JP3850235B2 - 分散補償光ファイバ、これを用いた光ファイバ伝送路、および前記分散補償光ファイバの製造方法 - Google Patents

分散補償光ファイバ、これを用いた光ファイバ伝送路、および前記分散補償光ファイバの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は低損失な分散補償光ファイバに関する。
【0002】
【従来の技術】
波長1.53〜1.63μm帯から選択された使用波長において、伝送用のシングルモード光ファイバと、その波長分散および分散スロープと異なる符号の波長分散および分散スロープを備えた分散補償光ファイバとを組み合わせた光ファイバ伝送路が開発されている。この光ファイバ伝送路は、波長分散が小さく、かつ分散スロープがフラットで、長距離伝送および波長多重伝送に適している。前記シングルモード光ファイバは、例えば1.3μm用シングルモード光ファイバのように、前記使用波長帯より短波長の零分散波長を有し、この使用波長帯では比較的大きな正の波長分散と正の分散スロープを有するものである。
【0003】
図1は、分散補償光ファイバの一例の屈折率プロファイルを示したものである。この分散補償光ファイバはコア14とその外周上に設けられたクラッド15とからなる。このコア14は、前記クラッド15よりも高い屈折率を備えた中心コア部11と、その外周上に設けられ、このクラッド15よりも低い屈折率を備えた中間部12とから構成されている。
図中、a1は中心コア部11の半径、b1は中間部12の半径(コア14の半径)、Δ11、Δ12は、それぞれクラッド15の屈折率を基準(零)にしたときの中心コア部11の比屈折率差と中間部12の比屈折率差である。すなわち、Δ11はプラスの値、Δ12はマイナスの値をとる。
【0004】
図2は、分散補償光ファイバの他の例の屈折率プロファイルを示したものである。この分散補償光ファイバはコア4とその外周上に設けられたクラッド5とからなる。このコア4は、前記クラッド5よりも高い屈折率を備えた中心コア部1と、その外周上に設けられた、このクラッド5よりも低い屈折率を備えた中間部2と、その外周状に設けられた、このクラッド5よりも高い屈折率を備えたリングコア部3とから構成されている。
図中、aは中心コア部1の半径、bは中間部2の半径、cはリングコア部3の半径(コア4の半径)、Δ1、Δ2、Δ3は、それぞれクラッド5の屈折率を基準(零)にしたときの中心コア部1の比屈折率差と中間部2の比屈折率差、およびリングコア部3の比屈折率差である。すなわち、Δ1およびΔ3はプラスの値、Δ2はマイナスの値をとる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図3は、図1に示した屈折率プロファイルにおいて、使用波長1.55μmにおいて、Δ11を2.3%、Δ12を−0.4%に固定し、b1とb1/a1を変化させたときの波長分散と、分散スロープの関係を示したグラフである。
【0006】
Δ11は全て2.3%である。グラフ中に示されている直線Sは使用波長1.55μmにおいて、この分散補償光ファイバが1.3μm用シングルモード光ファイバの波長分散と分散スロープを双方とも100%補償できるときの波長分散と分散スロープとの関係を示しており、この直線Sに近い程理想的な補償の作用が得られる。
【0007】
このグラフ中にはb1/a1の比率を一定として、0.1μm間隔でb1の値を変化させたときの点がb1/a1の値毎にまとめられている。各b1/a1について、b1を変化させた範囲は以下のようになっている。
1/a1=2.5のとき、b1=2.4〜3.1μm、
1/a1=3.0のとき、b1=3.0〜3.7μm、
1/a1=3.5のとき、b1=3.5〜4.2μm、
1/a1=4.0のとき、b1=4.0〜4.7μm、
1/a1=4.5のとき、b1=4.6〜5.3μm、
【0008】
1の値が小さくなるにしたがって波長分散の絶対値が大きくなる傾向があるため、これらのb1/a1の値毎の曲線において、最も波長分散の絶対値が大きいものはb1の範囲の下限値が設定されており、最も波長分散の絶対値が小さいものは、b1の範囲の上限値が設定されている。
【0009】
このグラフより、例えばb1/a1が4.0〜4.5の条件では、b1が4μm付近のときに波長分散が−100〜−120ps/nm/km、分散スロープは−0.3ps/nm2/km程度となる。このような特性は、例えば1.3μm用シングルモード光ファイバを補償する分散補償光ファイバとして、良好である。
【0010】
しかしながら、この例のようにΔ11が2%をこえると、中心コア部1に屈折率を調整するために添加されるドーパントの添加量が多くなる。
通常、コア14は屈折率を調整するドーパントを添加した石英系ガラスから形成するが、クラッド15は純粋石英ガラスから形成する。また、ドーパントの添加量に比例して石英系ガラスのガラス転移点が低くなる。したがって、ドーパントの添加量が多くなると、ファイバ母材を加熱、溶融して光ファイバを線引きする際に、コア14とクラッド15との粘度の差が大きくなるため、機械的な強度の観点から線引き速度が制限され、低損失の分散補償光ファイバを得ることができないという問題があった。
また、Δ11が大きいと有効コア断面積が小さくなる傾向がある。有効コア断面積が小さいと非線形効果が発生しやすくなり、伝送特性が劣化するという問題があった。
【0011】
しかしながら、従来の分散補償光ファイバにおいては、波長分散と分散スロープの補償効果を実現し、かつΔ11が小さいものは得られておらず、製造性、低損失性、非線形性などにおいて問題があった。
【0012】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、有効コア断面積が大きく、低損失な分散補償光ファイバを提供することを課題とする。
また、線引き時にコアとクラッドの粘度の差が小さい分散補償光ファイバを提供することを課題とする。
具体的にはクラッドを基準にしたときのコアの最も高い層の比屈折率差が比較的低く、この層へのドーパントの添加量を少なくすることができる分散補償光ファイバを提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1の発明は、以下の(1)〜(8)の条件を満足することを特徴とする分散補償光ファイバである。
(1)コアとその外周上に設けられたクラッドとを備え、該コアが、該クラッドよりも屈折率が高い中心コア部と、該中心コア部の外周上に設けられた該クラッドよりも屈折率が低い中間部と、該中間コア部の外周上に設けられた該クラッドよりも屈折率が高いリングコア部と、からなる屈折率プロファイルを有している。
(2)前記中心コア部、前記中間部、および前記リングコア部の、(半径、クラッドを基準にした比屈折率差)を、それぞれ(a、Δ1)、(b、Δ2)、(c、Δ3)としたとき、Δ1が0.9〜1.5%、Δ2が−0.30〜−0.45%、Δ3が0.2〜1.2%、b/aが2.0〜3.5、c/aが3.0〜5.0である。
(3)1.53μm〜1.63μmから選択された使用波長帯において、有効コア断面積が20μm以上である。
(4)前記使用波長帯において、曲げ損失が40dB/m以下である。
(5)前記使用波長帯において、波長分散が−65〜−45ps/nm/kmである。
(6)前記使用波長帯において、実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する。
(7)前記使用波長帯よりも短波長の零分散波長を有する1.3μm用シングルモード光ファイバの波長分散を零に補償できる長さで、当該シングルモード光ファイバを補償したときの分散スロープの補償率が80〜120%である。
(8)前記クラッドが、ドーパントを添加した石英ガラスからなる。
第2の発明は、前記第1の発明の分散補償光ファイバにおいて、aが1.66〜1.94μmであることを特徴とする分散補償光ファイバである。
第3の発明は、前記第1または第2の発明の分散補償光ファイバにおいて、前記屈折率プロファイルを構成する各層にドーパントが添加されていることを特徴とする分散補償光ファイバである。
第4の発明は、前記使用波長帯において、伝送損失が0.3dB/km以下である前記第1〜第3のいずれかの発明の分散補償光ファイバである。
第5の発明は、シングルモード光ファイバと、該シングルモード光ファイバの波長分散と分散スロープを補償する前記第1〜第4のいずれかの発明の分散補償光ファイバとを組み合わせたことを特徴とする光ファイバ伝送路である。
第6の発明は、前記第5の発明の光ファイバ伝送路において、前記シングルモード光ファイバが、以下の(9)〜(10)の条件を満足することを特徴とする光ファイバ伝送路である。
(9)コアとその外周上に設けられたクラッドとを備え、該コアが中心コア部と、その外周上に設けられた該中心コア部よりも低い屈折率を備えた中間部と、該中間部の外周上に設けられた該中間部よりも高く、前記中心コア部よりも低い屈折率を備えたクラッドとを有する。
(10)前記分散補償光ファイバの使用波長帯において、有効コア断面積が120μm以上であり、かつ当該使用波長帯において、実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する。
第7の発明は、前記第1〜4のいずれかの発明の分散補償光ファイバの条件を満足するように分散補償光ファイバを製造することを特徴とする分散補償光ファイバの製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の分散補償光ファイバは、図2に示したものと同様の屈折率プロファイルを備えている。本発明の分散補償光ファイバにおいては、図2に示したaが1.66〜1.94μmとされる。aが小さすぎると曲げ損失が大きくなり、aが大きすぎると有効コア断面積が小さくなるか、カットオフ波長が長くなり、所望の特性が得られなくなる。
【0015】
また、Δ1が0.9〜1.5%であると好ましい。0.9%未満であると、所望の波長分散と分散スロープが得られない場合がある。1.5%をこえると中心コア部1に添加するドーパントの添加量が多くなり、伝送損失が大きくなる。また、有効コア断面積が小さくなることによって非線形効果が発生しやすくなる。Δ2は−0.30〜−0.45%、好ましくは−0.35〜−0.45%とされる。−0.45%未満では伝送損失が劣化しやすくなり、−0.30%をこえると分散スロープ補償率が劣化する。
Δ3は0.2〜1.2%とされる。0.2%未満では有効コア断面積が小さくなることによって非線形効果が発生しやすくなり、1.2%をこえるとカットオフ波長が長くなり、所望の特性が得られなくなる。
さらに、b/aは2.0〜3.5とされる2.0未満では分散スロープ補償率が劣化し、3.5をこえると曲げ損失が劣化する。
また、c/aは3.0〜5.0とされる。3.0未満では有効コア断面積が小さくなることによって非線形効果が発生やすくなり、5.0をこえるとカットオフ波長が長くなり、所望の特性が得られなくなる。
なお、クラッド5の外径(分散補償光ファイバの外径)は特に限定しないが、通常125μm程度である。
【0016】
本発明においては、このようにΔ1が比較的小さい範囲であっても、他の複数の構造パラメータとの適切な組み合わせにより、以下のような好ましい特性を実現することができる。
なお、これらの数値範囲を全て満足していても以下のような特性を備えた分散補償光ファイバを得ることができるとは限らない。適切な複数の構造パラメータの組み合わせを選択することにより、以下の様な特性を備えた分散補償光ファイバを得ることができる。
したがって、本発明の分散補償光ファイバは、屈折率プロファイルと構造パラメータの数値範囲のみでは特定することが困難であり、これらの構成に加えて以下のような特性値によって特定するものである。
このように、Δ1が小さく、かつ波長分散と分散スロープの補償効果に優れ、非線形効果を抑制するために有効コア断面積を拡大した分散補償光ファイバは、従来得られていなかったものである。
【0017】
本発明における使用波長帯とは、1.53μm〜1.63μmから選択された波長帯をいう。使用波長帯の帯域幅は必要に応じて適宜選択することができ、実質的にひとつの波長であってもよい。なお、波長多重伝送などにおいては比較的広い波長帯が選択され、例えば1.53〜1.57μm帯(いわゆるCバンド帯)や、1.57〜1.63μm帯(いわゆるLバンド帯)などを選択することができる。
【0018】
そして、本発明の分散補償光ファイバは、この選択した使用波長帯において、有効コア断面積が20μm2以上、好ましくは26μm2以上のものである。Δ1が小さいため、このように大きな有効コア断面積を実現することができる。上限値は特に限定しないが、実質的には30μm2以下のものを製造することができる。20μm2未満では非線形効果を抑制することができず、不都合である。
なお、有効コア断面積(Aeff)は以下の式で定義されるものである。
【0019】
【数1】
Figure 0003850235
【0020】
また、曲げ損失は小さい程好ましいが、本発明の分散補償光ファイバは、前記選択した使用波長帯において、40dB/m以下、好ましくは20dB/m以下である。40dB/m以下にすることによって、ケーブル化や敷設時などに加えられるわずかな応力によって伝送損失が劣化することが少なく、安定した特性が得られる。
なお、曲げ損失は曲げ直径(2R)が20mmの条件の値である。
【0021】
さらに、本発明の分散補償光ファイバは、前記選択した使用波長帯において、波長分散が−65〜−45ps/nm/kmである。
このような範囲であれば、1.3μm用シングルモード光ファイバに代表される前記使用波長帯よりも短波長の零分散波長を備え、この使用波長帯において比較的大きな正の波長分散を備えたシングルモード光ファイバの波長分散を、比較的短い長さの分散補償光ファイバによって補償することができる。
【0022】
また、本発明の分散補償光ファイバはシングルモード光ファイバである必要がある。すなわち、実際の使用状態でシングルモード伝搬を維持できるカットオフ波長を備えていなければならない。カットオフ波長は通常はいわゆる2m法によって測定された値を用いるが、実際の長尺の使用状態では、2m法のカットオフ波長が使用波長帯の最短波長よりも長くてもシングルモード伝搬を行うことができる。
したがって、カットオフ波長は、使用波長帯および使用長さによって適切な上限値を設定し、この上限値をこえない値を実現できるように分散補償光ファイバを設計する。
【0023】
また、本発明の分散補償光ファイバの分散スロープは、この分散補償光ファイバによって補償するシングルモード光ファイバの波長分散を零に補償できる長さの分散補償光ファイバを用いたときの分散スロープの補償率が80〜120%である。この範囲外であると分散スロープの補償が不十分になり、波長多重伝送などにおいて支障を来す場合がある。
【0024】
この分散スロープの補償率は以下のようにして求める。
使用波長帯において、シングルモード光ファイバの単位長さ当たりの波長分散と分散スロープの絶対値をそれぞれd1(ps/nm/km)、s1(ps/nm2/km)、分散補償光ファイバの単位長さ当たりの波長分散と分散スロープの絶対値をそれぞれd2(ps/nm/km)、s2(ps/nm2/km)とする。
前記シングルモード光ファイバの波長分散および分散スロープは、通常は正の値である。本発明の分散補償光ファイバの波長分散および分散スロープは、通常は負の値である。
【0025】
まず、単位長さのシングルモード光ファイバの波長分散を零に補償できる分散補償光ファイバの長さはd1/d2で表される。
この長さにおける分散補償光ファイバの分散スロープはd1/d2*s2となる。そして、この長さの分散補償光ファイバによる単位長さ当たりのシングルモード光ファイバの分散スロープの補償率は、(d1/d2*s2)/s1*100となる。
【0026】
このように分散スロープの補償率は、使用波長帯における補償対象のシングルモード光ファイバの波長分散と分散スロープ、および分散補償光ファイバ自体の波長分散と分散スロープによって変化するため、目的とする使用波長帯やシングルモード光ファイバにあわせて分散補償光ファイバを設計する必要がある。
本発明の分散補償光ファイバにおいては、上述の数値範囲から選択される構造パラメータの適切な組み合わせにより、1.3μm用シングルモード光ファイバに代表される、上述の使用波長帯よりも短い零分散波長を備えたシングルモード光ファイバの分散スロープを、この分散スロープの補償率の範囲内で十分に補償することができる。
例えば分散補償光ファイバの負の分散スロープとしては−0.13〜−0.27ps/nm2/kmの範囲のものを任意に設定することができる。
【0027】
また、図2に示した屈折率プロファイルにおいて、各層にドーパントが添加されていると好ましい。特にクラッド5は上述のように純粋石英ガラスから構成する場合が多いが、線引き時のコア4との粘度の差を小さくして線引き速度を大きくし、低損失の分散補償光ファイバを得るためには、クラッド5にドーパントを添加すると有効である。
すなわち、中心コア部1とリングコア部3は好ましくはゲルマニウム添加石英ガラス、中間部2は好ましくはフッ素添加石英ガラス、クラッド5は少量のフッ素を添加した石英ガラスから形成すると好ましい。
なお、クラッド5へのフッ素の添加においては、例えば純粋石英基準の比屈折率差が−0.1〜−0.4%程度になるように添加量を調整すれば、十分に効果を得ることができる。
【0028】
この分散補償光ファイバは、例えばVAD法、MCVD法、PCVD法などの公知の方法を用いて製造することができる。
このように本発明の分散補償光ファイバは、Δ1が小さいため、線引きの際のコア4とクラッド5の粘度の差が小さく、従来の分散補償光ファイバよりも線引き速度を大きくしても分散補償光ファイバの機械的な強度が低下しにくい。そのため、従来よりも高速で紡糸して低損失のものを得ることができる。また、有効コア断面積を拡大して非線形効果の発生を抑制することができる。
【0029】
また、本発明の分散補償光ファイバは、シングルモード光ファイバと組み合わせて、波長多重伝送、長距離伝送などに適した光ファイバ伝送路を構築することができる。
光ファイバ伝送路に使用する分散補償光ファイバおよびシングルモード光ファイバの長さなどは、各ファイバの特性や設計条件によって適切な値が設定される。
なお、通常は前段にシングルモード光ファイバを配置し、後段にこのシングルモード光ファイバを伝搬することによって蓄積された波長分散と分散スロープを補償すべく、分散補償光ファイバが配置される。
【0030】
組み合わせるシングルモード光ファイバは上述のように1.3μm用シングルモード光ファイバであってもよいが、使用波長帯よりも短かい零分散波長を有し、使用波長帯において正の波長分散と、正の分散スロープを備えていれば特に限定することはない。
【0031】
例えば以下のようなシングルモード光ファイバを用いると好ましい。
すなわち、図1に示したものと同様の屈折率プロファイルを有するもので、コア14とその外周上に設けられたクラッド15とを備え、コア14が中心コア部11と、その外周上に設けられたこの中心コア部11よりも低い屈折率を備えた中間部12と、この中間部12の外周上に設けられたこの中間部12よりも高く、前記中心コア部11よりも低い屈折率を備えたクラッド15とを有し、使用波長帯において、有効コア断面積が120μm2以上、かつ実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有するシングルモード光ファイバである。
【0032】
有効コア断面積が120μm2以上であると、非線形効果が発生しにくくなるため、低損失となり、特に長距離波長多重伝送などに適した特性が得られる。
また、カットオフ波長は、シングルモード光ファイバであるための条件である。
【0033】
このシングルモード光ファイバにおいてもa1、b1、Δ11、Δ12の適切な値を選択して組み合わせることにより、上述の有効コア断面積の条件とカットオフ波長の条件を備えたシングルモード光ファイバを得ることができる。
1/a1は例えば3.0〜5.0の範囲から選択される。3.0未満では光の電磁界が中間部12をこえてクラッド15に到達しやすくなるので、曲げ損失が増加する傾向がある。また、5.0をこえると中間部12を設けた効果が低減し、コアへの光の電磁界の閉じこめが強くなり過ぎるので、有効コア断面積拡大の効果が減少する傾向がある。
また、カットオフ波長はa1の値を拡大することによって長波長側にシフトさせることができる。上述のようにカットオフ波長は光ファイバの使用長さと波長帯によって設定されるため、一概にa1の数値範囲を示すことはできないが、通常、a1は5〜20μmの範囲から選択される。
クラッド15の外径は通常約125μmとされる。
また、Δ11は0.3%以下、好ましくは0.26%以下、Δ12が−0.05〜0−0.15%であると好ましい。
Δ11が0.3%をこえると有効コア断面積を拡大することが困難となる。また、Δ12が−0.05%よりも大きくなると(Δ12の絶対値が小さくなると)曲げ損失が大きくなり、Δ12が−0.15%よりも小さくなると(Δ12の絶対値が大きくなると)有効コア断面積が小さくなる傾向がある。
【0034】
さらには、波長分散が+19〜+22ps/nm/km、分散スロープが+0.065ps/nm2/km以下、曲げ損失が10dB/m以下であると好ましい。
なお、中心コア部11は好ましくはゲルマニウム添加石英ガラス、中間部12は好ましくはフッ素添加石英ガラス、クラッド15は好ましくは純粋石英ガラスまたはフッ素添加石英ガラスから構成されている。
このシングルモード光ファイバも上述の分散補償光ファイバと同様に、一般的な製造方法によって製造することができる。
【0035】
このシングルモード光ファイバと本発明の分散補償光ファイバとを組合わせることにより、低非線形で低損失であり、波長分散が小さく分散スロープも低い光ファイバ伝送路を構築することができる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
【0037】
(実施例1、比較例)
VAD法、MCVD法、PCVD法などの公知の方法によってファイバ母材を製造し、線引きして9種類(A〜H:実施例、I:比較例)の分散補償光ファイバを製造した。
これらの分散補償光ファイバは図2に示した屈折率プロファイルを備え、それぞれの分散補償光ファイバにおいて、Δ1、Δ2、Δ3、b/a、c/aは表1の値になるようにした。
また、中心コア部1とリングコア部3はゲルマニウム添加石英ガラス、中間部2はフッ素添加石英ガラス、クラッド5はフッ素を添加した石英ガラスから形成した。クラッド5のフッ素濃度は純粋石英ガラスの屈折率を基準にして比屈折率差が0.1%となるようにした。
線引きの条件は線引き速度300m/min、線引き張力250g、加熱温度2000℃とした。
【0038】
しかし、実施例であるA〜Hの分散補償光ファイバについては問題なく線引きを行うことができたが、比較例であるΔ1が大きいIの分散補償光ファイバについては、損失が高くなっため、線引きの条件を線引き速度300m/min、線引き張力350g、加熱温度1900℃とした。しかし、機械的な強度に問題があった。
これらの分散補償光ファイバの光学特性を表1、表2にあわせて示した。
【0039】
【表1】
Figure 0003850235
【0040】
【表2】
Figure 0003850235
【0041】
A〜Hの分散補償光ファイバの伝送損失は0.25〜0.30dB/kmと低損失でありAeffも20μm2以上と大きく、大容量伝送、長距離伝送に適したものであった。
一方、Iの分散補償光ファイバは機械的強度に問題が生じるレベルで線引きしても、伝送損失が0.40dB/kmであり、大きかった。また、有効コア断面積も小さかった。
なお、カットオフ波長は2m法による値であり、いずれも通常使用される長尺の状態ではシングルモード伝搬を保証することができる値が得られた。
【0042】
(実施例2)
前段に以下のシングルモード光ファイバ30kmを配置し、後段に実施例1で製造したAの分散補償光ファイバを11.6km接続して光ファイバ伝送路を構築した。
すなわち、シングルモード光ファイバは、VAD法やMCVD法などの公知の方法により製造したファイバ母材を線引きして製造したものを用いた。
このシングルモード光ファイバは、図1に示した屈折率プロファイルを有し、中心コアはゲルマニウム添加石英ガラスから構成し、中間部はフツ素添加石英ガラス、クラツドは純粋石英から構成した。
また、Δ11、Δ12はそれぞれ0.24%と−0.05%、a、bはそれぞれ6.6μm、26.5μm、クラツド外径は125μmとした。
表3にこのシングルモード光ファイバの特性を示した。
【0043】
【表3】
Figure 0003850235
【0044】
光ファイバ伝送路全体について、波長分散は波長1.55μmにおいて零であった。また、1.53〜1.63μmの範囲において、分散スロープは0.1ps/nm2/km以下であり、分散スロープの補償率はほぼ100%であった。この光ファイバ伝送路は、前段のシングルモード光ファイバの有効コア断面積が大きいため、低非線形であり、かつ分散補償光ファイバの作用によって、波長分散、分散スロープが小さく、良好な伝送特性が得られた。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の分散補償光ファイバにおいては、コアの最も高い屈折率を備えた層の比屈折率差が小さいため、従来よりも低張力で紡糸して低損失のものを得ることができる。また、有効コア断面積を拡大して非線形効果の発生を抑制することができる。
また、本発明の分散補償光ファイバは、シングルモード光ファイバと組み合わせて、波長多重伝送、長距離伝送などに適した光ファイバ伝送路を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 分散補償光ファイバの屈折率プロファイルの一例を示したグラフである。
【図2】 分散補償光ファイバの屈折率プロファイルの他の例を示したグラフであって、本発明の分散補償光ファイバに適用するものである。
【図3】 図1に示した屈折率プロファイルにおいて、波長分散、分散スロープの関係の一例を示したグラフである。
【符号の説明】
1…中心コア部、2…中間部、3…リングコア部、4…コア、5…クラッド。

Claims (7)

  1. 以下の(1)〜(8)の条件を満足することを特徴とする分散補償光ファイバ。
    (1)コアとその外周上に設けられたクラッドとを備え、該コアが、該クラッドよりも屈折率が高い中心コア部と、該中心コア部の外周上に設けられた該クラッドよりも屈折率が低い中間部と、該中間コア部の外周上に設けられた該クラッドよりも屈折率が高いリングコア部と、からなる屈折率プロファイルを有している。
    (2)前記中心コア部、前記中間部、および前記リングコア部の、(半径、クラッドを基準にした比屈折率差)を、それぞれ(a、Δ1)、(b、Δ2)、(c、Δ3)としたとき、Δ1が0.9〜1.5%、Δ2が−0.30〜−0.45%、Δ3が0.2〜1.2%、b/aが2.0〜3.5、c/aが3.0〜5.0である。
    (3)1.53μm〜1.63μmから選択された使用波長帯において、有効コア断面積が20μm以上である。
    (4)前記使用波長帯において、曲げ損失が40dB/m以下である。
    (5)前記使用波長帯において、波長分散が−65〜−45ps/nm/kmである。
    (6)前記使用波長帯において、実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する。
    (7)前記使用波長帯よりも短波長の零分散波長を有する1.3μm用シングルモード光ファイバの波長分散を零に補償できる長さで、当該シングルモード光ファイバを補償したときの分散スロープの補償率が80〜120%である。
    (8)前記クラッドが、ドーパントを添加した石英ガラスからなる。
  2. 請求項1に記載の分散補償光ファイバにおいて、aが1.66〜1.94μmであることを特徴とする分散補償光ファイバ。
  3. 請求項1又は2に記載の分散補償光ファイバにおいて、前記屈折率プロファイルを構成する各層にドーパントが添加されていることを特徴とする分散補償光ファイバ。
  4. 前記使用波長帯において、伝送損失が0.3dB/km以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の分散補償光ファイバ。
  5. シングルモード光ファイバと、該シングルモード光ファイバの波長分散と分散スロープを補償する請求項1〜4のいずれか1項に記載の分散補償光ファイバとを組み合わせたことを特徴とする光ファイバ伝送路。
  6. 請求項5に記載の光ファイバ伝送路において、前記シングルモード光ファイバが、以下の(9)〜(10)の条件を満足することを特徴とする光ファイバ伝送路。
    (9)コアとその外周上に設けられたクラッドとを備え、該コアが中心コア部と、その外周上に設けられた該中心コア部よりも低い屈折率を備えた中間部と、該中間部の外周上に設けられた該中間部よりも高く、前記中心コア部よりも低い屈折率を備えたクラッドとを有する。
    (10)前記分散補償光ファイバの使用波長帯において、有効コア断面積が120μm以上であり、かつ当該使用波長帯において、実質的にシングルモード伝搬可能なカットオフ波長を有する。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の分散補償光ファイバの条件を満足するように分散補償光ファイバを製造することを特徴とする分散補償光ファイバの製造方法。
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