JP3849888B2 - 転炉出鋼口スリーブ - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
この発明は現状の無予熱から生ずる初期スポール及び溶鋼流による機械的摩耗を抑え、その耐用を延ばすようにした転炉出鋼口スリーブに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、転炉において、もっとも溶鋼流の損耗を受けるのは出鋼口スリーブであり、５０ｃｈ〜１５０ｃｈ毎に補修もしくは交換が行われている。転炉自身の寿命は２０００ｃｈ〜３０００ｃｈであり、その為５０〜１５０毎に熱間での補修または交換といった重労働が行われている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
転炉出鋼口スリーブは、使用するにあたり無予熱で使用される。したがって溶鋼温度とは１６００〜１７５０℃の温度差があり、転炉からの出鋼時、その熱衝撃によって出鋼口スリーブ稼働面に初期スポールが生じる。
そして現状、無予熱で使用する上ではヒートショックによる初期スポールを抑える十分な方法はなく、出鋼口スリーブの耐用を低下させている。
また出鋼温度の上昇及び出鋼時間の短縮により今までの出鋼口スリーブ構造では、その強烈な溶損に十分対応できなくなってきた。この発明は、従来のこれらの問題点を解消させ初期スポール及び溶鋼流による機械的摩耗を抑え、その耐用を延ばした出鋼口スリーブを提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、この発明は次のような構成としている。すなわち、この発明は、一体成形品で構成された出鋼口スリーブの内周面（溶鋼通過面）に５ｍｍ〜３０ｍｍの厚さで残存膨張性を有する不定形耐火物をコーティングしたことを特徴とするものである。ここで用いるの残存膨張性を有する不定形耐火物とは、残存膨張性のシリマナイトアンダリュサイト及びカイアナイトなどのシリマナイト族鉱物を含んだもので、残部はアルミナなどの高耐火粉と結合剤としてアルミナセメントを含有したものが望ましい。そして残存膨張性を有する不定形耐火物を用いた理由はコーティング層を膨張させることによって出鋼口スリーブを圧迫しスリーブの初期スポールを抑制することにあるが、それだけにとどまらず、コーティング層自身が溶鋼流の摩耗による溶損を抑えると言う意味がある。またシリマナイト族鉱物を用いると、これら鉱物が溶鋼の熱によってムライトなどの低い熱伝導率を持った結晶を組成し、そのことによって被覆された出鋼口スリーブが溶鋼から直接に熱衝撃を受けないようにするためである。上記不定形耐火物のコーティング方法は、コテ塗り、手塗り、吹付け、鋳込みなどで行えるが、ここでコーティング厚を５ｍｍ〜３０ｍｍとしたのは、５ｍｍ以下では充分にコーティング効果があらわれず３０ｍｍ以上ではスリーブの内孔を狭くし、溶鋼流量に影響を及ぼすだけでなく、溶鋼流の摩擦力の増加に伴なう不定形耐火物の剥離が考えられるからである。
【０００５】
【実施例１】
容量３００ｔの転炉の内径２４０ｍｍの出鋼口スリーブ内周面に表１で示されたＮｏ ．１の不定形耐火物を鋳込み施工で厚み１５ｍｍのコーティングをした。
【０００６】
【実施例２】
容量３００ｔの転炉の内径２５０ｍｍの出鋼口スリーブ内周面に表１のＮｏ．２に示した不定形耐火物を２０ｍｍ厚で鋳込み施工を行った。
【０００７】
【表１】

【０００８】
【発明の効果】
実施例１による施工したものを実用に供したところ、従来の不定形耐火物をコーティングしていない場合で全耐用が補修１回を行って１５０ｃｈ程度に対して、無補修で１５０ｃｈの耐用回数であった。また実施例２の場合、全耐用が無補修で５０ｃｈであったところ、この発明実施例２によると無補修で８０ｃｈの耐用が得られた。
この発明は残存膨張性の不定形耐火物を転炉出鋼口スリーブ内面にコーティングすることによって、出鋼口スリーブの初期スポール及び溶鋼流による機械的摩耗を抑えて実施例に見られるように耐用向上を発揮し、優れた効果をもたらすものである。

Claims (1)

1. スリーブが２段〜１０段積みの分割タイプで構成されており、その内周面に残存膨張性のシリマナイトアンダリュサイト２０質量％又はカイアナイト５質量％を含有し、残部はアルミナ７５〜９０質量％と結合剤としてアルミナセメント５質量％とからなる残存膨張性を有する不定形耐火物を５ｍｍ〜３０ｍｍ厚にてコーティングしたことを特徴とする転炉出鋼口スリーブ。