えていることで、改良された遠心沈降法による分級によって、所定サイズよりも大きい粒子と所定サイズ以下の粒子とを正確に分級、分別することができ、例えば、上記付着物(膜片)を含まない比較的大きな粒子と上記付着物(膜片)を含む微粒子とに効率良く確実に、安価で簡易に分別することが可能となり、リサイクル可能なブラスト材と、含有量が高く、後工程、つまり、リサイクルのための最終的な回収工程での希少金属、有価金属、有害金属等の回収を、安価に行うことができる微粒子とを得ることができる。
【0045】
また、上記の方法によれば、上記ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を、物理的に剥離して分級により分別するため、例えば水を用いて上記付着物を剥離、分級することができ、乾燥のみで特別な後処理を必要としない。また、上記分級は湿式処理であるこ
とから発塵による環境汚染の心配も無く、水の使用量も少なくて済むという利点もある。
【0046】
さらに、上記の方法によれば、上記分級工程が、上記分散媒の供給を止めて上記回転筒内から分散媒を除去した後、上記回転ヘラを回転させて上記回転筒の内壁に近い側に固定して上記回転筒を回転させることで、上記回転ヘラを上記回転筒の内壁に沈降した沈降物に当接させて上記沈降物を掻き落として回収する工程を備えていることで、分散媒除去後の上記回転筒内の沈降物を自動的に上記回転筒の底面から外部に排出して回収することができる。したがって、沈降により分級した粒子(沈降物)を、効率よく確実かつ容易に分別回収することができる。上記回転ヘラは、上記回転筒を回転させて所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離する分級処理を行っている間は、上記回転筒の内壁(壁面)から遠い側に固定されており、上記回転筒の内壁に沈降、堆積した沈降層に触れることはなく、分散媒除去後に、上記回転筒の内壁に近い側に固定されることで、上記沈降物に当接して該沈降物を上記開口部から掻き落とす。
【0047】
また、本発明にかかるブラスト屑の分別方法は、上記の課題を解決するために、上記付着物剥離工程では、上記ブラスト屑を、3〜20重量%濃度の分散液中で、超音波をかけながら上記攪拌羽根により剪断力を与えて攪拌処理することを特徴としている。
【0048】
上記ブラスト屑に、攪拌による剪断力と、超音波による振動とを加えることで、上記ブラスト屑中のブラスト材に強固に付着した、膜材や被加工物の削屑等の微粒子(付着物)を、ブラスト材から効率よく確実に剥離して分離することができる。上記分散液の濃度は、水の使用量を少なくするため、大きくすることが望ましいが、濃度が20重量%よりも大きくなると、ブラスト材表面からの膜片(付着物)の剥離効果が小さくなり、また、沈降物層に混入(残留)する、所定サイズ以下の粒子の量が多くなり、粗分級後の流水洗浄にかえって多くの水を使うことになる。
【0049】
さらに、本発明にかかるブラスト屑のリサイクル処理方法は、上記の課題を解決するために、ブラスト材を被処理物に衝突させることにより発生したブラスト屑を、上記回転沈降槽が複数段連設され、各回転沈降槽から排出される排出液が、後段の回転沈降槽に供給される機構(例えば配管)を有し、上記回転沈降槽は、上記回転筒を回転させることにより所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより排出する際の回転数が下段ほど高速となるように設定されているブラスト屑の分別装置を用いた分別方法を用いて分別することによりリサイクルするブラスト屑のリサイクル処理方法であって、上記ブラスト屑の分別装置を用いた分別方法が、上記ブラスト屑を、上記攪拌槽にて超音波をかけながら分散媒中で攪拌処理して該ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離させる付着物剥離工程と、上記付着物剥離工程で上記ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離した後、分級を行う分級工程とを備え、上記分級工程が、上記回転ヘラを、上記回転筒の内壁から遠い側に固定して、上記回転筒内に、上記 攪拌槽内にて攪拌処理した後のブラスト屑の分散液を供給して上記回転筒を回転させることにより上記分散液中の所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる粗分級を行う工程と、上記分散液の供給を止めて上記分散媒供給手段により上記回転筒内に分散媒を供給しながら上記回転筒を回転させて、上記回転筒内の沈降物層に残留した所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる工程と、上記分散媒の供給を止めて上記回転筒内から分散媒を除去した後、上記回転ヘラを回転させて上記回転筒の内壁に近い側に固定して上記回転筒を回転させることで、上記回転ヘラを上記回転筒の内壁に沈降した沈降物に当接させて上記沈降物を掻き落として回収する工程とを備えており、上記被処理物は有価金属または有害金属を含むとともに、少なくとも、最終段の回転沈降槽の沈降物を、上記ブラスト材を上記被処理物に衝突させることにより発生したブラスト屑中に含まれる有価金属または有害金属を回収する原料として使用することを特徴としている。
【0050】
また、本発明にかかるブラスト屑のリサイクル処理方法は、上記の課題を解決するために、上記付着物剥離工程では、上記ブラスト屑を、3〜20重量%濃度の分散液中で、超音波をかけながら上記攪拌羽根により剪断力を与えて攪拌処理することを特徴としている。
【0051】
上記したように、少なくとも、最終段の回転沈降槽の沈降層の粒子(沈降物)を希少金属、有価金属または有害金属を回収する原料として使用することは、資源の有効利用並びにリサイクル処理を安価に行う上で、好ましく、また、上記したように、最終段の回転沈降槽内に沈降した沈降層の粒子は大きな粒子が取除かれて減容化されていると同時に、膜材や被加工物等の被処理部の微粒子の含有率が高く、濃縮されているので、運搬費を低減できるとともに、後工程で希少金属や有価金属や有害金属を、例えば化学的手法を用いて回収する時のコストを低減することができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明にかかる実施の一形態について、図1および図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0053】
本実施の形態において分級、分別されるサンドブラスト屑は、いわゆるサンドブラスト法によって、サンドと称される粒子を圧縮空気を用いて被加工物に衝突させて該被加工物の表面層を機械的に剥離させることで、剥離した表面層(薄片)と共に、小さくなったサンドをサイクロン等の遠心分離機を用いて回収したものである。該サンドブラスト屑としては、例えば、スパッタ装置やCVD装置等の真空成膜装置に設けられている防着板や基板トレイに付着した膜材をサンドブラスト法で除去することによって生じるサンドブラスト屑や、廃液晶パネル(ディスプレイ)のシール材を剥離して該液晶パネルを開封した後、液晶パネルを構成する薄膜(膜材)をサンドブラスト法で除去することによって生じるサンドブラスト屑、PDPの製造工程で発生するサンドブラスト屑等が用いられる。
【0054】
このようにサンドブラスト屑は、例えば、(1) 電子部品等の製造時に使用されるスパッタ装置やCVD装置等の真空成膜装置に設けられている防着板や基板トレイに付着した膜材の除去;(2) 使用済み(回収)製品を解体することによって取り出された廃液晶パネルのシール材を剥離して該液晶パネルを開封した後の、液晶パネルを構成する薄膜(膜材)の除去;(3) PDPの製造工程の一部、例えばリブ形成工程や電極形成工程;塗装膜の剥離;等、サンドブラスト法が供されている種々の用途において発生する。
【0055】
上記(1) の用途には、例えば、粒子径が数百μm程度のアルミナや炭化シリコン等の、比較的大きく硬度の高い(硬い)無機化合物が好適に用いられており、(2) の用途には、例えば、粒子径が数百μm程度の炭酸カルシウムや酸化セリウム等の、比較的大きく硬度の低い(柔らかい)無機化合物や、粒子径が数十μm程度のアルミナや炭化シリコン等の、比較的小さく硬度の高い無機化合物が好適に用いられており、(3) の用途には、例えば、粒子径が数十μm程度の炭酸カルシウムや酸化セリウム等の、比較的小さく硬度の低い無機化合物が好適に用いられている。
【0056】
上記サンドブラスト屑の中には、サンドの他に、有用な金属あるいは有害な金属が含まれていることから、省資源化や資源の有効利用、あるいは有害物質による環境汚染を防止する上でも、リサイクルに供することが重要である。
【0057】
特に、液晶パネルの透明電極の材料としては、希少金属であるインジウムを主成分として含むITO(Indium Tin Oxide)が用いられており、また、液晶パネルを構成するガラス基板を再利用する際にも、サンドブラスト法で薄膜を除去する作業が行われることから、これらの作業で生じたサンドブラスト屑には、希少金属であるインジウムや、有価金属であるタンタル、チタンが含まれている。そのなかでも、インジウムは、液晶パネルの生産の増大に伴い、将来、不足が心配されており、回収して再利用することが切望されている。
【0058】
その他、サンドブラスト屑には、液晶パネルの製造工程において用いられる反射防止膜に含まれるクロムや、リブ材や電極材が含まれているので、回収して再利用することが望ましい。
【0059】
しかしながら、本願発明者等が、サイクロンによって分離されたサンドブラスト屑を調べたところ、該サンドブラスト屑の中には、充分に使用可能な(小さくなっていない)サンド、例えば、未使用のサンドの大きさを保った比較的大きなサンドが混入していることが判った。経済的な面並びに廃棄物の削減(減量化)等の面から、このようなサンドは回収して再利用することが望ましい。
【0060】
さらに、本願発明者等が鋭意検討した結果、スパッタ装置やCVD装置等の真空成膜装置に設けられている防着板や基板トレイに付着した膜材や、被加工物の削屑等の膜片(付着物)は10μmより小さな微粒子であり、サンドブラスト法による加工時に上記膜材や被加工物に衝突させることで、比較的大きなサンドや砕けて小さくなったサンドの表面に付着している微粒子も多く存在し、また、このようにサンドの表面に付着している微粒子はサンドに強固に付着しており、従来の分級処理では分離できないことが判った。
【0061】
ここで、本実施の形態において用いられるサンドブラスト屑の粒度分布を図2に示す。
【0062】
図2において、曲線aは、未使用のサンドの粒度分布を示し、曲線bは、サイクロンによって分離されたサンドブラスト屑の粒度分布を示す。この例では、基板トレイや防着板に付着した膜材の除去において発生したサンドブラスト屑を用いているため、粗く膜材を除去した後、精密仕上げに至るまで複数の粒度のサンドを使用しており、このため、未使用のサンドの粒度分布はブロードになっている。
【0063】
図2から、サンドブラスト屑には未使用のサンドと同等の大きさの粒子も多く含まれていることが判る。数十μmより大きな粒子は、形状も元の形に近いことから、複数段で分級することで、それぞれ同じ粒度の未使用のサンドと混ぜて再利用することができる。
【0064】
また、曲線cは、乾式の振動篩法による分級処理を行った後、蛍光X線分析装置を用いてそれぞれの膜片の含有率を測定して膜片の粒度分布を概想し、縦軸を拡大して示したものである。曲線cは、各粒子サイズでの膜片の含有率がほぼ一定していることから得られた結果であり、見かけ上、膜片が粒度の大きなところに分布しているように見えているだけであり、サンドに付着している微小な膜片は振動篩法による分級処理では分離できないことを示している。実際、顕微鏡による観察によって振動篩法で分級処理されたサンドの表面に多数の膜片が付着していることが確認された。
【0065】
なお、このような問題は、サンドブラスト法によるサンドブラスト屑に限らず、ブラスト法を用いた処理により生じるブラスト屑、つまり、圧縮空気流、遠心力等を用いて、サンドやグリッド、ショット、研削材等のブラスト材を被加工物の表面あるいは被加工物の表面層等の被処理物表面の除去対象物に衝突させることにより、被加工物の表面層を機械的に剥離させたり、被加工物の表面を清浄化または粗面化させる場合に生じる、該処理に用いたブラスト材および被処理物を含むブラスト屑全般に共通する。
【0066】
以下、本実施の形態では、ブラスト材としてサンドを使用した場合を例に挙げてサンドブラスト屑を分別する方法について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0067】
本実施の形態にかかるブラスト材の分別方法においては、ブラスト材としてサンドを使用したサンドブラスト法により発生したサンドブラスト屑を、超音波をかけながら分散媒中で攪拌処理することにより、該サンドブラスト屑中のサンドに膜片として強固に付着している、膜材や被加工物等の被処理物の削屑等の微粒子(付着物)を、サンドから剥離する。
【0068】
このようにサンドブラスト屑を分散媒中で攪拌し、該サンドブラスト屑に、攪拌による剪断力と、超音波による洗浄力、すなわち、超音波による振動とを加えることで、サンドブラスト屑中のサンドに強固に付着した、膜材や被加工物の削屑等の微粒子(付着物)を、サンドから効率よく確実に剥離して分離することができる。このため、上記の方法によれば、正確な分別を行うことができ、使用可能なサンド等のブラスト材の分別回収や、リサイクル処理における、有用な金属あるいは有害な金属の最終的な回収操作に先立って行われる、膜材や被加工物の削屑等の膜片(付着物)の分別・濃縮を、効率よく確実かつ安価に実施することができ、リサイクル資源を効率良く安価に回収することができる。
【0069】
なお、このように攪拌による剪断力と超音波による洗浄力とを併用しない場合、すなわち、各々の処理を単独で行っても、上記サンドブラスト屑中のサンドに膜片として強固に付着している、膜材や被加工物の削屑等の微粒子(付着物)を、サンドから確実に剥離することはできない。
【0070】
すなわち、本実施の形態にかかる分別方法は、従来、考慮されていなかった、サンドブラスト屑等のブラスト屑中におけるサンド等のブラスト材に膜片として強固に付着している、膜材や被加工物等の被処理物の削屑等の微粒子(付着物)を、該ブラスト材から剥離して正確な分別を行うことを可能にしたものであり、また、上記の方法を採用することで、従来の方法では剥離困難であったこのような付着物を、確実に剥離することを可能にしたものである。
【0071】
また、上記の方法においては、上記サンドブラスト屑を分散媒中で攪拌することにより、サンドに付着していた微粒子、特に、粒子径が10μm以下の微粒子が飛散し、粉塵として空気中を浮遊して周辺の作業環境を著しく悪化させることを防止し、また、確実かつ効率的に、上記サンドに付着していた微粒子を回収することができる。
【0072】
上記分散媒としては、上記サンドブラスト屑の組成や、付着物が剥離されたサンド並びに該サンドから剥離された付着物の分離・回収方法に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、好適には水が用いられる。
【0073】
このようにして付着物が剥離されたサンド、並びに、該サンドから剥離された付着物は、公知の方法により分離・回収することができる。例えば、このようにしてサンドから付着物を剥離した後の上記サンドブラスト屑の分散液(懸濁液)を分級することにより、上記サンドブラスト屑を、粒子サイズに応じて分別回収することができる。例えば、上記サンドブラスト屑を、上記サンドから剥離された付着物を含まない、比較的大きな、再利用可能なサンドと、上記付着物を含む微粒子とに効率良く分別することができる。
【0074】
該分級操作としては、例えば、篩を用い、該篩を振動させることによって分級する方法、水中で沈澱させることによって分級する自然沈降法や遠心分離法等、種々の方法を採用することができる。
【0075】
但し、上記サンド並びに該サンドから剥離された付着物の分離・回収に際し、篩を用いて分級を行う場合、従来のように乾式処理を行うと、粒子径が10μm以下の微粒子は、空気抵抗によって落下速度が極端に遅くなると共に、粉塵として空気中を浮遊し易くなる。
【0076】
このため、篩を用いて分級を行う場合、分級操作の効率を向上させ、また、周辺の作業環境の悪化を防止するためにも、上記サンドから付着物を剥離した後の上記サンドブラスト屑の分散液(懸濁液)を、例えば多段の篩を使用し、多量の分散媒、例えば流水で洗い流すことにより流水洗浄することが望ましい。
【0077】
また、例えば自然沈降法や遠心分離法を用いて分級を行う場合、従来の方法では、例えば沈降層が抵抗として作用し、沈降層表面層と内面層とに流速差が生じ、この結果、沈降層の中に微粒子が残留して混入したり、濾材に堆積した堆積物が濾材として作用することから、沈降層や堆積物の中に微粒子が混入するといった問題がある。
【0078】
したがって、上記サンドブラスト屑を正確に分級して分別するためには、沈降・堆積した沈降層(堆積槽)から、該沈降層中に混入した微粒子、つまり、前記付着物を除去することが望ましい。
【0079】
例えば沈降・堆積した沈降層(堆積槽)に分散媒、例えば清浄な水を添加して比重差、例えば沈降速度の差を利用して沈降層中に混入した微粒子を該沈降層から除去することが望ましい。
【0080】
これにより、リサイクルのための分別回収操作、例えば、使用可能なサンド等のブラスト材の分別回収や、リサイクル処理における、有用な金属あるいは有害な金属の最終的な回収操作に先立って行われる、膜材や被加工物等の被処理物の削屑等の膜片(付着物)の分別・濃縮を、さらに正確、確実に実施することができる。
【0081】
ここで、本実施の形態にかかる分別方法によりサンドブラスト屑から分別した膜片の粒度分布の一例を図2に示す。図2において、曲線dが、本実施の形態にかかる分別方法によりサンドブラスト屑から分別した膜片の粒度分布の一例である。該曲線dは、100mlの水を200mlのビーカーに入れて市販の超音波洗浄装置にセットし、120rpm程度の速度の攪拌と、600W、40kHzの超音波振動を与えつつ、約20gのサンドブラスト屑を投入し、約20分間、攪拌と超音波による微粒子の剥離(分離)処理を行い、分級処理を行った後、蛍光X線分析装置を用いてそれぞれの膜片の含有率を測定して膜片の粒度分布を概想し、縦軸を拡大して示したものである。なお、この例でも、曲線bおよびcと同様、上記サンドブラスト屑としては、基板トレイや防着板に付着した膜材の除去において発生したサンドブラスト屑を用いている。
【0082】
図2における曲線dから、本実施の形態にて示したように、攪拌と超音波とを併用した処理を行うことで、サンドに付着している微小な膜片が剥離して分離できることが判る。サンド表面から剥離(分離)された膜片の大きさは10μmより小さく、例えば、10μmで分級した場合には、粒度の大きなグループヘの膜片の混入量を、蛍光X線の検出限界以下にすることができ、サンドブラスト屑に含まれる膜片は全て粒度の小さなグルーブに取り込むことができる。
【0083】
次に、本実施の形態にかかるブラスト屑の分別方法を工業的にかつ効率的に実施するための分別装置について、図1に基づいて以下に説明する。なお、以下の説明においても、上記ブラスト屑としてサンドブラスト屑を用いた分別を例に挙げて説明するが、該分別装置としては、上記サンドブラスト屑の分別にのみ適用されるものではない。
【0084】
図1は、本発明の実施の一形態にかかるブラスト屑の分別装置の要部の構成を模式的に示す概略構成図である。
【0085】
該分別装置は、サンド(サンド粒子)の表面に付着している微粒子(付着物)を剥離して分離し、続いて分級を行うことで、サンドブラスト屑を分別し、微粒子(付着物)を濃縮する処理を経済的に行うための自動運転可能な分級分別装置である。
【0086】
図1に示すように、本実施の形態にかかるブラスト屑の分別装置は、サンド(ブラスト材)を被加工物(被処理物)に衝突させることにより発生したサンドブラスト屑(ブラスト屑)を、分級に先立って、超音波をかけながら分散媒中で攪拌処理し、上記サンドブラスト法による加工時に膜片としてサンドに付着した膜材や被加工物の削屑等の付着物を剥離させるブラスト屑処理部10と、上記ブラスト屑処理部10において超音波をかけながら分散媒中で攪拌処理した後のサンドブラスト屑の分散液(懸濁液)を所定の粒子サイズ(粒径)に分級する分級部20とを備えている。
【0087】
上記ブラスト屑処理部10は、攪拌機2および超音波発生装置3が取り付けられた攪拌槽1(処理槽)と、処理すべきサンドブラスト屑4を、一時ストックして所定量ずつ上記攪拌槽1に供給するホッパー5と、上記攪拌槽1に、分散媒として、外部から清浄な水を供給する配管6とを備えている。
【0088】
上記攪拌機2は、攪拌羽根2aと、該攪拌羽根2aを回転駆動するモータ2bとを備え、上記攪拌槽1内のサンドブラスト屑4の分散液7(懸濁液)、つまり、上記サンドブラスト屑4を上記配管6にて供給された水に分散させてなる上記分散液7を、上記攪拌羽根2aにて攪拌することで、上記分散液7に、攪拌による剪断力を与えるようになっている。
【0089】
また、上記超音波発生装置3は、上記攪拌槽1内の分散液7に、超音波による振動(洗浄力)を与えるようになっている。
【0090】
これにより、上記ブラスト屑処理部10では、上記超音波発生装置3と攪拌機2とを併用して、上記サンドブラスト屑4の分散液7中のサンド(サンド粒子)から、該サンドに付着した膜材や被加工物の削屑等の付着物を確実に剥離して分離することができるようになっている。
【0091】
また、上記攪拌槽1の底面(槽底)には、上記攪拌槽1にて超音波をかけながら水中で攪拌処理した後のサンドブラスト屑4の分散液、つまり、上記ブラスト屑処理部10にて処理後の分散液7を上記分級部20に導く配管11が繋がっている。
【0092】
上記分級部20は、上記ブラスト屑処理部10にて処理後の分散液7を回転させて所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子を排出する、一段目の回転沈降槽である第1の回転沈降槽21と、二段目の回転沈降槽である第2の回転沈降槽22と、本実施の形態においては最終段の回転沈降槽である第3の回転沈降槽23とを備えている。
【0093】
上記配管11は、上記第1の回転沈降槽21に、上記ブラスト屑処理部10にて処理後の分散液7を導くようになっている。該配管11には、上記第1の回転沈降槽21の流量をコントロールするためのバルブ12が設けられている。
【0094】
上記第1の回転沈降槽21、第2の回転沈降槽22、第3の回転沈降槽23は、それぞれ、回転速度u1,u2,u3で高速回転する、底面が開放された竪型の回転沈降槽であり、それぞれ、回転速度u1,u2,u3で高速回転する円筒形の竪型の回転筒24,25,26を備え、各回転筒24,25,26の上面には、それぞれ、カバー27,28,29が固定されている。
【0095】
上記円筒形の回転筒24,25,26は、それぞれ、底面付近が絞り加工等で内面側に絞られた傾斜面24a,25a、26aを有すると共に、底面に開口部24b,25b,26aが設けられた構造を有している。
【0096】
また、上記カバー27,28,29には、上記回転筒24,25,26からオーバーフローした排出液、つまり、上記各回転沈降槽21,22,23(処理槽)からオーバーフローした分散液または分散媒(この場合は水)を受ける溝27a,28a,29aが設けられていると共に、各溝27a,28a,29aで受けた、上記回転筒24,25,26からオーバーフローした排出液(分散液または水)を次の処理槽に送出するためのドレイン配管30,31,32が取り付けられている。
【0097】
上記次の処理槽とは、それぞれ、下流側の処理槽(後段の処理槽)を示し、上記第1の回転沈降槽21においては、第2の回転沈降槽22における回転筒25を示し、第2の回転沈降槽22においては、第3の回転沈降槽23における回転筒26を示す。
【0098】
上記第3の回転沈降槽23に取り付けられたドレイン配管32は、攪拌槽1に繋がっている。つまり、上記ドレイン配管32は、最終段の回転沈降槽である上記第3の回転沈降槽23における回転筒26からオーバーフローした液体(水)を攪拌槽1に戻すようになっている。
【0099】
また、上記ドレイン配管32には、余分な水を系外に排出する切替バルブ33と配管34とが設けられている。鉛やクロムを含むサンドブラスト屑4を扱う場合には、上記配管34の先に、廃水処理装置を設ける場合もある。
【0100】
このように、本実施の形態にかかる分別装置は、最終段の回転沈降槽である上記第3の回転沈降槽23からオーバーフローした水(分散媒)を攪拌槽1に戻すための配管であるドレイン配管32を有している。上記第3の回転沈降槽23からオーバーフローした水は、微粒子をほとんど含まない清浄な水であり、元に戻して繰返し使用できることから、水の使用量が少なくて済む。また、サンドブラスト屑4が鉛やクロムといった有害金属を含んでいる場合であって廃水処理が必要な場合は、廃水の量を減らすことができ、廃水処理費用を安価にすることができる。
【0101】
また、最終段の回転沈降槽、つまり、上記第3の回転沈降槽23を除く各回転沈降槽21,22のカバー27,28には、各回転沈降槽21,22の回転筒24,25に、外部から分散媒(洗浄液)として清浄な水を供給することができる配管35,36(分散媒供給手段)が、前記傾斜面24a,25aに当たるように取り付けられている。なお、最終段の回転沈降槽23には、外部から清浄な水を供給する配管は不要である。
【0102】
また、前記配管11並びにドレイン配管30,31は、上記各回転沈降槽21,22,23における回転筒24,25,26の傾斜面24a,25a,26aに、前段の処理槽である、攪拌槽1、第1の回転沈降槽21、あるいは第2の回転沈降槽22から供給された分散液が当たるようにそれぞれ取り付けられている。
【0103】
上記傾斜面24a,25a,26aに当った分散液や水は、高速で回転する回転筒24,25,26による遠心力で、各回転筒24,25,26内を、これら回転筒24,25,26の内壁24c,25c,26c(壁面)に沿って上昇し、各回転筒24,25,26の底面に設けられた開口部24b,25b,26bから流れ落ちることはない。
【0104】
上記回転筒24,25,26は、回転数を切り替えることが可能であり、例えば、高速回転と低速回転とを切り替えることができる。上記回転筒24,25,26は、例えば、それぞれ外部からの信号によって、数秒で1回転する程度の速度で低速回転することも可能である。
【0105】
このように上記回転筒24,25,26は、回転数を切り替えることが可能であり、上記配管35,36からの分散媒(水)の供給並びに配管11およびドレイン配管30,31からの分散液の供給を停止した状態で上記回転筒24,25,26を回転させることにより、脱水、つまり、上記回転筒24,25,26の底面に設けられた開口部24b,25b,26bから分散媒を除去することができるようになっている。
【0106】
また、上記回転筒24,25,26内には、脱水後、つまり、分散媒除去後の上記回転筒24、25、26内の沈降物に当接して該沈降物を掻き落とすことにより上記開口部24b,25b,26bから排出させる回転ヘラ37,38,39(沈降物排出部材)が設けられている。
【0107】
上記回転ヘラ37,38,39は、上記回転筒24,25,26の上面に固定されたカバー27,28,29に取り付けられており、各回転筒24,25,26の回転中心から所定の距離だけ離れた位置に、各回転筒24,25,26の回転軸と平行な回転軸40,41,42を有している。
【0108】
つまり、上記回転ヘラ37,38,39は、回転することで、各回転沈降槽21,22,23における回転筒24,25,26の内壁24c,25c,26c(壁面)との距離が変わるように設置されており、脱水後、回転筒24、25,26の回転を一旦止めて回転ヘラ37,38,39を回転して上記回転筒24,25,26の内壁24c,25c,26c(壁面)との距離が短くなるようにし、次に、上記回転筒24,25,26を低速に切り替えて回転させることで、沈降層43,44,45に沈降した粒子を上記回転ヘラ37,38,39で掻き落として回収容器46,47,48に回収することができる。
【0109】
より具体的には、上記回転ヘラ37,38,39は、上記回転筒24,25,26を高速回転させている間、つまり、上記回転筒24,25,26を回転させることにより所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子を上記ドレイン配管30,31,32から排出させる分級処理を行っている間は、図1中、左側、つまり、上記回転筒24,25,26の内壁24c,25c,26c(壁面)から遠い側である、各回転筒24,25,26の回転軸よりの位置に固定されており、上記内壁24c,25c,26cに沈降、堆積した沈降層43,44,45(堆積層)に触れることはない。
【0110】
一方、上記回転筒24,25,26を低速回転させている間、つまり、脱水後は、上記回転ヘラ37,38,39は、矢印A,B,Cの方向に回転して図中右側、つまり、上記回転筒24,25,26の内壁24c,25c,26c(壁面)に近い側に固定され、該内壁24c,25c,26cに沈降、堆積した沈降層43,44,45に当接して沈降物を擦り取る。上記回転ヘラ37,38,39は、上記内壁24c,25c,26cにとの隙間が小さくなるように上記内壁24c,25c,26cの形状に沿った形状に形成されており、上記回転ヘラ37,38,39にて擦り取られた沈降物は底面の開口部24b,25b,26bから下方の回収容器46,47,48に落下して回収される。つまり、上記回転ヘラ37,38,39は、上記沈降物を内壁24c,25c,26cから掻き落とすようになっている。そして、前記した傾斜面24a,25a,26aは、擦り取られた上記沈降物を底面の開口部24b,25b,26bから効果的に外部に排出する効果を有している。
【0111】
ここで、上記分別装置を用いたサンドブラスト屑4の分別操作について以下に説明する。
【0112】
先ず、バルブ12を閉じ、先に、攪拌機2および超音波発生装置3を動作させた状態で、ホッパー5から攪拌槽1にサンドブラスト屑4を投入すると共に、例えば配管6から、分散媒として清浄な水を供給して、3〜20重量%、望ましくは10〜17重量%の濃度の分散液7(懸濁液)を得る。水の使用量を少なくするため、分散液7の濃度は大きくすることが望ましいが、濃度が20重量%よりも大きくなるとサンド表面からの膜片(付着物)の剥離効果が小さくなり、また、沈降層43,44,45に混入(残留)する、所定サイズ以下の粒子の量が多くなり、粗分級後の流水洗浄にかえって多くの水を使うことになる。
【0113】
攪拌槽1では、攪拌機2による剪断力と、超音波発生装置3による洗浄力とがサンドブラスト屑4に働き、サンド粒子の表面に付着した膜片が効果的に剥離されて、サンド粒子と膜片とが分離された分散液7が得られる。
【0114】
次に、回転筒24,25,26を、それぞれ高速回転してから、バルブ12を開いて、得られた分散液7を、高速で回転する第1の回転沈降槽21、第2の回転沈降槽22、最終段である第3の回転沈降槽23に、順次、一定流量で連続的に導入する。
【0115】
導入された分散液7は、それぞれ、回転筒24,25,26の底面付近の内面側に設けられた傾斜面24a,25a,26aに当たり、回転筒24,25,26の回転力を受けてこの傾斜面24a,25a,26aに沿って上方に移動し、遠心力で壁面、すなわち、内壁24c,25c,26cに押し付けられる。
【0116】
このとき、粒度の大きな粒子は、より大きな遠心力を受けて内壁24c,25c,26c(壁面)に捕捉されて沈降層43,44,45を形成する。粒度の小さな粒子は水とともに回転筒24,25,26の上端よりオーバーフローし、一旦、カバー27,28,29の溝27a,28a,29aで受けられ、落差を利用して、または、ポンプによってドレイン配管30,31,32を通して次の処理槽に送られる。
【0117】
高速回転の速度u1、u2、u3は、あらかじめ、所定の分級サイズが得られるように設定されており、u1<u2<u3の関係を満たしている。u1<u2<u3とすることで、沈降層43,44,45には、大きな粒子から小さな粒子に順次沈降する。
【0118】
このようにして沈降層43,44,45に所定サイズ以下の微粒子を含む所定サイズよりも大きな粒子を沈降させ、所定サイズ以下の微粒子だけをオーバーフローさせる粗分級を、所定時間、上記攪拌槽1から処理後の分散液7を供給することで、各回転沈降槽21,22,23に、前段の処理槽から分散液を供給して行った後、一旦、上記分散液7の供
給を止めて清浄な水を供給しつつ、さらに各回転沈降槽21、22、23を回転させる。
【0119】
すなわち、上記粗分級により得られた沈降層43,44,45は、所定サイズより小さな粒子を含んでいるので、粗分級後、一旦、上記分散液7の供給を止めて清浄な水を供給しつつ、さらに各回転沈降槽21、22、23を回転し続け、沈降層43,44,45に混入した所定サイズ以下の微粒子を洗い流してオーバーフローさせることによって、沈降層43,44,45に所定サイズよりも大きい粒子のみを得ることができる。
【0120】
このため、上記分別装置においては、バルブ12を閉じて、分散液7の供給を止め、配管35,36より清浄な水を供給して沈降層43,44,45を流水洗浄して所定サイズより小さな粒子を取り除いている。
【0121】
このようにして沈降層43,44,45に所定サイズよりも大きい粒子のみを得た後、配管35,36からの清浄な水の供給を止めて、さらに回転筒24,25,26をしばらく回転し続けることにより、沈降層43,44,45の脱水処理を行うことができる。
【0122】
脱水処理終了後は、一旦、回転筒24,25,26の回転を止めて、次に、回転ヘラ37,38,39を図中左側から右側、つまり、図中、A,B,Cにて示す方向に回転移動させて固定し、回転筒24,25,26を低速回転させることで、沈降層43,44,45は回転ヘラ37,38,39で擦り取られて落下し、下方の回収容器46,47,48に回収される。
【0123】
上述の操作を繰り返すことで、正確な分級処理を、連続的に効率良く行うことができる。こうして、所定サイズよりも大きい粒子と所定サイズ以下の粒子とを正確に分別することができる。これら一連の操作(動作)をシーケンスコントローラ(制御部)を用いてコントロールすることで、上記分別装置の自動運転が可能となる。
【0124】
このように、上記分別装置においては、攪拌機2並びに超音波発生装置3が設けられた攪拌槽1にて、サンドブラスト屑4を、超音波をかけながら水中で攪拌処理することで、該サンドブラスト屑4中のサンドに付着した微粒子(付着物)を剥離し、その後段に回転沈降槽を複数段設けて下段ほど回転数を高速に設定することによって、所定の粒度分布を有する粒子をそれぞれ分別回収することができる。
【0125】
このとき、分級粒度を調整することにより、例えば、一段目の沈降層43には再使用が可能な大きさのサンドを、二段目の沈降層44には比較的小さくて元のサンドとしては再使用できないサンドを、三段目の沈降層45には膜材や被加工物等の微粒子を多く含む微粒子のサンドをそれぞれ沈降させることによって、リサイクル資源として、リサイクル処理に応じた粒子を分別回収することができる。
【0126】
このような分別処理を行うことで、一段目の沈降層43で得られた粒子は、乾燥して、単独で、または未使用のサンドと混ぜて再度サンドブラスト処理に使用し、二段目の沈降層44で得られた粒子は、有害金属を含まないように分級粒度を調整することで、セメントやタイル原料としてリサイクルすることもできる。このとき、微粒子が完全に除去されていることから、発塵の心配がなく、運搬や取扱いが容易になる。
【0127】
また、三段目の沈降層45の粒子は大きな粒子が取除かれて減容化されていると同時に膜材や被加工物等の微粒子の含有率が高く、濃縮されているので、運搬費を低減できるとともに、後工程で希少金属や有価金属や有害金属を、例えば化学的手法を用いて回収する時のコストを低減することができる。
【0128】
サンドブラスト屑4には、前述したように、有用な金属あるいは有害な金属が含まれている場合があり、その場合には、これら金属を回収または無害化処理する必要がある。また、上記サンドブラスト屑4には、充分に使用可能な(小さくなっていない)サンドが依然多く含まれているので、経済的な面並びに廃棄物の削減(減量化)等の面からも、該サンドをさらに回収して再利用する必要がある。そして、上記分別方法並びに分別装置によれば、サンドを安価に回収することができる。また、上記分別方法並びに分別装置は、リブ材や電極材等を回収するリサイクル処理にも好適に用いることができる。
【0129】
なお、本実施の形態では、上記回転沈降槽を三段設けた構成としたが、該回転沈降槽の数(段数)は特に限定されるものではなく、二段、あるいは四段以上設けてもよく、使用するブラスト屑の組成やリサイクル目的に応じて任意に設定することができる。例えば、最終段の回転沈降槽よりも前段、本実施の形態においては一段目および二段目の回転沈降槽に相当する部分では、サンドブラスト屑の粒度分布によって、重量構成比が大きい粒度のところでは、回転沈降槽を複数台設け、分級段数を分割して沈降層の量のバランスを取ってもよいし、再使用の目的に合った粒度分布が得られるように複数台にして分級段数を分割してもよい。なお、三段目の回転沈降槽は遠心濾過装置に置き換えてもよい。
【0130】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において、実施の形態1における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記し、その説明を省略する。本実施の形態では、前記実施の形態1との相違点について説明するものとする。
【0131】
図3は、本実施の形態にかかるブラスト屑の分別装置(分級分別装置)の要部の構成を模式的に示す概略構成図である。
【0132】
図3に示す分別装置は、前記実施の形態1で図1に示した分別装置において、最終段の回転沈降槽である第3の回転沈降槽23の代わりに、濾材61で微粒子を濾過する遠心濾過装置62(濾過装置)が設けられた構成を有している。つまり、上記の分別装置においては、最終段の回転沈降槽となる第2の回転沈降槽22に、該第2の回転沈降槽22からオーバーフローによりドレイン配管31を通して排出される排出液(分散液)を濾過する遠心濾過装置62が連設された構成を有している。
【0133】
上記遠心濾過装置62は、回転速度u3で高速回転する、底面が開放された竪型の円筒形の回転筒63を備え、上記回転筒63は、回転筒24,25並びに前記実施の形態1で図1に示した第3の回転沈降槽23の回転筒26同様、底面付近が絞り加工等で内面側に絞られた傾斜面63aを有すると共に、底面に開口部63bが設けられた構造を有している。
【0134】
上記回転筒63は、その垂直な壁面部63cに多数の孔63d…が設けられており、その内面側、つまり、上記回転筒63の内壁に濾材61が設置されている点以外は、上記回転筒26と同様の装置構成を有しており、また、運転方法も上記回転筒26、つまり、上記第3の回転沈降槽23と同様である。
【0135】
すなわち、上記遠心濾過装置62もまた、上記したように、前記回転沈降槽21,22,23と同様に回転筒63の下方の底面が内側への傾斜面63aを有して真中が開放された構成を有し、該回転筒63内における、該回転筒63の回転中心から所定の距離だけ離れた位置に、該回転筒63の回転軸と平行な回転軸42を有する回転ヘラ39が設置され、該回転ヘラ39により、上記濾材61表面に沈降、堆積した堆積層64を掻き落とすことで、自動運転による分別が可能となっている。このようにサンブブラスト屑のサンドからの付着物の剥離、遠心沈降法による分級を、上記分別装置を用いて自動運転することで、処理コストを低減することができる。
【0136】
本実施の形態においても、上記回転ヘラ39は、回転することで、上記回転筒63の壁面との距離、より具体的には、本実施の形態においては、上記回転筒63の内壁に設けられた濾材61表面との距離が変わるように設置されており、遠心濾過(脱水)後、回転筒63の回転を一旦止めて回転ヘラ39を回転して上記濾材61表面との距離が短くなるようにし、次に、上記回転筒63を低速に切り替えて回転させることで、堆積層64の粒子を上記回転ヘラ39で擦り落として回収容器48に回収することができる。
【0137】
一方、遠心濾過装置62において遠心濾過されて排出される濾液は、上記回転筒63の外周に設けられた濾液回収部65にて回収され、ドレイン配管32により、前記実施の形態1に示す分別装置同様、攪拌槽1に送出、あるいは、切替バルブ33により、配管34に送出される。
【0138】
上記遠心濾過装置62から排出される水(分散媒)もまた、微粒子をほとんど含まない清浄な水である。このため、本実施の形態にかかる分別装置においても、上述したように、最終段の処理槽から排出される水(分散媒)、つまり、本実施の形態においては最終段に設けられた上記遠心濾過装置62から排出される排出液を、ドレイン配管32を通じて攪拌槽1に戻すことで、使用した水(分散媒)を繰返し使用することができ、水の使用量を抑えることができる。また、サンドブラスト屑4が鉛やクロムといった有害金属を含んでいる場合であって廃水処理が必要な場合は、廃水の量を減らすことができ、廃水処理費用を安価にすることができる。
【0139】
また、上記遠心濾過装置62においても、第3の回転沈降槽23同様、上記第2の回転沈降槽22から排出された分散液をドレイン配管31により上記遠心濾過装置62の回転筒63に供給する際には、上記ドレイン配管31は、該回転筒63の傾斜面63aに、上記第2の回転沈降槽22から供給された分散液が当たるように取り付けられていることが望ましい。
【0140】
なお、本実施の形態においても、分級部20で、遠心濾過装置62を含めて三段の分級処理を行う場合を例に挙げて説明したが、前記実施の形態1同様、本実施の形態においても分級処理の段数、例えば回転沈降槽の数(段数)は特に限定されるものではなく、二段の分級処理、あるいは、四段以上の分級処理を行うことができる。例えば、二段の分級処理を行う場合は、上記第1の回転沈降槽21から排出された排出液(分散液)を上記遠心濾過装置62に供給すればよい。したがって、本実施の形態においては、上記回転沈降槽は、少なくとも1つ設けられていればよく、上記回転沈降槽の数(段数)は、使用するブラスト屑の組成やリサイクル目的に応じて任意に設定することができる。
【0141】
実際の分別装置では、回転沈降槽の台数を増やして分級処理の段数を増やし、より粒度分布の揃った(粒度分布幅の小さな)分級を行うこともできる。
【0142】
上記実施の形態1および2に示す分別方法並びに分別装置では、上記サンドブラスト屑4中のサンドに付着した付着物を、物理的に剥離するため、水を用いて上記付着物を剥離することができ、乾燥のみで特別な後処理がいらないといったメリットや、湿式処理であることから発塵による環境汚染の心配も無く、水の使用量も少なくて済むというメリットもある。
【0143】
なお、上記実施の形態1および2に記載の分別方法並びに分別装置において、処理時間や、攪拌機2、各回転沈降槽21,22,23、および遠心濾過装置62の回転数等の各種処理条件および装置駆動条件等は、処理量や処理濃度、使用するブラスト屑の組成等、目的とする粒度等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0144】
なお、上記実施の形態1および2においては、主に、スパッタ装置やCVD装置等の成膜装置(真空成膜装置)に使われる防着板や基板トレイに付着した膜材をサンドブラスト法で除去する時に発生するサンドブラスト屑の処理を例に挙げて説明したが、サンドブラスト法で廃液晶パネルの薄膜を除去する時に発生するサンドブラスト屑、また、PDP製造工程で発生するサンドブラスト屑等についても同様の方法並びに装置を用いることができる。
【0145】
このように、スパッタ装置やCVD装置等の成膜装置に使われる防着板や基板トレイに付着した膜材をサンドブラスト法で除去する時に発生するサンドブラスト屑や、廃液晶パネルのシールを剥離して液晶パネルを構成する薄膜をサンドブラスト法で除去する時に発生するサンドブラスト屑、また、PDP製造工程で発生するサンドブラスト屑等を、分級分別することで、効率よく確実に簡素な構成にて膜材や被加工物等の微粉末を濃縮分別して回収することができる。この結果、上記分別回収にかかる費用を抑え、安価にリサイクル処理を行うことができる。なお、上記分別方法並びに分別装置は、前記したように、上記サンドブラスト屑以外のブラスト屑の分別にも適用することができる。そのなかでも、上記分別方法並びに分別装置は、上記ブラスト屑としてサンドブラスト屑を処理する場合に特に適している。
【0146】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0147】
〔実施例1〕
基板トレイや防着板に付着した膜材を除去する工程で発生したサンドブラスト屑(以下、説明の便宜上、サンドブラスト屑Aと記す)20gと600mlの水とを2000mlのビーカーに入れて市販の超音波洗浄装置にセットし、600W、40kHzの超音波振動を与えながら、攪拌機を用いて、120rpmの回転速度で20分間攪拌した。
【0148】
このようにして得られた懸濁液を多段の篩に移して多量の流水で洗い流し、篩に残った63μmを超える粒径を有する湿式処理した粒子と、篩を通過した63μm以下の粒径を有する湿式処理した粒子とをそれぞれ得た。
【0149】
続いて、得られた各粒子を乾燥した後、蛍光X線分析装置で分析して初期のサンドブラスト屑Aと、その組成を比較した。初期のサンドブラスト屑Aは、サンドの元素以外に、約5重量%のインジウム、約1重量%のタンタルと鉄、その他の元素を含んでいた。工程から考えて、インジウムおよびタンタルは、基板トレイや防着板に付着した膜材であり、鉄は基板トレイや防着板の粉であると考えられる。
【0150】
上記の湿式処理により得られた63μmよりも大きな粒径を有する粒子は、インジウム、タンタル、鉄の含有率が蛍光X線分装置の分析限界以下の値であった。逆に、篩を通った63μm以下の粒径を有する湿式処理した粒子は、インジウム、タンタル、鉄の含有率は相当分高くなっていた。
【0151】
次に、顕微鏡で上記湿式処理後の粒子(サンド)の表面を観察したところ、該粒子(サンド)に微粒子の付着は全く見られなかった。
【0152】
〔比較例1〕
サンドブラスト屑Aを、市販の振動篩機を用いて乾式処理し、篩に残った、63μmよりも大きな粒径を有する粒子を、蛍光X分析装置で分析した。
【0153】
この結果、上記の粒子は、サンドの元素以外に、初期のサンドブラスト屑Aとほぼ同じ量のインジウム、タンタル、鉄、その他元素を含んでいた。
【0154】
次に、顕微鏡で上記乾式処理した粒子(サンド)の表面を観察したところ、乾式処理した粒子(サンド)の表面には多数の微粉末(膜片)が付着していた。このことから、上記乾式処理では、サンドに付着している微小な膜片は振動篩法による分級処理では分離できないことが判る。
【0155】
〔比較例2〕
実施例1において、攪拌処理、超音波処理のみを、それぞれ20分間、個別に行った以外は、実施例1と同様の処理を行って得られた粒子(サンド)の表面を顕微鏡で観察した。この結果、該サンドの表面には、比較例1で観察したサンドと比較して量は少なくなってはいるものの、微粒子の付着が見られた。
【0156】
上記実施例1および比較例1・2の結果から、サンドブラスト屑の処理として、水中での攪拌と超音波との併用処理がサンド表面に付着した膜片を分離するのに効果的であることが判る。
【0157】
〔実施例2〕
100mlの水を200mlのビーカーに入れて市販の超音波洗浄装置にセットし、120rpmで攪拌下、600W、40kHzの超音波振動を与えた。この状態で、該ビーカーに、基板トレイや防着板の膜片除去に使われたサンドブラスト屑Aを20g投入し、5分間、攪拌と超音波とを併用して微粒子の分離処理(付着物剥離処理)を行い、その後、実施例1と同様にして分級処理を行った。その後、得られた粒子を乾燥して蛍光X線分析装置を用いて膜片の含有率を測定した。
【0158】
また、上記と同様の操作を、上記攪拌と超音波とを併用した微粒子の分離処理を、5粉間から、10分間、20分間にそれぞれ変更して行い、得られた粒子を乾燥して蛍光X線分析装置を用いて膜片の含有率を測定した。
【0159】
さらに、上記と同様の操作を、上記サンドブラスト屑Aの使用量を、20gから25gに変更して行った。
【0160】
サンドブラスト屑Aを20g使用したサンプルでは、上記分離処理(付着物剥離処理)を5分間行った場合と、10分間行った場合とには、顕微鏡による観察の結果、未だ一部に膜片の残留が認められたが、上記分離処理を20分間行ったものについては、膜片の残留は認められなかった。
【0161】
また、サンドブラスト屑Aを25g使用したサンプルでは、顕微鏡による観察の結果、上記分離処理(付着物剥離処理)を5分間、10分間、20分間行った場合の何れの場合にも、膜片の残留が僅かではあるが認められ、懸濁液の濃度が高くなりすぎると膜片の剥離・分離効果が小さくなる傾向にあることが判った。
【0162】
〔実施例3〕
水中での攪拌と超音波の併用処理によってサンドと膜片とに分離した懸濁液から膜片を含まない比較的大きなサンド粒子と、膜片を含む微粒子のサンドとを、従来の遠心沈降法を用いて分級、分別した。
【0163】
この結果、得られたサンド表面には、微粒子の付着は見られず、従来よりも分別精度が向上した。しかしながら、上記従来の遠心沈降法では、種々条件を変えて分級しても、沈降層への微粒子の混入を完全には防ぐことはできなかった。
【0164】
〔実施例4〕
水中で攪拌と超音波とを併用して処理した20重量%濃度の懸濁液を、半径20cm、回転数120rpmの回転筒に連続して供給し、上記懸濁液の供給を止めて清浄な水を5分間供給した後、清浄な水の供給を止めてさらに約5分回転して所定サイズよりも大きい粒子の沈降層を得た。
【0165】
このようにして得られた沈降層を乾燥して粒度分布を調べたところ、該沈降層に、所定サイズ以下の微粒子は混入していなかった。これにより、遠心沈降法の改良による分級、分別精度のさらなる向上を図ることができた。
【0166】
なお、上記の動作を図1または図3に示した分別装置を用いて行うことで、上記の分級・分別を自動運転により行うことができる。
【0167】
【発明の効果】
本発明にかかるブラスト屑の分別装置は、以上のように、ブラスト材を被処理物に衝突させることにより発生したブラスト屑の分別装置であって、上記ブラスト屑の分散液を攪拌する攪拌羽根を備えた攪拌槽と、上記攪拌槽内のブラスト屑の分散液に超音波による振動を与える超音波発生装置と、底面が、内側への傾斜面を有して真中が開放された開口部を有する回転筒を有するとともに、上記攪拌槽にて超音波をかけながら攪拌処理して上記ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離させた後のブラスト屑の分散液を、上記回転筒内の傾斜面に当たるように上記回転筒内に導く配管と、上記回転筒に、上記回転筒の回転下、外部から分散媒を、上記回転筒内の傾斜面に当たるように供給する分散媒供給手段とが取り付けられ、上記付着物を剥離させた後のブラスト屑の分散液を供給して上記回転筒を回転させることにより所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより排出するとともに、分散媒除去機能を有する回転沈降槽とを備え、上記回転筒内には、上記回転筒の内壁の形状に沿った形状に形成されているとともに、上記回転筒の回転中心から離間した位置に、上記回転筒の回転軸と平行な回転軸を有し、回転することで、上記回転筒の内壁との距離が変わるように設置された回転ヘラが設けられており、上記回転ヘラは、所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる処理を行っている間は、上記回転筒の内壁に沈降した沈降物に触れないように上記回転筒の内壁から遠い側に固定され、分散媒除去後は、上記回転筒の内壁に近い側に固定されることで、上記回転筒の回転下、上記沈降物に当接して上記沈降物を掻き落として上記開口部から排出する構成である。
【0168】
それゆえ、上記ブラスト屑を、超音波をかけながら分散媒中で攪拌処理することができ、これにより、上記ブラスト屑中のブラスト材に膜片として強固に付着している、膜材や被加工物等の被処理物の削屑等の微粒子からなる付着物を、上記ブラスト材から、効率よく確実に剥離して分離することができる。このため、上記の分別装置を用いれば、正確な分別を行うことができ、使用可能なブラスト材の分別回収や、リサイクル処理における、有用な金属あるいは有害な金属の最終的な回収操作に先立って行われる、膜材や被加工物等の被処理物の削屑等の微粒子からなる上記付着物(膜片)の分別・濃縮を、効率よく確実かつ安価に実施することができ、リサイクル資源を効率良く安価に回収することができるという効果を奏する。
【0169】
また、上記の構成によれば、上記ブラスト屑を分散媒中で攪拌することができるため、上記ブラスト屑中のブラスト材に膜片として付着していた微粒子(付着物)、特に、粒子径が10μm以下の微粒子が飛散し、粉塵として空気中を浮遊して周辺の作業環境を著しく悪化させることを防止し、また、確実かつ効率的に、上記ブラスト材に付着していた微粒子を回収することができるという効果を併せて奏する。
【0170】
また、本発明にかかるブラスト屑の分別装置は、上記したように、上記配管から供給されたブラスト屑の分散液、つまり、上記攪拌槽にて超音波をかけながら分散媒中で攪拌処理した後のブラスト屑の分散液を回転させて所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子を排出する回転筒を有する回転沈降槽と、上記回転沈降槽に取り付けられ、上記回転筒の回転下、外部から分散媒を供給する分散媒供給手段とをさらに備えている。
【0171】
それゆえ、上記ブラスト屑の分散液を上記回転沈降槽の回転筒にて回転させて沈降速度の差を利用して所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子を排出することで粗分級した後、上記回転沈降槽の回転筒に分散媒を供給して上記回転沈降槽の回転筒を回転させ、上記回転沈降槽の回転筒内の沈降物層に残留した所定サイズ以下の粒子を分離、除去することができる。このため、所定サイズよりも大きい粒子と所定サイズ以下の粒子とを正確に分級、分別することができるという効果を奏する。
【0172】
さらに、本発明にかかるブラスト屑の分別装置は、上記したように、上記回転沈降槽は、分散媒除去機能(脱水機能)を有しているとともに、上記回転筒は、その底面が、内側への傾斜面を有して真中が開放された開口部を有しており、上記回転筒内には、上記回転筒の内壁の形状に沿った形状に形成されているとともに、上記回転筒の回転中心から離間した位置に、上記回転筒の回転軸と平行な回転軸を有し、回転することで、上記回転筒の内壁との距離が変わるように設置された回転ヘラが設けられている。上記回転ヘラは、所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる処理を行っている間は、上記回転筒の内壁に沈降した沈降物に触れないように上記回転筒の内壁から遠い側に固定され、分散媒除去後は、上記回転筒の内壁に近い側に固定されることで、上記回転筒の回転下、上記沈降物、つまり、分散媒除去後の上記回転筒内の沈降物に当接して該沈降物を掻き落とす。
【0173】
それゆえ、上記回転筒から分散媒を除去し、この分散媒除去後の上記回転筒内の沈降物を自動的に上記回転筒の底面から外部に排出して回収することができる。したがって、沈降により分級した粒子(沈降物)を、効率よく確実かつ容易に分別回収することができるという効果を奏する。
【0174】
本発明にかかるブラスト屑の分別装置は、以上のように、上記回転沈降槽が複数段連設され、各回転沈降槽から排出される排出液が、後段の回転沈降槽に供給される機構を有し、上記回転沈降槽は、上記回転筒を回転させることにより所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより排出する際の回転数が下段ほど高速となるように設定されている構成である。
【0175】
また、本発明にかかるブラスト屑の分別装置は、以上のように、上記ブラスト屑の分別装置において、最終段の回転沈降槽には、該回転沈降槽から排出される排出液を、上記攪拌槽に送出する配管が設けられている構成である。
【0176】
また、本発明にかかるブラスト屑の分別装置は、以上のように、上記回転沈降槽が少なくとも1段設けられ、最終段の回転沈降槽には、該回転沈降槽から排出される排出液を濾過する濾過装置が連設され、上記濾過装置には、該濾過装置から排出される排出液を、上記攪拌槽に送出する配管が設けられている構成である。
【0177】
上記各構成によれば、複数段の分級を行い、所定の粒度分布を有する粒子をそれぞれ回収することができる。このようにして分級を行うことで、例えば、リサイクル資源として、リサイクル処理に応じた粒子を、粒子サイズに応じてより厳密に分別回収することができるという効果を奏する。また、このように、複数段の分級処理を行う場合、最終段の回転沈降槽からオーバーフローした分散媒(排出液)あるいは上記濾過装置から排出された濾液(排出液)は、微粒子をほとんど含まない清浄な分散媒である。このため、最終段の回転沈降槽あるいは濾過装置に、これら回転沈降槽あるいは濾過装置から排出される排出液を、上記攪拌槽に送出する配管が設けられていることで、これら回転沈降槽あるいは濾過装置から排出される排出液を、元に戻して繰返し使用できることから、水の使用量を抑えることができる。また、上記ブラスト屑が鉛やクロムといった有害金属を含んでいる場合であって廃水処理が必要な場合は、廃水の量を減らすことができ、廃水処理費用を安価にすることができる。したがって、上記の構成によれば、上記分別にかかる費用を低減することができるという効果を併せて奏する。
【0178】
また、本発明にかかるブラスト屑の分別装置は、以上のように、シーケンスコントローラを備え、自動運転される構成である。
【0179】
本発明によれば、上記の一連の操作(動作)をシーケンスコントローラ(制御部)を用いてコントロールすることで、上記分別装置の自動運転が可能となるという効果を奏する。
【0180】
また、本発明にかかるブラスト屑の分別方法は、以上のように、ブラスト材を被処理物に衝突させることにより発生したブラスト屑を、本発明にかかる上記ブラスト屑の分別装置を用いて分別するブラスト屑の分別方法であって、上記ブラスト屑を、上記攪拌槽にて超音波をかけながら分散媒中で攪拌処理して該ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離させる付着物剥離工程と、上記付着物剥離工程で上記ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離した後、分級を行う分級工程とを備え、上記分級工程が、上記回転ヘラを、上記回転筒の内壁から遠い側に固定して、上記回転筒内に、上記攪拌槽内にて攪拌処理した後のブラスト屑の分散液を供給して上記回転筒を回転させることにより上記分散液中の所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる粗分級を行う工程と、上記分散液の供給を止めて上記分散媒供給手段により上記回転筒内に分散媒を供給しながら上記回転筒を回転させて、上記回転筒内の沈降物層に残留した所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる工程と、上記分散媒の供給を止めて上記回転筒内から分散媒を除去した後、上記回転ヘラを回転させて上記回転筒の内壁に近い側に固定して上記回転筒を回転させることで、上記回転ヘラを上記回転筒の内壁に沈降した沈降物に当接させて上記沈降物を掻き落として回収する工程とを備えている方法である。
【0181】
上記の方法によれば、上記ブラスト屑を、超音波をかけながら分散媒中で攪拌処理することにより、該ブラスト屑中のブラスト材に膜片として強固に付着している、膜材や被加工物等の被処理物の削屑等の微粒子からなる付着物を、上記ブラスト材から、効率よく確実に剥離して分離することができる。このため、上記の方法によれば、正確な分別を行うことができ、使用可能なブラスト材の分別回収や、リサイクル処理における、有用な金属あるいは有害な金属の最終的な回収操作に先立って行われる、膜材や被加工物等の被処理物の削屑等の微粒子からなる上記付着物(膜片)の分別・濃縮を、効率よく確実かつ安価に実施することができ、リサイクル資源を効率良く安価に回収することができるという効果を奏する。
【0182】
また、上記の方法によれば、上記ブラスト屑を分散媒中で攪拌することにより、該ブラスト屑中のブラスト材に膜片として付着していた微粒子(付着物)、特に、粒子径が10μm以下の微粒子が飛散し、粉塵として空気中を浮遊して周辺の作業環境を著しく悪化させることを防止し、また、確実かつ効率的に、上記ブラスト材に付着していた微粒子を回収することができるという効果を併せて奏する。
【0183】
さらに、上記の方法によれば、上記付着物剥離工程で上記ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離した後、分級を行う分級工程を備えているので、ブラスト材から付着物を剥離した後の上記ブラスト屑を、粒子サイズに応じて分別回収することができるという効果を奏する。上記ブラスト屑は、該ブラスト屑中のブラスト材から付着物が剥離されていることで、従来よりも正確な分級、分別を行うことができる。
【0184】
また、上記の方法によれば、上記分級工程が、上記回転ヘラを、上記回転筒の内壁から遠い側に固定して、上記回転筒内に、上記攪拌槽内にて攪拌処理した後のブラスト屑の分散液を供給して上記回転筒を回転させることにより上記分散液中の所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる粗分級を行う工程と、上記分散液の供給を止めて上記分散媒供給手段により上記回転筒内に分散媒を供給しながら上記回転筒を回転させて、上記回転筒内の沈降物層に残留した所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる工程を備えていることで、改良された遠心沈降法による分級によって、所定サイズよりも大きい粒子と所定サイズ以下の粒子とを正確に分級、分別することができ、リサイクル可能なブラスト材と、含有量が高く、後工程、つまり、リサイクルのための最終的な回収工程での希少金属、有価金属、有害金属等の回収を、安価に行うことができる微粒子とを得ることができるという効果を奏する。
【0185】
また、本発明にかかるブラスト屑の分別方法は、以上のように、上記付着物剥離工程では、上記ブラスト屑を、3〜20重量%濃度の分散液中で、超音波をかけながら上記攪拌羽根により剪断力を与えて攪拌処理する方法である。
【0186】
上記ブラスト屑に、攪拌による剪断力と、超音波による振動とを加えることで、上記ブラスト屑中のブラスト材に強固に付着した、膜材や被加工物の削屑等の微粒子(付着物)を、ブラスト材から効率よく確実に剥離して分離することができる。上記分散液の濃度は、水の使用量を少なくするため、大きくすることが望ましいが、濃度が20重量%よりも大きくなると、ブラスト材表面からの膜片(付着物)の剥離効果が小さくなり、また、沈降物層に混入(残留)する、所定サイズ以下の粒子の量が多くなり、粗分級後の流水洗浄にかえって多くの水を使うことになる。
【0187】
さらに、本発明にかかるブラスト屑のリサイクル処理方法は、以上のように、ブラスト材を被処理物に衝突させることにより発生したブラスト屑を、上記回転沈降槽が複数段連設され、各回転沈降槽から排出される排出液が、後段の回転沈降槽に供給される機構(例えば配管)を有し、上記回転沈降槽は、上記回転筒を回転させることにより所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより排出する際の回転数が下段ほど高速となるように設定されているブラスト屑の分別装置を用いた分別方法を用いて分別することによりリサイクルするブラスト屑のリサイクル処理方法であって、上記ブラスト屑の分別装置を用いた分別方法が、上記ブラスト屑を、上記攪拌槽にて超音波をかけながら分散媒中で攪拌処理して該ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離させる付着物剥離工程と、上記付着物剥離工程で上記ブラスト屑中のブラスト材に 付着した付着物を剥離した後、分級を行う分級工程とを備え、上記分級工程が、上記回転ヘラを、上記回転筒の内壁から遠い側に固定して、上記回転筒内に、上記攪拌槽内にて攪拌処理した後のブラスト屑の分散液を供給して上記回転筒を回転させることにより上記分散液中の所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる粗分級を行う工程と、上記分散液の供給を止めて上記分散媒供給手段により上記回転筒内に分散媒を供給しながら上記回転筒を回転させて、上記回転筒内の沈降物層に残留した所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる工程と、上記分散媒の供給を止めて上記回転筒内から分散媒を除去した後、上記回転ヘラを回転させて上記回転筒の内壁に近い側に固定して上記回転筒を回転させることで、上記回転ヘラを上記回転筒の内壁に沈降した沈降物に当接させて上記沈降物を掻き落として回収する工程とを備えており、上記被処理物は有価金属または有害金属を含むとともに、少なくとも、最終段の回転沈降槽の沈降物を、上記ブラスト材を上記被処理物に衝突させることにより発生したブラスト屑中に含まれる有価金属または有害金属を回収する原料として使用する処理方法である。
【0188】
また、本発明にかかるブラスト屑のリサイクル処理方法は、以上のように、上記付着物剥離工程では、上記ブラスト屑を、3〜20重量%濃度の分散液中で、超音波をかけながら上記攪拌羽根により剪断力を与えて攪拌処理する処理方法である。
【0189】
上記したように、少なくとも、最終段の回転沈降槽の沈降層の粒子(沈降物)を希少金属、有価金属または有害金属を回収する原料として使用することは、資源の有効利用並びにリサイクル処理を安価に行う上で、好ましく、また、上記したように、最終段の回転沈降槽内に沈降した沈降層の粒子は大きな粒子が取除かれて減容化されていると同時に、膜材や被加工物等の被処理部の微粒子の含有率が高く、濃縮されているので、運搬費を低減できるとともに、後工程で希少金属や有価金属や有害金属を、例えば化学的手法を用いて回収する時のコストを低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態にかかるブラスト屑の分別装置の要部の構成を模式的に示す概略構成図である。
【図2】 サンドブラスト屑の処理方法毎の粒度分布の一例を示すグラフである。
【図3】 本発明の他の実施の形態にかかるブラスト屑の分別装置の要部の構成を模式的に示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 攪拌層
2 攪拌機(攪拌手段)
2a 攪拌羽根
2b モータ
3 超音波発生装置
4 サンドブラスト屑(ブラスト屑)
7 分散液
10 ブラスト屑処理部
11 配管
20 分級部
21,22,23 回転沈降槽
24,25,26 回転筒
24a,25a,26a 傾斜面
24b,25b,26b 開口部
24c,25c,26c 内壁
27,28,29 カバー
27a,28a,29a 溝
30,31,32 ドレイン配管(配管)
35,36 配管(分散媒供給手段)
37,38,39 回転ヘラ(沈降物排出部材)
40,41,42 回転軸
43,44,45 沈降層
46,47,48 回収容器
61 濾材
62 遠心濾過装置(濾過装置)
63 回転筒
63a 傾斜面
63b 開口部
63c 壁面部
64 堆積層
65 濾液回収部

Claims (9)

  1. ブラスト材を被処理物に衝突させることにより発生したブラスト屑を分別する装置であって、
    上記ブラスト屑の分散液を攪拌する攪拌羽根を備えた攪拌槽と、
    上記攪拌槽内のブラスト屑の分散液に超音波による振動を与える超音波発生装置と、
    底面が、内側への傾斜面を有して真中が開放された開口部を有する回転筒を有するとともに、上記攪拌槽にて超音波をかけながら攪拌処理して上記ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離させた後のブラスト屑の分散液を、上記回転筒内の傾斜面に当たるように上記回転筒内に導く配管と、上記回転筒に、上記回転筒の回転下、外部から分散媒を、上記回転筒内の傾斜面に当たるように供給する分散媒供給手段とが取り付けられ、上記付着物を剥離させた後のブラスト屑の分散液を供給して上記回転筒を回転させることにより所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより排出するとともに、分散媒除去機能を有する回転沈降槽とを備え、
    上記回転筒内には、上記回転筒の内壁の形状に沿った形状に形成されているとともに、上記回転筒の回転中心から離間した位置に、上記回転筒の回転軸と平行な回転軸を有し、回転することで、上記回転筒の内壁との距離が変わるように設置された回転ヘラが設けられており、
    上記回転ヘラは、所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる処理を行っている間は、上記回転筒の内壁に沈降した沈降物に触れないように上記回転筒の内壁から遠い側に固定され、分散媒除去後は、上記回転筒の内壁に近い側に固定されることで、上記回転筒の回転下、上記沈降物に当接して上記沈降物を掻き落として上記開口部から排出することを特徴とする分別装置。
  2. 上記回転沈降槽が複数段連設され、各回転沈降槽から排出される排出液が、後段の回転沈降槽に供給される機構を有し、
    上記回転沈降槽は、上記回転筒を回転させることにより所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより排出する際の回転数が下段ほど高速となるように設定されていることを特徴とする請求項1記載のブラスト屑の分別装置。
  3. 最終段の回転沈降槽には、該回転沈降槽から排出される排出液を、上記攪拌槽に送出する配管が設けられていることを特徴とする請求項2記載のブラスト屑の分別装置。
  4. 上記回転沈降槽が少なくとも1段設けられ、
    最終段の回転沈降槽には、該回転沈降槽から排出される排出液を濾過する濾過装置が連設され、
    上記濾過装置には、該濾過装置から排出される排出液を、上記攪拌槽に送出する配管が設けられていることを特徴とする請求項1記載のブラスト屑の分別装置。
  5. シーケンスコントローラを備え、自動運転されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のブラスト屑の分別装置。
  6. ブラスト材を被処理物に衝突させることにより発生したブラスト屑を、請求項1〜3の何れか1項に記載のブラスト屑の分別装置を用いて分別するブラスト屑の分別方法であって、
    上記ブラスト屑を、上記攪拌槽にて超音波をかけながら分散媒中で攪拌処理して該ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離させる付着物剥離工程と、
    上記付着物剥離工程で上記ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離した後、分級を行う分級工程とを備え、
    上記分級工程が、
    上記回転ヘラを、上記回転筒の内壁から遠い側に固定して、上記回転筒内に、上記攪拌槽内にて攪拌処理した後のブラスト屑の分散液を供給して上記回転筒を回転させることにより上記分散液中の所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる粗分級を行う工程と、
    上記分散液の供給を止めて上記分散媒供給手段により上記回転筒内に分散媒を供給しながら上記回転筒を回転させて、上記回転筒内の沈降物層に残留した所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる工程と、
    上記分散媒の供給を止めて上記回転筒内から分散媒を除去した後、上記回転ヘラを回転させて上記回転筒の内壁に近い側に固定して上記回転筒を回転させることで、上記回転ヘラを上記回転筒の内壁に沈降した沈降物に当接させて上記沈降物を掻き落として回収する工程とを備えていることを特徴とするブラスト屑の分別方法。
  7. 上記付着物剥離工程では、上記ブラスト屑を、3〜20重量%濃度の分散液中で、超音波をかけながら上記攪拌羽根により剪断力を与えて攪拌処理することを特徴とする請求項6記載のブラスト屑の分別方法。
  8. ブラスト材を被処理物に衝突させることにより発生したブラスト屑を、請求項2または3記載のブラスト屑の分別装置を用いた分別方法を用いて分別することによりリサイクルするブラスト屑のリサイクル処理方法であって、
    上記ブラスト屑の分別装置を用いた分別方法が、
    上記ブラスト屑を、上記攪拌槽にて超音波をかけながら分散媒中で攪拌処理して該ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離させる付着物剥離工程と、
    上記付着物剥離工程で上記ブラスト屑中のブラスト材に付着した付着物を剥離した後、分級を行う分級工程とを備え、
    上記分級工程が、
    上記回転ヘラを、上記回転筒の内壁から遠い側に固定して、上記回転筒内に、上記攪拌槽内にて攪拌処理した後のブラスト屑の分散液を供給して上記回転筒を回転させることにより上記分散液中の所定サイズよりも大きい粒子を沈降させ、所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる粗分級を行う工程と、
    上記分散液の供給を止めて上記分散媒供給手段により上記回転筒内に分散媒を供給しながら上記回転筒を回転させて、上記回転筒内の沈降物層に残留した所定サイズ以下の粒子をオーバーフローにより分離させる工程と、
    上記分散媒の供給を止めて上記回転筒内から分散媒を除去した後、上記回転ヘラを回転させて上記回転筒の内壁に近い側に固定して上記回転筒を回転させることで、上記回転ヘラを上記回転筒の内壁に沈降した沈降物に当接させて上記沈降物を掻き落として回収する工程とを備えており、
    上記被処理物は有価金属または有害金属を含むとともに、
    少なくとも、最終段の回転沈降槽の沈降物を、上記ブラスト材を上記被処理物に衝突させることにより発生したブラスト屑中に含まれる有価金属または有害金属を回収する原料として使用することを特徴とするブラスト屑のリサイクル処理方法
  9. 上記付着物剥離工程では、上記ブラスト屑を、3〜20重量%濃度の分散液中で、超音波をかけながら上記攪拌羽根により剪断力を与えて攪拌処理することを特徴とする請求項8記載のブラスト屑のリサイクル処理方法。
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